結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年02月26日(日曜日)

WBCの「エリート」たちと美しい商人の「人並み以上」

春が近づく。

今、球春。

ワールドベースボールクラシック。
略して、WBC。
第5回が開催される。
WBC

野球の世界一決定戦。
日本は第1回と第2階に優勝している。

その日本代表の壮行試合が、
宮崎県で行われている。

オールスターゲームは年に一度、
パリーグとセリーグの、
それぞれのオールスターが闘う。

このWBCの日本代表は、
さらにそこから厳選された選手が集まる。

アメリカ大リーグからも、
ダルビッシュ有や大谷翔平が参加する。

今年、メジャーに移籍した吉田正尚も参加する。
ボストンレッドソックスでは、
オープン戦で四番を打った。

野球ファンにとって、
まさに夢のようなチームが編成される。

佐々木朗希が162キロの直球を投げた。
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村上宗隆が凄いスイングを見せた。
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壮行試合はのんびりとしたものだが、
一人ひとりの一挙手一投足は、
最高のレベルにある。

3月9日に中国との対戦が決まっている。
さらに10日には韓国戦。

サッカーやラグビーのワールドカップ同様に、
日本中が盛り上がるだろう。

楽しみだ。

さて、朝日新聞「折々のことば」
2月22日の第2653回。

ときどき商売に役立つことばがある。

売上げを伸ばすという意味で
会社を大きくするよりも、
会社が
よりよくなっていくことのほうが

何倍もいい。
(佐藤友則)

「”よりよく”とだけ考えていれば、
仕事ができる/できないという
社会一般の基準はどうでもよくなり、
昨日と、一週前と比べてどうかしか
気にならなくなる」

佐藤は広島県の書店経営者。
「町のよろず屋」のような店だ。

「店員が気持ちよく働け、
地域の”とまり木”みたいな
店になればいい」

これも商売のあり方だ。

一方、大きく鳴る小売業もある。
上野光平著『美しい商人 醜い商人』
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「成功した小売業には共通点がある」

①創業者のもつ欲望が人並以上に大きい。

上野さんにしか書けないことだ。
中内功さんも、堤清二さんも、
伊藤雅俊さんも岡田卓也さんも。

「人並み以上」が大事だ。

②そのような過重な欲望の重みをささえる
優れた能力と人並以上の努力がある。

ここでも「人並み以上」

③商売が好きで、
商売を伸ばすために工夫をこらし、
新しいことを試み、また良い意味で
やり手であり商売上手である。

「やり手であり商売上手」

④勉強家であり、
同業や異業の優れた仲間を友として持ち、
情報収集に熱心である。

勉強家、優れた仲間、情報収集。

⑤創業者の指導力と家族の団結を基礎に、
独立経営としての体質を固め、
自助努力と自主性を大切にする。

独立経営、自助努力、自主性。

⑤多くの他人を雇用する
企業化の段階に入ってからは、
優れた人づかいをする。
人間的な働きがいのある場づくりが
巧みである。

「人間的な働きがいのある場づくり」

⑥常に人間としての
心のよりどころを求める。
宗教か、商人の社会的機能の確信かが、
それを満たしている。

上野光平の観察力とリアリズム。
宗教か、商人の社会的機能の確信か。

私は後者であってほしいと願う。
上野光平

「成功した美しい商人の共通点は、
ある程度まで洋の東西を問わない
普遍性がある」

そのなかで日本の美しい商人の特性。

「優れた仲間を友として学びあい、
独立経営の自主性をかけがえなく大切にし、
人間的な従業員との関係を好み、
そして心のよりどころを
損得を超えたところに求めようとする」

「人並み以上」は、
WBCの選手たちにも当てはまる。

「人並み以上」を追い求めることに、
真摯であってほしい。

それをはじめから諦めたり、
敬遠したり、恥ずかしがったり、
あるいは揶揄したり、皮肉ったり、
批判したりする態度は、
避けたい。

「人並み以上」は美しいのだ。

〈結城義晴〉

2023年02月25日(土曜日)

