結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年12月28日(土曜日)

石井淳蔵著「岡田卓也の時代」と商人舎2016年6月号の意味

12月28日、あと4日。
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空と雲。
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クリスマス商戦の報告が入ってきた。
ありがたい。

12月21日から25日まで。
今年の曜日回りが、
全体の商況に影響を与えた。

土曜日曜の21日・22日は、
予想通りクリスマス需要があった。

その分23日の月曜日が、
例年に比べて落ち込んだ。

逆に25日が大きく伸びた。

来年、再来年と、
曜日回りと顧客心理を、
しっかり読みきりたい。

商品の売れ行きに変化が見られた。

鶏肉は全体に良く売れた。
しかしモモ焼きから、
フライドチキンに移行している。

来年はアメリカのように七面鳥など、
企画してはどうだろうか。

もちろんクリスマスにだけ、
突然のように売り込んでも駄目だが。

オードブルはセット物がよく売れた。
クリスマスにセット商品。

サラダ関連ではオードブルが好調。

つまりファミリーパーティー需要。

寿司では握り寿司が前年割れだった。
そのかわり手巻き寿司や巻きずしが売れた。

来年の2025年は、
20日・21日の土日。

22日(月)・23日(火)と2日あけて、
24日(水)・25日(木)の本番となる。

クリスマス商戦二段階作戦か。

顧客の心理を熟考して、
企画と計画を立てたい。

さて、いい本が出ている。

『岡田卓也の時代』
石井淳蔵先生の労作。
神戸大学名誉教授、流通科学大学名誉教授。
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お贈りいただいた。

この本は二つの視点で書かれた。
商人思想史と比較企業者史。

前者に対して商人舎も少しだけ貢献した。

そこで参考文献にも、索引にも、
「結城義晴」と「商人舎」を入れていただいた。

225ページの(注11)には特にコメントがある。
「いまでは『商業界』という雑誌も会社もない。
だが、結城義晴氏を中心として『商人舎』によって、
商業界の思いは引き継がれている」

有難い言葉だ。

「『商人舎』(2016)では
『店は客のためにある』という
倉本長治のことばをテーマに特集も組んでいる」
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この号の[Cover Message]
商業界主幹の故倉本長治。「店は客のためにある」という決定的な言葉を残した。そして「店員とともに栄え、店主とともに滅びる」と商売の本質を射抜いた。ピーター・ドラッカーは「企業の目的は顧客の創造である」とマネジメントを定義した。
一方、ダイエー創業者の故中内㓛は「For the Customers」にこだわった。セブン&アイ・ホールディングスの伊藤雅俊は「お客様のお陰」の精神を大切にし、鈴木敏文は「お客の立場」を繰り返し繰り返し強調した。そして柳井正は「店主とともに滅びる」を重く受け止めたうえで「Reinvent Everything」と明日を見定める。
本特集は「店は客のためにある。」の哲学を極め、高め、その本質を産業のDNAとすることを目指すものである。
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この号では石井先生にも寄稿していただいた。
「顧客創造・価値志向のマーケティング」
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私は巻頭で書いた。
「店は客のためにある。」
――ポストモダンの考察

柳井正ファーストリテイリング社長兼会長
顧客創造とInnovation Company
デジタル化&グローバル化時代に、すべてを革えよ!

この冒頭の柳井さんの言葉。
「倉本長治商業界主幹の『店は客のためにある』。
この言葉に、『店員とともに栄える』
という言葉が続くことを上場してすぐのころ、
1994年か1995年に知りました。
しかし、さらにこの言葉には続きがあることを、
結城義晴さんに教えてもらいました。
『店は客のためにあり、店員とともに栄え、
店主とともに滅びる』」

「この言葉は会社や企業の在り方そのもの、
企業の本質を表しています。
社長がしっかりしないと会社はすぐにつぶれる。
会社はすべて社長次第なのではないでしょうか」
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この柳井さんの記事は、
[倉本長治・初夫文庫開設記念公開セミナー講演録]のものだ。

IDとパスワードをもっている人は、
是非読み返していただきたい。

読み返してみると、
[Message of June]もなかなかいい。

顧客を創造しよう!!

