異常値を疑え。
「異常値販売」が大流行したことがあった。
あっちもこっちも「異常値、異常値」。
辟易するほどだった。
異常な数値が現れる。
それは問題の発生を意味する。
対応のオペレーションが必要になる。
さらに異常値を放置すると需要予測が狂う。
異常値を見逃すと在庫管理をミスする。
過剰在庫か、在庫不足かがわからなくなる。
さまざまな分析に齟齬が生じる。
店舗評価、商品評価を間違う。
場合によっては人の評価も誤る。
しかしブームを起こした「異常値販売」は、
通常はあり得ない状態を意図的につくれと促した。
経営資源を集中させて業績を跳ね上げよと命じた。
伸びているところを伸ばす。
これは業績を向上させるための王道だ。
それは自然な政策だ。
けれど意図的に「異常値」をつくろうと、
普通の会社がやらない施策を実行する。
極端な一点突破を試みる。
奇異な販促で異常値を出す。
特別の安売りで異常値を出す。
あの手この手で異常値販売を目指す。
それは平均的な店には効くかもしれない。
前年対比ばかり気にする会社には、
効果があるかもしれない。
だがウォルマートのEDLPは、
売上げの波動の波を減らすのが目的だ。
異常値づくりではなく高次安定が狙いだ。
そのための仕組みをつくる。
システムを構築する。
人財を育てる。
そんなマネジメント水準ができ上がると、
異常値を疑ってかかるようになる。
そして異常値には迅速に対応する。
年商50億円超のスーパーマーケット、
60億円に達する超繁盛店。
それらは異常値の集積の結果ではない。
誰も無理をすることなく、
普段通りに仕事をすれば、
驚くほどの成果が出る。
ドラッカーは言う。
「いい工場は静かである」
これは異常値販売の喧騒とは違う。
異常値を疑え。
異常値を問題視せよ。
その域に到達せよ。
〈結城義晴〉
























