結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2020年12月05日(土曜日)

「効率を狙ってばかりいると効果を上げられなくなる」

今日も1日、横浜商人舎オフィス。
月刊商人舎12月号。
もう一歩です。

それにしても何年やっても、
原稿執筆という仕事は、
サクサクとは進まない。

㈱ヤオコー会長の川野幸夫さんが、
ゆっくりと語ってくださった。
ヤオコー所沢北原店改装オープンのとき。
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「効率を狙ってばかりで、
効果が上がらない」

原稿書きの仕事も、
まったく同じだ。

3000字、5000字、1万字と、
効率的に書いていっても、
良いものが書けなければ意味がない。

つまり効果のことを考えつつ、
呻吟(しんぎん)する。

すると効率は、当然ながら落ちる。
その効果と効率との格闘こそ、
原稿を書く仕事だ。

私はいつも、ずっと、
効果を狙う。

原稿を書くことに関しては、
一度も自分の掟を破ったことはない。

今日も呻吟の連続。
「呻吟」とは苦しんで呻(うめ)くこと

何という因果な仕事を選んでしまったのか。
今となってはもう遅い。
しかし後悔もしてはいない。

さて、北海道新聞の一面コラム。
「卓上四季」

北海道の新聞らしく硬派。

発行部数は全国紙を入れて第7位。

1位 読売新聞
2位 朝日新聞
この後は調査によって異なるが、
毎日新聞、日本経済新聞、中日新聞。
6位 産経新聞
北海道新聞はそのあとの7位だ。

大したもんだが、
巻頭コラムの「卓上四季」も、
なかなかいい。

今日のタイトルは、
「”沈黙”の値崩れ」

英国の歴史家カーライルの言葉を引用。
「沈黙は偉大なる物事ができ上がる土壌」

古来からの「美徳の相場観」は、
「雄弁は銀、沈黙は金」

「そうした沈黙の価値を、
この人は崩していまいか」

コラムニストが言いたいのは、
菅義偉首相のこと。

今日閉幕した臨時国会で、
「お答えを差し控える」を連発。

日本学術会議の会員任命拒否の件、
安倍晋三首相の「桜を見る会」疑惑の件。
「疑われているのは前首相の虚偽答弁だ」

コラムニストの菅評。
「壮大な構想は見えず、
保身ばかり目立つ」

「内閣は国会に対し連帯して責任を負う。
説明責任からは逃れられない」

古代ローマの喜劇作家プブリリウス・シルス。
「愚か者にとって、
沈黙は知恵となる」

これも「沈黙は金」と同じ趣旨だ。

ところが桜井啓太立命館大学准教授。
歴代総理の答弁回避を調査した。
菅首相の「差し控える」は、
安倍前首相以上に多い。

菅総理は「誠実に答えてきた」と反論する。
しかし桜井淳教授は調査をもとに全否定する。
「”誠実”という言葉を破壊している」

「謙虚に見せて、国会軽視がのぞく」

「答弁能力のなさを隠そうとしている
という野党の主張が真実味を増す」

これらの指摘のタイトルが、
「”沈黙”の値崩れ」

座布団一枚!!

さて新聞発行部数ランキング2位の朝日新聞。
その一面コラム「折々のことば」
今日の第2014回。

飛ぶのは
簡単だけど、
歩くのは
なかなかむずかしい。
(中川素子著『宙(そら)からきた子どもたち』から)
9784434268441

「羽を外して歩く練習をくり返す
小さな天使たちが降り立ったのは、
戦争の絶えない”悲しい星”、地球だった」

編著者の鷲田清一さん。
「そこで彼らは……と物語は続くのだが、
私はこの言葉を勝手に深読みした」

「社会を高みから俯瞰(ふかん)するより、
出来事の藪(やぶ)の中を
歩み抜くほうが難しいと」
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同感だ。

