結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年07月27日(月曜日)

ニトリ・ホームロジの競合家具まで運ぶ「商業の現代化」

Everybody! Good Monday!
[2015vol30]

2015年第31週。
今週末から8月。

強風にみごとなうねり夏木立
〈朝日俳壇 宝塚市・松井由紀子〉

台風12号は熱帯低気圧となって、
10号ほどの大事にいたらなかった。

夏やすみ、真っ只中。
いいひやけちゃいろとくろのいいひやけ
〈同 東京都・福元泉〉

扇風機兄弟喧嘩に首をふり
〈同 松戸市・をがはまなぶ〉

私も昨日から軽井沢で、
一足先に夏やすみ。

浅間山がくっきり。
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いつも頂きには雲。
それが浅間山。

しかし今日は、山際が鮮明。DSCN6785ー5
中央あたりから、
かすかに噴煙が上がる。

その噴煙を拝んで、
なんだか得をした気がする。

さて今週土曜日から8月。
するともうお盆商戦はすぐにやって来る。

商人舎magazineの、
weekly商人舎日替わり連載。
月曜朝一・2週間販促企画。
そのあたりのことをチェックしている。

来週の水曜日5日は、
土用二の丑。

この暑さ。
品枯れしようとなんだろうと、
ウナギを売りまくる。
ウナギを食べてもらう。

今月の商人舎標語は、
「惣菜に、とんがれ、こだわれ」

ウナギも惣菜。
刺身も惣菜。

もちろんサラダも惣菜。
トリ唐揚げも惣菜。

そして来週金曜日の7日は、
夏の節分。
夏の恵方巻き。
これも惣菜。

[Message of July]を再掲しよう。
「惣菜に、とんがれ、こだわれ」

すごくおいしいものは、
そうそう簡便に食べられないし、
総じて体によろしくない。

すごく便利なものは、
これはあまりおいしくはないし、
ときに体によくはない。

体にいいものは、
たいていそれほどおいしくはないし、
そんなに便利にはできていない。

そして、おいしくて、便利で、
そのうえ健康的なものは、
きまって高い。

「三律背反」とでもいうか、
「四律背反」となるのか。
オクシモロンの課題が降りかかる。

それが今日のニッポンの惣菜だ。
アメリカのサービス・デリだし、
ヨーロッパのデリカテッセンだ。

トレーダー・ジョーは、
おいしくて健康的で安価だが、
品揃えの便利さを思い切り犠牲にしている。

ホールフーズは、
完璧なマーチャンダイジングを構築し、
マインドシェアを高めて高価格帯に胸を張る。

ロック・フィールドも、
「少し高い」ことを勲章にして、
この難題のソリューションを図る。

つまり、「四律背反」には、
どれかを捨てるしかないということだ。
そしてそれが惣菜のソリューション戦略となる。

いずれかの要素を切り捨てる。
それはその要素にこだわる顧客を捨象して、
客層を絞り込むことになる。

まさにセグメンテーション、
ターゲティング、
そしてポジショニングの戦略。

惣菜のソリューションは、
このポジショニング戦略を、
象徴する営業行為だ。

だから惣菜に、
とんがれ、こだわれ。
いずれかを丁寧に捨てよ。
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さて日経新聞『企業』欄。
「ニトリ、競合の家具配送」

