結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年06月30日(木曜日)

アルビン・トフラー「21世紀の文盲」とJSA総会の懇親

2016年6月最後の日。
もう、半年が過ぎてしまった。

しかし18年ぶりのことらしいが、
まだ台風が一度も発生していない。

統計が残る1951年以降、
こんな現象は過去2回しかなかった。

1973年は7月2日、
1998年は7月9日に、
台風1号が発生している。

この背景にはエルニーニョ現象がある。

「エルニーニョ」は、
熱帯太平洋東部の海面水温が、
平年より高くなる現象。

エルニーニョによって、
熱帯太平洋東部の海面水温が上昇すると、
インド洋の海面水温も上がる。

そうするとインド洋で、
海水が盛んに蒸発し、上昇気流が生じる。

これに伴って、
熱帯太平洋西部からフィリピン沖にかけて、
下降気流が生まれる。
そして高気圧を強める。

日本に上陸する台風は、
熱帯太平洋西部の海上で発生する。

その熱帯太平洋西部で、
積乱雲を生む上昇気流が抑えられ、
台風が発生しにくくなった。

ただし、発生が遅くても、
年間を通じた台風の数は、
多くなる場合もある。

さらにエルニーニョが終息すると、
真夏には「ラニーニャ現象」が発生しやすい。

これは熱帯太平洋東部の海面水温が、
逆に平年より低くなる現象。

この現象によって太平洋高気圧は強まる。
そして日本では気温が高くなる。

つまり今夏は猛暑。
それが気象庁の予測。

覚悟して7月を迎えよう。

さて、アルビン・トフラー逝去。
アメリカの未来学者。87歳。

AP通信・日経新聞の孫引きだが、
1928年、米国ニューヨーク市で、
ユダヤ系ポーランド移民の家庭に生まれた。
ニューヨーク大学を卒業後、
労働組合運動に没頭。

オハイオ州では工場労働者として働いた。
組合の機関紙記者を経て、
『Fortune』誌に寄稿。

その後、ガルブレイス同様、
そのFortuneの編集に携わる。

雑誌編集者が偉大な思想家になるのは、
私、とてもうれしい。

それからIBMの研究員。

1970年「Future Shock(未来の衝撃)」刊行、
そして1980年「The Third Wave(第三の波)」

第一の波は、「農業革命」
農耕技術を手にした人類が、
文明を形成していった。

第二の波は「産業革命」
つまり大量生産が、
工業化社会をつくっていった。

そして第三の波は「情報革命」
コンピューターの勃興とともに、
脱工業化社会が到来する。

パソコンもない時代に、トフラーは、
インターネット社会の到来を見抜いた。

私もコモディティ化現象を説明するときに、
必ず、トフラー先生の「第三の波」の考え方を、
使わせてもらう。

さらに「未来の社会では
労働力でも資源でもなく、
知識が経済の源になる」
これはピーター・ドラッカー先生の、
知識社会論と全く同じ。

そして教訓的な言葉を残す。
「21世紀の文盲とは、
読み書きできない人を意味しない。
学べず、学んだことも忘れられず、
学び直すこともできない人だろう」

念のために、
ここで指摘しておこう。

最初の「学ぶ」という行為も、
次の「学び直す」という姿勢も、
詐欺師まがいの物真似言質に、
踊らされることでは、
断じてない。

さて今日は、一日、
月刊商人舎の仕事。
追いまくられている。

しかし私は、
追い込まれると強い。

1977年4月、社会人になって初めて、
㈱商業界『販売革新』誌の編集後記に、
自己紹介の文章を書いた。

そこで表明した自分の信条は、
「追いつめられること」

そこんとこ、よろしく。

そんなに忙しいのに、
夕方、東京の帝国ホテルへ。

日本スーパーマーケット協会総会。
その後の記念パーティ。
昨年、一般社団法人となった協会。DSCN8806-6
会長の川野幸夫さんが、
冒頭のあいさつ。
㈱ヤオコー会長。
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「消費税の本体価格表示」問題を、
力強く、表明。
素晴らしかった。

世界中を見渡しても、
本体価格でない先進国はない。

この発言と総会後の記者会見の模様は、
Weekly商人舎に掲載予定。

よく読んでください。
そして知識商人として活動してください。

まず、清水信次さんにご挨拶。DSCN8810-6
㈱ライフコーポレーション会長、
日本チェーンストア協会会長、
日本小売業協会会長。
この協会では名誉会長。
御年90歳で、トフラーよりも3つ上の、
化け物級。

