結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年04月02日(日曜日)

江川卓の始球式投球に思うこと。

江川卓の始球式。

開幕第2戦のジャイアンツ対ドラゴンズ戦。

昭和の怪物、67歳。
ジャイアンツの背番号30。egawasuguru

ピッチャープレートの前から振りかぶった。
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左足を高く上げた。
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現役時代と変わらないダイナミックなフォーム。egawa2

そして投げた。
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ふわりとボールは浮いた。egagagagaga4

投げ終わった。
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しかしボールはホームベースの前に落ちた。egaw4

肩を抑えながら帰ってくる。egawa5

ひどく残念そうだった。egawa6

作新学院の高校時代。
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公式戦のノーヒットノーラン9回、
完全試合も2回。

県予選トータルの被安打2で、
夏の甲子園出場。

選抜高等学校野球大会では、
一大会通算最多奪三振60個。

法政に進んだ大学時代。
東京六大学野球リーグ17完封。

そして巨人軍のエース時代。
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日本プロ野球史上6人目の投手5冠。

ずっと見続けてきた。

この始球式にはがっかりしたけれど、
それは江川自身が一番感じたことだろう。

亡くなった村田兆治は最後まで、
マサカリ投法で130キロは投げた。
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江川の現役時代の最速の球は、
1981年9月9日の大洋戦とされる。
20勝を達成した登板の最後の投球が、
158キロだった。

江川は回を追うごとに、
球速が上がる投手だった。

球の回転は史上最高だった。

大谷翔平や佐々木朗希の、
164キロくらいの威力はあった。

高校からプロ時代まで、
肩を酷使した。

それがこの始球式の球だ。

酷く悲しい気がしたが、
江川は余力を残さずに、
現役を引退したのだと思った。

巨人軍入団のとき、
「空白の一日事件」が起こった。

江川は巨人に入りたかった。

1977年度の大学4年のドラフト会議では、
ライオンズから指名されたが、
それを拒否して1年間浪人した。

1978年度の2回目は、
ドラフト会議の11月22日の前日の21日に、
巨人軍と電撃契約した。

前年のドラフト会議の期間が切れたものと、
巨人軍が勝手に解釈して、
「空白の一日」に契約してしまった。

ナベツネの意向だ。

それはリーグ事務局が無効としたが、
今度はドラフト会議で、
阪神タイガースが指名権を得た。

江川は交渉権を持つ阪神と契約を結んだ。
そして一旦、阪神に入団したうえで、
エースの小林繁との交換トレードによって、
巨人に移籍することになった。

明らかな不正入団だ。

しかしそれが通ってしまった。

以来、「巨人・大鵬・卵焼き」の反対の、
「江川・ピーマン・北の湖」と嫌われた。

この事件があったからだと思う。
江川は肩を酷使し続けた。

そして引退してからも、
ジャイアンツの監督になれなかった。

悲劇の人・江川卓。

それらのことがすべて、
この始球式の一投に込められていて、
私は心の中で泣いた。

もう、許すよ、江川。

まだまだ人生は長い。
頑張れ。

〈結城義晴〉

2023年04月01日(土曜日)

徒然草の「昔より賢き人の富めるは稀なり。」

4月に入った。

日本社会全般で新年度が始まる。

学校では新学期が始まる。

3月決算の企業は、
4月からが新年度だ。

キリがいい。

この1年、どう変わろうか。
どんな新しいことをしようか。
どう成長しようか。

この1年、どんな人に会うのだろうか。
どんなものが現れてくるのだろうか。
どんな所に行けるのだろうか。

想像は膨らむ。

㈱商人舎を発足させて、
ちょうど15年が過ぎた。
0369

その発足の会で私は、
次の30年、現役を続けると宣言した。

そして多くの皆さんに、
励ましていただいた。
0452

それまでの30年間は、
㈱商業界にいた。

発足の会のときは、
社会人になって仕事を始めてからの、
折り返し点のつもりだった。

それから15年が経過した。
今度は次の30年における折り返し点だ。

今年やることは決めた。
それがポストコロナと合致した。

4月半ばごろに発表する。
楽しみにしていただければ幸いである。

1977年の4月1日に、
私は㈱商業界に入社した。

あのころは、
今の自分のようになるとは、
考えもしなかった。

不安だらけだったが、
夢らしきことも抱いていたし、
時間は無限にあると思っていた。

それから46年が経過して、
当時の不安は消え去ったが、
かわりに夢も小さくなった。
時間には限りがあることを知った。

今は、やれることを、やる。
若い人たちに期待する。

最近、「徒然草」を、
しみじみと読む。
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その「第十三段」

