結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2026年02月27日(金曜日)

万代フラッグショップ中ノ忠敏店長取材とイオンの若手への講演

東京や横浜と比べると、
大阪や西宮は暖かい。

昨日の夕方、関西に入った。

朝9時半過ぎに兵庫県西宮市へ。
万代西宮前浜店。
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月刊商人舎3月号特集の取材。

西宮前浜店は、
㈱万代のフラッグショップだ。
すなわち基幹店。

店長の役職は部長店長で、
商品部長や人事部長と同じ職位にある。

そのフラッグショップ店長の代表。
中ノ忠敏店長にインタビュー。

取材の前に店の様子を拝見。
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水産部門の凄い生魚売場。
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万代は毎年、2月末日は休業とする。
今年は明日の2月28日。
総棚卸しのためだ。

そして新年度スタートの3月1日には、
大売出しをする。

顧客もよく知っていて、
新年度最初の力の入った「一の市」に殺到する。

だから2月27日は普段よりも品ぞろえを控える。
それでも魅力的な売場だ。

水産部門にはこれがある。
「星風まどか アンバサダー就任!」
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元宝塚歌劇団花組・宙組のトップ娘役。
2024年に対談して、
25年に万代リテールホールディングスの、
アンバサダーになった。

この店にはドラッグストアが併設されている。
その登録販売者のお二人を写真で紹介している。
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中ノ店長が新たな取り組みを説明してくれる。
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それから2階の会議室で、
1時間半ほどのインタビュー。
記事の執筆は亀谷しづえ商人舎GM。
私は話を聞いているだけだったが、
実にいい内容で大満足。

さすがに中ノ店長だ。
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記事を楽しみにしてください。

その後、大阪・梅田へ。
イオングループの教育プログラムで講演。
「2025年度現職強化ディベロッパーコース」
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グループ会社から店舗開発担当者55名が参集。
7月から計5回の1泊2日の研修。

その最終基調講話を担当した。IMG_4928

店舗開発はチェーンストアにとって、
成長の原動力となる機能だ。

「売上高は売場面積に比例する」
これがチェーンストアの成長の公式だ。

それを担う若い人たちへの講演。

やりがいがある。
私自身のモチベーションも高い。

午後1時から3時まで、
2時間を一気呵成。
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薬のヒグチの出店作戦が、
日本のドミナントエリアづくりの基本となった。

三角形を作るように出店していく。
それが基本だ。
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月刊商人舎2025年12月号特集は、
リージョナルチェーンの盲点
「商圏」と「商勢圏」を混同するな!!
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この内容を話した。
商圏は隣接させよ、
商勢圏は隣接させる必要はない。IMG_4934

それから米国ショッピングセンターの変容。
イオンモールやイオンタウン、
「そよら」やジ・アウトレットなどに触れつつ、
私の提案を含めて解説した。

さらに「フォーマット論」と、
「ポジショニング戦略」
これはおさらい。

最後は月刊商人舎2025年7月号特集。
「居抜き」の是非
店舗開発の標準化パラドックス2025-07商人舎

最後は「居抜き出店」の条件と、
標準化パラドックス。

[Message of July]
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パラドックスから抜け出せ。

景気が悪くなると、皆が倹約する。
しかしその結果として需要が減る。
そしてさらに景気が悪化する。
「倹約のパラドックス」である。

落書き禁止の壁に、
「落書きするべからず」と書く。
それは許されるのか。
「落書きのパラドックス」と呼ぶ。

正しそうに見える前提。
妥当と思われる推論。
それなのに受け入れがたい結論。
それがパラドックスである。

標準化された店舗は、
出店スピードが早い。
しかし標準に適した物件は出にくい。
だから店舗開発は遅くなる。

パラドックスに陥らないためには、
正しそうに見える前提や、
妥当と思われる推論を、
疑ってみる必要がある。

正しいと言われてきた理論、
わかりやすそうな理屈を、
頭から信用してはいけない。
自分で考えなければならない。

今がよければいい。
リスクを背負わない。
目先の利益を追いかける。
それがパラドックスに陥る原因となる。

正しいと言われてきた理論、
妥当と思われている推論。
いつもそれらを疑ってかかれ。
そしてパラドックスの隘路から抜け出せ。
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最後は力を込めて語った。

