結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年05月24日(火曜日)

ジョージア州アトランタ、Publixが加わったコンテスト型競争

日曜日にアトランタから帰ってきて、
休む間もない。

昨日の夜は、横浜商人舎オフィスを、
當仲寛哲さんと荒川未帆さんが、
訪ねてくれた。
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當仲さんは㈱USP研究所所長、
未帆さんは6月から、
商人舎にアルバイトとして参加してくれる。
19歳の大学2年生。

それから今日は、
商人舎顧問の社会保険労務士の先生方。DSCN0779-6
石澤清貴先生と長﨑明子先生。

今日は午後からずっと、
ある上場サービス業のコンサルティング。
プロジェクトチームのディスカッションをまとめ、
アドバイスしつつ風土改革を試みる。

それから商人舎basicコースの帰国報告。

先週火曜日の17日にラスベガスで別れ、
帰国の途についた団員たち。DSCN3779-1

皆、充実感にあふれて
笑顔の帰国。
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㈱マツモトのチームだけは、
リーダーの八田茂徳さんの前で
なぜか、膝まづいて反省のポーズ。
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空港でのお茶目な演技。
マツモトのみんなは最後まで元気。
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理解度テストの成果も上がったし。

そして最後は、この二人。
JTBのカリスマ添乗員・佐藤公彦さん、
現地でサポートしてくれた上松磨代さん。
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カリスマ佐藤は来月の上海で、
キューティ上松は来年も、
まだまだ、よろしく。

さて私のアメリカ研究旅行。
最後の報告は、
ジョージア州アトランタ。

マーケットシェアは、
第1位クローガーが約26%、
第2位パブリックスが約24%。

そのパブリックス。
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全米第3位のスーパーマーケット企業。
非上場のリージョナルチェーンながら、
2015年年商305億6000万ドル。
3兆560億円。

フロリダを中心にこのジョージア周辺の州で、
ドミナント展開する。

そして、この店が素晴らしく、いい。
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㈱万代会長の加藤徹さんも、
どんどん質問。
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副店長のウィリーさんと、
広報担当のブレンさん。
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すごく感動したので、
月刊商人舎6月号の特集で、
詳しく紹介。

ご期待ください。

さらにパブリックスの都心型店舗。
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英国テスコならば、
さしずめメトロ・フォーマット。

1階の入り口を入ると、
地階が見下ろせる。
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縦長の店舗。

一番奥に青果部門。
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調剤薬局も併設して、
ここがピック・アップのコーナー。
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入口からビール、ワイン、ドリンク。
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その奥はデリ。

パブリックスのレギュラー店舗から、
エッセンスを抜き出して、
都心型中型店に仕立て上げた。
その割り切りが、うまい。
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近隣に大学があって、
カフェスペースも広い。
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マーケットシェア2割を超えるには、
マルチフォーマット戦略は必須だ。

このエリアでもトップをとるのが、
全米第1位のスーパーマーケット、
クローガー。
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副店長のカルビン・ルーカスさんにインタビュー。
通訳はJTSプレジデントの安田幸雄さん。
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三人でグー。
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クローガーはどんな店も、
入口の生花とそれに続く青果を強化する。
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バナナの売り場も感動的。
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昨年リニューアルして、
チーズショップを導入。
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ニューヨークのマーレイズ。
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創業70年の老舗チーズ専門店が、
インショップで入居。

オーガニック&ナチュラルのコーナーも、
3倍の伸びを示す。
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もちろんクローガーも、
フード&ファーマシー。
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クローガーとパブリックスが、
がっぷり四つに組み合う中、
ウォルマートは三番店で17%のシェア。
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雨に濡れて、
ウォルマートが泣いているか。
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しかしそのウォルマートも充実。
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7000坪ワンフロアのスーパーセンター。
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牛肉は、フレッシュ、テンダー、ジューシー。
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新鮮で、柔らかくて、ジューシー。

青果部門のクレートの色が変わった。
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そして全部、可変式の滑車付き。
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アトランタ高級住宅街立地のこの店には、
ワインコーナーに高額品が並ぶ。
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モエ・エ・シャンドン58ドル77セント、
ヴーヴ・クリコ63ドル97セント。
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ウォルマートもどんどん客層を広げている。

そしてオーガニック御三家。

ホールフーズ。
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青果部門のキャッチフレーズは、
「Better Produce Lower Price」
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バナナ売り場もユニーク。
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これです。
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バルク売り場が青果に続いて、
野菜果物から穀類へとコンセプトを繋ぐ。
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グロサリーエンドも、
輝くようだ。
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そして湾曲したレイアウトのシーフード。
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ミート部門から乳製品部門へ。
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変形レイアウトで、
個店ごとに異なる特徴を持つが、
それでもまぎれもないホールフーズ。
それが現代化された標準化の本質である。

ワイン売り場の天井には赤いレールが敷かれ、
専門店性を強調する。
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店舗奥の乳製品売り場は、ここも、
長い陳列線を湾曲させて飽きさせない。
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そして最後がベーカリー。
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セルフデリとサービスデリ。
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この後、イートインコーナーに続く。

私はホールフーズのデリは、
全く心配していない。
世界最高峰。
しかし肝心の青果部門に、
迷いが見られる。

それはちょっと気にかかる。

そのホールフーズの天敵、
トレーダー・ジョー。
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こちらはホールフーズの売れ筋を、
絞り込んでプライベートラベルにする。
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しかも安い。

「良い品をどんどん安く」
それがトレーダー・ジョーだ。

最後にジョージア州でも、
スプラウツ・ファーマーズマーケット。
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店舗中央に青果部門が、
デンと構える。
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その前面、レジ側がバルク売り場。
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チアシードも、バルク売り。
1ポンド4ドル49セント。
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レジの上に赤・青・白の風船。
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そして72時間プロモーション。

