結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年06月18日(日曜日)

アル・プラザ彦根の「地域共創」と平和堂のFather’s Day

父の日。
6月第3日曜日。

平和堂の父の日セール。

食品フロアでは、
牛肉の平台が目立った。
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Father’s DayのPOP。IMG_46363
ロースステーキ100グラム598円。

「あじわい牛」のブランドで展開している。IMG_46353

それからアパレル売場。

こちらも真ん中にFather’s Day。
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全国無料配達のギフト提案。
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平和堂のクォリティブランド「E-WA!」
肌ひやメガストレッチパンツ。
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これは平松正嗣社長も穿いていたし、
三松眞吾部長も身に着けていた。

自分たちが着る。
パートさんが飛びつく。

そんな商品が必要だ。

私は彦根で目覚めた。IMG_48073

目の前に彦根城とお堀。IMG_48083

最高の気分。

朝風呂に入って、
ゆっくり朝食をとる。

アル・プラザ彦根まで歩いて、
1階のラウンジでパソコンに向かって仕事。

アル・プラザの1号店で、
1979年にオープン。IMG_48223

私は1977年に㈱商業界に入社して、
販売革新編集部に配属された。

そして2年目に全国のチェーンストアを、
ひとりで取材して歩いた。

北海道から九州まで。

その折に彦根にやってきた。
そして故夏原平次郎会長に話を聞いた。

創業のころの苦労話だとか、
社名の由来だとか、
故中内功さんとの不可侵条約のことだとか。
これはオフレコにせよと言われた。
もう40年以上も経過するから時効だ。

そのアル・プラザ彦根が改装して、
「地域共創」の象徴の店となった。

60歳以上の人のための滋賀県レイカディア大学。
そのオープンキャンパスが、
この店の4階COZY TOWNにある。
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うれしい限りだ。
平次郎さんも平和さんも、
きっと喜んでいらっしゃるに違いない。

合掌。

駅前には井伊直政公の騎馬武者像。IMG_48203

アル・プラザ彦根の背景には、
彦根城が見える。IMG_48233

夕方、平松社長から、
メールが届いた。

昨日、彦根店の屋上展望台から、
ふたりで見た景色。
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平松さんのマンションから撮影した同じ光景。
その「夕日に浮かぶ彦根城」バージョン。
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美しい。
ありがとうございました。

家に帰ったら私にも、
娘から父の日プレゼントが手渡された。
ラルフローレンのポロシャツだった。

息子夫婦は、
私の好きな肉を送ってくれた。

私は1日、仕事をしていたけれど、
父の日はそれなりにいいもんだ。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2023年06月17日(土曜日)

平和堂アル・プラザ改装3店訪問と平松正嗣の「地域共創」

朝の新幹線で西へ。

富士は雲に隠れている。
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頂だけ見えた。

雪はほとんど解けて、夏の富士。IMG_54903

名古屋を過ぎて、伊吹山。IMG_46053

そして京都で下車。IMG_46083

外国人観光客が多い。IMG_46093

乗り換えて草津へ。

アル・プラザ草津。
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2020年からフロア改装を重ねて、
2023年4月21日にグランドオープンした。

1階のフードコート。
座席数は350席から 450 席に拡げた。

銀だこと天下一ラーメンが新たに入って、
人気を博している。

このフードコートの改装は、
大成功だ。

土曜日の1時過ぎ、
よくお客が入っている。IMG_55113

フードコートには、
コンシェルジュのお二人。
案内係りの腕章を巻いて、
顧客サービスに努める。

初めての導入である。IMG_55133

北海道うまいもの館は、
常設の売場でこちらも人気だ。IMG_55213

2階にロフトを誘致。
これが今回の目玉の一つ。

2020年8月31日に西武大津店が閉店し、
その中に入っていたロフトも撤退。
だからロフトは、
3年ぶりの滋賀県への再出店となる。
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そんなこともあって、
若い顧客が多数、入っている。

館内には顧客同士が集まり、
交流できるスペースが多く設けられた。

こちらは2020 年に誕生した
交流スペース「ヤシの木広場」。
子どもたちが工作している。IMG_55623

案内し、説明してくれた平和堂の皆さん。
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私の右は三松眞吾さん。
滋賀県第三営業部部長兼第一グループマネージャー。
今日のアテンドをしてくれる。

