結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年03月04日(月曜日)

「イオン、ピーコックストア買収」事件とタイ小売業のM&A百花繚乱

Everybody! Good Monday!
[2013vol10]

2013年第10週、
3月の第2週となりました。

緊急ニュース。
ピーコックストアがイオンに売却される。

日経Web版は、
今日15時26分、ピーコックストア側のニュースとして報じ、
直後の15時38分にイオン側のコメントを載せた。

NHKは15時47分に、News Webにこの情報をアップ。

4月10日にスタートする『商人舎Magazine』ならば、
こういった「事件」をすぐさま解説、分析する。

さてピーコックストアは、
J.フロントリテイリング傘下のスーパーマーケット。
いわゆる百貨店系の企業。

そのJ.フロントは、
大丸と松坂屋が2007年に経営統合し、
それぞれの子会社のスーパーマーケットがやはり、
経営統合して「株式会社ピーコックストア」に商号変更。

大丸ピーコック、松坂屋ストア、横浜松坂屋ストアなどの集合体で、
現在、関東、中部、関西に88店を展開する。
2012年2月期年商は約1100億円。

株式の取得額は130億円、
買収総額は300億円。

4月1日付で買収し、
イオンの完全子会社にする。
これは一昨年の2011年11月の、
四国・中国地方のマルナカグループ買収と同じパターン。

イオンは今回手中にする首都圏の約50店によって
都心部のドミナントを強化する。

J.フロントリテイリングは、
大丸松坂屋百貨店やパルコに、
経営を集中する。

昨年6月28日のこのブログで、
私はピーコックストアがディスカウントすることを、
批判した。

「今年度から低価格店『ピーマート』を本格展開する。
現在2店、12年度中に4店を業態転換、
13年度は新規出店もスタート。
水を差すつもりは毛頭ないが、私は、
百貨店系の高級スーパーマーケット企業が、
ディスカウント型の店舗を展開するのは、
『おやめなさい』と言っている。
消費税増税で、
国民の価格コンシャスは高まる。
しかし、だからと言って、
社風に合わないディスカウント・フォーマットをやってみるのは、
流通業の歴史が示す間違いだ」

ピーマートは、
ピーコックストアの、
最後のあがきとなってしまった。

しかし、このニュースの波紋は大きい。

私は今年の潮流のひとつを、
新たなM&A急加速と言い続けているが、
百貨店系に限らず、
電鉄系スーパーマーケットも、
親会社の意思決定に委ねられる企業、
しかも親会社のお荷物となっている企業は、
「売れるうちに売られる」。

厳然とした事実だ。

その時にも、
「商人の本籍地と現住所」がある。
このことは忘れたくない。

商人は顧客とともに、店とともにある限り、
何時までも仕事し、社会貢献し続けることができる。

ピーコックストアの従業員の皆さんには、
「商人の本籍地と現住所」を強調しておきたい。

いきてゐてくれさへすればそれでいい
そばでなくともらしくなくても

〈日経歌壇 さいたま・松永浩司〉

さて、ひな祭りが終った。
1週間後は3・11。
今週はそのことを思いつつ、
仕事に邁進したい。

梅よ咲け壊滅したるこの浜に
〈日経俳壇 石巻・石の森市朗〉

東日本大震災に遭った宮城県石巻の歌人。
石巻の浜に梅が咲く光景を祈りつつ、詠む。

合掌して、
復興・振興を祈念したい。

さて、先週のバンコク視察報告のつづき。

ハイパーマーケットを2店舗紹介しよう。
第1がテスコロータス・エクストラ。
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エカチャイ・ディストリビューションが運営する。
イギリス・テスコとタイCPオールとの、
ジョイントベンチャーとして始まった企業だが、
現在はテスコの子会社で、
タイ小売業の第2位。

ちなみに第1位は、
そのCPオールで、
こちらはセブン-イレブン6822店を運営。

タイ国内のテスコロータスの総店舗数は、
2010年で698店舗。
テスコ・エクスプレスという小型スーパーマーケットがあるから、
店舗数は多い。

しかし売上げの主力は、
ハイパーマーケットのエクストラで、
店舗数は90店。
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これがよくできたハイパーマーケット。

広く、長いコンコース。
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床はピカピカ。

テスコ・プロダクト・ディベロップメント・センター。

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ここでは、試食や試用のデモが行なわれる。
お勧めの食品や日用雑貨も並べられている。

売場は基本カラーのグリーンとイエロー。
販促物もカラフル。
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一方、テスコロータス・ミニは、
都市型小型店。
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イギリスのテスコでいえば、
1000㎡のメトロの機能。

販促物はエクストラと同じものを使用している。
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セルフレジも当たり前。
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しかし経営は、ちょいと辛い。

ハイパーマーケット競争で、
テスコロータスとしのぎを削っているのが、
ビッグC。
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2010年、タイのカルフールを買収。
ビッグC87店、カルフール39店で、
ハイパーマーケットの店数では、
テスコロータスを凌ぐし、
店づくりは最強。

