結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年09月28日(火曜日)

宣言&措置の「全面解除」とドイツ総選挙の「中道のポジショニング」

半年ぶりに全面解除。
19都道府県の「緊急事態宣言」、
8県の「まん延防止等重点措置」。

今週金曜日10月1日から。

しかし菅義偉首相も、
尾身茂基本的対処方針分科会会長も、
小池百合子東京都知事も、
「段階的」を強調した。

一挙の解除ではない。

まず、少しずつ外食産業が、
蘇っていく。

その分、スーパーマーケットなど、
内食産業と中食産業は、
これまでの「特需」の反動が、
これまた少しずつ現出する。

ただし内食・中食の経済性や利便性は、
消費者の頭の中にくっきりと残るだろう。

営業時間短縮を要請されていた百貨店などは、
午後9時までの商売ができるようになる。

まだまだ10月いっぱい、
人々の行動制限をして様子を見る。
そして段階的に解除していく。

もう10月から、
年末商戦は始まっている。

さて自民党総裁選挙。
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そのまえにドイツでは、
26日に連邦議会選挙が投開票された。

あちらでも「総選挙」と呼ぶ。
もちろんドイツ語でだが。

アンゲラ・メルケル首相が退陣して、
後任選びにつながる大事な選挙。
在任の16年間に、
世界でもっとも成果を上げ、
尊敬される政治家だ。
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この総選挙では、
中道左派の社会民主党(SPD)が勝利宣言。
第1党となった。

メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)は、
中道右派(保守)だが、微差で第2党。

第3党はずっと離されてはいるが、
環境政党の「緑の党」が躍進。

そして第4党は、
親ビジネス政党の自由民主党(FDP)。

極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、
今回、議席を減らした。

トップが僅差の選挙戦だったが、
最終的に過半数を握る政党はなかった。

そのため、これから連立政権が組まれる。
ドイツでは珍しいことではない。

第2次世界大戦後、西ドイツの時代も、
単独政権の過半数を獲得できた政党はない。

今回も第1党の社会民主党と、
第2党のキリスト教民主同盟を中心に、
連立政権が組まれる。

その交渉は半年にも及ぶ。

「大連立」と呼んで、
上位政党が連立を組む場合もある。

連立政権がまとまるまでは、
メルケル首相が世話人の立場で、
権力を維持する。

連立政権が成立しなければ、
再び総選挙を実施する。

連立を前提として、
すべての政党が「予備的協議」を行う。

各政党がイデオロギーや政策の違いを越えて、
協力できるか否かを、互いに判断する。

日本の野党の今回の「連携」は、
このドイツの「連立」をモデルにしていると思う。

しかしドイツの連立は、
「中道」(Centrism)の概念の枠があるからこそ、
可能となっているものだ。

中道左派SPDと中道右派CDU。
その中間の「緑の党」。
中道右派のちょっと右寄りの自由民主党。

これらが4大政党だ。

日本の場合、
巨大な自由民主党には、
この中道の右派と左派が同居している。

総裁選の4候補の発言や討議を見ていると、
それが実によくわかる。

中道右派の高市早苗、
真ん中の岸田文雄、野田聖子。
中道左派の河野太郎。

さらに自民党以外の政党を見ると、
公明党も日本維新の会も、
立憲民主党も国民民主党も、
オール中道だ。

そして日本共産党が、
連携を組む中から、
限りなく「中道化」してきた。

かつての「保守」と「革新」の分類は、
もう現実的ではない。

だから河野候補や野田候補、
さらに岸田候補まで、
かつての民主党や野党の政策と、
ずいぶん似たようなことを言っている。

日本の二大政党制を目指した、
自由民主党と民主党も、
中道右派と中道左派だった。

アメリカの共和党と民主党も、
大きく見れば中道右派と中道左派だし、
イギリスの保守党と労働党も、
中道右派と中道左派だ。

1980年代から1990年代初頭、
英国労働党は素早く中道へと軸足を移した。

ここで勝手に言えば、
日本の自由民主党も、
ドイツのように中道右派と中道左派に、
あるいはそれ以外に分かれて、
自分たちの主張をそれぞれに、
明確にしたらいいと思う。

