結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年05月31日(火曜日)

将棋名人戦・羽生善治の「投了」と魯迅『故郷』の「希望という道」

2016年5月最後の日。

いい季節です。

さて、山形県天童市。
第74期将棋名人戦七番勝負第5局が、
天童ホテルで指されていた。
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18時44分、夕食休憩直後、
羽生善治名人が投了。
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挑戦者の佐藤天彦(あまひこ)八段が、
通算4勝1敗で名人位を奪取。
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佐藤は28歳。
羽生はもう45歳。

投了した後、感想戦が行われ、
この一局を互いに振り返る。
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このとき羽生は、
佐藤の指摘に対して、
「へーっ!」「へーっ!!」を連発。
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時代が変わったかもしれない。
そんな感慨を抱かせた。

パソコンで原稿を書きながら、
ネットで投了の瞬間まで、
見ていたのでした。

しかし私は、この福岡出身の棋士が、
羽生世代をひっくり返すかもしれないと、
期待している。

あだ名は、なぜか「貴族」。
NHK将棋講座テキストの連載エッセイも
タイトルは「貴族天彦がゆく」

それでも、将棋は、
礼に始まり、礼に終わる。
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将棋の世界に、新しい風が吹いた。
それが2016年5月の最後の日。

一方、日経新聞『私の履歴書』も、
中原誠の巻が、今日で終了。

ご存知、将棋十六世名人。
永世十段・永世棋聖・永世王位・名誉王座。

将棋の世界は、
その時代の第一人者が支配する。

第十五世名人大山康晴の時代、
十六世の中原誠の時代、
十七世の谷川浩司の時代。
それから羽生善治、森内俊之など、
いわゆる羽生世代。

その中原誠が、
5月の1カ月間、『私の履歴書』を連載して、
この第74回名人戦の対局を、
盛り上げる趣向だった。

しかしここまでうまくはまるとは、
誰も考えなかった。

名人戦は七番勝負。
第五局で決着がつけば、
中原の連載最終回と重なるが、
第六局、第七局ともつれると、
それはズレてしまう。

日経新聞はしてやったりだろう。

しかしその中原の連載。
意外に低調だった。

中原は1947年9月2日生まれ。
私よりもぴったり5歳上。

宮城県塩釜市出身で、
「自然流」といわれるスケールの大きな棋風。

誕生日が同じということで、
私は自分の高校時代から応援していた。

けれどこの『私の履歴書』には、
はっきり言ってがっかりした。

中原が自分で書いてはいないだろう。
日経の記者が代筆したはずだが、
その筆が中原のスケールを描けなかった。

もちろん1998年の個人的スキャンダルが、
歯切れの悪さを生み出したかもしれない。
2008年に中原を襲った脳出血・大腸がんが、
語りをあっさりさせてしまったのかもしれない。

中原は中川一政画伯のことを述懐する。
神奈川・真鶴の港を約20年、
毎日のように描いた画家。
「よほど天候が悪くない限り、毎日である。
仕事とはいえ、世の中には
すごい人がいると思ったものである」

中原は決意する。
「できることをする。それを積み重ねる。
そして新たな人生を生きる」

「病気に打ちかつことは難しい。
しかし、共存して生きていくことは
決してむずかしくない、と思っている」

中原誠の存在が、
羽生善治と佐藤天彦の名人戦の背景に、
クラシック音楽のように流れていた。

さて今日は午前中に来客2件。

まずは午前10時から、
商人舎主催セミナーの打ち合わせ。
第9回ミドルマネジメント研修会。
来週の7日・8日・9日。
火曜・水曜・木曜。

神奈川県湯河原市の、
ニューウェルシティ湯河原。

受講者のみなさん、
待ってます。

今日の来客の二番目は、
UAゼンセン流通部門のお二人。
そう、世界最大の労働組合の、
その最大の部門。

木暮弘さんと久保田龍輔さん。DSCN7280-6
木暮さんは流通部門事務局長、
マイカル(旧ニチイ)出身。
久保田さんは流通部門総合政策部長、
高島屋出身。

8月26日(金曜日)に、
東京ドームホテルで、
第4回UAゼンセン労使懇談会が、
開催される。

UAゼンセンは、
2012年11月6日に発足。
旧UIゼンセン同盟とサービス・流通連合が、
統合して誕生。
「原点を見つめ、未来を拓こう!」がスローガン。

この世界では「産別」と略すが、
産業別労働組合組織。

当時は組合員141万人の組織だったが、
現在は2449組合、157万2921名。

組織は主に三つに分かれる。
第1が製造産業部門、
第2が流通部門、
そして第3が総合サービス部門。

第1の製造業は1056組合、22万6295名、
第2の流通業は534組合、91万2311名、
第3のサービス業は817組合、43万4291名。

91万人が流通部門。
もうすぐ100万人。

そのUAゼンセン労使懇談会。
基調講演とパネルディスカッション。
第1回は私がコーディネーターを務めたが、
今回も私がその役目を担う。

その企画内容の相談と打ち合わせ。

タイムリーで、
なおかつ大きなトレンドをつかんでいて、
労働者と経営者が共有できるテーマを、
突っ込んでディスカッションします。

自信がある。

ご期待ください。

最後に朝日新聞一面『折々のことば』
希望とは
本来あるとも言えないし、

ないとも言えない。
これはちょうど
地上の道のようなもの
〈魯迅〉

中国の小説家、翻訳家、思想家。
その8000字ほどの短編『故郷』。

青空文庫で、井上紅梅訳が公開されている。
『故郷』

編著者の鷲田清一さんが要約。
「20年ぶりの故郷で、かつて
兄弟のように遊んだ友と再会する。
が、友はかたくなに
元使用人の息子の立場を崩さず、
それぞれの願いも遠く隔たっていた。
が、希望を絶やさずにいれば、
歴史が切り分けた二つの希望も
いつか交わるやも」