私の左隣から、
アル・プラザ草津支配人の谷脇直公さん、
衣住統轄店長の奥野正士さん、
衣住統轄副店長の矢田和重さん。

車で移動して、東近江市へ。
アル・プラザ八日市。
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2022年9月9日に改装オープン。

階上の駐車場から4階に入店すると、
通路にテーブルと椅子が並んでいる。
そこで八日市高校の生徒たちが集って、
勉強している。

吹き抜けの広場にはイベントスペース。IMG_55903

1階の食品売場。

導入部はフルーツラボ。
カットフルーツやスイーツを提供する。IMG_56123

案内してくれた三松さんが
改装のコンセプトをつくった。
三松さんの説明にも力が入る。IMG_56143

惣菜部門は、
白を基調にした清潔感のある売場。IMG_56253

1階のフードコートにある
「ラブベジbyミモザキッチン」。
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無農薬野菜などを使って、
デリとスイーツを提供する。

滋賀県ベスト10に入る人気店。
アル・プラザで初めて誘致した。

総合スーパー業態の停滞は著しい。
イトーヨーカ堂はアパレルから撤退した。

しかし平和堂は「地域共創」を掲げて、
その総合スーパーの存在価値を追求する。

八日市の昔の姿を描いた絵屏風の前で写真。
真ん中は支配人の西村裕樹さん。IMG_56363

最後はアル・プラザ彦根。
2022年12月2日に全館改装オープン。

1979年に開店した「アル・プラザ」1号店。
平和堂のシンボル的な店だ。

平松正嗣社長が出迎えて、案内してくれた。
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2021年12月に第一期として、
地下1階の食品フロア、1階の暮らしのフロア、
2階のファッションのフロアと、
3階の専門店のフロアを改装した。

3階にはだれでも弾ける”街角”ピアノ。
高校生が弾いていた。IMG_56493

そして第二期で残りのフロアを改装。

それぞれがコンセプチュアルなフロアになった。

4階が「地域交流のフロア」。IMG_5653
「みんなの広場」には、足湯や卓球台から、
囲碁、オセロなどのゲームまで用意されている。

レイカディア大学のオープンキャンパスもある。
60歳以上のアクティブシニアのための大学だ。

6階は「書店と展望カフェのフロア」。
ここがいい。

「COZY TOWN café」の窓からは、
彦根城が見える。

夕方は高校生の姿が多く見られる。IMG_56593

平和書店は平和堂の直営店だが、
新しい書店の方向性を探求している。

まず地域に関連する書籍を充実させている。
滋賀出身の作家のコーナーや、
小さな出版社の書籍コーナー、
顧客が自分で作る本の棚など、
面白いアイデアが満載されている。
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Netで人気のアイテムの陳列コーナーもある。IMG_56623

彦根で盛んなボードゲーム「カロム」。
平和堂はカロム大会を支援する。IMG_56583

屋上は「芝生広場・展望デッキ」。
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高校生の3つのグループが
ダンスの練習をしていた。IMG_56693

展望台からは彦根城や琵琶湖が望める。
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地域住民にも観光客にも、
公開されていて、
地域とつながる店。
すばらしい改装だ。

小林靖店長(右)を交えて、
平和書店の前で写真。IMG_56773

夜は日本料理の「伊勢幾」。
大正時代に創業した老舗。

夏原行平専務と、
平塚善道取締役店舗営業本部長を交えた、
楽しい会食。
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(ピンボケですみません)

旬のはも鍋と地酒が、
とりわけ美味しかった。

最後に彦根城のお堀。
新緑が写り込んですばらしい。

春は桜、秋は紅葉、
そして冬は雪。
どの季節も感動的な城と堀。IMG_56863

平松さん、ありがとうございました。
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平和堂の「地域共創」のストーリー、
よく理解しました。

リージョナルチェーンの在り方も、
良く見えてきました。

平和堂がその在り方を、
明確に示してくれています。

故人となられた夏原平和さんも、
喜んでいると思います。
ありがとう。

〈結城義晴〉

2023年06月16日(金曜日)

伊藤園陳列審査の「価格より企画」とヨーカ堂&ヨークの「合併」

伊藤園陳列コンテスト最終審査会。

食品飲料業界で最大最長の、
商品プレゼンテーションコンテスト。

東京・清水橋の伊藤園本社。IMG_54433

地下1階の会議室に、
審査委員が参集した。IMG_54453

事務局からの説明のあと、
本庄周介副社長が、
とくに今回の趣旨を解説してくれた。IMG_54473

早速、店舗賞の選考。
審査員が各自で優秀な作品を選ぶ。IMG_54503

その集計をして、
票が集まった作品が優秀賞や大賞を獲得する。
票が拮抗すると、
審査員のディスカッションで決める。IMG_54553

決定しました。IMG_54583

第1弾と第2弾に、
それぞれ3つずつのコースがある。

その優秀賞と大賞が決まると、
次に企業賞の資料が配られて、検討に入る。
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企業賞も決定。

