結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年08月17日(月曜日)

甲子園準々決勝の楽しみ方と第2四半期実質GDP0.4%減

Everybody! Good Monday!
[2015vol33]

2015年第34週。

日本中の短いお盆休みが終り、
夏は終焉に向かって、
最後のきらめきを見せる。

Weekly商人舎の日替り連載、
「月曜朝一・2週間販促企画」でも、
夏のスポーツ観戦の楽しみに、
売場で対応せよと、提案する。

甲子園は、準々決勝。
第97回全国高校野球選手権大会。

1日に勝ち残った8チームが登場、
ベスト4を争う。

何度も書いているが、
高校野球はこの準々決勝の日が、
一番楽しめる。

今夏は関東勢が4校、
東北と九州がそれぞれ2校ずつ残った。

強豪揃いの関西や中部、
中四国のチームが敗退した。

珍しい展開だ。

第一試合は、
九州国際大学付属高校と、
早稲田実業高校。
福岡対西東京。

どちらも早稲田大学出身の監督。
九州は楠城徹監督で、小倉高校出身、
早稲田4年のときの主将で捕手。

その後、プロではライオンズに進み、
西武の時代にはヘッドコーチ、スカウト。

一方の早実の和泉実監督は、
早実から、やはり早稲田大学の捕手となった。
山倉和博(巨人)、金森栄治(西武など)、
應武篤良(早稲田大学監督)など、
名選手のあとの捕手。

今回の早実には、
清宮幸太郎というスターが登場。
父はラグビーの清宮克幸。

九州国際の4番打者・山本武白志内野手も、
そのホームランのアーチは、
あの田淵幸一(阪神)のそれに似ていて、
多分、将来、プロになる。
父親は山本功児(巨人など)で、
こちらも親子鷹。

第二試合は、
東海大学付属相模高校と、
花咲徳栄高校。
神奈川対埼玉。
関東のつぶし合い。

東海大相模には小笠原慎之介がいる。
間違いなく今年のドラフトの目玉投手で、
生きた、いい球を投げる。

第三試合は、
仙台育英高校と、
秋田商業高校。
こちらも宮城と秋田の東北つぶし合い。

私は秋田商業の小さな大投手・成田の、
ピッチングフォームが大好きだ。
168㎝63キロ。

東北勢の甲子園優勝は、
まだ、ない。

第四試合は、
興南高校と関東第一高校。
沖縄対東東京。

関東第一には、
注目のオコエ瑠偉選手がいる。
ナイジェリア人の父を持つハーフで、
その俊足は痛快ですらある。

夏のさかりのあの数日の、
汗まみれ泥まみれの、
不思議なさわやかさ。
……力いっぱい戦うことが、
誰ひとり傷つけない、
誰ひとり不幸にしない。
〈谷川俊太郎〉

それが夏の甲子園。

リアルタイムでゲームを観られなくとも、
十二分に楽しめる。

準決勝は明後日19日(水曜日)、
決勝は20日(木曜日)。

楽しみつつ、商売に活かしたい。

スタンドの広さの数の夏帽子
〈朝日俳壇より 霧島市・久野茂樹〉
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ついでに、この俳人のもう一句。
大の字にプールに浮かぶ白寿かな
白寿は99歳。
すばらしい。