お元気で、よく食べます。

その清水さんを支える井上淳さん。
日本チェーンストア協会専務理事。DSCN8817-6

それからこの協会加盟トップとして、
㈱万代新社長の阿部秀行さんがデビュー。
㈱カスミ会長の小濵裕正さんと写真。
DSCN8808-6
小濵さんのコメント。
「あんまり、暴れてくれるなよ」

それから㈱エコス会長の平富郎さんと。DSCN8820-6
平さんは何度も言った。
「30年間、万代から学ばせてもらっている」

ライバルでもある岩崎高治さんと。
ご存知、㈱ライフコーポレーション社長。DSCN8824-6
このツーショットは、
特に関西では話題となる。

そして㈱プラネット会長の玉生弘昌さんと。DSCN8816-6

もう一人、新社長としてデビューしたのが、
サミット㈱社長の竹野浩樹さん。DSCN8825-6
頑張ってください。

それから最後に、
日経新聞記者の白鳥和生さんと、
三人で語り合ったのが、
川野澄人さん。
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もちろんヤオコー社長。DSCN8830-6
今取り組んでいる「朝一作業」は、
月刊商人舎から学んだとか。

うれしいなあ。

「学び、
学んだことを忘れ、

学び直すことができる人」

そして最後の最後は、
やっぱり川野幸夫さんと写真。DSCN8832-6
後ろに見えるのは、
協会事務局長の江口法生さん。

川野さんから求められて、改めて、
互いの電話番号を確認し合ったが、
何か連絡が来るかしら。

しかしこの協会は、
実に素晴らしい。

「学び、
学んだことを忘れ、

学び直すことができる組織」
だからです。

アルビン・トフラーの魂に、
合掌。

〈結城義晴〉

2016年06月29日(水曜日)

「不確実性の時代」と万代ドライデイリー会講演の「確実性」

フランスのフランソワ・オランド大統領。
「不確実性ほど悪いことはない」

中国の李克強首相。
「世界の不確実性が増した」

イギリスのEU離脱で起こる現象。
「『不確実性』という言葉が飛び交っている」
毎日新聞巻頭コラム『余禄』が指摘する。

「市場でよくいう『リスク』は
確率を計算できるが、
不確実性はリスクの計算もできない。
先行きが読めぬ不安は
しばしば人を不合理な行動にかりたてる」

「不確実性の時代」
ジョン・ケネス・ガルブレイスが書いて、
日本では1978年のベストセラーになった。

カナダ出身の経済学者。
1943年から1948年、
『Fortune』誌の編集者、
1949年、ハーバード大学経済学教授就任。

私は大学のころ、
『経済学と公共目的』を原書で読まされた。
申し訳ないとも思うけれど、
当時、無頼派の生活を送っていた私は、
まともには読んでいない。

『ゆたかな社会』
『新しい産業国家』
そして『経済学と公共目的』が三部作。

そのあとで、
『不確実性の時代』が、
爆発的なブームになった。

アダム・スミスから始まって、
経済思想はどう変遷してきたか。

経済学者でありながら、
ジャーナリスティックな視点をもつ。
名文家としても名高い。

ガルブレイスが指摘したのが、
「拡大する不確実性」

それが今、再び、
流行語のようになってきた。

ああ。

今日は朝から、東海道新幹線。
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梅雨空に天候は「不確実性」いっぱいだが、
日本の水田の美しさには「確実性」がある。

新大阪に着いて、すぐに、
アゴーラリージェンシー堺へ。

万代ドライデイリー会総会。
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今月の14日から17日まで、
中国は上海を訪問して、
勉強会を開催。

10班に分かれて、チームごとに発表。DSCN5404-6

それぞれに学習した内容を、
ディスカッションしてまとめた。DSCN5425-6

発表が終わると、
結城義晴の総括講演。DSCN5482-6

私は中国流通小売業の、
スピードとエネルギーと、
イノベーションを、
高く評価した。

オムニチャネル経済圏を形成し、
Eコマースが先導しつつ、
新しいフォーマットやビジネスを生み出す。
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「後進の先進性」などと高を括っていると、
追い越されてしまう。

