結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年11月30日(月曜日)

「口は一つで耳は二つ」⇒少しだけしゃべり、たくさん聞くためだ。

Everybody Good Monday!  

2009年11月30日、最後の日です。
明日から、今年最後の月・師走。

そんな12月に、
大変なことになってきました。
世界の金融経済。

ドバイのバブルがはじけかけて、
それが世界株安連鎖につながった。

1929年10月24日、
「ブラックマンデー」に始まった世界恐慌も、
ニューヨーク証券取引所の株式暴落が端緒となった。  

アメリカ株式市場のパニックが、
次々と他国へと波及し、
結果として世界的規模に広がった。

このときのアメリカ株式市場は、
1924年中頃からの「投機を中心とした資金」の流入によって、
実は、長期上昇トレンドに入っていた。

投機バブルが、世界恐慌の原因であった。  

それからちょうど80年経過した現時点の世界連鎖株安は、
波及スピードが想像もつかないほどの瞬時性をもっている。

だから油断がならない。

投機や株式の恐慌的低落は、
経済不安を促し、
消費不安へと飛び火する。  

人間はいったい、歴史から学習しているのだろうか。
成長を遂げているのだろうか。

こんな時に、私たちがやらねばならないこと。
それは自分の城を守ることだ。  

大統領や首相は自分の国を守る。
社長・会長は自分の会社を守る。
店長は自分の店を守るし、
一人ひとりは自分の仕事や自分の家を守る。

なにかを守る時に必要なのは、
とにかくそこに存在することだ。

デンと居続けることである。

この12月、私たちは、
現場に居続けねばならないと思う。
今週も、来週も、その次も、
私たちは顧客とともに、仲間とともに、
自分の現場に居続ける。

現場には、世界恐慌を引き起こした投機的な要素がない。
現場にあるのは確かなものだけだ。

それを体で感じ取り、自ら確かな仕事を果たしていく。
それが今週の、そして今年の12月の私たちの姿勢である。

今日からの1カ月は、
とても大切な日々である。
これまで以上に、自分の現場から、
学びとることができる日々。

その12月の心構え。
故上野光平先生の『自己啓発のすすめ』  
そのあとがきは、以下のようにまとめられている。

「学ぼうと思えば、誰からでも学べる」  
それがこの12月には、自分の現場にこそある。
「ごく普通の人が、それと知らずに他人に教えてくれる」

さらに、上野先生は続ける。
「我々の耳は二つで、口は一つだ。
つまり少なくしゃべり、たくさん聞くためだ」  

12月こそ、たくさん聞く1カ月だ。

「不正確な知識は、無知より始末が悪い」  
つまり「愚かな人ほど教えたがり、賢い人ほど学びたがる」

「教育とは他人が考えたことを教えるのではなく、
どう考えたらよいかの方法を教えること」

従って、
「本当の勉強とは、
学んだものをすべて忘れてしまった後でも、
なお自分に残っているものをもつこと」である。  

激動の12月。

浮かれることなく、
現場に根を下ろした仕事をしたい。

それが、私たちに本当の「学び」を教えてくれる。

Everybody Good Monday!  

<結城義晴>  

2009年11月29日(日曜日)

ジジの試食[日曜版]

