結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年07月19日(火曜日)

ソフトバンクのアーム社買収とダイナム講演の「自ら軛を断て」

ソフトバンク。
約240億ポンドで企業買収。

1ポンド140円くらいだから3兆3000億円。

買収相手は、イギリスのIT企業、
半導体設計のアーム・ホールディングス。

その全株式をキャッシュで買い取る。
1株あたりの取得額は17ポンド、
それに43%のプレミアムを上乗せ。

市場でも話題になるほどの高値で買った。

日経新聞夕刊が派手に取り上げた。

アームは半導体の設計に特化した企業。
例えばスマートフォンの中央演算処理装置。
Central Processing Unitを略してCPU。

さらにスマホに搭載される通信用半導体。

それらの回路設計で9割を超えるシェアをもつ。
世界の半導体業界の黒子企業として、
隠れた独占企業。

売上げ規模は小さいが、
利益率は高い優良企業。

2015年12月期の売上高9億6830万ポンド、
営業利益率は52%。
日本円にして売上げ1350億円、
営業利益700億円。

商売の相手は、世界の半導体メーカー。
米国クアルコム、韓国サムスン電子、
それに台湾メディアテックなど。

半導体の回路設計図を開発して提供する。
そしてスマホが1個売れるごとに、
数円から数十円のライセンス料を取る。

さらに1台のスマホには、
アーム仕様の半導体が複数搭載。

ライセンス料も上がる。

ソフトバン社長の孫正義さん。
「パラダイムシフトのたびに
入り口で投資をしてきた。
その瞬間には皆、
意味が分からなかった」

さらに、孫さんは、評する。
IoT(インターネット・オブ・シングス)を、
「これからやってくる
一番大きなパラダイムシフト」と。

今後、車や家電、日用品など、
幅広い工業製品がネットに接続される。
それを支えるのが通信用半導体で、
アーム社の設計図が世界標準になりつつある。

2020年段階のIoTの出荷台数は、
なんと100億台とも予測されている。

現在のスマホ出荷台数は世界で約15億台。
はるかに大きなマーケットだ。

孫さんは、買収額の約7割を、
手元資金から拠出する。

中国のアリババ集団などの株を売却して、
2兆円ほどのキャッシュを手にしているが、
それが元手。

あとは借入れるが、みずほ銀行とは、
最大1兆円のつなぎ融資契約を結んだ。

国民投票でEU離脱が決まったイギリス。
ポンドが下落し、英国企業の買収は活発。

孫正義。
佐賀県鳥栖市生まれの58歳。

記者会見では、
同社取締役会の賛否を明かした。
「柳井正さんは、
投資する時とか意思決定する時に
ほとんど反対するんですね。
だけど、ボーダフォン・ジャパンの時は
『絶対いくべきだ』と賛成してくれましたし、
今回のARMの件も『絶対いくべきだ』」

「アリババのジャック・マーも
非常に強く賛成してますし、
少なくとも今現在は全会一致で
取締役会の賛同を得てます」

この発言が一番大事だ。
「パラダイムシフトのたびに
入り口で投資をしてきた」

さて私は、東京・日暮里。
㈱ダイナム本社。DSCN7350-6
パチンコホールのチェーンストア経営を標榜。
現在、沖縄を除く46都道府県に、
397店の店舗展開。
ちょっとばらけた店舗網は、
問題でないわけではないが、
400店のネットワークは意味をもつ。

㈱ダイナムジャパンホールディングスは、
この業界ではじめて2012年8月に、
香港証券取引所に株式上場。

そのダイナムで講演。DSCN7353-6
同時映像で全国の営業拠点でも、
講演を聞いてくれた。

8年前の2008年にダイナムは、
企業理念と行動憲章をつくった。
商業界の社長を辞したばかりの私は、
それをお手伝いした。

講演はその企業理念から始めて、
「顧客第一主義とチェーンストア経営」

月刊商人舎2015年12月号を紹介。
特集「流通革命の軛を断つ」DSCN7362-6

日本のチェーンストア理論は、
林周二著『流通革命』を源流としている。
だからそこから解き明かして、
現在の「流通3.0」を語らねばならない。DSCN7365-6

結論は月刊商人舎6月号となった。
つまり「顧客満足と顧客創造」DSCN7369-6
締めくくりは[Message of December]

自ら軛を断て。

あなたは縛られていないか。
会社に、上司に、組織に。
あるいは観念に、慣習に、古い理論に。

牛が曳かれてゆく。
首の上に木製の棒がつけられている。
軛(くびき)である。

牛は何も言わない。
ただひたすら下を向いて、
のろのろと歩いてゆく。

強制されているからか。
それが自分の役目だとでも
観念しているからか。

それとも何も考えていないからか。

商人はもともと自由である。
一人の顧客と対面するとき、
一人の商人は奔放である。

ところがその自由な商人のなかに、
いつのころからか軛に繋がれる者が出てきた。
社畜と堕す者が生まれた。

ひたすら命令に従う者、
顧客や市場よりも体制に迎合する者、
権力や理論に従属する者。

強制されているからか。
それが自分の役目だとでも
観念しているからか。

それとも何も考えていないからか。

2015年が終わろうとする今、
そんな軛を、自ら断ちたい。
正々堂々、顧客や市場と向き合いたい。

組織人でありつつ、
独立自営商人の気概をもちたい。
自分で考えぬく脱グライダー商人でありたい。

あなたは今も縛られていないか。
会社に、上司に、組織に。
あるいは観念に、慣習に、古い理論に。
〈結城義晴〉

ご清聴、感謝したい。

最後は社長の森治彦さんが、
総括スピーチ。
DSCN7370-6

来年は創立50周年を迎える。
森さんは、「変革と挑戦」をテーマに掲げて、
力強く決意表明した。DSCN7372-6

その後、本社10階の会議室で、
プロジェクトチームのミーティング。DSCN7376-6

そして暑気払い。
DSCN7380-6

久しぶりにいい気分で飲みすぎた。
そして最後のスピーチ。DSCN7383-6

会社組織は、
パラダイムシフトのたびに、
その入り口で変革を志さねばならない。

問題は、パラダイムシフトが、
「今なのか」を知ることだ。

そして孫正義のように、
反対されても変革を貫くことだ。

そのためには、
「自ら軛を断て。」

〈結城義晴〉


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