さて内閣府が、
4~6月期の国内総生産(GDP)を発表。
実質GDPの季節調整値で、
前期比0.4%減。
3カ月分を年率に換算するとマイナス1.6%。

昨年7~9月期以来、3四半期ぶり。

名目GDPは前期比0.02%増、
年率でプラス0.1%。

よく使われるGDPの説明では、
名目を「金額」、実質を「数量」と考える。

したがって方程式は、こうなる。
名目GDP=実質GDP×物価指数

別の表現では、
名目成長率=実質成長率+物価上昇率

名目成長率がプラス0.02%で、
実質成長率がマイナス0.4%。

つまり物価上昇率が0.42%、貢献した。

GDPの内訳で重要な個人消費は、
実質で前期比0.8%減。

これが小売サービス業の成績を表す。
4四半期ぶりにマイナス。

円安と原材料高で食料品は相次ぐ値上げ、
そのくせ賃金は伸び悩み。
そこで消費は停滞。

6月は長雨・低温が続いた。
国内ユニクロ事業の既存店売上高は、
6月に前年同月比11.7%減。
エアコンなどの家電も売上げが減った。

雨ばかり降るに日焼をしてをリぬ
〈朝日俳壇 姫路市・黒田千賀子〉

輸出は4.4%減、輸入も2.6%減。
訪日外国人観光客によるインバウンド消費は6.1%増、
しかしこの分のGDP寄与度は、
0.03%分の押し上げだった。

設備投資は0.1%減、
住宅投資は1.9%増。

民間在庫は0.1%増。

政府消費は0.4%増、
公共投資は2.6%増。

日本の景気は緩やかな回復を続けてきた。
それが今年第2四半期は小休止状態。

小休止のまま、短いお盆を過ぎ、
8月下旬から9月へ。

われわれは、
目の前の自分の顧客を満足させる。
それを毎日、続ける。

その総和が日本の国内総生産となる。
すなわち日本国が生み出す付加価値の総額となる。

2週間販促企画も、
それに貢献する。

では、今週も、みんなで、
付加価値を生み出そう。
Good Monday!

〈結城義晴〉

2015年08月16日(日曜日)

ジジとお盆[日曜版2015vol33]

「ヒロシです」
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ちょっと、ふるすぎるか。

はずかしい。
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サンマです。
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これも、うけない?
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又吉でしょうね、いまは。DSCN1878-5

お盆です。DSCN1883-5

先祖の霊を、おむかえ。DSCN1884-5

でも、霊って、
どこにいるのでしょう。DSCN1886-5

ボクには、わからない。DSCN1887-5

それで、いいけど。
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ボクのとおさんは、ジンジャー。
090622-父と3兄妹

かあさんは、ミント。050404

先祖のなかでも、
とうさんとかあさんが、
いちばんたいせつです。DSCN1889-5
まだいきてるし。

そしてボクのおとうさん。DSCN1890-5

ユウキヨシハルさん。
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お盆には、いつもよりも、
ずっと、おとうさんに感謝します。

「ありがとう」DSCN9955-5
お盆は、先祖の霊をおむかえして、
ほんとうは、おとうさん、おかあさんに、
感謝するときなのです。

きっと。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

2015年08月15日(土曜日)

終戦の日の「村山・小泉・安倍談話」と知識商人の「歴史に学ぶ」

70回目の終戦記念日。
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今上天皇の戦没者追悼式のスピーチ。
「ここに過去を顧み、
さきの大戦に対する深い反省と共に、
今後、戦争の惨禍が
再び繰り返されぬことを切に願い、
全国民と共に、
戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し、
心からなる追悼の意を表し、
世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります」

「深い反省」は初の表現、
「戦争の惨禍」「繰り返されぬこと」なども、
初めてのこと。

日経新聞巻頭コラム『春秋』

歌人・宮柊二の歌を紹介。
ひきよせて寄り添ふごとく刺ししかば
声も立てなくくづをれて伏す

日中戦争の中国大陸の最前線で、
敵を銃剣で突き刺した瞬間を詠んだ歌。

凄い。

かはらより夜をまぎれ来る敵兵の
三人みたりまでを迎へて刺せり

これも敵兵を刺した者こそが、痛ましい。

距離二歩をへだつる戦友ともがをりをりに
かしらを垂れてをあやぶます

二歩離れて行軍する戦友、
あまりの眠さに、
歩きながらときどき頭が垂れる。
その瞬間、戦友が撃たれたのかと、
私を心配させる。

今上天皇の「深い反省」は、
ここに表現されている。
「戦争の惨禍を繰り返さぬこと」も、
宮の歌に詠みこまれている。

安倍晋三首相は昨夕、
戦後70年談話を発表。

全文3373文字。

20年前の1995年8月15日には、
当時の村山富市首相が、
「戦後50年談話」を発表している。

全文1306文字。

さらに2005年8月15日には、
小泉純一郎首相が、
「60年談話」を閣議決定。

こちらは全文1133文字。

あらためて三つの「談話」を読んでみた。

村山談話も小泉談話も、
極めて自然体である。
村山さん、小泉さんの、
それぞれの人柄も出ている。

読みやすくて、短い。

今回の安倍談話は、
キーワードをてんこ盛りしたために、
長くて、修辞が多い。
つまり、わかりにくいし、
伝わりにくい。

ただし、マスコミでいわれるほど、
悪い内容ではない。

文体は、私の趣味ではないけれど。

村山談話、小泉談話は大人だ。
安倍談話は、首相が、
目いっぱい背伸びをしつつ、
あっちこっちに配慮した跡が見える。

村山談話はこう始まる。
「先の大戦が終わりを告げてから、
50年の歳月が流れました。
今、あらためて、
あの戦争によって犠牲となられた
内外の多くの人々に思いを馳(は)せるとき、
万感胸に迫るものがあります」