「一人、燈火の下に、
文を広げて、
見ぬ世の人を友とするぞ、
こよなう慰(なぐさ)む業(わざ)なる。」

これはわかりやすい。

書物を開いて、
見たことのない時代の人を友とする。
それがこよなく慰められることになる。

見たことも会ったこともあるけれど、
亡くなってしまってもう会えない人も、
その人が書いた本を広げると、
親しい友とすることができる。

これもうれしいことだ。

だから私も本を書いておこうと思う。

「第十五段」

「いづくにもあれ、
(しば)し旅立ちたるこそ、
目覚(めざ)むる心地(ここち)すれ。」

どこであろうと、
しばらくの間、旅をすることは、
目が覚めるような新鮮な気分になる。

コロナ禍が終わって、
旅ができるようになった。
うれしい限りだ。

「さやうの所にてこそ、
(よろず)に、

心遣ひ(心づかい)せらるれ。」

そんな旅先だからこそ、
すべてにわたって心が鋭く働く。

「持てる調度まで、
良きは良く、

能ある人、容貌良き人も、
常よりはをかしとこそ見ゆれ。」

持ってきた身の回りの品なども、
良いものはより良く感じられるし、
能力のある人や容姿の優れた人は、
いつもよりも素晴らしく見える。

旅は心が鋭敏になる。

その鋭敏な心で、
私たちは人やその土地を見る。
ときには店を見る。

素晴らしさが倍増する。

「第十八段」

「人は、
己れを約(つづま)やかにし、

(おご)りを退(しりぞ)けて
(たから)を持たず、

世を貪(むさぼ)らざらんぞ、
いみじかるべき。」

人は自分の生活を質素にし、
贅沢を退けて、財産を持ちすぎず、
私利に貪欲でないことが、
とても良い。

財産があることは、
悪いわけではない。

「貧すれば鈍す」に陥ってはならない。

しかし私利に貪欲すぎるのは、
「いみじかるべき」だ。

「昔より、
賢き人の富めるは、

(まれ)なり。」

ん~、ズバリ。

吉田兼好は当時の社会では、
いわば敗者だった。
だから、の発言であるかもしれない。

富める者で、
なおかつ賢き人は、
稀であってもいた。

46年前の4月1日。

徒然草はもちろん読んだことがあったが、
それを真に理解はしていなかった。

今年度もやれることを、やろう。

〈結城義晴〉

2023年03月31日(金曜日)

吉田松陰の「夢なき者に理想なし、夢なき者に成功なし」

2023年3月最後の日。

一月、往ぬる、
二月、逃げる。
三月、去る。

明日から4月だ。

桜も去るように散った。

第95回選抜高校野球。
準決勝を勝ち抜いた2校は、
山梨学院と報徳学園。
山梨県と兵庫県の東西対決。

山梨学院は山梨県初の決勝進出。
報徳は2002年以来21年ぶり。
その2002年は大谷智久投手を擁して、
優勝している。

この大谷はその後、
早稲田大学からトヨタ自動車に進んで、
いずれも優勝を経験してから、
千葉ロッテマリーンズに入団。

10年間、現役を続けて、
2020年に引退して、
二軍の投手コーチ。
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この大谷智久は小学校のころ、
横浜のジュニアソフトボール界では有名だった。
荏田ブランチーズのエースで、
私が監督をしていた竹の子のライバルだった。