昨年2019年の月刊商人舎9月号。
巻頭の[Message of September]で書いた。

地べたを這いつつ、
宇宙を見よう。

地べたを這いつつ、
宇宙を見る――。
「虫瞰図の眼」。
虫の視線ではるか宇宙まで見通す。
作家で運動家だった小田実のスタンス。

虫の眼、鳥の眼、魚の眼。
そして心の眼。
商人の眼。消費者の眼。
つくり手の眼、卸し手の眼、売り手の眼。
三方良しの眼――。(以下略)
P
本来、菅義偉首相こそ、
「虫瞰図の眼」を持っていたはずだが、
日本学術会議の件の答弁では、
「総合的、俯瞰的」を繰り返した。

「沈黙の値崩れ」とともに、
自己矛盾の粗(あら)が見えてきた。
残念なことだが。

効率を狙ってばかりいると、
効果を上げられなくなる。

恐ろしい。

〈結城義晴〉

2020年12月04日(金曜日)

バナナとポッキーの「持つところ」と「店と売場と人間と政治家」

12月に入ったというのに、
暖かかったり寒かったり。

それでも全体に不気味な温暖さがある。

商人舎流通スーパーニュース。
ユニクロnews|
11月既存店100.5%/気温高く冬物コア商品苦戦

㈱ユニクロの11月実績。
既存店が前年比100.5%、全店で100.8%。
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11月上旬は大幅増収で好調だった。
「ユニクロ誕生感謝祭」が11月19日(木)開始。
しかしこの期間の気温が高かったため、
冬物コア商品が苦戦した。

不気味な暖かさが原因だ。

今日も1日中、横浜商人舎オフィス。
原稿を書いては入稿するという仕事。

あっという間に外は暗くなる。
そうするとやはり寒い。

マフラーを首に巻いて、
ダウンジャケットを羽織る。IMG_06400

そして久しぶりに、
やってみようか。
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Go! Go! ポーズ。
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Go Toではない。

商人舎編集スタッフの鈴木綾子。
アメリカ育ちの帰国子女。
とはいっても二人の息子たちは、
高校生と中学生。

その綾子さんが言う。
「Go To EatやGo To Travel、
違和感いっぱいで気持ち悪い」

ネイティブにとっては語感が悪い。

まあ、いいけど。

糸井重里のほぼ日。
その巻頭エッセイは「今日のダーリン」
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「バナナは、天然のままで、
“持つところ”のついている食品である。
その意味でも、バナナには
大きな取り柄があると言える」

いきなり、バナナ。
その「持つところ」の話。

「大事なことだから、もう一度言おう。
バナナには”持つところ”があって、
すばらしい」

「バナナの近くに棲んでいる
サルや類人猿のみなさんも、
バナナの”持つところ”には
とても重宝しているらしい」

なるほど。

「グリコの”ポッキー”は、
人工的に”持つところ”をつけたお菓子である」
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「細いクッキーに、
チョコレートをコーティングしてある。
もし、”ポッキー”がサービスのつもりで、
“両端までたっぷりチョコレートをかけたよ!”
なんてことをしたら、
たいへんなことになるだろう」