そしてここが焦点。
「私は、未来に誤ち無からしめんとするが故に、
疑うべくもないこの歴史の事実を
謙虚に受け止め、
ここにあらためて痛切な反省の意を表し、
心からのおわびの気持ちを表明いたします」

「痛切な反省」と「心からのおわび」

小泉談話のイントロはこうだ。
「私は、終戦六十年を迎えるに当たり、
改めて今私たちが享受している平和と繁栄は、
戦争によって心ならずも
命を落とされた多くの方々の
尊い犠牲の上にあることに思いを致し、
二度と我が国が戦争への道を歩んではならない
との決意を新たにするものであります」

小泉談話自体は、
首相の支持率の高さもあって、
それほど問題にされなかったが、
「痛切な反省」と「心からのおわび」は、
村山談話と同じ表現を使った。

なぜなら、日本政府は、
村山談話を公式見解として、
歴代内閣がそれを踏襲してきたからだ。

そして安倍談話の最初。
「終戦70年を迎えるにあたり、
先の大戦への道のり、
戦後の歩み、20世紀という時代を、
私たちは、心静かに振り返り、
その歴史の教訓の中から、
未来への知恵を
学ばなければならないと考えます」

焦点として指摘されている部分はここ。
「あの戦争には何ら関わりのない、
私たちの子や孫、
そしてその先の世代の子どもたちに、
謝罪を続ける宿命を
背負わせてはなりません」

そして、
「痛切な反省」と「心からのおわび」は、
消えた。

朝日新聞の社説は、
「いったい何のための、
誰のための談話なのか」と、
感情をあらわにする。

日経新聞は芹川洋一論説委員長が、
イギリスの歴史家E・H・カーを引用。
「歴史は過去と現在の対話である」

安倍談話への評価。
「キーワードをすべて盛り込み、
今後の道筋も示すものとなった」

しかし、過去は、
「どこまでも背負っていくしかない」

つまり子や孫も、その先の世代も、
過去を背負わないわけにはいかない。

私もそう思う。

だから、歴史を学ぶ。

「現在との対話であらわれてくる過去には
3つの変数がある」

第1は安全保障、
第2は経済、
第3は人。

第1の安全保障は、
かつての米ソ冷戦時代には、
大きな機能を果たしたが、
ベルリンの壁が崩壊してから、
それは「望み薄」と芹川さん。

ならば、第2の経済。
「アベノミクスで日本経済を立て直し、
国力を高めていくのが結局、
一番の近道だろう」

「共通の利益、価値を
いかにつくるかである」

第3の人に関しては、
「政治指導者の役割が重要だ」

そして安倍さんへの注文。
「政権維持のため世論をひきつけようと、
偏狭なナショナリズムをあおるのは、
お互い慎まなければならない」

商売や文化、スポーツを通じた、
民間人の交流も重要だと私は思う。

シンガポールのゴー・チョクトン前首相。
「運転中はバックミラーを
常に確認しなければならないが、
より注意を注ぐべきは目の前の道だ」

「過去は未来によって変わる」

最後に再び朝日『天声人語』
「歴史認識を首相任せにせず、
自分でも考えてみたい」

仕事をし、商売をし、
そして歴史を振り返り、
未来を考える。

それが終戦の日の知識商人のあり方だ。

〈結城義晴〉

[追伸]
Daily商人舎に掲載しました。
「村山談話」「小泉談話」「安倍談話」全文

2015年08月14日(金曜日)

谷川俊太郎「誰ひとり傷つけない」と佐野デザイナーの著作権問題

夏のさかりのあの数日の、
汗まみれ泥まみれの、
不思議なさわやかさ。

……力いっぱい戦うことが、
誰ひとり傷つけない、
誰ひとり不幸にしない。
〈谷川俊太郎〉

朝日新聞『天声人語』が引用した。
もちろん夏の甲子園大会のこと。

「誰ひとり傷つけない、
誰ひとり不幸にしない」
ここが特にいい。

第97回全国高校野球選手権大会。
今日、2回戦が終り、ベスト16が揃う。

明日、明後日の土日が3回戦で、
そこでベスト8が決まる。

それから準々決勝、準決勝、
そして決勝。

誰ひとり傷つけない、
誰ひとり不幸にしない、
そんな戦いの中で、
夏が過ぎていく。
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さて例の「盗用の疑い」の話。
デザイナーの佐野研二郎氏。