アメリカで知った「チャットGPT」と「人間活動の心構え」

3年ぶりにアメリカに行って、
一番驚いたこと。

ChatGPT。 l_UVRY4OODWJMGJA646MIV64S77U_1

ニューヨークに在住する藤森正博さんは、
今、ネバダ州リノで通訳の仕事をしている。

サンフランシスコには、
車で5時間かけて会いに来てくれた。

一緒にゴルフをした。
ゴルフは私が教えた。
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食事もした。
藤森さんは私に、
ChatGPTを教えてくれた。
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私は文章を書くことを、
仕事のひとつにしている。
だからこそ衝撃を受けた。

日本の新聞では「チャットGPT」と表現する。

アメリカの人工知能(AI)の研究所「OpenAI」が、
研究して開発した「文章を書くAI」である。

〈ChatGPTのアイコン〉
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質問の単語や言葉を打ち込むと、
AIが情報を集め、言葉を選んで、
結構、流ちょうな文章で回答する。

藤森さんは英語で質問し、
チャットGPTは英語で答えた。
それを翻訳ソフトで見せてくれた。

回答の英語は普通の文章で、
翻訳はちょっと変だったが、
それでも意味はよくわかる。

「Chat」はスマホやパソコン上で、
リアルタイムで対話すること。

GPTは、
「Generative Pre-trained Transformer」の略。
直訳すると、生成的・学習済み・変換機。

昨2022年11月30日に公開されて、
2カ月で使用者が1億人に達した。

TikTokは9カ月、
Instagramは2年半かかった。

その便利さによる普及スピードは、
驚くばかり。

たとえば、
「流通」「未来」「予測」と言葉を入れる。
同じように「流通の未来を予測する」など入れる。
するとAIが膨大な情報を集めて、
それを整理し、言葉を選んで、
長い説明の文章を書いてくれる。

内容はごくごく普通のものだが。

マスコミならば、
普通の力量の記者は必要がなくなる。
プレスリリース丸写しのライターは、
確実に職を失う。

大学や大学院のレポートや論文も、
成績がBやCのものはどんどん書きあがる。

ただしオリジナリティはない。
教授や先生が出した質問の言葉を、
みんなが同じように打ち込んだら、
同じレポートが出来上がってしまう。

実務家もレポートを提出するとき、
これをつかえばわけなく文章ができる。

小説家や作家も使うかもしれない。
脚本などでは大いに活用されるだろう。

懸賞小説なども、
出品作が増えるだろう。

大学教授の仕事のひとつは、
提出された論文やレポートの、
真の価値を見出すこと。
そして著作権違反を犯していないかを、
見きわめること。

それが難しい仕事となる。

朝日新聞「天声人語」がこれに触れた。
2月23日の記事。

葦沢かもめ作『あなたはそこにいますか?』
日経新聞の星新一賞で優秀賞を受賞。

東北大学で生物学を学び、
京都大学大学院へ進学した医科学博士。
民間企業のデータサイエンティスト、
趣味でAIを使って小説を執筆。

葦沢かもめは、現実に、
AIを創作の一部に取り入れている。
締め切り直前の3週間で101編も書いた。
受賞作はそのうちの一つだった。

天声人語のコラムニスト。
「日々もだえながら小欄を書く身とすれば、
心穏やかでいられない」

同感だ。

葦沢かもめの作品の中で主人公が語る。

「創作活動で大事なのは
何かを生もうとする意志であり、
確率論からAIがつなげた単語の列は
『小説における表現ではない』
『何でもいいから、楽をしたい。
それは創作活動に対する心構えの欠如だ』」

同感だ。

コラムニストも続ける。
「拍手を送りかけた時、
葦沢さんが執筆の過程を
ネットで公開しているのを見つけた。
目が丸くなった。
まさにこのセリフ、
AIの力を借りて書いたそうだ」

チャットGPTに打ち込む、
質問のユニークさが内容のレベルをつくる。

ChatGPT。
使いようによっては、
仕事は楽になる。

しかし楽をして考えたことは、
その人自身の成長を促しはしない。

藤井聡太王将と羽生善治九段が、
王将戦を闘っている。
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これまでのところ2勝2敗。
そして第5戦が今、闘われている。