リーグ戦でも勝てなかったし、
グリーンカップでは決勝戦で負けた。

身体は大きくなかったが、
凄い小学生だった。

合同チームでは何度も大谷の球を受けた。
一緒に関東大会に行った。

とにかく性格のいい子だった。
そして夢を持ち続けた。

その大谷がプロ投手になったことは、
私たちの誇りだった。

大谷も明日の決勝戦を応援しているだろう。

現役の選手たちもいい試合をするに違いない。

さて日経新聞「大機小機」
コラムニストは墨田川さん。
硬骨漢の学者。

「経済学者もあきれる物価対策」

政府が決めた追加の物価対策を論じる。
財政支出は15兆円に及ぶ。

「筆者が不思議に思うのは、
これだけの大規模な経済政策について、
経済学者の側からほとんど
議論が出ないことだ」

中身は飛ばして、その結論。

「経済学者が
物価対策について議論しないのは、
賛成しているからでも、
意見がないからでもなく、
あまりにも経済原則を無視しているため、
あきれ返っているからではないかと
筆者は想像している」

あ~あ。

政治家になってしまうと、
そして大物政治家になるにしたがって、
原則を忘れてしまうのか。
それとも原則を知らないのか。
はたまた初心や当初の夢が消えていくのか。

同じく日経新聞「私の履歴書」
今月は唐池恒二JR九州相談役だった。
事業構想大学院大学特別招聘教授。
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鉄道マンがマーケティングに目覚める話。
面白かった。

最後は座右の銘の一つ、
吉田松陰の言葉。
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「夢なき者に理想なし、
理想なき者に計画なし、
計画なき者に実行なし、
実行なき者に成功なし」

「故に、夢なき者に成功なし」

成功するためには、
夢が必要なのだ。

いや成功しなくとも、
生きていくには夢が必須だ。

野球も政治も、
商売も仕事も。

4月はその夢をはっきりと自覚するときだ。

〈結城義晴〉

2023年03月30日(木曜日)

春の甲子園の「敵失ペッパーミル」と真のカッコよさ

12月末決算企業の株主総会の季節。

今日は東京・小平。

第一屋製パン㈱の定時株主総会。
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第81期決算を承認していただいた。
粛々と総会は終わった。

工場敷地内の桜の名木。
今年は散るのが早かった。IMG_20913

私も4度目の非常勤の取締役に選任された。
よろしくお願いします。

総会後の取締役会も終了し、
逆光が眩しい。
自撮り。IMG_E20953
新しい体制で頑張ろう。

新任の取締役に、とくに期待したい。

第95回選抜高校野球大会。
春の甲子園。
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テレビなどではまだ、
WBCのニュースを引っ張っているし、
今週金曜日からプロ野球が始まる。

高校生はちょっと割を食った。

しかし準々決勝の結果が出た。

第1試合:
作新学院(栃木)3-12山梨学院(山梨)
第2試合:
専大松戸(千葉)2-9広陵(広島)
第3試合:
大阪桐蔭(大阪)6-1東海大菅生(東京)
第4試合:
報徳学園(兵庫)5-4仙台育英(宮城)

ベスト4による準決勝は明日の31日。
第1試合:
山梨学院(山梨)-広陵(広島)
第2試合:
大阪桐蔭(大阪)-報徳学園(兵庫)

この中から第2第3の、
大谷翔平や村上宗隆や佐々木朗希が、
出てくるのだろう。
WBCに出場する選手も現れるのだろう。

楽しみだ。

私はリアルの試合は見られないけれど。

このセンバツの第1日目のゲーム。
東北高校(宮城)の選手が敵失で出塁、
「ペッパーミル」のパフォーマンスをした。

WBCのヌートバーの真似だ。

背後にいた塁審がすぐに注意した。

さらに一塁ベンチの佐藤洋監督に駆け寄って、
「させないように」と注意した。

佐藤監督は「明るく楽しく」をモットーとする。
そこで試合後に高野連に反論した。
「日本中盛り上がっているし、
ダメな理由を聞きたい」

高野連は異例のコメントを返した。
「不要なパフォーマンスやジェスチャーは
従来より慎むようにお願いしてきた。
野球を楽しみたい気持ちは理解できるが
プレーで楽しんでほしい」