ニトリホールディングスが、
自社の家具配送網を活用して、
物流サービスを始める。

事業の主体は、
ニトリ傘下の物流会社ホームロジスティクス。
略して「ホームロジ」。

この会社は、
全国の約150社の中小運送会社と、
委託契約を結んで、
トラックを確保している。
宅配で1000台程度、
幹線輸送では約400台。

それら契約運送会社は、
ニトリでの研修によって、
家具の運搬や組み立ての技術を持っている。

この配送&組み立てのノウハウを、
競合他社のサービスに使う。

サービスの対象は、
インターネット通販企業、
それから家具メーカー。

競合他社から、
家具の輸送や宅配を請け負って、
荷物を混載し、
自社の配送効率も高める。

すでに、ネット通販企業など数社と組んで、
実験配送は始まっている。

例えば過疎地は人口密度が低く、
単独企業では毎日配送ができない。
しかし複数企業の商品をまとめると、
配送可能となる。

物流機能を確保するための連携は進む。

ファーストリテイリングは昨年、
大和ハウス工業と提携した。
同社は物流事業を手がけるが、
ユニクロのネット通販を即日配送する。

ローソンは佐川急便と、
楽天は日本郵便と、
提携して配送する。

しかしニトリは、
自社の物流網を使う。
だから自社配送効率が高まる。
そのために家具などに絞って、
競合他社商品も配送する。

ヤマダ電機とコスモス・ベリーズ、
とくし丸とローカルスーパーマーケット。
ニトリのホームロジは、
新しいアライアンスという意味で、
「商業の現代化」を体現するものだ。

これまでは配送能力で、
競合他社に差をつけた。
これが近代化。

しかしこれからは、
その配送能力を競合相手にもサービスして、
自社の配送効率を高める。
これは現代化。

新しいことに取り組む。
そこには新しい連携がある。

では、みなさん。
8月も新しいことに取り組もう。
今週も、Good Monday!

〈結城義晴〉

2015年07月26日(日曜日)

ジジと軽井沢[日曜版2015vol30]

ジジです。
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あついですねぇ。
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梅雨はあけて、
学校は夏やすみ。
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朝、ボクは、
顔をあらいます。
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これは、日課。

おとうさんも、
顔をあらって、歯をみがいて、
でかけていきました。
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どこにいったのでしょうか。
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きっと、すずしいところ。
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なんだか、うれしそうだった。
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新幹線はくたかにのって、
荒川をこえた。
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高崎はあついところ。
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緑のたんぼ。
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1時間でつきました。
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やっぱり、緑がいっぱい。
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すずしい。
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いいところ。
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軽井沢。
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木々がいきいきしている。
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ボクも氷をもらった。
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あついときには、
こたえられない。
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いただきます。
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石づくり。
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浅間山、みえますか?
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窓のそとは、
緑いっぱい。
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森林浴?
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池もある。DSCN6732-5

いいですね。
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おとうさん、
ゆっくりしてきてください。
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7月ももう、
おわります。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

2015年07月25日(土曜日)

A&Pとセーフウェイの「すぐに役立つことはすぐに役立たなくなる」

昨日の商人舎magazine。
Daily商人舎は、
米国A&P二度目の倒産話。

1970年代まで、A&Pは、
アメリカ食品産業の王者だった。

その後、1980年代になると、
セーフウェイがとって代わった。
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そして1999年、クローガーが、
フレッドメイヤーを1億3000万ドルで買収して、
全米トップのスーパーマーケットとなる。
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それから21世紀に入ってからは、
クローガーがマーケットリーダー。

しかしA&Pが、
三番手で居続けることはなかった。

2010年に一度、
連邦破産法11章を適用申請し、
今また、二度目の倒産。

一方、セーフウェイも、
クローガーに抜かれてからはぱっとせず、
今年初めに投資会社サーベラスに、
94億ドル(1兆1280億円)で買収され、
アルバートソンと統合させられる。

結果として、年商575億ドル、
1ドル120円換算で6兆9000億円。
社名はアルバートソンになるかもしれないが、
2014年決算は3億8500万ドルの損失。

一方、クローガーは絶好調で、
46四半期連続既存店が増収。

アメリカを解説するには、
このA&Pからセーフウェイ、
そしてアルバートソン、
クローガーまでの歴史的経緯を、
自分の目で見て、自分の耳で聞いて、
経験していなくてはならない。

それが「魚の目」である。

賢者は歴史に学ぶ。
愚者は経験にのみ学びたがる。

レース型競争から、
コンテスト型競争へ。
そのプロセスのなかから、
ポジショニング戦略が生まれてくる。

解説者はそれを、
実感していなければならない。

例えば日本の平和堂。11058381_930786816981664_5847917352244593615_n
最近の新店や改装店は、すばらしい。

青果部門は驚くべき進化を見せる。
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鮮魚部門もこのとおり。
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一方、大阪の万代も、
平和堂やライフ、ヤオコーとは、
異なる進化を見せる。
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鮮魚の鮮度、品揃えは、
他を圧する。
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オープンセールの鰻売り場は、
土用丑の日と重なって、
これも超お買い得。
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オープニングセールの精肉は、
これまた圧倒的。
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ここで、関西地区で、平和堂と万代が、
同じような売り場傾向ではないことが重要だ。