藤井はAIを駆使して、
天才的な棋力をもつに至った。

レジェンド羽生は低迷していたが、
最近はAIを使って復活した。

しかし彼らが本当に強いのは、
AIを使った後の力だ。

AIを自分の成長に役立てた。

ChatGPTもそうなるに違いない。

何でもいいから、楽をしたい。
それは人間の活動に対する、
心構えの欠如だ。

〈結城義晴〉

2023年02月24日(金曜日)

ウクライナ戦争1年の「伝えなければ、伝わらない」

美しかったウクライナの地。
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誰も望まなかった戦闘が始まってから1年。
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ウラジーミル・プーチンと、
忖度する者たちだけがそれを考えていた。

彼らはすぐに終わると思い込んでいた。
2014年のクリミアの時と同じように。

このクリミア危機が起こったのも、
2014年の2月26日だった。

ロシア連邦軍の武装勢力は、
クリミア半島の主導権を握った。

この直前にクリミアで住民投票が行われた。
ロシア連邦に併合されるか否か。

83%の投票率で96%が賛成票を投じたとされる。
しかしウクライナも、アメリカとEUも、
「ウクライナ憲法と国際法への違反」と非難した。

ウクライナ大統領はこのとき、
ペトロ・ポロシェンコだった。
菓子メーカーのオーナーで、
「チョコレート王」とも呼ばれる人物だった。

しかし約1万人のクリミア・タタール人が、
国外へ移住した。

プーチンはこのときと同じだと錯覚した。

しかし今度は、
ウォロディミル・ゼレンスキーが、
大統領に就任していた。
こちらは元喜劇俳優だった。
zerensuki-ゼレンスキーは奮闘した。

そして1年。

NATOを巻き込んで、
戦闘は続く。

そのゼレンスキーの言葉。
「私たちはここにいる。
私たちはウクライナを守る」

「私たちは、
子どもたちが生きていくのを
見届けたいのです」

1863年につくられたウクライナ国歌。
「ウクライナは滅びず」

ウクライナはいまだ滅びず
その栄光も 自由も
同胞よ
運命は
我らにふたたび微笑むだろう
我らの敵は
太陽の下の露の如く消え
我らは国を治めよう
我らの地で

魂と身体を捧げよう
我らの自由のために
そして示そう
我らがコサックの子孫であることを!
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朝日新聞「折々のことば」
第2655回。

伝えなければ、
伝わらない

(山室信一)

「私たちは先人たちを
つっかえ棒にしている。
ものごとを考える際の
言葉や概念を受け継ぐことで」

「その一方で、
存在していない後代の人々からも
眼差(まなざ)しを向けられる。
あの時あの地にいた人たちは何をし、
何をしなかったのかと問われる」

「このように、
引き継ぎつつ伝えることが、
歴史を懐として生き、
それを担う一人一人の責務だ」

『アジアの思想史脈』から。
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山室は1951年、熊本生まれの法政思想家、
京都大学名誉教授。

伝えなければ、伝わらない。
コミュニケーションの原則だ。

ゼレンスキーはそれを、
必死でやり続けている。

商売も仕事も、
伝えなければ、伝わらない。

顧客に、取引先に、
仲間たちに、部下に、
上司に。

伝えなければ、
伝わらない。

〈結城義晴〉

2023年02月23日(木曜日)

天皇誕生日の司馬遼太郎の「衝突の経験」

天皇誕生日の祝日。

10代のころは生意気盛りで、
天皇を軽視するところがあった。

今は、日本に天皇制は必要だと考えている。

ただしその必要性については、
国民一人ひとりの理解が、
もっと深まることが求められる。

だから天皇誕生日も祝日でいいと思う。
参賀に行くつもりはないが。

1960年生まれの今上天皇は8つ年下。
学年で言えば7つ下だ。

象徴天皇としてのお役目を、
よく理解していて、素晴らしい。ph2-r0502-birthday3
イギリス王室などと比べると、
その在り方は凛としていて、
日本の天皇にふさわしい。

