結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2011年09月19日(月曜日)

日本アクセス田中茂治の「なくてはならない卸」

Everybody! Good Monday!
[vol38]

Good MorningやGood Nightがあるのだから、
Good Mondayがあってもよいはず。

そんなことで始めた月曜日のご挨拶。
“Good Monday!”

今年1月第1週から数えて、
38回目になります。

9月第4週。
先週末の土曜・日曜から続いて、
今日は祝日の「敬老の日」で、
三連休。

新聞朝刊の一面看板コラム。

朝日新聞『天声人語』は、
「暑さ寒さも彼岸まで」で秋分の日の話、
読売新聞『編集手帳』は、
ジェットコースターと内閣支持率の話。
毎日新聞『余禄』は、
「東京・両国国技館」の栃東の優勝額の話。
<しかしなぜこの『余禄』の今日のコラムは、大相撲まで到達しながら、
そこにある「年寄り」という役職に気がついて、それに言及しないのだろう>

その中で、日本経済新聞『春秋』。
アメリカの女優ベティ・デイビスの言葉を引いた。
「年をとるのは、弱虫にはできない」

「一癖も二癖もある悪女を演じてずぬけた女優」と評する。
「新藤兼人・私の十本」(立花珠樹著)に紹介されていた逸話。

このコラムは「弱虫にはできない……」から、
話が「作家・吉村昭のささいなこだわり」に移っていくが、
私は「年をとる」が大事だと思う。

「年をとるのは、弱虫にはできない」とすれば、
「弱虫は年をとれない」となる。

年をとっていくと、
いろいろなものを見、
いろいろなことを知る。
いろいろなことを経験し、
体験する。

それらに耐えなければならない。

辛いことばかりで、
だから弱虫は年をとれない、となる。

もちろんベティ・デービスは女優だったから、
年をとる醜さをさらすことができる女優は、
「弱虫ではない」といいたかったのか。

いや、この発言をすること自体そうだが、
年をとるとは、自分の矜持を確かにすることなのだろう。

ベティ・デービスは自分の女優としての「かわいさ」を知っていて、
あえてそれを誇示して見せたとも考えられる。

年をとると、「かわいらしさ」を取り戻す。
それは人間の本質に戻っていくからだと思う。

かわいい年寄り、
うつくしい年寄り。

するどい年寄り、
かしこい年寄り。

私の父母は、85歳。
私は59歳になった。

「年をとるのは、弱虫にはできない」
この言葉を父母に贈ろう。

第38週の今週は、
「敬老の日」から始まって、
火曜、水曜、木曜が平日。

そして金曜日の23日が祝日の「秋分の日」。
秋分の日は「彼岸の中日」で、
前後3日間が彼岸会。

だから明日の20日からお彼岸に入り、
来週月曜日に彼岸が明ける。

今週は一連の彼岸週間でもある。

こういった大きな風習やイベントがあるときの商売は、
たいてい、やることが決まっていて、
全力を挙げて、仕事に打ち込めばいい。

まさに「疾走せよ、疾駆せよ」
今月の商人舎標語。

さて、日経新聞の『私の課長時代』に、
日本水産社長の垣添直也さんが登場。

東京水産大学を出てから、日本水産に入社し、
13年間、捕鯨船勤務だった。

その時に経営のすべてを学んだ。

「駕籠かきの教訓」ではないが、
鯨を捕って、鯨油をつくる仕事をしながら、
経営の意思決定やマネジメントを学んでいた。

シケが迫る南極海で、
鯨を捕ることそのものの意思決定に関して、
船団長と論争していた。

「ここで究極の状況下での判断に直面」。
船団長から「極限での判断力の大切さ、
決断するリーダーの責任の重さを教わりました」

日本水産という会社の良さ、すごさが、
この言葉に出ている。

日経MJの『底流を読む』。

このブログではお馴染みの白鳥和生さんが書く。
白鳥さんは現在、日本経済新聞社消費産業部次長。

タイトルは「50年迎える問屋無用論」。
林周二著『流通革命』発刊から50年。
「現在問屋を通過している消費財中の相当部分は、
メーカーから巨大小売り連合の倉庫などへの直卸形態へ移行する」

その結果、「問屋機能は大幅に排除されるだろう」
これが林の指摘。

しかし私は、思う。
そうなったともいえるが、
そうではなかったともいえる。

白鳥さんは「問屋」に対して二つの提案。
第一は、「ROIを考えた販促策を提案できる力」
そのために「顧客ID付きなどのPOSデータを活用・分析し
クロスMDなどを推進できる人材の育成が求められる」

第二は、「物流・情報システムを活用したローコストオペレーション」。

中小卸の生き残りには「ラックジョバー」への道も提案。

最後に日本アクセス社長田中茂治さんの言葉、
「なくてもいい卸、あってもいい卸から、
なくてはならない卸を目指す」

しかしこの田中さんの言葉、
「卸」や「問屋」に限ったことではない。
「会社」や「店」そのものに当てはまる

「なくてもいい小売り、
あってもいい小売りから、
なくてはならない小売り」

「なくてもいい店、
あってもいい店から、
なくてはならない店」

「なくてもいいメーカー、
あってもいいメーカーから、
なくてはならないメーカー」

「なくてもいいメディア、
あってもいいメディアから、
なくてはならないメディア」

問屋無用論は、
どうも卸売業界全体に、
「被害妄想」というトラウマを与えてしまったようだ。

三菱食品最高顧問の廣田正さんは、
入社と同時に『流通革命』が発刊され、
地獄に突き落とされた気分だったが、
直後に米国から帰国した先輩が、叫んだ。
「廣田君、あのアメリカでも問屋が生き残る道があったよ」

廣田さんはここから出発して、
2兆円を超える「菱食」を作り上げた。

林周二の『流通革命」とは、
製造業、卸売業、小売業の社会的機能が、
転換を遂げ、新しい流通が生まれることを、
示唆したものだった。

その新しい流通を成し遂げた者だけが、残った。
残ったものは、巨大な「残存者利益」を享受した。

いまも、そうだ。

こんなに大きなイノベーションは今後、ないかもしれない。
しかし持続的なイノベーションを成し遂げる者だけが、
今後も生き残る。

そして、こうなるに違いない。

かわいい会社、
うつくしい会社。

するどい会社、
かしこい会社。

企業も店も、
問屋もメーカーも、
メディアも。

「敬老の日」
そんな思いが強い。

では、みなさん。
そして、父母へ。

Good Monday!

<結城義晴>

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