結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年04月04日(土曜日)

「平成大型景気」とユニーの赤字、ジョージアのセブンプレミアム化

「大型景気が始まる」
日経新聞コラム『大機小機』で、
コラムニストの富民氏が書く。

「わが国の交易条件が急回復している」
交易条件とは、
輸出商品と輸入商品の交換比率。
輸出物価指数と輸入物価指数の比で表す。

その交易条件は
昨年9月から今年2月までの半年で、
13.5%上昇。

これによって、
海外に流出していた所得が、
還流して景気を押し上げる。

年率10兆円の改善。

バブル崩壊以来20年あまり、
未曽有の長期不況が続いた。

そして平成大デフレが終わり、
需給ギャップが解消される。

景色が一変する。

設備投資は拡大され、
縮小均衡から拡大均衡へ、
経営の大転換が始まる。

設備投資を再開すれば、
資本ストックが拡大して、
成長率は押し上がる。

人口減少の問題に関しても、
女性と高齢者の労働参加率向上で、
労働力人口が年率0.5%で増え始めた。

「新年度は事業計画を見直し、
新しい長期計画を策定して、
拡大戦略に転じる企業が増える」

「期初の業績予想は慎重でも
期中で上方修正され、
最高益を更新する企業が増えるだろう」
コラムニストは煽るように書く。

消費増税によって、約半年間、
景気は踊り場にあった。
しかし昨年9月から上昇に転じた。

「今回は潜在成長率の上昇を伴った
息の長い大型景気になりそうだ」
この予想が当たるとありがたいのだが。

しかし流通業では、
ユニーグループ・ホールディングス。
2015年2月期の連結最終損益が、
24億円の赤字と発表。

前期は74億円の黒字だったし、
期中予想は54億円の黒字だった。

ファミリーマートと経営統合する機会に、
「膿を出し切る」
そこで一転、5年ぶりの赤字。

不採算のユニー店舗を対象に、
92億円の減損処理の実施をする。
コンビニエンスストア事業も減損処理。
損失額は通期で174億円に達する。

これがユニーの実態だった。
だからファミリーマートの傘下に入る。

先のコラムニストの分析に、
この現象も符合するのか。

ユニーグループの連結営業収益は、
1兆189億円、前年比マイナス1%。

営業利益は202億円で、
20%のマイナス。

一方、これも日経の消費Biz。
日本コカ・コーラグループが、
セブン&アイ・ホールディングスと
缶コーヒーを共同企画。

主 力ブランド「ジョージア」のロゴと、
「セブンプレミアム」のロゴが同居する。
上部にセブンプレミアムのロゴがある「ジョージア」
日本コカコーラは、
「PB商品はつくらな い」という方針だった。

しかしこのジョージアは、
セブン&アイの約1万8000店だけで販売。
だからPBに違いはない。

日本コカは言い訳のごとく説明。
「PBでなく、
あくまで共同企画の『ジョージア』だ」

しかし客観的に見て、
PBに間違いはない。

2014年の缶コーヒー市場は、
3億4300万ケースで、
減少傾向が続く。

その原因は、
コンビニのいれたてのコーヒー」の影響。
コンビニ大手5社の販売計画は、
14年度で計13億杯。

スーパーマーケットも、
これに対抗すべく挽きたてコーヒーを販売する。

つまり「コーヒー戦争」。

すでにセブン&アイは、
サントリー食品の「ボス」を、
共同企画品として展開してき た。

それによって、
トップブランドのジョージアは、
出荷数量が昨年2%減。
2位のボスは6%増。

これへの対抗策が、
ジョージアの「共同企画」と称するPB化。

そこでセブン&アイは今回、
サントリーから日本コカにくら替え。

セブン&アイは、
カテゴリー大手メーカーと組んで、
ブランド商品を独自の競争力にする戦略。

カップ麺では日清食品、
ビールはアサヒビールとサントリー、
スナック菓子ならカルビー。
日用品でも、花王やライオン。

それぞれのカテゴリーのトップメーカー群が、
共同企画PBに参画せざるを得ない形。

ユニーホールディングスの件、
コカコーラのセブンPBの件。

こういった入れ替わりの激しさが、
今回の大型景気の特徴かも知れない。

平成の大型景気の進み方は、
従来型とは異なる、
社会的効率化現象を生み出す。

しかしはもうひとつの現代化を考える。
大企業とボランタリーチェーン、
ローカル企業と個人事業主。
そういったコラボレーション。
ヤマダ電機とコスモス・ベリーズ、
住友達也さんのとくし丸。

巨大企業同士の製販共同。
大と小との資本関係のない同業協業。

いずれも商業の現代化ではあろう。
どちらが将来を見ているか。

それは考慮に入れておかねばならない。

〈結城義晴〉


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.