結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2015年09月23日(水曜日)

秋分の日、イオンリテール取材とイオンモール幕張新都心

秋晴れの秋分の日。

祝日である。
同時に、1年を四等分して、
その一区切りがついた。
そんな感慨が深い。

秋分の正反対が春分。
秋分から八分の一行くと立冬。
四分の一進むと冬至。

少しだけ冬を意識させてくれる。

砂の如き雲流れ行く朝の秋
〈明治29年 正岡子規〉

さて私は京葉線に乗って、海浜幕張へ。
そしてイオンタワー。
DSCN0107-1
祝日は正面玄関が閉まっていて、
通用口から中へ。

イオンリテール㈱の広報のみなさんが、
集まってくれて、話を聞く。DSCN9259-1

内容は、秘密。

1時間半ほど、
最新の取り組みを聞いて、
私の意見も言い、
いい感じ。

最近の取材は、
ただ聞くだけでなく、
ディスカッションになる。

それが互いにいい効果を発揮する。

最後に写真。DSCN9286-1

右から三宅香さん、
井関定直さん、
一海徳士(いっかいのりひと)さん、
そしお世話になりました、鈴木茂伸さん。DSCN9290-1
三宅さんはイオンリテール執行役員広報部部長、
井関さんは南関東カンパニーの
ビジネスイノベーションチームリーダー。
一海さんも南関東カンパニーの、
コミュニケーション部広報グループマネージャー。
そして鈴木さんは、
コミュニケーション本部広報部の、
シニアマネージャー。
ありがとうございました。

その後、当然ながら、
イオンモール幕張新都心へ。DSCN9292-1

シルバーウィーク最終日とあって、盛況。DSCN9297-1

イオンスタイルストア1階の食品フロアも、
ずいぶんと変わっていた。
DSCN9296-5
いい方向へ。

このショッピングセンターを特集したのは、
月刊『商人舎』2014年1月号。
【特集】イオンモール幕張新都心
次世代型超巨大モールとフューチャーGMSを全裸にする!!

http://magazine.shoninsha.co.jp/wp-content/uploads/2014/01/aeon_201301_cover.jpg
オープンしたのが2013年12月20日。

それから1年と9カ月。

ショッピングセンターも店舗も、
常に進化しなければいけない。

なぜなら第一に、
最初に登場した売り場が、
顧客の方にどんどん近づいていくからだ。
第二に、その顧客自身の生活が、
日々、革新されていくからだ。

店や商業集積は、
顧客の生活に近づきつつ、
ちょっとだけその先を読みながら、
二重に変化していく。

それがない店は、
時代のスピードから、
置いてきぼりをくってしまう。

長いこと店を見てきた。
流通ジャーナリスト歴も、
そろそろ40年。

だから私には、それがわかる。
それしかわからない、
といった方がいいかもしれない。

あの特集では、
岡田卓也名誉会長にインタビューした。
http://magazine.shoninsha.co.jp/wp-content/uploads/2014/01/2be772bc2895b9bcd4219c8474ee9273.jpg
「商いは変わるが、理念は変わらない」

われながら、いいタイトルだなあ。

この時の岡田さん。
「現実は絶えず変わっていきます。
ですから商売もその変化に
合わせていかなくてはいけません」

「お客さまがいないと商売はやっていけません。
ですから重要なのはお客さまの動向を
どう読むかという
ことだけです。
店舗のないインターネット販売でも、
お客さまさえいれば商売は成り立ちます」

「イオンの理念の中心は『お客さま第一』です。
イオンは小売業をまず『人間産業』と考えます。
客さまも人間、
小売業に携わる私たちも同じ人間です。
それから『平和産業』であり、
『地域産業』であ
ると考えます。
そして、絶えず革新をし続ける
企業集団であろうとします。
これがイオンの理念で、
いつ
の時代でも変わることはありません」

さて現在のイオンモール。
1階のイオンスタイルストアの脇に、
冷凍食品の専門店がある。
ルージュエブラン。
ROUGE ET BLANC。
フランス語で「赤と白」。
DSCN9295-5
この中にフランスのピカールの売り場も入っていて、
ずいぶんと進化の跡がみられる。
素晴らしい。

しかし、まだまだです。

この店に関しても、その1年後に検証した。
月刊『商人舎』2015年1月号の[特別企画]
フランス冷食専門店ピカール深堀り研究①②

フランスまでフードコーディネーターを派遣して、
取材し、買い物し、試食して、
体験記にした。
http://magazine.shoninsha.co.jp/wp-content/uploads/2015/01/CIMG5761.jpg

