結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年01月29日(木曜日)

持続可能な成長率と現実の成長率のかい離を知れ!

国際通貨基金(IMF)は、
今年の世界経済成長率を0.5%と予測した。  
これは、かなり確度の高い予測。

そして戦後最低の成長率。

21世紀に入ってから、2007年まで、
世界経済は平均3%ずつ伸びてきた。
そして昨2008年は3.4%の成長を果たした。

しかし今年は、急ブレーキををかけるごとく、
0.5%の成長率まで落ちる。

日本は、昨年がマイナス0.3%、今年がマイナス2.6%。
アメリカは、昨年プラス1.1%、今年マイナス1.6%。  

日本は、サブプライムローンで貨幣経済崩壊と思われているアメリカよりも、
実は、昨年、今年と、悪い。

輸出に頼っていた日本経済の構造が、
世界金融経済破綻の原因をつくったアメリカよりも、
全体の縮小の中で、強い打撃を受けているということ。

世界貿易量は昨年プラス4.1%、今年マイナス2.8%。

グローバリゼーションといったトレンドの中で、
世界の経済は密接に絡み合っていることは確かだが、
日本の経済が、他力本願過ぎたことは否めない。

自力で、経済を活発にし、
消費を活性化させる。

いや、経済と消費は、コインの裏表みたいなものであるから、
これらを自力で、回していく必要がある。

米国第44代大統領バラク・オバマの「新しい責任の時代」という言葉。

自力の消費と経済は、
「元気」のようなもの。
「自分で生み出せる」  

そう、元気は自分で何とかなる。

だから、元気を出そうよ。
それがあなたの仕事です。

こうなる。
しかし自分で生み出せるものには、責任が生じる。
それを忘れてはいけない。

さて、昨日もペガサスクラブ政策セミナー。
東京・グランドプリンス赤坂。
昔の赤坂プリンスホテル。
その五色の間。

今日の講師のおひとりは、高山邦輔先生。  
商業問題研究所所長。

74歳になられた。

私は、駆け出しのころから高山先生にはお世話になった。
ずいぶんと店舗クリニックをご一緒した。
津田沼戦争の分析は、鋭くて、的確だった。

1978年には、全米視察ツアーにもご一緒した。
高山先生がコーディネーター。
弱冠26歳の私が、㈱商業界代表。

ロサンゼルスから入って、カンザスシティ、シカゴ、
そしてニューヨーク、サンフランシスコ。

このとき、90年代対策店舗の前の、
すなわちエブリデーロープライスを始める前のウォルマートを訪れた。

ドイツから参入したばかりのアルディ第1号店も取材した。

ニューヨークの百貨店ブルーミングデールは、
世界のホットファッションをリードしていた。

その高山先生の講義は、
「財務問題・持続可能な成長率」。  
あなたの会社、あなたの店の、持続可能な成長率を知ることができる。
その持続可能な成長率と実際の成長度を比較する。
そして今後の政策を立てる。

これが、可能なのだ。

そんな、講義。

では持続可能な成長率は、どうやって求めるか。
まず、4つの指標を出す。

①売上高当期純利益率P(%)  
これは売上高対比の経常利益率でもよい。

②総資産回転率Α(回)  
貸借対照表の総資産を分母に、売上高を分子にして求める。

③内部留保率R(%)  
株式の配当性向を1から引き算する。

④財務レバレッジT(倍)  
レバレッジとは、英語で「梃子(てこ)」の意味。
株主から提供してもらった資本を梃子にして、総資産をいかに拡大したかを、
財務上のレバレッジという。
総資産を株主資本で割り算して求める。
100億の金を借りて300億の売上げにするとレバレッジ3倍。

そしてこの4つの指標を掛け算する。

持続可能な成長率をαとすると、

α=P×A×R×T
=RT×ROA  

ROA(リターン・オン・アセット)は総資本対経常利益率。

内部留保率と財務レバレッジは、企業の財務方針によって決まる。
ROAは企業業績の総括である。

RTとROAの積が、企業が自己資金でまかなうことができるラインとなる。

これをグラフ化する。

そして自己資金でまかなうことができる数値と現実の数値との比較をし、
資金手当てをしつつ、政策を立てる。

小売業・サービス業は日銭が入るから
製造業とはキャッシュフローが違う。

しかし企業は 営業の成長とともに、財務の成長が必須。

今年、経済成長がマイナスになり、
営業の成長が見込みにくいとき、
財務上の安全性・安定性は、
企業存続のために欠かせない。  

高山先生は「成長を買う」という言葉を何度も使った。
内部留保と財務レバレッジ。
持続可能な成長率と、実質成長率のかい離を調べて、議論する。

来期の予算組みの時期。

高山先生の指摘は、忘れてはならない。

一方、82歳の渥美俊一先生、すこぶるお元気。
3時間の講義。

声にも張りがあって、内容も、当然充実。

こういったセミナーで、
苦境を慰めあっていたり、
昔話に花を咲かせたり、
精神論できれいごとを言っていたのでは、
問題は解決しないし、
だいいち、「本物の元気」も出てこない。

渥美先生の檄。
①商業においては、住民がいる限り、
生活必需品需要の大幅減退はない。  

「だから買われるのは、ベーシックアイテムのみ」

②現時点での緊急教育対策を起動せよ。  
いま、良い人材を集め、人材の棚卸しをし、教育する。
これは若手教育ではない。
40代と50代、そして30代。

元気の出る「政策セミナ―」だった。

自力本願の仕事をすべき時だ。
それが「あなたの仕事」である。

<結城義晴>


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