賞金も業界最大級。
歴史と伝統も最長。

それにふさわしい企業が選ばれた。

選考が終わると、
審査委員が全員、
総評を述べる。

まずは私から。
コロナ禍明けということもあって、
今回はとくにすぐれた作品が多かった。

講評の中で印象的だったのは、
本庄周介副社長と神谷茂専務の言葉。
「価格より企画」

プレゼンテーションの企画そのものが、
問われているし、
その出来栄えが顧客から評価される。

その意味でもとてもいい陳列コンテストだった。
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審査のすべてが終わると、
掲載雑誌用の写真撮影。IMG_54643
右から神谷専務、本庄周介副社長、本庄大介社長。

そして恒例のブログ用の写真撮影。
スタッフも全員が並んで写る。IMG_547033

とくに本庄大介社長とツーショット。IMG_E54743

そのあとは江島祥仁最高顧問の部屋へ。
これも恒例となっている。

抹茶をいただきながら、懇談。IMG_54763
流通業界のことやアメリカのことなど、
1時間以上も話し合った。

いつも帰りがたくなる。
それくらいくつろいでしまう。

江島さん、ありがとうございました。
〈前列左が江島さん、右が大介さん〉
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さて商人舎流通スーパーニュース。
セブン&アイnews|
イトーヨーカ堂がヨークを吸収合併/首都圏SST事業再編

セブン&アイ・ホールディングスが、
連結子会社の㈱イトーヨーカ堂と㈱ヨークを合併する。

イトーヨーカ堂が存続会社、
ヨークが消滅会社。

合併効力は9月1日からだが、
これによって、
1975年に発足したヨークマートがなくなる。

1号店は1976年の勝田台店。

私は翌1977年に商業界に入社した。
1年先輩の高濱則行さんが、
販売革新誌に勝田台店の商品構成を、
全調査して克明に公開した。

それは約1000坪のイトーヨーカ堂の食品売場を、
450坪に縮小した店だった。

いわばイトーヨーカ堂の完コピ縮小版が、
ヨークマートだった。

それでも業界からは、
絶賛の声が相次いだ。

しかし、品ぞろえは豊富だが、
ひどく商品管理が難しく、
なおかつ買いにくい店だった。

フェーシングが細かすぎたからだ。

当時の段階ではスーパーマーケットは、
「GMS」の食品売場の縮小版でよいという考えだった。

その後、ヨークマートは試行錯誤を繰り返して、
スーパーマーケットを追求する。

それでもどういうわけか、
鳴かず飛ばずで推移し、
2020年6月に㈱ヨークとなる。

㈱フォーキャストを吸収し、
ザ・プライスを糾合し、
一部の食品館イトーヨーカドーを譲受した。

結局、寄せ集めとなって、
さらにいまイトーヨーカ堂と合併する。

1972年にスタートしたコンビニは、
セブン-イレブンとして、
イトーヨーカ堂とな異なる品揃えを果たして、
むしろそれが主力業態となった。

中途半端なヨークマートが、
イトーヨーカ堂に伝染したかのような現象の末、
経営統合されてしまう。

シナジー効果と運営効率の最大化と称しているが、
異なるコンセプトの店の寄せ集めである。

もうひとつ、
イトーヨーカ堂のネットスーパー事業は、
新設した倉庫型通販型小売会社に移管される。
そして連結から外される。

セブン&アイは、
2025年にEBIDTA550億円を、
株主に公約している。

ネットスーパー事業は、
それに足かせとなるからだ。

EBIDTAは「金利・税金・償却前利益」で、
フリルのない純利益のことだが、
その目標達成が至上課題である。

イオンの「グリーン・ビーンズ」とは、
ずいぶん異なる観点である。

2023年2月期は、
イトーヨーカ堂が営業収益7293億円、
営業利益4億円、経常利益10億8700万円。
ヨークは営業収益1825億円、
営業損失3億9600万円、経常損失3億5600万円、
純損失23億6400万円。