そして短編小説の最後の有名なフレーズ。
「地上に本来、道はないが、
歩く人が多くなると、道ができる」

中原誠も、羽生善治も佐藤天彦も、
自分で歩いて、切り拓いて、
道をつくってきた。

そうしてそれぞれに、
希望という新しい道がつくられた。

UAゼンセン流通部会も、
「歩く人が多くなると、
希望という道ができる」

〈結城義晴〉

2016年05月30日(月曜日)

流通科学大学での石井淳蔵先生対談とドラッカーの問い

Everybody! Good Monday!
[2016vol22]

2016年も第23週。
5月の終わりにして、
今週水曜日から6月。

新緑の万緑となりゆく疾さ  
〈朝日俳壇より 香取市・関沼男〉

「疾さ」は「はやさ」と読む。
新緑はあっという間に万緑に変わる。
季節の力、自然の力を感じさせられる。

足取りも軽くなりけり更衣  
〈同 西宮市・吉田邦男〉
暦の上では、今週から衣替え。
俳句では「更衣」と書いて「ころもがえ」
しかし東京・横浜は雨模様でちょっと寒い。
だから私は明るい色の合服。
しかし足取りは、やはり軽い。
ささやかに自由楽しむ更衣  
〈同 長崎県波佐見町・増田竹廣〉
現在はもう5月から10月まで、
クールビズという会社や団体もある。
衣替えして、クールビズ。
こちらもささやかな自由。

例によって商人舎magazineの、
Weekly商人舎日替わり連載。

月曜・朝一「2週間販促企画」は、

食育月間と環境月間の6月を強調。
まるでホールフーズのスローガンのようだ。
それが、今年の6月ということになる。

今週の私は、月刊商人舎6月号の締め切り。
原稿を3本書いて、入稿と責了をする。
その間も、アポイントが目白押し。
どうやって乗り切るんだろう。

今日は昼に、東京駅のサピアタワーへ。
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8・9・10階フロアには、
大学のサテライトオフィスが並ぶ。
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9階に流通科学大学・東京オフィス。DSCN3901-6

ここで石井淳蔵先生と対談。DSCN3937-6

3月まで流通科学大学学長、
現在は、その流通科学研究所長特別教授。
そして㈱碩学舎代表取締役社長、
学術本・教材などの出版社を経営する。
つまり私の同業。DSCN3952-6
石井先生は今日の話の中で、
ピーター・ドラッカーを引用した。
「あなたはどのような存在として、
人々に記憶されたいか?」

ドラッカーの有名な問い。

石井先生の場合、
学長・教授としてか、
研究者・著述家としてか、
出版社経営者としてか。
それとも長野県東御市の菜園家としてか。

などという話が出て、とてもよかった。
目が開かれるところもあった。DSCN3962-6

ありがとうございました。DSCN3964-6
雑誌を楽しみにしてください。

横浜商人舎オフィスに戻ると、
AJSネットワーク6月号が届いていた。DSCN7277-6
スーパーマーケット応援団長の辛口時評。
私が書く連載はもう102回目。

こちらも手に入る皆さんは、
ご愛読、よろしく。

明日の火曜日は、来客が2件。
明後日の水曜日は、
全国セルコグループトップ会。
木曜日は、
日本ボランタリー・チェーン協会。
その設立50周年記念大会。

そして金曜日は夕方から、
学習院マネジメントスクール講義。
私は現在、このスクールの顧問で、
DSCM基礎コースの第1回講座。
私は「流通概論」ほかを担当する。

こんな日々のなかで、
商人舎6月号を仕上げるが、
絶対に手を抜かない。

私はこれまで、
原稿執筆と雑誌・書籍制作、
そして講演や講義には、
一度も手を抜いたことがない。

結果として失敗したことは、
まま、あるけれど。

今週も、そんな1週間。

なぜ、手を抜かないか。

それが私の仕事であり、
楽しみでもあるからだ。

昔々、二人の司会者がいた。
巨泉とマエタケ。

大橋巨泉は、
趣味を仕事にした。
前田武彦は、
仕事を趣味にした。

どちらかに決めろといわれると私は、
マエタケ派かもしれないが、
私にとって仕事は趣味ではない。

一生懸命やり続ければ、
仕事は楽しみになる。

私はどのような存在として、
人々に記憶されたいのか?