真剣に聞いてくれた。
ご清聴を感謝しよう。DSCN5457-6

最後は、
イノベーションの「創造的破壊」
伸び率が鈍ったといえど、
中国の消費パワーは衰えない。
世界の経済と消費を量で牽引する。
それが質に変わるときも迫っている。

 遅れていた者ほど、
思いのほか障害を低くして、
最新の技術を導入することができる。
それはむしろ既存の進んだ者よりも、
先進的ですらある。

「後進の先進性」などと
高みから評価していると、

実はその通りになってしまう。

リアル店舗は成熟化のプロセスにある。
それを待たずに
インターネット先進国となった中国。

日本がガラパゴス型流通世界を
つくりだしたように、

中国小売業はグローバル経済の中で
特異な市場を生み出した。

 すなわち小売業を超越した
「オムニチャネル経済圏」の形成である。

その「不思議な経済圏」のもと、
「新たなビジネスモデル」や
「新フォーマット」が創造される。
そしてリアル店舗にも
イノベーションが起こってくる。

一方、日本の商品とサービスに
中国人消費者と中国企業は、
高い評価と高い関心を寄せ続ける。
「爆買い」現象はその内容を変えつつ、
継続される。

ヨーゼフ・シュンペーターは指摘する。
「イノベーターだけが真の利益を生み出す。
ただしそのイノベーターの利益は
常に短命である。

イノベーションとは『創造的破壊』である。
それは、昨日の設備と投資を陳腐化させる。
馬車を何台つなげても汽車にはならない。
馬力を機関車のエンジンに代える
『新結合』が必要である」

中国小売流通業に
シュンペーターのイノベーションが
起こっている。

それを支えるのは
旺盛な消費意欲であり、

市場原理である。
〈結城義晴〉

そしてドラッカーのイノベーション。DSCN5495-6

私のあとは、
万代取締役の黒田久徳さん。
コーネル大学ジャパン実行の三期生。DSCN5496-6
実に上手なアメリカ解説。
感心した。

その後、ドライデイリー会懇親会。
開会のあいさつと乾杯は、
副会長の寺町豊さん。
日本アクセス執行役員近畿エリア統括。
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そして懇親。

万代の阿部秀行新社長には、
人が集まった。
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そして中締めは、
副会長の木村敏弘さん、
加藤産業常務取締役。
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そして阿部秀行社長。
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月刊商人舎6月号から引用して、
「歩数計にとってかわったスマホ」の話。
それが「顧客満足」と「顧客創造」の違い。

「万代は顧客創造をしていきたい」
いい話だったし、
今の万代には「確実性」が満ちている。

その後、恒例の大阪締め。
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私も今回は、壇上に上がった。

最後に加藤徹会長と三人で握手。
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ホテルロビーでは、
万代知識商人大学一期生たちに、
囲まれて写真。
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そこに加藤さんも加わって、
またまたポーズ。
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彼らの未来の社会には、
不確実性があるかもしれないが、
彼ら仕事する人間たちには、
不確実性は見当たらない。

それがこの世界の救いの一つだ。

〈結城義晴〉

2016年06月28日(火曜日)

「グレート・ブリテンの落日」と「シュレーディンガーの猫」

週が明けて、地球の裏側でも、
事態が冷静にとらえられてきた。

イギリスの『The Economist』
「グレート・ブリテン」の落日
日経新聞朝刊が翻訳掲載。DSCN2271-6

「何という早さで
『考えられないこと』が
『取り返しのつかないこと』に
なってしまったことか――」

出だしから、嘆き節。

「30年ぶりの安値をつけた英ポンドの急落は、
これから起きることの片りんをうかがわせた。
実体経済の先行きに不透明感が強まり、
英国は景気後退に陥るかもしれない」

やはり当事者は悲観的だ。

「今後、二度と
これまでのような活力は生まれない。
雇用も税収も減り、
いずれ追加の緊縮策が必要になるだろう。
それは脆弱な世界経済をも揺るがす」

そしてこれからの考え方。

「年齢や階級、地域によって国が割れた
今回の国民投票の余波を鎮めるには、
短期的には政治家の
高度な手綱さばきが求められる。
長期的には伝統的な二大政党による
国政支配の見直しと、
場合によっては
地方の境界線の引き直しが
必要になるかもしれない」