スプラウツもいまや、
ホールフーズの目の上のたん瘤。

アメリカ南部の豊かなアトランタ。
クローガーとパブリックスの競争、
それにウォルマートが絡む。

三者のマーケットシェア争奪戦。

その一方で、ホールフーズと、
トレーダー・ジョー、スプラウツの激闘。
こちらはマインドシェアの獲得合戦。

それらすべてが、
コンテスト型競争を展開する。

一方で、フレッシュマーケットは、
スプラウツと同じ資本グループに編入された。

このジョージア州アトランタも、
アメリカの競争の典型を見せてくれる。

ある一定以上の規模がなければ、
どんどん大手資本に取り込まれる。

果たして日本でも、
こんな現象が起こるのか。
ここに焦点が集まる。

ただし、拙著『Message』より。
「はじめから競争に参画しない者、
すなわち競争を楽しめない者には
進歩も革新も与えられず、
能力開発の余地もないことをこそ
認識すべきだ」

〈結城義晴〉

2016年05月23日(月曜日)

「俺は聞いてない」とコカ・コーラ社ウッドラフの言葉

Everybody! Good Monday!
[2016vol21]

2016年第22週、
5月は第4週。

もうすでに沖縄は梅雨入り。
先週月曜日の16日午前、
沖縄気象台と鹿児島地方気象台が、
それぞれ梅雨入り宣言。

しかし、歯切れは悪い。
「梅雨入りしたとみられる」との発表。

平年に比べると遅い。
沖縄は1週間、奄美は5日。

しかし、昨年に比べると、
3日前後早かった。

関東甲信越の梅雨入りは、
昨年が6月3日、平年が6月8日ごろ。
近畿も昨年は6月3日、平年は7日ごろ。

あと2週間くらいで、
梅雨入り。

してみると、
今が一番いい季節。

跳箱の上で泣く子や夏の雲  
〈朝日俳壇より 東京都・ 岡村一道〉

身の内に活火山あり夏来る
〈同 横浜市・神尾幸子〉

全山が怒涛となりぬ青嵐  
〈同 いわき市・馬目空〉

三句とも佐賀県出身の俳人・大串章の選。

夏です。

さて昨日の夕方、帰国し、帰宅すると、
日本テレビに「笑点」が映っていた。
桂歌丸さん、最後の司会。
芸歴65年、落語芸術協会会長。

その歌丸さんは横浜・黄金町の出身。
コメントがいい。
「人間、人を泣かせることと
人を怒らせること、
これはすごく簡単ですよ。
人を笑わせること、
これはいっちばん難しいや」

そのとおり。

笑わせるのが難しいから、
ブログなどでも、
自分で書いて、自分で笑ったりする。

「(笑)」というのを、
文章の最後に入れる、あれ。

私は大嫌いで、
絶対にやらない。

笑ってもらえないことのほうが、
圧倒的に多いし、
読者のほうはむしろ、
不愉快になることも少なくない。

そして歌丸さん。
「人間にとって一番肝心な
笑いがないのが、

戦争をしている所」

この、硬骨漢ぶり。

笑いの本質を真摯に追求しているから、
戦争の本質に行き当たる。

そしてそれを語る。
本物の落語家なんだろう。

一方、朝日新聞『折々の言葉』
いまや『天声人語』より、いい。
鷲田清一さんの編著。

「俺は聞いていない」
(だめな上司は、つい)

「会社でも役所でも、
がちっとした組織で何か事が起こると、
決まってこう口走る上司がいる」

ピーター・ドラッカーに言わせれば、
「悪い組織の兆候」

アンリ・ファヨールの管理過程論によって、
硬直的な組織が出来上がると、
こういう言葉が吐き出される。

「聞いていないのではなく、
聞こうともしなかったのに」

「状況を俯瞰して
異様な気配を人より先に察知し、
きちんとした指示を出さなかったことの
弁明のはずが、
部下への叱責にすり替わる」

現京都市立芸術大学理事長・学長で、
元大阪大学総長の鷲田さん。
会社や官庁の組織に属したことがない。
にもかかわらず、わかっている。

「こういう上司はそのまた上司の
顔色をうかがうばかり」

そして手厳しい。
「聞くことも判断することも
放棄している」

この考え方に沿って商人舎では、
ミドルマネジメント研修会を、
年に2回開催している。

もう、第9回目を迎えるのが、
6月7・8・9日(火・水・木曜)
湯河原で缶詰め合宿2泊3日。

毎朝、理解度テストを行って、
自分の学習効果を自分で確認する。

今回の商人舎USAbasicコースは、
既報のように出発便が遅れ、
シアトルでトラブルに遭った。

そのため初日の日程は狂ってしまったし、
5人の参加者は2日目の午後から合流。

講義や視察は、
その人たちに理解が行くよう変更したが、
それでもハンディキャップがあった。

そこで、ご褒美も含めて、
理解度テストを免除しようかと、
事務局で審議した。

参加者のなかのリーダーにも、
そのことを打診・相談した。

そうしたら返答は、
予想に反して、
「テスト、やってください。
勉強になります」

私は、少なからず感動した。

自分のための理解度テスト。
参加者たちがそれを望んでいてくれる。

その理解度テストのもっと濃い内容を、
ミドルマネジメント研修会では実施する。

参加してください。
派遣を検討してください。

よろしくお願いします。

さて、一昨日のアトランタ。
その高級住宅街バックヘッド地区を見学。

これがボビー・ジョーンズ邸。DSCN0393-6
四大ゴルフトーナメント「マスターズ」創始者。
年間グランドスラム達成者で、「球聖」と呼ばれる。
生涯、栄誉あるアマチュアだった。
その著『Down the Fairway』には、
有名な「Old Man Par」の考え方が示されていて、
私も愛読している。

それからジョージア州知事邸。
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現在は、共和党のネイサン・ディール知事が、
ここに住んでいる。