多摩美術大学グラフィックデザイン科卒業、
博報堂入社。
2008年MR_DESIGNを設立して独立。
2014年、多摩美術大学教授就任。

日米欧のデザイン賞を受賞し、
数多の作品を創作してきて、
実績は申し分ない。

しかしここへきて「盗作の疑い」。
まずは2020年東京五輪の公式エンブレム。
ベルギー・リエージュ劇場のロゴに「酷似」、
と、作者のオリビエ・ドビ氏が指摘。

むこうで法的手段に訴えている。

佐野氏は8月5日に日本で記者会見して、
「事実無根」と否定。

しかしテレビでの映像では、
目が泳いでいた。

一方、「他の作品にも盗用の疑いがある」と、
インターネットなどで指摘されていた。

それを受けて、サントリービール。
「オールフリー」のトートバッグも、
佐野氏のデザインだが、
30品のうち8品を取り下げ、
発送を中止する。
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〈SUNTORYホームページより〉

これも様々な他のデザインに似ていた。

しかしここまで出て来ると、
こういったアーティスティックな仕事は、
酷なようだが、もうおしまいだと思う。

日本の著作権法は、
知的財産権の一つである著作権の、
範囲と内容について定める。

著作物の創作者である著作者に、
著作財産権や著作者人格権という権利を付与し、
その利益を保護している。

その著作物とは、
「思想又は感情を創作的に表現したものであって、
文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するもの」

流通やチェーンストアの理論や情報も、
この「著作物」に該当する。

私の考え方をこのブログに掲載するが、
もちろんそれも「著作物」に該当する。

著作権が侵害された場合には、
救済手段として差止請求権が認められている。

損害賠償請求は「民法」の規定によるが、
損害額の算定に関しては、
特別の規定が設けられている。

さらに権利侵害に対しては、
刑事罰も規定されている。

ただし著作権侵害は、
「親告罪」とされている。

親告罪(しんこくざい)とは、
告訴がなければ公訴できない犯罪。
しかし著作者は常に、
この著作権侵害をチェックしている。

私も㈱商業界社長時代に、
あるライターの商業界刊の単行本が、
著作権侵害に当たるとされて、
問題解決したことがある。

商業界の顧問弁護士・男澤才樹さんが、
著作権を専門としていて、
ずいぶんと助けてもらった。

私たちは問題の本の文面と、
訴えを起こした原著者の本の文章を、
一字一句、丁寧に、引き比べて、
結果として、著作権侵害を認めた。

そして全国の書店から、
当該書籍を回収した。

佐野デザイナーの一連の作品が、
著作権法違反に該当するかどうかは別にして、
仕事は手を抜いたり、楽をしたり、
他人に任せきりにしたりしてはならない。

その教訓はいつの時代にも変わらない。

「盗人猛々しい」

それだけは、やってはならない。

力いっぱい戦って、なおかつ、
誰ひとり傷つけてはいけない。
誰ひとり不幸にしてはいけない。

〈結城義晴〉

2015年08月13日(木曜日)

岩隈久志No-hitterの自分らしさと「出版流通返品4割」の重荷

盆の入り。
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空だけ見ていると、
秋の気配を感じさせられる。DSCN0119-5

