結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年11月15日(火曜日)

万代知識商人大学前夜交流と「世界人口80億人」の「他人の立場」

大阪上本町の定宿、
シェラトン都ホテル大阪。

エントランスはクリスマス仕様。IMG_7077

3メートルはあろうか、
クリスマスツリー。
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赤から白に変わり、
さらに緑に変わる。
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1時間ほどホテルのカフェで打ち合わせ。
そしてタクシーで今里新地へ。

日本料理の料亭久恵。
若女将が玄関で出迎えてくれた。

明日は万代知識商人大学院。
その前日はいつも、
阿部秀行社長と情報交換の食事会。
さらに講師となる取締役が加わってくれる。

私にとって万代の本質を知る、
とてもいい機会だ。

私の知見もどんどん披露する。

久恵は若いおかみとなり、
メニューがずいぶん変わってきた。

先付けは秋の味覚が満載。
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お椀はかぶらと海老しんじょ。IMG_7081

イカと鯛のサラダ仕立て。
絶品。
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美しい椀に盛り付けられた魚の煮物。
緑のとろりとしたソース。IMG_7029

焼き物は笹の葉で包んである。IMG_7084

開くと金目鯛の焼き物。
淡雪がけ。IMG_7087

揚げ物は野菜の肉巻き。
大根おろしのポン酢でいただく。IMG_E7032

〆は雑穀のおかゆ。
飲んだ後の胃にやさしい味。 IMG_7035

この後、チョコレートムースが出て、
コースが終了、大満足。

会話も大いに弾んだ。
阿部社長と商品部の二人の取締役。
中筋浩二さん(右)、
松岡俊行(左)さん。IMG_7038

明日の講義テーマは、
マーケティングマネジメント。
両取締役に万代の商品戦略を、
大いに語ってもらおう。IMG_7044

いつものように、
阿部社長にホテルまで送ってもらった。
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ありがとうございました。

さて、
世界の人口。
80億人に達した。

私たち商業者はいつも、
人口に関心を寄せていなければならない。

商売はどこでもどんなときにも、
人口動態に左右されるからだ。

シンプルに考えれば、
人口が増えるところで商売をする。
それが繁栄の大原則だ。

2010年8月に比べると、
世界人口は10億人の増加。
12年で10億人。

このトレンドは今後も変わらず、
2030年には85億人になる見通しだ。

日本は少子高齢化の深刻な課題を抱える。
そんな国々も多い。

中国でさえ、
少子高齢化が最大の未来問題だ。

それに対して、
人口が増えているのは、
アフリカやアジアなど。

一部地域への偏りが顕著だ。

今年7月1日現在の国連の「世界人口推計」。

1位は中国の14億2588万人。
2位のインドは14億1717万人。
来年にも中国を抜く。

3位はアメリカの3億3829万人、
4位はインドネシアの2億7550万人
5位はパキスタン2億3582万人――。

日本は1億2395万人の11位。

少子高齢化でも11位で1億人を超えている。
日本商業の繁栄はこの人口増によって支えられた。

この12年間で70億人から80億人へと増加した。
アジアとアフリカの2地域だけで、
増加分の10億人の9割を占める。

インド、中国など、
上位10カ国で増加分の過半数を占める。

さらに2050年には世界人口は97億人に達する。
今後の増加分の半数以上は8カ国に集中する。
・コンゴ民主共和国
・エジプト
・エチオピア
・インド
・ナイジェリア
・パキスタン
・フィリピン
・タンザニア

人口増加の要因は、
公衆衛生や栄養状態の向上で死亡率が低下し、
平均寿命が延びていること。

人口増は15~64歳の生産年齢人口増につながり、
経済成長を促進する効果が期待される。

しかし同時に、
格差の拡大や環境破壊、
食糧危機や開発の停滞を生む。

人口減の地域は、
ヨーロッパ、東アジア・東南アジアなど。
2050年までに61の国・地域の人口が、
1%以上減少する。

朝日新聞「折々のことば」
第2558回。

よくしなる綱の上の
踊り子を見上げる群衆は、
いつの間にか自分の体を
くねらせよじらせて
バランスをとる。
(アダム・スミス『道徳感情論』から)
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「感覚が伝染したり、
他人の心情に同感したり、
他人の立場になって思考したり
というふうに、ひとには
他人のことを心に懸けずにはいられない
性向がある」

