Fast Retailing柳井正さんとの面会・討論はスリリングだった。

今日は朝10時に、
東京・六本木。
地下鉄日比谷線を降りて、
地下通路を歩いていくと、
「Team Japan」の写真が並ぶ。
地下1階にユニクロの店舗がある。
コンパクトだが実によく管理されている。
地上には東京ミッドタウン・タワー。

もともとは防衛庁本庁檜町庁舎があった。
江戸時代は萩藩毛利家のお屋敷。
明治に入って帝国陸軍の駐屯地、
戦後は防衛庁本庁となった。
私がいた㈱商業界の最寄り駅は神谷町で、
六本木の隣りだった。
だからバブルのころは、
よく遊びに来た。
そのころはここは防衛庁だった。
その跡地が再開発されて、
2007年3月30日に開業。
このミッドタウン・タワー33階に、
㈱ファーストリテイリングの六本木オフィスがある。
10時半から柳井正さんとお会いする約束をした。
商人舎発足の会の発起人のお一人。
アメリカから帰って来たばかりなので、
お土産を用意した。
トレーダー・ジョーのクラッカーとジャム。
これはエンド陳列していたので購入して、
コミュニケーションルームで、
みんなで食べた。
いい商品だ。

それからイチジクのドライフルーツ。

ピーナツバターのチョコレート。
これらはどれも私の定番のアイテム。
それらを全部、
トレーダー・ジョーのバッグに入れて、
プレゼントした。
柳井さんも嬉しそうに受け取ってくれた。
それから11時過ぎまで、
45分くらいお話しした。
柳井さんはメモ帳を手元に、
ペンをもって、待ち構えていた。
そしてせっせとメモした。
故伊藤雅俊さんと同じだ。
アメリカのスーパーマーケットでは、
やはりトレーダー・ジョーを一番多く説明した。
創業者のジョー・コロームは、
1967年、カリフォルニア州パサディナに、
トレーダー・ジョー1号店を開業した。
最初のターゲット顧客は、
「Over Educated, Under Paid」
(高い教育を受けているが、
収入は少ない人たち)
彼らにワインやグルメフードを提供した。
最初のターゲティングは、
ごくごく限られた人たちだった。
けれど鮮明な顧客像があった。
ジョー自身がそんな人間だったからだ。
柳井さんは面白そうに聞いてくれた。
ターゲット顧客に好まれるようにするために、
自分で商品開発をした。
製造小売業である。
そしてそのポジショニングを確立していった。
手書きの壁面やトップパネル、
プライスカードなど。
方程式は、
[基本業態+ポジショニング=フォーマット]
ポジショニングを徹底すると、
客層が広がっていく。
その現象を私は、
「エクスパンディング」と呼ぶ。
「expand」は広がること。
「発展する、拡大する」といった意味だ。
これも柳井さんは面白そうに聞いてくれた。
ポジショニングに関して、
私がはっきりと気づいていなかったことを、
柳井さんは指摘してくれた。
ん~、なるほど。
それをファーストリテイリングは実践している。
次の本に書かねばならない。
ひとしきりトレーダー・ジョーのことを話して、
あとはウェグマンズ、イータリーなど。
そして日本のOICグループとロピアのこと、
高木勇輔さんのことを聞かれた。
前に話していたせいもある。
最近の成長を柳井さんは、
「うまくいくのかなあ」とつぶやいた。
続けて「かならず限界が来ます」
私もその面では同感だ。
ロピアのチーフ主体現場主義組織や、
全国の営業本部制のことも、
少し説明した。
柳井さんがもっとも大切にするのは、
「ゴーイグコンサーン」だ。
「企業の継続性」である。
それから社会のために「良いこと」をする。
「楽しい仕事」をする。
これも柳井さんは大切にする。
アメリカで見たPRIMARK(プライマーク)に、
話を向けたら、鋭く批判した。
「役に立つことをしていない‼」
商品を見ればわかる。
製造小売業であるだけではいけない。
良い仕事をして、よい商品を世に出す。
付加価値を生み出す。
小売業が海外に出ることも、
意見が一致した。
私は中産階級が膨れ上がる国やエリアに、
可能性があると思う、と言った。
「日本のチェーンストアは、
産業を変えなくてはいけない」
柳井さんは最後に力強く語った。
私はそれを「商業の現代化」と呼ぶ。
柳井さん。
「アメリカもおかしな社会になっている」
同感だ。
米国の長期の衰退傾向は、
もはや不可逆的なものになっていると、
私も思う。
エマニュエル・トッドは言う。
「崩壊に向かう米ソの両体制のうち、
ソ連が先に崩壊しただけだ」
「米国貧困層の中核は、
もはや労働者ですらない。
生産活動も行わず、
アジア製の安い製品を消費して生きつなぐ、
別の何かになった」
柳井さんの認識も同じだった。
そして恐ろしいことに、
日本の社会もそれを追っている。
だから自分の手でやれることをやろう。
産業を変えよう。
継続的な成長と良い仕事で。
「私の考えと同じなのは、
この産業では結城さんだけです」
最後にそう言ってくれた。
いい日だった。
ありがとうございました。
トレーダー・ジョーのアイテム、
楽しんでください。
〈結城義晴〉


