そんな旧盆のとき、
嬉しいニュースが、
アメリカ・シアトルから届いた。

岩隈久志投手がNo-hitterを達成。
メジャーリーグのシアトル・マリナーズ所属。

No-hitterは、
日本ではノーヒット・ノーランという。
ヒットも打たれなかったし、
点も取られなかった。
つまり、無安打無得点試合。

凄い記録です。

岩隈は日本の楽天イーグルスから、
2012年にマリナーズに入団。

日本人投手のNo-hitterは、
野茂英雄投手以来、
史上2人目の快挙。

そのトルネード野茂は、二度、
ノーヒット・ノーランを成し遂げている。

ドジャース時代の1996年と、
レッドソックス時代の2001年。

岩隈のコメントがいい。
「先頭打者を打ち取っていこう、
自分らしさを出そうと思った」

自分らしさを出す。
まさにポジショニング。

大リーグのような個性豊かな競争社会では、
この自分らしいポジショニングがなければ、
生きぬいていけない。

岩隈は2004年シーズンオフに、
所属していた大阪近鉄バファローズと、
オリックス・ブルーウェーブの、
球団合併を経験している。

パリーグのチーム数が減るため、
楽天イーグルスが新規参入。
大阪近鉄とオリックスの選手たちは、
合併球団と楽天とに分配されることになった。
選手を分配するなど、
ちょっと違和感があるが、
企業が合併で人材を振り分けるようなもの。

岩隈は合併球団に分配された。
しかし労使「申し合わせ」を盾にとって、
これを拒否して、結局、楽天に入団。

岩隈は意志を通した。

意志を通して、
自分らしさを追求する。

その岩隈が自分らしいNo-hitter達成。
すばらしい。

おめでとう。

さて、昨日の日経新聞の『真相深層』は、
「出版、返品4割の重荷」

出版流通業界はかつてない苦境。

昨年秋に取次三番手の大阪屋が経営危機。
楽天や講談社など6社が救済に入って、
総額37億円の第三者割当増資を引き受け、
法的整理だけは逃れた。

そして今年6月、
四番手の栗田出版販売が倒産。
ほとんどの出版社が巻き添えを食った。

出版流通の首位は日本出版販売、
二位はトーハン。

私のいう「複占」状態。
マーケットリーダーと、
マーケットチャレンジャーの闘い。

そうなると、どちらも減収基調となる。

そしてマーケットフォロワーが脱落するが、
それが大坂屋と栗田。

出版科学研究所の2014年調査。
出版物の推定販売額は1兆6000億円、
ピークの1996年から約1兆円も減った。

ちょうどこのピークのころ、私は、
取締役『食品商業』編集長だった。
そしてこのメディアがこのとき、
商業界の歴史上、最高部数を誇った。

以後、部数は落ちるばかり。

日本全体の期待は、
電子出版市場にかかるが、
こちらはまだ1400億円程度。

㈱商人舎は取次流通を使っていない。

私が社長を務めた㈱商業界はもちろん、
取次から書店へと、
雑誌や書籍を流通させている。

この出版流通が制度疲労を起こしている。
その原因の一つが「返品制度」。

「原則として書店は
一定期間売れなかった本を
取次経由で出版社へ返品できる。
この仕組みによって書店は
在庫リスクを減らし、
多彩な書籍や雑誌を店頭に置ける」

しかし返品の際には、
梱包や物流の費用を、
書店と取次が負担する。

そして返品は増え続けている。

2014年には、
日本全体の雑誌の返品率が、
初めて40%に達した。

チェーンストアの人々からすると、
この返品率は「社会悪」とすら思われるだろうが、
しかしこの4割は一般誌を含めての返品率で、
ビジネス誌や専門誌はもっともっと高い。

私の『食品商業』編集長時代は、
平均20%台前半の返品率で、
ときどき10%台になると、
乾杯した。

いまは、そんな奇跡が起こることもない。

そこで一部出版社は、
「責任販売制」に取り組む。
いわゆる「買い取り制度」。

記事は一石を投じる動きを紹介する。
第一は、角川とアマゾンジャパンの、
取次を介さない直接取引。

最短1日でアマゾンに商品を届ける。

角川は反アマゾンの急先鋒だったが、
それだけに両社の連携は衝撃を与えた。

セブン&アイとファーストリテイリングの、
あの提携に似ている。

角川は、2018年、最大155億円を投じて、
大型物流・製造拠点を設ける。
出版社として異例の規模だ。

対して、第二は、
楽天と講談社の共同改革。
こちらは大阪屋と栗田をバックアップし、
2016年中に経営統合させる。
そしてITに強い取次へと再生させて、
アマゾンに対抗する。

この15年間、国内の書店は8000店以上減少。
今、セブン-イレブンが、最大の書店となった。

出版流通が激変する。

マーケットニッチャーは、
ユニークなポジショニングが必須だ。

私の作戦は「網と紙の融合」。
それも無借金経営の自前主義。

ニッチャーだからこそ、
セグメントを絞り込んで、
ターゲティングし、ポジショニングできる。

思い切ったユニークなことができる。

いわゆる普通の出版社はすべて、
フォロワーにならざるを得ない。

現代らしい競争状況である。

〈結城義晴〉

2015年08月12日(水曜日)

