結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年05月03日(火曜日)

63回目の「日本国憲法前文」と『小売業界大研究・はじめに』と朝日新聞「小売業PB戦略」変容の記事

63回目の憲法記念日。

「この国のかたち」を認識・確認するときに、
オサマ・ビンラディン容疑者の殺害が公表された。
国際テロ組織アルカイダ指導者。

「テロ組織の指導者」という表現はちょっと変な感じ。
「テロ組織」なら「頭目」だろうか。

「オサマ」とは朝日新聞の表記で、
読売新聞や日経新聞は「ウサマ」と記す。

米国特殊部隊に殺害されたらしいが、
果たして、テロを撲滅するのに、
殺害という手段が適切なのか。
いや、殺害以外に方法はなかったと考えるのか。

そしてこの一歩が、本当に、
人命を武器とするテロリズムの消滅や終息につながるのか。

これは大津波や大地震よりも厄介な問題で、
原発と同じくらい難解なものだ。

もちろん被災地の復旧・復興・振興は、
ひどく大変な仕事であることに変わりない。

さて「祝日法」は、私たちの憲法記念日の趣旨を、
「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期すること」としている。

東北関東の大津波と大震災を経験した後、
「国の成長を期する」という意はさらに強くなった。

毎年、このことは書くが、
5月3日・憲法記念日は、
11月3日・文化の日と対になっている。

日本国憲法は1946年11月3日に公布され、
その日が文化の日となった。

「公布」とは、公にすること。
「成立した成文の法を公表して、
一般国民が知ることのできる状態に置くこと」。

半年後の1947年5月3日に日本国憲法が施行され、
これが憲法記念日となった。

「施行」とは、実際に法令・規則が効力を発生すること。

ただし1948年7月に同時に公布・施行された祝日法によって、
両日が祝日に制定されたため、
年度別にみると文化の日が、
1回ずつ先行していることになる。

中学のころだっただろうか、
高校時代だったろうか。
日本国憲法前文を全部、暗記した。

社会人になってもずっと、私は覚えていた。

日本国民は、
正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、
われらとわれらの子孫のために、
諸国民との協和による成果と、
わが国全土にわたって自由のもたらす恵沢を確保し、
政府の行為によって再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、
ここに主権が国民に存することを宣言し、
この憲法を確定する。

そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであって、
その権威は国民に由来し、
その権力は国民の代表者がこれを行使し、
その福利は国民がこれを享受する。

これは人類普遍の原理であり、
この憲法は、かかる原理に基くものである。
われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

日本国民は、恒久の平和を念願し、
人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであって、
平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、
われらの安全と生存を保持しようと決意した。

われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を
地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、
名誉ある地位を占めたいと思ふ。
われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免れ、
平和のうちに生存する
権利を有することを確認する。

われらは、いづれの国家も、
自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであって、
政治道徳の法則は、普遍的なものであり、
この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、
他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

日本国民は、国家の名誉にかけ、
全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

ここで重要なところ。
権威は国民に由来し、
権力は国民の代表者が行使し、
福利は国民が享受する。

権威・権力・福利。
現在、その通りになっているか。

さらに私たち日本国民は、
平和と自由を誓った理想主義者であることも、
自覚したいものだ。

ゴールデンウィーク前に、青焼き校正を終わらせたのが、
『店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』(イーストプレス刊)。
5月中旬に発刊予定。

そのあと、ゴールデンウィーク中に取り組んでいるのが、
昨年の『小売業界大研究』(産学社刊)の大改訂。

小売業200社の業績データを全面的に刷新し、
全文にチェックを入れている。

そして、この本の「はじめに」で、
私は日本国憲法を使った。

「私たちの日本国憲法は、
『主権が国民に存することを宣言』しています。

国の基本原理・基本原則を定める日本国憲法は、
まず、国民主権を掲げるのです。
そのうえで、基本的人権の尊重、平和主義の
三つの考え方が謳われています」

「一方、すべての小売業もまた、
この三つの考え方を基盤としています」

「国の主権者である国民に、
一人ひとりの人権を尊重して、
商品とサービスを提供する。
そして、平和の中で、
小売業は繁栄する――」

「あらゆる産業は、
国民生活に貢献するために営まれています。
しかし、とりわけ小売業は、
国民の毎日の暮らしを維持・向上させるために、
最も国民に近いところで日々、活動します。
小売業はそのことに、
最大の存在意義をもつのです」

日本国憲法をかみしめつつ、
小売業・サービス業の意義を、
今一度、確かめたいものだ。

さて、昨日の午後、
朝日新聞の編集委員・多賀谷克彦さんからメールをいただいて、
携帯電話で話した。

東日本大震災後のプライベートブランドの動向。
いわゆる電話インタビュー。

そうしたらもう今朝の朝日新聞・経済欄に記事が載った。
タイトルは「小売り PB戦略強化」
多賀谷さんが署名入りで書いている。

それにしても日刊新聞は速い。
週刊誌や月刊誌となると、
そうはいかない。

もちろんブログもスピーディさにおいては、
日刊新聞を凌ぐ。

多賀谷さんの記事は、
震災発生15分後に対応を始めたイオンの動きから始まる。

その中で、
「本部は、5千品目を超すPB『トップバリュ』の供給について、
各地に指令を出した。
どのPBを、どう被災地に運ぶか。
絞り込んだ生活必需品で、
特別な配送ルートを組んだ」