店は客のためにあり、
店員とともに栄える。
そして店主とともに滅びる。

この考え方を産業のDNAにしたい。
共有できるスローガンにしたい。
有店舗商業でも無店舗販売でも。

それが消費の活力をつくり、
産業のパワーを生み、
社会の健全化に貢献する。

「店は客のためにある」は、
「顧客満足」が実現されること。
そう理解されてきた。

しかしここには、
「顧客創造」という新しい概念がある。
ドラッカーもレビットもそれを指摘する。

ファーストリテイリング柳井正も、
セブン&アイの伊藤雅俊も、鈴木敏文も、
そしてダイエーの故中内㓛も。

店は客のためにあると発奮し、
店員とともに栄えるとマネジメントし、
店主とともに滅びると襟を正した。

私たちも産業のDNAを受けつごう。

店は客のためにある。
店員とともに栄える。
そして店主とともに滅びる。

〈結城義晴〉

2024年12月27日(金曜日)

商人舎新年1月号「会心の責了」と「権藤博式健康法」

今日は2024年最後の責了の日。

月刊商人舎1月号。

今年最後の原稿を執筆。

ランチは人形町今半のお弁当。
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みんなですき焼き弁当をいただいた。IMG_9949 (002)

Messageと特集の1本目の原稿。
私としてもいいものが書けた。

そして入稿。

七海真理さんのデザインが、
これまた秀逸。

私、大いに感動した。

その校正のゲラを読んで、校了した。
私は疲れ切っていた。
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表紙や定義集、編集後記なども、
全部責了して、
全員がハイテンション。
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そして今年最後の写真。
お疲れ様、ありがとう。
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この雑誌は来年1月10日に、
お披露目します。

会心の出来栄え。
ご期待ください。

今回は主要チェーンストアトップに、
緊急アンケートをお願いした。

そして迅速にご回答いただいた。
心から感謝したい。

とくにイオンリテール社長の井出武美さんは、
真っ先に対応してくださった。

それから大創産業社長の矢野靖二さんも、
素早い回答だった。

アークスは横山清会長が、
自ら書いてくださった。
ほんとうにありがとうございました。

商人舎ならではの提案の質によって、
お返しをします。

さて、日経新聞の「悠々球論」
スポーツ欄のコラム。
野球評論家の権藤博さんが書いていて、
毎回、とてもいい。

その権藤さんの「私の健康法」

中日ドラゴンズの現役投手の時代には、
皮肉を込めて言われた。
「権藤、権藤、雨、権藤、
雨、雨、権藤、雨、権藤」

先発に、リリーフに、
毎日のように登板した。

そのために肩を壊して、
短い現役生活だった。

指導者となってからは、
[先発・リリーフ・抑え]という、
画期的なシステムを完成させた。

現在のプロ野球は、
例外なく権藤方式を採用している。

権藤博は、
野球のイノベーターなのだ。

そのタフな権藤さん、
82歳になっても元気バリバリ。
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「薄いトースト2枚とバナナ、
市販の野菜ジュースの朝食」