「[私]という囲いを超え出る働きは、
身体の中でいつも
すでに蠢(うごめ)きだしている」

80億人の感覚が伝染したり、
他人の心情に同感したり、
他人の立場になって思考したり。

人間は他人のことを、
心にかけずにいられない。

それが商売の本質であり、
このことを理解することが、
繁昌のもとになる。

〈結城義晴〉

2022年11月14日(月曜日)

True Dataの「データの民主化」と小嶋千鶴子「商いは公のこと」

Everybody! Good Monday!
[2022vol㊻]

2022年第46週。
11月第3週。

朝からオンライン会議の連続。

㈱True Dataの臨時取締役会。
第2四半期決算の承認。

このたびTrue Dataは、
リテールAIアワード2022を受賞した。

目出度い。

一般社団法人リテールAI研究会が、
小売流通業界において、
AI導入・DX推進に貢献した企業を表彰する。

この賞は、
同研究会に参加する245社の会員社から、
特に先進的な取り組みをしている企業に与えられる。

正会員101社、流通会員27社、賛助会員112社。

昨年から始まって、
今年度は二度目だ。

受賞企業の第1は小売流通部門で、
イオン九州㈱。

他社を圧倒するスピード感で、
デジタル化を進めた。
サプライチェーン改革の推進、
リテールメディアの活用などなど。
店長職はデジタル資格の取得を義務化している。

第2に卸部門は、
ヤマエ久野㈱。

「J-MORA」は、
商品マスター構築のプロジェクトだが、
このJ-MORAにおいて、
改廃業務の効率化などに先駆けて取り組み、
生産性向上の実証実験を実施した。

第3にメーカー部門は、
サントリー㈱。
人材育成に「飛びぬけた実績」を残した。

そして第4がベンダー部門で、
㈱True Dataが受賞。

データコンペへの協賛、
J-MORAへのデータ提供など、
「データの民主化」を強く推進した。

私はいつも、
True Dataはパブリックな存在になろう、
と言っている。

パブリックとは、公的なという意味だ。
公的な機能を持って、
公的な存在感を示す。

ありがたい受賞で、
社員、役員一同、
励みになる。

頑張ります。

True Dataの役員会のあとは、
第一屋製パン㈱のオンライン役員会。

こちらは喫緊の課題など、
厳しい議論を展開して、
成果を確認した。

頑張ってほしい。

それから商人舎オフィスに出社。

ユースキン製薬㈱の、
野渡和義さんから、
ユースキン・シソラのセットが届いた。IMG_E70732
野渡さんは中学と高校の器械体操部の先輩。
シソラからフェイスマスクが新発売された。

ありがとうございます。

今週は忙しい。
大阪出張もあるし、
店舗クリニックもある。

記者会見は目白押し。
そちらは山本恭広編集長が対応してくれる。

朝日新聞「折々のことば」
第2556回。鷲田清一

「食べられればいいのよ……
好きなことができていれば
永遠に認められなくても
いいのよ」

(水村美苗)

経済学者の岩井克人さん。
「米国で経済学界の頂点からあえて脱落し、
不均衡動学、さらに貨幣論、
法人論の未踏の問題に挑んでいった」

そんな時、伴侶で作家の水村美苗さんが、
いつも笑って背中を押してくれた。

「引き受けたくない仕事なら
引き受けなくていい」と。

そして進行中のその仕事は、
異分野の研究者にも
鮮烈な刺激を与え続ける。

岩井克人『経済学の宇宙』の「あとがき」から。
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私も岩井克人さんの本の愛読者の一人だ。

好きなことができていれば、
永遠に認められなくてもいい。
食べていくことができればいい。

追い詰められても、
楽観的に生きる、この態度。
好きなことを、
人に媚びへつらうことなく、
やり続けられれば、
それが一番いい。

私も同じ気分だ。

そしてそんな人が、
貴重な仕事をする。
生きてさえいれば。

日経新聞「春秋」
先週火曜日の巻頭コラム。

「企業のトップは
どのような人間を

重用する傾向があるか」

イオン名誉顧問の故小嶋千鶴子さん。
その著『あしあと』から引用したコラム。
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答えは、
「真実を真実として伝えない
虚構性の強い人間」