その天皇誕生日。

ずっと家にいて、
自室でぼんやりと、
原稿など書いている。

パソコンに向かってはいるが、
つまりは構想などを練っている。

司馬遼太郎さんが、
『坂の上の雲』を書いていた時の話。

1970年7月、いつものように
みどり夫人と散歩に出かけた司馬さんは、
交通事故にあった。

みどりさんの『司馬さんは夢の中1』
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「むこうから走ってきた車に撥ねられて、
道路脇の大きな石に思いっきり頭をぶつけた」

眉間を切るほどの怪我で、
失血はあったが幸いに軽傷で済んだ。

むしろ後遺症はみどりさんのほうにあった。
見舞客や電話の応対で声が出なくなり、
事故の瞬間の衝撃が心に残って
震えることもあった。

司馬さんはみどりさんに言った。
「ひょっとして、頭、打ったのは、
俺ではなくて、お前だったんじゃあないのか」

みどりさんは本の中でまとめる。

「事故に遭ったとき、司馬さんは、
ずっと『空海』のことを考えながら
歩いていたのですって。
それにしては、私とあんなに喋り、
あんなに笑っていたのに、
いったい司馬さんの頭の仕組みは、
どうなっているのでしょうね」

司馬さんほど立派なものではないが、
ぼんやりと書いているというのは、
こんな状態のことだ。

その司馬さんは車だけでなく、
いろいろな人とぶつかっている。

1951年11月の新聞記者時代。
福田定一記者(司馬さんの本名)は、
取材記者の一人として、
京都府水産試験場にいた。

昭和天皇は京都巡幸の際、
この水産試験場を訪れた。

エッセー『権力の神聖装飾』より。
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「天皇は背をまげ、陳列ケースに
度のつよい近視のめがねを近づけて
説明にうなずいておられた」

この時代、取材記者もかなり接近できた。
司馬さんは昭和天皇の間近にいた。

「私は元来ボンヤリしている人間だから、
なにかほかのことでも考えて
天皇に注意をはらわなかったのかもしれない」

説明を聞き終わった昭和天皇が、
方向転換しようと、急に体の向きを変えた。

「そこに私が物体として立っていた。
当然、ぶちあたった」

突然のことによろけた司馬さん、
おもわず、言った。
「失礼!」

昭和天皇は左に90度の旋回運動中で、
よろけることなく、
表情の変化も見せなかった。

「私には拝謁の経験はないが、
衝突の経験はある」
(週刊朝日2015年6月26日号より)

面白い。

さて朝日新聞「折々のことば」
第2652回。

本当に面白い本は、
どのコーナーに置いてよいか
わからない本です。
〈元大型書店長・福嶋聡(あきら)〉

「リアルな書店の魅力は、
思いも寄らない本と出会えること」

「売上げデータに縛られ、
売れ筋ばかり並べれば
書店はみな同じ表情になる」

福嶋は憂う。

今や本はアマゾンで買うもの。
本屋の存在感はどんどん薄れている。

消費財の商品もネット販売が進む。
だから売れ筋ばかり並べるのではなく、
店独自の商品が欲しい。

それがポジショニングである。

「未知の発想はすぐには分類できぬもの。
大型書店は“欲望や格差の増幅器”ではなく
“社会の変革器”であるべきだ」
(朝日新聞デジタル2月14日、「本屋ないと本当に困る?」)

司馬遼太郎の書著は、
小説であって、歴史書であって、
啓蒙書であって、哲学書である。

書店もどこにおくのがいいのかわからない。

私がぼんやり書こうと思っているのも、
そんなものだ。

天皇誕生日にぼんやりと考えた。
夜まで書き終わらなかったけれど。

〈結城義晴〉

2023年02月22日(水曜日)

ウォルマート’22決算6113億ドル(79.5兆円)の「戦略の貫徹」

今日はオンライン会議の日。

朝から㈱True Dataの役員会。IMG_15233
ビッグデータのマーケティングを展開する。
一昨年の12月19日に、
条件が整って株式を公開することができた。