これに対して、
日経新聞の篠山正幸編集委員。
東北大学出身のスポーツ記者。

「メジャーには本塁打を放っても
ガッツポーズをしない、
というならわしがあった。
相手への侮辱になりかねないからだ」

実にカッコいいね。

「これも他者への気配りの結果、
というのがいいのであって、
ルールで決められたからやらない、では
美しくない」

今回の件に対して。
「これも、選手に任せればいい。
ことの善しあしを自分たちで考える方が、
よほどためになる」

同感だ。

塁審がやめさせるようにと、
ベンチにやって来て注意をするのも、
責任感なのだろうけれど、
どうかと思う。

監督がわざわざ反論するのも、
いかがだろうか。

これだけの騒ぎになったのだから、
当該の選手は多分、
自主的に相手の選手に、
詫びを入れているに違いない。

スマホもあるのだから。

そしてエラーで出塁したカッコ悪さを忘れて、
思わずペッパーミルをしてしまったことを、
恥じているに違いない。

今の若いスポーツマンは、
そんなものだ。

もっと信じてやっていいだろう。

ただしバリバリの大リーガーは、
大ホームランをかっ飛ばしても、
淡々と走ってベンチに戻るだけだ。

実にカッコいい。

若者たちには、
その真のカッコよさを知ってほしい。

〈結城義晴〉

2023年03月29日(水曜日)

亀岡の桜と「徒然草」の「懈怠の心あることを知らんや」

㈱マツモト会長の松本隆文さんから、
また桜の写真をお送りいただきました。IMG_2081

毎朝の散歩コースが、
この桜満開のルートだそうです。IMG_2082

夜桜も見事。
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黒い空に映える。
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朝日を浴びた桜街道。
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川縁の桜も見事。
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大きな一本桜。
IMG_2088
来年はこのシーズンに、
亀岡に行かなくてはならない。
是非とも。

ありがとうございました。

今日も1日、横浜商人舎オフィス。

原稿の入稿。

山本恭広編集長、
亀谷しづえゼネラルマネジャー。
みんなで執筆する。

それを読んでチェックし、
入稿する。

今月もいい雑誌ができそうです。

他に類を見ないMagazine。
それを目指しています。

もちろん実現していると自負しています。

毎月、雑誌をつくることによって、
否応なくモノを考える。

懈怠(けたい)の心を払いのけつつ。

それが価値を生み出す。

今日もとてもいいことを考えついた。
食事の時などにそれを社内で話す。

話しながら、
コミュニケーションをとりながら、
考えを固めていく。

そしてそれを文章に表現する。
それが私たちの仕事です。

最近ちょくちょく拾い読みする「徒然草」。
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その有名な第92段。

ある人、弓射ることを習ふに、
諸矢をたばさみて的に向かふ。

――ある人が、弓を射ることを習うときに、
二本の矢を手に挟み持って的に向かう。

師のいはく、
「初心の人、
二つの矢を持つことなかれ。
のちの矢を頼みて、
初めの矢になほざりの心あり。
毎度ただ得失なく、
この一矢に定むべしと思へ」と言ふ。

――師の言うことには、
「初心者は二本の矢を持ってはいけない。
あとの矢をあてにして、
初めの矢をいい加減に思う気持ちが生まれる。
矢を射るたびに得失を考えずに、
この一本の矢で必ず的を射抜こうと思え」と言う。

わづかに二つの矢、
師の前にて一つを
おろかにせんと思はんや。

――たった二本の矢しかないのに、
師の前で一本を
いい加減に放とうなどと思うだろうか。

懈怠(けたい)の心、
自ら知らずといへども、

師これを知る。
この戒め、
万事にわたるべし。

――それでも怠けおこたる心は、
自分では意識しないうちに生れるもので、
師はこれをわかっている。
この戒めは、
全てのことに通じるものだ。

道を学する人、
夕べには朝あらんことを思ひ、
朝には夕あらんことを思ひて、
重ねてねんごろに修せんことを期す。

――道を学ぶ人、仕事を極めようとする人は、
夕方には翌朝のあることを思い、
朝には夕方があることを思って、
もう一度丁寧にやり直せばよいと先延ばしにしてしまう。

いはんや一刹那のうちにおいて、
懈怠の心あることを知らんや。
なんぞ、ただ今の一念において、
ただちにすることのはなはだ難き。

――まして一瞬のうちに、

怠けおこたる心が生まれることなど知っているだろうか。
この、今の一瞬のうちに、
すぐに実行することのなんと難しいことか。

兼好法師が690年も前に、
日々考え、記したことが、
今日の私たちに当てはまる。

ありがたい。

〈結城義晴〉

2023年03月28日(火曜日)

