結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2021年09月28日(火曜日)

宣言&措置の「全面解除」とドイツ総選挙の「中道のポジショニング」

半年ぶりに全面解除。
19都道府県の「緊急事態宣言」、
8県の「まん延防止等重点措置」。

今週金曜日10月1日から。

しかし菅義偉首相も、
尾身茂基本的対処方針分科会会長も、
小池百合子東京都知事も、
「段階的」を強調した。

一挙の解除ではない。

まず、少しずつ外食産業が、
蘇っていく。

その分、スーパーマーケットなど、
内食産業と中食産業は、
これまでの「特需」の反動が、
これまた少しずつ現出する。

ただし内食・中食の経済性や利便性は、
消費者の頭の中にくっきりと残るだろう。

営業時間短縮を要請されていた百貨店などは、
午後9時までの商売ができるようになる。

まだまだ10月いっぱい、
人々の行動制限をして様子を見る。
そして段階的に解除していく。

もう10月から、
年末商戦は始まっている。

さて自民党総裁選挙。
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そのまえにドイツでは、
26日に連邦議会選挙が投開票された。

あちらでも「総選挙」と呼ぶ。
もちろんドイツ語でだが。

アンゲラ・メルケル首相が退陣して、
後任選びにつながる大事な選挙。
在任の16年間に、
世界でもっとも成果を上げ、
尊敬される政治家だ。
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この総選挙では、
中道左派の社会民主党(SPD)が勝利宣言。
第1党となった。

メルケル首相のキリスト教民主同盟(CDU)は、
中道右派(保守)だが、微差で第2党。

第3党はずっと離されてはいるが、
環境政党の「緑の党」が躍進。

そして第4党は、
親ビジネス政党の自由民主党(FDP)。

極右政党「ドイツのための選択肢(AfD)」は、
今回、議席を減らした。

トップが僅差の選挙戦だったが、
最終的に過半数を握る政党はなかった。

そのため、これから連立政権が組まれる。
ドイツでは珍しいことではない。

第2次世界大戦後、西ドイツの時代も、
単独政権の過半数を獲得できた政党はない。

今回も第1党の社会民主党と、
第2党のキリスト教民主同盟を中心に、
連立政権が組まれる。

その交渉は半年にも及ぶ。

「大連立」と呼んで、
上位政党が連立を組む場合もある。

連立政権がまとまるまでは、
メルケル首相が世話人の立場で、
権力を維持する。

連立政権が成立しなければ、
再び総選挙を実施する。

連立を前提として、
すべての政党が「予備的協議」を行う。

各政党がイデオロギーや政策の違いを越えて、
協力できるか否かを、互いに判断する。

日本の野党の今回の「連携」は、
このドイツの「連立」をモデルにしていると思う。

しかしドイツの連立は、
「中道」(Centrism)の概念の枠があるからこそ、
可能となっているものだ。

中道左派SPDと中道右派CDU。
その中間の「緑の党」。
中道右派のちょっと右寄りの自由民主党。

これらが4大政党だ。

日本の場合、
巨大な自由民主党には、
この中道の右派と左派が同居している。

総裁選の4候補の発言や討議を見ていると、
それが実によくわかる。

中道右派の高市早苗、
真ん中の岸田文雄、野田聖子。
中道左派の河野太郎。

さらに自民党以外の政党を見ると、
公明党も日本維新の会も、
立憲民主党も国民民主党も、
オール中道だ。

そして日本共産党が、
連携を組む中から、
限りなく「中道化」してきた。

かつての「保守」と「革新」の分類は、
もう現実的ではない。

だから河野候補や野田候補、
さらに岸田候補まで、
かつての民主党や野党の政策と、
ずいぶん似たようなことを言っている。

日本の二大政党制を目指した、
自由民主党と民主党も、
中道右派と中道左派だった。

アメリカの共和党と民主党も、
大きく見れば中道右派と中道左派だし、
イギリスの保守党と労働党も、
中道右派と中道左派だ。

1980年代から1990年代初頭、
英国労働党は素早く中道へと軸足を移した。

ここで勝手に言えば、
日本の自由民主党も、
ドイツのように中道右派と中道左派に、
あるいはそれ以外に分かれて、
自分たちの主張をそれぞれに、
明確にしたらいいと思う。

それはできないだろうけれど。

もともと自民党は、
「派閥」による「中道の連立」と、
考えるといいだろう。

この「中道」のなかで、
それぞれの主張をしてもらえば、
私など大いに助かる。

欧米の教育の主流は、
徹底した「中道」を教え込むことだ。

田村正紀神戸大学名誉教授は、
あちらに留学しているときに、
それを痛感したそうだ。
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だからあちらでは、
アリストテレスの「ニコマコス倫理学」を、
必読書として読ませる。

キーコンセプトは中道だ。

ここが欧米諸国の、
中国やロシアと、
決定的に異なる点だ。

そこで結城義晴の勝手な提案。
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自民党総裁選挙の予想は、
第1回の投票で、
どの候補も過半数を獲れそうもない。

だから上位2候補によって、
決選投票が行われる。

どのテレビも、どの新聞も、
第1回は首位河野太郎、次点岸田文雄、
そして決選投票で岸田が勝つと予測している。

第1回が河野、高市で、
決戦で河野という予測もあるが。

ただし連携野党にとって、
一番総選挙を戦いやすかったのは、
菅義偉現総裁のはずである。

次は色が正反対の野田聖子候補、
そして岸田文雄候補だろう。

河野太郎総裁が誕生して、
石破茂・小泉進次郎が顔となって、
トライアングルを組むとしたら、
野党にとっては一番厄介な選挙となる。

ならば全く関係ないけれど、
野党はこぞって、
河野太郎候補を応援する意志を、
公然と示してしまう。

そうすれば河野総裁が生まれない場合、
その後の総選挙で連携野党は、
河野を支援して残念がっている自民党員から、
少しだけでも票をとることができる。

そして長い目で見れば、
それらの全体は「中道左派」に向かう。

自民党も派閥の長や総理経験者が、
密室で事を決める現在の体制を改革して、
中道右派および中道の真ん中あたりで、
しっかり議論する優秀な政党となる。

かくて中道右派と中道左派が出来上がり、
その間に主張の異なる多様な政党が存在する。
新規の政党も生まれやすくなる。

有権者はそれぞれの党の主張に耳を傾け、
学習しなければならなくなる。

それがまた国民の政治意識を高めていく。

一言で言えば政治においても、
「中道のなかのポジショニング」

そしてポジショニングは、
様々、それぞれでよろしい。

この際、政治の力学は無視する。

有権者も政治家も、
一人ひとりが、
自分の考え方を確立して、
自分で選ぶ。

いつもポジショニングで恐縮だが、
いかがでしょうか。

〈結城義晴〉


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