結構、難しい内容だったが、
よく聴いてくれた。

感謝したい。

梅田のヨドバシカメラ。
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新幹線に飛び乗って帰浜した。

今週は講演、講義で都合8時間。
ちょっと疲れた。

伊吹山の頂には少しだけ雪が見えた。
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癒された。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2026年02月26日(木曜日)

国分グループ本社の増収増益決算と「請負ビジネスに変える」

午前中は自宅で講演のレジュメをつくった。
A4用紙で18ページに及んだ。
もうレジュメというよりテキストだ。

商人舎オフィスに出て、
それから新横浜駅から新幹線のぞみ。

静岡に入ると富士山が少しだけ見えた。IMG_1263 (002)

富士川を渡る。
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雲に覆われていたが、
頂のあたりだけ見えた。
ありがたい。IMG_1278 (002)

新大阪に着いて、
甲子園のホテルへ。

明日は忙しい。

さて東京では、
国分グループ本社㈱の2025年度決算発表。

本社の住所は東京都中央区日本橋の一丁目一番地。
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お江戸日本橋のたもと。
首都高速道路の日本橋区間地下化事業により、
来年3月に一時移転する。

だから東京駅前の外堀通り沿いに、
社屋を建設中。
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2025年度決算の記者発表会。
本社2階ホールに50人近いメディアが集まった。kokubu-press

出席者は國分勘兵衛会長兼CEO、
國分晃社長兼COO、
品田文隆取締役常務執行役員。

商人舎流通Supernews。

国分news|
2025年度売上高2兆2432億円4.0%増・経常利益296億円8.0%増

最初に國分勘兵衛会長が、
決算概況の説明をした。
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売上高2兆2431億8000万円(前期比4.0%増)
営業利益248億4500万円(10.4%増)
経常利益295億9800万円(8.0%増)
当期純利益193億4100万円(10.8%増)

5期連続の増収増益だ。

2025年度は、
第11次長期経営計計画の「仕上げ」であり、
第12次長期経営計画への「橋渡しの年」と、
振り返った。

國分晃社長。kokubu-coo

2026年度の経営方針と、
第12次長期経営計画を説明。

国分の計画は、
2026年から2030年までの5カ年計画だ。

それが12次だから、
60年間の中期計画ということになる。

長期計画の目標が面白い。
「小売りよりも小売り力、
メーカーよりもメーカー力」

そのために営業活動のデータ化とAI活用を進める。

「バックキャスト視点を大事にした。
過去の延長のフォアキャスト視点では見通せない。
未来から現在を定義し直す」

「売買差益ビジネスから、
請負ビジネスに変える」
これも國分社長の決意が示された、
印象的な言葉だ。

請負ビジネスとは、
問題解決業ということだ。

小売りよりも小売り力、
メーカーよりもメーカー力。

その意気や良し。

質疑応答では、
生成AIの活用に対して質問が出た。

品田常務が答えた。kokubu-sinada
「2024年から導入した。
当初はためらっていた人も少なくなかった」

現在の月間アクティブユーザーは3583人、
社内の76.3%が活用している。

「ナレッジの形式知化が進捗し、
SNSと生成AIの日常的活用が進んだ」

グーグルのノートブックLMとGeminiを使う。
旗振り役はなんと國分会長である。

勘兵衛会長の進取の精神が、
本当によく表れた生成AI活用である。

商人舎1月号特集。
「生成AIリテラシー」も、
國分さんには負けた。

脱帽。

〈結城義晴〉

2026年02月25日(水曜日)

OICグループ経営者育成塾「社長100人プロジェクト」の1日講義

雨が降っている。

朝から東京千代田区六番町へ。

Ohmae@workビルの地下1階の研修室。
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OICグループの経営者育成塾での1日講義。
「社長100人プロジェクト」
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ビジネス・ブレークスルー(BBT)大学は、
次世代経営者育成のための専門教育機関だ。
大前研一氏が学長を務める。

その運営会社が㈱Aoba-BBTだ。

OICグループはこのAoba-BBTとのコラボによって、
2025年から第1期のプログラムをスタートさせた。

社内公募により選別された塾生たちは、
第1期が9人。

2年間のカリキュラムを学ぶ。
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1年目の総括講義は、
結城義晴が担当する。