「虚構性という性格」の項(112ページ)で、
小嶋さんは手厳しく書いている。

私もこの部分には惹かれるものがあったし、
私も同じような失敗をした覚えがある。

そんな人間の特徴。
「都合の悪いことは打ち消し、
一部分だけをもって真実にしようとする」

「現在の不利な状況が、
他人の失敗によってもたらされていると
必ず告げる」

この要注意人物、自らの担当部署の失敗も、
己の責任ではないと信じ込む。
ここが底なしに恐ろしい。

だから小嶋さんは強調する。
「トップの周囲からは排除すべし」

岡田卓也さんの周辺に、
そんな人間が寄ってくる。

すると、小嶋さんが排除した。
かくてイオンはトップ企業となった。

コラムニスト。
「あまたの従業員らと面接を重ね、
働きぶりを見守り続けたゆえの眼力だろう」

小嶋さんは採用をはじめ、
人事、教育に従事して、
岡田屋からジャスコ、
そしてイオンまで、
一貫して人財育成に努めた。

その根本にはドラッカー思想があった。

「部下の不平は成長の証し。
その本質を見分ける知性と
押さえつけぬ寛容さが
上の者には欠かせない」

見分ける英知と、
受け入れる心の静かさ。

そして小嶋さんは言う。
「商いは公のこと」

つまり商売は、
パブリックなものなのである。

日経新聞の「春秋」で、
『あしあと』を取り上げてくれるのは、
ほんとうにうれしいことだ。

では、みなさん、今週も、
本質を見分ける知性を、養いたい。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2022年11月13日(日曜日)

上野光平の「クラシックライブラリー」と「自己啓発のすすめ」

カスミつくばセンター。
茨城県つくば市の㈱カスミの本社。

このつくばセンターの1階に、
レコード鑑賞室があって、
地元の人たちにも公開されている。IMG_70372

「上野光平クラシックライブラリー」
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上野光平さんは、
実質的な西友の創業者で、
「支配人」を名乗った。
その後、流通産業研究所所長・理事長。
上野光平
流通業界きっての論客で、
西友のトップを退任するときに、
ダイエーの中内功さんから、
スカウトの話が持ち込まれた。

もちろんそれは丁重にお断りして、
研究の道に進んだ。

その上野さんは、
クラシック音楽マニアだった。

亡くなられたときに、
その膨大なクラシック音楽のコレクションが、
つくばセンターに寄贈された。

個人所蔵のレコードは5000枚。
その貴重盤がここに収められている。IMG_70522
CDではなく、レコード。
レコードの良さが見直されているが、
最新のレーザーシステムによって、
リアルに聴くことができる。

私は上野光平の弟子を自任している。

ここに来ると、
上野さんに会っているような気がする。IMG_70542

その著『自己啓発のススメ』
名著だと思う。
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月刊「商業界」に3年間、
毎月書いてもらった。
その連載がまとめられて、
一冊の単行本になった。

「自己啓発とは、
資質(個性)を変えることではない」

「資質が行動として表現される能力を
高め、深め、豊かにすることである」

「自己啓発の根っこと幹は、
人間としての”自分”を”啓発すること”、
言いかえれば、人間としての自分が、
人間としての自分を、
より充実した人間としての自分に、
創り変えることであり、
そのために、どのような方法で、
どのように努力するか、ということを学び、
考え、そして行動することである」

上野さんは「人間」を重視した。

亡くなられて1年後、
渋谷の鳥屋で追悼の宴がもたれた。

流通産業のトップや著名人が、
30人くらい参加して、
車座で鳥鍋を囲んで、
上野さんのことを語り合った。

全員が順番にスピーチした。
私も上野先生から原稿をいただく話をした。

遅れてやって来たのは、
共産党の上田耕一郎さんだった。

ちょうど国会が開催されていて、
参議院議員として出席していたからだ。

日本共産党中央委員会名誉役員。
前議長の不破哲三さんは実弟だ。

その上田さんが最後にスピーチした。
「日本共産党に入党するためには、
2人の推薦人が必要とされました。
上野君は私の推薦人の一人です」

そして述懐した。
「上野君は優れたコミュニストでしたが、
それ以上に類稀なるヒューマニストでした」

拍手喝采だった。

そのヒューマニストの上野光平だからこそ、
西友でもチェーンストアでも、
「人間」を重視した。

「人間産業」をつくろうとした。

「啓発の対象が技術やモノではなく、
“自分”であり、
“自分という人間”であり、
それを”自分一人”でやらねばならず、
他人の言うとおりにやってもできず、
学ぶことはできても真似ることはできない、
むずかしくはあるがやりがいのある、
そして死ぬ時まで終わることのない
時間のかかる作業、
それが自己啓発の本質である」