横尾博・専務執行役の発言。
「大手メーカーの商品とは違い、PBならば、
製造を委託している取引先の被害状況や、
生産余力、物流状況をすぐに把握しやすい。
自社がコントロールできるPBのサプライチェーンが生きた」

これはセブン&アイ・ホールディングスにおいても、同様。

ナショナルブランドは、「買い溜め亡者」の多発によって、
全国的に在庫が払底した。
しかしPBは違う。

CGCジャパンのブランドなど、
それがボランタリーチェーン加盟各社の在庫と物流によって、
結果的に分散型で機能した。

イオンの岡田元也社長も4月14日に見解を披露した。
「商品の開発、製造を地域分散させる必要がある。
被災地、非被災地という地域ごとの状況に
焦点を当てたマーケティングも重要」

多賀谷さんの記事は、この後、
イオンやセブン&アイ、西友ウォルマート、
そしてコープこうべの事例を紹介しつつ、
震災後のPB戦略に変容が見られることを示唆する。

「大手食品メーカーと同レベルの品質管理、検査態勢」、
「NBと同程度の品質で20~30%安い価格帯」から、
「高めではあるが『専門店と同等の味・品質』」へ。
すなわち価格帯と品質の見直し。

最後に、立教大学大学院の結城義晴教授のコメント。
「PB比率は過去3年間に急速に伸びた。
震災を機に、各スーパーともPBの有効性、課題を認識したはずだ。
今後は必需品(コモディティ)の重視や供給体制の見直しが進むだろう」
私へのインタビューを最後に使ってくれた。

多賀谷さんは経済の専門家であると同時に、
流通の専門家でもある。
こんな理解者が増えることは、
業界にとって、本当にうれしいことだ。

もっともっと流通産業レベルの構造や問題点を明らかにして、
鋭い切り口のジャーナリズムを展開してほしいところだ。
もちろん格別の愛をもって。

「国の主権者である国民に、
一人ひとりの人権を尊重して、
商品とサービスを提供する。
そして、平和の中で繁栄する産業」なのだから。

今月の商人舎標語。
「まだまだ、ひとつずつ、
すこしずつ、いっぽずつ」

<結城義晴>

[お知らせとお願い]
5月12日開催のチャリティセミナー
「ひとつになろう! 日本 商人支援プロジェクト」

会場 リーガロイヤルホテル大阪
日時 2011年5月12日(水)
開演 12時受付開始 12時30 ~17時
参加費 15000円

大阪会場は現在、189人のご参加です。
ありがとうございます。
心から感謝します。

こういったチャリティは、あくまでも、
善意によって成立するものです。

大げさに宣伝したり、
その大きさを誇示したりする類のものではないと、
私は思っています。

全力を挙げる。
ベストを尽くす。

しかし、ボランティアは事業ではない。
そこがいい。

本業は「小さな努力で大きな成果」
ボランティアは「大きな努力で小さな成果」
鍵山秀三郎さんの考え方を私なりに解釈したものです。

いつでも、被災者のことを強く思って、
その支援、応援を第一義にする。
それを続ける。

「雨ニモマケズ、風ニモマケズ」の精神です。

私は5月12日大阪でトップバッターとして講演します。
テーマは「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」

このあと、名古屋・福岡・東京で、開催されます。
この1人1人の参加費はすべて、
東日本大震災義援金として、
日本赤十字社に寄付されます。

ご参加のご検討をお願いします。

2011年05月02日(月曜日)

5月の商人舎標語「まだまだ、ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」と『メッセージ』からの「十箇月と一瞬」

Everybody! Good Monday!
[vol18]

2011年第18週、5月第1週。
今週は大型連休期間真っ只中。

年末正月の連休、
お盆の連休と、
このゴールデンウィーク。

小売業・サービス業に関しては、
書き入れ時で超繁忙期だが、
その分、一所懸命に仕事し、
ちょっとずらして休暇を取る。

私がこの世界に入ったのは1977年、昭和52年。

この時点で関西スーパーマーケットは、
年間118日間の休暇を実現していた。

年間は52週、週2日の休みを取るとして、104日。
それ以外に14日間の公休を取ることができる。
もちろん有給休暇。

小売業・サービス業のあり方として、
それも10数店規模の会社がそれを実現させていて、
これは画期的だった。

さて今年のゴールデンウィーク。
東北関東の大津波と大震災から50日を超え、
復旧しつつ復興を視野に入れた歩みが始まった。

それでもまだまだ、現地では、
問題山積。

人々の暮らしの問題が解決していないし、
福島原発は現場の必死の努力にもかかわらず、
長期化することが確定された。

最悪のケースだったチェルノブイリでさえ、
半年で一応の目途を立てた。
残念ながら、フクシマにそれを望むことは難しい。

商売やビジネスも同じ。
一気呵成の改革は難しい。

だから今月の商人舎標語。
「まだまだ、ひとつずつ
すこしずつ、いっぽずつ」

ひとつずつだから、一気に進みはしない。
すこしずつだから、大幅な改善にはつながらない。
いっぽずつだから、長足の進歩は見込めない。

しかし、ひとつずつは、長続きする。
すこしずつは、取り組みやすい。
いっぽずつは、休みなく進むことができる。

結城義晴の最初の単行本『メッセージ』から、
「十箇月と一瞬」

調査・研究とは、
十箇月の妊娠のようなものであり、
問題の解決とは、
ある朝の分娩のようなものである。

多分、毛沢東の言葉だったと思うが、
私たちは、誕生の瞬間ばかりに関心を払い、感動する。
つまり、結果だけを求めたがる。
しかし、十箇月のプロセスとその後の発育・成長にこそ、
本来、意味がある。

