結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2009年11月18日(水曜日)

サミット田尻一社長と吉野家・安部修仁社長の商売人のリアリティ

【巻頭のお知らせ】  
本ホームページ「エコバッグ研究会」がToday!になっていて、
ホールフーズ特集」を掲載中。
これが、面白い。  
  

今日から関西へ。
静岡までは、曇り空。
以西は、真っ青な晴れ空。

富士は雲に隠れて見えないが、
晴れたら、芦ノ湖を見下ろすこんな姿。
hakone fuji

朝、目覚めて、さまざまなニュースに目を通す。
そのなかに、いい話を見つけると、
元気が出てくる。
一日が豊かになる。

そんないい話を、いくつか。

まず、一番目に裁判員制度。  
この5月から始まった。

その裁判員へのアンケート調査を各裁判所が行った。
それを最高裁が集計して公表。

嬉しいのは、裁判員を経験した人ほぼ全員が、
「良い経験だった」と感じたこと。  
「非常によい経験と感じた」が64.6%。
「よい経験と感じた」が32.9%で、
あわせて97.5%。

半数以上が選ばれるまでは参加に消極的だった。
「積極的にやってみたい」「やってみたい」と考えていた人が計24.1%で、
「あまりやりたくなかった」「やりたくなかった」は計56.9%だった。

審理の理解や評議での十分な議論に関しても、
肯定的な評価が多かった。

アンケート回答率は、84人中79人と、極めて高い。
8月・9月に判決が言い渡された14件の裁判で判決に関与した裁判員たち。

「国民参加」と「体験」。
これは国民の代表による学習である。

専門化されていたことが、
体験によって大衆化されて行く。  

これも進化のひとつ。

本当にうれしいことだ。
朝日新聞が関東版一面の片隅に掲載してくれた。

二番目のうれしい話。
北九州市の百貨店「井筒屋」の「朝市」  
15日朝7時から、本店前で生鮮食品を売る朝市。

百貨店が早朝から営業するのは全国でも異例。
毎月第1、第3日曜日の開店前の7時から9時。

「旬朝市」の名称。  

11月1日(日曜日)に試験的に始めたところ、大雨。
それでも4万円弱の売上げとなった。

生鮮食品の販売担当者数人が店頭に立って、
青果、鮮魚、精肉、乾物、日配品などを並べて、売る。

仲卸から、規格外品や過剰仕入品を仕入れて、
売り切り御免で販売する。
だから品質は、良くて、安い。

目標は1日10万円の売上げ。
百貨店から見たら、微々たるもの。 
しかし発案した生鮮担当の従業員たちは、
手作りのチラシを近隣に2000枚以上手配りし、
名物イベントに育てようと懸命。

担当者は通常より1時間半ほど早く出勤するが、
「お客様と顔見知りになれて、楽しい。
早起きも苦にならない」  

この言葉がうれしい。

朝日新聞の地方版からのニュース。

三番目のニュースは、日経MJ。
「サミット、自社PB大幅減」の見出し。  
サミットは、プライベートブランドにあまり積極的ではない。

その上に、今回、2007年8月のピーク時に45品目あった自社開発PBを、
カテゴリーによっては半減させる。

理由は売上げが低下したから。
日配品では、ピークに全体の売上高の12%をPBが占めた。
しかしそれも9~10%に低下してきた。

味噌、煎茶、佃煮などの加工食品PBを販売中止する。
既に、蒲鉾、ハムなど畜産・水産加工品のPBはストップしている。
その結果、牛乳、納豆、豆腐など日配のベーシック・アイテムに、
PBを集約していく。

とはいっても、「生活良好」というブランドは、
現在、320品目を販売し、こちらは強化していく。
「生活良好」は、オール日本スーパーマーケット協会のPB。

田尻一社長の発言。
「低価格を求める消費者の動きは、
必ずしも強いわけではない」 

私流に言い換えると、
「低価格を求める消費者の動きは、
全面的ではない」

すべてにわたって、低価格を求めているのではない。
すべての消費者が、低価格を求めているのではない。  

そこには、生活者としての、理屈がある。
「生活の理論」とでもいうべきものだ。

それを田尻さんが、語ってくれた。

田尻さんは、リアリスト。
「十分な販売量が確保できないと、
物流コストが高くつき、
かえって足を引っ張る」

商売というのは、
このリアリズムに支えられている。  

素早く意思決定し、迅速に動く。

サミット田尻一にそれが見えて、
私は嬉しかった。

ウォルマートの創業者サム・ウォルトンの10のルールのひとつ。
“Swim upstream!”
川上に向かって泳げ。
すなわち、世間に逆行せよ。

世間に逆行して、多くの支持を得る原動力は、
商売人としてのリアリティであると思う。  

さて最後に、日経本誌のインタビュー記事。
「トップに聞く企業戦略」。
吉野家ホールディングス安部修仁社長。  
今期は、4期ぶりの赤字で、最終損失13億円の見通し。
「『うまい、安い、早い』の原点に戻る」  
牛丼をはじめとする主力商品の提供スピードが、
遅くなっているという。
だから「品目を減らす」。
「昼食時間は、牛丼に絞ってもいいくらいだ」

厳しい環境のときには、
「自分の強みを知り、強みを活かす」  
これ、ピーター・ドラッカー先生の持論。

「よし、よし」とドラッカー先生も言うに違いない。
吉野家が、原点に戻る。

朝の新幹線の中で、このブログを書いていたら、
もう京都に着いた。

「今日も一日、元気と勇気」 

そして今月の商人舎標語。
「朝に希望、昼に努力、夕に感謝」  

<結城義晴>  

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