「不確実な時代が長く続くだろう」
これは本当に正しい。

ジャーナリストは提案する。
「ノルウェー式の協定を選ぶのがいい」

「世界最大の欧州単一市場へ参加しつつ、
人の移動の自由も認める」

「それが富を最大化するからだ」

イギリスにはまだ、
4つの選択肢がある。
第1のノルウェー型は、
欧州自由貿易連合(EFTA)に加盟し、
欧州経済地域(EEA)に参加する方法。

人や物や金などが自由に移動できる。
ただし、EUへの負担金が必要となる。

第2がスイス型。
EFTAに加盟し、貿易を含めた個別の条件を
交渉で決めていく方法。

ただし交渉が複雑化し、長期化する。

第3は自由貿易協定(FTA)型。
物やサービスの移動は自由だが、
人の移動は自由ではない。

この選択肢は有力だが、
ビジネス上では足枷を持つことになる。

そして第4が世界貿易機関(WTO)型。
WTOの関税協定を基に、
すべてのWTO加盟国に同じ関税率とする。

エコノミストは、
この第1のノルウェー型を奨める。

「欧州からの移民は
医療費や教育費を十分自己負担し、
財政面で差し引きプラスの貢献をしている。
彼らがいなければ、
学校や病院、農業や建設業などでは
人手不足に陥るだろう」

第2、第3、第4の方法は退けられる。

しかしエコノミストは悲観的。
「連合王国の『グレート・ブリテン』が分裂し
『リトル・イングランド』になって喜ぶ者はいないし、
それが『リトル・ヨーロッパ』につながれば、
さらに悲惨だ」

英国のジャーナリストは、
今、ナーバスだ。

一方、日経新聞経済コラム。
『大機小機』

まず、物理学。
「シュレーディンガーの猫」
シュレーディンガーの思考実験は、
「1匹の猫を箱に閉じ込め、
ある原子が崩壊して放射線を発したときに
機械が作動して猫を殺す装置をつくる。
猫の生死という重大事は
微小な原子の崩壊という
極めてミクロな偶然で決まる」

これを今回の英国民投票に当てはめる。
「量子力学的と呼べるほどの
小さな偶然さえあれば
世界は別の歴史を歩んだかもしれない」

コラムニストはやや楽天的だ。
嘆き節ではない。

「24日の日経平均株価の下げ幅は
リーマン・ショック時を超え、
2000年以来の大きさを記録した」

「しかし世界経済が
リーマン・ショックと同じような危機に陥るかは、
金融システムの反応にかかっている」

彼は金融システムを信じている。

「現時点では、世界の金融システムに
不良資産は潜んでいないように見える。
それが正しければ、
英のEU離脱決定直後に起きた
市場の混乱はいずれ落ち着き、
世界的な危機は起きない」

楽観的だ。

「しかし欧州の銀行については
『不良債権処理が進んでいない』
という見方が前々からある」

「中国経済に蓄積する不良債権も不気味だ」

「これらが顕在化して
カウンターパーティーリスクを引き起こせば、
世界は金融危機の再来に
直面するかもしれない」

カウンターパーティーは相手方金融機関のこと。
金融機関同士の取引先リスク。
その疑念や不信感が募り、
システミックな危機が訪れる。

「どちらになるかは、
この1週間ほどで明らかになるだろう」

日本のコラムニストは、
なんだかクールだ。

これも日経オンラインの経営者ブログ。
鈴木幸一㈱インターネットイニシアティブ会長。
日本のインターネットの草分け。
私の大好きなブログ。

「大きな変動というのは、
ちょっとした拍子で
起こってしまうものかも知れない」

「シュレーティンガーの猫」と同意。

「人々の意向を尊重する民主主義においては、
人々の気まぐれが、風向きを変え、
思いもしなかった方向に舵を切ってしまい、
後戻りができない事態にまで進むことがある」

「理解をする前に判断をしたい」
世界中にそんな人々が増えた。

「こんな人々の共感を得るには、
不満のはけ口となるような
端的な言葉が必要であり、
扇動者が跋扈(ばっこ)する余地をつくる」

ポピュリズムのやり口。
①人々の不満の対象を
的確にすくい上げる。

「物事を理解するという行為は、
まず、懐疑に始まるのだが、
懐疑が人々に訴える力は当然のことながら、
端的な言葉で語る扇動者の力には及ばない」

②理解をしたくないという人々を
過剰に反応させる。
「欧米を襲うデマゴーグの台頭を見ていると、
事態はますます深刻の度を増している」

鈴木さんはFT.comの記事の言葉を思い出す。
「もし英国人が欧州から去るほど愚かなら、
米国人はトランプ氏を選出するほど
頭がおかしいのかも知れない」

「英国人の愚かさ」が現実となった。
「米国人は頭がおかしい」も、
現実のものになるかもしれない。

鈴木さんは、改めて、考え込んだりするが、
「といって、なにができるわけでもない」と、
これもクールだ。

日本のインテリ経営者はクールだ。

悲観的か。
楽観的か。
クールか。

なぜか今回、日本人は、
大陸の端の島国の人々の問題に対して、
クールだ。

〈結城義晴〉

2016年06月27日(月曜日)