上野さんがつくった西友。
現在の社長は大久保恒夫さんである。

その大久保さんと、
カスミ社長の山本慎一郎さん。

対談をしてもらって、
食事の懇親をして、
今日はゴルフ。

常陽カントリー俱楽部。
歩いてのラウンド。

午前中は風もなく絶好の日より。
午後は風が吹いててこずったが、
実に気分のいい一日だった。
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ありがとうございました。

上野光平の言葉。
リーダーシップに関して、
「忘れてはならないことがある」

「心を動かすことができるのは
心だけだ、ということである」

上野さんに感謝しよう。

〈結城義晴〉

2022年11月12日(土曜日)

「大久保恒夫&山本慎一郎」対談と「たそがれの流通2強時代」??

つくばエクスプレスに乗って、
研究学園へ。

そしてタクシーで、
㈱カスミ本社へ。

6階の応接室をお借りして、
今日は月刊商人舎の対談。IMG_6920 (002)2

カスミ社長の山本慎一郎さんと、
㈱西友社長の大久保恒夫さん。
司会は結城義晴。

午後2時から始まって、
司会が必要ないほどの、
お二人の怒涛の対談。

私も鼎談のごとく、
情報を提供したり、
意見を言ったりした。

エキサイティングなディスカッションは、
2時間近くにわたって展開された。IMG_6916 (002)2
代わる代わる自分の会社のことなどを話す、
という形ではない。

大久保さんが考え方を述べると、
それに対して山本さんが話を展開させる。
その山本さんの見解に、
大久保さんが反応する。

そんな話し合いの中に私も加わる。

化学反応が起こり、テーマは深まっていく。
真理に近づいていく。

本来のディスカッションである。

ここでその一端を紹介したいところだが、
それは月刊商人舎新年号誌上にて。

最近はこういったトップ同士の対談は、
ほとんどない。

かつての販売革新や食品商業では、
頻繁に企画し、実現させた。

1998年9月号。

中内功さんと伊藤雅俊さん、
そして岡田卓也さんの座談会を、
田島義博先生の司会で、
食品商業誌上に掲載したことがある。

キッコーマン米国工場25周年記念。
そのイベントがウィスコンシンで開催された。
私はこのイベントに参加して、
それを食品商業誌上にページを割いて、
ノンフィクションのような形で書いた。

タイトルは「革命者たちの述懐」だったと思う。

今回もそのときのように、
ドキドキワクワクした。

ありがとうございました。
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楽しみにしてください。

カスミの幹部のお二人とも写真。
私の隣は塚田英明常務取締役上席執行役員、
そして新井敦之執行役員経営企画室マネジャー。IMG_6913 (002)2
塚田さんはコーネル・ジャパン伝説の一期生、
新井さんはその七期生。

対談が終了すると、
大久保さんのカブリオレで、
夕食会場に向かった。

快適だ。IMG_7019 (002)2
さて、今日の日経新聞本誌の記事。
「たそがれの流通2強時代」

タイトル自体、ちょっと失礼だ。

上半期決算が発表されたばかりだが、
両者ともに過去最高を記録した。

「今回のそごう・西武の売却劇は、
国内流通史の転換点を象徴している」

私は、そうは思わない。
「転換点」などではない。

セブン&アイにとっては、
ジャンピングボードの役を果たす。

イオンには何の関係もない。

記事は「カリスマ経営者」をテーマにする。

セゾングループの堤清二さん、
そごうの水島広雄さん。
セブン&アイの鈴木敏文さん。

「一時代を築いたそごうと西武百を取り込み、
次の豊かさを描こうとしたセブンだったが、
デフレとデジタル化が進む消費社会を前に
付加価値を生み出すことはかなわなかった」