今年の3月28日、ディール知事は、
「反同性愛法案」に拒否権を発動した硬骨漢。

LGBT(性的少数者)差別に当たるとして、
ディズニーなど大企業が批判していた法案だが、
その批判を支持した形。

この法案は、宗教関係者が、
信教の自由を守るため、
「同性カップルの結婚式などLGBTへの
サービスを拒否できる」と規定したもの。

州議会で可決され、
知事の署名で成立するはずだった。

ディールの発言。
「宗教に基づく社会を守るために
誰かを差別しなければならないとは
思わない」

そのうえで、きっぱり。
「宗教界の圧力に屈したわけでも、
もし法案が成立すれば
州から撤退すると通告していた経済界の
要求に応じたわけでもない」

「ジョージア州は
愛と誠意と寛容に満ちた開かれた州であり、
その姿を保ちたい」

拍手、拍手。
あの、ドナルド・トランプの共和党だけれど。

さらにロバート・ウッドラフ邸。
地元コカ・コーラ社で、
1923年から60年間CEOを務めた、
伝説の経営者。
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コカ・コーラを世界企業に育てたのが、
ロバート・ウィンシップ・ウッドラフ。
もちろん彼も硬骨漢。

いまでもコカ・コーラの本社社長室に、
ウッドラフの言葉が掲げられている。
「自分よりできるやつに
任せられるときには、
迷わず任せることだ」

「俺は聞いてない」の上司とは、
まったく反対。

そしてウッドラフの「最も重要な言葉」
6words(6単語)から1word(1単語)まで、
6つのフレーズでできている。

6words――
“I admit I made a mistake”
「私は自分が間違ったことを認めるよ」

5words――
“You did a good job”
「君はいい仕事をしたね」

4words――
“What is your opinion?”
「君の意見は何?」

3words――
“If you please ”
「どうぞ」「よろしければ」

2words――
“Thank you ”
「ありがとう」

And 1word――
“We”
「われわれ」

実によくできている。

「俺は聞いてない」との違い。
味わってほしい。

では、みなさん、
今週も、どうぞ、よろしければ、
Good Monday!

〈結城義晴〉

2016年05月22日(日曜日)

帰国しました! 「Consumer Rights」と「四つの目」を学んで

帰国しました。
ハーツフィールド・ジャクソン・アトランタ空港。
デルタ航空の本拠地にして、
最大級の国際ハブ空港。IMG_8310-6
今回はJTB西日本の小阪裕介君と二人旅。

その前に、ヒルトンホテルで、
㈱万代会長の加藤徹さんとお別れ。IMG_8308-6
加藤さんは別便で、
関西国際空港へ。
私は成田国際空港へ。

研究のための視察旅行は、
加藤さんとの二人旅。

加藤さんのお世話係として、
万代MDD会事務局長の前田仁さん。

つまり、ミラクル前田とレジェンド小阪が、
丁寧なフォローをしてくれて、
贅沢な旅となりました。

ありがとう。

アトランタで店舗巡回に使ったバン。
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アトランティック社の車で、自動ドア。
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ドライバーは制服に帽子。
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12人乗りのバンに4人。
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快適でした。

ありがとう。

アトランタ都市圏の人口は、529万人。
(2010年国勢調査より)

アメリカでは9番目に大きな都市圏。

第1位は ニューヨーク都市圏の1957万人。
2位は ロサンゼルス都市圏の1283万人。
3位が シカゴ都市圏の946万人。

これがビッグ3。

今回の旅で訪れたシカゴは、
三番目の大都市。

以下、第4位がダラス都市圏の643万人。
5位、 フィラデルフィア都市圏597万人、
6位、ヒューストン都市圏、592万人、
7位、ワシントンDC都市圏の564万人、
8位、マイアミ都市圏の556万人。

そして9位にアトランタ都市圏が入ってくる。
アメリカはすごい国で、
500万人以上の都市圏が9地域。

そのあとに第10位、ボストン都市圏455万人、
11位にサンフランシスコ都市圏が、
434万人として入ってくる。

ちなみにラスベガスは31位の195万人。

そのアトランタ空港は雨。DSCN0750-6

飛び上がると、
厚い雲の下に市街が広がる。DSCN0751-6

緑の濃い街。
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アメリカ大陸は千切れ雲ばかり。DSCN0753-6

そして太平洋。
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13時間のフライトで、
日本の領土が見えてきた。
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千葉県犬吠埼。

そして成田空港付近の水田。DSCN0760-6
この時期の日本は、
水田が美しい。

帰国しました。
ほっと一安心。

前半は商人舎USAbasicコース。
ラスベガスで充実した研修。

後半はシカゴからアトランタ。
研究旅行。

いつも訪れるのが、
ニューヨーク、ワシントンDC、
そしてダラス、サンフランシスコ。

東海岸からウェストコースト、
そして南部。

もっともっと精力的に、
各地の商業を研究したいものだ。

そしてアメリカ流通業を、
極めてみたいところだ。

1962年3月。
第35代アメリカ合衆国大統領、
ジョン・フィッツジェラルド・ケネディは、

「コンシューマー・ドクトリン」を発する。
その中に「消費者の4つの権利」が謳われていた。
Consumer Rights、消費者の4つの権利。

第一に、安全である権利。
第二に、知らされる権利。
第三に、選択できる権利。
第四に、意見を聞き遂げられる権利。

これがアメリカの商業に、
脈々と受け継がれている。

それを見定めることも、
私の仕事の一つだ。

そして四つの目。
第一に「虫の目」
虫の目とは、現場を見る力。
細部まで丁寧に「見極める能力」

第二に「鳥の目」
鳥の目は、大局を見る力。
全体像を俯瞰しながら「見渡す能力」

第三に「魚の目」
これは、流れを見る力。
時間の経過の中で、現在と未来を「見通す能力」

これらの能力を自ら、高めつつ、
知識商人たちに教授する。

それが私の役割。

しかし最も大切なのは、第四の目。
謙虚で、真摯で、真っ正直な「心の目」である。

ラスベガスもシカゴも、
そしてアトランタも、
私たちにそのことを教えてくれた。

感謝に堪えない。
ありがとう。

帰国しました。
(旅行記はつづきます)