成城石井のワインバーLe Bar a Vin 52横浜ベイクォーター訪問

㈱商人舎は明日から夏季休業です。
来週月曜日の17日まで。

よろしくお願いします。

そこでお知らせを二つ。
①月刊『商人舎』8月号、バラ販売。
今号の特集は、
「2015アメリカ小売業テキスト」。

月刊『商人舎』は年間購読が基本ですが、
今月号のみ、1冊1500円(税別)にて販売。
米国視察のテキストとして使ってください。

申込み要領はこちら。

②秋のアメリカ研修会スペシャルコース。
10月6日~13日。
テキサスとニューヨーク。
これは本当に素晴らしいコース。

「ナポリを見て死ね」
イタリア語では「Vedi Napoli e poi mori」
英語訳は「See Naples and then die!」

ナポリの風光を見ずに死んでは、
生きていた甲斐がない。

知識商人ならば、絶対に、
「テキサスを見て死ね」
そして現代人ならば、
「ニューヨークを見て死ね」

結城義晴が案内し、解説します。

このコースの特徴ですが、
メリッサ・フレミングさんの必聴講義もあります。

さて今日は、午前中、
第一屋製パンの取締役会。
好調です。

夕方には、横浜ベイクォーターへ。
Le Bar a Vin 52 AZABU TOKYO。
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㈱成城石井が展開するワインバー。
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52とは52週MDの考え方と同じ。
週ごとにメニューを変えて、
年間に52の提案をする店という意味。

麻布十番店、関内店につづく3号店。

ワインに親しんでもらうために、
リーズナブルな価格で提供し、
ワインを楽しんでもらうのがコンセプト。
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ワイン通なら垂涎の的のオーパスワン。
グラス2990円。
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「今宵一杯の味わいを、
あなたは一生語るでしょう」

うまい!!

店内は、夕方6時半で、
ごらんの通り大繁盛。
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夕方のアイドルタイムに、
3種類の切りたてハムが、
1500円で食べ放題のプロモーション実施中。DSCN0142-5

コストパフォーマンス意識の高い、
女性客が圧倒的に多い。DSCN0134-5

入口のクーラーには、
5大シャトーのワイン。
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2万円台から10万円のヴィンテージものまで。
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誘ってくれたのは、
原昭彦さんと早藤正史さん。DSCN0146-5
原さんはご存知、成城石井社長、
早藤さんは執行役員店舗運営本部長。
店舗運営部・店舗開発部、
さらに物流戦略部を担当する。

早藤さんはこの店の開発のために
何度もニューヨークに赴き、
コンセプトを作った。

そのお二人との会話を楽しみつつ、
スパークリングワインから始まり、
白ワイン、赤ワインと
お勧めのワインをいただく。DSCN0149-5
もちろん、オーパス・ワンもいただいた。
一生語り続けるために。

店舗スタッフは全員が、
スーパーマーケット成城石井の社員。

副店長の水野翔太さんは、
元精肉担当。
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生のトリュフも提供する。DSCN0154-5

生は香りも強く、
しかも美味しい。
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こちらの逆井さん。
成城石井でパートタイマーとして勤務していたが、
この店で働きたいと志願。DSCN0160-5

店長の市川理美さん。
元情報システム部勤務。DSCN0163-5

ダイレクトにお客さまに接する喜びと醍醐味、
それを全員が口にした。
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スーパーマーケットとの人事交流も進むだろう。

原さんも早藤さんも
Le Bar a Vin 52のスタッフも、
みな若い。
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コーネル・ジャパン「奇跡の第2期生」の原さん。
現在47歳。
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本当に熱のある、いい社長になった。

月刊『商人舎』5月号。
特集「阪急オアシスと成城石井」

名言を吐いた。
「会社は売られても、
魂は売らない」

その魂が込められたワインバー。
成城石井のポジショニングが、
鮮明に描かれていて、
実にいい。

商人舎夏季休暇前夜ということもあって、
したたか飲んで、こころから楽しんだ。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2015年08月11日(火曜日)