この問題は昨日書いたが、
百貨店を業態の盛衰という視点から、
再分析するべきだろう。

「戦後のカリスマ経営者がつなげてきた
リアル時代の豊かさの象徴は、
ファンドとデジタル時代の”勝者”である
ヨドバシカメラによって再編集される」

ヨドバシカメラが、
「ファンドとデジタル時代の勝者」と言う。
これにも違和感がある。

賛同する人はどれだけいるのだろう。
別にヨドバシカメラを貶めるつもりはない。

「そごう、西武百、ダイエー、マイカルと
有力小売りが表舞台から去り、
1990年代から2000年代にかけて
国内小売りはセブンとイオンの
2強が取り仕切った」

細かいところだがこれはあいまいな表現だ。
「1990年代から2000年代」と言えば、
「2000年代」は2000年から2010年のことか。

ならば2010年から2022年の現在までも、
2社がトップを走っている。

「スーパー、専門店、百貨店は
総合型小売業の完成を目指す二大勢力に
集約されていくというのが
大方の見方だったが、
そんなシナリオは今回のセブンによる
そごう・西武の売却で見事に崩れた」

これも「二大勢力」と言ってはいけない。
イオンは都市百貨店を統合してはいない。

「スーパー、専門店、百貨店」に、
専門店が加わっているのも理解不能。

専門店チェーンと言えば、
ユニクロやニトリなどが代表だが、
二大勢力に集約されるとの見方は、
どこを探しても、一度もない。

「ショッピングセンターを展開するイオンは
事業リストラには踏み込んでいないが、
かつてのように多数のM&Aを駆使して
総合型戦略を進める余裕はない」

イオンは事業の再編を続けている。
リージョナルシフトはその典型の戦略である。
それは事業のリストラクチャリングそのものである。

それにイオンのM&Aは、
これからも継続されるだろうし、
これからがむしろ本番である。
実際に昨年にはフジと経営統合している。

アメリカでは、
クローガーとアルバートソンが合併する。
それが日本の経営者に、
意識として与える影響は大きい。

イオンに「総合型戦略を進める余裕」が…
ないはずはない。

再度、言おう。
イオンもセブン&アイも、
この上半期に過去最高益を出している。

「デジタル&グローバル化の
流れを前に

2強の成長力は衰え、
新時代を切り開く存在とは
言えなくなった」

デジタルに対しても、
グローバル化に対しても、
「2強」の成長力は衰えるものではない。

特に「グローバル化」に関しては、
セブンが米国スピードウェイを買収して、
グローバル10に名乗りを上げる。
グローバル最大のコンビニチェーンだ。

アセアン戦略においては、
ウォルマートやテスコ、カルフールが、
揃って失敗しているにもかかわらず、
イオンは順調に成長している。

最後に「カリスマどもが夢の跡」
これは極めて失礼な言い方だ。

「カリスマ」に対して、
「ども」という言い回しを使う。

尊敬のかけらもない。

とても日経新聞とは信じられない。

毎日、この新聞を丁寧に読む読者の一人として、
この記事に対しては異議を唱えておきたい。

〈結城義晴〉

2022年11月11日(金曜日)

「そごう・西武」売却相手決まって和田繁明さんを思い出した。

村田兆治さん、逝去。
マサカリ投法の剛球投手だった。

東京・成城の自宅で火災が発生し、
一酸化炭素中毒で亡くなった。

72歳。
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私とは2つしか違わないが、
ずっと年上のような印象がある。

それだけ古風な面を持った野球選手だった。

「人生は先発完投」
その通りだ。

「人は誰でも、
人生というマウンドに立っている」

ご冥福を祈りたい。

それから王國雄さんも、
10月9日の朝、永眠された。

4日後が80歳の誕生日だった。

長崎の中国菜館「江山楼」代表取締役会長。
商業界同友会チューターで、
九州の同友会の重鎮だった。

誰にも分け隔てなく接し、
優しい人だった。

「出会った方々の小さな幸福のお手伝い」
これを自分のテーマとしていた。

けれど筋の通らないことには、
断固として意見を言った。

王さんの長崎ちゃんぽん、皿うどん。
美味しかったな。

ご冥福を祈りたい。

立冬を過ぎて、
冬がやってくる。20221108_tokiwa

商人舎流通SuperNews。
セブン&アイnews|
そごう・西武を投資会社&ヨドバシに譲渡

㈱そごう・西武の売却先が決まった。
フォートレスインベストメントグループ。
アメリカの投資運用会社で、
ソフトバンクグループの子会社。

日経新聞が先行して報じていたが、
セブン&アイが取締役会を開いて決議し、
それを公開した。

2006年6月、
セブンア&アイ会長の鈴木敏文さんが、
和田繁明さんと話し合って、
㈱ミレニアムリテイリングを傘下に入れた。

このミレニアムは2003年、
西武百貨店がそごうに吸収される形で生まれた。

和田さんは「西武百貨店白書」を書いて、
西武を蘇生させた辣腕経営者だ。

その後、そごうの再生も和田さんに託された。

和田さんは両者を統合して、
ミレニアムリテイリングをつくった。
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そして結局、そのミレニアムを、
セブン&アイの傘下に入れた。
鈴木敏文さんに委ねた。