〈結城義晴〉

2016年05月21日(土曜日)

アトランタのホールフーズ・クローガーとピグリーウィグリー

「ぼくの楽屋は劇場の廊下なんです」
〈蜷川幸雄〉

朝日新聞『折々の言葉』
鷲田清一さんの編著。

5月12日に亡くなった舞台演出家。
80歳だった。

「異なった感受性をもつ俳優たちと
劇に取り組む演出家は、
彼らの様子を見、
気になればすぐに声をかけられるよう
廊下に陣取った」

この蜷川さんの姿勢を、
鷲田さんはたとえる。

「他の野手と逆方向を見つつも、
チームの一員として
ともにプレーするキャッチャーのように」

「そういえば私が知るある大手企業でも、
社長室は設けず、社員たちが働いている
そのどまん中で社長が執務している」

仲間とは逆方向を見つつ、
ともにプレーする。

どんな組織にも一人は、
こんな人がいなければならないし、
できうればリーダーがいつも、
逆方向を見ていなければならない。

さて、アメリカ小売業の4月の実績。
商務省の季節調整済み小売業売上高は、
4534億3800万ドル、前年同月比3%増。

ウォルマートの2016年第1四半期決算は、
米国内既存店売上高が前年同期比1%増。

アソシエーツの時給を2年連続で1ドルずつ上げた。
アップスキリング・プログラムを導入し、
サービス教育や売場改革に取り組んだ。
結果が出て、客数が1.5%増。

実際、ラスベガスでもシカゴでも、
そしてアトランタでも、
ウォルマートの店頭には、
確かに活気があった。

ホーム・デポの第1四半期既存店売上高は、
前年同期比7.4%増。
クレイグ・メニアCEO、
「米国全域で販売が伸びた」と強気。

しかし百貨店メイシーズは、
既存店売上高5.6%減。
テリー・ラングレンCEOは、
「衣料品とその関連商品で
弱い消費が続いている」
こちらは弱気。

ラングレンは2012年に、
「オムニチャネル宣言」を発して、
コンセプトでは世界をリードしたが、
現下の実績はその効果が出ていない。

そんなアメリカで、
私はシカゴからアトランタへ。

シカゴ・オヘア空港の恐竜化石模型。
ブラキオサウルス。
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そして長い長い滑走路。DSCN0258-6

飛び上がるとChicago市街。DSCN0259-6

南東へ向かうと、
雲が現れる。
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そして綿雲。
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2時間ほどで、雲の下に緑の大地。DSCN0263-6

そしてジョージア州アトランタ。DSCN0265-6
「風と共に去りぬ」の舞台。
小説はマーガレット・ミッチェル、
映画はビビアン・リー。

着いたらすぐに、レストラン。
メアリー・マクズ・ティー・ルーム。DSCN0266-6

なんてことのない入口。
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店内に入ると、写真のオンパレード。DSCN0271-6

伝統的な南部の部屋。
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名物の骨付きショートリブと、
甘い紅茶・甘いレモネード。
それが似合う店。
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ママさんがやってきて、
お客たちの背中を丸くなでながら、
「料理はいかが?」
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私はもちろん、
「Very Good, ma’am!」

すぐにホールフーズへ。DSCN0310-6

パイナップルが出迎えてくれた。
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その青果部門は店の顔。
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改装中だが営業中。
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ぐるりと回りこんで、
サービスデリとセルフデリ。
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デリは充実する一方、
青果がちょっと弱含み。
それが心配だが、
この店はいい。

そしてクローガー。DSCN0375-6

全米ナンバー1スーパーマーケットは、
ジョージア州でも崩れない。DSCN0361-6

エブリデー・ロープライス。DSCN0367-6

面白い写真。
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ウォルマートのアソシエーツが、
制服姿でやってきて買物。
クローガーの店員と親しげに話している。

アトランタはそんな街。

それからリージョナルチェーン、
フレッシュ・マーケット。DSCN0389-6
アメリカ南東部の27州に183店の展開。

創業者のレイ・ベリーが、
ユニークなアップグレード店舗をつくった。DSCN0387-6

私もダラス近郊でこの店を訪れたが、
彼の地では激しい競争で今一歩。

それもあって、3月に買収された。
投資会社アポロ・グローバル・マネジメント。

このアポロGMは、
スプラウツ・ファーマーズマーケットを買収して、
上場させ、躍進させている。

真四角な店内、スケルトンの天井、
店内真ん中に島型のサービスデリ。DSCN0378-6

ワインも特徴的。
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アトランタ市内の高級住宅地では、
顧客の支持を得ている。

それから変わり種。
ファーマーズ・マーケット。DSCN0360-6

スプラウツのフォーマットとは全く違う。
まさに産地直送店舗。
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ただし、、メキシコ人&アジア人向け店舗。DSCN0348-6

アメリカのどの州にもあるタイプ。
鮮魚は広大な売り場で、
その売り場の前で魚をさばいている。DSCN0351-6

グロサリーも広い売り場に、
アジアンフードがズラリ。
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レジもご覧のとおり。
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アトランタ中のメキシコ人、アジア人が、
この店にやってくる感じ。
広域商圏型スーパーマーケット。