「そのまちがったサービスのせいで、
“持つところ”が
なくなってしまうからである」

目のつけどころが糸井流。

「世の中に昔からある
“いいもの””べんりなもの”には、
だいたい”持つところ”がついている」

「リュックサックなんかのことを
考えてみたまえ。
あれは、肩にかけて背中に背負うものだ」

「しかし、よく見たらわかると思うけれど、
ふくろ(ザック)の上部には、
“持つところ”がある」

「ポットややかんなどは、もう、
“持つところ”こそが
本体ではないかというくらいに、
“持つところ”を重要視してつくられている」

ゴルフクラブでは、
「グリップ」と呼ばれて、
持つところはとても大切だ。

「自転車でも、自動車でも、
“持つところ”がある。
一般にハンドルと呼ばれているが、
あれは、操縦をするためのものでもあり
“持つところ”でもある」

「この先、自動車は
“自動運転”になっていくらしいが、
そのとき”持つところ”のことを
なおざりにした企業は、
おそらく手持ち無沙汰になるであろう」

「持つところ」の話で「手持ち無沙汰」。
糸井のダジャレ。

「人体は、実に、
“持つところ”の集合体である。
人間が好かれるのは、
“持つところ”が多いせいだ」

手は持つところであり、
持たれるところでもある。

手と手が合えば、握手。

耳も鼻も、
持つところでもある。

足首も膝もふくらはぎだって、
持つところだ。

腹も出てくれば、持つところになる。

人柄も持つところである。

「聞いた話だけれど、ビルにも
“持つところ”があって、
“定礎”の文字のある石を外すと、
すぐ見つかるそうだ」

そしてこれが言いたかった。
「文章にも”持つところ”は必要で、
それがないとモテない」

これもダジャレだが、
文章の「持つところ」は、
読者が好ましいと思ってくれる、
とっかかりのところ。

私も今日の1日、
文章の「持つところ」に四苦八苦した。

そして小売業の店や売場を見ると、
糸井が言う「持つところ」だらけだ。

ショッピングカートの持つところ、
ショッピングバッグの持つところ。
商品の持つところ。

店舗外装の持つところ、
売場装飾の持つところ。
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店長やチーフの持つところ、
チェッカーさんの持つところ。

好ましい、
心に引っかかるところがない店は、
「持つところ」がない。
一言で言えば「魅力がない」。

政治家にもそれは言える。
小泉純一郎は持つところだらけだった。
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トランプもある意味では持つところだらけ。
下手なところを持ったら気持ち悪いが。
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それに引き換え、菅義偉は、
持つところがなくて、
なんか、不思議な政治家だ。

〈結城義晴〉

2020年12月03日(木曜日)

吉村洋文大阪府知事の「赤信号」とカールソンの「真実の瞬間」

今日も横浜商人舎オフィス。

昨日は大阪で講演の予定があったが、
新型コロナウイルス感染第三波のため、
急遽、中止となった。

主催者のみなさん、
いい判断でした。

大阪府は今日、
新型コロナウイルス対策本部会議を開催。
独自基準の「大阪モデル」で、
「赤信号」を点灯させた。
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吉村洋文大阪府知事は、
「医療非常事態宣言」を出し、
ツイッターでメッセージを発した。
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大阪府の重症患者は136人になって、
1カ月前の4倍に急増。

府内の医療体制はひっ迫している。

吉村知事のコメント。
「感染の山は
抑えられているかもしれないが
重症者はあとから増えてくる。
重症者が急に減ることはないが、
社会全体での陽性者を減らさないと
重症者も減らない」

その通り。

重症患者は急に減ることはない。
そのために日本全体で、
陽性者を減らす。

何度も何度も書いているが、
尾身茂さんの言葉。
新型コロナ対策分科会会長。
「新型コロナは、
人々の行動が
感染動向を左右する」

「社会全体の感染防止への意識が
低下していないか判断しながら
アクセルとブレーキを踏む必要がある」

何よりも大事なのは、
「社会全体の感染防止意識」

欧米に比べて日本は、
それでも社会全体の意識が高い。

それを政府や自治体は、
自らの成果にしてはいけない。

小売業やサービス業の営業も、
似たところがある。

従業員全体の顧客満足意識が、
低下していないか判断しながら、
経営のアクセルとブレーキを踏む必要がある。

これをヤン・カールソンは、
「真実の瞬間」と表現した。
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カールソンは、
スカンジナビア航空を立て直した経営者。
「私たちは毎日、5万回もの
“真実の瞬間”を持っている」

「真実の瞬間」は、
商品やサービスを提供する側と、
その提供を受ける側との接点のことだ。

「真実の瞬間」への配慮の総和が、
会社や店の業績となり、
地域や国の景気となる。

現時点で言えば、
「ウイルス感染防止」の一瞬の意識が、
真実の瞬間である。

一つひとつの「真実の瞬間」を、
おろそかにしないこと。

その意味で今日の大阪モデルの「赤信号」。
タイミングとして遅くはない。

大阪講演が中止となって、
私は原稿執筆に専念した。

さて、大原孝治さんが、
容疑者となって、
東京地検特捜部に逮捕された。
金融商品取引法違反(取引推奨)の容疑だ。
㈱ドンキホーテホールディングス前社長。
株式の不正推奨疑惑。

