結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年05月20日(金曜日)

EATALY・Mariano’s & Beyond in Chicago

アトランタに移動してきた。
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東海岸ジョージア州の州都。
アトランタ五輪は1996年。

晩年のカール・ルイスがこの五輪でもまだ、
走り幅跳びで金メダルを獲得。

あれからもう20年。

アメリカのギャップが、
オールドネイビーのフォーマットを、
日本から撤退させる。

全53店舗は来年1月までに閉鎖されるが、
ギャップとバナナリパブリックの約200店は存続。

オールドネイビーは、
ギャップの低価格路線フォーマット。

ギャップがレギュラー価格ゾーン、
バナナリパブリックが高価格ゾーン。

日本では低価格ゾーンの闘いで、
まずね音を上げた形。

アジアでの売上げは直近の四半期で、
16%の伸びを示しているが、
それだけに日本マーケットの難しさが示された。

ユニクロにおけるguの役割で、
そのguやしまむらには、
太刀打ちできなかったということだ。

さてシカゴの小売業研究。
ウォルマートやマイヤー、
ジュエル・オスコーとは、
別の次元のマーケットが切り開かれている。

まず、イータリー。DSCN9666-6

アメリカでは2010年のニューヨークに続いて、
2014年3月1日にオープン。
私は同年10月に訪れた。

そして、ニューヨーク以上になるだろうと思った。
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2フロアで、1階がドリンク、
2階が食品と酒。
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エスカレーターとエレベーターで、
1・2階を繋ぐが、その空間が素晴らしい。DSCN9632-6
日本のスーパーマーケットも、
このデザインやプレゼンテーションを、
学び取りたい。

二人の女性がずっと案内してくれた(右は日本人のガイド)。
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チーズ売り場はイタリア産ばかりで、
300アイテム。
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今、一押しの商品を、
テイスティングさせてくれる。
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説明に熱心で、
それだけで感動もの。
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ミート売り場もイタリアンカッティング。
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ベーカリーはインストアで、
焼き上げたばかりの商品を提供。
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オリーブオイルも、
このおじさんが熱心に説明。
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そのあとで、試飲させてくれる。
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パスタはイタリア産の超売れ筋から、
珍しいアイテムまで。
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米国三井物産のアテンドで、
この取材が実現した。
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左端が和田幸成さん、
三井物産㈱流通事業本部西日本食料部次長。
それから前原創さん、
米国三井物産取締役。
右端はミラクル前田。

感謝しておきたい。

レストランは500席。
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ニューヨーク店の狭さを反省して、
シカゴ店は存分のスペース。

外光が入って輝くばかりの、
ビールバーとワインバー。
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私たちも昼食はここ。
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ビールとパスタを堪能。

この醍醐味。

イータリーのコンセプトは、
必ず日本に入ってくる。

そのコンセプトこそ、
しっかりと学んでおくべきだ。

学んで、食べて、買う。

それを顧客に提供する。

出口ではかっこいいガードマンが、
送り出してくれた。
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それからマリアーノス。
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9万2000平方フィートの新店。
昨年6月オープン。
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こちらでも話題になっている。

ジョン・ナイランさんが丁寧に応対してくれた。
ストア・ディレクター。
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ジュエル・オスコーで20年勤務し、
マリアーノスにスカウトされた。

でかい店にはでかい店長。
必要条件(?)。

まず入り口を入ると、
青果部門。
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これはウェグマンズの常套手法。

凝ったプレゼンテーションも、
施されている。
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しかし1年経過して、
週末とウィークデーとに落差がある。
青果部門には平日、
その影響が現れやすく、
売場も乱れやすい。
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青果の左手のベーカリーショップから、
さまざまなイートイン・ショップが展開される。

野菜バーでも高い椅子でイートインができる。
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そしてガラス張りのチーズショップ。DSCN9990-6

天井からチーズがぶら下げられ、
素晴らしい香りが漂う。
この環境で様々なイベントも展開される。
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そして対面ミート売り場。
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何でも注文を聞いてくれる。

店舗左翼のフードサービス部門は、
そんなイートインもできるショップ群。
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これはオイスターバー。
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ワインバーやコーヒーバーがあって、
最後にイートインスペース。
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私たちもここでランチ。
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青果から店舗奥主通路を右手に折れると、
スパイス&ソルトのバルク売り場。
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そしてリカーショップ。
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3000坪の店の奥行。
グロサリーが店舗右手。
これもウェグマンズスタイル。
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その中の大容量安売り品通路。
ビッグ・バイ!
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ストリート・マーケットは、
シカゴ市内の市場の再現。
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奥主通路には島陳列で、
ディスカウントアイテムが並ぶ。
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水はマリアーノスの親会社ラウンディーズのPB。
そのラウンディーズも現在は、
クローガー傘下だけれど。DSCN9976-6
ただしラウンディーズのPBでは、
価格インパクトに欠ける。
早いところクローガーの商品を導入すべきだろう。

左翼には冷凍食品のコーナー。
ウェグマンズと同じ。
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レジ前は見通しがいい。
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そのレジ前エンドも、
ウェグマンズの斜め陳列。
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店が広いだけ、チェックスタンドも多い。DSCN9985-6