これも、あり。

最後に、無理を言って、訪れた。
ピグリー・ウィグリー。DSCN0331-6

1916年にクラレンス・サンダースが、
世界で初めてセルフサービスを実験した。

それがピグリー・ウィグリー。

サンダースはその発明を、
フランチャイズチェーンにした。

つまり、金儲けを企んだ。

しかし1930年代に入ると、
クローガーやセーフウェイ、ナショナルティに、
リージョン単位別に売却されてしまった。

金儲けは長続きしない。

現在は、Piggly Wiggly, LLC。
LLCはLimited Liability Companyで、
有限責任会社のこと。

それでも、南部中心の17州に、
600店以上の店を展開する、
フランチャイズチェーンだ。

しかし、訪れてみて、
がっかり。
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店がまず、汚い。
品切ればかりで、
鮮度感は全くない。
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この有り様。
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しかしアトランタの名士コカ・コーラは、
こんなエンドを独占。
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「歴史のお勉強」ということで、
まあ満足。

イノベーションは、
金儲けに使われてはならない。

人々の幸せをつくることこそ、
イノベーションの本質なのだ。

ピーター・ドラッカーの言葉。
〈イノベーションとは、
人的、物的、社会的資源に対して、
新しい、より大きな富を生む仕事である〉

ここでいう「富」とは、
「利益」ではない。

英語でwealth。
私は言っている。
いわば「幸せ」のようなもの。

どんな仕事も、
人々の幸せを
つくり出すことなのだ。

金儲けは長続きしない。
(ブログはつづきます)

〈結城義晴〉

2016年05月20日(金曜日)

EATALY・Mariano’s & Beyond in Chicago

アトランタに移動してきた。
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東海岸ジョージア州の州都。
アトランタ五輪は1996年。

晩年のカール・ルイスがこの五輪でもまだ、
走り幅跳びで金メダルを獲得。

あれからもう20年。

アメリカのギャップが、
オールドネイビーのフォーマットを、
日本から撤退させる。

全53店舗は来年1月までに閉鎖されるが、
ギャップとバナナリパブリックの約200店は存続。

オールドネイビーは、
ギャップの低価格路線フォーマット。

ギャップがレギュラー価格ゾーン、
バナナリパブリックが高価格ゾーン。

日本では低価格ゾーンの闘いで、
まずね音を上げた形。

アジアでの売上げは直近の四半期で、
16%の伸びを示しているが、
それだけに日本マーケットの難しさが示された。

ユニクロにおけるguの役割で、
そのguやしまむらには、
太刀打ちできなかったということだ。

さてシカゴの小売業研究。
ウォルマートやマイヤー、
ジュエル・オスコーとは、
別の次元のマーケットが切り開かれている。

まず、イータリー。DSCN9666-6

アメリカでは2010年のニューヨークに続いて、
2014年3月1日にオープン。
私は同年10月に訪れた。

そして、ニューヨーク以上になるだろうと思った。
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2フロアで、1階がドリンク、
2階が食品と酒。
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エスカレーターとエレベーターで、
1・2階を繋ぐが、その空間が素晴らしい。DSCN9632-6
日本のスーパーマーケットも、
このデザインやプレゼンテーションを、
学び取りたい。

二人の女性がずっと案内してくれた(右は日本人のガイド)。
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チーズ売り場はイタリア産ばかりで、
300アイテム。
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今、一押しの商品を、
テイスティングさせてくれる。
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説明に熱心で、
それだけで感動もの。
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ミート売り場もイタリアンカッティング。
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ベーカリーはインストアで、
焼き上げたばかりの商品を提供。
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オリーブオイルも、
このおじさんが熱心に説明。
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そのあとで、試飲させてくれる。
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パスタはイタリア産の超売れ筋から、
珍しいアイテムまで。
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米国三井物産のアテンドで、
この取材が実現した。
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左端が和田幸成さん、
三井物産㈱流通事業本部西日本食料部次長。
それから前原創さん、
米国三井物産取締役。
右端はミラクル前田。

感謝しておきたい。

レストランは500席。
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ニューヨーク店の狭さを反省して、
シカゴ店は存分のスペース。

外光が入って輝くばかりの、
ビールバーとワインバー。
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私たちも昼食はここ。
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ビールとパスタを堪能。

この醍醐味。

イータリーのコンセプトは、
必ず日本に入ってくる。

そのコンセプトこそ、
しっかりと学んでおくべきだ。

学んで、食べて、買う。

それを顧客に提供する。

出口ではかっこいいガードマンが、
送り出してくれた。
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それからマリアーノス。
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9万2000平方フィートの新店。
昨年6月オープン。
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こちらでも話題になっている。

ジョン・ナイランさんが丁寧に応対してくれた。
ストア・ディレクター。
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ジュエル・オスコーで20年勤務し、
マリアーノスにスカウトされた。

でかい店にはでかい店長。
必要条件(?)。

まず入り口を入ると、
青果部門。
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これはウェグマンズの常套手法。

凝ったプレゼンテーションも、
施されている。
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しかし1年経過して、
週末とウィークデーとに落差がある。
青果部門には平日、
その影響が現れやすく、
売場も乱れやすい。
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青果の左手のベーカリーショップから、
さまざまなイートイン・ショップが展開される。

野菜バーでも高い椅子でイートインができる。
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そしてガラス張りのチーズショップ。DSCN9990-6

天井からチーズがぶら下げられ、
素晴らしい香りが漂う。
この環境で様々なイベントも展開される。
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そして対面ミート売り場。
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何でも注文を聞いてくれる。

店舗左翼のフードサービス部門は、
そんなイートインもできるショップ群。
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これはオイスターバー。
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ワインバーやコーヒーバーがあって、
最後にイートインスペース。
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私たちもここでランチ。
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青果から店舗奥主通路を右手に折れると、
スパイス&ソルトのバルク売り場。
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そしてリカーショップ。
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3000坪の店の奥行。
グロサリーが店舗右手。
これもウェグマンズスタイル。
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その中の大容量安売り品通路。
ビッグ・バイ!
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ストリート・マーケットは、
シカゴ市内の市場の再現。
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奥主通路には島陳列で、
ディスカウントアイテムが並ぶ。
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水はマリアーノスの親会社ラウンディーズのPB。
そのラウンディーズも現在は、
クローガー傘下だけれど。DSCN9976-6
ただしラウンディーズのPBでは、
価格インパクトに欠ける。
早いところクローガーの商品を導入すべきだろう。