今年の4月に会ったばかり。
だからこの話題に、
触れないわけにはいかない。

創業者の安田隆夫さんとは、
㈱商業界の時代に何度かお会いしたが、
大原さんとは初めてだった。

詳しい事情がわからないので、
ノーコメント。

このまま起訴されるにしても、
あるいは容疑が晴れるにしても、
どちらにしても遺憾なことだ。

しかしこういった時にこそ、
人間の真価が問われるものだ。

朝日新聞「折々のことば」
第2010回。
出会った実例が、
はめこもうとしても
定義の枠をあふれるとき、
手応えを感じるのが、
学問をになう態度として
適切だ。
(鶴見俊輔『思い出袋』から)

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「権勢を手放したくない者、
面子(めんつ)を護(まも)ろうとする者は、
自らの主張を反証するような事例を
認めようとしない」

「これに対し、学問を志す者は
自らの仮説への反例の出現を歓迎する。
それによって真理に
より近い視点に立てるから」

感銘しつつ、首肯(しゅこう)する。

編著者の鷲田清一さん。
「辻褄(つじつま)合わせに走ったり、
反例を否認したりすることほど
反学問的なことはない」

反学問的どころか、
反政治的であるし、
反経営的であるし、
反実務的である。

鈴木敏文元セブン&アイ会長の「仮説と検証」も、
「出会った実例が、
はめこもうとしても
仮説の枠をあふれるとき、
手応えを感じる」という類の、
仕事のやり方である。

〈結城義晴〉

2020年12月02日(水曜日)

亀ヶ谷純子さんの「手紙」とノーベル平和賞の「人間の罰」

毎月、亀ヶ谷純子さんから、
達筆の手紙が届く。IMG_06310
美しい筆文字の手紙は、
それだけで価値がある。

㈱カメガヤ名誉会長。
神奈川県のドラッグストア。
主力の店舗バナーは「Fit Care DEPOT」

月刊商人舎を読んだ感想が書かれている。
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ありがとうございます。

カメガヤの第1号店は妙蓮寺店。
私が住んでいる街の駅前に、
今でもある。
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現在は90店舗を超えて92店。
シンプルで美しいドラッグストアの面展開で、
しっかりと地域に貢献している。

ドミナント展開してシェアを高めるには、
マルチフォーマット戦略が必須だ。
カメガヤは4つのフォーマットで、
それを果たしている。

第1のFit Care DEPOTは、
スーパードラッグストア。
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第2のFit Care Expressは、
ドラッグのエクスプレスストア。
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第3のFit Care MARTは、
小商圏型バラエティストア。
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そして第4のmusée de peauは、
コスメティックメガストア。
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〈写真は同社ホームページより〉

私の地元のドラッグストア。
よく利用させてもらって感謝しているし、
頑張ってほしいところだ。

さて、今日は、
1月並みの寒さで、しかも雨模様。

しかし昨日はまさに小春日和だった。
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商人舎裏の遊歩道には、
枯葉が積もっている。
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オフィスのそばの新田間川。IMG_06180

サクラの枝の葉も、
茶に変色して、
虫食いの跡が見える。IMG_06190

その新田間川は穏やかだ。IMG_06210

横浜駅西口に向かって、
人が交差する。IMG_06230
新型コロナウイルス感染は、
第三波で最悪の状況にある。

しかし今年は暖かい冬だ。
自然はCOVID-19など、
どこ吹く風といった様子だ。

新型コロナウイルスは、
人間にだけ罰を与えている。

はて、私たちのどこがいけなかったのか。

朝日新聞「天声人語」
このところいいコラムが多い。

今日はノーベル平和賞の話。

あの安倍晋三前首相が、
ドナルド・トランプ大統領を、
推薦したとされた、あの平和賞。

「米国の大統領だったオバマ氏が
ノーベル平和賞に選ばれたとき、
世界各地からの反応を紙面に載せるべく
外電を探したことがある」

オバマ元大統領に対して、
「褒めそやす言葉ばかりのなか、
ポーランドのワレサ氏だけは違った」

1943年生まれのレフ・ヴァウェンサ。
現在、77歳。
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同国の自主管理労組「連帯」指導者で、
のちに第二代大統領に就任した。
その抵抗運動が評価されて、
ノーベル平和賞を受けた。

