結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
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2019年06月23日(日曜日)

アリストテレスの「再現」と小田和正のピーター・ポール&マリー

アリストテレスは、
古代ギリシャの哲学者。
紀元前384年から322年の人。
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三木清は日本の哲学者。
1897年に生を受けて、1945年に没している。
京都大学哲学科で、
西田幾多郎の「善の研究」に感激して、
西田に師事した。
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アリストテレスやソクラテスの本も書いた。

そのアリストテレスの『詩学』
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「再現することは、
子供のころから
人間にそなわった、

自然な傾向である」

「しかも人間は、
最も再現を好み、再現によって、
最初にものを学ぶという点で、
他の動物と異なる」

この「再現」は「模倣」とも訳される。

人間は真似るものだ。
それがアリストテレスの著書『詩学』を貫く、
基本テーマである。

「再現、模倣」は、
ギリシャ語で「メミーシス」という。

アリストテレスは続ける。
「動物や人間の死体の形状のように、
その実物を見るのは苦痛であって、
それらをきわめて正確に描いた絵であれば、
これを見るのを喜ぶ」

なぜ、人間はそれを喜ぶのか。

「学ぶことが、
哲学者にとってのみならず、
他の人々にとっても同じように、
最大のたのしみであるということにある」

バンドを始めるとき、
まずやるのが「コピー」だ。

小田和正は、
アマチュアのオフコース時代に、
ピーター・ポール&マリーのコピーを、
実に見事に演奏し、歌唱した。
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それでヤマハミュージックコンテストで、
いきなり2位になった。

1位は後藤悦治郎率いる赤い鳥だった。
旧姓・新居潤子の山本潤子がいた。

小田和正は実は、
私の中学高校の5年先輩だ。
小田和正
私たちは「小田さん」と呼ぶ。

母校に戻って、
演奏したオフコースに感銘を受けて、
私たちもまず、
ピーターとポールとマリーをやった。
模倣の模倣だ。

大学のときにはビートルズをやった。
「Something」のコピーから始めた。
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それはそれ自体、実に楽しかった。
「コピー」は技術を学ぶ際には、
本当に楽しいことだ。

しかしだんだんコピーだけでは、
つまらなくなる。

そこでオリジナルをつくり始めた。

文章も詩も、コピーから入る。

学問も先行研究を学ぶところから始まる。
つまりは本を読む。
それに終始して終わる場合もある。
なぜならそれはそれで楽しいからだ。

仕事も再現から始まる。
模倣からスタートする。

それも楽しい。

しかしやがて、
「模倣」を凌ぐ仕事を成し遂げる。

好きな作家の再現をしたい。
好きな音楽家の模倣をしたい。
尊敬する上司の真似をしたい。

そしてその繰り返しは楽しい。

「私たちは再現を反復しながら生きている」
これは俳人の坪内稔典さんの言葉。

アリストテレスは『詩学』で続ける。

「詩人(作者)の仕事は、
すでに起こったことを語ることではなく、
起こりうることを、すなわち、
ありそうな仕方で、あるいは、
必然的な仕方で起こる可能性のあることを、
語ることである」

「歴史家は、
すでに起こったことを
語り、

詩人は、
起こる可能性のあることを
語る」

しかし再現をすればすなわち、
「起こる可能性」になるかというと、
これが全く違っている。

例えば、米国で起こっていることを語る。
これは「浅はかな歴史家」に過ぎない。
そしてそれ自体は楽しいから困る。

もちろんアーノルド・トインビーをはじめ、
本物の歴史家は、
透徹した目で未来を見通す。
その意味では、
アリストテレスのいう「詩人」でもある。

ただしアメリカで起こった事実が、
日本でも起こると短絡的に判断する者は、
間違いを起こす。

アメリカで起こっていることの中で、
必然的に起こる可能性のあることを、
熟考を重ねて、再現する。
これは結構、時間と手間がいるし、
苦しいことでもある。

あるいは米国や欧州で起こったことを、
体験し続け、見続けていれば、
日本で今、起こりつつあることにも、
合点がいく。

ピーター・ドラッカーは、
「モニタリングせよ」と説く。
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つまり、観察し続けよ。

そうすれば、
「すでに起こった未来」がわかる。

アリストテレスは、
「必然的に起こる可能性のあること」。
ドラッカーは、
「すでに起こった未来」。

アリストテレスは紀元前4世紀の人だ。
ソクラテス、プラトンと続いた、
ギリシャ哲学のメミーシスから入った。
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三木清も、
西田幾多郎の再現から始めた。

小田和正はピーター・ポール&マリーを、
吉田拓郎はボブ・ディランを、
真似た。

誰にも「模倣」する師匠が必須だ。
その道の師匠を持たない者はいない。

さて結城義晴は、
倉本長治の再現から入った。
渥美俊一の模倣をした。
上野光平の真似をした。
杉山昭次郎の考えに影響を受けた。
荒井伸也のメミーシスをした。

そしてそれらを、
ある部分では継承し続け、
ある部分では「純粋批判」している。

坪内稔典の初夏の一句。
古代ギリシャの午後もだった緑さす

「この夏、緑さす窓辺でわたしは、
岩波文庫の『詩学』を読んだ」
と、坪内は語って、句をつくった。
坪内稔典

梅雨が明けると本格的な夏です。

〈結城義晴〉


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