がんばらないで。 頑張リ過ぎないで。 頑張ろう。

Everybody! Good Monday!
[2016vol26]

2016年第27週。
6月第5週で、金曜日から7月。

忙しい。
疲れた。

それも「超」がつく。

63歳にして、
Super Busy。
Super Tired。

昨日の日曜日も、夕方、
12ページの原稿を入稿した。

それでも昨夜は12時間くらい寝た。

今週は、月刊商人舎7月号の締め切り。
Super Busy。
Super Tired。

だからブログも短めに。
お許しください。

週の初めの俳句で、
疲れを取ろう。

白黒の写真の金魚真つ赤なり  
〈朝日俳壇より 東京都・たなべきよみ〉

「真つ赤」な金魚が脳裏に甦る。
濃紫陽花風のことばに頷きぬ
〈同 東京都・我妻勝美〉
「濃紫陽花」は「こあじさい」、
もちろん濃いアジサイ。

枇杷ひとつほどくがごとく皮をむく  
〈同 東京都・渡辺礼司〉

皮がとぎれぬよう、果肉を傷つけぬよう、
解くようにビワを剥く。
親子してラムネ抜く音仲の良し
〈同 東京都・ 廣川風韻〉
ポン、つづけてまたポン。
いいねえ。
夏です。

 

今週の私のスケジュール。
今日は午後からずっと、
400店チェーンストアのコンサルティング。

明後日は大阪で、
万代ドライデイリー会総会。
上海報告講演をする。

木曜日は帝国ホテルで、
日本スーパーマーケット協会総会。
17時から孔雀の間で懇親会。

あとは、徹底的に原稿書きと、
編集・入稿仕事。

私の本業。

だから、頑張ります。
頑張れます。

さて、欧州外国為替市場。

1ポンド=1.3223ドル前後。
QUICK・ファクトセットの記録では、
1985年9月中旬以来、
31年ぶりの安値。

さらに1ユーロ=0.8335ポンド前後。
こちらは2014年3月下旬以来、
2年3カ月ぶりのポンド安・ユーロ高。

イギリスのEU離脱で、
英国通貨のポンドが評価を下げている。

しかし英国内では、
離脱派の公約のウソなどが暴かれ、
国民から強い批判が出る。
再度の国民投票を求める署名は、
350万人を突破。

Brexitの離脱用語に対し、
Regrexitなる造語が使われている。
Regret(後悔)とExit(離脱)を組み合わせた言葉。

ただし、後悔先に立たず。

それでも国際経済的には、
最小限の損失で留めようと、
各国の模索が続く。

朝日新聞日々のことば。
がんばらない
〈鎌田實〉

団塊の世代の医師、作家。
長野・諏訪で長く地域医療に取り組む。

編著者の鷲田清一さん。
「病院の廊下に飾られた
ある障害者のことばに心を震わせた」

「『がんばろう』の一言が、
病に懸命に向きあってきた人を
どれほど傷つけるかを知った」

「震災のときもそう。
歯を食いしばる人に
『がんばって』はむごい」

だから、黙って横にいる。
あるいは「がんばりすぎないでください」
そっと声をかけるだけで精一杯だった。

将棋棋士の谷川浩司。
日本将棋連盟会長、十七世名人。
「光速の寄せ」がキャッチフレーズ。

東日本大震災の時のコメント。
「阪神大震災で被災した私の経験から言えば、
これから長い長い闘いになる。
被災された皆様には、
『がんばってください』ではなく、
『がんばりすぎないでください』と申し上げたい」