ボクは、
うとうと、
していました。
1
最近の定位置。
椅子のうえ。

ふと気がつくと、
なにか、届いたようです。
2
いったい、
なんでしょう。
3

届けられたのは、
ボクの食事。

「銀のスプーン」といいます。
ユウキヨシハルのおとうさんへ。
届けもの。
g
左の大きいのが、
ビスケット。
右上がゼリー、
右下が缶詰。

さて、どんな味なのか。
a
ビスケットのフクロを、
開けてもらいました。

ボクは、生まれたときから、
ビスケットしか食べません。
それも「シーバ」というブランドだけ。

ときどき、おとうさんがワインを飲むとき、
チーズをひときれ、もらってべたりしますが。

こんかいは、
おとうさんのすすめもあって、
新しい味を、
試食することにしました。

ボクは、いちおう、
新しいものには、
キョーミがあります。
b
ビニールのフクロを開けてもらったら、
新しいにおいが、してきました。

ちょっと、かんがえます。
1

試食しなければならないことは、
よくわかっているんですが。
2
すこし、まよいます。

ニンゲンもネコも、
食べることには、
「保守的」です。

「コンサバティブ」というそうです。
3

でも、おもいきって、
食器に、鼻づらをつっこむ。
4

「んー」
5

もいちど、鼻づらをつっこんで…。
6

「バリバリバリ」
7

もいちど。
8
「バリバリ」

「むむっ」
9

「バリ…バリ…」
10

「……」
11

「ああ、コンサバティブ!」
12

「さて、さて、どうしたもんだ」
14

「でも、ありがとうございました」
13

「ごちそうさまでした」
15

かくて、ジジの試食はおわりました。
スギヤマさん、ありがとう。

缶詰とゼリーは、
やはり「ノー」でした。

ビスケットは、
食べました。
シーバとの併用になるようです。

ジジは、保守的です。

生まれてこのかた、
ひとつのメニューしか食べたことがありません。
そのジジが新しい味を受け入れたことは、
かなり大きなチェンジです。

人間も、同じようなものかもしれませんが。

<『ジジの気分』(未刊)より>  

2009年11月28日(土曜日)

ドバイ・バブルからの世界連鎖株安と矢沢永吉の二つの重責

今週は、商人舎ホームページのお知らせWEEK。
[商人舎ホームページ探索紹介シリーズ第4回]の今日は
ホームページの一番上にある
「商人舎行動カレンダー」
意外にこのカレンダーのアクセス数が多い。
このカレンダーをクリックすると、
結城義晴の講演・研究会、勉強会などの行動予定や、
各協会の公式行事が分かるようになっている。

立教大学大学院ビジネスデザイン科の講義やゼミ、合宿の予定も、
できるだけ入れるようにしている。

その行動予定や行事の日付をクリックすると
テーマ、時間、場所などの詳細がわかる。
できるだけ、丁寧に記載するようにしているので、
各協会の広報担当の方は、
公式行事案内を、ぜひ、商人舎までお送りいただきたい。

もう一つは、この毎日更新宣言を、
毎日ご覧になれない方、
まとめて見たい方にお勧めなのが、
「1週間分をまとめて見る・読む」の青いボタン。
記事の最初と最後の2箇所にある。
まとめてみると、結城義晴が、
今週、何を考え、どう行動したかが、
また違った視点で見えてくる。
ぜひ、お試しを。

さて、ドバイの信用不安を契機に、
世界に、株安の連鎖が起こっている。  

主要株式市場が軒並み下落。

27日の日経平均も、輸出株の急落を受けて
301円安の9081円52銭。
約4カ月ぶりの安値水準。

円高はさらに進み、
早朝には一時、1ドル84円台に急騰。
藤井裕久財務相が円売り介入をけん制したため、
86円台に戻したが、円高基調は強い。

われわれ現代人は、
何度バブルを経験したら、
済むのだろう。  

自分で経験して、
痛い目に逢わねば、分からないし、
経験したことでも、
他人のこと、他国のこととなると、
ぎりぎりまで感知しない。

ドバイも、明らかに、バブルに踊っていた。
それが、一昼夜のうちに地球を回り、
世界株安連鎖。

この世界レベルの無自覚感が、
私は、恐い。  

さて、矢沢永吉。
それこそ「世界のYAZAWA」  
日経新聞の連載第4回。

「両肩に食い込む二つの重責」  
シンガー矢沢と総務部長・矢沢永吉。
後者は、「チームYAZAWA」を統率する職責。

チームの全員が彼を呼ぶ。
「ボス」と。

バンドメンバー、舞台演出家、舞台監督。
それに事務所スタッフ。

「しばいて、しばいて、上に上がる」
ジャパニーズスタイル。

総務部長スタイルは全員に「染み渡っている」という。

矢沢がつくったのは過去300曲。
「作曲家の仕事は、微妙な振幅具合を創意工夫し、
決定、記録すること」
矢沢には、この仕事はなんら苦にならない。
しかし、作詞は、矢沢にとっても楽ではない。
矢沢は、自ら言う。
「詞がバリバリ生まれるような才能がないんだね」
謙虚というか、自分を知っているというか、
とにかく、驚かされる発言。
「メロディーはバカバカできるんですよ」
だから作詞家との交渉事が、
総務部長を兼ねる矢沢の仕事になる。