シンプルなブレイクファスト。

「済ませて散歩する。
30分から40分、
距離にして3キロくらい」

「少し強弱をつけて、
100メートルくらい大股で歩くこともある」

「ペースもコースも自由に。
長続きの秘訣だ」

「散歩では両手に1.4キロほどのダンベルを持ち、
上下左右に上げて体操する」

歩くのは全身運動。

ダンベルをもって、
上半身も鍛える。

今の私には残念ながら、
朝の散歩の時間はとれない。

権藤さんのもう一つの健康法はゴルフ。

「相手が減り、週1ペースではなくなったが、
年末恒例のハワイ旅行では
1週間、毎日ラウンドする」

これは私にも真似ることができる。

権藤さんは78歳のとき、
ワールド・ベースボール・クラシックの
コーチに指名され、引き受けた。

「あのときも周りから心配されたが、
私は全く平気だった」

「6時間、ずっと、
立っている自信があったからだ」

現役コーチでいけるかどうか。
権藤さんなりの目安は、
「試合の3時間に加え、練習の3時間、
立ちっぱなしでいること」だった。

「グラウンドの上にいる間は立って、
選手とともに戦いたい。
でないと、コーチの資格はないと思っていた」

私も1日6時間の講義をする。
もちろん立って、身振り手振りで。
それができなければ、
講演や講義はしないつもりだ。

権藤さん。
「今も6時間立っていられる。
ただ、さすがにコーチはできない」

「投手が1試合で投げる百何十球の全部を
記憶できなくなったからだ」

体とともに頭がしっかりしていなければならない。
私の場合は原稿執筆と講演・講義。
これで頭はフル回転となる。

最後に睡眠法。
「みんな年を取ると、寝られずに困るという。
私は十分寝られる」

「途中で目が覚めて、寝られなくなっても、
無理に眠ろうとはしない。
逆に、何なら本でも読んでやろうか、
と思うと案外眠れる」

「寝ようと焦るからいけない。
じっと目を閉じて、
横になっているだけで寝たのと同じ、
と思えばいい」

「自分は今、布団の上にいて、
満員電車で立ちっぱなし、
というのと比べたら極楽だ……」

「そう思って気楽にしていれば、
うとうと、となる。
眠れない夜はお試しを」

私の睡眠法は、
床に就いて目を閉じて、
直前のゴルフラウンドの反芻をする。
ホームコースならば、
18ホール全部を覚えているから、
それができる。

一打一打を思い出しながら、
丁寧に復習のラウンドをする。

大抵、3ホールくらいで、
眠ってしまう。

私も眠れないことはない。

きちんと朝食をとり、
散歩で全身を動かす。
ダンベルで上半身を鍛える。
ゴルフで体を動かす。
頭を使う。
そしてよく眠る。

権藤式健康法。

私もやります。

そうすれば80歳を超えても、
健康寿命を満喫することができる。

来年も頑張ります。
㈱商人舎は今日で1年が終わった。

冬季休業に入ります。
ありがとうございました。

〈結城義晴〉

2024年12月26日(木曜日)

ジャパン・インフォレックス前会長の西田邦生さん逝去

訃報です。

西田邦生さん。
㈱ジャパン・インフォレックス前会長。
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特発性間質性肺炎による心不全で、
12月17日(火)に永眠。

1952 年4月27日生まれで、
私と同年の72歳。

言葉がない。

早稲田大学政治経済学部を卒業して、
1977年、国分㈱入社。

私が㈱商業界に入社したのと同じ年だ。

1998年には、経営統括室部長兼流通本部長、
2003年に取締役に昇格して、
グループ企業統括本部長。

2005年には廣屋国分㈱代表取締役社長に就任。

食品卸売業の幹部として、
流通に関する知見を積み上げてきた。

そして2011年、
ジャパン・インフォレックス取締役副社長、
2012年、代表取締役社長、
2024年、代表取締役会長。

多摩大学大学院客員教授、
早稲田大学アジア太平洋研究センター特別研究員。
コーネル大学RMP講師、
流通問題研究協会理事を歴任。

2023年に、
日本食糧新聞制定食品産業功労賞授賞。
(最後列左から2人目が西田さん)
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2017年3月には、
月刊商人舎にご登場いただいた。
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食品産業「商品マスタ」DB(データべース)センター譚スクリーンショット 2024-12-27 092305

これは西田さんの独白形式になっているが、
今読んでも、とてもいい内容だ。

ジャパン・インフォレックス(JII)は、
食品製造業と卸売業の商品マスタセンターだ。

前身は2001年に設立された㈱ジェフネット。
国分グループ本社と日本アクセスの両社が、
プロジェクトを組んで検討し、
営業支援のコンテンツ情報を共有化し始めた。

営業マンが積み重ねてきた暗黙知の情報を、
データベース化して活用する目的をもっていた。

5年後の2006年4月、
国分、日本アクセス、三菱食品、三井食品、
加藤産業㈱、日本酒類販売、
食品卸6社の共同出資によって、
ジャパン・インフォレックスが設立。

