結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年07月28日(木曜日)

「2022JCSI」オーケー1位の意味と「徒然草」の「物と争はざる」

横浜商人舎オフィスに出社して、
ZOOMによるミーティングを二つ。

ひとつはTrue Dataの面々。

この3年間の購買データをもとに、
商品動向を子細に分析した。

いい内容だった。
月刊商人舎8月号に掲載する。

もうひとつは、
食品メーカーの担当者へのインタビュー。

山本恭広商人舎編集長が話を聞くのを、
オンラインで傍聴していて、
最後にカメラをオンにして、
ミュートを解除して、
顔を出して、あいさつした。

ありがとうございました。

それ以外は、
1日中、リテール・マーケティングを考えた。
小売業のマーケティングの本質。

倉本長治の「商売十訓」。
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これを精神論と批判する人がいる。

しかし第一訓。
「損得より先に善悪を考えよう」
これはドラッカーの言うインテグリティである。

精神論ではなくて、哲学である。

第二訓。
「創意を尊びつつ良いことは真似ろ」
これがイノベーションである。

イノベーションは精神論では生み出せない。

第三訓。
「お客に有利な商いを毎日続けよ」

「有利な」というところは、
かつては経済性を意味した。
つまり生活マネジメントを支えるもの。

現在は生活エンターテインメントを含む、
「お客に有利」でなければならない。

それが小売業マーケティングの本質だ。

この点においては、
断じて揺るぎはない。

小売業や流通業における、
著名なコンサルタント諸氏の論を引いて、
もちろん具体的な名前を出して、
このあたりを説明すると、
実にわかりやすいものになる。

それも必要なのだと考えた。

この夏、単行本の第一稿に取り掛かる。

大筋はできているが、
その私だけの登頂ルートが、
ちょっとだけ見えてきた。

ありがたい。

どんな本も原点にもどって始める。
それが正しい道だ。

さて流通SuperNews。
オーケーnews|
JCSIの2022年度第1回調査スーパーマーケットで1位獲得

恒例のリサーチだ。
公益財団法人日本生産性本部の、
サービス産業生産性協議会の調査。

JCSIと称する。
「日本版顧客満足度指数」
その2022年度第1回調査。
スーパーマーケット業種において、
オーケーが顧客満足度第1位を獲得した。

「スーパーマーケット”業種”」というのが、
まず変だがそれはさておいて、
この調査の6指標すべてで、
オーケーは1位。
⑴顧客期待
⑵知覚品質
⑶知覚価値
⑷顧客満足
⑸推奨意向
⑹ロイヤルティ

素晴らしい。

しかし今回の2位は業務スーパー、
3位はドン・キホーテ、
4位はイオン。
顧客満足度調査2022
失礼ながら、
2位に業務スーパーが入ってくると、
「?」の気持ちが湧いてくる。

調査は必ず調査対象と調査母数を、
確認しなければならない。

その調査対象が今回は、
たった7企業・ブランド。

これではほとんど意味がない。

来年もこの程度ならば、
流通SuperNewsでは取り上げない。

ちなみに2019年は対象が22企業だった。
そして結果は1位オーケーだったものの、
2位コストコ、3位万代、
4位は同スコアでヤオコーとトライアルだった。

対象企業がどんどん参加を止めていって、
7企業・ブランドとなった。

調査期間は2022年5月18日~5月27日、
回答者数は2万5167人、
(順位に含む64企業・ブランドの回答者は2万0986人)
調査方法は、
インターネットモニターを活用した2段階調査。
設問数は約110問。

オーケーの指標は変わらないようだが、
それ以外に伸びた企業があるかもしれない。

オーケーの総合スコアが77.1で、
業務スーパーが71.5。

回答者の設定や設問そのものにも、
どこか問題があるかもしれない。

ちなみにコンビニエンスストアは、
1位セイコーマート77.3、
2位セブン-イレブン71.2、
3位ミニストップ67.6。
顧客満足度調査2022コンビニ
調査対象は6企業・ブランドで、
日本フランチャイズチェーン協会の、
毎月の販売調査の7チェーンから、
ポプラが欠けただけ。

これならばスーパーマーケットよりも、
断然、信頼性が高いし、
妥当だと思える。

だからセイコーマートの評価は素晴らしい。
赤尾洋昭さん、おめでとう。

日本生産性本部は知る人もいたし、
一緒に仕事をしたこともあるけれど、
このスーパーマーケット調査は、
再考したほうがいいだろう。

朝日新聞「折々のことば」
第2450回。

人としては善にほこらず
物と争はざるを徳とす。
他にまさることのあるは
大きなる失なり。
〈兼好法師『徒然草』(小川剛生訳注)から〉
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法師は説く。
「自分の長所を誇ったり
人と徒(いたずら)に競ったりしないこと。
人より優れてあるのはむしろ大きな欠点だ」

「格式の高さや才能の豊かさなどを
意識する姿はなんとも見苦しい」

「真に優れた人は
おのれが欠くところを知っているので、
慢心することがない」

「比較ということが
嫉妬や羨望(せんぼう)を促し、
自意識を煽(あお)って、
人としての品位を落とす」

現代の小売業の競争では、
ここまでは意識できない。

物と争はざるを徳とす」

しかし「他にまさること」を、
誇示ばかりしているのは、
日本的ではないのだろう。
少なくとも吉田兼好的ではない。

自分からは誇示しないけれど、
自分の顧客からは、
断然、支持されている。

その奥ゆかしさも、
小売業やサービス業では、
いいもんだと思う。

そんな店を好む顧客は、
多いはずだ。

「私の店」と思えるからである。

〈結城義晴〉

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