「学習する組織」のジャズの即興

松本隆文さんから、
桜の写真をお送りいただいた。
㈱マツモト会長。

マツモトは京都・大阪に、
26店舗のスーパーマーケットを展開する。

その本部のある京都府亀岡市。
JR亀岡駅前の枝垂れ桜。IMG_2075
見事だ。

花びらもしっかり開いている。
IMG_2079

松本さんのご自宅の前のお寺の桜。
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こちらも満開。
IMG_2078

マツモトの幹部の皆さんは今日、
横浜に店舗クリニックだったとか。

「学ぶ組織」は強い。

今日の夕方には、
㈱ハローズの佐藤利行社長と、
電話で話した。
久しぶりだった。

お元気そうで、
業績も絶好調。

佐藤社長ご自身も、
会社組織全体も、
実にスピード感がある。
それを感じた。

ハローズもよく学ぶ組織である。

ハローズnews|
第3Q営業収益1283億円5.8増・経常66億円8.7%増

昨年12月27日のニュース。
第3四半期決算は、
営業収益1283億円(前年同期比5.8%増)、
営業利益65億6200万円(7.8%増)、
経常利益66億2500万円(8.7%増)。

増収増益。

営業利益率5.1%、経常利益率5.2%。

地域のライフラインの役割を担うため、
全店24時間営業を継続している。

コロナ禍の3年間、
増収増益を継続したスーパーマーケットは、
東のヤオコーと西のハローズだけだった。

今日も1日、商人舎オフィスで原稿執筆。

自宅のそばの妙蓮寺。
IMG_20633

門前に住職の言葉。
IMG_20613
「逆境ほど偉大な教育者はない」
まったく同感。
私は別の言い方をする。

「艱難は商人を鍛える」
そして私の自宅のそばの夜桜。
IMG_20673
こちらも美しかった。

『学習する組織』
ピーター・センゲ著。
gakusyuusurusosiki
そのまえがきにある。

「学習する組織のツールは、
楽器のようなものだ」

「数時間から数日間使っていれば
音色は出せるようになるが、
上手に曲を奏でるには
もっと練習が必要だ」

学ぶことにも、
訓練が必要だ。
時間が求められる。

つまりは繰り返しである。

「一人で上手に演奏できても
効果は限定的で、めざすのは、
組織として合奏(アンサンブル)ができることだ」

そう、数人でともに学ぶ。
すると効果は高まる。

マツモトのクリニックは、
それだと思う。

ハローズのスピード感も、
繰り返しによって出来上がった。

「とくに変化の激しい環境下においては、
ジャズ・プレイヤーが
その場や他の演奏者の状況を見ながら
適応する『即興』が
協働の質を左右するだろう」

ジャズのアドリブ。

トップマネジメント層が、
ジャズのアドリブができるレベルまで、
ともに学んで、
革新を続ける。

それが会社組織全体に伝播して、
組織風土となる。

ここまでくれば、
会社はどんなに厳しい競争をも、
乗り超えることができる。

そして逆境ほど、
偉大な教育者はない。

難しい課題に挑む。
艱難が商人を鍛える。

逆境や艱難を組織で受け止める。
すると学ぶ組織そのものが、
さらに商人を鍛えることになる。

〈結城義晴〉

2023年03月27日(月曜日)

イトーヨーカ堂の「希望を持つしかないのだよ」

Everybody! Good Monday!
[2023vol⑬]

2023年第13週。
今年も4分の1が過ぎようとしている。

3月第4週で、土曜日から4月。

一月、往ぬる、
二月、逃げる。
三月、去る。

早い、早い。

今週は原稿書きの週。
今日も朝から晩まで原稿書き。

その合間に昼すぎに歯医者に行った。
浅間台歯科医院。

歯医者に行くときに、
いつもの商店街を通る。

ローソンが閉店していた。
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気がつかなかったが1カ月前の閉店。