人間も組織も、
企業も店舗も商品も、
本来、段階型に成長する。
階段を登るように発展する。

十箇月の停滞に耐えて、
ある、ひとつの階段を登る。
停滞が長く、つらいほど、
登るステージは高い。

ああ、つらい。
ああ長い。
ああ、しんどい。
ああ退屈。

だからこそ
たったひとつのステップアップが
ああ、うれしい。
ああ尊い。

たとえば十箇月の
調査と研究。
一瞬の
問題解決。

この繰り返しが
仕事である。
その積み重ねが
革新となる。 

<第6章「イノベーション」より>

「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」を、
丹念に、飽きることなく繰り返すと、
やがて一気に階段を上るときを迎えることができる。

それをたとえて、
「十箇月と一瞬」と呼んだ。

東日本大震災にも、
「十箇月と一瞬」は生きている。

たとえば十箇月の
調査と研究。
一瞬の
問題解決。

十箇月を妊娠にたとえ、
一瞬を分娩にたとえる。

問題の解決のあり方は、
赤ん坊の誕生に似ている。

5月中旬に発刊される単行本。
『店長のためのやさしい《ドラッカー講座》』
この本の中身も最初の本『メッセージ』に、
基本的な考え方が込められていた。

その『メッセージ』は、
『食品商業』誌や『販売革新』誌に、
毎月毎月、書き続けた巻頭言をまとめたものだった。

ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ、
丹念に丁寧に書いたものの体系が、
この本になった。

現在も、この商人舎ホームページ最下段のボタンに、
「今日のページ」と題して、
『メッセージ』から一文ずつ掲載している。

「今日のページ」の言葉は、
毎日、変わる。

このページを「☆お気に入り」にいれて、
毎朝、覗いてもらうと、
私の考え方の基本が書かれた短い文章を、
繰り返し、日めくりで、読むことができる。

さて、5月に入った。
震災の影響もあって、
例年の5月とは異なる。

しかし、人々の生活サイクルの基調は変わらない。

既に突入しているゴールデンウィークは、
4月29日の「昭和の日」から始まり
5月3日「憲法記念の日」、
5月4日「みどりの日」、
そして5月5日「子供の日」と続く。

さらに偶然にも、
今週の日曜日5月8日は「母の日」。

毎年言うが、
なぜか子供の日と母の日が呼応し合っている。

震災後、家族の絆はさらに強まった。
親と子、兄弟同士、親戚の間。
その中でも母と子の絆は、
特別のものだ。

1週間以上の連休であると同時に、
母と子のための連休。
テーマ資源としてこれ以上、強力なものはない。

5月はその後、1年で最もいい季節のなかで、
人々はのびやかな生活を送る。

「常盤勝美の2週間天気予報」
が、
そのことを書いてくれている。

昨日、沖縄では早くも梅雨入りしたが、
梅雨までの期間、
全国的に人々は生活を謳歌する。

できれば、この「生活の謳歌」を、
被災した人々と共有したいものだ。
小売業・サービス業はそのことに、
主導しつつ貢献したいものだ。

例年のことだが商人舎は今日の5月2日、
臨時休業とした。

みな、帰省したり、連休を楽しんだり。
もちろんホームオフィスよろしく、
家に持ち帰って、仕事もしている。
それでも自由度は歴然として違う。

近い将来、
アメリカの浅野秀二先生の会社JACのように、
ホームオフィス方式の会社にしたいとも考えている。

もちろん知識商人の舎人としてのオフィスは設置して。

このスタイルは大学に似ている。
私は㈱商人舎という会社を、大学のように、
いや、もっと進めて大学院のようなものにしたいと思っている。

中学・高校のような会社や組織もある。
部活や体育会のような会社や組織もある。

それはそれでいいし、否定するつもりはない。

しかし商人舎は、
規模は小さくとも、
大学院のような風土にしたい。

ゴールデンウィークは私たちにとって、
それが実感できる時だ。

アサヒビール元会長の瀬戸雄三さん
が、
日経新聞の「私の履歴書」を書き始めた。
今日は、独立して貿易商「瀬戸商会」を起こした瀬戸さんの父上の口癖。
「金持ちのときは貧乏な顔を、
貧乏な時は金持ちの顔をしろ」。

瀬戸さんにとって、
「この言葉は人生を通して不易なもの」となった。

商人の生き方に通ずる。

では、今週も、
「まだまだ、ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」
Everybody! Good Monday!

<結城義晴>

「ひとつになろう! 日本 商人支援プロジェクト」
会場 リーガロイヤルホテル大阪
日時 2011年5月12日(水)
開演 12時受付開始 12時30 ~17時
参加費 15000円

私は5月12日大阪でトップバッターとして講演。
テーマは「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」

この1人1人の参加費はすべて、
東日本大震災義援金として、
日本赤十字社に寄付される。

2011年05月01日(日曜日)

ジジの不安[2011日曜版vol18]

