結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2026年05月09日(土曜日)

今野敏の文学賞選考の「好き嫌い」とチェーンストアの「無関心」

明日からネバダ州ラスベガス。

商人舎US研修ベーシック編。
In Las Vegas。
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2011年に第1回を始めて、
コロナ禍で中断して、
もう14回になる。

参加者は総勢500人を超えた。

商人舎を創設した時に誓った。
商業の現代化と知識商人の養成。

その方法論のひとつが、
US研修ベーシック編でもある。

参加者の仕事に役立ち、
成長を促す。

私自身ももちろん学ぶ。

よろしくお願いします。

日経新聞夕刊「あすへの話題」
作家の今野敏さん。
私は今野作品の読者だ。

「好き嫌い」

「5月6月は、なぜか文学賞の選考会が多い。
いくつかの賞の選考委員をかけ持ちしていると、
この時期読む本がやたらに多くてたいへんだ」

今野さんは1955年、北海道生まれの70歳。

選考委員の資格十分。

芥川賞や直木賞こそとっていないが、
吉川英治文学新人賞、日本推理作家協会賞、
山本周五郎賞、日本ミステリー文学大賞など、
軒並み受賞している。
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選考委員は各賞の最終選考に残った候補作を、
それぞれ5冊ほど読む。

飛ばし読みはできない。
選考会ではそれぞれの作品について論評する。
だからメモも作る。

「えらく時間がかかる」

そのうえ、「公平で論理的な選考」をする。

「これがなかなか難しい」

そこで今野さん。
「できるだけ客観的に評価しようとするのだが、
それでも最終的には『好み』が顔を出してくる」

わかる。

「人間が選考委員をやっている限り、
そして自分自身も実作家である限り、
それは避けられない」

私は小説の選考委員はやったことがないが、
論文の審査や論文賞の選考委員は経験がある。

同じだ。

「好み」を選んでしまうことは、
少なくない。

今野さん。
「そして、それを無視するのは、
自分に噓をつくことでもある」

その通り。

「しかし、選考委員たるもの、
好き嫌いで受賞作を選ぶわけにはいかない」

「選考会でその『好き嫌い』について、
ちゃんと説明する必要があるのだ」

「これが難しい」

わかる。

「好き嫌い」の説明は困難を極める。

「豚肉が嫌いなのに理由はないのだ。
にもかかわらず、
それをやらなければならない」

「考えてみれば、普段は、
自分の『好き嫌い』を客観視し、
言語化することなどあまりない」

「つまるところ、文学賞の選考というのは、
自分自身を見直すことに他ならない」

エッセイのオチ。
「……などと言ってないで、
さて、今日も読まねば」

顧客が店や商品を選ぶ。
文学賞の選考ほどではないが、
最後は「好き嫌い」だ。
値段以上に好き嫌いで選ぶ。

つまり店や商品は、
顧客から「好き」だと、
思ってもらわねばならない。

「大好き」が一番いい。
「好き」でもいい。

ここで「嫌い」も「大嫌い」も、
実はそんなに悪くはない。

「好き」に転じてもらう、何かがあるからだ。

つまり特徴があるからだ。

もっともいけないのが、
顧客が何にも感じない。
顧客が無関心である。

「好き」に転じてもらう余地もない。

「好き嫌い」の反対語は「無関心」だ。

小説など「無関心」な作品には、
意味すらない。

日本の総合スーパー業態は、
同質化の危機に至った。

それが衰退の真因だ。

そのなかでドン・キホーテだけは、
ポジショニングを得た。

「好き嫌い」の対象となった。

ほかはダイエーも西友も、
イトーヨーカ堂やイオンですら、
静かに「無関心」の方向に行ってしまった。

アメリカの総合スーパー業態は、
ウォルマートとターゲット。

アメリカ人はどちらかが好きで、
どちらかが嫌いだ。

「無関心」の店や企業は、
例外なく絶滅した。

それがアメリカのチェーンストアの競争だ。

それを学びに行く。
とことん学び取りたいものだ。

〈結城義晴〉


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