それこそがポジショニングの差異を示す。

同じ売り場や商品の傾向ならば、
大きいほうが勝つ。

A&Pはこのポジショニングが、
全く理解できない会社となった。

だから二度目の倒産状態の現在も、
年商は58億3100万ドル(6976億円)、
店舗数は301店。

その規模を日本に持ってくると、
ライフコーポレーションよりも、
ユナイテッド・スーパーマーケットよりも、
アークスよりも大きい。

もちろん平和堂や万代よりも、
スケールは大きい。

セーフウェイ+アルバートソンは、
セブン&アイ・ホールディングスよりも、
巨大だ。

そしてこちらは、
ポジショニング戦略を、
競争の中から身をもって理解していても、
それを店や売り場に実現することができない。

なぜなら強烈な個性の企業が、
アメリカでは目白押しだからだ。

カット・スロート・コンペティション。
喉を斯き切る競争。

かつては圧倒的なボリューム競争と、
激しい価格競争だった。

しかしいま、
ウォルマートのポジショニングは、
圧倒的だ。

クローガーも、
揺るぎのないポジショニング。

さらにホールフーズ、
トレーダー・ジョーなど、
模倣困難性と希少性を備えた、
絶対的な個性的チェーンストアがある。

そこにウェグマンズ、スプラウツ、
さらにアルディ、ウィンコフーズ。

ニューヨークに行けば、
フェアウェイマーケット、ゼイバーズ、
それにイータリーやチェルシーマーケット。

とんがりとこだわり。

半面、A&Pもセーフウェイも、
相対的にまったく特徴のない企業となった。

際立った個性を主張できなくなった。
アウトスタンディングなポジショニングを、
確立できなくなった。

だからこの程度の規模では、
太刀打ちできない。

ここで最も重要なこと。
「すぐ役立つことは、
すぐに役立たなくなる」

すぐに役立つ模倣を繰り返していると、
そこにはイノベーションが育たなくなる。

それがセーフウェイ+アルバートソン、
そしてA&Pだった。

〈結城義晴〉

2015年07月24日(金曜日)

2度の「土用丑」と日経+フィナンシャルタイムズのグライダー

本日、土用の丑。
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横浜野田岩。
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商人舎オフィスの目の前の、
老舗鰻屋。

シャッターは閉まっていて、
上記の張り紙。

そこで関係ないけど、
商人舎オフィスでは、
これをいただいた。
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Sさん、ありがとう。
ごちそうさまでした。