こんにちは、ジジです。
今日から5月。
よろしくおねがいします。
20110501133033.jpg

おとといのことです。

ボクは、ひるね、
してました。
20110501133047.jpg

春のねむり。
20110501133056.jpg

あかつきを、
おぼえず。
20110501133106.jpg

足も、らくちん。
20110501133117.jpg

全身、リラックス。
20110501133130.jpg
床はちょっと、
かたいけれど。
手も、いちばん、
らくななんじ。
20110501133157.jpg

ねむりがふかくなると、
そりかえってきます。
20110501133213.jpg

これはボクのくせなんです。
20110501133225.jpg

「熟睡」しているしょうこです。
20110501133236.jpg

いつまでも。
20110501133255.jpg

ねていたい。
20110501133304.jpg

目玉はひっくりかえっているけれど。
20110501133312.jpg

やすらかな、ねむり。
20110501133325.jpg

「えっ」
20110501133336.jpg
ボクはなにか、
かんじました。

そして、目が、
さめた。
20110501133347.jpg

ユウキヨシハルのおとうさんでした。
20110501133355.jpg

「なに?」
20110501133404.jpg

そうですか。
ごはんですか。
20110501133437.jpg

ボクは、いつでも、
たべることができます。
20110501133446.jpg

いただきます。
20110501133459.jpg

ごちそうさま。
20110501133507.jpg

よくねたし、
よくたべたし、
ありがとうございました。
20110501133518.jpg

そのあと、ぼくは、
キャリーボックスにいれられた。
おでかけのときに、
はいります。

でも、こんかいは、
なにかへんです。

車にのって、
15分くらい走ったとおもう。

そして、車をおりた。
20110501133543.jpg

ついたのは、
ここです。
20110501133553.jpg

ボクは、ここ、
きらいです。
20110501133603.jpg
まえにも、きたことがあります。

ボクは、じっと、
キャリーボックスに、
はいってました。
20110501133615.jpg

でたくない。
20110501133625.jpg

顔をうずめて、
じっとしていました。
20110501133633.jpg

それでも、むりやり、
ひきずりだされて、
おりにいれられた。
20110501133643.jpg

おりのなかでも、
じっとしていました。
20110501133652.JPG

いったいボクは、
どうなるんでしょう。

<『ジジの気分』(未刊)より>

2011年04月30日(土曜日)

JFケネディ「連帯と分断」、結城義晴「一人の元気よりも、十人の元気。 百人の元気。 千人、万人の元気」

今週から立教の講義が始まった。
他と同様に、3月の卒業式や4月の入学式を中止し、
講義スタートも5月。

しかし私が所属する大学院ビジネスデザイン研究科は、
今週月曜日から講義開始。

今年から私は月曜日に講義をし、
土曜日にゼミをすることにした。

だから今週月曜日は、
夕方6時30分から10時近くまで、
フード&ベバレッジ・マーケティングを講義した。
最初だからオリエンテーション講義。

そして今日は、結城ゼミ。
午後1時から。

すべての行事やイベントが中止、延期となる。
しかし、早く平常に戻したい。
日常、通常に戻って、
前を向いて生きていきたい。

平常、日常、通常。

そう願っている。
被災した人々も、
被災した店店も
被災した企業も、
被災した地域も。

被災者・被災地に対しても、
極めて失礼だし、
その意味で今、一番卑怯で卑劣な行為は、
震災の所為にして何かを成すこと、
あるいは震災の所為にして何かを止めること。

東日本大震災が起こった。
だから改革のスペースが生まれた。
東北関東の大津波と大震災に見舞われた。
だからイノベーションが果たされた。

昨日、ピュリツァー賞のジョン・ダワーさんが言った。
「突然の事故や災害で、
何が重要なことなのか気づく瞬間があります」

「すべてを新しい方法で、創造的な方法で
考え直すことができる
スペースが生まれる」

「震災が来たから、あれはできなくなった」
「震災が起こったから、延期し、その後、仕方なく中止した」
こんな言い訳で、
例えば意義あることや必須のこと、
明日のために必要なことを止めてしまうとしたら、
それは断じて許せない行為だ。