こうしてみると、
Web商人舎magazineは、
実に便利だ。

いつでもどこでも、
すぐに過去の記事を検索して、
再学習することができる。

購読申し込みは、
こちらまで

2階では衣料品の半額バーゲンに、
顧客が群がっていた。
DSCN9298-1

ショッピングセンター全体では、
WAONポイント5倍セールを展開。DSCN9299-1

このショッピングセンターは、
第4次増床計画まである。

真ん中にコストコがあって、
漁夫の利を得ているが、
それも商業集積の魅力を倍増させている。

秋晴れの秋分の日。

一日中、幕張新都心にいて、
存分に楽しんだ。

ありがとうございました。

〈結城義晴〉

2015年09月22日(火曜日)

総合スーパー大量閉店時代と花王・澤田道隆の「付加価値」

国民の休日。
敬老の日と秋分の日に挟まれた日。

1985年12月27日に祝日法が改正されて、
固有名詞を有する祝日に挟まれた日を、
連休にすべく定められた。

敬老の日と秋分の日、
この時期は彼岸の最中。

だから国民の休日「彼岸の一日」とでも、
考えたらいいか。

私は横浜の実家に戻って、
昨年亡くなった父を悼み、
89歳の母と食事した。

さて、苦言。
流通業界の看板新聞は日経MJで、
これは月水金曜発刊の専門紙。
しかし今日は休刊。
今一番新しいのが21日(月曜)版。

その月曜版一面特集は、
「GMS大量閉店」到来
ユニーグループ・ホールディングスが、
まず総合スーパーの約50店を閉鎖すると発表。
続いてイトーヨーカ堂も約40店を閉鎖。

この報道を受けた特集。
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一面に一番大きく掲げられている図表は、
棒グラフと折れ線グラフ。

折れ線グラフが「全国スーパー売上高」
棒グラフが「全国スーパー店舗数」

一番下に(注)日本チェーンストア協会調べ。
「全店ベース」とある。

この図表はこの特集の中で、
全く意味をなさない。

日本チェーンストア協会は、
総合スーパー企業が中心となって組織された。
そこに食品スーパーマーケット企業が参加した。

さらにそれ以外の業態の企業も、
加盟して、今年5月15日現在、
通常会員59社。

「それ以外の業態」の企業を列挙すると、
(株)アブアブ赤札堂
(株)キャンドゥ
(株)ケーヨー
ゼビオ(株)
(株)ゼンショーホールディングス
(株)大創産業
DCMホーマック(株)
(株)ニトリホールディングス
(株)丸井グループ

この日経MJの図表には、
これらの企業の売上げと店舗数も含まれる。

さらに多数の食品スーパーマーケット企業の、
売上げと店舗数が大量に加えられて、
「総合スーパーの苦戦傾向は続く」と、
図表にタイトルされている。

日本チェーンストア協会の2014年度は、
売上高12兆9382億円、店舗数9390店。
1店平均売上高は、13億7787万円。

この図表の意味するものは、
平均売上高14億円弱の店舗群の、
総売上高と総店舗数である。

もちろんこの表の下に、
3社の経営数値が入っていて、
これは実にいい表だ。
イトーヨーカ堂1兆2859億円、181店、
イオンンリテール2兆1172億円、344店。
そしてユニー7456億円、226店。

それぞれ1坪あたり売上高は、
188万円、151万円、139万円。

古典的チェーンストア理論は教えた。
「坪当たり売上高は下がってもいい、
坪当たり投入人時を下げよ」

しかしここまで下がったら、
利益は出しにくい。

1997年が総合スーパーの
売上げピークの時だった。
その時点の1坪あたり平均売上高は327万円、
2014年のそれは167万円。
従業員1人あたりの売上高は、
1997年3635万円、2014年2961万円。

これも図表の上の方に記入されているから、
日本チェーンストア協会全体の数字だろうが、
人時生産性は全体に下がっている。

まだまだ業態の概念が、
専門紙でも薄い。

かねてからお願いしているが、
日本チェーンストア協会が、
少なくとも、傘下の、
総合スーパー店舗の実績だけでも、
抜き出して追加統計表を作ってくれると、
ほかにない資料となる。