それはできないだろうけれど。

もともと自民党は、
「派閥」による「中道の連立」と、
考えるといいだろう。

この「中道」のなかで、
それぞれの主張をしてもらえば、
私など大いに助かる。

欧米の教育の主流は、
徹底した「中道」を教え込むことだ。

田村正紀神戸大学名誉教授は、
あちらに留学しているときに、
それを痛感したそうだ。
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だからあちらでは、
アリストテレスの「ニコマコス倫理学」を、
必読書として読ませる。

キーコンセプトは中道だ。

ここが欧米諸国の、
中国やロシアと、
決定的に異なる点だ。

そこで結城義晴の勝手な提案。
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自民党総裁選挙の予想は、
第1回の投票で、
どの候補も過半数を獲れそうもない。

だから上位2候補によって、
決選投票が行われる。

どのテレビも、どの新聞も、
第1回は首位河野太郎、次点岸田文雄、
そして決選投票で岸田が勝つと予測している。

第1回が河野、高市で、
決戦で河野という予測もあるが。

ただし連携野党にとって、
一番総選挙を戦いやすかったのは、
菅義偉現総裁のはずである。

次は色が正反対の野田聖子候補、
そして岸田文雄候補だろう。

河野太郎総裁が誕生して、
石破茂・小泉進次郎が顔となって、
トライアングルを組むとしたら、
野党にとっては一番厄介な選挙となる。

ならば全く関係ないけれど、
野党はこぞって、
河野太郎候補を応援する意志を、
公然と示してしまう。

そうすれば河野総裁が生まれない場合、
その後の総選挙で連携野党は、
河野を支援して残念がっている自民党員から、
少しだけでも票をとることができる。

そして長い目で見れば、
それらの全体は「中道左派」に向かう。

自民党も派閥の長や総理経験者が、
密室で事を決める現在の体制を改革して、
中道右派および中道の真ん中あたりで、
しっかり議論する優秀な政党となる。

かくて中道右派と中道左派が出来上がり、
その間に主張の異なる多様な政党が存在する。
新規の政党も生まれやすくなる。

有権者はそれぞれの党の主張に耳を傾け、
学習しなければならなくなる。

それがまた国民の政治意識を高めていく。

一言で言えば政治においても、
「中道のなかのポジショニング」

そしてポジショニングは、
様々、それぞれでよろしい。

この際、政治の力学は無視する。

有権者も政治家も、
一人ひとりが、
自分の考え方を確立して、
自分で選ぶ。

いつもポジショニングで恐縮だが、
いかがでしょうか。

〈結城義晴〉

2021年09月27日(月曜日)

緊急事態とまん延防止措置の「全面解除」と「この一瞬の積み重ね」

Everybody! Good Monday!
[2021vol㊴]

2021年第39週。
9月最終週、金曜日から10月。

新型コロナウイルス検査の陽性判明者は、
今日、全国で、
1147人。

東京都は154人、
大阪府が141人、
神奈川県が123人。

100人台の3桁はこの3都府県だけ。

すごい減り方だ。

7月5日の1029人以来のこと。

専門家たちの発言も、
その理由に関しては歯切れが悪い。

私にも理解できない。

カミュの小説『ペスト』
街をどん底に突き落としたペストは、
ある日、信じられないくらいに、
いっせいに去ってゆく。

それと同じ印象だ。

『ペスト』から。
ペスト
「しかし、彼は一体何を
勝負に勝ち得たであろうか。
彼が勝ち得たところは
ただペストを知ったこと。
そしてそれを思い出すということ。
友情を知ったこと。
そしてそれを思い出すということ。
愛情を知り、そしていつの日か
それを思い出すことになるということである」