「商品マスタ・データベースセンター」の誕生だった。

一方で、㈱ファイネットは1986年に設立。
酒類・食品VANとして30年以上の歴史をもつ。

そのファイネットは2002年に、
商品マスターのデータベースを立ち上げる。
「ファイネットデータベース」(FDB)。

こちらはメーカー会員企業がつくった会社だ。
つまりメーカーから料金を徴収するビジネスモデル。

一方のJIIは卸各社が、
コストセンター的な位置づけで、
費用を持ち合って運営される。

2016年4月にJIIがファイネットから、
データベースを事業承継して、
食品業界に1つのデータベースセンターが生まれた。
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西田さんは社長として、
この事業を推進した。

これこそ西田邦生の功績だ。

いま「2024年問題」をきっかけにして、
SM物流研究会が活動をしている。

その先にあるのは、
「商品マスター」の統一という問題だ。

ジャパン・インフォレックスが、
ここで社会的な機能を果たすはずだ。

私は2022年にユーザー会に呼ばれて講演した。
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西田さんがその前座を務めてくださった。IMG_66462-448x335
インカムを使って、カッコいいスピーチだった。

消費情報基盤としての食品の商品マスターは、
8合目まできた。

西田さんは言う。
「メーカーと卸は共通化しているが、
小売りとの共通化が足りていない。
製販と小売りの溝はまだ大きい」

今後はメーカー起点のデータ化とともに、
小売業起点のデータ化が必須だ。

小売業視点ではデータ絞り込みと、
カテゴリー化が求められる。

「日本型流通のメリットを残して、
さらなる仲間づくりをしていきたい」

「食品に携わるすべての人が協力し、
食品すべてのジャンルが揃う、
商品マスターのプラットフォームをつくりたい」

西田邦生の遺志は継がれねばならない。

心からご冥福を祈りたい。

合掌。

〈結城義晴〉

2024年12月25日(水曜日)

政治改革三法の成立と「高邁な議論は危うい!」

商人舎オフィス裏の遊歩道。IMG_8310 (002)

クレーン車が入って、
立木の枝の剪定。IMG_8312 (002)

3時間くらい電動のこぎりの音が続いた。IMG_8313 (002)

それでも遊歩道はすっきりした。
来年は新しい芽が出て枝も育つ。
葉も茂る。

ランチのあとまいばすけっとに寄った。
そして買いました。IMG_8314 (002)

グリーンアイのアイテム。
オーガニックの「割れちゃったむき甘栗」
増量して980円。
いい商品です。
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月刊商人舎1月号、
特別企画を入稿した。

いい気分。

「政治改革3法」が成立。

参院本会議で自民、立憲民主両党など、
与野党の賛成多数で可決した。

(1)政策活動費の廃止
(2)政治資金を監視する第三者機関の設置
(3)外国人によるパーティー券購入の禁止など

⑴の政策活動費は2026年1月1日から廃止する。

政策活動費はこれまで、
政党が所属する政治家個人へ支給する政治資金。
「ブラックボックス」だったが、
例外なく廃止する案となった。

やっとか。

企業・団体献金を禁止するか否かは、
与野党で一致できなかった。
25年3月まで結論は先送りされた。

石破茂首相の企業・団体献金へのコメント。
「『禁止より公開』の方針の下、
24年度末までに結論を得る」
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⑵の第三者機関の新設は、
国会に「政治資金監視委員会」を設置し、
政治資金収支報告書の虚偽の記載や記載漏れに、
訂正を求める権限を与える。
監視に必要な資料も要求できる。