出版人か、著述家か、
講演者・講義者か、
知識商人教育者か、
商業現代化の啓蒙者か、その運動家か。
はたまたアマチュアゴルファーか。

いずれにしても、
どれにも手は抜かない。

ゴルファーのところは、
明らかにちょっと足りないけれど。

私にとって、
どれが一番楽しみとなるのか。
それによって、ドラッカー先生の問いへの、
解答を出すことができる。
それだけは間違いない。

そして、
一番の楽しみとなることは、
一番の苦しみを伴う。

これも確かなことだ。

では、みなさん、今週も、
苦しみましょう、楽しみましょう。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2016年05月29日(日曜日)

【日曜版・猫の目博物誌 その4】アメリカの消防車

猫の目で見る博物誌――。
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ローマの大プリニウスの『博物誌』は、西暦77年。
中国の張華の『博物誌』は西暦300年ごろ。

そしてフランスでは、
ジョルジュ・ルイ・ド・ビュフォンが、
36巻『博物誌』を1749~89年に執筆。
これはまるで百科事典。
法律を学び、医学、植物学、数学を学んで、
王立植物園の園長となった博物学者、
そして啓蒙思想家。

博物的視点で研究を続けると、
啓蒙思想の本物の伝道師となる。

猫の目はくるくる変わる。
全体視野は230度。
人間は200度だから、
霊長類よりも視野が広い。

そんな『猫の目博物誌』は、
猫の目でいろいろなものを観察する――。
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アメリカ合衆国テキサス州ダラス市。
クローガーの店頭に、
消防車が停まっていた。DSCN7471-6

DFD44。
Dallas Fire-Rescue Department。
その44号車。
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車体の正面。
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車体の右横には計器類。
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後ろ側。
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車体の左横側。
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写真を撮っていると、
消防士のおじさんが出てきた。
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アメリカの消防士は、
Firefighterと呼ばれて、
最も尊敬される職業だ。
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車体に書いてある文字は、
“caring, serving, and protecting”
「注意、奉仕、そして保護」

この消防車はホース隊といって、
主に消火活動をする。
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車内はこんな散らかりよう。
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後ろ側を開けて見せてくれた。
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青いホースがぶら下がっている。
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そして後ろ側。
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ここにもホース。
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アメリカ合衆国連邦政府には、
国土安全保障省連邦消防局が設けられている。
大都市には常備消防組織があって、
ダラス・ファイヤー・レスキューもそれ。

アメリカの出火件数は年間約180万件、
消防職員は約26万人、
それに約75万人のボランティア消防隊員。

アメリカでの緊急通報ダイヤルは、
全米どこでも911番。

しかしこのダイヤルは、
警察・消防・救急が、
ワンセットになっている。

このおじさんは、
名誉ある消防隊員。
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2001年9月11日。
ニューヨーク世界貿易センタービルで、
同時多発テロが起こった。
このとき、343人の消防士が殉職。

アメリカの誇り「Firefighter」と一緒に写真。
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誇りを分けてもらった。

“caring, serving, and protecting”

この三つの考え方が、
人間の尊厳と仕事の誇りに、
結びついている。
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知識商人と同じだ。

〈『猫の目博物誌』(未刊)より by yuuki〉

2016年05月28日(土曜日)

湯河原カンツリーで@cosme吉松徹郎さんの発想に触れる

考えてみると、
先週の日曜日に、
アトランタから帰ってきたから、
まだ1週間経っていない。
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㈱万代会長の加藤徹さんと、
ヒルトンホテルでお別れしたのが、
先週の土曜日。
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帰国翌日の月曜日には、
商人舎エディターの面接をして、
経験のある、いい人が、
我々の仕事に加わってくれることになった。

ありがたい。
よろしく。

火曜日は朝から、
横浜市立白幡小学校へ。
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この小学校は今年、
80周年を迎える。
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私がこの学校のPTA会長を務めていたのが、
60周年記念のときだから、
あれからもう20年も経過する。
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児童数は減ったが、
その精神は引き継がれている。
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私自身の地域貢献ボランティア活動の一つが、
この小学校の文化スポーツ事業運営に、
参画すること。

そしてこの火曜日は、
午後中、コンサルティング。

一言でいえば、
企業風土を変えるプロジェクトの指導。

そして水曜日は、東京・芝の機械振興会館で、
一般社団法人流通問題研究協会の記念講演。
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会長の玉生弘昌さんのご挨拶。
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副会長の齋藤充弘さん、
全日本食品㈱会長。
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そして協会前会長の三浦功先生、
㈱プラネット社長の田上正勝さん、
黒岩昭雄さんとご一緒した。
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一転、木曜日は、大阪。

土曜日にアトランタで別れた加藤さんに、
また会って、万代の社長就任披露パーティ。
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上海研修会の事前講義をして、
そのあと、パーティでの来賓スピーチ。
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金曜日はまた東京・御成門で、
カスタマーコミュニケーションズ㈱の、
ミーティング。

実質的なオーナーの玉生さんに、
再びお会いして、交流した。

そして今日は神奈川県・湯河原。
舛添要一東京都知事の別荘があることで、
一躍全国的に名を馳せた。

湯河原カンツリー倶楽部。IMG_8316-6

穏やかな相模湾に、
初島だけがかすかに見えた。IMG_8315-6

先の流通問題研究協会のゴルフコンぺ。
題して「桜日和運動会2016」

またまた玉生さん、三浦先生、齋藤さん、
そして田上さんとご一緒。

今週は同じ人たちに、
何度も何度もお会いした。
不思議な1週間だった。

私のパーティは、このメンバー。
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右から脊山知教さん、
暁運送㈱社長。
内田宗司さん、
㈱ニップンインターナショナル社長。
そして左の吉松徹郎さん、
㈱アイスタイル代表取締役社長兼CEO。