私はいまでも、
ワレサの「連帯Tシャツ」を持っている。

その人のオバマに対する言葉。
「早すぎる。彼はまだ
何もしていないじゃないか」

すごい。

当時のオバマ大統領の受賞理由は、
「核なき世界を目指す理念と取り組み」だった。

しかし結局は尻すぼみとなって、
ワレサ議長の危惧は的中。

コラム。
「ノーベル各賞のなかで、
平和賞はときに失望がついて回る」

ミャンマーのアウンサンスーチー女史。
「軟禁の身で賞に選ばれ、
民主化の星だった」
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しかしミャンマーの政権に就いてから、
「ロヒンギャ迫害は、
まれに見る人道危機となった」

さらに昨年の平和賞を受賞したのは、
エチオピアのアビー・アハメド首相。

「この国の政府と、
北部の政党ティグレ人民解放戦線との間で
軍事衝突が続いており、
民間人も含めて数千人が犠牲になった」

そのエチオピア政府を率いるのが、
アビー首相だ。

受賞の際の彼の演説。
「戦争を美化しようとする人がいるが、
戦争は関わる人全員にとって地獄の縮図だ」

コラムニスト。
「アビー首相の強硬姿勢が、
この地に地獄の縮図を
もたらしているのではないか」

結語。
「平和を後押ししようとする賞が空回りする。
そんな音が、聞こえるようだ」

やはりCOVID-19は、
人間の性(さが)に対して、
罰を与えているのだ。

私たちは謙虚に生活し、
ひたすら仕事に邁進し、
真の商売に徹したい。

それしかない。

小春日和から氷雨に変わった今日、
そんなことを考えた。

家に帰ったら白地に赤文字のシャツを、
引っ張り出してみよう。
「solidarność」

〈結城義晴〉

2020年12月01日(火曜日)

「コロナ禍の2021年正月商戦戦略」と「コロナ対策費の不均衡」

西暦2020年は令和2年。
「新型コロナウイルス年」として、
長く人々の記憶にとどめられよう。

その「コロナ年」も、あとひと月。

今日から12月、師走。

今年、師は走らない。
義務教育や高校の授業は、
平常通りに戻ったが、
大学や大学院は依然として、
オンライン授業主流。

だから教授たちは自宅から、
あるいは研究室から、
遠隔講義を続ける。

このほうが楽だから、
惰性もあって、続くだろう。

オンラインでの講義や講演は、
90分、120分となると、
学習効果は極端に薄れる。

できる限りリアルの講義・講演にしたい。

Webにしなければならない場合は、
別の講義・講演をするくらいに、
工夫をしなければならない。

小売業やサービス業が、
「業態」から「フォーマット」へと、
大きく転換するように、
オンラインの講義・講演も、
その形式や手法は変わらねばならない。

さて、12月に入ったら、
年末商戦へ向けてまっしぐら。

月刊商人舎11月号の特別企画。
コロナ禍の2021Marketing
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この特別企画の中から、
コロナ禍の2021年正月商戦戦略
「集わない年末年始」の3つの施策
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商人舎11月号を購読している人は、
読み返してほしいし、
商人舎IDを保有している人は、
ネットでチェックしてほしい。

協力・資料提供は、
㈱紀文食品年末商戦戦略委員会。
まとめは商人舎GMの亀谷しづえ。

この提案原稿の中にあるのが、
三密を避けて買物ができる
「選ばれるお店作り」

三つの分析がある。
第1に「三密」にならずに買物ができる、
店内の環境づくり。

第2が「時短購入」への対応。

「早い時期に正月売場を立ち上げて、
顧客にできる限り商品を露出する。
そしてわかりやすいチラシで訴求する」

「その結果、短時間で
買物を済ませることができる環境が整う。
つまり早仕掛けをする意味が、
例年以上に重要になる」

第3は「価格コンシャス」への対応。

コロナ禍で収入が減ったり、
雇用を失ったりした人も多い。
何よりも不安感が増大している。
当然ながら財布のひもは固くなる。

したがって節約志向への対応は、
大切な施策になる。
高価格帯の品揃えよりも
ボリューム価格帯の投入量が鍵になる。

2020年末の曜日周りは、
12月28日(月)に平日が挟まれる。

そこで月曜日を休んで、
9連休を取得するケースもあれば、
カレンダー通りに6連休の場合もある。
いわゆる「9-6混在型」

2007年末から2021年末までの曜日周り。
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今年は三密を避けるために、
12月後半の2回の週末に仕掛ける。
19日・20日と26日・27日。