被災後、必死になって復旧・復興に努力している人々にさえ、
本当に失礼なことだと思う。

さて私の立教の研究室も、
今回、移動し、変わった。

その引っ越しは、実は3月16日に行なわれていた。
20110430191904.jpg
被災後、5日目のこと。

ポカポカとした陽気だった。
20110430191651.jpg

しかし私はダウンジャケットを着て、池袋に向かった。
20110430191701.jpg

3月まで私の研究室があった3号館。
蔦の絡まる2階建て。
20110430191711.jpg

扉を開けて中に入ると、
掲示板。
20110430191726.jpg
「結城義晴」のランプを点ける。
20110430191739.jpg

そして軽やかな足取りで、
階段を2階に登る。
20110430191748.jpg

2階通路は、いつも森閑としている。
20110430191756.jpg

私の部屋は3209号室。
3号館の209号室。
20110430191842.jpg

そして3209号室の鍵穴に鍵を差し込む。
20110430191815.jpg

鍵もクラシックで、
私、大好きだった。
20110430191826.jpg

そして私のデスク。
20110430191851.jpg
これでこの部屋ともお別れかと思うと、
感慨深いものがあった。

それから東日本大震災の被害が明らかになっていった。
福島原発の問題が、世界を駆け巡った。

そして今日、4月最後の日。
クラシックな3号館の後ろにそびえたつ近代建築。
20110430191942.jpg

それが新しい研究室のビル。
20110430191954.jpg

第15号館「マキシムホール」
20110430192003.jpg

ビルの左手のエレベーターから上がるが、
その前に研究室の表示がある。
20110430192246.jpg

あいうえお順で、
結城義晴は最後。
20110430192255.jpg
M503号室が私の新しい研究室です。

エレベーターホール。
20110430192304.jpg

マキムホールのご案内がある。
20110430192318.jpg

エレベーターで5階に上がる。
20110430192342.jpg
真下に見下ろす自慢のキャンパス風景。
写真一番下の瓦屋根が3号館。

5階の廊下は、こちらの近代建築でも、
なぜか森閑。
20110430192355.jpg

そして私の部屋。
20110430192406.jpg

前回は3人部屋だったが、
今回は二人。
お相手は平浩一郎教授。
20110430192414.jpg

まだ、引っ越したばかりで、資料が少しだけ。
今年からこちらにも本や資料を置くつもり。
20110430192437.jpg

そして私のデスク。
20110430192446.jpg

しばらくお世話になる。

これから主に、
月曜日の午後、あるいは夕方、
そして土曜日の午後、あるいは夕方、
この新しい研究室のお世話になる。

研究室以外は、
横浜の商人舎オフィス。

通称だが、
「研究室」と呼ぶときは池袋、
「オフィス」というときは横浜。

みなさん、どちらにもおいで下さい。
お待ちします。

さて、私自身の自宅も、
変わった。

今日がその引っ越し。
最近、引っ越しづいている。
ただし、自宅の方は、
「引っ越し」といっても、
仮住まいからの出戻り。

この春から、私にも、
ふたつの新しい「スペース」が生まれた。

スペースこそ、
イノベーションの源だ。
私はそう、思っている。

この新しい気持ちは、
被災した人々と同じだと信じている。

一緒に歩むことを、
あらためて誓いたい。

4月最後の言葉は、
ふたたびジョン・フィッツジェラルド・ケネディ。
第35代アメリカ合衆国大統領。
1961年に大統領就任、
1963年にテキサス州ダラスで暗殺。

「つながっていれば、
できないことはほとんどない。
バラバラなら、
できることはほとんどない」

20世紀生まれの最初の大統領、
カトリック教徒初の大統領、
アイルランド系アメリカ人初の大統領、
そしてピュリツァー賞受賞唯一の大統領。
その著書の名は『勇気ある人々』。

ケネディは、「連帯と分断」を言った。
連帯が生まれてくると、
分断しようとする勢力も、
また生まれる。

元気を出そうよ。
私は言った。
しかしその元気は、
つながってこそ大きくなる。

ひとりの元気よりも。
十人の元気。
百人の元気。
千人、万人の元気。

いま、それが良くわかる。
これを阻止する者は、断じて許さないし、
阻止しようとする者こそ、滅びる。

<結城義晴>

「ひとつになろう! 日本 商人支援プロジェクト」

私は5月12日大阪でトップバッターとして講演する。

会場 リーガロイヤルホテル大阪
日時 2011年5月12日(水)
開演 12時受付開始 12時30 ~17時
参加費15000円
この1人1人の参加費はすべて、
東日本大震災義援金として、
日本赤十字社に寄付される。

2011年04月29日(金曜日)

ゴールデンウィークとジョン・ダワーさんが指摘する「日本社会のしなやかな強さ」

2011年のゴールデンウィークに入った。
東日本大震災後50日目からの大型連休。

無邪気に、
楽しもう
楽しませようと、
呼びかける気にはなれないが、
それでも、
「小さな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望」
それらをまとめて、つづけて、
味わい、実感する日々でありたい。

今日4月29日が昭和の日。
亡くなられた昭和天皇の誕生日。

明日30日は土曜日。
明後日5月1日は日曜日。
ちなみにこの日は労働者の日メーデー。

5月3日火曜日は憲法記念日。
5月4日水曜日はみどりの日。
そして5月5日木曜日がこどもの日。

さらに5月7日は土曜日、
5月8日が日曜日。

だから5月2日と6日に休暇をとれば、
10日間の連休となる。

この大型連休、
誰もが「有意義に生きたい」と考えている。
このことには例外がないと思う。

もちろん被災して、
絶望している人がいるかもしれない。
明日への希望が見えない人がいるかもしれない。
そんな人々にも手を差し伸べる日々でありたい。

嬉しいニュース。
今日、東北新幹線が全線開通。

3月12日の震災翌日、
九州新幹線が全線開通した。
私も何度もユーチューブで歓喜のCMを流した。

[youtubeID:UNbJzCFgjnU]
「ひとつになってくれて、ありがとう」

本来、3月12日こそ、
鹿児島から青森が、
新幹線一本で結ばれる日だった。
それが震災で伸びた。

今日が、その日となった。
いま、九州の端と本州の端がつながった。
「ひとつになろう! 日本」
言葉通りの日本になりたい。

私もチャリティセミナーに参加し、協力する。
「ひとつになろう! 日本 商人支援プロジェクト」
私は5月12日大阪でトップバッターとして講演する。

このチャリティセミナーへの結城義晴のメッセージ。

謙虚に、ひかえめに、真摯に、
被災地の商人を支援したい。

ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ、
被災地の商業の復旧と復興を応援したい。 

それがやがて必ず
地域の振興につながることを信じたい。

いつも、そして、ずっと、
被災地の商人と心をひとつにしていたい。

支援し、応援し、心をひとつにすることによって、
この社会が、商人の役割を正しく認識するに違いない。
それを願いたい。

「雨ニモマケズ 風ニモマケズ
雪ニモ夏ノ暑サニモマケヌ 丈夫ナカラダヲモチ
慾ハナク 決シテ瞋ラズ イツモシヅカニワラッテヰル
ホメラレモセズ クニモサレズ
サウイフモノニ ワタシハナリタイ」
合掌。