どちらも、わかる。

しかし、私も、
自分に対しては、
「頑張ろう」と、
自身を叱咤激励する。

がんばらないで。
頑張リ過ぎないで。
頑張ろう。

どれもある。
ひとつではない。

それに、この順番で、
相手を見ながら、
声をかけてみたい。

自分自身にも。

いま、Super Busy。
Super Tired。

でも、自分に頑張ろう、と言える。
まだまだ、やれるということだ。

しかし、いまのイギリス人には、
何と言ったらいいのだろう。
言葉が見つからない。

商人舎ハワイビギナーズコースにでも、
誘ったらいいか。
あのドキドキワクワクを教えたい。

9月7日~11日、3泊5日。
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JTBのフリーパスで、
最終日は自由視察。
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もちろんウォルマート、コストコ、ターゲットも、
ホールフーズ、セーフウェイも、
オーガニック農場も。
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学びます。

締め切りは7月6日。
ご検討願います。

では、みなさん、
今週も、頑張ろう。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2016年06月26日(日曜日)

【日曜版・猫の目博物誌 その8】雲

猫の目で見る博物誌――。
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猫の目はわずかな光で、
白黒を見分ける。
しかし猫の目には、色がない。
猫の目で見る博物誌――。

 

山村 暮鳥。
大正時代の詩人・児童文学者。
1884年(明治17年)に生まれ、
1924年(大正13年)に没した。

暮鳥も『博物誌』のような詩を書いている。
最後の作品がこれ。

  雲

丘の上で
としよりと
こどもと
うつとりと雲を
ながめてゐる

  おなじく

おうい雲よ
いういうと
馬鹿にのんきさうぢやないか
どこまでゆくんだ
ずつと磐城平いはきたひらの方までゆくんか

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  ある時

雲もまた自分のやうだ
自分のやうに
すつかり途方にくれてゐるのだ
あまりにあまりにひろすぎる
はてのない蒼空なので
おう老子よ
こんなときだ
にこにことして
ひよつこりとでてきませんか

〈青空文庫より〉

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雲は、
大気中にかたまって浮かぶ
水滴または氷晶のこと。
英語で、cloud。

宮沢賢治も詩を書いている。

雲の信号  

あゝいゝな せいせいするな
風が吹くし
農具はぴかぴか光つてゐるし
山はぼんやり
岩頸(がんけい)だつて岩鐘(がんしよう)だつて
みんな時間のないころのゆめをみてゐるのだ
  そのとき雲の信号は
  もう青白い春の
  禁欲のそら高く掲げられてゐた
山はぼんやり
きつと四本杉には
今夜は雁もおりてくる

雲の博物誌は、詩になる。

鱗雲。
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入道雲。
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今日の雲。
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夕暮れの雲。
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雲を眺めて、
一日を過ごす。
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それも猫の目博物誌。
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雲は猫の目にも、
見えます。
夕暮れの赤は、
見えないけれど。
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〈『猫の目博物誌』(未刊)より by yuuki〉

2016年06月25日(土曜日)

万代不破栄副社長との討論とライフの新店「ビオラル」

朝の大阪の空。IMG_8542-6

歴史を逆戻りしたイギリスのEU離脱。

直後から、世界の株式市場は、
連鎖的同時安。
ニューヨーク株式市場は「赤い海」
株価ボードが下落を示す赤色に染まった。
日経平均株価は16年ぶりの下げ幅。

しかし逃避マネーが米独日の国債に流入、
国債利回りは過去最低水準まで下落。
結果として、国債価格は上昇。

外国為替市場では、
リスク回避の「受け皿通貨」として、
円高が進む。

ピーター・ドラッカー教授は喝破した。
「ブルジョア資本主義も、
マルクス共産主義も、
どちらも経済至上主義である」

今回の英国民の意思決定は確かに、
一つには経済至上主義への反発ではあった。

それが経済至上主義者たちから、
「ポピュリズム」と揶揄された節もある。

歴史の歯車がグルリと、
音を立てて回ったことは間違いない。

2泊3日の大阪、最後の日。
㈱万代の社長応接室で、
不破栄副社長のインタビュー。
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1時間半、互いに腹を割って、
真摯に語り合った。DSCN5216-6
インタビューというよりも、
万代の将来についての意見交換。

