ジジのおしっこ[日曜版]

春、らんまん。
いい季節です。
でも、ボクのくらしは、
かわりません。
ボクのシンプル・ライフ。
ボクのもの。
ふたつだけ。
ひとつは、食器。
おととしのクリスマスに、
ユウキヨシハルのおとうさんから、
プレゼントしてもらった。

気にいってます。
みぎが、ごはん用。
ひだりが、お水用。
キッチンのところにある。
もうひとつは、便器。
おふろばのよこにある。

生まれた家。
保土ヶ谷のヤマダ家から、
もらってきた。
ごはんをたべたら、
お水をのむ。
お水は、ロカ水。
そうしたら、
おしっこしたくなる。

ボクのトイレに入る。

トイレには、砂がしいてある。

そのなかにはいります。
むこうをむいたまま。

すかさず、だす。

まいかい、まいかい、
へんなきぶんです。

なかのすなのにおいをかいで、
すなをかける。

ふりむいて、すなをごそごそ。

それから、トイレのカベを、
ガサガサ。

これはかならず、やります。
カベをガサガサ。

みぎをみて。

ひだりをみて。

みぎをみて。

ひだりをみる。

そして、頭をのりだす。

すっきりしました。

ニンゲンとおなじ。
ボクのシンプル・ライフ。
食べて、出して、寝て、起きて。
ボクだって、
変えるものは、変えます。
シンプル・ライフは、変えませんが。
「神さま、
変えられるものを変える勇気と、
変えられないものを受け入れる心の静けさと、
それらを見分ける英知を、
お与えください」
ボクのシンプル・ライフは、
心の静けさそのものです。

でも、おとうさん、
ボクのおしっこ、
写真とったでしょ。
<『ジジの気分』(未刊)より>




















