シカゴのウォルマート・マイヤー・ジュエルオスコー訪問
シカゴに着いて、
㈱万代会長の加藤徹さんと合流。
今度は研究のための少人数視察。
シカゴはニューヨーク、ロサンゼルスに次いで、
アメリカ第三の都市だ。
しかしどのエリアに行っても、
まず、ウォルマート・スーパーセンター。
アメリカ小売業は、
ウォルマートを中心に回る、
メリーゴーランドだからだ。
2016年1月期決算で、
売上高4821億3000万ドル、
1ドル100円換算で48兆2130億円。
伸び率はマイナス0.7%で、
初めてだろう、マイナス成長。
しかし純利益は146億9400万ドル。
1兆4694億円の純利益で、
利益が1兆円を超える。
こちらも伸び率はマイナス9.2％だけれど。
世界総店舗数は1万1528店。
米国内総店舗数は5229店。
Market側の入り口を入ると、
ウォーターメロンが出迎えてくれる。
一丁目一番地は、
常に、季節の旬の商品。
それはもう徹底されている。
そして近年、充実著しい青果部門。
青果から精肉につながる。
その精肉部門は壁面の多段ケースと、
主通路沿いの平冷蔵ケースで構成。
グロサリーの主通路にも、
アクション・アレイと呼ばれる島陳列。
ウォルマートは成長鈍化していようとも、
オペレーションは変わらない。
カスタマーサービスマネジャーの
アンジェラさんがインタビューに答えてくれた。
｢私たちのウォルマートは、
さまざまな人間が働いている。
どんな人でもしっかり仕事さえしてくれたら、
差別せずにアソシエーツになってもらえる。
それがいいところよ」
ウォルマートはゲマインシャフトの組織なのだ。
｢この店は4年前にオープンした。
私も開店の時には、
ファーマシーの什器を組み立てて、
商品を並べたわ。
だからこの店は私の店なのよ」
素晴らしい。
加藤さんと三人で写真
ウォルマートはアメリカの象徴そのものだ。
さまざまな人間がここで仕事をし、
誇りをもって生きている。
次に、このエリアのリージョナルチェーン、
マイヤー。
2015年度全米チェーンストアランキング第26位。
非上場企業で、Hypermarketを展開する。
そう、ウォルマートのスーパーセンターと同業。
年商は156億8900万ドル、
1兆5689億円。
店舗数は213店。
だから1店平均年商73億6573万円。
スーパーマーケット側の入り口を入ると、
なかなか充実した青果部門。
青果とデリが顧客を迎える。
その左手奥がファーマシー。
ここがウォルマートと違う。
私はこのレイアウトの組み方を大評価。
何より顧客にとって便利だ。
そしてデリは壁面で対面方式。
平ケースに冷蔵食品が山盛り。
店舗右翼は非食品で総面積は25万平方フィート。
7000坪でウォルマートスーパーセンターと同じ。
非食品部門には熱帯魚売場がある。
ウォルマートにない商品だ。
そしてガーデニング。
これもウォルマート対抗策。
さらに衣料品がとてもいい。
キッズ、レディス、メンズ、服飾品。
回遊式の通路を配して、
ウォルマートよりも、
カテゴリー売場に入っていきやすいので、
商品が見やすく選びやすい。
ウォルマートがやらないやり方を、
丁寧に追及する。
しかしレジ部門など、
ウォルマートそっくり。
カレンさんがお別れの声をかけてくれた。
アシスタントフード・チームリーダーの、
カールさんがインタビューに答えてくれた。
｢目の前にウォルマートがあるけれど、
競合はしないよ。
競争しないように仕事している。
フードサービス業を15年やって、
それからマイヤーに来た。
すごくいい会社で、
もっと早く転職しておけばよかったよ｣
このマイヤーも、
誇りを持って働く者ばかりだ。
さらにジュエル・オスコー。
もともと西友が提携していたのがジュエル。
スーパーマーケット。
そのジュエルがオスコードラッグと合併。
ジュエル・オスコーとなった。
その後、アメリカンストアーズに買収され、
さらに1992年、アルバートソンに売却される。
当時は74店だった。
その後、1999年に、
業界4位だったアメリカンストアーズそのものが、
アルバートソンに買収されてしまった。
当時、1500店。
アルバートソンの凋落は、
この時から始まった。
あまりよろしくない因縁の両者。
今、ジュエル・オスコーもアルバートソン傘下で、
2015年1月、投資会社サーベラスのもと、
セーフウェイと合併完了。
だからジュエル・オスコーは、
アルバートソン&セーフウェイグループ。
だから、店は、
典型的なコンベンショナルスタイル。
アルバートソン得意の、
バイ1ゲット1フリー。
ああ、古い店だ。
しかし牛乳はOオーガニックが入っている。
ご存知、セーフウェイのブランド。
ああ、ジュエル・オスコーよ。
そしてナショナルチェーンといえるだろう、
トレーダー・ジョー。
こちらはドイツのアルディ傘下で、
我が道を行く小売業の代表選手。
どのエリアの店も、
壁面のイラストやレイアウト配置は、
若干違うが、しかし標準化はなされている。
それが現代のチェーンストア。
エンドとトップボードもこの店独自。
この店のアーティストは、
壁面に絵画を描く。
それがすごくいい。
商品とサービスは、
もうトレーダー・ジョーそのもの。
いつでも、どこでも、
大人気のジョー君たち。
すばらしい。
そのほかに5店舗を巡ったが、
それは明日のブログ。
夕方、シカゴの三井物産を訪問。
このビルの53階。
今回の研究にご協力いただいた。
見下ろせばミシガン湖。
そしてシカゴの高層ビルと街並み。
お世話になりました。
ディナーはシカゴ一のレストラン。
リバ・クラブハウス。
厨房も活気のあるシーフードレストラン。
窓辺の席からは、
ヨットが見える。
加藤さんと並んで、
疲れをいやす。
ミシガン湖に夕日が沈んでゆく。
この店のマネジャーがあいさつに来た。
ステファーノ・カサティさん。
｢僕はマリアーノスで働いていた。
いま、このレストランのマネジャーです。
マリアーノさんとも親しいですよ」
｢ありがとう｣と記念写真。
充実した研究視察と夕食。
疲れをとって、明日も頑張る。
今日会ったスーパーマーケットマンは、
皆、例外なく、誇りを持っていた。
それがうれしい。
〈結城義晴〉