一番若い吉松さんは、
ベンチャー企業家として名高い。

1972年、茨城県潮来生まれ。
私より20歳若い。

1999年、アイスタイルを設立。
共同経営者の山田メユミさんとともに、
化粧品クチコミサイト@cosme開設。

創業の1999年には、
ニュービジネスプランコンテスト優秀賞受賞、
さらに2002年、
日経インターネットアワード受賞、
2003年、Web人創業賞受賞、
2004年、創業ベンチャーフォーラム奨励賞、
2013年、企業家賞「ベンチャー賞」など、
連続受賞。

2012年3月、
東京証券取引所市場マザーズに上場。
同年11月東証一部へ市場変更。

アイスタイルが企画運営する@cosmeは、
月刊ページビュー数2億8000万、
月間ユニークユーザー1100万人。
日本最大の美容サイトとして、
マーケティング支援に絶大なる実績。
さらに現在、リアル店舗の@cosme store
新宿・渋谷・池袋など全国7箇所で展開。

ネットからリアルまで一気通貫の、
「Market Design Company」を目指す。

上海・香港、インドネシア・シンガポールと、
海外現地法人を設立し、
アジア最大のビューティプラットフォームを、
構想して、進出。
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1日、一緒にラウンドして、
私は、その抜群の人柄の良さを感じた。

化粧品クチコミサイトを開設するにあたって、
吉松さんらはアマゾン・コムに発想を得た。

アマゾンは初め、
再販商品の書籍・雑誌を対象とした。
化粧品も再販商品である。
今日、話をしたら、吉松さんはここに、
Innovationのシーズを見つけた。

湯河原カンツリー倶楽部の、
トリッキーなコースに難儀したが、
吉松徹郎さんに会って、
私は1日、いい気分だった。

「権力者になりたくて……
政治学者になった」
ビートたけしが形容した舛添要一と、
なにかと因縁が深いこの場所だったが、
相模湾はほんとうに穏やかだった。

あわただしい1週間。
お疲れさま。

〈結城義晴〉

2016年05月27日(金曜日)

清水信次、外山滋比古、バラク・オバマの覚悟・英知・決断

目的から外れようとする力が実は
目的にもっともよくかなうものである
〈外山滋比古〉

朝日新聞一面の『折々のことば』

外山滋比古さんは、
私のブログにもよく出てくる。
『知的創造のヒント』『思考の整理学』の著者。

「しるこに砂糖とともに
少量の塩を加えて味を締めるように、
相反する原理を交錯させることで
効果を高めることが、
人の営みにはよく見られる」

「破調や不調和を
あえて導き入れることで、
より高い統合を得る」

昨日の夜、
㈱万代社長就任披露パーティが、
全部終わってから、壇上で、
全役員とともに写真を撮った。IMG_1816
このゲマインシャフトの組織にも、
「しるこの塩」は必須だ。

「目的から外れようとする力」を、
押しとどめてはいけない。

それが実は、
「目的にもっともよくかなうもの」であることが、
往々にしてあるからだ。

さて伊勢志摩サミットが終了して、
バラク・オバマ米国大統領が、
広島を訪れた。

その姿は美しかった。

日本全体が、
歴史的瞬間に立ち会った。
日本人も、それにふさわしい態度だった。

バラク・フセイン・オバマのスピーチ。
朝日新聞digitalから、ちょっと手直しをして、
全文を紹介しよう。
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71年前の朝。
明るく、雲一つない、晴れ渡った空から、
死が降りてきて、
世界が変わってしまいました。

閃光と炎の壁が都市を破壊し、
人類が自らを破滅させる手段を
手にしたことを示したのです。

なぜ私たちはここ、広島を訪れるのか。
私たちはそう遠くない過去に解き放たれた
恐ろしい力に思いをはせるために
訪れるのです。

10万人を超す日本人の男女、
そして子どもたち、

何千人もの朝鮮人、
十数人の米国人捕虜を含む
死者を悼むために訪れるのです。

彼らの魂が私たちに語りかけます。
私たちに内省し、私たちが何者なのか、
これからどのような存在になりえるのかを
よく考えるように求めているのです。

広島を際立たせるのは
戦争の事実ではありません。

暴力を伴う紛争は太古の昔からあったことが
古代の遺物からわかります。
火打ち石から刃を作り、
木から槍をつくることを学んだ私たちの祖先は
これらの道具を狩猟だけでなく、
人間に対しても使ったのです。
食糧不足、富への渇望、
国家主義的な熱烈な思いや
宗教的熱情に突き動かされ、
世界のどの大陸でも
文明の歴史は戦争にあふれています。
いくつもの帝国の興亡があり、
人々は服従を強いられたり、
解放されたりしました。
それぞれの時期に罪なき人たちが犠牲になり、
その名は時がたつにつれて
忘れられていきました。

広島と長崎で
残酷な終結を迎えることになった世界大戦は、
最も豊かで、最も力の強い
国々の間で戦われました。

それらの国の文明は世界に
偉大な都市や素晴らしい芸術を
もたらしました。

思想家たちは正義や調和、
真実に関する考えを生み出してきました。

しかし戦争は、
最も単純な部族間の紛争の原因となった、
支配や征服をしたいという本能と
同じ本能から生まれてきたのです。
新たな能力によって
その古いパターンが増幅され、
ついには新たな制約が
なくなってしまったのです。

数年の間に、
6000万人もの人たちが亡くなりまし た。

男性、女性、子ども、
私たちと何ら変わりのない人たちが、
撃たれ、殴られ、行進させられ、
爆撃され、投獄され、
飢えやガス室で死んだのです。
この戦争を記録する場所が
世界に数多くあります。
勇気や英雄主義の物語を語る記念碑、
筆舌に尽くしがたい悪行を思い起こさせる
墓地や無人の収容所です。

