さて自由民主党総裁選挙。
決戦投票で高市早苗さんが勝利して、
第二十九代総裁となった。
自民党初の女性総裁。
このまま日本初の女性総理大臣に就任する。
英国マーガレット・サッチャー首相は、
1979年5月4日から1990年11月28日まで、
11年間、第71代首相を務めた。
「鉄の女」と呼ばれた。
ドイツのアンゲラ・メルケル首相は、
2005年11月22日から2021年12月8日まで、
16年間の長期政権を築いて、
「鉄のお嬢さん」と言われた。
アメリカ合衆国にはまだ、
女性大統領は登場していない。
だから日本はアメリカに先行したことになる。
フランスの元首は大統領で、
内政を担当する首相は大統領から指名される。
その全権を握る大統領にはまだ、
女性が就任したことはないが、
2人の女性政治家が首相になっている。
1991年5月15日からから92年4月2日までの1年間、
エディット・クレッソン首相。
フランソワ・ミッテラン大統領の時だ。
もう一人がエリザベット・ボルヌ首相。
2022年5月16日から2024年1月9日まで。
イタリア初の女性元首が、
現在のジョルジャ・メローニ首相。
2022年10月22日に就任した。
15歳でネオファシズム政党MSIに参加し、
2012年に自ら右派政党「イタリアの同胞(FdI)を設立。
そこで「極右」と表現されることが多いが、
自由主義と国民保守主義を掲げて、
ヨーロッパ共同体(EU)の協力を重視している。
メローニは「地中海版の鉄の女」と称される。
三重大学の岩本美砂子名誉教授。
著書は『百合子とたか子 女性政治リーダーの運命』
岩本名誉教授は女性トップを、
3つのタイプに分類する。
第1が男性的な価値観に合わせ、
男性と同じように振る舞うタイプ。
第2が女性と男性の利益に妥協点を見いだし、
現実問題として解決を図り、
「女性」ではなく「政治家」であることを、
強調するタイプ。
第3が男性中心の政治に挑み、
女性政策を推進させようとするタイプ。
岩本教授は高市早苗総裁を、
第1のタイプに分類しているが、
まだわからない。
願わくば第2のタイプになってほしいものだ。
女性ではなく政治家を強調する「鉄の女」である。
女性政治家だけでなく、
女性経営者ももっともっと、
登場してほしいものだ。
東京商工リサーチの、
第13回「全国女性社長」調査。
2024年は全国に64万9262人いる。
前年比6.0%増で、1年間に3万7038人増加。
全国の社長の15.24%で、
初めて15%を超えた。
2010年の初調査時点から14年で3倍に増えた。
女性目線での商品開発などで、
マーケットの活性化が期待される。
全産業で後継者問題が深刻化しているが、
事業承継の担い手として女性の登用が増える。
だが依然として男女の役割分担に先入観がある。
仕事と家事、育児、介護などの両立には、
男性の協力が欠かせない。
この状況は高市総裁が打開してほしいものだ。
都道府県別の「女性社長率」は、
1位が沖縄県の20.62%で断トツ。
以下、2位が山梨県17.36%、
3位が東京都17.21%、
4位が茨城県16.99%、
5位が大阪府16.82%。
低いのは新潟県の9.69%、
山形県の9.78%。
女性社長数が最も多い産業は、
「サービス業他」の32万913人で構成比49.4%。
開業の敷居が低い飲食業、
美容業やエステティック業など。
二番目は不動産業の9万7269人、
三番目が小売業の6万6223人。
女性社長率1位は不動産業の25.06%。
4人に1人が女性社長だ。
2位がサービス業他で19.04%。
ほぼ5人に1人。
3位が小売業で15.68%。
私はすぐに、
㈱スズキヤの中村洋子さんを思い浮かべる。
イオンの小嶋千鶴子さんも、
ニチイの西端春枝先生も、
ヤオコーの川野トモさんも、
立派なトップマネジメントだった。
わが小売業は女性トップが多い産業である。
その意味では未来型のビジネスなのだ。
高市早苗。
くれぐれも背後にいる派閥の長の、
言いなりにはならないよう願いたい。
どんな思想信条であろうと、
日本の政治のトップに立ったからには、
大いに期待しよう。
ガラスの天井は、
それを打ち破ってしまえば、
逆に強みに変わるのだと思う。
その強みは活かすべきだろう。
〈結城義晴〉