合わせると営業収益は9118億円だが、
営業利益は1200万円、
経常利益は7億3100万円。
純損失は175億6700万円となる。

前途多難の新生イトーヨーカ堂である。

首都圏のスーパーマーケットチェーンとして、
ヤオコーやオーケー、サミットやロピアと、
どう戦っていくのだろう。

大前提は現場の士気が上がることだ。
私はまだまだそう考えていて、
それにはわずかに望みをかけている。

〈結城義晴〉

2023年06月15日(木曜日)

第20回ミドルマネジメント研修会3日目の「自ら、変われ!」

第20回商人舎ミドルマネジメント研修会。

その3日目。
朝8時15分、第2回理解度テストを開始。
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2日目の講義から設問が出る。
計算問題もある。
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昨夜遅くまで復習に余念なかった受講生たち。
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30分を目いっぱい使って、
理解したことを自分の言葉で書き記す。

そして終了。
この時の解放感。
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そしてすぐに確認し合う。
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9時から3日目の講義。
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第1・第2講義は高野保男講師。
タクト企画代表。

テーマは「作業システムとJ.S.P.」
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最新の取り組み事例を、
動画で紹介しながら、
講義してくれる。
??????????

わかりやすいうえに、
現場に即しているから、
皆、真剣に聴講する。

名物講義だ。

さまざまなコストが高騰している現在、
根本の解決策はこの作業システム改革である。

高野先生は引っ張りだこだ。

ありがとうございました。
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第3講義は井坂康志講師。
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テーマは「ドラッカー入門」
マネジメントの基本原則。IMG_5391
井坂さんは現在、
ドラッカー学会共同代表、
ものつくり大学教養教育センター教授。

故上田惇生先生の後継者代表と言っていい。

ドラッカーに最後に会った日本人。??????????

だからドラッカーの本質を知り抜いている。
そしてその講義はいつも、
私が聴いても新鮮だ。

日々、ドラッカーを、
新たに発見しているといった印象だ。??????????

最後に質疑応答。
成城石井の今井航平さん。
??????????

一つひとつの質問に丁寧に答えてくれる。IMG_5396

平和堂の池谷孝輝さん。??????????

そして、関西スーパーマーケットの土居広明さん。
??????????

井坂さんは自分のキャリアを、
隠さずに話してくれた。 IMG_5397

井坂講師とツーショット。
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井坂康志と結城義晴。
ふたりで語るからドラッカーが、
より深まってくる。

ありがとうございます。

ランチは特製のカレーライス。IMG_5408

空模様は怪しくなってきた。IMG_5385

ランチの後の最終講義は、
結城義晴の総括講演。IMG_54103

わずかな時間ながら、
朝の理解度判定テストの回答の解説。

商品回転率、交叉比率。
人件費率と人時売上高、人時粗利益高。

そして数字に対する三つの対応。IMG_54123
さらにチェーンストアの5つの原則。
シンプルだけれど、これはとても重要です。

アンリ・ファヨールとピーター・ドラッカー。

最後の講義はちょっとだけスライドを使う。IMG_54193
チームマネジメントの手法。

ウォルマートが2020年9月から、
本体のスーパーセンターに導入した。

凄いことです。

チームにとって必須の概念は、
Conflict(対立)。
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そのことはぜひ、覚えておいてほしい。
実際に試してほしい。

Conflictが必要な会社は今、
とても多い。

たとえばセブン&アイ・ホールディングス。
健全なConflictが、
社内の取締役会になければいけない。
経営執行者たちにも、
現場にも健全な対立は必須である。

株主と対立しても、
何の意味もない。

最後はホッケースティックの法則。
そして間接部門のサービス。

忘れないでほしい。

それからマザー・テレサの言葉と、
「自ら、変われ!」
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自分が変わらねば、
仲間を変えることは出来ない。

自分が変わらねば、
職場を変えることは出来ない。

自分が変わらねば、
店を変えることは出来ない。

自分が変わらねば、
会社を変えることは出来ない。

自分が変わらねば、
社会を変えることは出来ない。

そしてその自分は、
何から変わるか。

よくわかってくれたと思う。

3日間のご清聴を感謝したい。

最後の最後に拍手をいただいた。
そのことにも感謝したい。IMG_54313

講義が終わると、
課題レポートのテーマが発表されて、
すぐに解散。

みんな、バスに乗り込んで、
素早く帰って行った。IMG_54333
第20回商人舎ミドルマネジメント研修会。

まだまだ回を重ねて、
30回、40回、50回を開催する。

多くの知識商人を育て、
彼らが後輩たちを、
「自ら、変わろう」と育ててくれる。

それが日本の商業をより良くする。
そして日本の国民の生活がより良くなる。

素晴らしいことだ。

3日間、徹底的に学んで、
最後にやっぱりドラッカー。

“Practice comes first”
実践が第一に来る。

“Theories follow events”
理論は現実に従う。

そして、
“As a rule, theory does not precede practice.”
「原則として、理論が実践に先行することはない」

実践は諸君の双肩にかかっている。

頑張れ。

〈結城義晴〉

 

