結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2010年02月02日(火曜日)

百貨店の個店売場拡大策とダーウィンの『種の起源』

2月1日、雪が降った。  
夕方から、霙になり、
夜半にかけて雪に変わった。
東京や横浜では初雪。

2日の今日、起きてみたら、
雪は止んでいた。

子供や犬でもないのに、
少しがっかりした。

昨日から、プロ野球はキャンプイン。
12球団監督のコメントで面白いもの。
日経新聞のスポーツ欄から。
最近はこの欄でも日経が丁寧な取材をしていて、
面白い。

中日ドラゴンズ落合博満監督。
「プロ野球選手がやることは一つしかない。
競争に勝ち残れるかどうかだ」  

私と同年のユニークな監督だが、
いつも正鵠を射ている。

オリックス・バッファローズ岡田彰布監督。
「選手たちには自己満足でいいと言った」  

昨年末に、中日の落合も、
選手に対して、同じようなことを言っている。
「自分のことだけ考えろ」  

この二人の監督は、プロの何たるか、
リーダーのあり方の如何を知っている。

優勝はできなくとも、必ず、
面白い展開を見せるに違いない。

一方、読売ジャイアンツ原辰徳監督。
「今年のテーマは『原点』。
基本に戻って足元を固め、
チームプレーの尊重を確認したい」  

同じ神奈川県人。
私の教え子が原監督の後輩で東海大相模にいるから、
あまり辛口コメントはしたくはないが、
はっきりいってつまらない。

優勝はするかもしれないが、
プロとして面白い展開は期待できない。

プロ野球監督も、
面白いコメントを求められるようになった。
それは一つの自己表現である。

実務家も店舗も、自己表現は必要だろう。
それが顧客にどう伝わるか。
言葉ではなく、考え方における自己表現。
それが店舗や売り場や商品になる。

顧客は、知識商人の主張を買ってくれるのだ。
だからその表現力は重要項目になる。

さて、百貨店大手5社が昨日、
1月の既存店ベースの売上高を発表した。
これはとてもいいこと。
百貨店業態自体、衰退期にはいったなどといわれているが、
しかし、世間に自己の実態を表現しようとしていることは、
高く評価しなければならない。

その数値、5社のゾーンは、
前年同月比マイナスの0.5~7%に入っている。

大丸がマイナス0.5%、
伊勢丹がマイナス0.8%。  

この2社が悪い中で好調。
松坂屋が3.5%減、高島屋は6.3%減、三越が7.0%減。
こちらは不調組。

こうみると、ホールディングカンパニーやグループの力は、
ほとんど関係ないことがわかる。

大丸と松坂屋はJ・フロントリテイリング傘下。
三越伊勢丹ホールディングスは伊勢丹と三越。
そして高島屋は、2011年4月、
阪急・阪神のエイチツーオーリテイリングと経営統合する。

しかし、百貨店においては、
統合して、一つの方針をとったら、
そのグループの前年対比売上高が、
他を圧するというわけにはいかないらしい。

つまり統合のメリットは、
営業面では現れにくいということ。

もっぱら管理面のメリットしか出ない。
アメリカのシアーズ・ホールディングスが、
シアーズ・ローバックとKマートを統合したが、
どちらも衰退プロセスにあって、
何のメリットも得られないということに似ている。

小売業の産業化・大規模化には、
二つの方法論があった。  

故田島義博先生が書いている。
ひとつは、店舗大型化。
もうひとつが、チェーンストア化。  

店舗大型化政策をとったのは百貨店。
チェーンストア化をとったのは、他のすべての業態。

だから百貨店の成長戦略の基本は、個店の大型化しかない。
ホールディングカンパニーのもとに、
売上げスケールを大きくしても、
それは百貨店の魅力を拡大することにはつながらない。

それが、昨日の百貨店5社の1月売上高発表にも表れた。

ちなみに1月の下落幅が少なかった理由は、
第一にバーゲンセールや福袋売れ行きが好調だったこと。
第二に、モデレートプライス商品の一部が売れたこと。
すなわちノンコモディティに需要があること。
顧客の視点がそちらに向いたこと。

しかしこれは、それぞれの百貨店の個店の魅力が、
他を圧したというわけではない。

他を圧するためには、
紙一重の違いを、
他者に比べて圧倒的な魅力の差異に、
表現し直す。  

百貨店商売の極意はここにしかない。

「一九世紀の人、チャールズ・ダーウィンは、
一八五九年出版の『種の起源』の中で、こう言っている」
『メッセージ』(結城義晴・㈱商業界刊)より。  

「進化は、生存競争の自然選択が起こす。
環境に最も順応した者が生き残り、種を存続させ、
そうでない者が死に絶える」  

これはもはや知れ渡っている。
しかし私は、こちらのほうが大事だと思っている。

「生存競争は、最も近い種の間で、最も激しい。  
同じ餌をめぐって闘うからだ。
ここでは、ごく小さな違い、
つまり普通よりもちょっと優れていることが、
生存のための決定的要素になる」  

プロ野球や百貨店経営の世界では、
まさに「差異が価値を生む」。
個店は、自分のことだけ考えて、
ごく小さな違いを、
他を圧する差異に変える。

うわべだけの「チームプレー」や、
他人のサル真似よりも、
このほうが、よほど魅力的だ。

昨日は、一日中、横浜の商人舎オフィス。
訪問者あり。

㈱サンライズ代表取締役社長・福寺誠一さん(左)と、
リテール営業部長・光安泰文さん(右)。

森永製菓のグループ企業で、アイスクリームの卸売業を展開。
提案型供給をしていて、面白い。
勉強になった。

それから産学社の編集者・新垣さん。

もう一息です。

雪は降ったが、すぐ溶けた。
今年の春は、意外に近い。

<結城義晴>  

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