「こっちに強いものをつくるんだという意識があるから、
妥協しない気持ちで行く」

「俺、我慢しない永ちゃんだからね」

ライブ制作、自主興行、外国人招へい、ライセンス取得、
そしてキャラクターグッズ管理など、
矢沢永吉が先駆けとなって、
現在の音楽界の常識となったことは多い。

日本レコード協会・石坂敬一会長がコメントする。
「矢沢氏は経営者であり、
哲学者、一種のカリスマ的リーダーの顔をもつ。
もちろんまぎれもないロックンローラーだ」

その矢沢の言葉。
「こんな時代、誰が想像しました?  
インターネットの時代ですよ。
リスナーが自宅でダウンロードできる。
盤が売れない時代ですよ。
流通を持って、
おれたちはメーカーでございますって時代は、
崩壊しつつあるんです」  

矢沢永吉、還暦にして、
ますます燃える。

二つの肩書は、私も同じ立場。
矢沢のエネルギーは、私にも伝染する。
心から感謝。

<結城義晴>  

2009年11月27日(金曜日)

1ドル86円・株価9100円と「総合スーパー」中間決算「減収赤字」

あっという間に週末。
今日も、最初にこのホームページのお知らせ。
[商人舎ホームページ探索紹介シリーズ第3回]  
この商人舎ホームページの右段「オススメ新着ブログ」には、
Today!金曜日恒例「林廣美の今週のお惣菜」。
「蒸したてシューマイ カニあんかけ」  
不況になってから、こってり系の惣菜の提案が続きます。

惣菜マーチャンダイジングの最高峰・林先生の持論。
「不況期には低価格のタンパク源が売れる!」  

本ホームページ右段は「オススメ新着ブログ」の下に、
「毎日更新宣言カレンダー」があります。
現在は11月のカレンダー。
その日の数字の上をクリックすると、
その日のブログに飛びます。
例えば、11月1日を押すと、
日曜日ですから「ジジとスローフード」がでてきます。

さらにその下の「毎日更新宣言月別表示」を押すと、
時系列の月別リスが現れます。
2009年11月が最新で最上段、
2005年4月が最古で最下段。
ちなみに「2005年4月5日の記事」は、
「アメリカとれたて最新情報」というタイトル。

さらにその下には「Blogカテゴリー」の項目があって、
23のカテゴリーに分かれています。

毎日の更新宣言のブログは、必ず、
どれかのカテゴリーに入るようになっています。
だからこのカテゴリーを開くと、
まとめて、連続でその内容が読めるようになっています。

その下に「最新Blogリスト」と「最新Blogコメント」。  
そして「スタッフ日記」となります。
スタッフ日記は、現在、
この10月の第4回商人舎USA小型店研修会報告最終回。

今後、第5回アメリカ研修会報告に入ります。

右段最後は、「知識商人対談」最新刊のお知らせ。

右段だけでも、たくさんのコンテンツがあります。
ときどき覗いてみてください。

「アッ」という発見や、
「ふーん」という納得があります。  

さて、昨日から、
「円高が進み1ドル86円台へ急上昇」。  
日経新聞は昨日の夕刊でも一面トップ、
今朝の朝刊でも当然ながら、一面トップ。
「14年4カ月ぶりの高値」

「円の対主要通貨実力を示す実効為替レートも約9カ月ぶりの高水準」

「にわかに円独歩高の様相」  
それが「緩やかなデフレ局面に陥った日本経済に深刻な打撃」を与える。

日本経団連の御手洗冨士夫会長は、
「がけっ縁に立っている」と発言。

東証の日経平均株価も9200円を切って、
9100円台まで下がった。

円高が進み、株価が下がる。  
それが景気の悪化を招き、賃金や雇用に影響を与える。

何よりも、消費マインドを消極的に変える。
これがいけない。

経営の感覚と消費の感覚とを、
同じに考えてはいけない。

作家・安土敏さんが、
「法人円と個人円」と表現してくれた。
法人円とは、バブルの時の会社経費で使う金。
個人円とは、その時の個人払いの金。

3倍から5倍は法人円のほうがバブリーだった。

それがデフレになる。
すると法人円の縮み方は大きい。
個人円は、法人円が「がけっ縁」のときにも、
節約志向であるものの、
落ち込みは少ない。

ここに、私たちの希望がある。

消費の感覚を経営に活かす。
それが商業であるし、
消費財産業、サービス業である。

円高が進む、株価が下がる。
しかし、どっこい消費は底堅い。  

これが日本経済全体からみると、
日本の強さでもある。

さて昨日は、
商業経営問題研究会11月例会。  
r1
午後1時半から、東京・芝の機械振興会館。

和田光誉さんのご報告。
r2
和田さんは、長らく長崎屋の広報を担当されていて、
私はもう30数年のお付き合いになる。

その和田さんの視点は、「GMS中間決算値」から見出される傾向について。

日本でGMSといわれる総合スーパー企業の今回の中間決算は、
惨憺たるものだった。

イオン・リテール、イトーヨーカ堂、ダイエー、ユニー、
イズミ、平和堂、イズミヤ、フジ、イオン九州とイオン北海道。
この10社の2009年8月中間期営業収益総計は3兆3393億円。
しかし営業利益は、ひどく落ち込んだし、
全社とも既存店は前年割れ。