左翼には冷凍食品のコーナー。
ウェグマンズと同じ。
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レジ前は見通しがいい。
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そのレジ前エンドも、
ウェグマンズの斜め陳列。
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店が広いだけ、チェックスタンドも多い。DSCN9985-6

ウェグマンズの大型店は、
約2000坪だが、
マリアーノスのこの新店は、
3000坪で1.5倍に拡大した。

ウェグマンズの2000坪は、
最適の生産効率をはじき出しているが、
さて、マリアーノスの3000坪はいかがか。

フードサービス部門など、
素晴らしいけれど、
全体最適がちょっと気にかかる。

クローガーに買収されたラウンディーズ。
ウィスコンシン州、イリノイ州のローカルチェーン。
買収額は1億7800万ドル、
100円換算で178億円。

151店舗のラウンディーズに、
マリアーノス35店も含まれるが、
買収としてはいい案件だった。
ただし、負債を含めた総投資額は、
約8億ドル、800億円。

私は早いところ、
クローガーの強みを、
この店舗にも導入したほうがいいと思うが、
ジョン店長は、
「向こうが学びに来ている」

もともとジュエル・オスコーの人だから、
クローガーには敵対意識があるのか。

プライドの塊のような店長だった。

三番目の訪問はヘインズ。
この地のローカルチェーン。

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まず青果部門が素晴らしい。
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このクォリティ。
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もちろんオーガニックもコーナー化されている。
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青果の弱い店は、
アメリカでは生き残れない。
それだけでなく、
客数が減ってくると、
青果部門が弱体化する。
そしてますます弱くなる。
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精肉部門、デリ部門と、
この店の高いクォリティを表現しているが、
最後のワイン売り場がまた素晴らしい。
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店舗入り口には、
サービスデリの予約自動販売機。
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店に入ったらすぐに、
この機械で予約しておく。
そうすると買物している間に、
つくりたてのデリが用意される。

デリック・バーチェニーさんが、
案内して質問に答えてくれた。
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そして記念写真。
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左端が三井物産の和田幸成さん、

四番目はプラムマーケット。
支店経営の地元スーパーマーケット。
店舗数は5店。
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マンションの1階の店で、
狭いと思ったら意外に広くて、
2万平方フィートはある。
560坪。

入口の青果はクォリティ優先。
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ゴッサム・グリーンのブランドを入れている。
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ニューヨーク・ブルックリンの、
ホールフーズ環境対策店舗にも、
同じブランドが導入されている。

その青果部門は美しい。
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キッチンと名づけれらたサービスデリ。
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セルフサービス・デリも最新型。
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この惣菜アイテムに顧客がついている。
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そしてインストアベーカリー。
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最後に「シーズ・キャンディ」のショップ。
人気のショップを導入した。
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そして店舗右サイドは、
ワインバーとカフェ。
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規模は小さくとも、
いち早く最新のトレンドを取り込んでいる。

規模が小さいからこそ、
それをしなければ、
生き残ってはいけない。

アダム・ラッコウスキーさんを囲んで、
スマイル写真。
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店内を案内してくれたアダムさんに、
お土産を進呈したら大喜び。
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カフェスペースをもっと充実させるそうだ。
小さいからこそ、素早く変わらねばならない。

そして最後に隠れた実力者、
フレッシュファーム。
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この店も天井は高くて、
最新の店づくりのスタイルだ。
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そしてこの陳列。
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ダミーを使って、
最大限のボリューム感を出している。
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店名のFresh Farmは、
新鮮な農場。
まさにそれ。
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青果部門のコンセプトが、
それ以外の部門でも貫かれている。
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バラ菓子のバルク風販売。
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フレッシュファームも、
独自の個性を出していて、
昨日のジュエル・オスコーとは違う。

ポジショニング戦略は、
中小小売業のニッチ戦略展開上も、
基本の考え方となるのだ。

Chicagoの競争。

ウォルマートとマイヤー。
これはハイパーマーケット業態の闘い。

そして今回は訪れる時間がなかったが、
ホールフーズにトレーダー・ジョー。

それからEATALYとMariano’s。
マリアーノスがフューチャーストアに、
必死で近づこうとしている。

しかしこの企業も今は、
クローガー傘下。

もちろんインディペンデント企業も、
ヘインズ、プラムマーケット、
そしてフレッシュファーム。

イリノイ州シカゴ地区。
かつてはジュエル・オスコーと、
ドミニクスが2大ローカルチェーンだった。

ジュエルがアルバートソンに買収され、
ドミニクスはセーフウェイの傘下に入った。

そして今、両者は統合され、
サーベラス資本の下に集められた。

ドミニクスの創業メンバーが、
マリアーノ氏。
そのマリアーノさんが二度目に作ったのが、
ラウンディーズという会社で、
今回、マリアーノさんは、
クローガーにそれを売った。

人生で二度、会社を創業して売却。
それがセーフウェイとクローガー。

面白い人生だ。

その人生が表現された店が、
マリアーノス。

イータリーにしても、
マリアーノスにしても、
もちろんそれ以外の店にしても、
人の人生がかかった仕事だという気持ちで、
謙虚に向かい合わねばならない。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2016年05月19日(木曜日)