2023年06月14日(水曜日)

商人舎ミドルマネジメント研修の「マネジメントの本質」

ドイツで脱原発が実現した。

稼働していた最後の3基が、
送電網から切り離された。

今後の電力供給は、
再生可能エネルギーを柱とする。

もちろん課題は多い。

2011年3月の東日本大震災の際、
東京電力福島原発が事故を起こした。

これを受けて当時のメルケル政権は、
「脱原発」の方針を打ち出した。

そして当時稼働していた17基の原発を、
段階的に停止してきた。

とうとう原発が稼働していない国となった。

それでもドイツの世論は、
脱原発反対派が59%、
賛成派は34%。

ドイツ経済界も反発する企業が多い。

ここにも、
トレードオンの問題解決が迫られている。

それでも脱原発をやってしまうドイツ。
二度の世界大戦を引き起こし、
二度もそれに負けたけれど、
凄い国だ。

さて、私たちは湯河原。
第20回ミドルマネジメント研修会。

朝8時15分から、
理解度判定テスト。IMG_52583

初日の講義の中から、
5つの設問をする。

テストではそれに答えてもらう。IMG_52563

講義を真剣に聞いてくれていれば、
答えられる内容だ。IMG_52603

丸暗記しても仕方がない。
理解した内容を自分の言葉で書く。IMG_52653

最後まで皆、ペンを走らせる。IMG_52683

30分間に全神経を集中させる。

終わるとため息が漏れる。
背伸びする姿も見られる。

奮闘した証拠だ。
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9時から結城義晴の講義。

まず、テストの内容を振り返りながら、
補足講義する。
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鈴木哲男先生の52週MDに関しても、
ストアコンパリゾンに対しても、
私は大いに賛同しつつ、
別の説明の仕方をする。
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それが商人舎のミドルマネジメント研修のいいところだ。IMG_52843

午前中はマネジメント理論の変遷。
つまりマネジメントの歴史。
ここに大企業病や悪しき官僚化の根本原因がある。
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テーラリズムとフォーディズム。
いつも米国の牛肉パッカーの話をする。IMG_53013

ヘンリー・フォードは、
その解体工場からヒントを得て、
自動車製造のオートメーションを考えついた。IMG_53093

アンリ・ファヨールの管理過程論から、
人間関係論や行動科学、リーダーシップ論、
そしてドラッカーやミンツバーグまで。

すべての企業に大企業病のDNAがある。
官庁や大企業、そしてチェーンストア志向企業に、
悪い組織の兆候が出ている。
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ランチを挟んで、
計数の基礎講座。

山本恭広商人舎編集長の講師デビュー。IMG_53113

白部和孝先生がおしえてくれていた講義内容を、
そのまま踏襲して、継続性を担保する。

そこに山本編集長なりの工夫を加える。IMG_53153

演習の時間を設けて、
商品回転率や交差比率、
人件費率や人時生産性を計算してもらう。
それを指導する。
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山本編集長の講義のあとは、
結城義晴の3時間。

初めに計数講座の補講。
PLとBSの基本と、
その両者に関係するROAの根拠など。
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そのあとはドラッカーを中心に、
マネジメント手法やリーダーシップ論の解説。IMG_53303

とくに強調したのが、
ファヨールとドラッカーの違いだ。IMG_53323

それぞれに5つの概念が使われるが、
それが対比的な行動提起となっている。IMG_53383

リーダーシップ手法では、
ケン・ブランチャードのチームマネジメントを、
具体的に説明する。
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そして最後の最後に、
チェーンストアの本質論。

本質から外れて、
テクニカルなチェーンストア経営論が多い。
しかし今、その本質にもどるときだ。
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2日目の長い長い講義。
受講生から感謝の拍手をもらった。IMG_53513