今年は土用丑の日が2日ある。
今日7月24日と8月5日(水曜日)。

だから消費も必ず活気づくはず。

その今年のウナギ。
日経新聞の記事。

ここまで、店頭価格は、
昨年に比べて安く推移してきた。

今シーズンは流通量が多い。
中国・日本・韓国・台湾の合計の池入れ量は、
不漁で大きく落ち込んだ前年に比べて、
2014年には4倍強の約91トンに膨らんだ。

一方、輸入量も、今年1~5月は、
約2500トンで、前年同期比7割増。

流通量、輸入量が増加すれば、
価格が安くなり、消費量も増える。

しかし安かった卸値も上昇に転じた。
7月初めごろの平均的な国産卸価格は、
1kg4000円前後。
前年同時期比で1割安。

しかしこの半月間で、
卸値がほぼ毎週100円程度ずつ値上がりし、
現在は4500円程度。

例年ならば、
土用の丑が過ぎると
卸値は落ち着く。

しかし今年は上昇が続きそうだ。
もちろんもう一度8月5日にも、
土用丑がやって来るし、
消費者の国産志向が根強くて、
その国産品の品不足が顕著だからだ。

再来週の土用丑の日に向けて、
商品調達と価格設定を、
今一度、検討しておく必要がある。

さて、新聞各紙一面トップ。
日本経済新聞が、
英国フィナンシャル・タイムズを
買収。

経済メディアとして、
世界最大の存在となる。

親会社は英国のピアソン。
買収金額は8億4400万ポンド、
約1600億円。

欧米を旅行すると、
ビジネスマンが一番読んでいるのが、
フィナンシャル・タイムズであることは、
よくわかる。

米国ウォルストリート・ジャーナルと並んで、
欧米トップの経済メディアである。

現在では、
デジタル版の有料読者は約50万人。
全体の約7割を占める。
日経も電子版読者は43万人。
単純合計すると93万人。

これは米国ニューヨーク・タイムズの、
91万人を抜いて、世界第一位。

新聞発行部数は、
ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)の、
146万部の2倍強。

これで紙媒体のビジネスメディアは、
二強体制となる。
一つが日経+フィナンシャル・タイムズ、
ひとつがWSJのダウ・ジョーンズ。

通信社としては、
米国ブルームバーグが大きい。
グローバル市場で、
この「3つの勢力がせめぎあう構図」。

つまり経済メディアも三占。

フィナンシャル・タイムズは1888年創刊。
日本経済新聞は1876年に、
「中外物価新報」として創刊。

前者は1995年に電子版を創刊し、
早くからデジタル化を進めた。
紙と網を合わせた購読者数は約73万。

全購読者の3分の2がイギリス国外。
そして2017年には網の売上高が紙を上回る。

日経は2010年に「日経電子版」を創刊。
紙と網を合わせた有料読者数は316万。

メディアの大型再編は、
21世紀に入って加速。
まず2007年、
米国ニューズ・コーポレーションが、
WSJを発行するダウ・ジョーンズを買収。

2013年には米国ワシントン・ポストを、
アマゾン創業者ジェフ・ベゾスが、
個人資産で買収。

背景には紙媒体の苦境がある。
インターネット普及で販売・広告の収入が激減。
2008年のリーマン・ショックが、
それに決定的打撃を与えた。

その一方で、デジタル専業メディアが台頭。
低コストで制作した記事を無料公開し、
デジタル広告で利益を出す経営モデル。

2005年発足のハフィントンポストは、
既存メディアとも連携して、
記事を網羅的に収集・配信。

わずか数年で、
月間2500万人を超える読者を獲得。

これは例えば、
私の[毎日更新宣言ブログ]のやり方。
わが盟友の流通ニュースも同じ。

それに対して日本の流通マスコミでも、
紙媒体は、悪いけれど凋落の一途。

しかし世界では、
インターネットサービスのAOLが、
2011年にそのハフィントンポストを、
買収してしまった。

インターネットサービスが、
メディアを傘下に入れるところまで来た。

毎日更新宣言ブログは、
月刊『商人舎』と、
商人舎magazineへと発展し、
その両者の使い勝手の良さを、
融合させようと試みている。

もちろん、ごくごくちいさくて、
極めて専門的な、
マーケット・ニッチャーでは、
あるけれど。

時代は急激に変わる。
そのスピードについていけなければ、
グライダーとなって、
スピードが出せるエンジンをもつ存在に、
引っ張ってもらうしかない。

そんなことを論じるメディア組織自体が、
実はエンジンもスピードも、
持っていないことが多い。

以って自戒とすべし、ではある。

それにしても横浜野田岩。
麻布野田岩の暖簾分けの店だが、
店主は異なる。

土用丑の当日は、
横濱高島屋内の店が大忙し。
だから本店を休業にして、
全員が高島屋に詰める。

髙島屋店がエンジンで、
本店はグライダー。

情けない。

〈結城義晴〉

2015年07月23日(木曜日)

上田昭夫さんの訃報と本田宗一郎「得手に帆をかけて生きる」

梅雨明けの大暑、
しかし夕方には爽やかな空。
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上田昭夫さんが逝った。

62歳。

慶応義塾大学のラガー時代、
スクラムハーフとして活躍。
4年次には主将。
1975年に卒業し、
社会人ではトヨタ自動車工業(当時)。
1977年度、選手として日本選手権優勝。