しかし、この空に立ち上った
キノコ雲のイメージのなかで最も、
私たちは人間性の中にある
根本的な矛盾を突きつけられます。

私たちを人類たらしめているもの、
私たちの考えや想像力、
言語、道具をつくる能力、
自然を自らと区別して
自らの意思のために
変化させる能力といったものこそが、
とてつもない破壊能力を
私たち自身にもたらすのです。

物質的な進歩または社会的革新によって、
私たちは何度、
この真実が見えなくなるのでしょうか。

どれだけたやすく、私たちは、
何かより高い大義の名の下に、
暴力を正当化してきたでしょうか。
あらゆる偉大な宗教が、
愛、平和、公正への道を約束しています。
しかし、いかなる宗教も、
信仰が殺戮の許可証だと主張する信者から
免れていません。

国家は人々を
犠牲と協力で結びつける物語を伝え、

顕著な業績を可能にしながら台頭します。
しかし、それらの同じ物語は、
幾度となく異なる人々を抑圧し、
その人間性を奪うために使われてきました。

科学によって、私たちは、
海を越えて通信を行い、
雲の上を飛び、病を治し、
宇宙を理解することが
できるようになりました。

しかし、これらの同じ発見は、
これまで以上に、
効率的な
殺戮の道具に、
転用することができるのです。

現代の戦争は私たちに、
この真実を教えてくれます。
広島が、この真実を教えてくれます。

科学技術の進歩は、
人間社会に同等の進歩が伴わなければ、
人類を破滅させる可能性があります。
原子の分裂を可能にした科学の革命には、
道徳上の革命も求めら れます。
だからこそ、私たちは、
この場所を訪れるのです。

私たちはここに、この街の中心に立ち、
原子爆弾が投下された瞬間を
想像しようと努めます。
目にしたものに、
混乱した子どもたちの恐怖を
感じようとします。

私たちは、声なき叫びに耳を傾けます。
私たちは、あの恐ろしい戦争で、
それ以前に起きた戦争で、
それ以後に起きた戦争で
殺されたすべての罪なき人々を、
思い起こします。

単なる言葉だけでは、
こうした苦しみに
声を与えることはできません。

しかし私たちは、
歴史を直視する責任を
分かち合っています。
そして、こうした苦しみの再発を防ぐために
どうやり方を変えるべきなのかを
問わねばなりません。

いつか、証言する被爆者の声が
聞けなくなる日がくるでしょう。
しかし、1945年8月6日の朝の
記憶を薄れさせてはなりません。
その記憶は、私たちが、
自己満足と戦うことを可能にします。
それは私たちの道徳的な想像力を刺激し、
変化を可能にします。

あの運命の日以来、
私たちは希望をもたらす選択をしてきました。
米国と日本は同盟だけでなく、
私たちの市民に戦争を通じて得られるよりも、
はるかに多くのものを
もたらす友情を築きました。

欧州諸国は、戦場を
通商と民主主義の絆に
置き換える連合を築きました。

抑圧された人々と国々は
解放を勝ち取りました。

国際社会は戦争を回避し、
核兵器の存在を制限し、縮小し、
最終的には廃絶するために
機能する組織と条約をつくりました。

それでもなお、世界で目の当たりにする
国家間のあらゆる攻撃的行動、
あらゆるテロ、腐敗、残虐性、抑圧は、
私たちの仕事に
終わりがないことを物語っています。

私たちは、人間の悪をなす能力を
なくすことはできないかもしれません。
だからこそ、
国家や私たちがつくり上げた同盟は、

自衛の手段を持たなければなりません。
しかし、私の国のように核を保有する国々は、
恐怖の論理にとらわれず、
核兵器なき世界を追求する勇気を
持たなければなりません。

私の生きている間に、
この目標は実現できないかもしれません。
しかし、たゆまぬ努力によって、
悲劇が起きる可能性は減らすことができます。
私たちは核の根絶につながる道筋を
示すことができます。
私たちは、ほかの国への核拡散を止め、
狂信者たちから、死をもたらす物質を
遠ざけることができます。

しかし、それでもまだ十分ではありません。
なぜなら、粗製のライフルや樽爆弾でさえ、
どれだけ恐ろしい規模の暴力を起こせるのか、
私たちは世界で
目の当たりにしているからです。

私たちは戦争そのものへの考え方を
変えなければいけません。
それによって、外交を通じて紛争を防ぎ、
すでに始まった紛争を、
終わらせる努力をしなければなりません。
相互依存の高まりが、
暴力的な競争の原因になるのではなく、
平和的な協力を生むものだと考えるのです。
そして、私たちの国家を、
破壊能力によってではなく、
何を築き上げるかで定義づけるのです。

おそらく何にもまして、
私たちは一つの人類の仲間とし て、
互いの関係をつくり直さなければいけません。
なぜなら、そのことも、
人類を
比類なき種にしているものだからです。

私たちは遺伝情報によって、
過去の間違いを繰り返す運命を
定められているわけではありません。

私たちは学び、選ぶことができます。
人類が共通の存在であることを描き、
戦争をより遠いものにし、
残虐な行為は受け入れられがたいような、
異なる物語を私たちは
子どもたちに伝えることができます。