クリスマスは今年も平日になるが、
ホームパーティが主流になる。

今年のハロウィンは土曜日だった。
自宅からリモート参加したり、
「おうちハロウィン」も多かった。

この傾向はクリスマスに顕著に表れる。

今年末年始は学校の冬休みを短縮して、
1月4日(月)に3学期を始業する動きもある。

年末年始休暇「分散型」取得を、
政府は呼びかける。

したがって人々の集いは、
年末年始集中型になる。

最後に朝日新聞のコラム。
「経済気象台」
日経の「大機小機」のようなもの。
第一線で活躍する経済人、学者ら、
社外筆者が執筆。

比較的あっさりした文章ばかりだが、
今日のコラムはいい。

そのコラムニストは呉田さん。

タイトルは、
「この牛刀はバランスを欠く」

内閣府発表の報告書「世界経済の潮流」。
COVID-19の経済への影響を調査した。

「短期的には、
大恐慌やリーマン・ショックを
上回るほどのショック」

「先進国・途上国問わず
巨額のコロナ対策費を計上し、
感染予防と経済回復に必死だ」

当然のことだろう。

「日本の対策規模は、
他国と比べて異常なほど巨額だ」

アメリカは、
感染者数1200万人を超えて世界最大。
しかしコロナ対策金額はGDP比15%。
トランプが何もしなかったからでもある。

100万人超のドイツ、イタリアは30%台。

なのに日本は感染者数14万人で、
総額233.9兆円の42%。
対GDP比は主要7カ国(G7)で最高。

コラムは指摘する。
「非常時に国が借金してでも
経済を下支えすることは否定しない」

「だが、モノには
限度というものがある」

同感だ。

もちろんほとんどは、
安倍晋三政権時代の出費だ。

優先順位は必要だし、
費用対効果の判断は不可欠だ。

医療は崩壊の危機に瀕している。

しかし感染症対策は、
「国民の努力と自粛を呼びかけるだけ。
不要不急の外出自粛という一方で
旅行に行ってください、
外食してくださいと
旅行券や食事券を配る」

「困窮しているのは、
旅行業界や飲食業界だけではない」

「一番打撃を受けているのは
社会の最も弱い人たちだ」
10月の女性の自殺者数は、
速報値で851人。
前年同月比8割増。

自殺者の数に関して、
前年同月比で表したくはないけれど。

「気がつけば日本の感染者数は、
とうに韓国を超え、
ついに中国をも上回った」

「経済活動の維持といって
特定業界に金をばらまくだけ」

「日本政府のやっていることは
バランスを欠いている」

ん~、不均衡。

菅義偉総理には、
ちょっとだけ期待したのだけれど。

〈結城義晴〉

2020年11月30日(月曜日)

コロナ第3波の「ハンマー&ダンス」と「会議は踊る・されど進まず」

Everybody! Good Monday!
[2020vol㊽]

2020年第49週。
今日の30日が11月最後の日で、
明日から12月。

「ニ、シ、ム、ク、サムライ」と覚えた。
2・4・6・9・11月は短い。
漢字の「十一」は「士」という字になる。

新型コロナウイルス一色の2020年が、
あとひと月を残すだけとなった。

COVID-19パンデミックは、
いま、これまでで、
最も厳しい局面を迎えている。
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朝日新聞「天声人語」
取り上げたのは、
「ハンマー&ダンス」
アメリカ発の言い回し。