テーマは、
「知識商人のマネジメント」IMG_4844
経営者に必須のドラッカーの考え方を講義する。

経営者に必須の思想、
マネジメント理論の転換、
ドラッカーの経営者の条件、
流通経営戦略論の4つの大テーマごとに、
10時から17時まで。

後列ではOICグループの人事総務本部の面々。
人材開発部教育担当のメンバー、
Aoba-BBTスタッフも聴講する。IMG_4850

現在のOICの経営者たちには、
20年にわたって講義をしてきた。
高木勇輔さん、福島道夫さんをはじめ、
相川博史さんや古家裕さん、柴田昇さん、
そして井上裕一さんなどなど。

さらにチーフ以上の人たちには、
アメリカ研修やロピア研修で、
何度も講義をしている。

だから同じことのエッセンスは、
次世代経営者たちに伝えなければならない。

倉本長治とピーター・ドラッカー。
両者に共通する思想。

それからマネジメント理論の転換。
これは経営者として知っておかねばならない。

ランチの後が本編。

ドラッカーの考え方の基本を語り、
最後は『経営者の条件』から、
最重要点を90分、語った。

ドラッカーは言い切る。
成果をあげる人間のタイプなどは、
存在しない。

しかし成果をあげる経営者に、
共通しているものがある。
それが「習慣的な力」である。

さらにその習慣的な能力は、
練習を重ねて習得することができる。

5つの習慣的な力。

それを丁寧にレクチャーした。 IMG_4863

講義が終わると、
ディスカッションの時間を設けた。

一人ひとりが意見や感想、決意を述べる。
それに対して他の塾生が意見を言う。
それを私がまとめていく。

経営者を目指す塾生たちだけあって、
積極的な意見が飛び交った。IMG_4859

最後はOICグループのための流通経営理論。
チェーンストア理論のエッセンス、
それからフォーマットとポジショニング。IMG_4869
1日の講義のご清聴を感謝したい。

最後は事務局のメンバー全員で写真。IMG_4877
左からOICの中野智之さん、大谷昌資さん、
浅野春佳さん、眞野さぎりさん、宍戸真郷さん。
Aoba-BBTの石橋孝一さん、松山真太郎さん。

こうしてOICグループに、
次々に若い経営者が育っていく。

それを見るのは楽しみだ。

さて、商人舎流通SuperNews。

イオンnews|
株式会社化100年スローガン「CHANGE for GOOD, Together.」

1926年9月に「株式会社岡田屋呉服店」が、
岡田屋六代目当主岡田惣一郎氏によって、
株式会社化した。

大正15年である。
私の両親が生まれた年、
渥美俊一先生、清水信次さんも、
この年の生まれだ。

岡田卓也さんは1925年生まれ。

それから100年を迎える。

イオン㈱はスローガンを掲げる。
「CHANGE for GOOD, Together.」
「株式会社という制度を通じて、
開かれた経営と透明性を追求してきた
歩みを示すとともに、これからも革新し続ける」
20250225_aeon100-1

1926年当時、四日市の岡田屋は、
「家業から企業」への転換を意図していた。
それが当時は珍しい株式会社化だった。
株主25名中、21名が従業員だった。

「従業員とともにつくる会社」として、
経営と事業の責任を明確にし、
開かれた経営をする先進的な姿勢を確立していった。

1973年には「社員持株制度」が導入され、
社員が株主として経営に参画する仕組みができた。

ウォルマートは初期のころから、
社員の持ち株比率が高い企業だ。
アメリカのパブリックスやウィンコは、
非上場の社員持ち株会社だ。

さら1985年には株主優待制度として、
「お客さま株主」の概念が導入された。

そのうえで「開かれた株主総会」を実施してきた。
株主が自由に参加できる総会だ。

現在の株主数は100万人を超えている。

社員・従業員と顧客が株主となる。
いい制度だと思うし、
私はこの制度の採用をお薦めしている。

OICもイオンもいい会社として、
成長を続けてもらいたいものだと思う。

〈結城義晴〉

2026年02月24日(火曜日)

ベイシアの「オトナリマート」とAlbertsonsの「Neighborhood」

午前中は整骨院で治療。
すごく良くなった。

しかし左膝と左股関節を完治させる。
さらに右肩の慢性的な痛みも治す。

だから3カ月ほどかけて、
この整骨院に通うつもりだ。

昼ごろ横浜商人舎オフィスに出て、
みんなでランチミーティング。

今日は山本恭広編集長が、
群馬県伊勢崎市に出かけた。

㈱ベイシアの新フォーマット1号店。
「オトナリマート伊勢崎下道寺店」
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売場面積166坪の小型店だ。
2月25日のオープン日の前日。
メディア向けの内覧会が行われた。beisia-press