会場 リーガロイヤルホテル大阪
日時 2011年5月12日(水)
開演 12時受付開始 12時30 ~17時
参加費15000円
この1人1人の参加費はすべて、
東日本大震災義援金として日本赤十字社に寄付される。

さて今日の朝日新聞「オピニオン」。
アメリカの歴史家ジョン・ダワーさんが、
インタビューに答えている。
マサチューセッツ工科大学名誉教授。
『敗北を抱きしめて』でピュリツァー賞受賞。
この著書は太平洋戦争の敗戦による破滅から、
立ち直る日本人の姿を描いたもの。

「米国社会はいまも
日本に対するシンパシーであふれています」
ほんとうに嬉しい言葉だ。

ダワー教授は、日本人の「しなやかな強さ」を強調する。
「第2次世界大戦が引き起こした人命の損失と物的破壊の規模は、
日本の国内に限っても今回の震災よりすざましいものでした」

「すべてあわせると40万人から60万人が空襲で犠牲になった」
「数百万人が家を失いました」
「外地から引き揚げてきた数百万人には、
ほとんど職がありませんでした」
私の父、祖父、叔父たちもみな同じだった。

「日本の国富の4分の1から5分の1が失われました」

「第2次世界大戦の前には、
1923年の関東大震災がありました。
首都を直撃し、日本の政治・経済の中心が壊滅し、
10万人以上が犠牲になりました」

「この二つの歴史経験が私たちに教えるのは、
日本人は悲劇から新しい創造的なものを
創り出すことができる
ということです」

では、これから、どうするか。
「一国に対する同情的感覚が、
これだけ広がったのはめったにない」

「この大震災が世界の共感を引き付けていること」を、
生かしなさいとダワーさんはアドバイスしてくれる。

「この感覚があるうちに他国との連帯を」築け。

ダワーさんは日本人の特性を説明する。
「私が注目しているのは、日本のいたるところで、
助け合いやコミュニティの感覚が生まれていることです」

「そこにあるのは宮沢賢治の『雨ニモマケズ』にあるような、
質実で献身的な精神です」

「90年代のバブル経済の崩壊以来、
日本は自信を失って、心理的に暗かった。
しかし今回の危機で明らかになったのは、
日本社会のしなやかな強さでした」

福島原発の問題にも言及する。
「被爆国である日本が、
原発事故という形で新たに放射能の恐怖に襲われたことは、
これは歴史の悲劇的な巡りあわせとしか言いようがありません」

「広島、長崎の経験を踏まえて、
核軍縮の議論を日本が引っ張ってきたように、
今回の危機を活かして、
エネルギー政策でも指導的役割を果たしてほしい」

ヒロシマとフクシマ。

日本国民にとって、
いや世界の人々にとって、
歴史の上でも最も悲劇的なことのひとつ。
それが私たち日本に起こった。
この事実は変えられない。

ならばそれを、逆に生かさねばならない。

「突然の事故や災害で、
何が重要なことなのか気づく瞬間があります」
これがダワーさんの最も重要な指摘だと思う。

「すべてを新しい方法で、創造的な方法で
考え直すことができるスペースが生まれる」

「関東大震災、敗戦といった歴史的瞬間は、
こうしたスペースを広げました。
いま、それが再び起きています」
私たちには、イノベーションのスペースがある。
この事実を正面から見定めること。

「しかし、もたもたしているうちに、
スペースはやがて閉じてしまうのです」

「結果はどうなるかはわかりませんが、
歴史の節目だということ」

私たち自身が、
歴史の節目をしっかり意識しなければならない。

ドナルド・キーンさん、
ジョン・ダワーさん。

私たちには心強い味方がいる。

良いゴールデンウィークを。

休む人、遊ぶ人、楽しむ人。
その休み、遊び、楽しみを、
つくる人、与える人、守る人。

どちらにも有意義な時でありますように。

<結城義晴>

2011年04月28日(木曜日)

ドンキ・DCM・島忠の「復興関連業種株の上昇」とドナルド・キーンさんへの「おかえりなさい」

今朝、㈱イースト・プレスの編集者・中西庸さんに、
青焼きゲラの校正を渡して、終わった。
昨夜は半分徹夜。

しかし、いつものことだが、
「やったー」という感じ。

5月中旬発刊の新しい単行本。
「店長のためのやさしい《ドラッカー講座》」20110428120847.jpg
「ドラッカーは小売り・サービス業を応援している!」
これがサブタイトル。

読めば読むほど、ピーター・ドラッカー先生は、
小売業や外食・サービス業を主役にして、
論を展開しているのではないかと思えてくる。

まあ、ゴールデンウィークの前にひと段落。
ちょっと、ほっとした。

ドラッカー学会代表の上田惇生先生、
セブン&アイ・ホールディングスの伊藤雅俊名誉会長、
ファーストリテイリングの柳井正会長兼社長。

三人のみなさんに、
本当に短い期間に、
ご推薦文までいただいて、
これにも、感動と感謝。
ありがとうございました。

上田先生にはわが盟友・川勝利一さん、
伊藤さん、柳井さんの場合にも、
それぞれの秘書の方々には、
たいへんお世話になった。

名前を出してお礼したいところだが、
ご迷惑をおかけするのでそれは差し控えて、
心より、お礼申し上げます。

さて、今日は、東日本大震災から49日目。
被災した地域で「四十九日の法要」。

黙祷して、心よりご冥福を祈りたい。
復旧から復興、振興へと、
「ひとつずつ、すこしずつ、いっぽずつ」
すべての人とともに、歩を進めることを誓いたい。

今朝の政府閣議後の記者会見。
海江田万里経済産業大臣は、
この夏の最大使用電力の削減目標を、
「企業、家庭とも一律15%程度に緩和」
と発表。

さらに、松本龍環境大臣は、
夏の「クールビズ」の期間延長を発表。
例年より1カ月前倒しにして5月1日からスタートし、
終了時期も、例年の9月末から1カ月延長して10月31日にする。
都合、2カ月の期間延長で、
6カ月・半年間の長期クールビズとなる。