2007年8月期中間決算から2008年8月期、
そして2009年8月期の中間決算を比較する。

すると、「増収増益⇒増収減益⇒減収赤字」と変化する。

これが和田光誉さんの分析。

さらに粗利益率は、10社ともに前期比マイナス。
10社平均で26.4%で、前年対比マイナス0.9ポイント。
販売費・管理費平均は28.6%で、こちらはマイナス0.1ポイント。

従って、粗利益-販売費・管理費=マイナス1.8%  

すなわち総合スーパーの店頭商売は、全社平均で赤字となる。

企業別にみると、この数字が黒字になるのは、
広島に本拠を置くイズミと松山に本部を要するフジだけ。

イズミは粗利益29.7%で、販売費・管理費22.3%。
フジは、25.0%と24.3%。  

全員での討論は、
「もうGMSはだめな業態なのか」というところに達した。
そして「この業態を蘇生するには、どんな手立てがあるか」となった。

最後に、その方法論を、
商業経営問題研究会として研究し、
何らかの提言をしようということになった。
r3
私は、最後に発言した。

第一に、イズミとフジ、さらに沖縄のサンエーを加えて、
利益を出し続けている総合スーパーの検証が必要であること。

第二に、欧米の市場とハイパーマーケットの研究が必要であること。
アメリカのウォルマート、フランス本国のカルフール、
さらにイギリスのテスコ・エクストラ(4600~9200㎡ハイパーマーケット)。
これらはみな、好調である。
その上で、日本の競争環境を考慮して、
総合スーパー業態の蘇生法を提案したい。

ただし、私の考える鉄則がある。
「衰退業態は、立地が極端に限定されてくる」  
しかしこの適正立地の店ならば、衰退業態といえども、
繁盛することができる。

もちろんマネジメント、マーケティングにおいて、
ある一定以上の条件を満たさねばならないが。

総合スーパーも百貨店も、小売業である。
従って、円高・株安の景気の影響を受けるが、
経営感覚と消費感覚は違うもの。

消費感覚のうえに成り立つビジネスである限り、
その業績低迷を、景気悪化のせいにするわけにはいかない。

<結城義晴>  

2009年11月26日(木曜日)

「エントロピーの法則」とユニクロと柳井正の「インテグリティ」

今日も、最初にこのホームページの使い方のお知らせ。
[商人舎ホームページ探索紹介シリーズ第2回]  
この商人舎ホームページの右段には、
まず最上段に、写真が二枚掲載されています。
これは、アットランダムに、回っていて、
誰にもどんな写真が載るのかわかりません。
写真自体をクリックしていただくと、
その写真の載った日のブログに飛びます。
関心のある写真がでてきたら、
是非クリックしてみてください。

その下には、「今月の標語
昨年6月から、もう18の標語を発信しています。
今月はあと1週間ですが、
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」  

今月の標語の下には、
アメリカ研修会や各種セミナーのお知らせ。
現在はCDオーディオセミナー「知識商人登場」のお知らせと、
12月2日に迫った「有機質資源の利活用多様化がもたらすもの」のセミナー、
そしてアメリカ視察ブログの集大成コーナー[これは面白いですよ!]、
そして「アメリカ視察者の声」コーナーがあります。