しかしあくまでも「ゼブラ企業」を目指す。

利益追求と社会貢献。
この一見、相反するかに見える理念を、
両立させようとする企業のことだ。

まさに両利きの経営。

ゼブラはシマウマのこと。
利益と貢献の両立が、
白黒模様のシマウマに喩えられた。

だからシマウマ企業は、
他社と協調しながら持続可能な成長を目指す。

一方、ユニコーンは一角獣で、
ユニコーン企業は、
得意分野でオンリーワンを目指す。

私も「パブリックな企業」になろうと、
役員会などを通じて言い続けている。

だからTrue Dataは、
利益を追い過ぎることはないし、
儲かり過ぎということはない。
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一取締役としては、ときに、
もう少し利益を出してほしいとさえ思う。

しかし人財に投資し、
システムに投資して、
社会へのお役立ちを優先する。

それでいいと思う。

ベンチャーに特有の驚くほどの急速成長は、
ゼブラ企業のTrue Dataには似合わない。

それでもお陰様で、
順調で堅実な成長ぶりだ。

シマウマも持続的な成長をする。

午後は万代知識商人大学の打ち合わせ。
第8期が3月からスタートする。

人事部マネジャーのお二人。
石川慎也さん(左)と海野正敏さん(右)。
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そして亀谷しづえ商人舎ゼネラルマネジャー。

2016年の3月に、
日本のスーパーマーケット産業初の、
企業内大学として始まった。
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2023年度は第8期。

今期になって、
海野さんが受講する。

さて注目のウォルマートの本決算が、
発表された。

1月末が締め。

私も㈱商人舎を2月1日に発足させた。
1月末締めにしたかったからだ。

ウォルマートnews|
’22通期営業収益6113億ドル・6.7%増/過去最高収益更新

2022年度の売上高は6059億ドル。
1ドル130円換算で78兆7645億円。
前年比6.7%増。

サムズクラブの会員費収入が、
54億ドル(7030億円)で8.3%増。

これらを合計して、
営業収益は6113億ドル、
79兆4677億円。

80兆円に届く。

しかも6.7%の増加である。
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営業利益は204億ドル、
2兆6556億円で21.3%減少。

純利益は1168億ドル、
1兆5184億円で14.6%減少。

ウォルマートには3つの部門がある。

①米国内ウォルマート部門の売上高は、
4206億ドルで6.9%増。

1月31日現在の国内店舗数は4716店。
前年は4739店だったから、
23店舗の減少。

それでも売上げは6.9%伸びている。
eコマースがけん引している。

営業利益は206億ドルで4.5%減少。

2年間では13.0%の伸びで、
これは547億ドルの成長。
7兆円を超える伸びを見せた。

ウォルマートUSは2年間で、
イオンやセブン&アイの、
1年間の総売上高に近い伸びを示した。

しかも店数は減り続けている。

②サムズクラブの売上高は、
843億ドルで14.7%増。
こちらは600店規模で店数は変わらず。

営業利益は19億6400万ドルで13.1%減少。

しかし既存店売上高は10.5%増。
会員費収入は8.6%増加。

③ウォルマート国際部門の売上高は、
1010億ドルで0.02%増のほぼ横ばい。
営業利益は29億6500万ドルで21.1%減。

ただし為替の影響を除くと、
売上高は9.0%増、調整済み営業利益は8.9%増。

毎週約2億4000万人の顧客。
20か国に1万500店舗。
世界中で約210万人の従業員。

プレジデント兼CEOのダグ・マクミロンは凄腕だ。
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「私たちの勢いにワクワクしています。
ウォルマートチームは
今年を締めくくる強力な四半期を達成しました。
昨年直面した在庫とコストの問題に対処するため、
迅速かつ積極的に行動したことで、
過去2四半期は好結果となりました。
第3四半期についた勢いはさらに増し、
今も続いています」

ウォルマートは、
COVID-19パンデミックの間に、
凄い決断をし、
大きな変身を遂げた。

『コロナは時間を早める』の中にも書いた。
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そしてそれを’22決算の数字で裏付けた。