⑶外国人のパーティー券購入禁止などは、
外国勢力が国政に影響を与えないようにするため、
外国人による寄付を禁止する。

まあ、一歩前進。

しかしまだまだこれからだ。

国民はクリーンな政治を求めている。

ただし日経新聞「大機小機」
「進歩派メディアはなぜ敗れるのか」
コラムニストは四つ葉さん。

面白いし、深い。

第2次トランプ米政権の発足。

これはニューヨーク・タイムズ(NYT)の敗北だ。
リベラル派の総本山。

今年1月6日付のNYT電子版。
「2024年への警鐘」と題して呼びかけた。
「トランプ氏再選はこの国と世界に危険をもたらす」

6月27日の大統領テレビ討論会のあとは、
バイデン大統領の失態に対して、
「国への奉仕のために
バイデン氏は身を引くべきだ」

その後はハリス副大統領を支持してきた。

ところがハリス氏は激戦7州全てで敗北し、
全米の総得票数でもトランプ氏を下回った。

NYTの論陣は完全に空回りした。

NYTは電子版を中心に、
購読者数1100万人を超えた。
新聞業界が斜陽化するなかで、
垂涎(すいぜん)の経営状況。
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ところが皮肉なことが起こった。
「進歩派読者の支持を得るために、
記事が左傾化してきた」

「トランプたたき」も多分にそのせいだった。

英誌エコノミストのジェームズ・ベネット氏。
元NYTの論説欄統括委員で批判されて辞任した人。

「NYTは米国の進歩的エリートが
実際には存在しない米国について
独り言を言う出版物になりつつある」

「意識高い系」はそうでない人たちと交わらず、
自分たちが世間から遊離していることに気づかない。

SNSにおける「エコーチェンバー」と同じ構図。

「Echo chamber」とは、
自分と似た意見や思想の人々が集まる空間内で、
コミュニケーションが繰り返され、
自分の意見や思想が肯定されることによって、
それらが世の中一般においても正しくて、
間違いないものだと信じ込んでしまう現象。

SNSで起こりやすい。

それが大新聞のなかで起こった。

エリートの「正しい議論」が、
「思い上がり」と見なされ拒絶される。

多くの民主主義国で見られる現象。

コラムニスト。
「わが国も近々そうなるのではないか」

そしてつぶやく。
「高邁(こうまい)な議論を見かけるたびに、
危ういものを感じている」

高邁な議論が危うい。

真理をついた言説だ。

ほんとうに気をつけねばならない。

ただしその反対の「嘘っぱちだらけ」の、
エコーチェンバーもある。

これはもっといけない。

政治の世界でも、産業や会社でも、
高邁なエコーチェンバーが生まれる。
そして反動のごとく、
その高邁を真っ向から否定する、
空論が頭をもたげてくる。

そのせめぎ合いが組織である。

そんなときには、
いつも現場に戻る。
顧客に戻る。

もどるところがあることが、
「商売」というものの優れたところだ。

現場や顧客まで否定する者は、
「空論」どころか「嘘つき」である。

今、世界的に反動のほうが強くなっている。
民主主義の否定であり、排除である。
それが不気味だ。

けれど忘れてはならない。
「高邁な議論」は危うい。

以て自戒とすべし。

〈結城義晴〉

2024年12月24日(火曜日)

ジョン・レノン「Happy Christmas」の夜に思ったこと

ジョン・レノンのクリスマスソング。
「ハッピー・クリスマス」
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Happy Xmas (War Is Over)

So this is Xmas
And what have you done?
Another year over
And a new one just begun

そう今日はクリスマス
君は何をした?
今年も終わってしまう
新しい年がいま始まる

And so this is Xmas
I hope you have fun
The near and the dear one
The old and the young

そう、今日はクリスマス
君が幸せでいるといいな
そばにいる人も、大切な人も
お年寄りも、若い人も

A very Merry Xmas
And a happy New Year
Let’s hope it’s a good one
Without any fear

メリークリスマス
そして新年おめでとう
良い年になることを願うよ
怖くなんかない年に

And so this is Xmas
For weak and for strong
For rich and the poor ones
The world is so wrong

そう、今日はクリスマス
弱い人にも、強い人にも
豊かな人にも、貧しい人にも
世界はひどくおかしい

And so happy Xmas
For black and for white
For yellow and red ones
Let’s stop all the fight

そして、幸せなクリスマス
黒い人も、白い人も
黄色い人も、赤い人も
すべての闘いをやめよう
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War is over! If you want it
War is over! Now!
Happy Christmas!
Happy Christmas!

