結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年04月17日(土曜日)

「ぼくはエンドロールの時間、 席を立たない」

4月16日の「ほぼ日」の巻頭。
糸井重里さんの「今日のダーリン」

「映画が終わって、
エンドロールが流れていく」
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「とにかく情報量は多いのだけれど、
それが、観客のそれぞれに
どう伝わるべきものかはわからない。
ほとんどが、役割の名と、
人の名前ばかりだからである」

「かなりの時間、
延々と人の名前が流れていく」

「ぼくは、
このエンドロールの時間、
席を立たない」

私も同じだ。

「映画は、ある意味
もう終わっている。
エンドロールまでが物語なのだ
とは考えていない」

「しかし、人の名前が流れていくのを
ずっと見ている」

「確固とした理由があるわけではないが、
これが終わって
場内が明るくなるまで見続けるのは、
ひとつの礼儀なのだ
と思っているような気がする」

「だから、ほんとうに
時間がないときなどには、
エンドロールが流れている途中で、
静かに抜け出す」

同感だ。

エンドロールの時間は、
観客にとっては、
映画の余韻を楽しむ時だと思う。

糸井さん。
「あれだけ大勢の人の名前が
並んでいるということは、
その一人ひとりへの
感謝の気持ちがあるということ」

映画監督やプロデューサーからは、
すべての人への感謝の気持ちが、
エンドロールに表れている。

「あるいは仲間同士たがいに、
これだけ多くの一人一人に礼を
尽くしたくて、
だれが読むのかわからない
人名の行列を続けている」
「あれだけ多くの人たちが、
かなり長い期間、
一本の映画に関わっていて、
それぞれの人たちの思いや労力が
映画をつくったのだ」

「逆に、それだけの人たちが
根気よく付き合わなかったら、
映画はできませんでした、
ということなのである」

「そして、実際に映画ができたから、
上映されているのだ。
すごいことだと、
ただの観客であるぼくは思うのだ」

雑誌も同じだ。
多くの人がかかわってくれて出来上がる。

単行本はかかわる人が少ないけれど。

私は月刊雑誌で、
このエンドロールのページを、
つくったことがある。

40年ほどの編集者生活で、
たった2回だけれど。

最初が『サミットスタディ』
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1993年、㈱商業界刊。
月刊食品商業4月号別冊。
416ページ。

編集長はもちろん結城義晴。

最終ページがエンドロール。
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黒字に白文字、
横組みにした。
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Special Thanks to
「上野光平、北野祐次、水谷久三、
そして佐味敏雄&安土敏」

Directed& Produced by 結城義晴。

もう1冊が2016年の、
『一・十・百・千・万代スタディ』
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こちらは表紙にも出演者の写真を使った。
エンドロールは白地に黒文字。
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感謝の最後は、「加藤進(故人)」

映画や雑誌だけではない。
音楽のアルバムも、
寺院や大聖堂も、
ピラミッドや万里の長城も、
数えきれない人間によってつくられた。

会社も店舗も、
多くの人々に支えられている。

新店など、目立たなくてもいいから、
どこかに全員の名前を刻んで、
エンドロールをつくっておきたい。

多くの人がかかわる仕事を、
糸井さんはこう言う。
「平坦そうに見えて山道。
これが新しいことやるときの法則」

名前が続けられるだけで、
平坦ではなかったことが思い出される。

エンドロールを眺めているひとときは、
監督や製作者にとって至福の時間である。

〈結城義晴〉


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