ウェグマンズの大型店は、
約2000坪だが、
マリアーノスのこの新店は、
3000坪で1.5倍に拡大した。

ウェグマンズの2000坪は、
最適の生産効率をはじき出しているが、
さて、マリアーノスの3000坪はいかがか。

フードサービス部門など、
素晴らしいけれど、
全体最適がちょっと気にかかる。

クローガーに買収されたラウンディーズ。
ウィスコンシン州、イリノイ州のローカルチェーン。
買収額は1億7800万ドル、
100円換算で178億円。

151店舗のラウンディーズに、
マリアーノス35店も含まれるが、
買収としてはいい案件だった。
ただし、負債を含めた総投資額は、
約8億ドル、800億円。

私は早いところ、
クローガーの強みを、
この店舗にも導入したほうがいいと思うが、
ジョン店長は、
「向こうが学びに来ている」

もともとジュエル・オスコーの人だから、
クローガーには敵対意識があるのか。

プライドの塊のような店長だった。

三番目の訪問はヘインズ。
この地のローカルチェーン。

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まず青果部門が素晴らしい。
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このクォリティ。
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もちろんオーガニックもコーナー化されている。
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青果の弱い店は、
アメリカでは生き残れない。
それだけでなく、
客数が減ってくると、
青果部門が弱体化する。
そしてますます弱くなる。
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精肉部門、デリ部門と、
この店の高いクォリティを表現しているが、
最後のワイン売り場がまた素晴らしい。
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店舗入り口には、
サービスデリの予約自動販売機。
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店に入ったらすぐに、
この機械で予約しておく。
そうすると買物している間に、
つくりたてのデリが用意される。

デリック・バーチェニーさんが、
案内して質問に答えてくれた。
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そして記念写真。
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左端が三井物産の和田幸成さん、

四番目はプラムマーケット。
支店経営の地元スーパーマーケット。
店舗数は5店。
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マンションの1階の店で、
狭いと思ったら意外に広くて、
2万平方フィートはある。
560坪。

入口の青果はクォリティ優先。
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ゴッサム・グリーンのブランドを入れている。
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ニューヨーク・ブルックリンの、
ホールフーズ環境対策店舗にも、
同じブランドが導入されている。

その青果部門は美しい。
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キッチンと名づけれらたサービスデリ。
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セルフサービス・デリも最新型。
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この惣菜アイテムに顧客がついている。
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そしてインストアベーカリー。
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最後に「シーズ・キャンディ」のショップ。
人気のショップを導入した。
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そして店舗右サイドは、
ワインバーとカフェ。
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規模は小さくとも、
いち早く最新のトレンドを取り込んでいる。

規模が小さいからこそ、
それをしなければ、
生き残ってはいけない。

アダム・ラッコウスキーさんを囲んで、
スマイル写真。
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店内を案内してくれたアダムさんに、
お土産を進呈したら大喜び。
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カフェスペースをもっと充実させるそうだ。
小さいからこそ、素早く変わらねばならない。

そして最後に隠れた実力者、
フレッシュファーム。
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この店も天井は高くて、
最新の店づくりのスタイルだ。
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そしてこの陳列。
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ダミーを使って、
最大限のボリューム感を出している。
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店名のFresh Farmは、
新鮮な農場。
まさにそれ。
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青果部門のコンセプトが、
それ以外の部門でも貫かれている。
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バラ菓子のバルク風販売。
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フレッシュファームも、
独自の個性を出していて、
昨日のジュエル・オスコーとは違う。

ポジショニング戦略は、
中小小売業のニッチ戦略展開上も、
基本の考え方となるのだ。

Chicagoの競争。

ウォルマートとマイヤー。
これはハイパーマーケット業態の闘い。

そして今回は訪れる時間がなかったが、
ホールフーズにトレーダー・ジョー。

それからEATALYとMariano’s。
マリアーノスがフューチャーストアに、
必死で近づこうとしている。

しかしこの企業も今は、
クローガー傘下。

もちろんインディペンデント企業も、
ヘインズ、プラムマーケット、
そしてフレッシュファーム。

イリノイ州シカゴ地区。
かつてはジュエル・オスコーと、
ドミニクスが2大ローカルチェーンだった。

ジュエルがアルバートソンに買収され、
ドミニクスはセーフウェイの傘下に入った。

そして今、両者は統合され、
サーベラス資本の下に集められた。

ドミニクスの創業メンバーが、
マリアーノ氏。
そのマリアーノさんが二度目に作ったのが、
ラウンディーズという会社で、
今回、マリアーノさんは、
クローガーにそれを売った。

人生で二度、会社を創業して売却。
それがセーフウェイとクローガー。

面白い人生だ。

その人生が表現された店が、
マリアーノス。

イータリーにしても、
マリアーノスにしても、
もちろんそれ以外の店にしても、
人の人生がかかった仕事だという気持ちで、
謙虚に向かい合わねばならない。
(つづきます)

〈結城義晴〉


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