鈴木さんは、
「オムニチャネル」の時代に、
百貨店業態を生かす道は、
「業態揃え」にあると考えたのだと思う。

しかし鈴木さんがセブンを去ったあとは、
そごう・西武を動かせる人間はいない。

当然の流れで売却された。

譲渡先のフォートレスは、
㈱ヨドバシホールディングスと組んでいる。
そごうや西武百貨店のテナントとして、
ヨドバシカメラが入る。

小型の百貨店、郊外百貨店を、
どんどんヨドバシカメラに変えていくのは、
いい対処法だろう。

売上げトップの西武池袋店、
売場面積断トツで売上げ2番目の横浜そごう。

大胆な言い方になるが、
そごう・西武はやがて、
この2店プラスアルファの百貨店企業になる。

それでもブランドが輝けばいいと思う。

いつも言うけれど、
イギリスのハロッズは、
ロンドンのナイツブリッジの1店だけだ。

売上げや店数のスケールを追わず、
ブランド価値を高めることに、
一心に取り組めば企業価値は上がる。

他の店はヨドバシカメラにすればいい。
顧客もそれを望んでいる。

ヨドバシカメラは、
奈良そごうの1階がロピアに変わったように、
京都ヨドバシの地下がロピアになったように、
食品はロピアを誘致するかもしれない。

それも西武百貨店やそごうの小型店として、
一つの再生方法だ。

それでも私は池袋西武はいい店だと思うし、
横浜そごうは価値のある小売業だと考え、
よく利用する。

百貨店は「先発完投型小売業」だ。
中継ぎや抑えの小売店舗ではない。

村田兆治流に、
ちょっと古風でも、
それぞれに唯一の百貨店の価値を高め、
それぞれの意志を貫くのがいいと思う。

和田繁明さんは、
今年7月25日に没していた。
88歳だった。

ご冥福を祈りたい。

〈結城義晴〉

2022年11月10日(木曜日)

商人舎11月号「本日発刊!!」とヤオコー中間決算会見の「増収減益」

月刊商人舎11月号、
本日発刊。

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特集は、
何かが、大きく、変わる。
業態トップ企業たちの「成長フォーマット」開発スタディズ
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[Cover Message]
偶然の出来事が重なる。それが人間の想像力を刺激する。本号がそれだった。
アメリカからはクローガーとアルバートソンが経営統合するという報が入ってきた。スーパーマーケットの1位と2位の、信じられない合併である。ポストコロナが見え始めた瞬間の、新しい「価値観」と新しい「スケールの時代」を予感させる。
一方、日本では衰退が続く総合スーパー業態の筆頭に位置するイオンリテールが「イオンスタイル天王町」において、完全復活の兆しを見せた。生産性向上の仕組みも開発された。ライフビエラ蒔田店は生活圏スーパーマーケットのスタンダードを確立した。そしてカインズのセブンパークアリオ柏店は都心型ハーフサイズフォーマットを完成させて、出店の可能性を飛躍的に高めた。
米国と日本の、それぞれの現象は「何かが、大きく、変わる」ことを連想させる。その新しい時代に向けて、すべての小売業、サービス業が変わらねばならない。この変化の場面には、逆に巨大化するだけのスケール観のパラドックスも隠れているのだろう。

目次。
202211_contents

特集のまえがきは結城義晴。
ポストコロナ時代の「上位集中現象」考
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この[まえがき]が本号の主張です。
主張のないメディアには意味がない。
存在価値がない。

私はそう考える。

本号はケーススタディが三つ。
総合スーパー業態では、
イオンスタイル天王町。
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井出武美イオンリテール社長の「独白」と、
イオンリテール「完全復活の予感」。
カラー8ページに及ぶビジュアル研究。