松本環境相は蓮舫大臣を引き合いに出して、
「『節電ビズ』と呼んでください」と述べるとともに、
「国民が生活のあり方を変える」重要な取り組みだと説明。

これは商売にとっても、
大きな「テーマ資源」である。

一方、ホテル業界では、
営業縮小の動きが顕著。

日経新聞の記事。
「プリンスホテルや藤田観光は一部ホテルの宿泊業務を休止」
「帝国ホテルは施設内の飲食店の営業時間短縮」
宿泊業務休止までするとは、超異例の出来事。

スーパーマーケットで生鮮食品を扱わない。
コンビニで弁当・惣菜を品揃えしない。
ドラッグストアで薬品を止める。

それらと同等のことをしなければ、
ホテル業は破綻するところまで追い込まれた。

「日本経済新聞社の調べでは、
3月の都内の主要19ホテルの平均客室稼働率は、
49.8%と過去20年間で最低」

これも、日経新聞のマーケット総合欄の株価の動き。
「株式市場で小売銘柄の株価について二極化が鮮明」

「ホームセンターなど日用品を低価格で販売する銘柄が上昇する一方、
百貨店など高額品を扱う企業の株価は低迷」

日経500種平均株価に見る小売株の震災後の株価騰落率。

上昇率1位はドン・キホーテで+5.4%。
「すでに震災前水準を上回り、18日には年初来高値を更新」

第2位はホームセンターのDCMホールディングス+4.8%。
第3位は、島忠で+0.1%。

あとはマイナスになる。
第4位は、ファーストリテイリング-0.7%。
第5位、イズミ-2.0%。
第6位、H
20リテイリング-2.1%。

阪急阪神百貨店グループだが、
阪食を筆頭に、ここはガンバっている。

第7位が、ローソンの-2.7%。
そして意外だが、第8位がニトリで-4.6%。

第9位に、イオンが入っていて、-4.9%。
第10位がファミリーマートの-6.3%。

以下、セブン&アイ・ホールディングスは-12.3%。
ユニーは-8.7%。
しまむら-9.4%。
ヤマダ電機も-12.1%。

下落率が大きいのは、
高島屋-17.8%、
三越伊勢丹ホールディングス-19.9%、
丸井グループ-21.2%。

「広い意味での復興関連業種」の株価が上昇。
小売業の復興関連業種とは、
ディスカウントストアやホームセンター。

私は株式を持たない主義だが、
その意味で今回の震災に対して、
株価はわかりやすい反応を示した。

昨日聞いたロブサンドルジ・ガルタさんの話。
㈱チンギスハーン旅行社長。
同社は、モンゴルへの旅行代理業を主な業務にする。

震災直後から5日間に、
約2000人のモンゴル人が急きょ、
モンゴルに帰国した。

現在、そのうち半数の1000人くらいが、
日本にもどってきている。

留学生などが新学期の始まりとともに。

少しずつすこしずつ、
エスカレートしすぎた風評被害も、
常識的なところに落ち着いてくる。

読売新聞の巻頭コラム『編集手帳』が、
ドナルド・キーンさん(88歳)を取り上げた。
日本文学研究の第一人者にして米国コロンビア大学の名誉教授。

「震災のあと、キーンさんは
日本国籍を取得して永住する決意を固めた」
その心は、「日本人と一緒に行動したい」

「日本という国がなかったら、
私は果たしてまともな人間になれたかどうか…」

コラムニストは、
「震災後の苦難を共にする決断は、
愛する国に寄せた究極の愛情表現だろう」と感動する。
そして続ける。

「ようこそ」か。
「おかえりなさい」か。
それとも「ありがとう」か。
遠来の友を、
何と言って迎えよう。

私だったら絶対に、これだ。
「おかえりなさい」

<結城義晴>

2011年04月27日(水曜日)