いつもいつも、
協会の会議室を使わせてもらっていながら、
こんなお願いをして、
恐縮至極。

しかしそこから、
総合スーパーの改革は始まる。

アメリカでは、
ウォルマート・スーパーセンターが、
現在も最強のフォーマットで、
これが総合スーパー業態だ。

私は「食を制する闘い」を、
三つのフェーズに分けているが、
その第2フェーズは、
スーパーマーケット対スーパーセンター。

アメリカと日本の小売業を、
比較研究する際にも、
これは主要テーマである。

詳細は月刊『商人舎』8月号【特集】
アメリカ小売業テキスト
世界最大消費大国の「食を制する者、流通を制す!」

さて初代スポーツ庁長官に、
鈴木大地さん、就任。
「バサロ泳法」で1988年ソウル五輪金メダル。
種目は競泳男子100メートル背泳ぎ。
2013年日本水泳連盟会長。
日本オリンピック委員会理事、
順天堂大学教授も歴任。
1967年千葉県生まれの48歳。

これは実にいい。

コメントは、
「泳ぎは後ろ向きだったけど、
前向きに頑張りたい」

もう一つ、日経新聞『経済観測』に、
花王社長の澤田道隆さん登場。
59歳。

聞き手は編集委員の田中陽さん。

「株価の乱高下より、
天候異変からくる消費者心理の変化のほうが
我々のビジネスに大きな影響を与えている」

小売業も同じ。
卸売業も同じ。

「トイレタリーも化粧品も今春以降、
市場全体の売上高は、
前年同月比2~6%くらいのプラスだ。
一方、数量はそれほどでもない。
商品単価が上がっている証拠だ」

売上高、売上数量は微増、
商品単価アップ。

「昨年4月の消費税率引き上げ以降、
買い控えの時期が
想定より長かったこともあるが、
売上げは堅調に推移している。
大企業を中心に
賃上げの効果がでている」

店頭売価に関して。

「最近のスーパーなどの
チラシを見てもわかるように
トイレタリーが安売りの対象商品から外れた。
これは消費増税後から顕著だ」

私はコモディティ商品に関しては、
小売り側も徹底してコストをかけなくなって、
チラシに載る頻度が下がったと思う。

「新しい付加価値を伴った
特徴のある新製品が
業界全体で多く投入されている」

「新しい価値を消費者が評価している」

「価格に敏感だった消費者が
自分のライフスタイルにあった商品を
手にするようになった」

もちろん、ノンコモディティは、
顧客に付加価値を提供する。

「プライベートブランド商品も
付加価値型に変わった」

これはクォリティブランドと、
ライフスタイルブランドの伸長を意味する。

花王㈱2014年12月連結決算。
売上高 1兆4017億円で、前年比6.6%増、
営業利益1333億円、同6.9%増、
経常利益1388億円、同8.4%増。

6月末の上半期決算も絶好調。
売上高6952億円、4.4%増だが、
営業利益は601億円、21.8%増、
経常利益612億円、18.9%増。

この数字を見ていると、
澤田さんの言の重さも、
倍増する気がする。

シルバーウィーク、
もうあと1日。

バサロ泳法も、
最後の大詰めだ。

〈結城義晴〉

2015年09月21日(月曜日)

敬老の日の新聞各紙の世論調査と自分で「考える葦」

Everybody! Good Monday!
[2015vol38]