私たちはこうした物語を、
被爆者の中にみることができます。

原爆を投下した爆撃機のパイロットを
許した女性がいます。
なぜなら、彼女は、
本当に憎いのは
戦争そのものだと
分かっていたからです。

ここで殺された米国人たちの家族を
捜し出した男性がいました。
なぜなら、彼は、彼らの喪失は
自分たちの喪失と等しいと
信じていたからです。

私の国の物語は、
シンプルな言葉から始まりました。

「すべての人は等しくつくられ、
生命、自由、幸福追求を含む、
奪われることのない権利を
創造者から授けられた」。

そうした理想を実現するのは、
たとえ私たちの国内であっても、
国民同士であっても、決して
簡単なことではありませんでした。
しかし、その物語へ忠実であり続けることは、
努力に値することです。
大陸を越え、海を越えて
追い求められるべき理想なのです。

すべての人の減らすことのできない価値。
すべての命は尊いという主張。
私たちはたった一つの人類の一員なのだ
という根本的で欠かせない考え。
これらが、私たち全員が
伝えていかなければならない物語なので す。

それが、私たちが広島を訪れる理由です。
私たちが愛する人のことを考えるためです。
朝起きて最初に見る
私たちの子どもたちの笑顔や、

食卓越しの伴侶からの優しい触れあい、
親からの心安らぐ抱擁のことを考えるためです。

私たちはそうしたことを思い浮かべ、
71年前、同じ大切な時間が
ここにあったということを
知ることができるのです。

亡くなった人たちは、
私たちと変わらないのです。

普通の人たちは、
このことを分かっていると私は思います。
普通の人はもう戦争を望んでいません。

科学の驚異は人の生活を奪うのでなく、
向上させることを目的にしてもらいたい。
国家や指導者が選択をするにあたり、
このシンプルな良識を反映させる時、
広島の教訓は生かされるのです。

世界はここ広島で、
永遠に変わってしまいまし た。
しかし今日、この街の子どもたちは、
平和に暮らしています。
なんて尊いことでしょうか。
それは守りつづけ、すべての子どもたちに
与えられる価値のあるものです。

それは私たちが選ぶことのできる未来です。

広島と長崎が「核戦争の夜明け」ではなく、
私たちが道徳的に
目覚めることの始まりとして、

知られるような未来なので す。
〈バラク・オバマ〉

抜き取って紹介するつもりが、
読み進めつつ、
全文を引用してしまった。

すばらしい。

さて、商人舎magazineの、
週刊特別企画には、
清水信次さんが登場。
日本チェーンストア協会会長、
日本小売業協会会長、
そして㈱ライフコーポレーション会長。
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「消費税増税とパート社員年金適用拡大」
に反論する!!

伊勢志摩サミットを経て、
消費増税は延期がはっきりしてきた。
しかしもうひとつ、
「短時間労働者厚生年金適用拡大」の問題。

10月に施行される法律で、
厚生年金の適用が拡大されると、
主婦パートタイマーにとって、
健康保険をめて、
ひと月1万数千円の負担になる。

清水さんは、指摘する。
「格差拡大になる」

まだまだ日本の政治家や行政には、
士農工商の序列意識が残っている。

それが今回の法律に現れてきた。

清水信次90歳。
その覚悟。

外山滋比古92歳。
その英知。

バラク・オバマ54歳。
その決断。

そして私たち。
その決意。

私たちが選ぶことのできる未来がある。

〈結城義晴〉

2016年05月26日(木曜日)

伊勢志摩サミットと万代社長就任披露パーティの二人のアべさん

主要7カ国首脳会議、開幕。
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通称G7、「Group of Seven」の略。
イギリス、フランス、ドイツ、イタリア。
アメリカ、カナダ、そして日本。

ヨーロッパ連合の主要国と、
北米の2国、そしてアジアの日本。

丹羽宇一郎さんは、
中国とロシアとインドを加えて、
G10を提案しているが、
私も同感。

もちろん丹羽さんは、
元伊藤忠商事会長で元中国大使。

今回は日本開催で、
「伊勢志摩サミット」と呼ばれる。

日本が、世界中から注目されている。

アメリカのバラク・オバマ大統領が、
明日、広島を訪れる。
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安倍晋三首相もオバマ大統領と、
世界の将来を語り合う。

一方、セブン&アイ・ホールディングス。
定時株主総会を開催。

井阪隆一さんが新社長に就任。
セブン‐イレブン・ジャパン前社長。

前会長兼CEOの鈴木敏文さんは、
名誉顧問に落ち着いた。

24年ぶりの交代。

総会の最後には、
井阪さんと鈴木さんが握手。
「ノーサイドの演出」と報じられた。
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株主総会出席者は1385人。
昨年は1984人だった。

株主の期待感は、
ちょっと薄れたのかもしれない。

さて、今日は朝から、
新幹線で大阪へ。
あいにくの天気で富士は見えず。
残念。

新大阪から堺市へ。
ホテル・アゴーラリージェンシー堺で、
㈱万代の2つの行事が開催される。

1つは上海視察の事前勉強会。
万代ドライデイリー会主催で、
6月に実施される第14回海外勉強会。

もう1つは、新社長就任披露会。

ホテルに着くとすぐに、
幹部の皆さんが迎えてくれた。
加藤徹新会長、阿部秀行新社長、
そして下岡太市新副社長。
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万代ドライデイリー会は、
取引先のメーカー・卸で構成される。
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この会の海外視察は今回で14回目。
アメリカ、欧州、アジアへ、
毎年2回ずつ訪問し、ともに研修する。
私はそのコーディネーターを務める。
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今日は、その事前勉強会で、
1時間ほどの講義。
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今回は、阿部社長をはじめ万代幹部と、
取引先の50名ほどが参加する。
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中国の最新経済概況と、
上海小売業の動向をガイダンスしつつ、
学ぶべきポイントを講義。
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最後列には、会長の加藤さん。
加藤さんとは、この日曜日まで、
シカゴ、アトランタの研究旅行をご一緒した。