1日の疲れを癒してくれるのは、
魚介と肉の豪勢な夕食。

事務局のテーブルの隣で、
大いに盛り上がる元気なつわものたち。
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こちらは静かに会食を楽しむ。IMG_53543

アルコールは解禁だが、
誰も飲もうとしない。
なぜなら復習が待っているから。
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派遣してくれた企業トップの皆さんが、
このブログを見ている。

笑顔やVサインで元気な姿を報告する。IMG_53563

こちらは関西スーパーマーケットの皆さん。
たくさんの受講生を派遣してくれた。IMG_53573

そして事務局席。
手前は山本編集長。
奥に高野保男先生と私。

高野さんは明日の朝一番の講義。
前日入りしてくれて、情報交換をする。
これが楽しみだ。
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夕食を終えると、
自習室として開放された研修会場に、
三々五々受講生が集まっている。

この風景は11時まで続く。
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ホワイエでも復習に勤しむ受講生。
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背を丸めて静かに学ぶ姿。
いつもいつも感動する。
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私は6時間の全力講義の疲れもあって、
部屋に帰るとそのまま爆睡した。

商人舎のミドルマネジメント研修。
かなり高度な内容を、
丁寧に教授する。

トップや人事部門の人たちに知っていただきたいのは、
しつけや道徳を教えているわけではないこと。

トップマネジメントになるために、
ミドルマネジメントは存在するのだ。

だからマネジメントの本質を手ほどきする。

その意味では、
トップマネジメントこそ、
この研修を受けてほしいものだと思う。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2023年06月13日(火曜日)

第20回ミドルマネジメント研修会の「Integrity=真っ正直」

商人舎ミドルマネジメント研修会。
第20回目となった。

毎年、初夏と秋に2回開催してきた。

コロナ禍の2020年の2回と、
2021年初夏に中止した。
結局、3回中止しただけで終わって、
すぐに再開することができた。

これまで1500人以上の知識商人を送り出した。
それが何より嬉しい。

商人舎のミドルマネジメント研修は、
幹部向けだという評価がある。

私はミドルマネジメントは、
もうすでに幹部であると考えている。

野球に喩えると、
良いノッカーであるだけでは、
ミドルマネジメントとしては足りない。

つまり上手なノックをする人ではなく、
監督であり、コーチであり、
キャプテンであるような人財。

それがナレッジ・ミドルマネジメントである。

熱海駅に着くと、
野村伊吹さんが待っていてくれた。
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その熱海駅。
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相模湾と真鶴半島。
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初夏の湯河原は紫陽花が咲き誇る。
??????????

会場はニューウェルシア湯河原。??????????

歓迎の立て看板。
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商人舎事務局の記念写真。
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準備万端整って、
13時に研修会開始。
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初めの2講座は結城義晴が担当する。IMG_5189 -3

第1講義は「コロナは時間を早めた」
本論に入る前の「序」の講義は、
最新の考え方を提示する。IMG_5191

2021年に、
『コロナは時間を早める。』を発刊した。
その著書で提案した仮説に対して、
その後の現象を検証しつつ、
大きな潮流の変化を語る。
??????????
ウォルマートの決断、
コロナ禍とDXの進化、
経営統合や業界地殻変動、
ネットスーパーの加速、
ライフスタイルとMDの変化、
SDGsの普及などなど。

そのうえで、
ポストコロナ時代に臨む姿勢と、
心の在り方を説いた。
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第2講義からがいよいよ本論。

商業の現代化と基幹産業化。
そのための知識商人の役割。

2008年の商人舎発足の会で、
多くのトップマネジメントに、
3時間の講義をした。

その内容はミドルマネジメントに、
伝え続けたい。

それがこの第2講義の趣旨だ。

倉本長治の商売十訓と、
ピーター・ドラッカーが重視した3つの概念。
立教大学大学院でも、
コーネル大学RMPジャパンでも、
一番最初にする講義だ。
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さらに商業の近代化の歴史。
賢者は歴史に学ぶ。

生物学者の福岡伸一さんは言う。
「これから科学を学ぼうと思っている人に、
おすすめの方法がある」

「それは科学のかわりに
科学史を勉強すればよいのだ」

そう、流通業を学ぶ人、
小売業を学ぶ人は、
小売流通業史を勉強するのがいい。
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1673年の三井高利の越後屋の哲学から、
1844年のロッチデール組合の理念、
1852年の百貨店「ボン・マルシェ」誕生、
1930年のマイケル・カレンの第一次革命。
1945年のサム・ウォルトンの創業と、
1962年のウォルマートの出発、
そして1980年代の第二次革命、
さらにスーパーセンターの登場まで、
一気呵成に商業史を語る。??????????

