結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年08月14日(金曜日)

「創業100年の長寿企業」の蛻変とイノベーションを思う

野菜が高い。 

ジャガイモやタマネギなど、
卸売価格で昨年の約2倍にまで値上がり。

東北や北海道の天候が回復しないと、
この高騰は野菜全体に広がる。

東京都中央卸売市場8月第1週の青果物市況は、
1日の平均入荷量は4574トン。
これは前年同期比2%減。

品目別にはダイコン、ジャガイモ、ニンジン、ピーマンなど。
原因は、産地の天候不順。
野菜の発育も遅れている。

ジャガイモは北海道産が出遅れた。
タマネギも9月になると北海道産がでるが、
このまま天候が回復しなければ、数量は不足したまま。

2009年8月10日、仙台管区気象台の発表。
「東北地方は、梅雨明けが判断できないまま、
秋への移行期に入った」 

収穫の遅れや不作による価格の高騰は深刻化しつつある。
「水準としては一昨年並み」という市場関係者の声があるが、
昨年に比べると、全体でほぼ3割高。

比較的安値のキャベツ、レタス、ハクサイなども、
長雨による日照不足で8月の作柄は悪い。

従って、ジャガイモ、タマネギ、ニンジンなど根菜類に加えて、
キャベツなどの葉茎菜類にまで、値上がりが広がる。

そこでイオン、イトーヨーカ堂、ダイエー、ユニーなどなど、
続々と野菜の値引き販売を展開。 
ローカルスーパーマーケットも、それに続く。

そこで農水省は、規格外野菜の出荷要請を検討。
曲がったキュウリ」など、見栄えや大きさが規格にあわず、
通常出荷されない野菜の出荷を生産者に要請する方向で検討に入った。

規格外の野菜が出荷されれば、2004年以来のことになる。
2004年は台風が相次いだ。
そしてレタスやキャベツは5倍まで上昇した。

今回とは直接、関係ないが、
規格外の一部を「規格内」にして流通させれば、
野菜はもっと安くなるはず。
そして農家の生産性はもっと高くなるはず。

さて、東京商工リサーチ調査の「長寿企業」が話題を呼んでいる。
お盆の時期でもあり、今日はこのお話。

東京商工リサーチ社は倒産企業の調査に定評がある。
それが2005年から「創業100年を超える企業」を調べている。
今年は、全国で2万1066社。 

東京都が第一位で2377社。
第二位、大阪府、
第三位、愛知県、
第四位、京都府。
しかし全企業数に占める割合は、
京都と山形が2.6%と最も高い。 

最も古いのは寺社建築工事の「金剛組」。
大阪府にある。
創業は飛鳥時代の578年で、1431年。
聖徳太子が四天王寺建立のため百済から招いた宮大工が始祖という。
2006年に倒産し、高松建設グループで再出発。
資本金3億円、小川完二代表取締役社長。

二番目に古いのは、いけばなの「池坊華道会」、京都府。
587年創業の華道の家元で、いわば独占企業。

三番目は、「西山温泉慶雲館」。
705年創業の山梨県の旅館。

四番目も城崎温泉の旅館「古まん」。
717年創業の兵庫県の会社。

「100年以上の長寿企業」は調査対象の約1%。
明治以降に創業した企業が約82%。
私が注目したのは、業種別。
小売業・卸売業が9960社で最多。 

東京商工リサーチが分析する「長続きする方法」。
①本業重視
②身の丈にあった経営

これに対して、「ホリエモン」こと堀江貴文がブログで発言している。
選挙というと、亀井静香との闘争を思い出すが。

「企業そのものが長生きして、社会的に意義があるのか?」
「あるいは、株主や従業員にとって意義があるのだろうか?」

私は、企業も人間も「長寿」には大いに価値があると思う。
しかしただ長寿ではいけない。
社会に貢献して長寿であること。

伊那食品工業の塚越寛会長の「年輪説」は、
説得力がある。 

木の年輪は、毎年毎年、必ず、外側に輪がつくられる。
その幅は、広い年もあれば、狭い年もある。

ただ、必ず外側に、年輪が刻まれる。

企業も、同じことだ。

しかし、企業には「蛻変」が不可欠だ。
会社には、皮を脱ぎ捨てるときが、必ずやってくる。

トヨタも初めは、豊田佐吉がつくった豊田自動織機という会社だった。
この会社の「自動車部」が独立して、トヨタ自動車になり、
現在の世界最大の自動車会社となった。

そして古い皮を抜け殻にして脱ぎ捨てるときには、
新しい皮が用意されていなければならない。

企業は「蛻変」しつつ、長寿となる。  

日々、小さくて、ゆっくりとした変革を続け、
時期が来たら、蛻変する。

もっとも、先の金剛組や池坊華道会などが、
こんなイノベーションを続けてきたかどうかは知らない。

100年続くには、少なくとも、
創業者を含めて三人の優れた人物(イノベーター)が、
別の時代ごとに登場しなければならないだろう。

例外として、偉大なる創業者の遺産を、
だらだらと、少しずつ消耗して、
100年に至る会社があるかもしれないけれど。

<結城義晴>  

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