2015年もとうとう第39週。
9月第4週のシルバーウィーク真っただ中。

Weekly商人舎の日替り連載。
月曜朝一「2週間販促企画をどうぞ。

今日は敬老の日。

「老人」の定義。
大辞泉では、年をとった人。年寄り」。

老人福祉法の具体的な施策対象は、
「65歳以上」を原則としている。

だから老人とは65歳以上か。

一方、「高齢者の医療の確保に関する法律」、
および「それに付随する各種法令」の規定では、
65~74歳までが前期高齢者、
75歳以上が後期高齢者。

さらに高年齢者雇用安定法では、
高年齢者「55歳以上の者」。

私はいまだ老人や高齢者ではないけれど、
高年齢者ではある。

総務省発表の「高齢者の推計人口」
65歳以上は、3384万人で、
総人口に占める割合26.7%。
前年より89万人増で過去最多を更新。

後期高齢者のさらに5歳上の80歳以上は、
1002万人で7.9%。

前年比38万人増で、初めて1000万人超。

2014年の65歳以上の就業者数は、
681万人で前年比45万人増。
11年連続。

65~69歳では男性の50.5%、
女性の30.5%が就業。

まだまだ頑張れるということ。
そして企業はこの年代の高齢者に、
いかに活躍してもらえるかを考えねばならない。

ダイバーシティとは、多様性。
女性と高齢者がその中心だ。

そして高齢者も、
自分のポジショニングを、
確立しなければならない。

その敬老の日の朝空。

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すっかり秋の空。IMG_6659-5

雲の変化を楽しむ。IMG_6660-5

池には若い落葉が浮いて、美しい。IMG_6664-5

午後になると、また、
雲が変化する。IMG_6671-5

敬老の日は、空と雲だけでも、
楽しむことができる。IMG_6673-5

法師蝉思ひ直して啼き始む
〈朝日俳壇 柳井市・大西節子〉

さて、新聞各紙の世論調査。
安全保障関連法案可決を評価する。

安倍内閣の支持率は、
日経が支持40%、不支持47%。
8月末の前回調査以来、
再び支持・不支持が逆転。

一方、朝日新聞は、
支持35%、不支持45%。
読売新聞は、支持41%、不支持51%。
毎日は、支持35%、不支持50%。

安保関連法の今国会成立に関して、
日経は「評価しない」54%、「評価する」31%。
朝日は「よくなかった」67%、「よかった」16%、
読売は「評価しない」58%、「評価する」31%。
毎日は、「評価しない」57%、「評価する」33%。

政府の安保法に関する説明。
日経は「十分だ」12%、「不十分」78%。
朝日は「十分」16%、「不十分」74%。
毎日は「十分だ」13%、「不十分だ」78%。

各紙の性格や主張と、
世論調査の結果を見て、
自分で判断してください。

しかしこの機に、
自分がどんなメディアから情報を得ているかを、
各自がもう一度、確認しておくとよい。

私も実は今回、
自分の情報に偏りがないか、
チェックしてみて、
少なからず驚かされた。

新聞一紙だけ、
テレビ1チャンネルだけ、
雑誌一誌だけから、
情報を受けていないか。

テレビ局も、それぞれ、
新聞と連動している。

NHKは独自のスタンスに立っているが、
そのことも知っておかねばならない。

それから欧米の政治・経済メディアからも、
情報を得ておきたい。

アメリカだけではいけないし、
イギリスに偏るのもいけない。
フランスとドイツの情報も、
必要だ。

こう書いていると、
欧米の流通情報収集も、
同じだということがわかる。

身近な人からの聞きかじりだけ、
というのも危険だ。

一応、今回の安全保障関連法案に関して、
経済スタンスに立ち続ける日経の総括。
「安倍政権の重要政策に反対する強い批判層がいるが、
野党は受け皿になりきれていない」

まあ、そうでしょう。

しかし、安全保障に関して、
関心を持ち続け、監視し続ける。

それは今回の法案成立のあとの、
私たちの正しい姿勢。

そして次の国政選挙には、
是非とも投票に行きたい。

これは国会議事堂前のデモ隊の、
最後の提案だが、
それとは別にずっと、
私が提案してきたこと。
「選挙に行こう、投票しよう」
自分自身で情報を得て、
自分で考えて。

尾を切つて逃げた蜥蜴のやうな夏
〈同 川越市・橋本峯〉

最後にブレーズ・パスカル『パンセ』より。
「考えることが人間の偉大さをつくる」
〈断章346〉

そして〈断章253〉
「二つの行き過ぎ。
理性を排除すること、
理性しか認めないこと」

では、みなさん、
今週も、Good Monday!

〈結城義晴〉

2015年09月20日(日曜日)

ジジと歴史的勝利[日曜版2015vol38]

ジジです。
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まよなか。

おとうさん、テレビをみています。DSCN9154-5

ワールドカップ・ラグビー。
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桜のジャージのJapan。
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ボクも目がさめた。

フルバックでキッカーの五郎丸歩。
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ルーティーン。

ペナルティ・キック。
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ワセダ時代から応援しています。

おとうさん、興奮しています。
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あいては南アフリカ。DSCN9166-5
世界三位のチーム。

映画にもなりました。
「インビクタス/負けざる者たち」
おとうさんはこの映画も、
好きです。

監督はクリント・イーストウッド、
ネルソン・マンデラ役は、
モーガン・フリーマン。
キャプテンのフランソワ・ピナール役は、
マット・デイモン。
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南アフリカチームが、
1995年のワールドカップで優勝。
その映画。

そのチームに、
ジャパンが歴史的勝利。
34対32の大逆転。

最後のパス。
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そして最後のトライ。
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ニュージーランド人のカーン・ヘスケス。

ボクもみました。
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大男が感動して、倒れ込む。
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ノーサイドのあとは整列。
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桜のジャージが美しい。
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ほこらしい。
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テレビ・インタビュー。
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キャプテンのリーチ・マイケル。
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東海大学出身のニュージーランド人。

そして五郎丸。
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「4年間ハードワークした結果です。
仲間を信じてやってきてよかったです」

こころから感動した。
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こんな奇跡がおこるのか。
おとうさんは、驚いていた。