セブン&アイ鈴木敏文会長の震災と「社会的使命に対する自負」

ずいぶん暖かくなってきた。
6月の陽気などと、
気象庁は伝える。

東北関東大津波大震災で被災した人々にとっては、
寒さに震えることがなくなるのは、
少しはいいことか。

その東北にも桜が咲いた。

「さくらさくらさくらさくら万の死者」
<岩手県大船渡市・桃心地(日経俳壇より)>

日経新聞『春秋』が取り上げた俳句。
選者の黒田杏子さんの寸評は「国民的鎮魂歌」。

暖かくなっても、
寒い日が来ても、
桜が咲いても、
桜が散っても、
私たちは、
忘れてはいけない。

いつも、心を一つにしていなければ。

日経新聞『大機小機』。
コラムニストのパピ氏が批判的に指摘する。
「メガバンクは頼りになるのか」

「東日本大震災後の混乱のさなかに、
メガバンクの1行がライフラインの一つをマヒさせた」。
みずほ銀行のこと。

「その結果、経済・社会の血流は滞る。
カネの流れをスムーズにするのが使命である銀行が、
大事なときに決済機能を混乱させた責任は重い」

さらに続ける。
「このところ銀行のサービス低下に、
不満を感じる機会が多い」

例えば「銀行の窓口で公共料金を支払おうとすると、
申込書を書けという。
コンビニでは、
そんな面倒なことを要求しないで受け取ってくれる」

さらに「このところ、おカネの流れは市場を通じたほうが効率的」とも。

「伝統的に経済・社会のインフラとしての役割を果たしてきた金融」の、
「国民の信頼」が失墜している。

「3メガ体制に集約され、
日本の金融システムは安定性を増して、
世界に雄飛するのかと期待していたのに、
むしろ寡占の弊害が気になる」

「寡占の弊害」。
どの世界にもある。

私はだから、
目指すは「大木もあり雑草もある森のようなもの」と、
たとえている。

そしてパピ氏は、最後に言う。

「社会的使命についてかつての自負を失った」

「社会的使命に対する自負」
小売りサービス業にとっても「以って自戒とすべし」である。

さて昨日の日経新聞「企業欄」。
何度も書くが、朝日や読売は「経済欄」で十把一絡げ。
しかし日経はそれを細分化する。
「経済・企業総合・企業・振興中小企業・投資財務・マーケット総合・商品」
この細分化の品揃え力が、日経の「強み」。

メディアでいえば、情報力、取材力がなければできない。
だから、トータルとして日経の経済記事は強い。

その企業欄のインタビュー「大震災と企業 復興への道を聞く」に、
セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さんが登場。
「自粛気分断つ刺激策を  消費税増税は時期尚早」の見出し。

今回の震災対応。
「対策本部を立ち上げたのは地震発生から4分後」

早かった。

「重要なことは商品をきちんと店に供給すること。
メーカーと交渉する際も、
交渉窓口をグループで一元化する取り組みをさらに強化した」

「グループ全体の配分を臨機応変に対応したことで、
他社に比べて円滑に商品供給できた」
セブン&アイのグループ力を強調する。

だから東北・北関東を地盤とするヨークベニマルに、
重点的に配分した。

原発問題の消費動向への影響。

「東日本の需要が旺盛な一方、
被災していない西日本のほうが沈滞している」

セブン-イレブンは39の都道府県に出店している。
だから良くわかる。

「例えばゴルフ場はガラガラだが、
映画館は人であふれている」
不思議な現象にもみえるが、
低価格で短時間のレジャーが、
好まれている。

鈴木さんは力を込める。
「過度な自粛を戒め
消費を盛り上げなくてはいけない」

朝日新聞の『天声人語』が言った「救国の散財」。
「消費を活性化し国内総生産を支えなければ、
被災地への応援とならない」

そのために何をするか、どうするか。
「小売業として矢継ぎ早にイベントを打ち出すことで、
消費者心理を刺激していく」

これでもかとイベントを打ち出す。
ゴールデンウィークの私たちの基本姿勢につながる。

しかしそれは「自分の顧客心理の刺激」を、
意図していなければならない。

「セブン-イレブンでは、
3月26日からおにぎり100円セールを実施」
急きょ、東日本だけで展開。

「あえてこの時期にやったのは、
東日本ではモノが足りないのでは、
という心理に陥っていたからだ。

やれる手は数多くある」

被災地復興に対する企業の役割。

「小売りの立場からは、仮設住宅の入居者に対して、
商品をどう届けるかが非常に重要な問題だ」
この地域では宅配も視野に入ってくる。

小売業や流通業、サービス業は、
社会になくてはならない機能を、
いつも見ていなければいけない。

「対応策としてインターネットと実際の店舗を融合させること」

そうは言っても高齢者が多い。

だから、「誰でも簡単に操作できる端末などを、
仮設住宅に設置することを検討している」

最後にちょっと、ご自慢。
「他社に先行し
ネットスーパーを軌道に乗せたノウハウを生かす」

「店舗の商品構成も変わってくる」
これは重要な指摘。

「近くて便利な店を標榜してきたコンビニでは、
例えば(生活に必要な)ドンブリや鍋、釜を置くことを、
考えなくてはいけない」
コモディティ消費の見直しを意味するし、
業態やフォーマットの品揃えが、
変わってくることを宣言している。

例えば今、セブン-イレブンの品揃えが変われば、
スーパーマーケットも総合スーパーも、
ドラッグストアも、ファストフードも、
品揃えやメニューが変わってくる。
「もともとコンビニはそういう店だった」

この鈴木敏文さんの発言には、
「社会的使命に対する自負」があふれている。

メガバンクからATMの主役の座を奪った。

いまや日本人は、私も含めて、
銀行よりもコンビニのATMを利用する人や頻度が、
圧倒的に多い。

公共代金の支払いなども、
コンビニが金融専業業態を凌いでいる。

自らの「社会的使命」をどうとらえるか。
「自分は何屋か」

それは狭い範囲でもいい。
自分にしかできないこと。
自分が一番強みとすること。

それが社会的使命と直結している企業や店が、強い。
幸せでもある。

<結城義晴>

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人
海外研修会
2026年USA研修会
国内研修会
商人舎チラシ研修会

東北関東大震災へのメッセージ

商人舎の新刊
前略お店さま

チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
2026年9月
日月火水木金土
« 8月  
 12345
6789101112
13141516171819
20212223242526
27282930 
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.