今年1月には、今回の視察の下見で、
上海にも同行した。
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その時に出会ったのが、
永輝超市創業者の張さん。
その話題などを織り込みながら、
事前講義を終了。
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講義を終えるころには、
すでにホテルには続々と、
人が押し掛けてきた。

今日のメインイベント、
新社長就任披露パーティへの参列者たちだ。
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5月1日付で、
阿部秀行新社長が誕生し、
経営ボードが刷新された。

そのお披露目会に、
取引先のトップが参集。
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会場入り口では
阿部社長と下岡副社長が、
一人一人を出迎えた。
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長い長い列が続き、
1時間ほどかけて、
参列者の皆さんが会場入り。
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一人一人と名刺を交換し、
挨拶を交わす。
取引先とともに歩む小売業ならではの趣向。
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一方、会場前列には、
新役員がずらりと勢ぞろい。
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披露パーティは、
加藤徹会長のあいさつから始まった。
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新経営陣に寄せる期待の大きさは、
加藤さんのきっぱりした、短いあいさつに、
凝縮されていた。
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続いて、阿部秀行新社長のあいさつ。
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万代に入社してから現在まで、
学んだこと、守らなければならないこと、
何を実現していくかを、
20分ほどスピーチ。
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実に阿部さんらしい、
新社長としての決意表明だった。

次いで、阿部社長を支える新経営陣の紹介。
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さらに来賓を代表して、
私が祝辞を述べた。
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ただし私に与えられた時間は30分。
祝辞にしては長くて恐縮したが、
万代という企業の特長と強みを、
改めて分析し、披露する、いい機会になった。
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私は5つのことを話した。
万代のミッション、万代のDNA、
万代の組織風土、そして最新の競争環境。
最後にドラッカーの事業の定義。

自分でもいい話だったと思ったので、
その詳細は月刊商人舎7月号に書く。

乾杯の発声は、
ドライデイリー会会長の今津龍三さん。
㈱今津社長。
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万代は今期、3000億円を達成し、
4000億円企業を目指す。
そのために新体制に移行する。
今津さんはこの決断に感銘を受けたという。
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そして乾杯!
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全員着席形式の披露パーティ。
600人ほどが参列。
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私の隣は阿部社長。
いいあいさつだったと握手。
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ヨークベニマル社長の真船幸夫さんも、
郡山から駆け付けた。
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真船さんと加藤さん。
今日のセブン&アイの株主総会について、
私も意見を言った。
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万代はセブン&アイとの業務提携を進める。
その中核には、
東北の王者ヨークベニマルと、
関西ダントツの万代との、
コラボレーションがある。

真船さんと加藤さんの固い握手が、
それを物語っている。
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万代ユニオン中央執行委員長の西條俊幸さん。
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㈱日本アクセスの佐々木淳一さん。
6月1日付で新社長に就任する。
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㈱なとり会長兼社長の名取三郎さん。
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いつも商人舎の研修会に、
腕利きの社員を派遣してくれる。

エバラ食品工業㈱社長の宮崎遵さん。
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宮崎さんとはフェイスブック仲間。

㈱伊藤園副社長の本庄周介さん。
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万代との取り組みで、
日本一の販売商品づくりを約束。

オフィス・フジイ代表の藤井俊雄さん。
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万代子会社㈱アドバンス社長の磯田雅人さん。
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磯田さんも元気にやってほしい。

中締めはMDD会副会長の重田暁夫さん。
㈱宇治森徳社長。
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最後は万代の経営陣が壇上に揃い、
恒例の「大阪締め」

阿部新社長の音頭で、
「うーちまひょ」パンパン!
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「もひとつせ!」 パンパン!!
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「祝うて三度」 パパン パン!!!
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おめでとう。

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今日の主役は、
安倍さんと阿部さんだった。

〈結城義晴〉

2016年05月25日(水曜日)

流通問題研究協会記念講演の「流通革命論の軛を絶つ」

「世の中には3種類の人がいる。
『話せば分かる人』
『話しても分からない人』
『話さなくても分かる人』だ」
毎日新聞巻頭コラム『余禄』

「政治家は『話しても分からない人』にも
分かってもらう努力を続けねばならない」
元首相の小泉純一郎さん。

商人も同じ。

話してもわからない人にも、
わかってもらう努力を続ける。

それが商売だ。

15年前にイタリアで、
主要国首脳会議が開催された。
いわゆるジェノバ・サミット。

その時に小泉さんが、
各国首脳に対話の努力を訴えた。

日本でも明日から、
伊勢志摩サミットが開催される。

そのときに、
アメリカのバラク・オバマ大統領が、
広島を訪れる。

朝日新聞は作家の塩野七生さんに、
イタリアに電話して話を聞いた。

「久方ぶりに日本外交にとっての
うれしいニュースだと思いました」

「特に、日本側が
『謝罪を求めない』といっているのが、
大変に良い」

なぜか。

「謝罪を求めず、無言で静かに迎える方が、
謝罪を声高に求めるよりも、
断じて品位の高さを
強く印象づけることになるのです」

「しかも、それは日本政府、マスコミ、
日本人全体、そして誰よりも、
広島の市民全員にかかっているんですよ」

ここからが塩野流。

「歴史を一望すれば、
善意のみで突っ走った人よりも、
悪賢く立ちまわった人物のほうが、
結局は人間世界にとって
良い結果をもたらしたという例は
枚挙にいとまがありません」

