マンハッタンのとんがり店舗巡りと「一代目商人の一冊の本」

朝日新聞「折々のことば」
2月13日の第3577回。
一代目の商人ならだれでも
一冊の本が書ける。
(津野海太郎)
これには全面的に同感だ。
しかしここでいう「商人」とは、
就職もせずに、
大量宣伝・消費とは異なる売買の仕組みを
成立させようと苦心してきた人々のこと。
例えば花を「商品」にしたくなくて、
値札を外した花屋。
評論家・元編集者の海野は、
その「最良のあそび」のような空気に惹(ひ)かれ、
思わず買い求めた。
「こんな店が増えれば社会も
少しは生きやすくなろう」と。
〈津野の文集『編集の明暗』(宮田文久編)から〉

商売の極意は、
「値札を見ずに買える店」
そんな一代目の商人は例外なく、
一つの感動的な物語をもっている。
OICグループ2026NY研修第3団。
いよいよ佳境。
滞在3日目の今日は、
マンハッタンの飛び切りの店舗を巡る。
今朝は朝6時40分に集合して、
有志たちが2店の老舗ステーキハウスで
「朝ステーキ」を体験した。
講義は1時間遅れて、8時からスタート。
はじめにOICグループ理念の斉唱。
田中さんがリードして、団員たちがそれに続く。

続いてロピアの経営理念と7大用語。
団長の荒田さんがリードする。

体調はだいぶ戻ったが、
まだまだ咳が出ないかと心配しながら、
声を張り上げずに語った。

最後にポジショニング戦略。
ロピアの成長はこの戦略のお手本だ。
業種から業態へ、そしてフォーマットへ。
そのフォーマットは、
基本業態+ポジショニングによって、
それぞれの企業がつくることができる。
最後の講義もよく聞いてくれた。
感謝したい。
2024年10月に、
マンハッタン1号店として開業。
アスタープレース店。
地上1階・地下1階の2フロア。
1階は道路面から少し下がっていて、
店に入ると、売場が見渡せるつくりだ。

ストアマネジャーのジェアードさんと、
SAKANAYA担当のエイドリアンさん。
いつも丁寧にインタビュー対応してくれる。
自身のキャリアから、
店長としてこの店をどう運営しているかなど、
前回に増して丁寧に話してくれた。
ベーカリーの担当からマネジメントに転じて、
店長となって10年。

450人のアソシエーツがいるこの店で、
凄いリーダーシップと細かい配慮を見せる。
アスタープレイス店での実験的な試みは、
エイドリアンさんが担当する「SAKANAYA」だ。
彼は、日本の魚文化を、
このマンハッタンに根付かせようとしている。
そのあとはウェグマンズ全体、
そしてアメリカ中へ。

地下1階のSAKANAYAの売場では、
改めてエイドリアンさんが
最近の取り組みを話してくれた。

第3団の鮮魚チーフたちの質問にも、
一つひとつ具体的に答えてくれる。
鮮魚チーフたちとエイドリアンさん。
大きな刀のような包丁を持ちだしてきた。

SAKANAYAの売場の前でも記念写真。
ウェグマンズは一代目だけでなく、
二代目、三代目も物語が書ける。
イノベーションが何度も起こったからだ。
ウェグマンズを後に、
9.11メモリアルパークへ。
ワン・ワールドトレードセンターを望む、

この場所の意味を富澤由紀子さんが解説。
富澤さんはニューヨーク在住35年目、
ベテランガイド。
このツアーでは欠かせない人だ。
オキュラスは駅舎を兼ねる商業施設。
その前で静かに記念写真。
崩壊したツインタワー跡のプール。
亡くなった人は3000人にも及ぶ。

団員たちもレストランでランチ。
イタリアワイン1杯は、
研修中でも飲んでほしい。
食べ、買い、学ぶ店。
料理人のまな板の上にカメラがセットされて、
料理の手順を学ぶことができる。
イタリアの魚売場のそばには、
シーフードのイタリア料理店がある。
イータリー創業者はオスカー・ファリネッティ。
すでに一冊の本になっていて、
店舗に陳列され、販売されている。
最後はいつものように、
アッパーウエストサイドの4店舗を巡る。
ウクライナ系ユダヤ人のゼイバーズさんが創業。
こちらも本になる。
最大の売り物はスモークフィッシュ。
他の店にはない商品ばかりだ。
ゼイバーズベーカリーも大人気。
この店だけのパンを販売する。
魚売場はウェグマンズの、
日本流の本場の「SAKANAYA」とは違う。
ニューヨークのシーフードの売り方だ。
1940年、ネイサン・グリックバーグが、
青果店をオープン。
ここにも物語がある。
それが今も強みとなり、
ポジショニングとなっている。
そして終点は、
トレーダー・ジョー。
トレーダー・ジョーには、
ジョー・コロームの物語がある。
2層の店だがグロサリーのエンドは、
レギュラー店と変わらない。
地下2階から地下1階へ、
カートと一緒にエスカレーターで上がる。
アメリカ人はチキンが大好きだ。
そのプライベートブランドは多岐にわたる。
そして例外なくうまい。
われわれ日本人にもおいしく食べられる。
最後は銀行方式のチェックスタンド。
素早く顧客の清算をさばく。 
この店で視察は終了。
終章はやはりトレーダー・ジョーだ。
みんな自由研修に飛び回った。
そして 最後の夜も、
3208号室のスイートルーム。
コミュニケーション部屋。
手巻き寿司をいただいて、
ウェグマンズやトレーダー・ジョー、
スチュー・レオナード、ゼイバーズなどで、
買い込んだ食材をこれでもかと試食する。
Manhattanのとんがり店舗には、
いずれも物語がある。
一冊の本がある。
それが今、店に現れている。
物語を忘れた店は、
生き残ることができない。
(つづきます)
〈結城義晴〉











