そしてその下に「新着ブログ」のコーナーが出てきます。
ここでは、
Today! New!の文字が入ったものが新しい。

Today!は24時間以内の新着、
New!は72時間以内の新着。
そのボタンをクリックすると、ブログに飛びます。

今日は、RMLC(商業経営問題研究会)の10月報告が、
ふたつToday!となっています。

もちろんこのページを最下段までスクロールすると、
さまざまなボタンがでてきて、
それを押すとブログに飛ぶようになっています。

是非是非、お楽しみください。
皆、真剣に、まじめに、精魂傾けて、
ブログを書いています。

よろしくお願いします。

今日は、
その商業経営問題研究会11月例会。  
午後1時半から、芝の機械振興会館。
もちろん私は、出席します。

さて昨日は、一日、有意義な会議。
最後に私は、ピーター・ドラッカー先生の「エントロピーの法則」を語った。

「エントロピーの法則」とは、
「物質とエネルギーは混沌と荒廃に向かってのみ変化していく」というもの。  

これもアナロジーだが、ドラッカーは言う。
「人の手になるあらゆるものが、
このエントロピーの法則を逃れえない」

このエントロピーの法則に、
立ち向かうことこそが企業の役割であり、
それこそがイノベーションである。

昨日の日経新聞の「世界経営者フォーラム」再録版。
ファーストリテイリング会長兼社長柳井正さんの発言。  
日経はこれ、何度も何度も使うが、
その都度、読んでしまう。
これこそ、商売の常道。

その柳井発言は、
日本の1980年代以降を、
「経済的な第二の敗戦」と斬って捨てた。
80年代以降の20年以上、
GDPにほとんど成長が見られないからだ。

「頑張らない社会や個人に未来はない」  
柳井さんは、言いきる。

「日本の社会や企業はちょっとした成功で慢心」した。
「安全や安定を求めるのは停滞、衰退と同じだ」

ここで語られているのは、まさしく、
「エントロピーの法則」に立ち向かうイノベーションである。

先週11月21日の土曜日から、
ユニクロは60周年感謝セールを始めた。
10億円キャッシュバックのセール。
1万円ずつ10万人の顧客に還元する。

午前6時の暗いうちに店を開けた。
これは1984年に、広島でユニクロ1号店のオープン時と一緒。

朝食を食べずに開店を待って、
ならんでくれた顧客に、パンと牛乳を配った。

これも25年前と同じ。

写真は、敷島製パンの田中文夫さんからのご提供。
田中さんは、私と同期の昭和27年組で、
熱烈な商人舎ファミリー。

田中さんのメールは、以下のように報告してくれた。
「自宅近くのユニクロに5時半ごろ出陣。
見事に出遅れ、軽く500名以上は並んでいました。
既に先着限定整理券は無理とわかっていながら、
皆さん楽しそうに静かに並んで、
開店を待たれていました」

「ユニクロを認めるお客さんが、
まさに開店60周年を祝う為に、
集まっているように感じました。
激安スーパー、激安家電のオープンとは、
全く異質の雰囲気。
それはユニクロの感謝の心が表れた企画だからですね。
大変な企画だからこそ、当日の混乱を予測して、
周到準備をされていた。
ユニクロの社員さんが輝いていました。
混乱一切無し、見事でした」

「ユニクロ 19時からの先着限定販売整理券は、
見事にゲットしました。
朝・昼・夕と三回 店に行きましたから」

柳井さんは、語る。
「世の中には高くて良い服と、
安くて悪い服しかなかった」
この常識を破り、
「安くて良い服」をつくった。  

「我々ほどまじめに服をつくり、
販売している企業はない」
柳井さんの言葉は、言葉だけのものではない。
本当に、そう考えている。
これほど「まじめな企業」はない。

この「まじめさ」をインテグリティ(integrity)という。  

最後に柳井さんは、述懐する。
「商品を売る前に、店を売り、企業を売る」  
だから朝6時前から並んでくれたお客に、
パンと牛乳を配る。

「人の手になるあらゆるものは、
混沌と荒廃に向かって変化する」  

それに抗することこそ、
イノベーションであり、
それを支えるものは「徹底したまじめさ」である。

「integrity」という。  

<結城義晴>

2009年11月25日(水曜日)

谷川俊太郎の「詩情」を商売に持ち込め!

最初に、お知らせ。
[商人舎ホームページ探索紹介シリーズ第1回]  
この商人舎ホームページは、
商業・サービス業のための総合サイトを目指しています。
従って、[結城義晴の毎日更新宣言]は、
一応の看板ではありますが、
さまざまなブログの集積を図っています。

いわば、ブログのショッピングセンターのようなもの。

そこに、先週末から、新しいブログが登場しました。
このページをずっとスクロールして、
一番最後にボタンが並んでいます。
そこから選んでください。

新しいブログのタイトルは、
「中山政男が叱る!間違いだらけのPOP!!」 

日本商業のPOPに関する指導では最高権威の中山政男先生。
その渾身の「POP講座」
中山先生の持論は、
「POPは物言わぬセールスマン」  
中山先生は語ります。
「近頃、POPを見ていて胸やけのような症状が続く」  
「ふと思いだしたのは、以前、月刊『食品商業』(商業界刊)で、
結城社長が書いた「POPが危ない!チラシがやばい!」と
題した企画ページの内容だった」