塩野さんは、悪賢く振舞えと説く。

「ただ静かに、無言のうちに迎えることです。
大統領には、頭を下げることさえも求めず。
そしてその後も、静かに
無言で送り出すことです」

「原爆を投下した国の大統領が、
70年後とはいえ、広島に来ると決めたのですよ。
当日はデモや集会などはいっさいやめて、
静かに大人のやり方で迎えてほしい」

大人のやり方。

「われわれ日本人は、
深い哀しみで胸はいっぱいでも、
それは抑えて客人に対するのを
知っているはずではないですか。
泣き叫ぶよりも無言で静かにふるまう方が、
その人の品格を示すことになるのです」

品格。

「伝わる人には伝わります」

塩野さんは、
「話さなくともわかる人」に訴えよ、という。

「『謝罪は求めない』は、
『訪れて自分の目で見ることは求めない』
ではありません」

むしろ、自分の目で見てもらう。

「米国大統領オバマの広島訪問は、
アメリカで心を痛めている人たちに、
まず、自分たちが抱いていた
心の痛みは正当だった、
と思わせる効果がある。
そうなれば、感受性の豊かな人びとの足も、
自然に広島や長崎に向かうようになるでしょう」

「広島の夏の行事の灯籠流しに
多くの外国人が参加するのも、
見慣れた光景になるかもしれないのです。
そうなれば、原爆死没者慰霊碑の
『過ちは繰返しませぬから』という碑文も、
日本人の間だけの『誓い』ではなくなり、
世界中の人びとの『誓い』に
昇華していくことも夢ではなくなる。
それが日本が獲得できる得点です」

「そしてこれこそが、
原爆の犠牲者たちを
真の意味で弔うことではないでしょうか」

広島や長崎は、
見てもらうだけ、その場に来てもらうだけで、
話さなくともわかる人を増やす。

さて、今日は、
東京タワー向かいの機械振興会館へ。
一般社団法人流通問題研究協会、
その定時総会の記念講演。

初めに協会会長の玉生弘昌さんのあいさつ。
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㈱プラネット代表取締役会長。

「流通は安売りをやめよう。
流通で働く人たちの給料を上げよう」
いま、玉生さんはそう言っている。
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私のこの日の講演テーマは、
「流通革命と超チェーンストア」
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月刊『商人舎』、昨2015年12月号で特集した。
その時のタイトルは、
「流通革命論」の軛(くびき)を断つ
―2015脱チェーンストア経営の弁証法
gekkan201512

1962年、林周二著『流通革命』が発刊された。
若き東京大学助教授だった。
それは、卸売業、小売業に、
多大な影響を与えた。
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小売業、とりわけチェーンストア産業に、
及ぼしたインパクトは、その後もずっと続いた。

倉本長治の商業近代化の目覚めから始めて、
もちろん林周二「流通革命論」をたっぷり、
それから渥美俊一のチェーンストア理論、
アンリ・ファヨールの管理過程論と、
P・ドラッカー、ヘンリー・ミンツバーグの反論。

マネジメントとマーケティングを論じつつ、
ポストモダンのチェーンストア戦略を提示した。
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セブン&アイの鈴木敏文さんが掲げた
「脱チェーンストア宣言」
ファーストリテイリングの柳井正さんが語る
「超チェーンストア」
そして流通科学大学の石井淳蔵教授が整理する
「流通3.0」
いずれもが新しいチェーンストア像を示している。

そうした主張を整理し、
ポストモダンの流通産業を論じた。
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多くの先輩の前での講演は、
いつになく緊張したし、
投影スライドのトラブルがあって、
大いに冷や汗をかいた。
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それでも、ありがたいことに、
多くの皆さんから評価をいただいた。
ご清聴に、心より感謝したい。

その後、場所を移して懇親会。
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副会長の齋藤充弘さんが乾杯のあいさつ。
全日本食品㈱会長。
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廣田正さんにも久々にお会いした。
三菱食品特別顧問を辞し、
現在は廣田オフィスの代表。
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斉藤さん、玉生さんと4人で、
楽しく語らった。
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細川玲理さんと写真。
細川さんはカスタマーコミュニケーションズ㈱で、
私のいわば同僚。
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締めのあいさつは、
田上正勝さん。
㈱プラネット代表取締役社長。DSCN0850-1

そして、三本締め。
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最後は、協会の重鎮・三浦功先生を囲んで。
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左からプラネット常勤監査役の黒岩昭雄さん、
三浦先生、玉生さん、田上さん。

お疲れさまでした。

機械振興会館から徒歩1分。
私の古巣の㈱商業界がある。
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道路に面した倉本長治主幹の碑。
「店は客のためにある」
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今日の講演も、この言葉から始めた。

だからいつも「気を付け!」の姿勢になる。

ありがたいことだ。

〈結城義晴〉

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