結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年01月19日(日曜日)

上野光平の「怠け者の寓話」と「毎日をどのように生きるのか」

「怠け者の寓話」

毎日ブラブラしていて、
マジメに働こうとしない怠け者を、
働き者が叱りつける。

働き者。
「そんなに怠けていては、いまに困るぞ。
しっかり働いたらどうだ」

怠け者。
「しっかり働くとどうなりますか」

働き者。
「豊かな暮しができるようになる」

怠け者。
「豊かな暮しとはどういうことですか」

働き者。
「働かずにのんびりと楽しい生活ができることだ」

怠け者。
「それならもう私はやっています」

故上野光平著『自己啓発のすすめ』に出てくる話。
IMG_70692-448x597 (1)

上野光平さんは、
実質的な西友の創業者。
晩年は流通産業研究所所長・理事長。

私は上野光平の弟子を自認している。

商業経営問題研究会の座談会で、
上野さんや堤清二さんの話が出た。

そこでこの本を取り出して読んだ。

「働くことを豊かな生活の手段と考える論理は、
怠け者の豊かな生活の論理に勝てない」

つまり食うために働くのでは、
怠け者の論理と同じだ。

そこで「働くことは何か」と問わねばならない。
それは「生きることは何か」という問いにつながる。

そしてそれは、
「よりよい生活とは何か」ということにつながり、
よりよく豊かな生活といわれるもののなかで、
働くということがどのような位置をもっているのか、
という問いかけにまで発展する。

「少なくとも働くということと、
生きがいや豊かな生活との関係を
明らかにできなければ、
怠け者の論理がどれほど詭弁であろうと、
それを無視するわけにはいかない」

そこでまず「生きる」という、
わかりきった言葉のもつ構造を
明らかにする必要がある。

「生きる」ということには、
三重の構造がある。

「生きる」という言葉の反対語は、
「死ぬ」という言葉であるから、
生きるということは生物として生きる、
健康に生きる、できるだけ長く生きる、
ということになる。

これが第一の生物的存在である。

だが、ただ死なないというだけでは、
人生はつまらない。

人間は他の人との比較の中で生きる。

長生きしたとしても、
多くの同時代人よりも、
惨めで貧しい一生を送るのでは
生きたとはいえない。

人生が不幸であり、
生きた屍(しかばね)にすぎない。

動物的存在であるだけでなく、
人間は社会的存在であるからだ。

そう、第二は社会的存在である。

それだけではない。
人間はそのうえに、
精神的・感覚的な充実を求める存在である。

「愛ゆえに喜び悲しみ、美しいものに憧れ、
他人から尊敬されることに誇りを感じ、
時には信ずることのために、
死をも嫌がらないことさえある」

「だから社会的存在としては損であっても、
趣味に徹底して生きることもある」

第三の人間的存在である。

「生きるということは、
生物的存在、社会的存在、
そして人間的存在として、
バランス良く統合していくことである」

よりよく生きるとは、
それぞれの領域ごとの生活のありようを充実し、
それらを統合する主体である自分自身の
充実感を満足させること、
言いかえれば「自己実現」である。

「生きがいとは、
この自己実現の
自己評価にほかならない」

だから自己啓発が行われないと、
自己評価のレベルがダウンし、
自己実現のエネルギーも弱まってしまう。

程度の低い自己実現で満足してしまったり、
あるいは評価のレベルは高いのに
それを可能にするエネルギーが不足であれば、
よくある単なる不平不満分子に陥ってしまう。

生きがいは自己実現であり、
それには自己評価のレベルと
それに到達するエネルギーの蓄積とが、
不可欠である。

「二度とない一生をかけて、
自分は何をやりたいのか、
何になりたいのか、
それをはっきりさせることだ」

「そしてそのために毎日を、
どのように生きるのか」

e6bea400f41dfa01179ff9306f376452-448x523

働くことが自己実現と、
深くつながっているとすれば、
働く者としての自己啓発は、
自己実現を大きく左右する。

上野光平。
「働くことと、生きがいと、
そして豊かさあるいは幸せとは、
深くつながり合っている」

「そしてそれが、
人間にとって大切なことであり、
かつまだ十分に解明されきっては
いないことである」

上野光平の論法は、
かくの如きものだった。

本を読みながら、
その論法を辿ってみた。

「毎日をどのように生きるのか」

上野さんに毎日、
問いかけられている。

〈結城義晴〉


2 件のコメント

  • 仕事は仕事自体に価値があり、学びは学び自体に価値があり、遊びは遊び自体に価値があると思っています。
    それぞれが何かの手段になってしまうと、おかしなことになりがちです。
    でも、いつかは仕事も学ぶことも遊ぶこともできなくなります。
    その状態を泰然と受け入れることができるように、今この瞬間を燃焼して過ごしたいと思います。
    あしたのジョー世代なので、人生最終コーナーでは、ラストシーンの矢吹丈の状態で、ベットに横たわっていたいです笑

コメントする

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

次のHTML タグと属性が使えます: <a href="" title=""> <abbr title=""> <acronym title=""> <b> <blockquote cite=""> <cite> <code> <del datetime=""> <em> <i> <q cite=""> <strike> <strong>

post date*

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)

「月刊商人舎」購読者専用サイト
月刊商人舎 今月号
流通スーパーニュース
月刊商人舎magazine Facebook

ウレコン

今月の標語
商人舎インフォメーション
商人舎スペシャルメンバー
商人舎発起人

東北関東大震災へのメッセージ

ミドルマネジメント研修会
商人舎ミドルマネジメント研修会
海外視察研修会
商人舎の新刊
前略お店さま

チェーンストア産業ビジョン

結城義晴・著


コロナは時間を早める

結城義晴・著


流通RE戦略―EC時代の店舗と売場を科学する

鈴木哲男・著

結城義晴の著書の紹介

新装版 出来‼︎

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》

新装版 店長のためのやさしい《ドラッカー講座》
(イーストプレス刊)

新着ブログ
毎日更新宣言カレンダー
指定月の記事を読む
毎日更新宣言カテゴリー
毎日更新宣言最新記事
毎日更新宣言最新コメント
知識商人のためのリンク集

掲載の記事・写真・動画等の無断転載を禁じます。商人舎サイトについて
Copyright © 2008- Shoninsha Co., Ltd. All rights reserved.