新型コロナウイルスに対して、
強力な対策を打ち出すことを、
ハンマーを打ち下ろすことにたとえた。
「ウイルスをガツンとたたく感じだ」

ハンマーを打ち下ろして、
感染が少し落ち着いたら、
感染防止と社会経済活動を両立させる。

こちらは言わば、
「ウイルスとダンスをするようなもの」

だからハンマーとダンス。
様子をうかがいながら、
両方を繰り返し、使い分ける。

「この冬、日本はどうやら
ダンスの季節が終わり、
再びハンマーの出番となった」

東京、大阪、名古屋、札幌。
飲食店の店じまいが早くなった。
GoToトラベル、GoTo イートも見直し。
「我慢の3週間」

それでも第1波よりましな点はある。
「マスクが出回り、
その効果も研究により裏付けられてきた」

ワクチンの開発も、
まじかとなってきた観がある。

新型コロナの分科会の提言は、
会食に警告を発する一方、
仕事や学校の授業、病院の受診など
「感染拡大リスクの低い活動を
制限する必要はない」

「ただし大いに気になるのは医療体制だ」

「ダンスの季節に、
体制強化は十分になされなかったのか。
GoToなどに公金が回りすぎたのか」

コラムニストは、
米国の古いフォークソングを思い出す。
「天使のハンマー」

古いと言っても日本のわらべ歌のように、
作者不詳ではない。

伝説のピート・シーガーの曲。
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私はピーター・ポール&マリーで聴いた。
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If I had a hammer
I’d hammer in the morning
I’d hammer in the evening
all over this land,

もし私にハンマーがあれば
朝に晩に打ち続けるだろう
この国中に

I’d hammer out danger
I’d hammer out a warning

危険を知らせ
警告を発する

I’d hammer out love
between my brothers and my sisters
All over this land.

この国中の兄弟姉妹に
愛のハンマーを打ち下ろす

二番の歌詞は、
「もし私にベルがあったら
朝に晩に鐘を鳴らすだろう」

三番は、
「もし私に歌があったら
朝に晩に歌い続けるだろう」

愛の鐘を鳴らし、
愛の歌を歌い続ける。

「ハンマー&ダンス」は、
ピート・シーガーの曲では、
ハンマーとベル(鐘)とソングだ。

感染拡大防止と経済活動。
両者のハンマーとダンスを、
早めに早めに使い分ける。

これが後手後手に回ると、
1814年のウィーン会議となってしまう。

「会議は踊る、されど進まず」
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フランス革命とナポレオン戦争終結後、
全ヨーロッパの国家の代表が参集して、
オーストリアのウイーンで会議を開いた。

目的はヨーロッパの秩序再建。

しかし国々の利害がもつれて、
何カ月も議事は進まなかった。

「会議は踊る、されど進まず」

こうなると後手に回る。

菅義偉政権がスタートした。
「会議は開かれる。されど進まず」
そんなふうにならねばいいが。

ウイーン会議に関しては、
1815年にナポレオン自身が、
幽閉されていたエルバ島を脱出すると、
その危機感から各国の妥協が成立して、
「ウィーン議定書」が締結されてしまう。

危機感こそ、
問題解決の早道なのだが、
それこそ危機が訪れねば、
人々はそれを感じない。

皮肉な話だが、
COVID-19パンデミックで、
そのパラドックスが起こらねばいいが。

ハンマー&ダンスと、
会議は踊る、されど進まず。

これはコロナ対策だけではない。

会社経営や組織づくりにも、
店舗運営や職場づくりにも、
同じあい路が待っている。

では、みなさん、今週も、
ハンマーとダンス、
上手に使い分けよう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2020年11月29日(日曜日)

早め早めの「リスクマネジメント」と「個人的には…」の本音と建前

今日の日曜日。
一日中、一歩も外に出なかった。

いまや神奈川県にも、
外出禁止令が出ているような気分。

どうしてこんなことになってしまったのだろうか。

いま書いている原稿でも、
小売業もサービス業も卸売業や製造業も、
今期に入って、
第1四半期がコロナ第一波だった。
第2四半期がコロナ第二波、
そして第3四半期が終わる11月末、
コロナ第三波が来ている。
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そして年末商戦を迎える。

アメリカでは新規感染者が、
1日で20万人を超えた。

カリフォルニア州ロサンゼルスは、
全米第2の都市圏だが、
終日の外出禁止命令が出た。
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5日間の平均で、
新規感染者は4500人を超えた。
ロックダウンも仕方ない。