今、最も重要なことを貫徹する。
それが真の戦略である。

そして戦略は数字に表れてこなければ、
戦略たり得ないものなのだ。

〈結城義晴〉

2023年02月21日(火曜日)

ヤオコーの新しい「AI自動発注システム」と「自働発注」考

朝6時、アクアラインを抜けると、
朝焼け。

京葉工業地帯の煙突が見える。

今日は風が強い。
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日は射しているものの酷く冷たい風。
そんな凄く寒いなかでワンラウンド。

時差ぼけを治すにはこれにかぎる。

商人舎の社内ラウンド。
山本恭広編集長と、
亀谷しづえゼネラルマネジャー。

昼すぎに終わって、
再びアクアラインへ。

予想通り酷い内容。
しかしこれでぐっすり眠れば、
時差ぼけは完全に治癒する。

海ほたる。
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左手にはかすかに富士の姿。
右手には東京の街。
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2時過ぎに横浜商人舎オフィスへ。

そして仕事。

そこでご報告。
商人舎米国研修。
ベーシックコースin Las Vegas。
5月9日~15日。
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お陰様で、
満員御礼。
受付を終了します。

次は10月のスペシャルコース。
ニューヨークを中心に、
もう一つ、重要都市を訪れます。
現在、検討中。

ポストコロナ時代の米国小売業。
どうなっていくか。

それをお見せします。

ご期待ください。

さて商人舎流通スーパーニュース。
ライターの梁川憲太郎さんが頑張ってくれて、
絶好調です。

ライターの磯村ゆきさん、
それからもちろん山本編集長と、
編集スタッフの鈴木綾子さん。
さらに亀谷ゼネラルマネジャー。

私以外の商人舎の執筆陣が、
総がかりで記事を書いています。

ヤオコーnews|
需要予測に基づく自動発注システムを全店で稼働

昨2022年11月から全182店舗で、
新しい自動発注システムを稼働させている。
特長はAIによる需要予測。230221_yaoko

約30種類のコーザルデータを分析する。
「Causal」は形容詞で、
「原因となる、因果関係の」の意味。

つまり店頭の売上げに影響を与え、
その原因となる要因、要件のこと。

特売やプロモーション、時事的な変化、
天候、催事と歳時、競争環境など、
モノが売れていくときには、
さまざまな要素が存在する。

商品そのものと価格だけではない。

その要因を「コーザルデータ」という。

ヤオコーのシステムは、
これらのうち重要な30種類のコーザルデータを、
AIにディープラーニングさせて、
売上げ需要を予測する。

そして「自動発注」する。

月刊商人舎では、
2018年12月号で特集を組んだ。
「自働発注」考
AIは「自動発注」を改革するか? 201812_coverpage-448x631

この号の[Cover Message]
人手不足は深刻だ。だから現場の作業を削減せよ。オペレーションを改革せよ。その結果、「自動発注システム」が導入される。その仕組みには、最新の人工知能(AI)が活用されるはずだ! いや、AIは優秀な人間のように「考える」ことができるから、これまでよりも良い発注制度ができ上がるに違いない! しかし、ちょっと待て。そのこと自体を疑ってかからねばならない。AIとはそもそも何なのか。AIにはどんな種類があるのか。どんな機能があるのか。AIを小売業の発注業務に取り入れることができるのか。理論的に、現実的に。実際に多くの企業で「自動発注」は採用されている。そして成功する場合もあれば、失敗する場合もある。それはまた、なぜなのか。――本誌の結論を明かそう。人間とコンピュータ、あるいはAIとの協働、すなわち「自働」こそ、これから求められるシステムの本質である――。

