その頂点を決めるのが、
ワールドシリーズ。
アメリカンリーグ代表は、
トロント・ブルージェイズ。
第1戦はブルージェイズが、
ホームラン連発で勝利した。
代打アディソン・バージャーは、
ワールドシリーズ初の代打満塁本塁打。
ドジャースが大谷翔平のホームランで、
2点を返したが焼け石に水。
11対4でトロントの快勝。
そして第2戦を迎えた。
ワールドシリーズは、
7回戦制で4試合に勝利すると、
ワールドチャンピオンとなる。
9連覇を果たした日本の巨人軍。
日本シリーズも7回戦制だ。
監督の川上哲治は2戦目を重視した。
第1戦に負けても構わない。
2025ワールドシリーズの、
その第2戦の先発投手は、
山本由伸。
初回、ドジャースは1点を先取した。
3番フレディ・フリーマンの右翼線二塁打。
4番ウィル・スミスの中前適時打。
スミスは大活躍だった。
その1回裏、ノーアウト1塁・3塁のピンチ。
3番ゲレーロ・ジュニアを、
フルカウントからカーブで空振り三振。
4番5番も抑えてヤマモローは難を逃れた。

3回、山本は1番スプリンガーに死球。
ちょっとリズムが崩れた。
3番ゲレーロは左翼フェンス直撃のヒット、
ランナー1塁3塁。
4番カークに低めのスライダーを中犠飛。
同点となってしまった。
しかしその後、山本は完全に立ち直った。
このデッドボールの3回だけミスが出た。
4回から9回まで、
見事なピッチング。
このゲームはカーブが有効だった。
巨人の江川卓も桑田真澄も、
縦に割れるカーブと早い直球を武器にした。
速球投手と変化球投手という分類がある。
前者は早いストレートとカーブ、
あるいは直球とフォークの2球種の投手。
国鉄の金田正一やロッテの村田兆次、
野茂英雄も速球投手の部類に入る。
後者は多彩な変化球を操る。
現役ではダルビッシュ有がそれだ。
今日の山本は両方だった。
つまり速球投手で変化球投手。
素晴らしい。
左打者のマンシーもレフトスタンドに放り込んで、
2点差をつけた。

山本由伸の独り舞台。
それをドジャースのナインが支えた。
ゲームセットで、
キャッチャーのスミスとハグ。
ヤマモロが投げ、スミスが打った。
そんな第2戦の勝利だった。
2017年、ジャスティン・バーランダーが、
ポストシーズンで完投した。
デトロイト・タイガースのエース。

それ以来、ポストシーズンの完投はなかった。
山本はそれを2試合で実現させた。
チャンピオンシップシリーズの、
ミルウォーキー・ブルワーズ戦。
わずか3安打に抑える完投勝利。
それに続くこの夜の2試合連続完投。
ポストシーズンでの連続完投は、
2001年のカート・シリング以来。
シリングは野球殿堂入りしたが、
アリゾナ・ダイヤモンドバックス時代の快挙だった。
1993年からポストシーズン制が始まった。
それ以来、2連続完投は、
シリングと山本の二人だけだ。
凄い記録なのだ。
山本は日本での7年間に、
ポストシーズンの2試合で完投勝利した。
レギュラーシーズンを含めると、
全部で16試合の完投を記録している。
177.8cm、79.8kg。
メジャーリーガーとしては、
小柄な大投手。
私たちにも勇気を与えてくれる。
ワールドシリーズ第2戦に完勝。
3日目は移動日。
4日目の3戦から5戦まで、
ロサンゼルスのホームグランド。
ここで勢いに乗って、
2年連続ワールドチャンピオン。
大谷翔平はきっと爆発する。
楽しみばかりだ。
ありがとう。
でも、まだまだ終わってほしくない。
〈結城義晴〉





