さらに天池志光ストアオペレーション部長の、
「データドリブン改革」物語

この記事は実にいい。
DXの方向性がくっきりと見えてきます。

スーパーマーケット業態では、
ライフビエラ蒔田店
亀谷しづえ商人舎GMが執筆。
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さらにホームセンター業態では、
カインズセブンパークアリオ柏店
01.IMG_5699

こちらは山本恭広編集長執筆。

ホームセンター業態の店舗スタディとして、
この記事は近来にないものとなった。

秀逸です。

特別企画は、
2022上期決算「最高益続出」の理由
202211_ranking
目を通しておかねばいけない、
上期決算のダイジェスト。

それから本決算企業のエッセンス。
★ファーストリテイリング
★PPIH
★良品計画
★ツルハホールディングス
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今月号も出来栄えには大いに満足。
是非、是非、読んでください。

商人舎の切り口が満載!!

さて今日は、
午後からオンライン記者会見。
「イオンタウン豊中庄内」
12月2日にグランドオープン。
iontaunntoyonakasyounei

記者会見の出席者は、
イオンタウン(株)の加藤久誠社長(左)と、
㈱ダイエーの西峠泰男社長(右)。IMG_70062
核店舗は「イオンフードスタイル豊中庄内店」

ダイエーは今後、
2つのフォーマットに収斂していく。
イオンフードスタイルとダイエー。
スーパーマーケットとして、
大型の物件はイオンフードスタイルへ、
やや小型の物件はダイエーへ。

他のバナーはこの2つに集約していく。
これは正しいバナー戦略だ。

アメリカのメイシーズは、
全米の百貨店を次々に買収していって、
メイシーズとブルーミングデールとの、
2つのバナーに収斂した。

それと同じだ。

山本恭広商人舎編集長も、
「手を挙げる」で質問した。IMG_70112
加藤さんも西峠さんも、
丁寧に答えてくれた。

イオンタウンは、
昨日このブログで書いた、
「ライフスタイルセンター化」を、
どう考えているのだろう。

私も質問したかったが、
時間がやって来て、
オンライン記者会見は終わった。

今度、単独インタビューを申し込もう。

オンライン記者会見のあとは、
東京のベルサール八重洲で、
リアルの記者会見。

㈱ヤオコーの第2四半期決算。IMG_70152

川野澄人社長がぶっ通しで説明し、
質疑応答に応えてくれた。IMG_69062

商人舎流通SuperNews。
ヤオコーnews|
第2Q営業収益2799億円3.9%増・水道光熱費4割増で増収減益IMG_70182
ヤオコーにとっては珍しい決算。
つまり増収減益。

営業総利益は2.2%増、
しかし販管費がそれを上回る5.0%増。

経費圧縮に取り組んだものの、
水道光熱費39.3%増の激増。
それを吸収できなかった。

川野澄人社長は襟を正して、
下半期に臨む。
IMG_69072
しかし、大丈夫。

通期の連続増収増益記録は、
途切れることはない。

34期連続増収増益を、
僭越ながら私が保証しよう。

この会見でID-POS分析によるクラスターを、
ちょっとだけ説明してくれた。

「テリョーリ」クラスター、
「カイワケ」クラスター、
「ジタン」クラスター、
「ムカシ」クラスター。

課題となっているヤングファミリー層に、
EDLPや「厳選100品」などで対応した。

そこで最も年齢層の低い「カイワケ」が伸びた。
しかし当初、ターゲットにしていなかった、
「ムカシ」も伸長した。

これが私の新しい理論で言うところの、
「エクスパンディング」現象である。

この点について、
少し議論したいと思った。

記者会見はさらりと終わった。

ヤオコーはこういったメディアとの接点を、
もっともっと戦略的に活用すればいいのに、
と思った。

日本橋のイルミネーション。IMG_70212

最後は白鳥和生さんと情報交換。
日本経済新聞社調査部次長。IMG_69112

最近、白鳥さんは単行本を上梓した。B0BKSQSGRR.01._SCLZZZZZZZ_SX500_
是非、読んでみてください。

北海道小売業のみなさんは、
義理でも読まねばならない。

よろしゅう、お願いします。

おっと、商人舎11月号も。

〈結城義晴〉

2022年11月09日(水曜日)