印刷された用紙に、
日付と店名だけ、
店主が書き込む。
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なんだか、味気ない。
店主にはもっと思いがないのかなぁ。

私だったらぜんぶ自筆で書く。

本部もそれを奨励したほうが、
チェーン全体としての印象はいいと思う。

閉店した店は無残だ。
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この撤退跡には、
セブン-イレブンが入るのか。
ファミリーマートが出るのか。
それよりもまいばすけっとの可能性が高いか。

商店街を抜けると、
横浜市立宮谷(みやがや)小学校。
私の母校。
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校庭はずっと狭くなった気がする。
IMG_20523
右奥にずらっと銀杏の木が並んでいた。
大車輪ができるほど高い鉄棒もあった。
高学年の児童しか触ることもできなかった。
左側の桜の木はもっと
たくさん花を咲かせていた。

そして溢(あふ)れるほどに、
希望があった。

変わってしまった。

学校の隣の公園。
こちらは桜が満開。
IMG_20553

花壇にはチューリップ。

赤白黄色
どの花見ても
きれいだな♫
IMG_20573

桜も早咲きになったのか。
入学式に咲いていた気がする。IMG_20563
日経新聞の社説。
「ヨーカ堂大量閉店が示す変化対応の遅れ」

読んだ人も多いだろう。

昨日も書いたイトーヨーカ堂のリストラ。

「かつて国内小売りとしては
高収益企業として名をはせたが、
時代の変化への対応が遅れた結果だ」

「ヨーカ堂衰退の経緯を
現在成長中の企業は教訓とすべきだろう」

以下、1982年からの「業革」のことや、
98年度に日本一になったことなどが、
ちょっとずつ記述される。

2000年代からは縮小の一途。
「衣料品や雑貨、食品など総合型スーパーが
消費ニーズからずれてきたからだ」

「デフレ化で低価格・高品質の
ユニクロやニトリに顧客が流れた」

ん~、なんというか、
掘り下げが全然足りない。
的を射ていない。

社説の分析。
「同社の苦境は過去の成功体験が染みつき、
経営革新で後手に回ったことだ」

しかし「過去の成功体験を捨てよ」は、
同社の鈴木敏文前会長自身の言葉だ。

それができなかった本当の理由こそが、
書かれていなければならない。

「ヨーカ堂は小売業界では
優等生と言われてきた。
成長力もさることながら、
時代変化への対応が優れていたからだ」

それがなくなったと社説は言う。

しかし「変化への対応」は、
「基本の徹底」とともに、
同社の社是である。

なぜ、それがなくなったのか。
それには触れられていない。

最後の言葉。
「経営陣と一部株主との認識ギャップは大きく、
多くのステークホルダーを納得させるには
なお時間がかかりそうだ」

ん~、困る。

「教訓とすべき」とは言うものの、
教訓が示されていない。

「変化への対応」の掛け声だけでは、
とても教訓とは言い切れない。

百も承知のセブン&アイの人々自身が、
出来なかったことだからだ。

朝日新聞「折々のことば」
一昨日の第2683回。

「選択の余地はない。……
希望を持つしかないのだよ。」
(ノーム・チョムスキー)

チョムスキーは1928年生まれの、
言語学の世界的権威。
マサチューセッツ工科大学名誉教授。
1950年代に提唱した「普遍文法」理論は、
現代言語学に革命をもたらした。
〈『壊れゆく世界の標(しるべ)』より〉
41KgGglrr5L._SY346_
「多くの人が未来に
希望を持てずにいるなか、
あなたがそれを手放さないのはなぜか」

チョムスキーは問われて、答えた。

「希望を持つことで
不当な抑圧や搾取と闘ってきた人々を
知っているからだ」

そしてつけ加えた。

「希望を手放すのは
“最悪の事態が起こるのに協力しよう”
と言うに等しい」

セブン&アイの人々、
とくにイトーヨーカ堂の若い人たちに、
敢えて言っておこう。

「希望を持つしかないのだよ。
最悪の事態が起こるのに
協力してはならない」

では、みなさん、今週も、
すべてに希望を持つしかないのだ。

Good Monday!

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