「ペストと生との賭けにおいて、
およそ人間が勝ち得ることのできたもの、
それは知識と記憶であった」

新型コロナに対しても、
ここはデータをもとに、
科学的、論理的に、
徹底的に解明しておいてほしい。
それを公けにしておいてほしい。

万が一、第六波が来襲したときにも、
あるいは新変異株が登場したときにも、
医療機関や行政や国民が、
自信をもって対処できるように。

知識と記憶を残してほしい。

さて、10月に向かう今週。
水曜日の9月29日が自民党総裁選挙。

4人の候補者の誰がどう得票するのか。
この1週間はその話題で持ちきりだろう。

そしてアメリカ大リーグ。
大谷翔平が本塁打王をとれるか。
二けた勝利を成し遂げるか。

私は商人舎10月号の原稿執筆と入稿。
それに明け暮れる。

水曜日は朝から慈恵医科大学へ。
それからTrue Dataでインタビュー。
さらに西友のオンライン記者発表。

木曜日はWeb会議と、
イオンタウンのオンライン記者会見。

金曜日は伊藤園陳列コンテスト最終審査会。
そのあと、千葉県松戸へ。

その合間に原稿を書き、入稿をする。

9月いっぱいで、
どうやら緊急事態宣言も、
まん延防止等重点措置も、
全面解除されそうだ。

飲食店での酒類提供も、
感染対策の基準を満たす「認証店」で、
午後9時までとなる。
「非認証店」では8時まで。

イベントは1カ月程度、
定員の5割以内、
かつ上限1万人。

したがって、
商人舎ミドルマネジメント研修会も、
10月19日(火)・20日(水)・21日(木)で、
開催できそうだ。
ミドルマネジメント研修会2021-1
今回は豊橋です。

まだ申し込みは可能です。

これまで以上に、
元気の出る研修会にする。
2年分溜まったパワーを全開にする。
一世一代のセミナーにする。

その決意です。

もちろんマスクも手洗いも、
ソーシャルディスタンシングも、
万全の態勢を敷く。

ご期待ください。

こうして、
少しずつすこしずつ、
日常を取り戻していく。

しかし「知識と記憶」は、
忘れてはならない。

だから私も9月30日時点で、
髭を剃る。

ずいぶんすっきりする。
楽しみだ。

毎朝、毎晩、
髭をなでながら、
コロナがカミュのペストのように、
去って行く日をイメージした。
去って行くのを望んだ。

それがかなう。

しかしそれまでも、
そしてそれからも、
一所懸命に仕事をしよう。

最初から言い続けている。
仕事が私たちを救ってくれる。

それは職業としての仕事だけではない。
会社に行ってすることだけではない。
家にいてする仕事、
コミュニティでの仕事、
ボランティアの仕事。

打ち込むことができるもの。
それが私たちを救ってくれる。

岡田徹詩集より。
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青年よ! 勇気を持とうよ!
 君よ!
 君の明日に希望を持とうよ!
そして、自分一人の力で
自分の運命を創り出すのだ!
明日は
青年の、君の
ものである。
さあ、君のために、
青年の歌を唄おうよ!

全知全能の神が
タッタ一つだけ
私の願いを
かなえて下さると云うのなら、
私は
モウ一度
青年でありたい!

岡田徹の絶叫が聞こえてくるようだ。

倉本長治。
この一瞬の積み重ねこそ、
君という商人の全生涯。
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コロナ禍からの解放。
まだまだ全面解放ではないけれど、
みなが、青年の心をもって、
明日への希望を信じよう。

では、みなさん、今週も、
青年の心をもって、
一瞬を積み重ねよう。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2021年09月26日(日曜日)

「岡田徹詩集」を読む。

岡田徹詩集。
昭和33年2月20日第一刷。
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いつも手元に置いて、
拾い読む。

生涯の願い
私の生涯の願いは
タッタ一人でよい
この店は
私にとっては
だいじな店です

いって下さる
お客という名の
友人をつくること

岡田徹は明治37年2月3日、
東京に生まれる。
大正10年、早稲田実業学校、
同専門学校を終えて、
井関十二郎の「実業界」に筆を執る。
昭和2年、雑誌「商店実務界」を創刊主宰。
昭和4年、花王石鹸長瀬商会広告部に入る。
昭和13年、雑誌「商店界」編集長となる。
昭和19年、転廃業商業者を率いて、
千葉県下に帰農。
昭和25年、公開経営指導協会の常任理事となる。
同年、「商店経営」の主幹に就任。
昭和28年、初めて商業界ゼミナール講師となる。
昭和29年、中小企業診断協会常務理事に選ばれる。
同年、通算業中小企業診断員登録審査員となる。
昭和30年、1月号より雑誌「商業界」社友となる。
昭和32年、第19回商業界ゼミナールにおいて、
最後の講演を行う。
昭和32年3月29日、永眠。