君がそれを望むなら戦争は終わる
闘いはいま終わる
ハッピー・クリスマス!
ハッピー・クリスマス!
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1970年4月、ビートルズが解散。

翌1971年のこの曲は、
オノ・ヨーコとの共作。

1973年1月、米軍は、
ベトナム戦争から全面撤退した。

1975年4月30日、
南ベトナムの首都サイゴンが陥落。

ジョンは喜んだろうか。

それから5年、
1980年12月8日、
マンハッタンのダコタハウス前で、
銃撃に倒れた。

日経新聞夕刊一面の連載、
「あすへの話題」
6人の書き手が順番に半年間綴ってきた。
今週はその最終回。

だからみんな、
思い入れたっぷりのエッセイとなった。

今日は報道写真家の大石芳野さん。

「小さな石」 

「戦争は終わっても終わらない」
大石さんは戦地で写真を撮り続け、
写真集や著作などで主張し続けてきた。

「けれど現状は厳しく、
事態は深刻になり複雑化している」

「強国の攻撃を受けたら、
弱小国は他国の援助に頼るしかない。
人びとの人権と尊厳を護るのに必須だから」

「20世紀の日本人が体験した戦争、
その後のベトナム戦争などが再現される
今の悍(おぞ)ましさのなかで
わたしたちは生きている」
51Cw4U6qntL「いまだに傷痕に苛(さいな)まれる個人。
弾丸に苦しむパレスチナ、ウクライナ、
はたまた内紛に苦しむ
ミャンマーやスーダンの人びと」

「終わらない戦争という現実に
暗澹(あんたん)となる」

それはジョンの生きた時代よりも、
はるかに複雑で深刻だ。

大石さん。
「惟(おもいみ)ると、
小石を水面に投げれば波紋ができる。
一人の声は小さくても伝播(でんぱ)していく」

「個人の存在は小さな石でも、
集まれば広場にもなる」

いや、大石になる(!?)

「その力を信じながら
写真の道を歩いてきただけに、
微力だけれど諦めたくはない」

「小さな石を投げ続ければ、
何かが変わる可能性に期待したい」

ジョンの「Happy Christmas」も、
たった一つの短い歌だが、
何かを変える力をもっている。

今夜は世界中で歌いたい。
Let’s stop all the fight

考えてみると、
ジョン・レノンと、
ポール・マッカートニーは、
偉大な音楽商人でもあった。

だから長い音楽の歴史のなかで、
誰よりもマネーを稼いだ。

商人は何かを変える力をもっている。

ジョンはストイックな商人で、
ポールはエピキュリアンの商人だった。

ジョンは内向的で、
ポールは外向的だった。
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その二人が一緒になったからこそ、
レノン&マッカートニーは、
ベートーベンやモーツアルトと、
並び称される存在となった。
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あなたはどっち派の商人だろうか。
振り返ってみてほしい。

どちらも尊い。
どちらも素晴らしい。

できれば自分と反対の相棒をもちたい。

それがレノン&マッカートニーになる、
たった一つの条件だ。

そして同じ歌を一緒に歌いたい。
A very Merry Xmas
And a happy New Year
Let’s hope it’s a good one
Without any fear

ありがとう、
メリー・クリスマス。

〈結城義晴〉

2024年12月23日(月曜日)

年末商戦の「無呼吸泳法」と令和名人会の「得意平然・失意泰然」

Everyone, Good Monday!
[2024vol52]