だからボクをだっこ。
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バンザイ。
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あたまをいじって、
うるさいです。
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そしてまた、だっこ。
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ほんとうにうれしかったみたい。
ボクは無表情だけど。

でも、ボクもうれしいです。
おめでとう。

〈『ジジの気分』(未刊)より〉

2015年09月19日(土曜日)

パンセ「二つの無知」とセブン&アイ逆行高とわらべや日洋

今日からシルバーウィーク。
ほんとうにすがすがしい。
秋らしい一日。

今日の土曜日、明日の日曜日、
そして月曜日が敬老の日、
火曜日が国民の休日、
水曜日が秋分の日。

なんというか、この並びが美しい。

店は書き入れ時。
精一杯、顧客に奉仕したい。
力一杯、仕事に邁進したい。

そしていつも、
明日を見つめていたい。

今日もブレーズ・パスカルの『パンセ抄』
前にも書いたけれど、
原著者ブレーズ・パスカル。
編訳者・鹿島茂。
出版社・飛鳥新社。
2012年7月14日初版。
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ブレーズ・パスカル(Blaise Pascal)は、
フランスの哲学者、数学者・物理学者。
1623年6月19日に生まれ、
1662年8月19日に、
39歳で早世。

死後、遺稿が『パンセ』として出版された。

訳者の鹿島さんが前書きで語る。
「ポスト・モダンどころか
ポスト・ポスト・モダンの時代に
突入したいまの日本社会
直面している問題のことごとくが
正面から取り上げられ、
考えに考え抜いた末に出した、
目を背けたくなるほど直截的な解答が
あたえられている」

「『パンセ』は350年の時空を飛び越えて、
われわれ現代日本人が抱える問題意識に迫る」

ちょっと長いけれど「二種類の無知」
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「世間はものごとを正しく判断する。
というのも、生まれついての無知の中にあるからだ。
この無知こそが人間の真の本拠地である」

大衆の感覚、反応、そして判断。
無知だからこそ貴重だともいえる。

「知識というものには二つの端があり、
その二つの端は互いに触れ合っている」
面白い観察と発想。

「最初の端は
生まれついての純粋な無知である。
すべての人間は生まれたときには、
この無知の中にある」

「もう一方の端とは、偉大なる魂が、
人間の知りうるすべての過程を経巡ったのちに
そこに辿りついて、
自分は何一つ知っていないということを
発見する無知である」

「彼らは自分たちが出発した
その無知に戻って、
自らに出会うのである。
だが、これはおのれ自身を知っている
賢明な無知である」

すごい。

「一方、この二つの無知の中間にある人たち、
すなわち生まれついての無知から出発しながら、
もう一方の無知には辿りつけないでいる人たちは、
これで十分と判断した
釉薬(うわぐすり)のような知識しか持っておらずに、
知ったかぶりをする」

「こうした人たちこそ世を迷わし、
すべてを誤って判断する」

世を迷わさないよう、
自戒しなければならない。

「民衆と真の識者が世間の動力をなしているが、
中間の連中はこの動きを軽蔑し、
それによって軽蔑される。
彼らはありとあらゆることを誤って判断するが、
世間は正しく判断する」

果たして、
安全保障関連法案に関するさまざまな情報。
そして商売やビジネスの領域のさまざまな情報。

まさにポスト・モダンの問題。

それぞれ、どうなのだろう。

商売に関しては、
民衆とは顧客である。
だからパスカルによれば、
民衆と顧客が正しく判断する。

日経新聞『銘柄診断』
セブン&アイ・ホールディングスの株価が、
逆行高を演じた。
一時前日比4%高の5254円まで上昇。
終値でも2%高。

理由は、「イトーヨーカ堂、約40店舗閉鎖」の報道。
それが株式市場から好感された。

果たして株式市場は「民衆」なのか。

一方、同じ日経新聞の『投資情報』

わらべや日洋が、
2016年2月期連結純利益の見通しを発表。
前期比26%減の20億円との予測。

同社はセブン-イレブンの惣菜弁当ベンダー企業。
従来予想は5%増の29億円の見込み。
それが一転減益の予測。

これ、実は重大なこと。

理由は、いくつかある。
第1に、5月稼働の岩手県新工場の不振。
第2は、人手不足による労務費の膨張。
第3は、10月からの最低賃金引き上げの影響。

売上高予測は前年比5%増の2115億円。
ほぼ100%がセブン-イレブンからのもの。
だからわらべやが不振であることは、
セブンの惣菜弁当に陰りが見えていること、
あるいは陰りが見えるだろうことを示唆する。

