結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年02月27日(土曜日)

Snow Moonと「将棋界の一番長い日」

2月の満月。
Snow Moon。
雪の月。
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ネイティブ・アメリカンが、
毎月の満月に名前をつけた。

1月はWolf Moon。
オオカミの月。
野生の狼が遠吠えするときの満月。

3月はWorm Moon。
芋虫の月。
芋虫が這い出る季節で、
日本の二十四節気「啓蟄」に似ている。

その2月のSnow Moonだが、
雪は降っていなくとも、
冴え冴えとした趣がある。
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2月26日の金曜日から、
27日の土曜日午前様まで。

「将棋界の一番長い日」だった。

いま東北新社の接待問題で話題の、
囲碁将棋チャンネルで1日中中継。

将棋のプロ棋士は現在172人。
その棋士たちには、
厳然としたランキングがある。
1番から172番まで。

それが将棋順位戦と称される、
最も伝統のある棋戦だ。

歴史的な紆余曲折があって現在は、
朝日新聞と毎日新聞が共催している。

最高峰のクラスがA級の10人。

次がB級1組、その次がB級2組。
そしてC級1組、C級2組と続く。
これ以外にフリークラスとして、
順位戦から退場した棋士もいる。

すべての棋士がプロ4段になると、
C級2組に位置づけられて、
そこから這いあがる。
C級2組には今年度52人がいる。

藤井聡太は2016年10月1日に、
史上最年少の14歳2カ月でプロ入りし、
翌2017年度4月から、
C級2組でスタートした。

その2017年度は1年間全勝で、
翌2018年にC級1組に昇格。

この年も全勝で翌2019年度、B級2組。

しかしこの19年度は9勝1敗で、
惜しくも昇級できなかった。

翌2020年度の今期はまた全勝して、
2021年度はB級1組に上がる。

このB級1組は「鬼の棲家」と言われて、
A級を目指す俊英と、
A級から落ちてきた強豪が、
しのぎを削る。

18歳となった藤井聡太は、
プロになってからこれまでの4年間、
棋士のランクを示す順位戦で39勝1敗。
順位戦は圧倒的に強い。

来年度、このB級1組を1年で通過すれば、
2022年度にA級に上がる。

そしてA級で優勝すれば、
名人に挑戦できる。

この順位戦のシステム全体の中で、
A級棋士たちの最終戦が一斉に行われる。
それが「将棋界の一番長い日」だ。

今年度はこのA級順位戦最終日が、
静岡市葵区の料亭「浮月楼」で行われた。

最後のイベントを盛り上げる趣向だ。

この10人による5局が、
互いに持ち時間6時間で、
朝9時からスタート。

午後8時過ぎから、
次々と終局を迎えて、
最大の注目局は、
27日午前0時15分に終わった。

斎藤慎太郎八段と佐藤天彦九段の一戦。
斎藤八段が今期は、
7勝1敗で首位を走ってきた。
この一戦に勝利すると、
名人挑戦権を獲得する。

果たして、163手で、
佐藤天彦が投了。
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互いに持ち時間を使い切り、
昼食と夕食の休憩それぞれ1時間で、
あとは1分将棋。

斎藤慎太郎は奈良市出身の27歳。
日本将棋連盟関西本部所属で、
「西の将棋王子」と称される。
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藤井聡太同様に詰将棋の達人で、
2019年詰将棋解答選手権2位。
1位は藤井聡太。

対する佐藤天彦は福岡県出身の33歳で、
2017年、18年、19年と3期、
名人位を獲得していた天才だ。
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名人戦は七番勝負。
4月7日にホテル椿山荘東京で開幕する。

待ち受ける名人は渡辺明、
東京都出身の36歳。

現在、名人のほかに、
棋王位と王将位を保有する三冠。

2021年時点で最強の実力者だ。

「将棋の渡辺君」という漫画でも人気。
奥さんがその漫画を描く伊奈めぐみさん。
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私もこの5巻すべてを持っている。

将棋界も毎年4月に始まって3月に終わる。

その新年度のはじめの大勝負が、
名人戦7番勝負となる。

囲碁界にも一番長い日がある。
こちらは本因坊戦リーグ最終一斉対局の日だ。

将棋界は名人戦、
囲碁界は本因坊戦。

囲碁の本因坊は現在、
井山裕太、31歳。
現在9連覇中の圧倒的な王者だ。
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将棋界のかつての名人たちには、
良いことばがある。

現名人の渡辺明も、
佐藤天彦も斎藤慎太郎も、
藤井聡太も、
そして井山裕太も、
まだ名言は吐けない。

強い将棋や囲碁を指すだけだ。

名言を残し、それが、
他者に影響を与えるようになるには、
時間が必要なのだ。

故大山康晴名人(1992年没)。
「平凡は妙手に勝る」
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小売業にもサービス業にも当てはまる。

「勝負において、
奇をてらうような手に、
いい手はない。
いい手というのは本当は
地味な手である」

その大山の先輩で、
「新手一生」の升田幸三名人(91年没)。

「勝負は、
その勝負の前に
ついている」

その通り。

「難局は、これ良師だ。
負けることはありがたい。
負けて目覚める、
あの手この手だ。
苦しみが勉強になる」
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果たして、
小売流通業界の一番長い日は、
いつなのだろう。

いつなのかはわからないが、
しかしその際には、
誰を置いても結城義晴が、
観戦記を書かねばならないだろう。

〈結城義晴〉


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