不破さんは三井住友銀行から、
10年前に万代に転籍してきたが、
実に優れた、得難い経営者だ。

昨日、今日とお世話になった人事部の二人。
兼定麻美さんと小倉貴行さん。DSCN5235-1
もう、お分かりだと思うが、
月刊商人舎7月号は、
万代の特集。

役員クラス全員にインタビューして、
その全貌を明らかにする。

ご期待いただきたい。

不破さんとの会談を終えると、
(株)ライフコーポレーションの新店へ。

今日オープンの新フォーマット。
バナーは「BIO-RAL」DSCN8773-6
その1号店「ビオラル靭(うつぼ)店」

実はリニューアルオープン。
大阪地下鉄阿波座駅徒歩3分の立地。
隣は中国領事館。

新フォーマットの実験は、
リニューアル店舗に限る。

新フォーマット実験は一言でいえば、
新しいSTPマーケティングの試みだ。
その際、旧店のデータが大いに参考になる。

靭店は1階がライフの食品売場、
2階は「ビオラルガーデン」と「セリア」
総売場面積は1496㎡。

上りのエスカレーターで2階に誘導されると、
まずセリア。
DSCN8775-6

そして、ビオラルガーデン。
憩所兼カフェ。
DSCN8776-6
ただし、下りのエスカレーターはない。
階段またはエレベーター。

ビオラルとガーデンの売場面積は964㎡。
ビオラルだけならば800㎡ほどか。

BIO-RALのキーコンセプトは、
アメリカのホールフーズを模した4つ。
1.オーガニック(有機)
2.ローカル(地元・地域)
3.ヘルシー(健康)
4.サスティナビリティ(持続可能性)

売場はほぼ正方形で、
この4つのコンセプトを実現させようと、
必死のチャレンジがみられる。

青果部門では写真奥に、
「農家さんの直売所」を展開。

「ライフナチュラル・オーガニック」は、
JAS有機認定の青果物など。
DSCN5253-6
ただし、ホールフーズやスプラウツは、
圧倒的な青果の市場性を出すが、
それはない。

精肉売場では「群馬県産えばらハーブ豚」
「鹿児島県産薩摩ハーブ鶏」。
無添加、無えんせき、減塩、
そしてアレルギー配慮型の商品がそろう。

意欲的な試みだ。

惣菜もスーパーフードや国産原料を使う。
そして店内で調理。DSCN5244-6

さらに「ビオラル専用商品」、
「みどりのごはん」は、
料理研究家・木村みどりさん監修。
店内精米の手作りおにぎりなど、
ビオラル独自の商品を訴求する。

精米加減が選べるお米の量り売りコーナー。DSCN5250-6

このほかにも、有機JAS認定の加工食品、
「Nature&Co」は、
オーガニック植物エキス配合のコスメ。
さらに話題の水素水などなど。DSCN5243-6

近隣のライフ阿波座店。DSCN8771-6

こちらは最近の最新レギュラータイプ。DSCN8769-6

ビオラルがオープンしたのだから、
もう少し量販型を志向してもいいだろうが、
実にオーソドックス。DSCN8767-6

2階の冷凍食品とグロサリー。DSCN8765-6

そして非食品とドラッグ。DSCN8764-6

ビオラルはまだまだ実験段階で、
当分、赤字が続くだろう。

しかし、意欲的なチャレンジであることは、
間違いない。

その実験の中身よりも、
挑戦の意欲や姿勢、
そして既存店改装という考え方は、
大いに評価できる。

アメリカでもヨーロッパでも、
そして日本でも、
小売業の新フォーマット実験は、
すんなりうまくいくことはない。

ウォルマートのサム・ウォルトンは、
1987年、ハイパーマートUSAを実験した。
1962年のディスカウントストア以来の、
渾身の新フォーマットだった。

しかし、サムは、1年足らずのうちに、
ハイパーマートUSAに欠陥を見出し、
その欠陥を修正して、
新たに「スーパーセンター」という、
フォーマットを生み出した。

それが現在の最強のフォーマットになった。

実験の中身よりも、
その姿勢こそ、
イノベーションの源なのである。

〈結城義晴〉

2016年06月24日(金曜日)

イギリスのBrexitと万代実務現場の「教科書シリーズ」

Brexit。
イギリスが欧州連合(EU)を離脱する。

全382地区の国民投票の最終結果は、
離脱支持が1741万(51.9%)、
残留支持は1614万(48.1%)。
120万票以上の差。

登録有権者数4649万人に対して、
投票率は72.2%だった。

デイヴィッド・キャメロン首相は辞任を表明。

あ~あ。

「英国は暗闇に飛び降りた」
フィナンシャルタイムズの社説。

「人々はついに怒りを言葉にした。
英国のEU離脱の選択は、
1989年のベルリンの壁崩壊以来の
大きな衝撃を欧州大陸に与えた。
余波は英国や欧州だけでなく、
西側諸国にも広がるだろう」

