ダラス3日目の現代の｢カットスロートコンペティション｣
商人舎US研修スペシャルコース。
朝8時から2回目の3時間講義。
アメリカの消費産業と小売業を、
しっかり学んでほしい。
そのうえで結城義晴の理論や情勢分析を、
余すことなく伝いたい。
昨日訪れた店舗と企業の解説をして、
それから商品問題の講義。
コモディティ化現象と商品開発。
サム･ウォルトンのエブリデーロープライスの、
その根本的な戦略性。
そしてプライベートブランドの4分類の根拠。
よくわかってくれただろうか。
さらにネットネットプライシング。
この構造がわからねば、
アメリカでも日本でも、
いい商売はできない。
さらに業態からフォーマットへの転換、
そしてポジショニング戦略。
私が商人舎を創設して、
主張してきたことを一気呵成に語った。
そしてアメリカのRetaiⅼも、
日本のチェーンストアも、
その見立ての通りに進行している。
3時間講義するとへとへとになる。
しかしすぐにリムジンバスで視察に出発。
まず、
ノースパークセンター。
Dallas有数のスーパーリージョナルショッピングセンター。
そしてライフスタイルセンター。
古典的なSC分類と、
新しいSC分類。
それが今、融合している。
店舗が業態からフォーマットに変わったように、
商業集積もフォーマット化した。
だからノースパークも、
いたるところに彫刻がある。
ライフスタイルセンターは、
憩いの場を提供する。
そしてこのノースパークに2020年12月、
イータリーがオープンした。
2階にメイン売場がある。
今、世界に45店。
アメリカに10店となった。
このダラスの店は実によくできている。
イータリーのコンセプトが貫徹されている。
コンセプトは一カ所で、
“学び、食べ、買う”店。
創業者のオスカー・ファリネッティは言う。
｢市場であり､食堂であり､学校であるような店｣
イタリア料理、イタリア食材で、
内食と外食が融合している。
いわばフューチャーストア。
1階は珈琲、ケーキ売場とカフェ。
そして米国ダイソー。
㈱大創産業から加藤正樹さんが参加。
日本運営本部長。
アメリカのダイソーをみんなで視察。
店の入り口右の一丁目一番地では、
きちんとハロウィンの商品を展開。
アメリカダイソーは文具、化粧品、
そして菓子が売れ筋カテゴリー。
エンドでは、独自のストロベリーフェア。
同じショッピングセンターに、
トムサム。
アルバートソン傘下。
アルバートソンは、
ダラス・フォートワース都市圏では3位。
105店舗で11.6％のシェアを稼ぐ。
トムサムはもともとこのダラスの、
ローカルス―パーマーケットだった。
残念ながらセーフウェイに買収された。
そのセーフウェイがアルバートソンと合併。
社名はアルバートソンとなった。
傘下に入っても、
地域に馴染んでいる屋号をそのまま使う。
良く管理された売場だが、客数は少ない。
その理由の一つはこのメンバー価格。
クラブカードを持つ客だけに、
割安価格で提供する。
これでは客層は拡がらない。
ポジショニングの弱い店。
アルバートソンの規模は大きいが、
店は特徴がなくなっている。
アメリカの競争の厳しさを象徴する店だ。
ここで少しだけ観光。
ジョン・フィッツジェラルド・ケネディ。
第35代アメリカ大統領の暗殺現場。
1963年11月22日金曜日、
遊説中のケネディ大統領が
ダラス市内をパレード中に銃撃され、
死亡した。
その現場を視察。
ダラスのダウンタウンにある、
元教科書倉庫ビル。
この最上階の右側の部屋から、
１発の銃弾が放たれた。
2発目の狙撃点
は道を少し下った先にある。
道路には✖印。
ダラスの観光地は少ない。
その中で、もっとも有名な観光地になった。
皆で記念撮影。
ダウンタウンを後に、
今回のダラス視察の目玉、
ジョーヴィ・スマートショップへ。
HEBの倉庫型スーパーマーケット。
ディスカウントを打ち出す。
HEBの強みの一つは青果物。
ジョーヴィも腰高のクレート什器で、
多品種の果物や野菜を並べる。
ミートもHEBの強み。
大容量パック商品を低価格で販売する。
ヒスパニック系住民の多い地域だから、
ヒスパニックメニューが豊富だ。
OICグループの福島道夫さんが、
PBのアイスを購入してみんなに配った。
わたしはチョコアイスバーを試食した。
ジョーヴィ・スマートショップと近接している
ウォルマート・スーパーセンター。
この店は改装したばかり。
ウォルマートが進めている、
｢フューチャーストア｣のエッセンスを取り入れている。
サインは丸文字に変わり、
コーナー壁面には可愛らしいイラスト。
ハロウィンの催事コーナー。
エンドボードの笑顔のカボチャ。
調剤薬局の壁面もご覧の通り。
アパレルを強化するウォルマート。
なかでもベビー・子どもに進化が見られる。
人気ブランド｢カーターズ｣も導入。
男性的な売場づくりが特徴だったウォルマート。
女性客をターゲットに加えて、
新しい店づくりの実験が進んでいる。
一方、オンライン販売では、
ドローンによる即日配送の実験。
店舗からどんどん、
ドローンが飛び立っている。
敷地の一角にあるドローンの基地。
すぐそばにあるローカルスーパーマーケットに寄る。
リオグランデ。スペイン語で大河。
ヒスパニック系のスーパーマーケット。
さらにアルディ。
ドイツ出身の小型ボックスストア。
全米39州に2300店舗を配置。
リミテッドアソートメントで低価格を打ち出す。
青果を強化して、オーガニックも扱う。
パンの品揃えも増やした。
取り扱いアイテムは3000品目。
その95％がプライベートブランド。
驚くことに、電子棚札を導入。
ローコスト運営をさらに進める。
ダラスの最後の視察店は、
ウィンコフーズ。
倉庫型のディスカウント・スーパーマーケット。
Superウェアハウスストアという。
導入部は「The Wall of Values」
価値ある壁。
巨大なラック什器に超特売品を並べる。
そして近隣の競合店との価格比較で、
安さを強調する。
青果売場ではオーガニック商品も扱う。
オーガニックは定番コーナーになっている。
バルク売場が特徴の一つ。
この店は青果の次にベーカリー売場。
基本のゾーニングでは最終コーナーに配置する。
ディスカウントストアでも、
床はピカピカ。
スケルトンの天井には採光窓。
昨日はオーガニック御三家、
今日はディスカウント系の店店。
ライフスタイル型でも、
ディスカウント型でも、
どちらでもポジショニングを構築することができる。
ポジショニングのない店は退場させられる。
それがアメリカの現在の喉を掻き切る競争なのだ。
(つづきます)
〈結城義晴〉