そのうえ今週は感謝祭週間。
日本で言えば、
正月かお盆かという国民的大イベント。
感染者はまた爆発するのか。

ヨーロッパでも11月初旬に急増して、
イギリス、フランス、ドイツは、
厳しい措置に踏み切った。

その結果、感染ペースは落ち着いた。

日本は感染者や死者の絶対数は、
欧米に比べてもひどく少ない。

しかし、厳しい措置をとらねば、
感染のペースを下げることはできない。

経営や事業、仕事と同じ。
早め早めの手を打つ。
最悪を覚悟して、
最善を尽くす。

それがリスクマネジメントの基本だ。
今年は一年中、それだ。

さて、朝日新聞「天声人語」
大学入試の問題に使われるとして、
読売新聞の「編集手帳」と並んで、
高く評価されている。

その11月22日版。

「個人的には……。」

「わざわざそう断ってから発言する人が
やけに多いように感じる。
気のせいだろうか」

同感だ。

「”私はこう思う”と単に言えばいいのに、
なぜかこの表現がよく使われる」

あるある。

「それなら今までの話は何だったのか」

アメリカではまず、ない。

どこか、
責任逃れや、
無責任に聞こえる。

ここで同志社大学教授の太田肇さん。
組織論がご専門。
「”超”働き方改革」の新著がある。
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太田さんが指摘するのは、
日本の企業などでの「同調圧力の強さ」。

「周囲と異なる意見を言うには
圧力にたえる”逃げ道”が必要で、
それが”個人的には”といった
表現になっているのではないか」

太田さん。
「日本の組織には私より公を優先する
暗黙の前提がありますから」

「最悪なのは本音が語られず、
建前だけの組織です」

これは小売業にも多いし、
サービス業にも多い。

本音と建前。

これがあると、
とくにチェーンストアの組織は、
うまくいかない。

一つの本部と多数の店舗によって、
チェーンストアは成り立っているからだ。

一番いいのはいつも、
「お客さまのために」と考えることだ。
倉本長治はそう教えた。

セブン&アイ前会長の鈴木敏文さんは、
「お客の立場を貫け」と言った。

「個人的には、
これはお客さまのためには、
ならないと思います」

では「公人的には」、
お客さまのためにならないことでも、
やってしまうのか。

そんな組織は腐っている。

コラムは最後に、
政治学者の丸山眞男を引く。

「私の個人的意見は反対でありました」

これは日本が戦争に向かった経緯について、
A級戦犯が東京裁判で語った言葉だという。

「自らの考えを”私情”と排し、
ひたすら周囲に従うのを
モラルとするような指導者の言動」

丸山は「既成事実への屈服」だと喝破した。

丸山眞男は政治学者、東京大学名誉教授。
1914年生まれ、1996年没。
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戦前、東京帝国大学助教授だったが、
陸軍二等兵として召集された。

大学卒業生は志願して幹部候補生になる。
丸山は「軍隊に加わったのは、
自己の意思ではない」と、
二等兵のまま従軍して、
中学も出ていないだろう一等兵に、
何度も殴られた。

勝新太郎と田村高廣の主演で
「兵隊やくざ」という映画があったが、
田村演じる有田上等兵が、
丸山眞男をモデルにしていると思う。
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旧帝国陸軍は、
本音と建前の巣窟だった。

丸山はそれが嫌で嫌で仕方なかった。
だから「既成事実への屈服」は嫌いだった。

コラムニスト。
「豊かで平和な社会は
異論によって形成される」

正しい。

だから組織には、
「コンフリクト(対立)」が必須だ。

そしてコンフリクトのルールには、
「個人的には」の言い方はない。
正々堂々の議論が求められる。

しかしそれはなかなか難しい。

私も若いころから跳ねっ返りで、
生意気な正論ばかり吐いていた。

それでも空気は読んだり、
あとでフォローしたり、
自分の言葉遣いには注意を払った。

言い続けていると、
その正論が少しずつ認められる。
そうなるともう、
こっちのものだ。

本音と建前があっては、
つまらない。

〈結城義晴〉

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