セブン&アイ・ホールディングスの好業績と成長は、
セブン-イレブンの新規出店力に負ってきた。

だからイトーヨーカ堂の店舗閉鎖にも、
株価が上がった。

しかしセブン-イレブンに、
ちょっとでも暗雲が立ち込めると、
セブン&アイにも雨雲が見えてくる。

真の識者のひとり、鈴木敏文会長が、
この状況をどう判断するか。

そこに大いに興味がある。

釉薬知識の中間の人間の声に、
耳を傾けてはいけない。

〈結城義晴〉

2015年09月18日(金曜日)

パスカル「幸福の追求」とイトーヨーカ堂2割閉店の考察

今、何度でも、
ブレーズ・パスカル『パンセ』から。

「人間はすべて幸福になろうとしている。
これには例外がない」

「幸福になろうとする方法に違いはあっても、
全員がこの目標を目指している。
戦争に行く者もいれば、
行かない者もいるが、
どちらもこの幸福になりたいという
同じ願望から発している」

「願いは両者とも同一であり、
違った見方が付随しているだけだ」

現代社会にもこれは多い。
というか現代社会そのものが、
この指摘で出来上がっている。

違った見方が付随しているだけ。

「意志というものは、
この目標に向かう以外には
いかなる小さな行動も起こしえない」

「これこそ、ありとあらゆる人間の
ありとあらゆる行動の動機であり、
首を吊ろうとする人もまた例外ではない」
〈断章425〉

安全保障関連法案、
参議院本会議で可決。

「もし、わたしたち人間の条件というものが、
本当に幸福だとするなら、
わたしたちはそのことを
考えようとする必要もなく、
幸福になることができるはずなのだ」
〈断章165〉

「人間はすべて幸福になろうとしている。
これには例外がない」

さて、日経新聞一面に、
「セブン&アイ、ヨーカ堂2割閉店」の記事。
そのあとも総合面で、
きょうのことば「総合スーパー」。
企業面で、
「ヨーカ堂 消費多様化への対応遅れ」。

三本立て。

Daily商人舎も、
「イトーヨーカ堂不採算店2割40店舗閉鎖」
商人舎の記事は、
チェーンストア理論の、
近代化と現代化を結論にした。

日経の記事で重要なのは、
この表。
9695999993819688E3E59A879B8DE3E5E2EBE0E2E3E79F9FEAE2E2E2-DSKKZO9187663018092015MM8000-PB1-3
3社の総合スーパー。
イオンリテールが344店、
2兆1172億円の売上げで、
25億円の営業利益。

イトーヨーカ堂は181店で、
1兆2859億円、利益は18億円。

ユニーは226店で年商7456億円、
営業利益104億円。

なんだ、ユニーが、
一番利益を出してるじゃん。

そう、思ってしまう。

イオンは旧マイカルやダイエーなど、
多くの企業を併合して、
総合スーパー群を形成。

イトーヨーカ堂はほとんど、
自前の出店物件。

ユニーはかつての自社スーパーマーケット、
「ユーマート」を併合した結果。
だから店数も一番多いが、
他社に比べると店舗規模が小さい。

そして1店当たり売上高を計算すると、
イオンリテール61億5465万円、
イトーヨーカ堂71億0442億円、
ユニーは32億9912万円。

これでユニーには、
スーパーマーケット級の「総合スーパー」が、
多いことが分かるが、
同時に総合スーパーよりも、
食品スーパーが、
利益率が高いことも判明する。

だからイトーヨーカ堂も、
立地の悪い総合スーパーを閉鎖して、新規には、
「食品館」と称するスーパーマーケットを開発する。

日経新聞の「きょうのことば」では、
こう定義されている。
「食料品から衣料品、日用品、住居関連まで
衣食住に関わる商品を総合的に扱う大型小売店」
この定義は間違っていない。