1973年、欧州共同体(EC)に加盟。
それから43年で、イギリスは離脱を選んだ。

28カ国で構成される共同体と、
5億人を抱える単一市場から離れる。

「後戻りはほぼできない」

「フランスからイタリア、ポーランドまで
各地でポピュリズム(大衆迎合主義)が台頭し、
これまで国を主導してきた勢力は
押されている。英国の国民投票は
『ポピュリズムの怒りが爆発した瞬間』として
歴史に残るだろう」

「英国は国民投票の結果で
社会通念がひっくり返された。
保守主義と政治的安定で知られてきた国が、
暗闇に向かって飛び降りたのだ」

「移民への不安や地域社会への影響は
多くの人が考えているよりもっともなことで、
経済的な国益にまさった」

さらに加える。
「ほぼ100年にわたり
英国政治を支配してきた
保守党、労働党の二大政党は
政策の浅さを露呈した」

アメリカの共和党ドナルド・トランプと、
民主党ヒラリー・クリントンも、
「左」と「右」とが従来のそれぞれの党の政策と、
入れ違ってしまっている。

経済政策を見れば、
トランプはオバマよりも「左」だし、
ヒラリーはオバマよりも「右」になる。

米英の政治的秩序が変容し、
ポピュリズムが表に出てきた。

経済の世界は中国の台頭で、
20世紀に引き戻されたが、
政治の世界もポピュリズムによって、
再び20世紀前半に戻るのか。

どこか不気味な空気に、
世界が覆いつくされようとしている。

トランプのアメリカ大統領の芽が、
出てきたかもしれない。

私は昨日の夕方、
新横浜から新幹線のぞみに乗車。

丹沢連峰に靄がかかっている。DSCN8599-6

三島を過ぎて、このあたりに富士がある。DSCN8601-6

そして墨絵のような夕暮れが迫る。DSCN8608-6

今朝、目覚めると、
読売新聞に鈴木敏文さん。DSCN8617-6
㈱セブン&アイ・ホールディングス名誉顧問。

ずいぶん穏やかな顔になった。
「ゆっくり休んでください」
そう言いたい気分だ。

私は朝から、㈱万代本部。
阿部秀行社長と本部下の渋川店で写真。DSCN5169-6

それから会議棟の一室で、
1日中、役員諸氏のインタビュー。

特に山下和孝副会長。DSCN8640-6
「陳列と販促の教科書」をテキストにして、
徹底して社員教育をしたそうだ。
1995年、㈱商業界食品商業編集部刊、
著者は鈴木國朗さん。

そのために山下さんは、
10回以上も、丹念に丹念に、
この別冊を読み込んだ。

ピンク色と黄色のマーカーが入り、
ペンで線が引かれ、
随所に書き込みがある。DSCN8636-6

この巻頭言は、
当時の編集長・結城義晴が書いた文章だが、
ここにもマーカーと書き込みがある。DSCN8637-6

この「陳列と販促の教科書」をはじめ、
「店長の教科書」
「青果の教科書」「鮮魚の教科書」
「精肉の教科書」「惣菜の教科書」
さらに「チーフの教科書」
「パートタイマーの教科書」
私が編集長として、
それぞれの著者とともに、
一言一句、手直ししつつ、
体系をつくった。

万代の現場が、
私のつくった教科書シリーズで、
出来上がっている。

私は本当にうれしかった。
心から、感動した。DSCN8646-6

朝9時から夕方5時半まで、
連続インタビューを終わらせて、
夜は、料亭久恵。
DSCN5182-6

山下さんと楽しい懇談。
米倉真一郎さん(左)と山口成樹さんも。DSCN5195-6
米倉さんは取締役開発・新規事業担当、
山口さんは取締役システム・物流担当。

実務の世界、実需の市場。
そしてマネジメントの領域。
ここには不気味な空気はない。

それが私たちの世界にとって、
大きな救いだ。

ピーター・ドラッカー教授は予見した。
資本主義社会と共産主義社会の次に、
知識社会がやってくる。

その見識に基づいた観察と先見性が、
当たってくれればいいのだが…。

生きていたら、先生は、
このBrexitに、
何とコメントしただろう。

〈結城義晴〉

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