ヤオコー社長・川野澄人さんとHarvardBR「稲盛和夫の経営論」

今日は朝から、
埼玉県の川越へ。

㈱ヤオコー本社を訪問。
今年3月期決算で、
営業収益3073億5300万円、前年比12.1%増。
経常利益133億4200万円、12.7%増。
関東7都県に142店舗を展開する。

日本小売業ランキングでは42位。
スーパーマーケットでは、
堂々の第6位に躍進してきた。

代表取締役社長の川野澄人さんと懇談。
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39歳の若き経営者。DSCN0013ー5

こんなにじっくりと対面で話し合うのは、
初めてだったが、大いに感心した。
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私は今朝、起きるとすぐに、
自分で話し過ぎないように、
と決意してきた。

しかしそれでもやはり、
話し過ぎてしまったかもしれない。
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川野さんもときどきメモしたりして、
先輩の言うことを熱心に聞いてくれた。
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その態度、姿勢が、素晴らしくて、
私はいっぺんでファンになってしまった。

前にも書いたけれど、
亡くなった将棋棋士の元名人・米長邦雄が、
ずっと年下の羽生善治らを、
「先生」と呼んで敬意を払っていた。

私もライフコーポレーションの岩崎高治さんや
この川野さんらを、そんなふうに見ている。
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日本の小売業の未来は明るい。

アメリカのホールフーズやウェグマンズ、
トレーダー・ジョーにも、
クローガーやテスコにも、
負けない、いい企業をつくってほしい。

午後からは、小澤(こざわ)三夫さんと懇談。
現在、取締役販売部長で、
ヤオコーの現場のキーマン。
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小澤さんは、2008年10月、
第1回日本スーパーマーケット店長大賞を受賞。
その時、私も審査に加わっていて、
小澤さんほどこの第1回の大賞に、
ふさわしい人材はいないと確信した。

久しぶりに話して、
小澤さんの成長ぶりに驚いたし、
これまた意気投合して、固い握手。
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小澤さんは1989年にヤオコーに入社したが、
その時、「いい会社」だと直感した。

今日はそのヤオコーの良さと強さを、
あらためて認識して、
実に有意義な一日だった。

本部を辞して、川越西口店へ。DSCN0111-5
今年3月13日にオープンした512坪の新店。
ウニクス川越というショッピングセンターの、
核テナントとして入っている。

関西の北野エースが、
テナントとして入居している。
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川越の空は、少しだけ、
夏の終盤を感じさせてくれた。
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HarvardBusinessReview9月号は、
特集「稲盛和夫の経営論」
三部に分かれている。
第一部は稲盛和夫経営講演選集。

第二部は「稲盛経営に学ぶ」として、
5人の論者が語っている。

そして第三部が、
稲盛さんへの直接インタビュー。

この中で稲盛さんは語る。
「人の心は、はかなくて頼りないものです。
でもひとたび素晴らしい心の結びつきができれば、
これほど頼りになるものもありません。
私はそのことを信じて、
人の心と心の結びつきをベースにおいて
経営を行ってきたのです」

小売業は人間産業だ。
だからこそ、製造業以上に、
「人の心を大切にする経営」が求められる。

「私は物事を判断する際には、
『人間として何が正しいのか』ということを
真っ先に考えます」

倉本長治の『商売十訓』の第一訓。
「損得より先に善悪を考えよう」

「経営に当たってはルールとか慣行とか、
いろいろなものが存在しますが、
それらを超えて人間として正しい生き方、
考え方をしていくことが大切だと思っています」

「そしてそれが結果的に
利益をもたらしてくれるのです」

稲盛さんは30代前半に、
石田梅岩を知って、
「これだ」と思った。

倉本長治は石田梅岩研究の、
第一人者だった。

そこで、稲盛、語る。
「売る側も買う側も、
お互いが利益を得られる商売こそが、
正しい商売だと思っています」

これはまさに近江商人の「三方良し」
売り手良し、買い手良し、世間良し。

稲盛さんの座右の銘。
「謙虚にして驕らず」

そして言う。
「事業の場合も欲ではないですね――。
欲ではなく、好奇心です。
事業に関する好奇心は
尽きることがありません」

欲ではなく、好奇心。

素晴らしい。

ヤオコー会長の川野幸夫さんにも、
考えてみれば稲盛経営に通じるものがある。

「人の心を大切にする経営」

川野澄人さんにも、小澤三夫さんにも、
そのDNAは受け継がれている。

〈結城義晴〉

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