結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2013年01月16日(水曜日)

クルーグマン「アベノミクスの肯定」と「小売サービス業が日本を救う」

昨日のブログで、
㈱ヤオコー副社長・川野澄人さんに触れたら、
今朝の朝刊各紙で、4月1日付、
代表取締役社長就任の報道が流れた。

もともとは日経新聞がスクープして、
それをヤオコー側は否定していたというか、
積極的に肯定していなかったが、
正式に決定し、発表。

流れたニュースは、
覆水盆に返らず。
すぐに決定し、表明したほうがいい。

今朝の新聞報道では、2月21日に、
㈱ユニーグループ・ホールディングスが発足し、
代表取締役社長に中村元彦さん、
代表取締役会長に前村哲路さんが就任。
中村さんは㈱サークルKサンクス社長、
前村さんは㈱ユニー社長。
その子会社のユニー代表取締役社長には佐古則男さんが就任。

中村さん、53歳、
佐古さん、55歳、
前村さん、63歳。

トップマネジメントのこの年齢構成は、とてもいい。
ユニーグループはリージョナルチェーンとして、
しっかりした基盤をつくることが一番いい。

私は勝手に考えている。

今後の手腕に期待したい。

何しろ、イオン、セブン&アイ・ホールディングスに次ぐ、
第3の存在なのだから。

さて、昨日は『食品商業』の特集のタイトルを、
ちょっと辛口で評論したが、
ライバル誌の『チェーンストアエイジ』最新号は、
「商品こそすべて」のタイトル。
実にわかりやすい。
しかも正しい。

ただしわかりやすくて、正しいのが、
雑誌としていいかというと、
これも全面的に肯定はできない。

何かひっかかるものがほしい。
時代の潮流を感じさせる要素が必要だ。
アカデミズムの論文では「新規性」といったりする。

「商品こそすべて」には、
それがない。

私の持論。
難しいことを易しく、
易しいことを面白く、
面白いことをより深く。

私の師匠でもある林廣美先生から教わった。

しかし、面白く、深くと考え過ぎて、
間違ってしまったら、とんでもない。

『チェーンストアエイジ』の特集には、
二人の商品本部長が登場。
セブン-イレブン・ジャパンの鎌田靖さんと、
関西スーパーマーケットの柄谷康夫さん。

柄谷さんは、コーネル・ジャパン奇跡の第2期生。

その後に平和堂、ハローデイ、マルエツ、フレッセイなどのケーススタディ。
これもわかりやすい。

現在の私など、こういった生の情報やコメントがありがたい。

編集部などが変な注釈や解説、分析をつけると、
かえって事実が分かりにくくなる。

もちろん編集部がタッチせず、
ライターにお任せの原稿などは、
あまり読みたいとも思わない。

そう言えば、故渥美俊一先生も、
事実報道の重要さを強調していた。

さて、第96代の安倍晋三首相。
「アベノミクス」が論議にでる。

1981年1月に大統領に就任したドナルド・レーガンの政策を、
「レーガノミクス」と呼んだ。
レーガンは大根役者だったなどと揶揄されるが、
現在もアメリカ国民から絶大なる人気を得ている。

その後、ビル・クリントンの「クリントノミクス」や、
テキサス州知事のリック・ペリーの「ペリノミクス」など、
「〇〇ミクス」という言葉が使われ、
今回、「アベノミクス」。

この言葉が出てきたことだけでも、
高評価のスタートと判断できる。

日経新聞が『国際』欄で、
「『アベノミクス』影響注視」の記事。

「円安で輸出競争激化、余剰マネー流入、
中韓など警戒強める」といった内容。

ニューヨーク・タイムズの社説は、
「ゾンビ(死に体)企業の退場、
農業補助金の削減、
移民受け入れの拡大」
こういった抜本的構造改革によって、
需要の拡大に取り組めるか否かを問う。

ここでいう「ゾンビ企業の退場」という考え方が、
中小企業金融円滑化法の打ち切りを推進している。
しかし、最後には国内需要の拡大ができるか、
公共投資を需要につなげることができるのか。
これが一番大事な視点。

この記事の後に、
ポール・クルーグマン教授が出てくる。
プリンストン大学のノーベル経済学賞受賞者。

このブログでもよく出てくる「インフレ・ターゲット論者」。
日本の経済・金融政策に辛口の発言を繰り返してきた。

ニューヨーク・タイムズ紙電子版のブログでは、
「現時点の結果は完全に肯定できる」。
これは、うれしい。

しかし「安倍氏は経済への関心が乏しく、
正統派の議論を無視している」
とも分析。
正統派議論とは「国債増発による金利急騰を危ぶむ」もの。

わかりやすく言えば、これ。
「インフレは歯磨きのチューブのごとし。
出し過ぎると戻しにくい」

イギリス中央銀行政策委員を務めたアダム・ポーゼン氏も、
「日銀に圧力を掛けて
円高是正やデフレ脱却を目指す手法は
正当化できる」

アベノミクス、大いに期待したい。

しかしクルーグマン教授の指摘にある「正統派議論」も、
注目しておきたい。

そして内需の活発化において、
小売業やサービス業、消費産業が、
大きな役目を担っている
ことを、
あらためて強調しておきたい。

年末も正月も、その後も、
働き続け、店を維持し続けている商人たちは、
自らの顧客を喜ばせ、会社の収益を支えているだけではなく、
日本経済の主役の一員である。

クルーグマン教授は、
アメリカ国内に対して言っている。
「小売りサービス業の生産性が上がらねば、
国民の生活は豊かにならない」

それは日本の小売サービス業においても、
まったく同じことである。
「小売サービス業が需要を創り出さない限り、
日本の経済の復活もない」

今から5年前、
㈱商人舎設立の記念講演の結城義晴のテーマ。
「小売サービス業が日本を救う」

アベノミクスが展開されるなかで、
これは5年前よりも、ますます重要になってきている。

さて最後に、今日の横浜の商人舎オフィス。
午前中に気象予報士の常盤勝美さんが来訪。
20130116162902.jpg
ブログ「常盤勝美の2週間天気予報」は好調。

「ウェザー・マーチャンダイジング」の今後の課題について、
私の考え方を話した。

常盤さんがそれをやってくれたら、
小売業・サービス業の成果は格段に大きくなる。
常盤さんはその一番の担い手。
期待したい。

午後には、USP研究所所長の當仲寛哲さん。
20130116162910.jpg
當仲さんの情報システム改革手法は、
サービス業・小売業にも広がって、
飛躍的に生産性を上げつつある。

當仲さんの仕事も、
日本経済の活性化に大いに貢献している。

「今日も一日、優しく、強く」
今年の商人舎標語を噛みしめつつ、
今日が終る。

ありがたい。

〈結城義晴〉


コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
商人舎 流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.