中山先生のブログ。
役に立つし、考えさせられる。
是非のご愛読を。

もうひとつ、お勧めブログ。
82歳の飯能の仙人・杉山昭次郎先生のブログ。
杉山昭次郎の「流通仙人日記」
(正式には「ときどきエッセイ」というが私は勝手にこう言っている)

SMの競争力強化の視点第30回「トライ&エラー」  

「目標も手段も特定化することのできない条件のもとで、
手探りで問題解決を図ろうとするアプローチの方法を、
トライ・アンド・エラー(試行錯誤)という」  

「スーパーマーケットはもともと、
トライ・アンド・エラーを続ける社会機関なのである」

さて、日本チェーンストア協会の10月の発表。
朝日新聞も日経新聞も、
「スーパー売上高」と見出しで表現するから、
日本中の「スーパー」と勘違いされてしまうが、
これは「主に総合スーパーの売上高」と考えた方がいい。

その「総合スーパー」を中心とした10月の動向は、
既存店前年同月比マイナス5.2%。
2009年の売上高推測は、13年連続減少。
これは、極度の衣料品不振の「総合スーパー」のこと。

商業統計で分類される「食料品スーパー」ではないし、
もちろん「衣料スーパー」「住関連スーパー」ではない。

2010年初めから食品スーパーマーケットの統計が、
集計され発表されることになっている。

総合スーパーの売上げが減じている一方、
株価は、日経平均5日連続の「続落」で9401円。
7月17日以来4か月ぶりの安値を付けた。

米国市場ではダウ平均が130ドル超の値上がりで、
年初来、最高値をつけた。
「日本の一人負け」の様相。

さらにアメリカの7月・8月・9月の第3四半期GDPは、
2.8%のプラスだった。

「厳しさ」を覚悟しておかねばならない。

今年6月の商人舎標語を覚えていらっしゃるだろうか。
「最悪を覚悟して、最善を尽くす」  

さて、今日の日経MJの面白いコラム。
読まれた方も多いと思う。
オラクルひと・しくみ研究所の小阪裕司さんの「招客招福の法則」
小阪さんが、食品スーパーマーケットの店主から聞いた話。
その店では、賞味期限が近づいた商品を1カ所に集めて、
見切りコーナーを設けて、見切り販売をしていた。
そのコーナーのPOP広告に書いた文句。
「あと少しの命です。お助け下さい」  

このPOPをつけた後、顧客の行動に変化が表れた。
「笑顔でちゅうちょなく買ってくれるようになった」

見切り品を1カ所に集めてコーナーをつくることには、
賛成しかねるが、このPOPの文句は、
「顧客の気恥ずかしさ無くす言葉」と、
このコラムのタイトルになって、
評価され紹介されている。

一方、今日の朝日新聞のオピニオンのページには、
谷川俊太郎さんが出ている。
私の尊敬する詩人。
「詩はどこへ行ったのか」  

「詩は、ミニマルな、微小なエネルギーで、
個人に影響を与えていくものです」
「権力や財力のようにマスを相手にするものじゃない」

商売にも、「詩」の要素がある。
特に現場には。

見切りのPOPが「詩」であるとは言わないが、
「詩」のようなものであると思う。

一粒の砂に 世界を見
一輪の花に 天国を見る  

谷川さんは、ウィリアム・ブレイクを出発点にしている。

「人間を宇宙的存在と社会的存在が、
重なっていると考えるとわかりやすい」

「生まれるとき、人は自然の一部。
宇宙的存在として生まれてきます。
成長するにつれ、言葉を獲得し、教育を受け、
社会的存在として生きていかざるをえない」  

「散文は、その社会内存在の中で機能するのに対して、
詩は、宇宙的存在としてのあり方に触れようとする。
言葉に被われる以前の存在そのものをとらえようとする」

「秩序を守ろうと働く散文と違い、
詩はことばを使っているのに、
ことばを超えた混沌にかかわる」

「あと少しの命です」が「詩」かどうかは、
意見の分かれるところだが、
現場にも谷川さんの語る「ポエジー」が必要なことは確かだ。

ポエジーとは、「詩情」のこと。

それは、さまざまなところにある。
絵画にも音楽にも舞踊にも。
そして「コミックスの中だったり、テレビドラマ、コスプレだったり」

だからスーパーマーケットのPOPの中にも、
詩情があってよい。
いや、ポエジーこそ、
そこに求められているのだ。

店には散文と詩とが同居していなければならない。

詩情、ポエジーのあるPOP。
詩情、ポエジーのある売り場。
詩情とポエジーのある店。

そんなところでは、
中山先生の「胸やけのような症状」は、
起こらないに違いない。

<結城義晴>  

2009年11月24日(火曜日)

