結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年10月19日(月曜日)

故加藤和彦のモットー「同じことは二度とやらない」を思う

Everybody! Good Monday!  

2009年10月第4週です。
横浜は、さわやかな秋真っただ中。

これから各地で紅葉のシーズン。
「日本人に生まれてよかった」  

今日の私の朝食は、マグロの漬け丼にシジミのみそ汁。
「日本人に生まれてよかった」  

食欲の秋、スポーツの秋、読書の秋。
それぞれに楽しめて、
みんなが楽しめる。

これは、お店と似ている。

一人ひとりの顧客が、
それぞれに必要な商品やサービスを享受できて、
その上で、みんなが満足する。

これを称して、言う。
「マス・カスタマイゼーション」。  

だから今、店には、揃っていなければいけない。

それぞれの食欲の秋。
それぞれのスポーツの秋。
それぞれの読書の秋。

その商品とサービスが。

例えば、食品を扱う店は、
食欲の秋は、中核商品、中核サービスとなる。
しかし、スポーツの秋の食品、
読書の秋の食品も、
必須。

メタボリック・シンドロームの顧客は、
スポーツの秋向けの食品にこそ、
最大の関心を寄せるはずだからだ。

さて何度も書くが、
アメリカでは秋から冬にかけて、
三段階プロモーションで盛り上げる。
10月31日のハロウィン。  
11月第4土曜日のサンクスギビングデー、
12月25日のクリスマス。

日本でも、ハロウィンの風習が広がってきた。
だからいま、ハロウィン向け販促に取り組みたい。

収穫への感謝と悪魔払いのお祭り。
米国では子供たちが仮装して、
家々をまわって、
「Trick or Treat」と叫ぶ。

trickは「いたずら」
treatは「ごちそう」
だから「Trick or Treat」は、
「ごちそうしなけりゃ、いたずらするぞ」  
といったニュアンスとなる。
子供のごちそうは、お菓子。

日本では不況の中の今年、
メーカーによるハロウィン向け菓子商戦が盛んだ。

主力商品のパッケージが、
ハロウィン特別仕様に変えられて発売されている。
それがまた、売れている。

ロッテは9月15日から期間限定で、販売開始。
「コアラのマーチ」「トッポ」「クランキー」「チョコパイ」。
紫色とオレンジ色を基調にした統一パッケージには、
「ジャックランタン」というカボチャお化けなどが描かれている。

森永製菓のハロウィン仕様は、2009年9月9日スタート。
「チョコボール」「パックンチョ」「ハイチュウ」など11種類。
「チョコボール」はキョロちゃんがハロウィンの衣装で仮装。

江崎グリコは、「ポッキー」「プリッツ」など売れ筋定番4アイテムを、
ハロウィン仕様にして販売している。
「ポッキー」のハロウィン使用商品は2006年から。

アメリカ、カナダの菓子業界、流通業界では、
バレンタインデーやクリスマスに匹敵するイベントとして、
位置づけられている。

日本の菓子業界でも、ハロウィンの市場規模は、
この2年間で4倍に成長したとの予測がある。

秋真っ盛りの「収穫祭」イベント。
必ず、ここに顧客を楽しませる「テーマ資源」がある。
そして不況の今、顧客たちは、
ささやかな楽しみ、
子供を中心にした喜びを、
渇望している。

それに応えない小売業など、
考えられない、ありえない。

今日の最後は、お悔やみ。
加藤和彦さんが、鬱病で、自殺した。  
軽井沢の万平ホテル。

ザ・フォーク・クルセダーズ、
サディスティック・ミカ・バンドなどで、
新しい音楽の世界を切り開いた。

「あの素晴らしい愛をもう一度」、
「帰って来たヨッパライ」など、
きたやまおさむとのコンビで作った曲が有名だが、
私は「悲しくてやりきれない」が好きだ。
サトーハチロー作詞、加藤和彦作曲。
「イムジン河」という隠れた名曲が、
南北朝鮮分断に対する政治的配慮から発売中止になった。
加藤は、この措置に憤りを感じ、
「イムジン河」のコード進行を反対にして、
「悲しくてやりきれない」を作ったといわれている。

その加藤和彦のモットー。
「同じことは二度とやらない」  

この自己規制が、彼に死をもたらした。

盟友きたやまおさむが、朝日新聞に書いている。
「お前は目の前のものを適当に食べるけど、
ボクは世界で一番おいしいケーキがあるなら、
全財産はたいてもどこへだって飛んでいく」
加藤は、きたやまに、そう言っていた。

「加藤が日本の音楽界にもたらしたもの、
それは『革命』だった。
作品だけでなく、彼の生き方ややり方が新しかった」

「後ろは振り返らない、
そして同じことは絶対にやらない、
というモットーを貫き通した彼は、
おいしいケーキを食べるために全財産をはたいて、
また手の届かぬところに飛んで行った」

現在、精神科医の北山修は、
きたやまおさむにしか分からない世界を、
率直に語った。

ご冥福を祈りたい。

「同じことは二度とやらない」  

加藤和彦ほどではなくとも、
顧客の期待を超越するために、
少しでも、毎日、進化して、
同じことは二度とやらない。

私たちに、課せられた命題でもある。

Everybody! Good Monday!  

<結城義晴>  


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