岡田徹詩集は岡田の最後の講演に向けて、
倉本長治が編集、出版した。

商人の姿に
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今日の仕事は
あなたの今日の仕事は、
タッタ一人でよい
この店へ買いにきてよかったと
満足して下さるお客さまを
作ることです。
あなたの店があるおかげで
一人のお客さまが
人生は愉しいと
知って下さることです。

人の心の美しさを満たそうよ
小さな店であることを
恥じることはないよ。
その
小さなあなたの店に
人の心の美しさを
一杯に満たそうよ
――これを受けて、
結城義晴「Message」。

小さな店 
小さな店であることを
恥じてはいけない。
ただ、その小ささが、
お客さまに迷惑をかけていないかを
いつも気にかけておこう。
やがて、
少しずつ大きな店に
生まれ変わってゆくために。

ふたたび岡田徹詩集より。

わが商売の姿
繁盛しようと
思うことなはい
思うべきは
今日もまた
人の心の美しさを
わが商売の姿と
したいことである

第一歩から
あなたはモウ一度
商人としての第一歩に
立たなければ、いけない。
一人一人のお客が
あなたの売り手としての立派さに
ほれぼれとして
見とれる――そういう商売の仕方と
いうものを
あなたは解らなければ、いけない。

商売の道
今日死ぬという日
子供たちをあつめ
おとうさんは
立派な商人だった

この一言を
いいのこせる
美しい商売の道がある。

感謝して合掌。

〈結城義晴〉

2021年09月25日(土曜日)

「ノーブル・パーパス」と関西スーパーの経営統合問題

今日は土曜日だが、
商人舎オフィスで執筆。

「ハーバードビジネスレビュー」
今月の特集は、
「ステークホルダー資本主義」IMG_69671
特集のサブタイトルは、
「パーパス主導の経営で
新たな未来をつくる」

特集のリード文。
「格差拡大や気候変動問題、
パンデミックなど、
世界が危機に直面するいま、
社会や地球環境の持続可能性に向けて、
企業は株主のみならず、
従業員、顧客、取引先、コミュニティなど、
すべてのステークホルダーを、
戦略の中心に据えなければならない」

「パーパス主導の経営こそが、
長期的な企業価値を実現し、
新たな未来をつくることにつながる」

商人舎もまったく同じ考えである。

パーパスは「崇高な目的」。
そして企業の中心に人を置き、
従業員一人ひとりが成長できる環境をつくる。

Harvard Business Reviewでは、
アメリカのベストバイの前CEOが語る。
ヒューバート・ジョリー。
ヒューバート・ジョリー
「企業の唯一最大の目的は
株主利益の最大化であるという、
ミルトン・フリードマンの
主張した考え方を捨て去り、
企業はすべてのステークホルダーに、
貢献すべきである」

ここで言うステークホルダーは、
株主だけでなく、
従業員、顧客、取引先、
そして地域コミュニティである。

「筆者は、40年ほどの自分の経験と、
その反省からも、
そう身にしみて感じている」

ピーター・ドラッカーの考え方そのものだ。

さて、商人舎流通スーパーニュース。
関西スーパーnews|
H2Oとオーケーからの経営統合案への見解発表

㈱関西スーパーマーケットが、
金曜日の9月24日(金)に見解を発表した。

8月31日付で、
H2Oリテイリングとの経営統合を表明した。
オーケーがそれに待ったをかけた。

経緯はこのブログでも、
月刊商人舎9月号「流通時評」でも、
丁寧に書いた。

第3株主のオーケーは6月上旬に、
関西スーパーに提案した。
株式公開買付け(TOB)を行って、
連結子会社化することを前提として、
資本業務提携をすることを。

しかし7月下旬には連結子会社化ではなく、
完全子会社化(非公開化)の提案に変更した。

関西スーパー取締役会は、
特別委員会を設置して検討した。

その結果、企業価値と株主利益の観点から、
H2Oとの経営統合を選択した。

これは初めて知ったが、
9月14日の労使協議会において、
労働組合からも賛同の表明を得ている。

労使ともにH2Oとの統合を望んでいる。

一方、オーケーは9月3日に、
関西スーパーの臨時株主総会で、
H2Oとの経営統合に反対票を投じ、
かつ1株当たり2250円でTOBすると表明。

球は関西スーパーに投げられていた。

それに対して関西スーパーが投げ返した。

あらためてH2Oとの経営統合を選択した理由を、
6つの観点から分析した。
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第1は「企業理念・経営方針」の観点。
H2Oとは親和性が高く、
オーケーとは相いれない。

