結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年04月03日(金曜日)

コーネル・ジャパン講義、サミットのLSPの真髄を体験する

ロンドンで行われている金融サミット。
日米欧に新興国を加えた20の国家と地域の首脳会議。
「遅くても2010年末まで」に、
「世界経済成長率4%までの回復」を宣言した。

期日を切ること、
数値目標を掲げること。  

ここに先進国首脳が一致協力する。
各国は景気対策や金融規制の強化などに全力を尽くす。

人類の志と知恵に、期待したい。

私は言い続けている。
「2010年まで無呼吸泳法でいこう。
2010年には、展望が開けてくる」  

その方向になってきた。

しかし今年、来年と厳しい環境が続く。
この厳しさに耐えなければ、
2010年はない。

さて、昨日は、コーネル大学RMPジャパン4月の2日目の講義。

朝、8時にサミット松戸新田店に集合。  
3班に分かれて、
サミットのレイバースケジューリングの早朝作業を勉強。
ファサード

私は、30年前に、関西スーパー広田店で、
1週間の実習を経験した。
素晴らしいオペレーションが展開されていた。
それが私の小売業体験の原点である。

サミットの2009年のオペレーションシステムも、
原理・原則は変わらない。
しかし、明らかに格段の進化を見せていた。

松戸新田店は、1年半前のオープン。
近隣型ショッピングセンターの核店舗。
グリーンマークシティー松戸新田という名称。
ドラッグストアのトモズ、
ファッションのコルモピア、
書店のブックスゴロー、
そして総合クリニックのドクターランド松戸、
外食のくら寿司などが入ったショッピングセンター。

そのサミットの年商は、2年目に26億円を達成しそうな勢い。

青果と鮮魚、
精肉と惣菜、
日配、加工食品、菓子、雑貨。
sisatu

三つのグループに分かれて、
サミット店舗サポート部LSPグループのメンバーから現場でレクチャーを受けた。
setumei

サミットのオペレーションで最も特徴があること。
すなわち、「差異」。
それは、作業者が動かないこと。

商品は動く。
しかし人は動かない。

だから8時から10時までの早朝作業といえども、
極めて静かである。

人が動かず、製造に集中する。
だから人時売上高が上がる。

これは、見なければ分からない。

コーネル大学リテール・マネジメント・オブ・ジャパンの第1期生にとっては、
この体験が何よりの勉強になったことだと思う。

「差異が価値を生む」  
商人舎の今月の標語。
月初めから、サミットのオペレーションで、
「差異」を示してもらった。

開店まで、勉強。
最後にレジチェックスタンドのミーティング。
テキパキとしていて、元気。
みんなで見ていて、最後に拍手が起こるほど。
reji1

reji2

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恥ずかしながら、私、涙が出てきた。

そしてサミットの皆さんも入ってもらって、全員で記念写真。
zenin

その後、昨日の松戸商工会議所会議室。
10時30分から、質疑応答。

サミットからは、
取締役経営企画室の工藤静夫さん、
広報の中村佳之さん、
ブロック長の田村さん、
松戸新田店店長の小池伸治さん、
そして今回の主役・店舗サポート部LSPグループマネジャーの赤羽義貴さん。
LSPグループ青果担当の椎名さん。
meeting1

率直に、正直に、一所懸命に答えてくださった。

サミットのレイバースケジューリングプログラムは、
進化し続けている。

人事部に属していたものが、
4月1日から店舗サポート部に格上げされ、
その中にLSPグループができた。

これは機能的にはトップマネジメント直轄の「ラインスタッフ」である。

組織的にも、一定の完成の域に達したことを示す。

そのLSPグループの課題。

商品分野別にいえば、惣菜とベーカリー。

青果、鮮魚、精肉、グロサリー(日配、加工食品、菓子、日用雑貨)、
そしてチェックスタンドは、完成に近い。
もちろん日々、改善の努力は怠らないが。

質疑応答の最後に首席講師の荒井伸也先生の総評と解説。
サミットのレイバースケジューリングをつくった経営者だけに、
この解説は、サミットの人々にも勉強になったはず。
arai

人が動かない。
商品が動く。  

それが驚くべき整然さをもつスーパーマーケットの作業体系の基礎になっている。

何度も言うが、これこそ「差異が価値を生む」

サミットの皆さんに心から感謝。

その後、高野保夫先生のまとめの講義。
takano

そして、荒井先生、高野先生と私がパネルディスカッションしつつ、
学生との質疑応答。
panel

第1期生の企業でも、
レイバースケジューリングや作業システム改革に取り組んでいるところは多い。
その報告もあって、全員の収穫は大きかった。
situgi

今月も、いい講座だった。

すべての皆さんに心から感謝。

取り分けて、工藤さんと赤羽さんには、
感謝の意を表明したい。

<結城義晴> 


6 件のコメント

  • 結城義晴先生の「CDオーディオ・セミナー 第1回 (株)ライフコーポレーションの岩崎社長との対談、大変、勉強になり、参考になりました。

    そのCDの中で、結城先生は、「オペーレーションが大事で、オペーレーションがダメだと、例えば、アルバートソンのように一挙にダメになってしまう。」というようなことを、おっしゃっています。

    アルバートソンのオペーレーションのどこがダメだったのでしょうか?
    アルバートソンといえば、むしろ、オペーレーションや、レイバー・スケジューリングのお手本のように言われていたと思いますが、それが、なぜ?