2005年までベイシア本部があった。
その2317坪の敷地だ。

スターバックス、ダイソー、
そしてメガネのJINSが出店する。

プレス向けのリリースには、
「首都圏を中心に300店舗体制を目指す」とある。
力の入った新店舗だ。

ベイシアは、
5つの店舗フォーマットをもっている。
①スーパーセンター
②フードセンター
③スーパーマーケット
④ベイシアマート
⑤フーズパーク

オトナリマートは6つ目のフォーマットである。

近年の出店コストの高騰から
既存のフォーマットだけでは、
出店による成長戦略が描きにくくなった。

そこでベイシアは出店戦略本部を立ち上げた。
「小型業態」部門が中心になって、
2年前から研究した。

そして既存のベイシアマート4店舗で、
実験を重ねた。

店舗導入部はファストフードのコーナー。beisia-entranc

ドリンクやワンハンドのファストフードを提供する。

先頭は旬の果物売場。beisia-produc

精肉、水産加工品に続いて、日配品の売場。beisia-dairy

ゾーニングはオーソドックスだ。
最終コーナーは惣菜と冷凍食品。beisia-frozen-deli

惣菜は「QUICK MEAL」とネーミングされた。beisia-deli

おにぎりは店内製造。

小型店といっても冷凍食品は品揃えを充実させる。
冷凍パスタ各種は399円と手ごろ。beisia-frozen

オトナリマート専用のオリジナル商品の構成比は約15%。beisia-groce

メディア向けの説明は、
執行役員出店戦略本部・田中秀一本部長。beisia-tanaka

出店戦略とエリア戦略を語った。
他業態の店の「オトナリ」に出店して
相乗効果を上げるのが名前の由来。

ん~。

面白いバナーだが、
私は最初に聞いたときに、
「お隣」、つまり「近隣」のことかと思った。

英語で言えば「neighborhood」

米国ウォルマートのスーパーマーケット業態は、
「Neighborhood Market」と名づけられている。

それかと考えたのだが、
違っていたのか。
それとも暗に「neighborhood」を意味しているのか。

1939年からのアイダホ州。
33歳のジョー・アルバートソン。

そう、アルバートソンの創業者。
1990年代まで米国スーパーマーケット産業で、
エクセレントカンパニーの名をほしいままにした。
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現在はクローガーに次いで、
米国第2位のスーパーマーケット企業だ。

創業のころのジョーは、
出店の際には必ず車を飛ばして、
「三角巾のおしめ」が干してある地域を探した。

若いファミリーが多く住む地域である。
そこはサバーブと呼ばれて、
将来性の高いエリアだった。

ジョーはこれを、
「Neighborhood Marketing」と呼んだ。

小型業態営業事業部・橋本泰孝事業部長。beisia-hashimoto
個食シーンを狙った商品構成について語った。

小型業態一般食品部・青木慎祐部長。beisia-aoki
オトナリマート独自の開発商品について、
具体的に説明してくれた。

2026年度に首都圏近郊に1店舗。
2027年度には東京23区に5~10店舗の出店を計画。
2028年度以降、物流網を構築し、
300店舗に向けて出店を加速する。
詳細は月刊商人舎で報告する。

さて、日経新聞「夕刊あすへの話題」
元消費者庁長官の板東久美子さんのエッセイ。

「AI時代こそ求められる学び」

人文知応援大会で講演を聞き、
パネルディスカッションに出た。

テーマは「AI時代の大学教育」

社会学者の吉見俊哉さんの講演。
「今、学生のレポートの質が劇的に向上、
AI依存が疑われても判別困難な実態を紹介」

そうだろうな。

「思考を省き、考える力を失う危険」を、
吉見さんは指摘した。

「自ら問いを立てる」こと、
思考や体験にかける「時間」の重要性が、
パネル討論でも指摘された。

自ら問いを立て、考え抜き、
様々な体験をし、主体的に動くこと。

今、初等中等教育では、
「探究」の学びが重視されている。

この探求は、
「両利きの経営」の深化と探求の、
「探求」でもある。

生成AIリテラシーでは、
「プロンプト」がカギを握る。

「問い」である。

「三角巾のおしめ」が干してある地域を探す。

これこそ「探求」である。

どんなネーミングでもいいが、
自ら「問い」を発し、
それを求める姿勢こそ、
忘れてはならない。

〈結城義晴〉

2026年02月23日(月曜日)