1974年~79年には日本代表。
テストマッチ出場回数のキャップは6。

1984年に、慶応の監督に就任し、
85年度には、大学選手権で、
明治大学と両校優勝。

勢いを駆って日本選手権を制覇。
その決勝の相手は、
上田さんが社会人で属したトヨタ自動車だった。

この1985年度は、
慶應義塾體育會蹴球部にとって、
史上最高の年だった。

上田さんは、
選手としても優秀だったが、
指導者として花を開かせた。

その後、87年、フジテレビ入社。
キャスターとして活躍。

さらに1994年、
慶応監督として復帰。
1999年度は創部100周年のシーズンだったが、
関東学院大学を破って、大学選手権優勝。

体は小さかったが、
論理明快、熱血指導。

そしてここぞという時に、
不思議な勝負強さを発揮した。

2012年10月、フジテレビを定年退職。
難病のアミロイドーシスに侵されて、
治療中だった。

1999年7月から、
フジテレビのホームページで、
「編集長のひとりごと」を、
平日に毎日書き始めた。
2000年4月から「上田昭夫のひとりごと」、
2007年8月から「スポーツひとりごと」となり、
亡くなる直前の今年6月30日が、
絶筆となった。

偶然にも「スポーツひとりごと」は、
私の「毎日更新宣言」と同じ月のスタート。
そして私と同じ年。

絶筆のタイトルは、
「ああ・・・・」

胸が熱くなる。
ご冥福を祈りたい。

さて、日経オンライン「経営者ブログ」。
高原豪久ユニ・チャーム社長。
今日のタイトルは、
「本田宗一郎さんに学ぶ 仕事の極意」

ホンダ創業者の本田宗一郎さんの言葉。
「『得手に帆をあげて』生きるのが
最上だと信じている」

「得手」は「えて」。

「最も得意な分野で働くことが、
その人の価値を最大限に発揮できる」
これが本田さんの信念。

「好きこそものの上手なれ」

「好きなことを一生懸命やることによって、
専門性が磨かれて、
それが成果を生んで自信となり、
そして更なる努力につながるという、
グッドサイクルが回り始める」

しかし高原さんは指摘する。
「我々職業人としては、
不得手なことを一切やらずに
済むことはまずあり得ません」

そこで経営者は、
「社員それぞれの適性や得手が
何かを常に正しく見極めて、
適材適所の人事を行えるよう
ベストを尽くすことが
最も重要な役割だと思います」

「さらには組織のパワーを
最大限に発揮するために、
上司は自分自身の得手・不得手と、
部下のそれとの補完関係を十二分に考えて、
うまく組み合わせることが
ますます重要になっている」

ユニ・チャームが実践しているのが、
SAPS経営モデル。

「なぜ5」をくり返し、
本質を追究していく。

ユニ・チャームでは、
『自分の専門テーマ』について、
社員一人ひとりに考えてもらう」

その専門テーマとは、
「まず何といってもそれが大好きで、
10年かけても自分自身のために
自らが主役となって成し遂げたいと
渇望するような専攻テーマを決める」

「そしてひたむきに、
そこだけに集中する『一意専心』の気持ちで
取り組み続ける」

全社員が「世界最先端の専門家」となる。

今日のブログは、
高原さんの自社への思いが強すぎて、
共感を呼ぶという書きようではないけれど、
趣旨は分かる。

ピーター・ドラッカー教授は強調する。
「自分の強みだけを見よ」

それは「ほかの誰かになろうとしない」こと。
つまりほかの誰かの真似ばかりしないこと。

本田宗一郎の「得手に帆をかけて生きる」も、
まったく同じ哲学だ。

それは高原さんの言う「仕事の極意」だけでなく、
「人生の極意」そのものである。

上田昭夫さんも誰よりも、
得手に帆をかけて、生きた。
だから不思議に勝負強かった。

心からご冥福を祈りたい。

合掌。

〈結城義晴〉

2015年07月22日(水曜日)

東芝の「魂入れる」と第36回「コンビニ調査」の「完全なる三占」

「利益に関して最も基本的な事実は、
そのようなものは
存在しないということである。

存在するのはコストだけである」
(1994年刊『すでに起こった未来』〈上田惇生訳〉より)