欧米分類では、
「ハイパーマーケット」という。

米国ウォルマート「スーパーセンター」は、
ハイパーマーケット業態分類に入るが、
自社のこの業態のバナーを、
「スーパーセンター」と称する。

それを業態用語ととらえてしまうという錯覚は、
滑稽にも蔓延している。

日経定義は続く。
「ゼネラル・マーチャンダイジング・ストアの
頭文字をとり、GMSと呼ばれることもある」

これに関しては、ややこしい。

私はアメリカ商業センサスの分類を使って、
本来のGMSは、
ディスカウントデパートメントストア
であることを解明している。

だから日本の総合スーパーは、
ハイパーマーケットを目指すのか、
ディスカウントデパートメントストア
志向するのか。
判断を迫ってきた。

イトーヨーカ堂も、
ユニーグループも、
2割から3割は閉鎖と判断し、
残りは検討中。

イトーヨーカ堂は後者を選択し、
ユニーは前者を選ぶだろう。
イオンはもう決断を下して、
中身の充実に向かっている。

日経企業欄の見出しは、
「ヨーカ堂 消費多様化への対応遅れ」とあるが、
これは当たっていない。

1997年に総合スーパーはピークを迎えている。

私の見解は、
多様化への対応ではなく、
業態と立地と、
そしてチェーンストア方式の問題である。

記事には、
「ヨーカ堂が首都圏に経営資源を集中」とあるし、
ユニーも「地盤の中部エリア」に経営資源を集める。

これはセブン&アイが否定する
チェーンストア理論の中の、
リージョナルチェーン構想だ。

私はこれも言い続けているが、
イトーヨーカ堂もユニーも、
ナショナルチェーンをやめて、
リージョナルチェーンに徹するべきだ。

「総合スーパーのなかでも
地方には業績が堅調なチェーンもある」
イズミや平和堂、サンエーだ。

しかしこれらの企業はみな、ニチリウ。
そしてリージョナルチェーン。

「地域密着の品ぞろえや
販売戦略が支持されている。
単身や共働き世帯の増加、
地方と都市の所得の差などにより
消費者の需要は多様化。
全国一律の大型店で
幅広い需要を満たすことは難しくなっている」

この発想は完全に、
レース型競争の中にあるし、
米国ウォルマートスーパーセンターも、
実は3407店の個店ごとに品揃え対応している。

「全国一律の大型店で、
幅広い需要を満たす」など、
高度成長時代以外には成り立たない。

高度成長中の中国は、
だからハイパーマーケット全盛である。

チェーンオペレーションのメリットを享受しつつ、
地域対応する。

「N個の独立した政策目標を
同時に達成するためには
N個の独立した政策手段が必要である」

「全国一律の大型店で、
幅広い需要を満たす」
これは一石三丁くらいの、
虫のいい考え方だ。

さて、今日は午後から、
東京・新小平。

第一屋製パン㈱本社。
取締役会に出て、質問をし、意見を言う。

そのあと、2時間ほど、
全国の営業マンと本社幹部が集まって、
私の講義第2回目。

そして懇親会。

営業本部広域グループの面々。
IMG_6629-5

営業ウーマンが多いのが、
営業本部量販グループ。
IMG_6634-5

そしてキャラクター商品グループ。
IMG_6637-5
みんな、パンを通じて「幸福」を売ろうと、
頑張っている。

そして二次会懇親会。
役員幹部のみなさんと交流した。
DSCN9151-6

「人間はすべて幸福になろうとしている。
これには例外がない」

〈結城義晴〉

2015年09月17日(木曜日)

パスカルの「正義・力」とイオン、イトーヨーカ堂、ユニー

安全保障関連法案、
参議院特別委員会で可決。

政府与党は、
明日の参議院本会議で採決の方向。

なんとしてもシルバーウィークに、
持ち越したくはない。

国会周辺に象徴される反対運動が、
連休中に全国的に盛り上がることを、
ひどく恐れている。

それだけ、国会の外の動きが、
効果を発揮していることになる。

私はこの件も含めて、
政治的な見解ははっきりと表明しない。

それを主義としてきた。

しかし私の考え方の根幹にあることは、
「損得より先に善悪を考えよう」

そう、『商売十訓』の第一訓。

ここで一番難しいのは、
「善悪」は所によって異なること。
「正義」は時代とともに変化すること。
「真理」は人によって考え方が違うこと。

ブレーズ・パスカルは『パンセ』に書いている。
「緯度が三度違っただけで
法解釈がすべて覆ることもあるし、
子午線一本が真理を決定することもある」

「ピレネー山脈のこちら側での真理が、
あちら側では誤謬となるのだ」
〈断章249〉

「流行は、
楽しみをつくるのと同様に、
正義もつくる」
〈断章309〉

そしてちょっと長いが〈断章298〉。
「正しいものに人が従うのは正しいことで、
一番力の強いものに人が従うのは
必然的なことである」

「力のない正義は無力である。
正義のない力は暴君的である」

「力のない正義は反対される。
なぜなら、いつの時代でも
悪人というものはいるからだ。
正義のない力は非難される。
したがって、正義と力は、
一緒にしておかなければならない」