2月の「夏日」の深刻な「貨幣錯覚」と「エブリデーロープライス」

Everybody! Good Monday!!
[2025vol⑧]

2026年第9週。
2月第4週。

今週で短い2月が終わる。

その月曜日は天皇誕生日の祝日。
三連休最終日。

ひどく暖かい。

関東甲信地方や近畿地方では、
気温25度を超えた。

「夏日」だ。

関東地方に春一番も吹いた。

東京新聞巻頭コラム「筆洗」

「指標それ自体を目的にすると、
その指標は良くない指標になる」
「グッドハートの法則」

英国の経済学者チャールズ・グッドハートが、
1975年にこの理論を提唱した。

イギリスの金融政策に関する論文に掲載された。

インフレターゲット論は、
この法則に当てはまってしまう。

日経新聞の経済コラム「大機小機」
匿名で書かれる。

「消費の回復に何が必要か?」

消費の本格的な回復への動きが鈍い。

総務省の「家計調査」
2025年12月の2人以上世帯の消費支出は、
物価の影響を除いた実質で、
前年比マイナス2.6%。
大幅に減った。

25年通年では前年比が、
3年ぶりにプラスに転じた。

しかしエンゲル係数は28.6%。
44年ぶりの高水準となった。
エンゲル係数は消費支出に占める食費の割合。

消費者はぜいたく品の購入を控え、
安価な品へとシフトしている。

節約志向は顕著だ。

小売業の現場の実感は正しい。

原因は足元で続く物価高騰である。
これも明白だ。

名目賃金は上昇するものの、
物価上昇がそれを上回る。

その結果、実質賃金の下落が続いている。

厚生労働省の「毎月勤労統計調査」
25年の実質賃金は前年から1.3%減。
4年連続でマイナス。

実質賃金が上がらない限り、
消費は回復しないとの見方は有力。

しかし「仮に賃上げが進み、
実質賃金が上昇したとしても、
消費が本格的に回復すると考えるのは、
早計である」

その通りだ。

実質賃金が上がっても、
消費に直接結びつくわけではない。

なぜなら、
「消費者の多くが実感する物価上昇は、
実際の消費者物価上昇率より、
はるかに高いからである」

日銀の「生活意識に関するアンケート調査」

問いは、
「1年前に比べて物価は何%程度変化したと思うか」

25年11月から12月時点でも、
回答の平均値が17.8%。
中央値が15.0%。

顧客の意識は物価上昇率を、
二けたの後半と見ている。

同時点の消費者物価上昇率は、
実は3%未満だった。

消費者は物価高騰を過大に感じていた。

深刻な「貨幣錯覚」である。

「貨幣錯覚」とは、
貨幣価値が変動すると、
同一の貨幣額で表示された、
物やサービスの実質価値も変動するのに、
表示された貨幣額によって、
変わっていないような錯覚に陥ること。

消費者が貨幣錯覚を持ち続ける限り、
実質賃金が数字の上で上昇に転じても、
低迷する消費マインドを改善できない。

消費者行動に影響を与えるのは、
実際の数字ではなく、
所得が物価より上がったかどうかの、
「実感」である。

小売業やサービス業にとっても大事なことだ。

コラムニストの結論。
「値上がりを感じやすい食料品など、
日用品の価格を早く安定させること」

これは物価を安定させよ、ということだ。

店頭は小売業の企業が握っている。

不安定な物価ならば、
その不安定さへの「不安」を解消し、
顧客心理を掴んだ店が、
信頼される。

一つの有力な方法論は、
ウォルマートの「エブリデーロープライス」だろう。
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トレーダー・ジョーも、
「エブリデーロープライス」だし、
クローガーもHEBも、
コストコもホームデポも、
エブリデーロープライスを基本とする。