    また、オペーレーション以外に、アルバートソンがダメになった理由があれば、知りたいのですが。

    ご教示、願います。

  • スーパーマーケット従業員様、ご質問ありがとうございます。
    CDオーディオセミナーのご愛聴にも感謝いたします。

    アルバートソンは、私も、大好きな企業でした。
    オーソドックスで、正々堂々とした商売をしていて、
    それでいて成績が良い。

    私がオーディオセミナーで言ったのは、次のようなことです。
    「アメリカやヨーロッパでも、
    優れた企業、優れたスーパーマーケットというのは、
    このオペレーション面の充実が、やっぱり、図られている。
    そしてそのオペレーションが崩れてくると、
    例えばアルバーソンのように、一挙にだめになってくる」

    アルバートソンのオペレーションシステムは、
    全米でも最も優れたもののひとつでした。
    システムや仕組みは。
    しかし残念ながら、1998年に、アメリカンストアーズという会社を、
    買収してから、アルバートソンは崩れていきました。
    自分より規模の大きな会社を買収したのです。
    買収後わかったことは、アメリカンストアーズの経営内容が、
    ひどく悪いということでした。
    そこでなんとかアメリカンストアーズの立て直しをしつつ、
    全体として、規模のメリットも享受しようとしたのですが、
    それがうまくいきませんでした。

    ではなぜ、アメリカンストアーズを買収したのか。
    ウォルマートが、食品スーパーマーケットを始めたからでした。
    ウォルマートが食品を始めると、
    食品スーパーマーケットはやられてしまうのではないか。
    そんな危機感がアメリカ中の、大手スーパーマーケット企業に蔓延しました。
    その結果として、規模には規模で対抗しよう、
    ウォルマートが食品スーパーとして大きくなる前に、
    巨大な企業をつくっておこうと、たいていのトップが考えました。

    アルバートソンのトップマネジメントも同様でした。
    しかしアルバートソンの社風は、もともと、
    M&Aを次々に仕掛けて大きくなるというものではありませんでした。
    オペレーションに優れた会社というのは、
    一挙に規模を大きくすると、そのオペレーションが崩れていくのです。
    チェーンストアの仕組みは鎖のようなもので、
    鎖の一つの輪が崩れると、全体にきしみが出てくる。

    それがアルバートソンに出てきました。

    一群の悪い店があると、会社は良い店の収益や人材を、
    悪い一群の店に投入して、何とか立て直そうとします。
    しかしその結果、良い店のレベルまで落ちてしまうのです。

    そしてアルバートソンは、2000年台の中頃から、
    一挙に、オペレーションが崩れてしまいました。

    ワークスケジューリングの仕組みはあっても、
    それを使う人材が店に投入されない。
    そこであわてて、悪い地域の店舗をまとめて売却しようとしましたが、
    それも間に合いませんでした。

    結局、規模を追いかけてはいけない企業が、
    規模を大きくしようとしたことの間違いが、
    この企業を駄目にしてしまったのです。

    オペレーションの仕組みができていないから、
    会社が駄目になっていくのではなく、
    会社の方針が間違ってしまい、それがオペレーションに表れ、
    オペレーションが破たんすると、売り場や商品が駄目になり、
    お客さまが来なくなり、店が死んでしまう。

    この悪循環に陥って、アルバートソンは破たんしました。

    残念で仕方ありませんでしたが、それが事実です。

    もっともっと書きたいことがあるのですが、
    ここでは、こんなところでやめておきます。

    ご質問どうもありがとう。

  • 私は1990年後半に、米国視察ツアーでアルバートンソンの店舗見学の機会を得ました。印象に残っているのは、牛乳をバックヤードから補充する什器(当時日本で少なかった。)や、バックヤードの補充商品に夜間の補充担当者の名前が記入されたいたことや、なによりも店舗の説明をしてくれた女性の副店長が、私たち見学者に説明をしながらも、その手は商品の前出作業をし続けていたことです。
    私の知る限り、日本のスーパーマーケットでも 仕事の出来る担当者は、私と商談しながらも、その手は商品の前出作業をしていました。
    「東西を問わず基本は一緒なんだ」と関心したことを思い出しました。

  • こんにちは(*^_^*)

    サミット松戸新田さんは、毎朝晩、電車から見てます(笑)。

    が…

    途中下車して、入った事ナイんです…。

    今度、行ってみようと思います。

  • いまちゃん、ありがとう。

    思い出しますね、懐かしいですね。
    アルバートソンに関しては、いろいろな思い出があります。

    スーパーマーケットは、売れれば売れるほど、
    経営が易しくなる。

    その逆になると、難しく、難しくなります。
    それが恐いですね。

  • ナンバさん、ありがとう。
    良く勉強していて、しかも自分で考えて、成長のあとが見えます。
    私もとてもうれしく思います。

    サミットは、ベーカリーにLSPが導入されていません。
    現在検討中です。

    惣菜には入っていますが、まだまだ改善の途上にあります。

    だから惣菜とベーカリーを比較して観察してみる。
    そんなことも面白いですよ。

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