シカゴのウォルマート・マイヤー・ジュエルオスコー訪問

シカゴに着いて、
㈱万代会長の加藤徹さんと合流。

今度は研究のための少人数視察。

シカゴはニューヨーク、ロサンゼルスに次いで、
アメリカ第三の都市だ。

しかしどのエリアに行っても、
まず、ウォルマート・スーパーセンター。DSCN9790-6

アメリカ小売業は、
ウォルマートを中心に回る、
メリーゴーランドだからだ。

2016年1月期決算で、
売上高4821億3000万ドル、
1ドル100円換算で48兆2130億円。
伸び率はマイナス0.7%で、
初めてだろう、マイナス成長。

しかし純利益は146億9400万ドル。
1兆4694億円の純利益で、
利益が1兆円を超える。
こちらも伸び率はマイナス9.2%だけれど。

世界総店舗数は1万1528店。
米国内総店舗数は5229店。

Market側の入り口を入ると、
ウォーターメロンが出迎えてくれる。DSCN9789-6
一丁目一番地は、
常に、季節の旬の商品。

それはもう徹底されている。

そして近年、充実著しい青果部門。DSCN9757-6

青果から精肉につながる。DSCN9760-6

その精肉部門は壁面の多段ケースと、
主通路沿いの平冷蔵ケースで構成。DSCN9770-6

グロサリーの主通路にも、
アクション・アレイと呼ばれる島陳列。DSCN9783-6
ウォルマートは成長鈍化していようとも、
オペレーションは変わらない。

カスタマーサービスマネジャーの
アンジェラさんがインタビューに答えてくれた。DSCN9753-6
「私たちのウォルマートは、
さまざまな人間が働いている。
どんな人でもしっかり仕事さえしてくれたら、
差別せずにアソシエーツになってもらえる。
それがいいところよ」

ウォルマートはゲマインシャフトの組織なのだ。

「この店は4年前にオープンした。
私も開店の時には、
ファーマシーの什器を組み立てて、
商品を並べたわ。
だからこの店は私の店なのよ」

素晴らしい。

加藤さんと三人で写真
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ウォルマートはアメリカの象徴そのものだ。
さまざまな人間がここで仕事をし、
誇りをもって生きている。

次に、このエリアのリージョナルチェーン、
マイヤー。
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2015年度全米チェーンストアランキング第26位。
非上場企業で、Hypermarketを展開する。

そう、ウォルマートのスーパーセンターと同業。
年商は156億8900万ドル、
1兆5689億円。
店舗数は213店。

だから1店平均年商73億6573万円。

スーパーマーケット側の入り口を入ると、
なかなか充実した青果部門。DSCN0123-6

青果とデリが顧客を迎える。
その左手奥がファーマシー。DSCN0133-6
ここがウォルマートと違う。
私はこのレイアウトの組み方を大評価。

何より顧客にとって便利だ。

そしてデリは壁面で対面方式。DSCN0139-6

平ケースに冷蔵食品が山盛り。DSCN0142-6

店舗右翼は非食品で総面積は25万平方フィート。
7000坪でウォルマートスーパーセンターと同じ。

非食品部門には熱帯魚売場がある。DSCN0174-6
ウォルマートにない商品だ。

そしてガーデニング。
これもウォルマート対抗策。DSCN0189-6

さらに衣料品がとてもいい。DSCN0209-6
キッズ、レディス、メンズ、服飾品。

回遊式の通路を配して、
ウォルマートよりも、
カテゴリー売場に入っていきやすいので、
商品が見やすく選びやすい。DSCN0216-6
ウォルマートがやらないやり方を、
丁寧に追及する。

しかしレジ部門など、
ウォルマートそっくり。
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カレンさんがお別れの声をかけてくれた。DSCN0155-6

アシスタントフード・チームリーダーの、
カールさんがインタビューに答えてくれた。DSCN0151-6
「目の前にウォルマートがあるけれど、
競合はしないよ。
競争しないように仕事している。
フードサービス業を15年やって、
それからマイヤーに来た。
すごくいい会社で、
もっと早く転職しておけばよかったよ」

このマイヤーも、
誇りを持って働く者ばかりだ。

さらにジュエル・オスコー。DSCN9952-6
もともと西友が提携していたのがジュエル。
スーパーマーケット。
そのジュエルがオスコードラッグと合併。
ジュエル・オスコーとなった。
その後、アメリカンストアーズに買収され、
さらに1992年、アルバートソンに売却される。
当時は74店だった。

その後、1999年に、
業界4位だったアメリカンストアーズそのものが、
アルバートソンに買収されてしまった。
当時、1500店。

アルバートソンの凋落は、
この時から始まった。
あまりよろしくない因縁の両者。

今、ジュエル・オスコーもアルバートソン傘下で、
2015年1月、投資会社サーベラスのもと、
セーフウェイと合併完了。

だからジュエル・オスコーは、
アルバートソン&セーフウェイグループ。

だから、店は、
典型的なコンベンショナルスタイル。DSCN9916-6

アルバートソン得意の、
バイ1ゲット1フリー。
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ああ、古い店だ。
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しかし牛乳はOオーガニックが入っている。
ご存知、セーフウェイのブランド。DSCN9946-6
ああ、ジュエル・オスコーよ。

そしてナショナルチェーンといえるだろう、
トレーダー・ジョー。
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こちらはドイツのアルディ傘下で、
我が道を行く小売業の代表選手。

どのエリアの店も、
壁面のイラストやレイアウト配置は、
若干違うが、しかし標準化はなされている。DSCN9798-6
それが現代のチェーンストア。

エンドとトップボードもこの店独自。DSCN9799-6

この店のアーティストは、
壁面に絵画を描く。
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それがすごくいい。

商品とサービスは、
もうトレーダー・ジョーそのもの。

いつでも、どこでも、
大人気のジョー君たち。

すばらしい。

そのほかに5店舗を巡ったが、
それは明日のブログ。

夕方、シカゴの三井物産を訪問。DSCN0220-6

このビルの53階。
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今回の研究にご協力いただいた。DSCN0230-6

見下ろせばミシガン湖。
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そしてシカゴの高層ビルと街並み。DSCN0225-6
お世話になりました。