昨日のブログのエンディング。

東芝は「存在しない利益」という幻影を、
追い求める集団になっていた。

田中久雄現社長(64歳)、
前社長の佐々木則夫副会長(66歳)、
前々社長の西田厚聰相談役(71歳)は、
21日付けで辞任した。

室町正志会長(65歳)が社長を兼任する。

報道によると室町氏は、
佐々木前社長とのレースに負けて、
社長に就任することなく、
田中社長時代に会長職についた。

つまり西田派閥ではなかった。

こんなことを書いていると、
ドラマ「半沢直樹」を思い浮かべるが、
商人舎ミドルマネジメント研修会で、
いつも話す「悪い組織の兆候」が、
くっきりと見えている。

日経新聞の巻頭コラム『春秋』
「2003年に『委員会設置会社』として、
企業統治改革では先陣を切りながら、
文字通り、仏作って魂入れず。
器はいくらでも立派に作れるが、
結局は、使う人次第なのだ、
と改めて思う」

毎日新聞の社説。
「東芝には、経営の暴走を
監視するはずの仕組みが備わっていた。
4人の社外取締役に加え
社内に監査委員会も設けて、
経営全般に目を光らせる体制だった。
形の上では他企業のモデルになるようなものだ」

そして結論。
「魂を入れる経営陣の
姿勢こそが問われる」

どちらも、言うのは、
「魂を入れる」

問題はその「魂」だし、
その「魂」を入れるのは誰か、だ。

日経は「使う人次第」といい、
毎日は「経営陣の姿勢」と書く。

ピーター・ドラッカー教授が、
自著『すでに起こった未来』に関して、
翻訳者の上田惇生先生に送ったMessage。

そこに答えがある。
「企業の目的は、
顧客を創造し、富を創造し、
雇用を創出することにあります。
しかし、それらのことができるのは、
企業自体がコミュニティとなり、
そこに働く一人ひとりの人間に
働きがいと位置づけと役割を与え、
経済的な存在であることを超えて、
社会的な存在となりえたときだけです」

ここでいう「富」とは、
「幸せ」のようなものだ。

企業自体がコミュニティとなり、
社会的な存在となる。

そして働く一人ひとりの人間に、
働きがいと位置づけと役割を与える。

半沢直樹的な組織構成員すべてに、
それをもたらす仕事が、
そのすべての人々を待っている。

さて、スコットランドは、
あんなに寒かった。
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横浜は、こんなに暑い。
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しかし銀杏の葉は、
頼もしく茂り、強い風に揺れる。

日経新聞の「2014年度コンビニ調査」。
日経MJのタイトルは、
「コンビニ 寡占の時代」
私にはこの見出しに関して、
ちょっとして感慨がある。

㈱商業界の取締役時代、
1998年8月に経営専門誌『コンビニ』を、
季刊で創刊した。
その後、ステップを踏んで隔月刊にし、
2002年8月に『コンビニ』を月刊化。