最後は、結城義晴からの提案。
「真っ正直商法」。
上田惇生先生は、
ドラッカーの「Integrity」を「真摯さ」と訳した。
歴史に残る名訳だと思う。

それを十分承知しつつ、
私はあえて「honesty」を超えるものこそ、
「Integrity」であると考えて、
「真っ正直」とした。

それを2月ゼミのメインテーマに据えた。

商業界の社長時代のことだ。
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Integrityと、
MarketingとInnovation。
これが揃えば必ず成果が上がる。

15時半からは、
コーヒータイム。
コーヒーと菓子で、
疲れた頭を休めてもらう。
??????????

そして16時から20時までは
鈴木哲男講師が3講座を担当。

昨年、社名を㈱REAに変えた。
ご子息が社長になり、
鈴木先生は会長として講演活動を行っている。??????????

52週MDとプロモーション、
そしてストアコンパリゾンの講義。??????????

最新の実例と豊富な経験則。
現場から発想した、
現場を変えるための実務講義。

それが52週MDの本質である。

受講生にとっては、
目からうろこの講義だ。
??????????

奥湯河原の山脈が夕暮れていく。IMG_5235

われわれの研修会場にも、
灯がともる。
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鈴木先生は理論だけでなく、
実践に活かすために、
具体的な手法を講義する。

これは受講生にとって、
すぐに役立つ情報になる。
??????????

受講生たちは最後までメモを取り、
真剣に聴講する。
??????????

最後は鈴木講師に盛大な拍手。
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初日の講義を終えて、夕食。
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ニューウェルシティ湯河原の食事は、
いつも充実している。
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みんな元気です。
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女性陣もVサイン。
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しっかり食べて、温泉に浸かって、
体を休めて、明日の講義に向かう。IMG_5246

私は鈴木先生と食事しながら、
情報交換。
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ありがとうございました。IMG_5247

最後に恒例の自習室の風景。
9時過ぎには10人ほどが集まっていた。

明日は8時15分から理解度テストがある。
そのために、今日学んだことを各自が復習する。
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11時ぎりぎりまで粘った人たち。
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自習室の外のホワイエで学ぶ受講生。
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もちろん各自、自分の部屋で、
頑張っている。

そうした受講生の姿を見ると、
胸が熱くなる。
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ミドルマネジメント研修会初日。
派遣してくださった企業の皆さん、
受講生たちは、頑張っていますよ。

佐藤一斉の「言志四録」
(わ)かくして学べば、
すなわち
壮にして為すこと有り、

壮にして学べば、
すなわち
老いて衰えず、

老いて学べば、
すなわち
死して朽ちず。
(つづきます)

〈結城義晴〉

2023年06月12日(月曜日)

堤清二「商業の現代化」と島田陽介の「超チェーンストア」

Everybody! Good Monday!
[2023vol㉔]

2023年第24週。
6月第3週。

関東甲信地方は、
先週木曜日の6月8日に梅雨入りした。

北陸と東北は昨日の6月11日。

九州北部から中国・四国、近畿、東海までは、
5月29日だった。

梅雨の期間の目安は、
1カ月から1カ月半。

梅雨明けの予想は平年で、
沖縄が6月21日ごろ、
奄美が6月29日ごろ。
九州南部が7月15日ごろで、
四国が7月17日ごろ。

九州北部から、
中国、近畿、東海、関東甲信が、
7月19日ごろ。

北陸が7月23日ごろで、
東北南部が7月24日ごろ、
東北北部が7月28日ごろ。

今年の二十四節気は、
夏至が6月21日。
小暑が7月7日で、大暑が7月23日。

大暑のあたりまで、
梅雨は続く。

しかし明けない梅雨はない。

今週のスケジュール。
火曜日から木曜日まで、
神奈川県と静岡県の境目の湯河原。

商人舎ミドルマネジメント研修会。
ありがたいことに第20回を数える。

商業の現代化と知識商人の養成を掲げて、
㈱商人舎を興した。

商業の現代化に対しては、
月刊商人舎や単行本、
そして講演活動などを通じて、
その内容を深めつつ、
小売産業に訴えていく。

近代化はmodern。
現代化はpost modern。

倉本長治は商業の近代化を訴え続けた。
渥美俊一らはチェーンストア産業構築によって、
倉本の近代化にパワーを与えた。

しかし商業にもチェーンストアにも、
「現代化」が必須である。

近代化はトレード・オフによって成し遂げられた。
ならば現代化にはトレード・オンが求められる。

堤清二著『変革の透視図』
その第8章にある。
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「流通産業は、
まだ大きく変化する可能性を
内蔵した産業である。
そしてその変化は、
“近代化”を内に含んだ”現代化”へと
すすめられなければならない」