ディナーはシカゴ一のレストラン。DSCN0235-6

リバ・クラブハウス。
DSCN0236-6

厨房も活気のあるシーフードレストラン。DSCN0237-6

窓辺の席からは、
ヨットが見える。
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加藤さんと並んで、
疲れをいやす。
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ミシガン湖に夕日が沈んでゆく。

この店のマネジャーがあいさつに来た。
ステファーノ・カサティさん。

「僕はマリアーノスで働いていた。
いま、このレストランのマネジャーです。
マリアーノさんとも親しいですよ」DSCN0250-6
「ありがとう」と記念写真。

充実した研究視察と夕食。
疲れをとって、明日も頑張る。

今日会ったスーパーマーケットマンは、
皆、例外なく、誇りを持っていた。
それがうれしい。

〈結城義晴〉

2016年05月18日(水曜日)

basicコース修了し、M・ジャクソン・ワンと「見分ける英知」

商人舎USA研修basicコース。
2010年5月からスタートして、
もう7回目になる。DSCN9528-6
帰国しました。

無事に。

アメリカのラスベガスの競争。
それを題材にして、
ナレッジマーチャントとして必須の内容を学ぶ。

もちろん知識と知恵が相まって、
knowledgeを形成する。
これは言うまでもない。

そのナレッジマーチャントが、
明日のイノベーションを生み出す。

私はそう、固く信じている。

調査研究発表会が終わると、
自由研修。

それぞれに自分の発想で、
ラスベガスを学ぶ。

私は暑い暑いストリップ大通りを散策。IMG_8241-6

レストランの柵から、
ミストが噴霧されている。
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それだけ暑い。
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その霧を浴びながら歩くと、
すこぶる、気分がいい。
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ストリップにできた新店。
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CVSヘルスのドラッグストアは、
CVSファーマシー。
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2015年12月期決算で、
年間売上高1532億9000万ドル。
1ドル100円換算で15兆3290億円。
その伸び率は10.0%。
純利益は52億3900万ドル、5239億円。
こちらの伸び率は12.8%。
期末店舗数 9681。

凄いチェーンなんです。

入口は吹き抜けの高い天井。
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レジはワンラインの繁盛店スタイル。
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そしてそのレジ周辺のコーナーは、
完ぺきな米国コンビニエンスストア。
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もちろんビール&ワインも充実。
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マグカップは、ラスベガス土産。
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そして店舗奥に調剤薬局のファーマシー。
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もちろんビューティ・ケアも、
ドラッグストアの必須アイテム。
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そしてミニット・クリニック。
約1000カ所ある。
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看護士が常駐していて、
軽い病気の診断や治療をしてくれるし、
処方箋も書いてくれる。
Nurse Practitionerと呼ばれる。

ワクチン接種から健康診断もできる。
つまり病気対策、健康対策の、
コンビニエンス機能。

診療項目は7つに絞られている。
咽頭炎、中耳炎、副鼻腔炎、
血液検査、インフルエンザ、
膀胱炎、妊娠検査。

アメリカのドラッグストアは、
コンビニエンスストアでもある。

そのCVSヘルスのライバルは、
ウォルグリーン。IMG_8245-6
売上高1034億4400万ドル、
10兆3444億円。
伸び率35.4%。
純利益47億2900万ドル、4729億円。
伸び率132.8%。
期末総店舗数1万2755店、米国8173店。

ヨーローッパのアライアンス・ブーツと統合し、
さらに米国ドラッグストア3位のライトエイドを、
傘下に収める算段をしていて、
そうなればCVSヘルスの規模に迫る。

この産業も私の言う「複占」。

これまで私が見透してきたことのなかでは、
「複占」現象が今、著しく顕在化している。

ダラーストアもオフィスサプライストアも、
オフプライスストアもドラッグストアも。

スーパーマーケットのナショナルチェーンも。

もちろんリージョナルチェーンや、
ローカルチェーンで強い会社もある。

それが産業構造となっている。

さて、夜は、
シルクドソレイユ。
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今回は、マイケル・ジャクソン・ワン。
マンダレイベイ・ホテルの専用シアター。
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ラスベガスのシルクドソレイユ常設ショーとして、
第9作目。

ミスティア、オウ、ズーマニティ、
KA、LOVE、
クリスエンジェル・ビリーブ、
ビバ・エルビス、ザーカナ。
LOVEはビートルズ、
ビバ・エルビスはエルビス・プレスリー。
そしてONEはマイケル・ジャクソン。
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この感動、感激は、
辞書にある言葉では、
伝えられない。

すばらしい。

展示されているのは、
マイケルが実際にはいていた靴とソックス。
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そのマイケルのムーンウォーク。IMG_8251-6
ラスベガスのシルクドソレイユ。
是非、一度、観てください。

一夜明けて、朝の4時。
ホテルフロントに集合して、
リムジンバスでマッカラン空港へ。

いつものように、バスの中で最後の講義。

変わるものを変えられる勇気を、
変わらぬものを受け入れる心の静けさを、
それらを見分ける英知を、
お与えください。DSCN9528-6
全員が試練を乗り越え、
心と頭を充実させて、
帰国の途に着いた。

健闘を祈る。

私はラスベガス空港から国内便。DSCN9530-6

ストリップのホテル群が見える。
金色に輝くのは、
昨夜のショーのマンダレイベイ。DSCN9531-6

飛び上がるとラスベガス渓谷。DSCN9534-6

アメリカ合衆国の広さを思い知らされる。
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そしてロッキー山脈。
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大平原に千切れ雲。
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中部地帯は厚い雲に覆われ、
その雲の下に緑の市街。
DSCN9542-6
シカゴに到着。

これから研究旅行。

団員を連れて、
勉強させるばかりではない。
少人数での研究視察も必要。
それがこれからの5日間。

楽しみです。

変えられる勇気、
受け入れる心の静けさ、
それらを見分ける英知。

英知こそ、私が、
知識商人に望むものだ。

〈結城義晴〉

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