第2は「これまでの提携実績」の観点。
H2Oとは2016年以降の提携関係の実績がある。
オーケーとはそれがない。

第3は「中長期におけるシナジー」の観点。
H2Oは関西圏で様々な小売業を展開している。
私の考えだが、阪急阪神のブランドもある。
それが将来のシナジー効果となる。
オーケーは首都圏のディスカウント業態で、
関西でのシナジー効果が見込めない。

第4は少数株主に対する見解。
H2Oとは株式上場を維持する。
オーケーの場合は非公開化される。
少数株主にはH2O案が望ましい。

そして第5は「経済的価値」の観点。
第三者算定機関2社に評価してもらった。
統合会社の理論株価は、
⑴2400~3018円
⑵1787~3128円

オーケーの1株2250円と比べると、
⑴は上回る。
⑵はどちらの場合もありうる。

そして第6は「取引の実現可能性」の観点。
H2O案は実現性が高く、
オーケー案は実現の保証がない。

株主はどう判断するか。

その臨時株主総会は、
10月29日に開催される予定。

「Harvard」が指摘するように、
株主だけでなく、
従業員、顧客、取引先、地域を、
忘れてはならない。

それを忘れてしまったら、
企業の価値は薄れていく。

売上げが伸びて、利益が上がれば、
もちろん企業価値は高まる。

しかし「株主利益の最大化」が、
「唯一最大の目的」では、
断じて、ない。

そのことを考えさせられる案件である。

会社の「ノーブル・パーパス」(崇高な目的)。

創業者の故北野祐次さんのことを、
私はいつも思い出す。

〈結城義晴〉

2021年09月24日(金曜日)

渋沢栄一「凡庸と才覚」とドラッカー「組織の手段と目的」

日本経済新聞最終面の「交遊抄」
今日は牛窪恵(うしくぼめぐみ)さん。
マーケティングライター。

交遊のお相手は、
亀川雅人教授。
立教大学大学院ビジネスデザイン研究科を、
開設した立教大学名誉教授。

私も亀川先生からお呼びいただいて、
2009年に同研究科の特任教授に就任した。

その前に、㈱商人舎発足の際には、
発起人になっていただいた。

牛窪さんは2017年に同研究科に入って、
亀川先生に師事。

MBAのマスターをとって、
優秀論文賞を獲得。

昨2020年から同研究科客員教授。

もちろん、
マーケティングライターとして、
トレンド研究の成果を発表し続ける。
牛窪恵
「人生で最も面白い授業」をしてくれたのが、
亀川雅人先生だと牛窪さんは言う。

「人はロビンソン・クルーソーのように
一人で生きられないからこそ
互いに何かを持ち寄ることに価値があり、
それが経済の根本だという授業に
感銘を受けた」

「牛窪さんなら大丈夫です、
全く心配していません」
初めて相談に行った時の、
亀川先生の言葉。

「常に”横から目線”で指導してくれた」

わかる、わかる。
亀川さんはそんな人。

修士論文のテーマを決める際も、
「研究者は自分のやりたいことを
突き詰めるべきだ」
と背中を押してくれたそうだ。

そのテーマは、
「働く既婚女性の調理外部化」
否定的な先生も多かったらしい。

まあ、ずいぶん狭い範囲の研究だが、
私も了解しただろう。

立教ビジネスデザイン研究科での、
うれしい交遊抄だ。

さて今日は9月下旬にしては暑い。IMG_69571

それでも見あげると秋の空。IMG_69601

午前中から横浜商人舎オフィス。
撮影隊がやって来て、
セッティング。
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㈱万代の取引先会のためのビデオ講演。
「万代ドライデイリー会」という。

狭いながらも楽しい我が家♬

そこに撮影機器を持ち込んで、
急遽、スタジオのようにしてくれた。
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私は講演の準備。
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セッティングが終わると、
ピンマイクをつけてもらう。IMG_69421