2024年第52週。

1月1日の週を第1週と数えて、
今週は第52番目。

そして12月第4週。

あと1週間と2日。
押し詰まってきました。

日本列島に寒波が襲来して、
日本海側を中心に大雪。

お見舞い申し上げたい。

今年のクリスマス・イブは火曜日、
クリスマスは水曜日。

だから21日、22日の週末から、
世間はずっとクリスマス気分だ。

あるスーパーマーケットの社長。
「昔はこの時期から大みそかまで、
売って売って売りまくれ、とやってたが、
今は、きちんと休みを取らせる。
時代です」

しかし店長やチーフは、
心持ちとして年末まで、
無呼吸泳法のごときものだ。

毎年、私はそう言っている。
そしてこの時期の商売ほど、
楽しいものはない。

年始に休業するチェーンストアが増えている。

3が日を休業する会社は増えた。

関東では、
ライフ、ヤオコー、オーケー、
サミット、東急ストアなど。

関西では、
ライフ、万代、アプロ、マルヤスなど。

1日と2日の休業は、
関西スーパー、阪急オアシス、イズミヤ。
H2Oのグループ。
そしてバロー。

ロピアとエイヴイは、
4日まで休業する。

一方、イオンやイトーヨーカ堂、ハローズ、
そしてマックスバリュ各社は、
1日から営業する。

それぞれに、
正月休みに営業しない日を決めていて、
それはそれでいいと思う。

年末は無呼吸泳法で、
年始は休む。

それが小売業の潮流だ。

さて私たちは、
令和名人会2日目。

1年間、必死の思いで働いてきたので、
年末くらいは2日連続でラウンドして、
自分の体力を自覚する。

そして来年に臨む。

そんな趣旨で毎年、
拡大版を開催している。

2日目の舞台は、
ザ・カントリークラブ・ジャパン。IMG_8300 (002)

メンバーも入れ替わって2組8人。
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ブルーチップの重鎮、お二人が加わった。
昨晩の懇親会から参加の宮本洋一社長と、
中野茂常務取締役(左)。

そして松井康彦さん。
商業界時代は一番うまいゴルファーだった。

いいコースで、いい天気。

12月にしては最高のゴルフ日和だった。IMG_8293 (002)

ラウンドが終わって、
懇親会。

IMG_8298 (002)

新ぺリア方式による優勝者は、
ブルーチップの平野一郎さん。

残念ながらラウンド直後に仕事に戻って、
表彰式には出られず。

今年は、
表彰式に参加できない人が優勝する年だった。

準優勝は松井康彦さん、
三位は昨日も今日も結城義晴。

私は宮本さん、中野さん、新谷さんと回って、
楽しいラウンドだった。

少しだけまともなゴルフに戻ってきた。

ありがとうございました。

最後に7人で写真。IMG_8301 (002)

最後に再び格言。

ベン・ホーガンは、
励みになることを言っている。
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「ゴルフに年齢はない。
これを行う強い意志さえあれば、
何歳からでも上達する」

仕事も全く同じだ。

強い意志をもって、
仕事とゴルフに向き合いたい。

私はゴルフに関して、
自分で言うのも恐縮だが、
とてもまじめです。

仕事と同じ。

アーサー・バルフォア。
イギリスの政治哲学者。
「時間にルーズな者は、
ゴルフに近づいてはいけない」

これも仕事に通じる。

「得意平然、失意泰然」
いいプレーをしたときは平然とせよ。
大失敗をしたときは泰然とせよ。

平然の「平」はたいらであること。
泰然の「泰」はやすらかであること。

つまり、
うまくいっても、
うまくいかなくても、
心を動かさず、
落ち着いていなさい。

これこそ仕事の極意だ。

ゴルフは仕事に通じる。

荒井伸也さん。
サミット㈱の元社長、会長。
作家・安土敏。
その一番のゴルフ名言。
「利益を追い過ぎることを、
ヘッドアップと言う」

今年も来年も、
得意平然、失意泰然。

ではみなさん、今週も、
平然・泰然と無呼吸泳法、
利益を追い過ぎるな。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年12月22日(日曜日)

