結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年11月21日(土曜日)

デフレの中のユニクロ60周年10億円還元感謝セールと商売人の「心の目」

信頼している人から理解されないことほど、
悲しいものはない。

商人舎で展開しているアメリカ視察研修会は、
お陰様で、第5回を数え、大好評。

しかし私は、アメリカ小売業の情報屋ではないし、
単なる紹介屋でもないつもりだ。

基本的にアメリカの小売業界から、
謙虚に、真摯に、学びたいと考えている者だ。  

だからアメリカの小売業を研究する。

世界でアメリカほど、
小売業の規制が少ない国はない。
だから、理論化が容易である。  

皆さんも、小学校や中学校の理科や化学で、
実験したことがあるだろう。
試験管やビーカー、シャーレの中で、
実験は行われる。

試験管、ビーカー、シャーレは、
完璧に洗浄されていて、
仮説に、他の要素が加わらないように設定される。

規制が少ないアメリカ社会は、実験室のようなものだ。
だからアメリカの小売業の競争と発展は、
実験室における競争と発展のようなものとなり、
だからアメリカから学ぶ価値が生まれる。

実験室の結果は、理論化が容易だ。
その理論が、日本の小売業の競争や発展を、
「鳥の目」「魚の目」で読み取る時に大いに役立つ。

私は、アメリカ小売業を見るとき、
「虫の目」「鳥の目」「魚の目」で見る。  

11月4日のこのブログで書いた。

「虫の目」とは、現場を見る力。   
細部まで丁寧に「見極める能力」。
これを支えるのが、専門性と現場主義。
 
「鳥の目」は、大局を見る力。    
全体像を俯瞰しながら、「見渡す能力」。
これを支えるのが、情報量と知識。

「魚の目」は、流れを見る力。    
時間の経過の中で、現在と未来を「見通す能力」。
これを支えるのは、経験と見識。

そして、「四つ目の目」は、
謙虚で、真摯で、真っ正直な「心の目」である。  

私は、日本の小売業、
特にスーパーマーケットや総合スーパー、
そしてコンビニを、
長年にわたって研究してきた。

「虫の目」「鳥の目」「魚の目」、
そして「心の目」で。

とりわけ「心の目」が大切であることを、
最近は、実感している。

ピーター・ドラッカー教授は、
「ポスト・モダンの七つの作法」の中で、
自ら「見ること」の大切さを、第一に挙げている。

私は、日本の小売商業・サービス業界のドラッカーになりたいと、
密かに、しかし心から願って、努力している。

だから私は、
アメリカ通でもないし、アメリカの情報屋でもない。

私のアメリカのパートナー浅野秀二先生も、
アメリカの情報屋ではない。
商人舎のホームページをご覧いただけば、よくわかる。
浅野先生は、アメリカを通して、人生を説いている。

私たちは、誰よりも、アメリカ小売業に対して、
謙虚で真摯な研究者でありたいと考えている。  

そのために欠かせないものは、
謙虚で、真摯な「心の目」である。

もちろん「虫の目」「鳥の目」「魚の目」のどれかが欠けても、
たとえ試験管や、ビーカーや、シャーレの中の実験といえども、
結果を正確に見ることはできないし、
正しく判断することはできない。

さて、政府は、
現在の日本経済の「緩やかなデフレ」を正式に認めた。  
2006年6月以来、3年5カ月ぶりのこと。
昨日のこのブログでも、そのことには言及した。

政府の「デフレ発表」を見越したかのように、
「ユニクロ」は、「創業60周年記念大感謝祭」を始めた。  
u1

期間は、11月21日から12月31日まで。
総額10億円を顧客に還元する。  
方法は5000円以上お買上げごとに、
抽選で10万人に1万円のキャッシュバックをするというもの。
u2
今日の朝刊に、大々的にチラシを入れ、
朝6時から、約400店で値引きセールを開催。

東京・銀座店には2000人以上、
大阪・梅田店は約650人が並び、
「予想以上の大盛況」(ユニクロ広報室談)。

ユニクロ1号店は1984年に広島でオープンした。
そのオープンの朝6時という設定を再現し、
同時に、店の前に並んだ顧客に、
「朝から感謝」の意を込めて、
朝食用のアンパンと牛乳を配った。

柳井正ファーストリテイリング会長兼社長の意気込みが、
私には、ひしひしと伝わってくる。
u3
ユニクロのチラシは、
衣料品を販売しているにもかかわらず、
スーパーマーケットの「日替わり特売」を採用している。
これも柳井さんが自ら、最終チェックまで見ている。

日本中がデフレに騒いでいるときに、
創業60周年の感謝を込めて、
25年前の「ユニクロ」1号店の初心に帰る。

ここには、したたかな「商売人」の算盤と、
謙虚で、真摯で、真っ正直な「心の目」がある。

<結城義晴>  

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