準備が整ったら、
みんなでモニターを覗く。
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そして「サン、ニ、イチ」、
声を出さずに「ハイッ」。

一気に42分、語った。
万代DD1
みなさん、ありがとう。
ほんとうに気持ちよく語ることができた。

撮影クルーが引き揚げたら、
前田仁さんと陶女史が合流。
前田さんは万代ドライデイリー会事務局長、
陶さんは㈱MDサポート社長、
そして撮影隊長の曽根修さん(左)は、
㈱万代総務部付業務サポートチームシニアリーダー。
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陶さんが持ってきてくれたのが、
「Lovely Curry」
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陶さんが自分の好みで、
自分の会社でつくった、
超高級レトルトカレー。
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食べた段階でその評価をしよう。
ご期待ください。

毎日新聞巻頭コラム、
昨日の「余禄」

「はばかりながらいわせてもらえば、
官吏は凡庸の者でも勤まりますが、
商工業者は相当に才覚ある者でなければ
勤まりません」

渋沢栄一が大蔵省を辞し、
日本初の銀行を創業した当時の言葉。

「銀行」という言葉も渋沢が選んだ。
「金行」や「銀舗」などの候補があった。

「日本資本主義の父」
渋沢栄一

渋沢が創業したのが、
「第一国立銀行」

それがみずほ銀行の最も古い起源である。

そのみずほ銀行はこのところ、
システム障害が多発。

そこで金融庁が、
異例の行政処分を発動した。

みずほ銀行は、
第一勧業銀行と富士銀行、
日本興業銀行が合併してできた。

しかしその合併前の旧行意識の壁が、
問題視されている。

いま、小売業でも、
合併や企業統合が多発している。

イオンとフジとマックスバリュ西日本。
H20リテイリングと関西スーパー、
そしてオーケー。

しかし旧会社の組織の壁を外して、
どのように融合するか。
それが最大の問題だ。

コラム。
「一昨年導入した新基幹システムも
各旧行の取引先企業複数が
その構築に関与した」

そこでコラムの皮肉な結語。
「”相当な才覚”もばらばらでは
“凡庸”の管理下に置かれる」

まあ、今や、
メガバンクも金融庁も、
そこでは官僚化が跋扈している。

私は戦後GHQが施したマネジメント教育に、
大きな問題があったと講義している。

MTPとJST。
Management Training Programと、
Jinjiin Supervisory Training。

どちらもアンリ・ファヨールの理論を、
その体系のベースにしていた。

そしてドラッカーはファヨールを、
徹底的に否定している。
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ドラッカーの指摘にある。
「組織は手段である」
それにもかかわらず、
官僚化は、
「組織を目的化する」

渋沢栄一のころに、
もちろんドラッカーはいなかった。

だから渋沢が限りなく、
ドラッカーに近いと仮定すると、
その言葉を言い換えることができる。

「凡庸の者」は
組織を目的化し、

「才覚ある者」は、
組織を手段とする。

大企業化し官僚化した商工業者は、
凡庸な官吏と同質化してしまう。

すべての官僚やすべての銀行マン、
すべての大企業の人間が、
ドラッカーに批判される考え方を、
もっているとは言わない。

しかし組織は手段である。
組織を目的化してはならない。

これは自民党総裁選挙にも、
ちょっと当てはまる。

〈結城義晴〉

2021年09月23日(木曜日)

自衛社会の小売サービス産業・健康産業・環境産業

秋分の日。

快晴であることも多い。
しかしこの秋を分ける日から、
一気に冬に向かっていく。

通称、猫じゃらし。
エノコグサ。
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学名はSetaria viridis。
イネ科エノコログサ属の一年生草本。
ブラシのように長い穂。

夏から秋にかけて花穂をつける。
このブラシは花穂だ。

犬の尾に似ている。
そこで犬っころ草と呼ばれ、
それが転じてエノコログサとなった、らしい。

この花穂を猫に見せるとじゃれつく。
そこから俗称が生まれた。

犬と猫に関連する草花。
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猫じやらし吾が手に持てば人じやらし
〈山口誓子、高濱虚子のホトトギス派の俳人〉