新金岡(堺)のそよら「イオンスタイル」とフレスポ「関西スーパー」

日本全国、紅葉の季節。

㈱マツモト会長の松本隆文さんから、
今年も紅葉の写真をお送りいただいた。IMG_6864

11月6日、鍬山(くわやま)神社。
京都府亀岡市の紅葉の名所。IMG_6868

青空と紅葉。
IMG_6866

白壁と紅葉。
この写真、素晴らしい。
IMG_6865
ありがとうございました。

亀岡は石田梅岩の生まれたところ。
一度、梅岩の生誕の家や墓を訪れたい。

さて昨日のストアウォッチングの続き。

ららぽーと堺のロピアと、
ビバモール美原南の万代を取材して、
そのあと堺市北区の新金岡に移動した。

そよら新金岡。IMG_69332

商人舎流通SuperNews。
イオンリテールnews|
堺市に小商圏の都市型SC「そよら新金岡」7/17開業

昨2021年7月17日オープン。
イオンリテールの小商圏都市型SC。

もともとは、
1983年4月2日開業のニチイ新金岡店。
当時の店舗面積は1万3168㎡。
3層の総合スーパーで、
1000台の立体駐車場を完備していた。

それがサティとなり、
2011年にイオンリテールに継承されて、
イオン新金岡店となり、
さらにそよら新金岡となった。

「そら、寄って、楽しんでって!」から、
「そ・よ・ら」とネーミングされた。

その1号店が3月28日、
大阪市福島区に開業した「イオンそよら海老江」。

このそよら新金岡は2号店。
地上2階建てで、売場面積は3916㎡、
直営は約1673㎡、専門店が約2243㎡。
1階は「イオンスタイル新金岡」。
スーパーマーケット業態だ。
IMG_69342

時計回りのコンコースで、
生鮮から左翼は惣菜コーナー。
IMG_69362
この奥にドラッグストアがあって、
コンビネーションストアとなっている。
ドラッグはイオンの「グランビューティーク」。
ionsutairuイオンスタイル新金岡、いい店だ。

2階は19店舗の専門店で構成されるが、
写真のようなテラスデッキが設けられている。IMG_68942
カジュアルな気分で楽しめる、いいSCだ。

アメリカで言えば、
ライフスタイルセンター。
買物するためだけではなく、
そこで時間を楽しむ。

旧いリージョナルショッピングセンターから、
ネイバーフッドショッピングセンターまで、
ライフスタイルセンターに転換している。

そのテラスから、
隣のショッピングセンターにつながる。IMG_68932
フレスポしんかな。

こちらは2013年9月19日オープンの4層。
大和リース㈱が運営している。

もともとは、
1992年9月2日開業の「しんかなCITY」。
南海電鉄資本の商業集積だった。

それが2012年3月31日に閉館し、
現在のフレスポしんかなとなった。

2階のデッキからはいると、
しまむらの3フォーマットが並ぶ。
しまむら、アベイル、バースデイ。IMG_689822

3階にセリアと専門店など、
4階はアミューズメント。

そして1階は関西スーパーマーケット、
キリン堂、サイゼリヤ。
huresupo

関西スーパーは反時計回り。
通路が広くて、ゆったりと買物ができる。
IMG_69042

最新形に近い店づくりで、
イオンスタイルと棲み分けを狙う。IMG_68992

フレスポしんかなとそよら新金岡。
地下鉄駅前の、
旧い物件のリニューアル対決。
IMG_690522
フレスポはライフスタイルセンター化していない。
その分、さらに旧く感じられる。

ららぽーと堺とビバモール美原南は、
郊外の国道沿いでの最新の競争。

新金岡は駅前SC同士の激突だが、
こちらは全体に旧い印象だ。

だからそよらは、
ライフスタイルセンター化した。

それでも新金岡は競争しつつ、
両施設をデッキでつないで、
協働で全体の便利性を追求する。

「立地は変わる」
立地変動にしたがって、
店も変わらねばならない。

総合スーパー業態は、
1997年にピークを迎えて、
今、大変革を求められている。

それはこういった商業集積が増え、
その競争が激化することで、
箱形の総合小売店舗の「旧さ」を、
浮き彫りにしてしまったからでもある。

「立地変動」と「業態変革」は、
強く連動している。

だから新フォーマット開発は、
立地創造でなければならない。
イオンリテールの「そよら」は、
都市部の小商圏SCの創造でもあるが、
一方で旧い立地・旧い物件の再生作戦としても、
可能性を見出そうとしている。

〈結城義晴〉

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