拡大令和名人会の「良い人柄と良いスイングしか役に立たない」

冬至のあとの日曜日。

毎年恒例の令和拡大名人会。
1989年にスタートして35年間。
結城義晴が食品商業編集長に就任したとき、
筆者の先生方がゴルフコンペを開いてくださった。
それをきっかけに恒常的なゴルフ会が発足した。

それが迷人会。

最初のメンバーは4人。
故小森勝さん、浅香健一さん、鈴木國朗さん、
そして結城義晴。
2007_1218_222

小森さんが亡くなられて、
土井弘さんがメンバーに入ってくださった。
DSCN8167-5-448x325

その後、浅香さん、土井さんが、
順番に引退されて、
宮本洋一さんと新谷千里さんが、
参加してくださった。
IMG_5025-002

鈴木さんと私がずっと、
オリジナルメンバー。

いつの間にか迷う人たちの会は、
名人の会に名前を変えた。

そして年に2回は、
この4人にさらに参加を募って、
拡大版のゴルフコンペを開催するようになった。

今回は上総モナークカントリー倶楽部。IMG_8282 (002)

12月終盤ながらいい天気。IMG_8280 (002)

ジャック・ニクラウスが設計者。IMG_8281 (002)

朝のルール確認。IMG_8285 (002)

そして記念写真。
急な欠席者もあって、
7人となった。

新ぺリア方式で技術を競った。
IMG_8286 (002)
左からブルーチップの平野一郎さん、平野博宜さん。
鈴木さん、結城、新谷さん。
そして㈱白石の白石純一郎社長。

その白石さんが優勝。

白石さんはドラコン賞を3つ、
ニアピン賞を1つ、バーディー賞を1つ。
IMG_8283 (002)
急遽、初日だけの参加となったが、
ほんとうにおめでとう。

会場を移して、
ザ・カントリークラブ・ジャパン。IMG_8287 (002)

ここで夕食懇親会。
私が乾杯の音頭をとった。IMG_8289 (002)

宮本洋一さんと松井康彦さんが加わった。
宮本さんはブルーチップ社長、
松井さんは商人舎上級プロデューサー。IMG_8288 (002)

うまい食事といい酒。

そして最近の小売業界の情勢など、
大いに語り合った。

中締めの挨拶は鈴木國朗さん。IMG_8291 (002)

いつものようにユーモアたっぷりのスピーチ。IMG_8292 (002)
の後、私の部屋に集まって、
二次会を開催。

よく遊び、良く話した一日だった。

ありがとうございます。

最後に私の好きなゴルフの格言。

Let your club do the work.
あなたのクラブに仕事をさせよ。
(スコットランドに伝わることわざ)

セルフサービスのビジネスは、
「あなたの顧客に仕事をさせよ」である。

Slow back, Slow down.
ゆっくり上げて、ゆっくり下ろせ。
(これもスコットランドの言い伝え)

私が今日、実践したのはこれだ。
とくに「ゆっくり下ろせ」は、
意外なことだが最も大事なことだ。

これを忘れると、
球はどこに行くかわからない。

「ゴルフは素敵なゲームだ。
自分がうまくプレイできないことを悟るのに、
40年近くかかってしまった」
(テッド・レイ)

まさに結城義晴のことを言っている。

「ゴルフは恋愛のようだ。
真剣にしないと、つまらない。
真剣すぎると、がっくりすることになる」
(アーサー・デイリー)

同感だ。

Miss ‘em quick.
「早くミスせよ」
(ジョージ・ダンカン)

意外なようだが、
ミスをすることが、
最後に成果を上げるコツだ。

Play your own Golf.
「あなた自身のゴルフをプレーせよ」

ゴルフにもポジショニングが必要だ。

そして最後にジャック・ニクラウス。
「ゴルフでは、
良い人柄と良いスイングしか
役に立たない」

ゴルフは仕事や人生と同じだ。

ありがとう。
(明日も続きます)

〈結城義晴〉

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