この「現代化」は、
上野光平先生も考えていたし、
その盟友であった杉山昭次郎先生も訴えた。

杉山先生は、
商人舎最高顧問だ。

私はその系譜を受け継ぐ者だ。
それを広めるのが私の役割だ。

今、書いている本も、
この系統の考え方を整理したものだ。

知識商人の養成に対しては、
このミドルマネジメント研修会などを通じて、
継続していく。

2008年から、
コーネル大学RMPジャパンをやった。
トップマネジメントの養成である。

それから立教大学大学院で、
特任教授もやった。

それ以外にも、
個別企業で展開した。
万代知識商人大学は第8期を迎える。

日本チェーンストア協会では、
「流通未来大学」にも出講した。

イオンリテールでは定期的に講義をする。

平和堂のアメリカ研修も、
知識商人の養成であるし、
ロピアの研修もその趣旨で行っている。

ニチリウの研修も根底には、
知識商人の養成である。

まだまだ増えている。

ミドルマネジメント研修会は、
知識商人の養成を実感できる場である。

だから私のテンションは上がる。

今日は山本恭広編集長が、
島田陽介先生のところに行ってくれた。

千葉県のあすみが丘。

86歳。
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経営コンサルタントとして60年のキャリアを持つ。
始めはペガサスクラブに入って、
渥美俊一先生に師事した。

初期の渥美の単行本は、
島田陽介がほとんど代筆した。

チェーンストア用語「701」は、
その半分以上が島田陽介の文章だ。

それから独立して、
㈱島田研究室を設立した。

私が新人のころはすでに、
気鋭のコンサルタントだった。

その島田先生にご出講いただくのが、
商人舎15周年記念セミナーである。
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私は株式会社商人舎を、
2008年2月1日に設立した。

そして、宣言した。
「これから商人舎で30年をかけて、
商業の現代化と知識商人の養成に励みます」

その30年の折り返し点が今年だ。

その折り返しのキックオフが、
商人舎15周年特別セミナーだ。

すでに発表したレジェンドセミナー。
ビッグ4が贈る小売産業へのエール。
9・12(火)
午後12時半から夕方17時40分まで。
東京の大崎ブライトコアホール。

できるかぎり多くの皆さんに、
お集まりいただきたい。

石原靖曠先生と、
島田陽介先生。
それから鈴木哲男先生と、
結城義晴。

その島田陽介。

早稲田大学第一文学部出身。
だから筆は立つ。
翻訳もする。
弁も立つ。
頭は回る。

1980年代、1990年代。
島田陽介50歳代、60歳代。
すごい勢いで本を書いた。

最新刊は、
「流通業の『選択』」
(商業界、2015年)
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「超チェーンストア論」である。

「ウォルマートはほんとうに脅威か」
(ダイヤモンド社、2003年)IMG_44203

「これが流通の新常識です!」
(2003年、オーエス出版)
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「カスタマー志向徹底戦略」
―消費沈滞を吹き飛ばすマーケティングの逆転発想
(2001年、ダイヤモンド社)
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「これから流通に何が起きるか」
――流通革命は「救世主」ではない、
「最後の審判」だ

(ダイヤモンド社、1997年)
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翻訳本の「フォーカス」
――市場支配の絶対条件
(ダイヤモンド社、1997年、アル・リース)IMG_44213

この「フォーカス」は実にいい本だ。
1997年段階では最高の内容だった。

訳者まえがきにある。
「わが社のカスタマーにフォーカスすべきだ」

島田先生はこれらを血とし肉として、
今、コロナ禍後を見据える。

まったく衰えを知らない。

現在もオンラインセミナーを開催し、
ヤオコーやヨークベニマルの幹部が聴講する。

島田先生は、
ヤオコーのライフスタイルアソートメントを、
理論的に支えた。

これは大きな功績である。

商人舎15周年セミナーでは、
存分に語っていただく。

是非、参加してください。

では、みなさん、
今週も、明けない梅雨はない。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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