もちろん巧みなハイ&ローによって、
顧客の不安を払拭し、
さらに顧客に買物の面白さを供与すれば、
「物価上昇」の不安をぬぐうことができる。

コラムニスト。
「それによって貨幣錯覚を解消し、
消費者が所得上昇を実感できる環境を、
つくり上げていく」

日本全体の経済で言えば、
「貨幣錯覚」の解消であろう。

政府が実質賃金を、
上げろ、上げろ、
上げろ、上げろ、上げろと、
五回叫んだところで、
貨幣錯覚は払しょくされない。

ウクライナ戦争だとか、
パレスチナ問題だとか、
中国の脅威だとか、
戦争が近いだとか、
凶悪な犯罪が頻発するだとか、
所得格差が酷いとか。

将来の不安が煽られて、
それが「貨幣錯覚」の底辺となる。

国民の知る権利は必須だが、
マスメディアとSNSの責任は重い。

煽ってはいけない。
事実を伝えるべきだ。

そして。

飛び石の善意であっても、
お店に来れば安心できる、
買物するときは安らかだ、
生活は安穏だという、
この実感が「貨幣錯覚」を払拭する。

小売流通業の役割は重い。

では、みなさん、今週も、
ちいさな喜び、
ささやかな幸せ、
あすへの希望。

Good Monday!  

〈結城義晴〉

2026年02月22日(日曜日)

ミラノコルティナ冬季五輪の終幕と「オリンピズム」の哲学

三連休の真ん中の日曜日。

お陰様でめまいは治った。
完治したわけではないだろうが。

私の右眼は緑内障、白内障、
そして網膜剥離にかかった。
それで四度も手術した。

これも完治はしない。
ずっと付き合っていく。

耳と眼は悪い。
そのかわりに、
首から下は大きな病に侵されていない。

有難いことだと思う。

さて、
ミラノコルティナ冬季五輪。

もう終わってしまう。
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スポーツの世界、アートの世界に、
どうも人類の才能が集まっていくようだ。

ここには差別はない。
偏見もないし、
権力や武力はない。
カバン・カンバン・ジバンもない。

ただひたすら自分の能力を高めようという、
意志があるだけだ。

それが磨かれ、磨かれ、
磨かれ、磨かれ、磨かれて、
自分らしい成果をあげる。

その成果物を私たちは、
共有することができる。
そして成果物は歴史に残る。

過去・現在・未来がつながっていく。

オリンピックは、
より高く、より早く、より強く。

人間の精神と肉体によって、
それを追い求める。

アスリートたちは国や地域に属している。
しかしあくまでも、
一番大切なのは個人やチームだ。

国威発揚の側面がないとは言えない。
しかしもっとも大切なのは、
人間の尊厳である。

だから世界中の優秀な若者たちが、
ここを目指して集ってくるのだと思う。

政治の世界よりも、
オリンピックにこそ、
優秀な人間が結集される。

それがギリシャの時代に始まった、
オリンピックの現在である。

古代オリンピックは、
古代ギリシアのエーリス地方「オリンピア」で、
4年に一度行われた競技会であり、祭典である。

紀元前8世紀から紀元後4世紀にかけて開催された。

最盛期にはギリシア世界全域から、
アスリートが参加した。

ギリシア人たちは、
この大きな祭りを格別に神聖視した。

だから大会の期間と、
それに先立つ移動の期間、
合わせると3カ月は戦争をしていても、
休戦となった。

その古代オリンピックの起源には、
いろいろな説があるが、
そのひとつが伝染病蔓延説である。

パンデミックに苦しんだ、
エーリス王のイーピトスが、
アポローン神殿で伺いを立てた。

神は啓示を下した。
争いをやめ、競技会を復活せよ。

イーピトス王はまず、
スパルタのリュクールゴスと協定を結んだ。

イーピトスとリュクールゴスは、
仲が悪かった。

その両者が和解して、
ギリシャ全域のオリンピックが行われた。

「オリンピアの地に武力をもって入る者は、
神にそむくことになる」
これがテーゼだった。

この起源に私が惹かれるのは、
武力の否定が前提となっているからだ。

近代オリンピックは、
1896年のアテネから始まった。

ピエール・ド・クーベルタンの尽力があった。
クーベルタンはフランスの教育学者だ。
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その趣旨は、
「スポーツによって青少年教育を振興させ、
世界平和実現のために
古代オリンピックを復興しよう」

