結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2019年10月31日(木曜日)

鈴木幸一「ぬれ雑巾のムダと遊び」と「エントロピー法則の陳腐化」

首里城本殿炎上。
なぜ??

1429年、
第一尚氏王統・尚巴志王の三山統一によって
琉球王国が成立。

その栄華を示す絢爛たる本殿だった。20140219195118

世界遺産でもあり、
沖縄のシンボルでもあった。
DSCN04069
残念としか言いようがない。

沖縄の人々に、
心からお見舞い申し上げたい。

一方、今日は、
ハロウィン。

東京・渋谷のスクランブル交差点。harowin

ハロウィンの扮装の若者が集まる。
しかし、例年と比べると、
ちょっと控えめか。harowin2
台風や大雨の被害もあるのだろうか。
渋谷区が規制したからだろうか。

日本中がいまいち、
盛り上がらない気もする。

明日から11月。
あっという間の1カ月だった。

日経新聞の最終面。
今月の「私の履歴書」は、
㈱IIJ会長鈴木幸一さん。
インターネット・イニシアティブは、
日本のインターネットの草分け企業。
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最終回の今日は、
自分の人生を振り返る。

「本業のインターネットと音楽への思いが、
人生の2つの支柱である」

「ネットも音楽祭も
頼るべき海図や先例がなく、
白紙の未来を自分の力で切り開く
楽しさと苦しさがともにあった」

鈴木さんは幸せな人だ。

仕事も趣味も、
本気で打ち込んで、
本気でものにした。

それが本業の社会貢献と、
好きなボランティアでの社会貢献を、
両立させることになった。

「過去を振り返ると、
試練の日々が多かった気もするが、
実際に文字にしてみると、
能天気にしたいことばかりをしてきた
人生だったとつくづく思う」

やはり幸せな人だ。

連載の第28回目がよかった。
タイトルは「ぬれ雑巾」

「世間では、
徹底的にコストカットすることを
“乾いた雑巾を絞る”というが、
私の経営方針は日本能率協会で
原価管理を徹底的に叩き込まれた反動か、
あえて名付けるなら、
“ぬれ雑巾経営”になるだろうか」

鈴木さんはこの言葉を、
ホンダ創業者の本田宗一郎さんから、
直接、教えられた。

鈴木さんは30代半ばまで、
日本能率協会に努めた。

日本生産性本部と日本能率協会。
戦後の日本の産業を支えた2つの組織。

その能率協会で、
鈴木さんは本田さんと知り合う。

「トヨタ自動車のようなトップ企業は
“乾いた雑巾を絞る”経営でいいが、
それを追いかける立場のホンダが、
ぬれ雑巾を絞って、
カラカラにしてしまったら、
新しい技術や企画が枯渇する」

これが本田宗一郎の持論。

「懐が苦しくても、エンジニアに
自由にカネを使わせ、
遊ばせておく勇気を持たないとダメだ」

トヨタがマーケットリーダーならば、
ホンダはマーケットチャレンジャー。

鈴木さんのIIJはチャレンジャーで、
マーケットリーダーはNTTだった。

「当時のIIJは
新技術や新サービスの投入時期を決めると
たくさんの技術者が
総出に近い形で会社に泊まり込み、
何とか仕上げようとする
猛烈な会社でもあった」

私のこれまでの雑誌編集環境も、
ずっとそれだった。

いまでも、それに近いけれど。

「一方、普段は放任主義というのか、
各人が自分の好きなテーマに取り組み、
カネを使うのにも寛容だった」

「出勤時間もいい加減で、
“せめて昼前には来い”と号令をかけると、
ランチの直前に出社する社員が大勢現れた」

しかし、トラフィック計測の専門家、
セキュリティの専門家、
配信技術の大家など、
世界に名をなすエンジニアも、
IIJから多く生まれた。

㈱商業界で、
私が最初に入った編集部も、
私が編集長として率いた編集部も、
普段は放任主義で、
仕事は猛烈だった。

そして全員が、
様々なメディアの編集長になった。

鈴木さんも述懐する。
「ムダや遊びなくして、
新機軸は生まれない」

しかし、IIJも、
設立から四半世紀以上が経過した。

「何も手を打たなければ、
組織がどんどん保守化してしまう」

鈴木さんはそれを「リアルな怖さ」という。

ドラッカーの指摘する、
「エントロピーの法則」だ。

「いかなる経済といえども、
放置しておくならば、
資本の生産性は確実に
逓減に向かっていく」

「これを防ぐ唯一の方法、
すなわち不毛の硬直化を防ぐ唯一の方法が
企業家精神による
資本の生産性の不断の向上である」
〈『テクノロジストの条件』〉
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放っておけば組織は陳腐化する。
それがエントロピーの法則。

だからドラッカーは、
自ら先行して陳腐化を企図せよと説く。

鈴木さんが言う「ムダや遊び」も、
この陳腐化そのものだ。

「そうならないよう、
若手と積極的に交わり、
彼らの背中を押すのも
会長としての私の役目である」

鈴木幸一さんは、
本当に幸せな人だ。

連載に感謝して、
あやかりたい、
あやかりたい。

ハロウィンの扮装のエネルギーも、
エントロピーの法則を打ち破る、
「陳腐化」ならば、良しとしたいものだ。

もちろん、
世間に迷惑をかけるところまで、
エスカレートしてはいけないが。

だがそれが控えめになったとしたら、
もしかしたらちょっと問題かもしれない。

〈結城義晴〉

[追伸]
変な広告が入って、
読みにくくてすみません。
Googleが勝手に、
システム変更したのかもしれません。
調査中です。

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