この季刊化のときから、
私は編集長兼取締役だった。

月刊化のときに、
鈴木由紀夫編集長に委ねたが、
雑誌のタイトルで悩みに悩んだ。

当時、コンビニエンスストアは、
業界では「CVS」と略語で呼ばれたり、
ダイヤモンド社は「Cストア」と呼んだり、
「コンビ」と略したり、様々。

私はこれからの時代に向けて、
「コンビニ」という業態用語を、
定着させようと考えた。

そして雑誌タイトルを、
「コンビニ」に決定した。

いま、日経のタイトルも、
「第36回コンビニ調査」。

ああ、コンビニが業界に定着した。
些細なことだけれど、喜ばしい。

その今回の調査。

全店売上高は10兆1718億円。
13年度比3.7%の伸長。

百貨店やドラッグストアの6兆円を、
はるかにしのぐ規模。
そしてスーパーマーケットの18兆円に次ぐ存在。

国内総店舗数は5万5709店で、5.3%増。

セブン-イレブンが、
過去最高の1602店を開設、
ファミリーマートは1061店、
ローソンは1010店。

店数はセブンが1万7491店、
ローソンが1万2279店。
ファミリーマートが1万1328店。

全店売上高は、
セブン-イレブンが4兆0083億円、
ファミマがFCを加えて2兆0080億円、
ローソンが1兆9620億円。

つまり売上高では、
2位が逆転した。

さらに4番手のサークルKサンクスが、
9889億円で6353店。

そのサークルKサンクスは、
ファミリーマートと経営統合するから、
2兆9969億円、1万7681店となる。

その結果、上位3社の市場占拠率は、
9割近くに達する。

日経MJのタイトルは、
「寡占の時代」

しかし私は常々、
「寡占から三占、そして複占へ」と、
言い続けている。

「寡占」とは、少数の供給者が、
ある一定の市場のほとんどを支配し、
互いに競争している状態。

「三占」は私の造語だが、
三者によって市場のほとんどが
支配されてしまう状態。

そして「複占」とは、
二者によって市場のほとんどが
支配されてしまう状態。

日本のコンビニ産業、
いよいよ寡占から三占へと、
姿を変えてきた。

日経の「コンビニ寡占」は、
今さら指摘することではない。

「コンビニ 完全なる三占」
それが2014調査の正体だ。

この三占は比較的、長く続く。

その間、コンビニは、
最も重要な業態として、
産業界に君臨し続けるだろう。

そして三者、特に二者は、
マーケットリーダーと、
マーケットチャレンジャーとして、
絶賛され続けるだろう。

何しろ小売業第2位の10兆円業態の、
圧倒的なトップ企業。

例えば百貨店における三越伊勢丹よりも、
はるかに社会的影響力は大きい。

現時点の最大問題は、
ファミリーマートとローソン、
どちらがマーケットチャレンジャーの地位を、
射止めるかだ。

そのマーケットチャレンジャーの資格は、
実はただ一つ。明白だ。

マーケットリーダーの追随模倣作戦を、
放棄する存在であること。

そう、観察し続けるだけでいい。

しかし、やがて複占に至る。
つまり二者となる。

そうなったら、
その業態自体の衰退化はもう、
はっきりしてくる。

そこで破壊的イノベーションが、
業態全体に求められる。

そこまでセブン-イレブンが、
視野に入れているか。

鈴木敏文さんに聞いてみたいところだ。
答えは分かっているけれど。

〈結城義晴〉

2015年07月21日(火曜日)

東芝「利益至上主義」とドラッカー「利益は明日のためのコスト」

利益至上主義が粉飾を招いた。
しかし本質は組織風土にある。
マネジメントの考え方にある。

株式会社東芝の事件。
その第三者委員会が、
調査報告書をまとめた。

要約版が公表されている。

利益操作は合計1562億円。
期間は6年と半年間。
2008年度から2014年度上半期まで。

「経営判断」によって、
不適切会計処理が行われ、
「経営トップらを含めた組織的な関与」が、
認められた。

この間に代表取締役を務めた三人が、
まず辞任する。

東芝の歴史は、
1875年(明治8年)に始まる。
創業者は、初代田中久重。
「からくり儀右衛門」と呼ばれた発明家。

からくり人形「弓曳童子」や、
和時計「万年自鳴鐘」などを開発し、
東京・銀座に工場を興す。

2代目久重の田中大吉が、
東京・芝浦に工場を移転し、
田中製造所を設立。

その後、大きな発展を遂げ、
重電メーカーの芝浦製作所となる。

一方、一般家庭向け白熱電球で、
市場を独占していたのが、
合資会社白熱舎から発展した東京電気。

1939年(昭和14年)、両者が合併して、
東京芝浦電気として発足。

1984年(昭和59年)に、
株式会社東芝に社名変更している。

歴代社長は歴史に残る名経営者揃い。
1949年(昭和24年)には、
石坂泰三氏が社長就任。
経団連会長を12年務め、
「財界総理」の異名を持つ。

1965年(昭和40年)には、
土光敏夫氏が社長に就任。
ご存知、「ミスター合理化」

この石坂・土光時代は、
日本の高度成長期にあたり、
飛躍的な発展。

しかし、当然ながら、
それには反動が出る。

1976年(昭和51年)に、
岩田弌夫氏が社長の座について、
リストラを開始。

企業の成熟期に入る。

1981年(昭和56年)、
佐波正一が社長就任し、
1999年(平成11年)には、
ゼネラル・エレクトリックから、
シックス・シグマ手法を導入し、
社内カンパニー制を採用。