「ダーウィン進化論150周年」と進化の帰結の人口減少

Everybody! Good Tuesday!  

勤労感謝の日が終わって、
いよいよ年末モードに邁進です。

昨日、一昨日と、
メールやこのブログへの投稿にご返事する間もなく、
忙しく動き回っており、
失礼しました。

今日、明日は、
非常勤取締役を務めている会社の役員会や、
顧問をしている会社の連続会議で、
フィールドワークとなります。
私にとって、とても重要な月末の恒例の仕事です。
会議も、現在の私にとってはフィールドワーク。  
現場を知ること、現場を体験することに直結しているからです。
ありがたいことだと感謝しています。

さて、昨日は「進化論150周年」の日でした。
朝日新聞が、わざわざ社説を使って、
「ヒトの未来を見つめなおす」と、
問題提起しました。

チャールズ・ダーウィンの『種の起源』発刊が、
150年前の11月23日だったそうです。  

一番強いものが生き残ったわけではないし、
一番賢いものが生き残ったわけでもない。
変化に対応したものだけが、生き残った。

経営者やコンサルタントが大好きなこの考え方を、
ダーウィンは残しました。

個体としての「強さ」「賢さ」よりも、
存在の「柔らかさ」が大切なのだと。  

「ダーウィンは、進化の原動力として、
生存や繁殖に有利な変異が広がっていく『自然選択』を提唱」
朝日新聞には、こうあります。

さらに朝日は、
故木村資生博士の「分子進化の中立論」を紹介します。
「残るかどうかは偶然」  
これが木村先生の説で、
今では、「自然選択説」と「中立論」が、
進化論を支える二本柱となりました。

一方、日経新聞では、
㈱リナックスカフェ社長の平川克美さんが、
日本の人口減少について語っています。
『インタビュー領空侵犯』
「人口減少は経済成長を妨げる要因ではなく、
経済成長の結果であり、
これまでの社会の進化の帰結なのです」

「進化の帰結の人口減少」  

だから「適正規模の人口に向けて調整が進む過程」と、
平川さんは見ます。

この考え方にも、私は共感します。

「企業であれば、
成長を前提とした事業計画委は見直すべきです」

「今後は成長率といった指標にはあまり意味がなくなり、
一人ひとりの生活の質がいかに充実できるかが、
大きな意味をもつようになるはずです」

平川さんは、企業経営にも問題提起する。

この面では、私は一部賛成一部反対。

事業計画に成長の指標を全く入れないのは、
どうかと思う。
例えば株式上場企業や上場を目指す企業では、
成長は企業価値を世間に認めてもらうのに不可欠の要素。

一方、株式上場をしていない中小企業では、
平川さんの言うように、従業員の「生活の質」を、
充実させることで、逆に良い人材を獲得して、
結果として、ゴーイングコンサーンを実現させることができる。

もちろん経営を維持するには、
企業体としての営業利益は、確保されねばならない。

粗利益は、現場をより良くすることの指標であって、
営業利益は、会社をより良くすることの指標。
当然、営業利益が優先される。

平川さんの「人口減少は適正規模へのプロセス論」と、
それに応じた「事業成長の指標を変える論」。

そして「進化論」の中の「自然選択説」と「中立論」。

私は最近、企業や経済と生命のメカニズムを、
アナロジーでとらえてみることは、
極めて重要だと考え始めている。

その意味で、昨日は、とても重要な「進化論150周年」だった。

私たちは、
「毎日進化」を志したいし、
「日々進化」を目指したい。  

それが自然から選択されることであり、
偶然に恵まれることにつながるからだ。

年末商戦へ向けての11月残りの1週間、
「日々進化」を忘れずに、仕事に邁進したい。

Everybody! Good Tuesday!  

< 結城義晴>  

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