ヤオコーでは、システム導入後の効果として、
発注業務に要していた時間を、
約3時間から約25分へ約85%短縮できた。

在庫を約15%削減できた。

従来のヤオコーの自動発注システムは、
イレギュラーな需要変動には対応していなかった。
棚割システムとの連携もなかった。

そこで熟練担当者が一定の時間をかけて、
発注業務を行っていた。

ヤオコーの新システムは、
自動化率を従来の約65%から約98%に向上させた。

棚割システムとの連係によって、
特売や商品入替を考慮した発注量が決定され、
在庫と納品量の削減が実現した。

店舗での品出し作業も軽減された。

それでも「自動」と「自働」の比率や関係性は、
ヤオコー独自のものだろう。

ヤオコーの社員やパートタイマーだから、
ヤオコーの「自動発注」は最適化される。
そして作業時間の短縮ができる。

たとえばトレーダー・ジョーならば、
主な店内作業は3種類しかないから、
その自動発注システムは、
シンプルでも効果が絶大なものとなる。
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ヤオコーはヤオコーのシステムを、
つくったのだ。

そして人が関与する余地は、
ゼロにはならない。
それが商売というものだ。
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より良い効率を求めるときには、
必ず「自働」となる。

そしてどれだけの「自働化率」となるか。

それがその企業の、
そのフォーマットの特長となる。

〈結城義晴〉

2023年02月20日(月曜日)

幾時代かがありまして/店にともし火つけました

Everybody! Good Monday!
[2023vol⑧]

2023年第8週。
2月第4週。

一月、往ぬる。
二月、逃げる。

2月は速い、短い。

そして今週金曜日の2月24日。
ロシアのウクライナ侵攻から1年。
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現地の人たちには、
長い1年だったに違いない。

ブチャの虐殺は忘れてはいけない。
マリウポリ製鉄所の死闘も,
ヘルソンの奪回も。

2月12日の日経新聞。
「詩探しの旅」
詩人の四元康祐さんが書く。

「ゆがんだ想像力」

「昨年2月、ロシアが
ウクライナに侵攻したとき、
まっさきに思ったのは
ロシアの詩人たちだった」

その一人が、
マリア・ステパノヴァさん。
Мария_Степанова,_поэтесса

「ある詩祭で一度会っただけだが、
威風堂々という言葉が似合いそうな
知性と教養の持ち主だった」

「あのマリアなら、
抗議の声を上げずにはいられないだろう。
誰よりもシャープでパワフルな言葉で」

「だがその代償は生やさしいものではあるまい」

4月、四元さんは恐る恐る彼女の名前を
ネットで検索した。

すると有名な映画俳優の動画が飛びこんできた。

見出しは、
「ジェレミー・アイアンズ、
マリア・ステパノヴァの
『プーチンの想像の産物としての戦争』
を朗読する」

「いま抵抗すべきは、
ひとりの男の
歪(ゆが)んだ想像力の支配に対してだ。
それは私たちを内側から捕らえ、
私たちの夢や日常や未来を、
力づくで支配しようとする。
私たちはそれから自由にならねばならない。
この瞬間もウクライナでは
命懸けの戦いが続いている。
理性の独立を守る戦いが、
すべての家庭とすべての人の頭のなかで
繰り広げられているのだ。
そこでも、ここでも、
私たちは抵抗しなければならない」

「老俳優の口から聴こえてきたのは、
紛れもない、マリアの言葉だった」

ロシアの詩人も闘っている。
ひとりの男の歪んだ想像力の支配に対して。

私たちも共闘しなければならない。
たったひとりの男の歪んだ想像力と。

やっかいなのは世界を見渡すと、
そんな男が一人ではないことだ。

民主主義国のほうが少ないという、
2023年の世界の現状と、
私たちは闘わねばならない。

ヨーロッパが生み出したデモクラシーと、
それ以外の地域の価値観とを、
それこそトレードオンしながら。

幾時代かがありまして
茶色い戦争ありました
幾時代かがありまして
冬は疾風吹きました(中原中也)

それでもともし火つけました
店にともし火つけました

二十四節気の雨水は、
農耕を始める季節だ。

今、ウクライナとロシアに、
「光の春」が訪れるときでもある。
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今週は木曜日が天皇誕生日の祝日である。
そして来週金曜日は桃の節句。

店も売場も春に向かって、
華やいでくる。

その店と売場に、
明るい光を灯したい。

ちいさな喜び、
ささやかな幸せ、
明日への希望。
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それが私たちの仕事だ。
それが私たちの役目である。

では、みなさん、今週も、
売場に希望の灯を灯そう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

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