成熟企業のマネジメントの苦心が伺われる。

そして2005年(平成17年)、
現相談役の西田厚聰氏が社長に就任、
積極経営に転ずる。

大抵の場合、この積極経営が、
功を奏することはない。

そして西田時代から、
不適切会計処理が始まる。

2009年(平成21年)、
現副会長の佐々木則夫氏が、
社長に就任。

リーマン・ショック、東日本大震災。
大きな環境変化と、
家電商品の国際的コモディティ化現象。

売上高は伸ばせない。
経営トップたちは、
歴代の名経営者を意識するはずもないのに、
目先の利益にこだわる。
その結果、不適切な処理が、
全社に広がっていった。

2013年(平成25年)には、
現任の田中久雄氏が社長に就任し、
今回の不適切会計処理露見に至る。

調査報告書は第6章「原因論まとめ」で、
直接的な原因を7つ指摘する。

1.経営トップらを含む
全組織的な関与であった。

2.「見かけ上の当期利益の嵩上げ」を、
目的としていた。
これはコーポレート経営トップ、
さらに社内カンパニーのトップらが、
その目的を有していた事実として、
明らかになった。

3.当期利益至上主義と
目標必達のプレッシャー。

「チャレンジ」と称して、
過大な収益改善の目標値が示され、
その目標達成を強く迫られる。

業績不振のカンパニーに対しては、
収益が改善しなければ、
事業からの撤退を示唆することもあった。

「チャレンジ」のほとんどは、
長期的な視点から設定されるものではなく、
当期または当四半期における利益を最大化する
という観点から設定される目標達成値であった。

4.上司の意向に逆らうことができないという
企業風土があった。

上意下達が厳しい東芝の企業体質が、
「ルールに基づく会計処理よりも、
上司の承認を得られなければ実行できない
という事実上のルールが存在した」

5.経営者における適切な会計処理に向けての
意識または知識の欠如。

信じられないことだが、事実だ。

6.東芝における会計処理基準、
またはその運用に問題があった。

これも驚くべき事実。

7.不適切な会計処理が、
外部からは発見しにくい巧妙な形で
行われていた。

第8章「最後に」で、
第三者委員会はコメントする。
「東芝の多くの役職員にヒアリングを実施したが、
おしなべて、真面目にかつ真摯に
業務に取り組んでいることが窺われた」

全員が真面目で真摯。

実はこれが恐ろしい。

「集団思考」に陥りやすい体質を示すからだ。

利益至上主義と集団思考。
これが東芝粉飾事件の本質だ。

石坂さんや、土光さんが、
生き返って建て直しに取り組むしか、
道はないのかもしれない。

さて、私は午前中、
商人舎magazineのWeb会議。
今回も充実の提案ばかり。

そしてランチは魚盛。
食後に写真。
IMG_6226-5
右からWebコンサルタント猪股信吾さん、
プラージュのSE谷ツ田一成さん、
facebookコンサルタントでもある内田憲一郎さん。
不動産仲介企業の若き社長。

いつも、ありがとう。

その後、東京・小平へ。
第一屋製パン㈱の営業部門への講義。
関東・関西からほぼ全員が参集。

私の講義は3時半から110分ほど。
その後、質疑応答などして、
6時に終了。

それから懇親会。

現場の報告や意見を、
それぞれから聞いて、
さらに質問に答えた。

考えることが多かった。

ドキドキ・ワクワクする仕事をしようよ。
そんな職場にしようよ。
そんな会社にしようよ。

ピーター・ドラッカー教授は指摘している。
「利益は目的や動機ではない。
事業を継続・発展させる
明日のためのコストである」

「企業人自身が利益について
基本的なことを知らない」
ドラッカーはまるで、
東芝の「チャレンジ」の場面に、
同席していたかのようだ。

「そのため彼らが互いに話していることや、
一般に向かって話していることが、
企業の本来とるべき行動を妨げ、
一般の理解を妨げる結果となっている」
東芝の事実上の粉飾の原因は、
ここにあった。

「利益に関して最も基本的な事実は、
そのようなものは存在しないということである。
存在するのはコストだけである」
1994年刊『すでに起こった未来』〈上田惇生訳〉より)

〈結城義晴〉

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