秋の日は釣瓶落とし。IMG_69311

わが髭を金に染むるや秋入日
〈林翔(はやししょう)、「馬酔木」の同人だった俳人〉
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アンリ・ルソーの絵のようにもなる。
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朝日新聞のコラム、
「経済気象台」
このコラムも日経の「大機小機」同様に、
第一線で活躍中の経済人、学者らが執筆。

今日のタイトルは、
「自衛社会と消費」
コラムニストは海星さん。

「ワクチン接種でコロナ禍が一息つき、
リベンジ消費で景気は持ち直す
というシナリオへの信頼度は、
次第に低下してきている」

同感だ。

デルタ株の感染急拡大によって、
病床満杯⇒ホテル隔離⇒自宅療養で、
十分な医療を受けられない例が続出した。

「結局は誰も守ってくれないのか」
この無力感は「社会に暗い影を落とした」

コラムニストの見解。
「新自由主義と少子高齢化に
さらされてきた日本は、
長い目で見れば
自衛社会化傾向を強めてきた」。

つまり政府の個人生活や市場への介入は、
最小限にしようという考えに基づいて、
「自助」が優先される社会である。

「安定した終身雇用よりも
競争原理や成果主義がもてはやされ、
年金財政への不安から、
老後の資金調達や暮らしにも
自助努力の比率の引き上げが
求められてきた」

だから、
「生き残るためには、
公的援助を決してあてにせず、
自力で何とかしなくてはならない」

この風土はコロナ禍によって、
さらに強められた。

したがって、
「仮にリベンジ消費が起こるにしても、
自衛社会基調が変わらなければ、
一時的流行に終わりかねない」

一時的流行に終わるだろう。

「うっぷん晴らしが一段落すれば、
自衛志向がむしろ
強まることもありうる」

そして価格コンシャスが強くなる。

「最終的には
自衛しなくてはならない運命が
透けて見える中で
お金を使いなさいと言われても、
首を縦には振りにくい」

日常生活にだけはお金が回る。
生きなければならないからだ。
そしてその日常の充実は必須だ。

だから、
ちいさな喜び
ささやかな幸せ
あすへの希望

かつてのバブルのような消費は、
絶対に生まれない。

破綻寸前の中国の恒大集団の状況は、
不動産バブルの当然の帰結だ。

「自衛社会のギアを
上げることになったコロナ禍は、
暮らしやすさより
効率的経営を優先してきた
企業や政府の体質への警鐘でもある」

小売サービス業は、
その、暮らしやすさを担う産業だ。

「消費拡大頼みでは、かえって
負のスパイラルにはまりかねない」

「メスを入れなければならないのは、
人々を自衛へと追い込む
構造的欠陥の方である」

構造的改革の一つは、
古い言葉だけれども、
重厚長大から、
軽薄短小へ。

情報は何よりも軽い。

月刊商人舎9月号にも書いた。
月刊商人舎9月号表紙
世界とアメリカの産業の趨勢を見ると、
実によくわかる。

「本誌は、21世紀をIT産業と小売業、
そして健康産業、環境産業の
100年間だと考えているが、
それらの成長が
COVID-19によって促進された。
コロナは時間を早めたのだ」

小売サービス産業、
健康産業、環境産業、
それらを支えるIT産業。

それが消費を支える。
人々を支える。
社会を支える。

構造改革の中核に位置するのは、
これら産業の従事者である。

〈結城義晴〉

2021年09月22日(水曜日)

