結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2022年07月30日(土曜日)

「日本の賃金はやがて上がる」と「いのちだけが はだか」の商業

1日中、自宅の自室にいて、
机のパソコンに向かったり、
ベッドに寝転んで本を読んだり。

7月も終わりに近づいた。

日本の児童・生徒・学生は、
夏休みに入っている。
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日経新聞巻頭コラム。
「春秋」

「コロナが流行して3度目の夏が巡ってきた。
緊急事態もまん防も帰省自粛の要請もない
“行動制限なき”夏休みである」

「にもかかわらず、
どこか雲がかかったように釈然としない」

同感だ。

「感染者数は連日、過去最多を更新し
ピークがみえない」

「国が何も対策をとらない分、
個人にのしかかる責任の重みが
一段と増した気分になる」

これにも同感。

「手洗い、換気の徹底、
マスク着用、ワクチン接種を、
と国も自治体も専門家も
“お願い”の大合唱」

「これで感染すると
不注意な自分のせいと罪悪感にとらわれそう」

「振り返ればいつの間にか、
わたしたちは国から
要請ばかりされていないだろうか」

さらに同感。

「先だっても予期せぬ猛暑で
電気が足りなくなるからと、突然、
節電への協力の呼びかけがあった」

「日本人は聞き分けがよい。
おとなしく従っている。
けれど改めて考えてみる」

「命を脅かす危機なのに”お願い”?」

「それって政策なのですか」

プーチンのように、
勝手に戦争を進める大統領は言語道断だが、
「お願い」ばかりの首相も困る。

日経新聞「大機小機」
硬骨漢のコラムニスト一直さん。
「日本の賃金はやがて上がる」

「失われた30年」は、
バブル崩壊以降の日本経済の長期停滞。

私は1989年1月1日付で、
食品商業編集長となった。

だから「失われた30年」の間、
ずっとEditor in Chief、
あるいは編集人、発行人だったことになる。

「この間、賃金も増えていない」

「岸田文雄政権は経営者に
賃上げを強く要請している」

でも、これも「お願いレベル」。

内閣官房発の、
「賃金・人的資本に関するデータ集」

新型コロナウイルス禍前の2019年。
「雇用者の実質賃金は、
1991年を5%しか上回っていない。
同期間に英国は48%、
米国は41%も増えている」

ではなぜ賃金が上がらないのか。
「生産性の低迷」か。

しかし、日本の労働者の生産性の伸びは
主要7カ国(G7)諸国の中で優等生なのだ。

ダボス会議の主催者K・シュワブ教授らの近著。
『グレート・ナラティブ』
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「(日本の)2007年以降の
生産年齢人口1人当たりの実質GDPは
G7のどの国よりも伸び率が高い」

働いている人々はしっかり成果を上げている。
それなのに賃金は上がらない。

内閣官房のデータ。
2000年度から2020年度にかけて
大企業の現預金は85%、
経常利益は91%増加したが、
人件費は0.4%減少した。

中小企業では現預金が50%増え、
人件費は16%減った。

この問題の解答は、
『人口大逆転』にある。
チャールズ・グッドハート氏らの近著。
ロンドン大学名誉教授。
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「この30年、
世界に門戸を開いた中国の労働力が
供給力を増やし、世界経済を
インフレなき繁栄に導いた」

「日本の企業は国内の労働力不足を
中国はじめ海外の労働力で補うという
合理的選択をした」

コラムニスト。
全産業レベルで見れば、
「国内での労働力不足を、
豊富な中国の労働力で補ったのだ」

「だから日本の労働市場の需給は
タイトにならず、したがって
賃金を上げる必要がなかった」

なるほど。

「しかし、その中国の生産年齢人口は
13年をピークに減少に転じた。
労働力の供給源としての中国の存在感は
減退せざるをえない」

「とすれば早晩、日本の労働需給は
引き締まらざるをえない」

「働く者の賃金が上がる時代が
やってくるはずだ」

働く人たちにとっては良いことだ。

そして消費需要は拡大され、
長期デフレは解消に向かうはずだ。

お願いレベルではなく、
これを政策に盛り込んで、
経済の循環を速めてほしいものだ。

それが速まれば商業にも、
賃金アップを回収する猶予が与えられる。

しかし、しかし。

回りまわって、
小売業の人手不足は、
相変わらず深刻さを増す。

そして残念ながら、
小売業淘汰の時代は進む。

したがって、
ローコスト経営体質を有する商業だけが、
生き残ることになる。

これは強く心に留めておくべきことだ。

ただしこのローコストとは、
売上げに対する経費率の低さである。

当たり前のことだが、
それも忘れずに。

まど・みちを「いわずにおれない」から。
アリ

アリは
あんまり 小さいので
からだは ないように見える

いのちだけが はだかで
きらきらと
はたらいているように見える

ほんの そっとでも
さわったら
火花が とびちりそうに・・・
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商業はまど・みちをの「アリ」のようだ。

「いのちだけが はだかで
きらきらと
はたらいているように見える」

ありがとう。

〈結城義晴〉

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