結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年07月07日(木曜日)

七夕の期待感とディスカウントストアづくりの条件、そしてコーネル・ジャパン最終講義

七夕です。

東京地方は、あいにくの曇り空。
朝はパラパラと小雨模様だった。

まことに残念なことに、
天の川は見えないかもしれない。

それでも七夕となると、
朝からロマンティックな気分。

いい一日になりそうだという期待感がわく。
この期待感こそ、七夕のメリット。

さて、今朝の日経新聞の記事。
「ディスカウント店拡大」の見出し。

イオン、セブン&アイ・ホールディングス、
そしてダイエーの取り組みを概括した。
ただしこの記事中、ダイエーの場合は、
ビッグ・エーの関西進出を取り上げていて、
内容は異なる。

この記事で触れるべきものではないと思う。

イオン、セブン&アイのディスカウントストアと、
ビッグ・エーは明らかに異なる業態。
しかも1980年から30年以上もかけて、
173店舗にまで増やしてきた小型店タイプ。
これは一定の成果を上げている。
問題はイオンとセブン&アイ。

私は、ディスカウントストアは、
新店で利益が出ること
が、
条件だと言い続けている。

すなわち、既存店の廃物利用で、
1年目に何とか利益が出るというのでは、
絶対に長続きはしない。
フォーマットとしての標準もできない。

イオンは前向きだ。
8月に新会社イオンビッグを設立する。

別会社にして、
会社ぐるみで徹底したローコストを目指さねば、
ディスカウントストアはできない。

そのうえで、ディスカウントこそ、
お客を喜ばせる唯一最大の方法論であることを、
信じ込んだ人間だけで会社を運営する。
たとえ石もて追われても、
「ディスカウント命」というくらいの会社にしなければならない。

その意味では、イオンビッグの試みはまずは正当。

この会社で展開するのが「ザ・ビッグ」
現時点で、イオン・グループ全体で、
約110店のディスカウント型店舗を展開している。
年商は約2000億円。

これを2013年度には約2倍の200店、
年商約5000億円に増やす計画。
店名も「ザ・ビッグ」に統一していく。

品揃えは通常の総合スーパーから3~4割絞り込む。
イニシャルコストを抑え、
人件費などオペレーションコストを削減し、
20~25%安く販売する。

重要な点は、ディスカウントストアは、
シングル・フォーマット経営戦略であること。

一方、セブン&アイは、
イトーヨーカ堂で「ザ・プライス」の出店を再開。
今年度から3年で10店程度出店し、
既存店と合わせて約20店とする。

「ザ・プライス」は2008年8月から始め、
2009年7月までに10店ほどつくった。
不調の総合スーパーの業態改革策。

もちろんセブン&アイほどの図体になれば、
ディスカウント部門を持つことのグループメリットもある。

だからその意味での再開は理解できるが、
はたしてこの企業グループの体質に合うのかは疑問。

日本のディスカウント型スーパーマーケットで成功を見ているのは、
オーケーやCGCジャパンのビッグハウス
北海道アークスのビッグハウスは、
粗利16.2~16.3%、税前利益3.2%の収益構造を持つ。
こちらは新店でも利益を出すことができる。

それが重要な点。

ディスカウントストアのチェーン化は、
すでに方法論が確立している。

その方法論を、
如何に、どこまで、
徹底できるか。

ここに焦点がある。

一時的に個店の収益改善などするという発想だったら、
初年度は利益が戻っても、
すぐに以前よりも低収益に逆戻りする。

さて昨日、今日の2日間、
コーネルRMPジャパンの7月講義。
この震災で3月、4月の授業を延期したため、
秋にその補習が控えているが、
本来のカリキュラムでは、
7月の授業が最後となる。

講義会場は今回、
東京日本橋の㈱国分の別館会議室。

国分は創業300年。
演壇の横にそのマークが記されている。
「国分、300年ぶんのありがとう。」
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はじめに座学の最終講座となる今月の授業で
何を学ぶのかを副学長がガイダンス。
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第一講座は、諸江幸祐さんによる「有効な戦略としてのM&A」。
諸江さんは㈱YUMEキャピタルの代表。

ゴールドマンサックス証券時代、
流通専門アナリストとして何度も第1位に輝いた人。
私が最も信頼するアナリストの一人。
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アークスとユニバースの合併というホットな話題があり、
まさに、時宜を得た講義となった。
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M&Aの基本的な考え方や基礎知識を、
丁寧に講義してくれた。
ここまでわかりやすく説明できる人は、
そうはいない。

しかもスーパーマーケットのケーススタディを、
数字を交えて展開してくれた。
それがとてもよかった。

第2、第3講座は櫻庭周平さんの「長期経営計画づくり」。
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コーネル・ジャパンは最後に、
受講生が自社の長期計画を作成し、
修了課題とする。

そのガイダンスを含めて、
講義していただく。
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二時限、180分の講義だが、
それでも足りないくらい。

充実した講座だった。
授業終了後、帝国ホテル「光の間」へ。
新日本スーパーマーケット協会の懇親会に合流。

日本チェーンストア協会会長の清水信次さん、
日本生活協同組合連合会前会長の山下俊史さん、
新日本スーパーマーケット協会会長の横山清さん、
オール日本スーパーマーケット協会会長の荒井伸也さんが勢揃い。
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85歳でお元気な清水さんを励ましたら、
逆に励まされてしまった。
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㈱スズキヤ社長の中村洋子さんと、
㈱リウボウストア社長の茂木信太郎さん。
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㈱阪食社長の千野和利さん。
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㈱マルト商事社長の安島浩さん。
東日本大震災に被災し、
フクシマ原発被害にも見舞われた。
しかし、安島さん、本当に健闘している。
心から支援を誓って、
固い握手。
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㈱紀ノ国屋ファウンダーにして、
協会副会長の増井徳太郎さん。
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小西酒造㈱社長の小西新太郎さん。
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中締めは、山下さん。
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関東一本締めで、決まり。
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中締めが終了してから、
コーネルRMPジャパンの交流が本格化。
第2期生の㈱成城石井社長・原昭彦さんと、
第3期生のランドローム・ジャパン副社長の村越淳司さん。
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コーネル・ジャパン3期生関西チームの面々。
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そして最後に壇上をお借りして、
コーネル・ジャパンそろい踏み。
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なんだかすごい集団になってきた。
うれしい限り。

私の「七夕の期待感」は、
コーネル・ジャパンのこの集合写真に表れた。
(続きます)

<結城義晴>

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