「そのためには、
正しいものが強いか、
力のあるものが正しいか、
どちらかでなければならない」

「正義は論議の的になる。
力は見てすぐにわかるから、
論議する必要はない」

「このように、正義に
力を与えることはできなかった。
力は正義に文句を言い、
正義は正しくないと言ったからだ」

「そして、力は、
正しいのは自分だと言った」

「そこで、正しいものを、
力のあるものにできなかったので、
力のあるものを
正義ということにしたのである」

かつての自民党とかつての社会党。
いまの自民党といまの民主党。

その憲法論議。
国会前の大衆。

「正しいものは強い」と言い切るのは、
若すぎるし、早計だ。

パスカルが視通したように、
「力のあるものが正しい」
でなければならない。

残念ながら、そんなケースは、
歴史的にもまれである。

さてDaily商人舎。
昨日はイオンのニュース。
「障害者雇用に関する受賞」

今日はイトーヨーカ堂のニュース。
都市型店舗「食品館」9号店出店

チェーンストア業界第3位のユニーグループ。
日経新聞『企業・消費』欄に、
「総合スーパー最大50店閉鎖」の記事。

しかしユニーはホームページで、
この記事を否定している。

「本日、一部の報道機関において、
株式会社ファミリーマートとの経営統合に向け、
総合スーパー事業の抜本的な見直し
についての報道がなされておりますが、
これは当社が発表したものではございません」

「当社と株式会社ファミリーマートは、
対等の精神に則り、統合検討委員会を中心として、
経営統合に向けた協議を進めております。
その中で、総合スーパー事業及び
コンビニエンスストア事業の
統合後の事業計画を策定中であり、
不採算店舗の閉鎖を含め、
検討を進めておりますが、
決定した事実はございません」

日経の記事は、
「不振の総合スーパー(GMS)事業の
改革に乗り出す。
店舗閉鎖のほか、
苦戦する衣料品売場の縮小を進める」
このあたりの政策的な方向性は、
日経記者の取材で明らかになったこと。

「『ピアゴ』と『アピタ』の店名で
約230店のGMSを運営している。
ただ衣料品専門店などの台頭で、
GMSは業界全般が苦戦しており、
ユニー単体の2015年2月期の営業利益は
前の期に比べ14%減少した」
この部分は事実の列挙。

ファミマとの統合交渉で、
基本合意が延期になった理由は、
「店舗リストラをどこまで進めるかなど、
両社の考えに隔たりがあったこと」
これも立ち話程度の取材で分かる。

そこで「ユニーは全体の1~2割程度、
最大で50店舗程度を
閉鎖する方向で検討に入った」
これは匿名にしろ、
コメントをとったはず。
「1~2割程度」のコメントを、
「最大50店」と見出しに使った。

ユニー・グループ広報が、
この点を「決定していない」と否定した。

「収益改善が難しく、
土地や建物などの契約期限が
切れる店舗が中心だ」
これもある程度常識。

「ただ人員削減はせず、
店舗網の縮小は最小限にとどめる」
これはれっきとした政策だから、
コメントをとったのだろう。

つまりユニー幹部の誰かが、
日経記者に喋った内容が出てしまった。

「苦戦する衣料品や住居関連売り場では
テナントを導入して売り場効率を高める」
これも誘導尋問をして、
「うん」と言ってもらえば、
書ける内容で常識的だ。

とどのつまり、
この記事はほぼ正しい。

先週金曜日9月11日の日経新聞。
イオン、総合スーパーにセレクト店」
ユニーと同じような趣旨の記事だが、
こちらの「セレクト店」は、
月刊『商人舎』2月号で取り上げた。
特集:イオンスタイルを半裸にする

この特集の中のFT 吉川美南店」記事。
1FT

2013年11月に単独出店し、
運営ノウハウを蓄えてきたが、
それを18日、改装開業する
イオンスタイル湘南茅ケ崎の2階に導入。

約4800㎡の売り場面積、
雑貨や靴な ど160ブランドの1万6000品目。
「トラッド」「フェミニン」などの嗜好別に、
衣料品や雑貨を展開。

1号店で消費者の要望や不満を聞き取り、
売り場構成や商品の仕入れに反映させた。
その結果、今年3~8月の売上高は、
前年同期比で25%の伸び。

プロジェクトリーダーの木下尚久さん、
頑張った。
32ft
FT湘南茅ヶ崎の客単価は約5000円。
売上高は改装前の5割増が目安。

イトーヨーカ堂は、
都市型スーパーマーケットを志向する。

イオンリテールは、
イオンスタイルを模索し、
非食品はFT実験を進める。

ユニーグループは、
最大50店の閉鎖。

実務の世界では、
成果が上がるものが正しい。

これはあれこれと迷わずに済むし、
パスカルの思考と似ている。

〈結城義晴〉

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