入口を入ると家電のクリアランスセール。
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こちらは収納用品のプロモーション。
見事にカラフル。
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タイの小売業は、色づかいが美しい。
月曜は黄色、火曜は桃色と、曜日の色が決まっている。
それらの色がベースになる。

輸入食品のコーナー。
黄と黒で目立つサイン。
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食品売場のプロモーションコーナー。
天井からは吊り下げのスポット照明。
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タイのハイパーマーケット競争は、
完全なる複占状態。

そのビッグCの裏手にできたショッピングセンターKvillage。
2010年3月にオープン。
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人気の専門店、飲食店を集合させたアッパーグレードのSC。
犬の散歩ができるなど、憩いの空間を意識。
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その中にある高級スーパーマーケット「グルメ・マーケット」。
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百貨店のエンポリアム傘下。
J.フロントリテイリングのピーコックストアのような存在。

日本酒や日本のお菓子など日本人向けの食材も豊富。
通路をはさんで、反対側には、
酒とコンビニエンスフーズとドラッグを集めた売場。
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このSCはまだまだ拡張中。
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最後に、大型商業施設「ゲートウェイ・エカマイ」。
BTS(スカイトレイン)のエカマイ駅に直結。
このエリアは、在住日本人や外国人が多い。
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そこに入ったのが「マックスバリュ」。
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24時間営業。

日本人向けの食材が豊富に揃うが、
もう少し現地化したい。
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入口に張り出してあるチラシもカラフル。
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国内同様、イオンデイには、
イオンカード利用で5%オフの告知。
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この商業施設には、
日本の企業が数多く出店していて、
全体に「ジャパン」色が強調されている。

ドラッグストアのツルハ。
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ご存知、イオングループ。

1階がドラッグ部門、2階はコスメティクス。
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若い女性に最新トレンドをアピールして、
この店は現地化に成功。

ダイソーは主要な商業施設には必ず出店している。
タイでは57店を展開。
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「60バーツ均一」が面白い。
約180円。

郡山を本拠にするらーめんの幸楽苑。
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5階に昨年11月1日にオープンしたイオンファンタジー。
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タイ初の子どものための屋内遊園地として、人気。
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ショップの改廃も進んでいる。
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よくよく見ると、メイドカフェ。
日本の風俗文化輸出。
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1階のイベント会場にいたタイ人の浴衣娘。
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タイ人は日本びいきだ。
だから「ジャパン」を強調した店やSCが、
都心に登場する。

イオン・グループが主力となったこのSCは、
それを狙っている。

イオンはアジア戦略を展開すると同時に、
日本国内ではM&Aを積極的に仕掛ける。

ピーコックストアがその最新ニュースだが、
今年に入って1月1日、
テスコ・ジャパン株式の50%を1円で取得。
同社は首都圏で113店を運営。

タイのテスコロータスとイオンは、
これから本格対峙する。

テスコ・ジャパンと日本のイオン、
そのテスコのタイ事業とCPオール。
タイのビッグCとカルフール。

一方、日本のカルフール店舗は2005年3月、
イオンが買収。

さらにイオンは昨年10月31日、
カルフール・マレーシア事業を買収。

イオンが国際企業になろうとしていることはよくわかるが、
最終的には「現地化」が巧みな親会社によって、
子会社はドライに売り買いされる。

この外国勢に「商人の本籍地と現住所」は、
理解できないに違いない。

まずもって「本籍地」の概念が存在しないからだ。

しかしピーコックストアの件には、
正直、驚かされた。

ショッキングな気分を振り払いつつ、
3・11を迎えたい。

では、みなさん。
Good Monday!

〈結城義晴〉


2 件のコメント

  • ピーコックは、本来優良なお客様を自分から手放したピーマートで、「ターゲットとする客層」からも見放されて自滅した例だと思います。オーバーストアとオーバースペースはよく使われる言葉ですが、前者は小売り側から見た言葉で、後者はお客様から見た言葉と理解しています。お客様から見れば、コンビニ・ミニストア・ドラッグだけでも都内に乱立していますが、これでも飽き足らず、ネットの世界にまで手を伸ばします。イオンのドミナント政策は、どのタイミングでも気が付かないうちに「イオンのいずれかのお店」に、お客様が訪れているようになるのでしょうか?いえいえ、そのためにも、しっかりと、ポジショニングを明確にしながら、セグメントされた客層に必要な商品とサービスを提供する。先生のいつもおっしゃることですよね。今のSMは、結局オーバースペースだと思います。いまさら売り場の縮小はできませんが、経費と売り上げは、そこを解消することで勝機は潜んでいる気がします。生き残るために。

  • inoueさま、いつもありがとうございます。
    まったく同感です。

    オーバースペースになっている店を、
    顧客のために機能するものに変える必要があります。

    イオン名誉会長の岡田卓也さんは、
    『岡田卓也の十章』という本の中で、
    「建物はあるが店はない」と言い切っています。

    自戒を込めて。

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