結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2016年09月28日(水曜日)

ヒラリー&トランプと安倍&蓮舫の「ガラスの天井と地下室」

昨日は大統領選テレビ討論会。

初の女性大統領を目指す
民主党候補ヒラリー・クリントン。
異端の不動産王、
共和党候補ドナルド・トランプ。

日経新聞夕刊、
ウォール街ラウンドアップ。

「米株の先物が買われ、
メキシコペソも反発。
クリントン氏が(討論で)
負けなかったことを示唆する」

そのうえで、
アメリカ産業界の、
支持層の「ねじれ」を指摘。

「大企業がクリントン氏を支持し、
民主党の支持層だった中小への
支援をトランプ氏が持ちかける」

これが異例の大統領選を、
さらに予測不能にしている。

毎日新聞が二人の専門家に、
コメントを求めた。

ジョナサン・ミラーさん。
米国外交問題評議会国際問題フェロー。

「討論はクリントン氏の圧勝だった。
トランプ氏の外交政策は、
アジア専門の米国人の一人として
聞くに堪えないものだった。
クリントン氏は、
日本を含めた同盟国への関与の
重要性を明確にして安心させた」

一方、
渡部恒雄さん。
東京財団上席研究員で、
讀賣新聞のあの方ではない。

「反主流のポピュリストと、
正統なリアリストとの戦いだ」
前者は大衆迎合主義者のトランプ、
後者が現実主義者のヒラリー。

「第1ラウンドは総合的には
クリントン氏が優位な結果を残した」

そして先を読む。
「クリントン氏が大統領なら
政策は予測可能性が高く、
日本にとってはやりやすい」

「トランプ氏が大統領でも、
外交を専門家に丸投げして
既存の共和党路線に
戻る可能性も十分にある。
自流にこだわれば
陣容が整うのに時間がかかり、
外交が停滞するリスクがあるが、
そのときはむしろ日本が
アジア外交を積極的に
主導するチャンスともいえる」

渡部さんは楽観的で、よろしい。

一方、日本では一昨日から、
第192回の臨時国会。
安倍晋三首相の所信表明演説に対して、
今日は参議院本会議で、
民進党の蓮舫代表が質問。

アメリカでも日本でも、
男女対決。

その主張の中身は別にして、
「ガラスの天井」はずいぶん低くなった。

逆に、
「ガラスの地下室」
などという言葉が生まれるくらい。

ワレン・ファレル著『男性権力の神話』
1993年の出版だが、
このなかに「地下室」が出てくる。

「ガラスの天井」は、
女性の一定以上の昇進を阻む壁。

「ガラスの地下室」は、
男性が使い捨てられる現実を表現。
収入と引き換えの
危険な職種や長時間勤務、
自殺、病気や事故による高い死亡率、
徴兵、死刑といった過酷な状況。

トランプ支持層には、
「ガラスの地下室のメロディ」が、
流れているかもしれない。

アメリカ人の平均寿命は、
男性が女性より6.9歳短い。
1920年には差は1歳だった。

日本も2015年現在、
女性が87.06歳、
男性が80.79歳。
男女差6.27歳。
1920年頃はアメリカ同様に、
約1歳の差だった。

差は、日米ともに、
開き続けている。

そんな中で、かの国では、
大統領の「ガラスの天井」は、
どうやら破られそうだ。

まだまだ予断は許さないけれど。

さて、今日も一日、
横浜商人舎オフィス。

朝から染谷剛史さんが来訪。
㈱リンクアンドモチベーション、
MEカンパニー執行役。DSCN9838-6
Mはモチベーションで、
Eはエンジニアリング。

小売業・サービス業に絞って、
エントリー・マネジメントと、
モチベーション・マネジメントに関する、
ソリューションを展開する。

MEカンパニーに協力して、
12月6日にセミナーを、
開催することになった。

基調講演を担当する。
詳細は追ってお知らせする。

一方、
とりせん下館店。とりせん2-6
昨日、商人舎編集スタッフ廣川裕が、
Weekly商人舎の取材で訪問。

店長の片野和久さん。
DSCF6271-6

とりせん本部からも、
重鎮がずらりと顔をそろえて、
インタビューに応じてくれた。とりせん-6
左から成田和弥さん、赤井淳一さん、
秋山謙二さん、田中幸雄さん。
成田さんは営業サポート本部開発部部長、
赤井さんは常務取締役営業副本部長、
秋山さんが取締役第一商品部長、
田中さんが取締役第二商品部長。

長編の取材記事は、
2週間ほど先に公開予定。

さて最後に昨日の、
糸井重里の『ほぼ日』
巻頭エッセイは「今日のダーリン」

「たのしいことを
見つけるというのは、
とても大切なことだ」

これ、糸井の得意技。

「いま、どこかの店で
お茶をのんだりしながら、
通り過ぎる人たちを
見ているとする。
ただ眺めていて、
それがたのしいなら、
それでいい」

「眺めているだけでは
たのしくなくなったら、
じぶんなりに、
歩いてくる人たちの
表情やら服装やらで、
仮説を立ててみたり、
妄想をしてみたりする。
それがたのしいなら、それでいい」

「『いろんな人がいるなぁ』という、
そのいろいろを、そのまま
『いろいろだなぁ』と
感じているのも、いい」

いかにも糸井だ。

「たのしくもなんともない場に、
たのしいことを見つけたり、
生み出したりするのは、
よくそれをしている人には、
むつかしいことではない。
じぶんがたのしければいいのだから、
人に迷惑をかけることもないし、
批判されることもない」

そして現代を風刺する。

「人間がたのしいことを見つけるより前に、
『これはたのしいですよ』ということが、
ひっきりなしに流れてくるのが、
現代というものだ」

テレビ、ゲーム、スマートフォン…。

糸井はそのことを、
否定や批判するのではなく、
提案する。

「たのしみというものを、
だれかに与えてもらうものなんだと
思いこんでるそのクセが、
もったいないと思うのだ」

「たのしいことというのは、
だれかがくれるものではない」

「だれかだとか、
なにかだとかと
いっしょに
じぶんで
生み出すものだ」

そう、それが、
アミューズメントの本質だ。

「『たのしい』が雨のように
降り注いできたとしても、
あなたがたのしくなるとはかぎらない」

「『たのしい』は、
もともとあなたが
持っているもので、

あなたの『なかに(!)』
あるものなのだ」

だから「たのしい」を、
ビジネスモデルにするとしたら、
顧客がもともともっているものを、
引き出す仕事をつくることだ。

「たのしくしてくれる人が好き
‥‥そうなんだけどね、
その人は、あなたが
たのしんでいるのを見て、
じぶんもたのしいと
思う人だろうか」

人が楽しんでいるのを、
自分の楽しみにできる人。

だからトランプとヒラリーや、
安倍晋三と蓮舫も、
楽しむのがいい。

楽しみを見つけつつ、
学ぶのがいい。

「ガラスの天井と地下室」
これらは「苦しい」を前提にしている。

そういったことが、
いろいろなねじれの、
原因にもなっているんだと思う。

〈結城義晴〉


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