イオンスタイル横浜瀬谷開業取材と「万引き防止」の言葉

シルバーウィーク。
なんだか高齢者週間のイメージ。
だからだろうか、この言葉は、
最近、あまり使われない。

それに祝日は、
月曜日の敬老の日と、
木曜日の秋分の日だけ。

ゴールデンウィークと比べると、
明らかに見劣りする。

同時に今週は彼岸週間。
月曜日が彼岸の入り、
木曜日が彼岸の中日、
日曜日が彼岸の明け。

テレビなどで報道されるのは、
「人流」は増えていることだ。

それでも全国の新規陽性判明者は、
一昨日の月曜日で2224人、
昨日の火曜日が1776人、
今日の水曜日が3245人。

この沈静化、
いったいどうしたことだろう。

今日は午前中、オンライン会議。
㈱True Dataの取締役会。

お陰様で好調な営業状況。
それでも次々に様々な問題が起こる。

まるで映画のようだ。

しかし会社はどこでも、
そんなドラマのようなものだ。

事実は小説よりも奇なり。

役員会が終わったら、
東横線で横浜駅へ。
それから相鉄線で瀬谷駅へ。

その駅前に、
今日、グランドオープンしたのが、
イオンスタイル横浜瀬谷。
IMG_68031
商人舎流通スーパーニュース。
イオンリテールnews|
駅直結「イオンスタイル横浜瀬谷」9/22オープン

今日はイオンリテールの広報が、
記者たちに大いにサービスしてくれて、
朝と午後の2回、取材の機会を設けてくれた。

ありがたい。

私は当然、午後の部。

2層のフード&ドラッグ。
1階は生鮮食品、日配品、
そして惣菜の売場。  IMG_68051

2階は駅直結の駅側の入り口は、
イオン薬局のドラッグストア。
それからグロサリーと酒売場、
さらに冷凍食品売場。
IMG_68981
その1・2階をエスカレーターが結ぶ。

意欲的な試みで、
問題を解決しようとしている。

イオンリテールの商品力は、
俄然、向上している。
ちょっと感心した。

店長は津留﨑敬樹さん。
初めての新店店長。
現在、45歳。
IMG_68881
この店の前は横浜のイオン駒岡店店長、
その前は奈良のイオンいかるが店店長。

その奈良時代に優秀店長となって、
アメリカ研修に参加した。
講師は結城義晴だ。

この店でも必ず成果を上げる。
私はそう思った。

それから林博明さんは、
南関東カンパニー東神奈川事業部長。  IMG_68741
林さんも最近、
ヒット店舗を次々に出している。

そしてそれらはいずれも、
スーパーマーケット業態である。

それから吉田和弘さん。
経営企画本部広報部長。IMG_31871
吉田さんの配慮で、
午後の部ができて、
私も参加することができた。

感謝したい。

イオンスタイル横浜瀬谷。

競合相手は、
駅を挟んだ反対側の、
イトーヨーカドー食品館瀬谷店。
IMG_69081
2018年3月31日オープンの2層。
こちらもスーパーマーケットだ。

そしてイトーヨーカドーから、
ビル2つ隣がマルエツ瀬谷店。
こちらは1フロアのスーパーマーケットで、
2階にテナントの非食品ショップが入る。

スーパーマーケットの激戦。

日本中の傾向だ。

月刊商人舎10月号で分析しよう。

さて、朝日新聞に面白い記事。
「”謎の言葉”で万引き3割減」

読んだ人もいるだろう。

ベイシアフードセンター常滑店。
愛知県常滑市の店だ。

万引きの被害が半年で3割減った。

2種類の不思議な言葉を、
店のあちこちで
利用客の目に触れるようにした。

それは、
「万引き防止 実験Ⅱ」

昨年10月、黒地に白字のカードに、
この文句を書いて棚に置いた。
カードは縦7cm、横5cm。
プライスカードとほぼ同じ大きさ。

菓子や卵、ビールなどの売場に、
合計1000枚以上。

さらにレジ前の床には、
「防カメピント調整」の文字。

発案したのは、
愛知県警常滑署生活安全課長、
中川元宏警部、46歳。

「防犯カメラなどの対策に気付かせて、
思いとどまらせるのが狙いです」

多くの店にあるのは、
「防犯カメラ作動中」の文言。
見慣れてしまって万引き犯には、
効果が薄い。

ヒントにしたのは「仕掛学」。
著者は松村真宏大阪大学教授。

人の行動を促すアイデアを、
研究対象とする学問。

この効果は大きかった。
昨年9月から半年間の万引き被害額は、
前年同期比で30.7%減少。

松村教授によると、
誰かに見られていると感じると、
実際には見られていなくても
恥ずかしくない行動を取るようになる。
「被視感」というが、
それを利用した仕掛けだ。

警部ではなくて、
店長や店員さんから、
こういったアイデアが出たらよかった。

読書して、考察する。

商売は行動科学だし、
店舗運営は心理学だ。

〈結城義晴〉

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