クーベルタンは「オリンピズム」を提唱した。
オリンピック哲学である。

それは世界を発展させ、国際理解を深め、
平和によって共存することである。
同時に社会や倫理教育の場で、
スポーツの役割を強調するものである。

オリンピックはオリンピズムを、
世界中の人々に広めるための祭典である。

オリンピズムの目的の大きな柱として、
「人間の尊厳」がある。

これが何よりも大切なことだ。

クーベルタンは、
「美にして善なること」を重んじた。

身体的な美しさがあるだけでなく、
心も道徳的であること。

クーベルタンは古代ギリシアの人々のように、
スポーツの力を活用することに着想を得た。

現在の「日本列島を強く豊かに」なるスローガンは、
言い換えれば明治時代の「富国強兵」である。

オリンピズムの哲学は、
19世紀末の「富国強兵」の思想に対して、
静かに対峙している。

昨日のこのブログで書いた、
糸井重里の「飛び石の善意」こそ、
このオリンピズムの哲学である。

善意に基づくオリンピックは、
飛び石のごとく4年に一度しかやってこない。

そのミラノコルティナ五輪が終わる。

飛び石の善意を日々のものとする努力を、
私たちは惜しんではならないと思う。

私はそれが商売と仕事を通じて、
成し遂げられるものだと固く信じている。

〈結城義晴〉

2026年02月21日(土曜日)

「よくないニュースばかり」の中の商売の「善意」・仕事の「善意」

朝、目覚めると、
天井がグルグル回っている。
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㈱商業界の社長をやっているころ、
メニエール症にかかった。

今も完治はしていないが、
それには慣れてしまった。

1年か2年に一度、
こんなことになる。

急遽、予定を取りやめて、
午前中、寝ていた。
午後にもうつらうつらしていた。

夕方からよく眠った。

結局は疲労なのかもしれない。
ニューヨークに8日間。
かなりのハードワークだった。

それにひどく寒かった。

帰国してからも、
休みなしで動き回った。

その疲れがたまっていたのだと思う。

久しぶりに、
ほぼ日刊イトイ新聞。
巻頭エッセイは「今日のダーリン」

糸井重里さんが毎日更新している。

「あらためて言うのも変だけれど、
いいニュースなんて
ちっとも見ない」

強く同感したい。
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「スポーツがらみでちょっとはあるかな、
ちょっとある」

これにも同感だ。

ミラノコルティナ五輪。

日本選手団の活躍はいいニュース。
スノーボードの4つの金メダル。
フィギアスケートの「りくりゅう」
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ヨハネス・ホスフロート・クレボ選手。
ノルウェーのクロスカントリーアスリート。
金メダル6つを獲得して、
このカテゴリー完全制覇。
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こんないいニュースもある。

糸井さん。
「しかし、ずっと毎日、
悪いことばかりが伝えられている」

「国内国外、過去も現在も未来も、
ご承知の通りである」

「それでも、よくない話、暗い事実について、
もっと知らないといけないのではないかと思い、
あらゆるよくないニュースについて
勉強もすることになる」

「どうしょうもないことのほうが圧倒的に多い」

ドナルド・トランプの関税政策。
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米国連邦最高裁判所が、
関税の大半を違憲とする判決を下した。

これはちょっといいニュースだが、
トランプはそれを非難している。
判事たちは「不誠実」で、
「外国の利益」に便宜を図っている、と。

ひどすぎる。

苦しんでいるのはアメリカ国民と、
アメリカの小売業や製造業だ。

糸井。
「どうしょうもないなりに
考えを持っていようとしたら、
それについて考えている時間も労力も多くなる」

「真面目によくないニュースに付き合っていると、
人生の大半を、よくないニュースについて
考え続け憂いている人になってしまいそうだ」

「生まれてこの方、ずうっと憂いてきて、
すべてを憂いながら
一生を終わる人だっているだろう」

「実際、そういう生活をしている人も
いるような気がする」

長い目で世界を見よう――。
私はそう考えている。

糸井さん。
「どうして、こんな
悪いことばかりの世の中にいて、
それなりに今日や明日を
生きていられるのだろうか」

そして、思う。
「たぶんそれは、どれだけ世界中が
よくないニュースにどっぷり浸かっていても、
ほっとする出来事だとか、
よろこばしい人間の善意だとか、
かわいい人や生きものだとか、
なにか美しいことだとかが、
ちょっとずつ『飛び石』のようには
あるからではないかな」

同感だ。

「暗いニュースの水面から
ちょっと顔を見せている石を、
ぴょんぴょん飛んでいる時間が、
ぼくらには残っている」

「そして、もしかしたらその飛び石、
総面積は少なくても、
しぶとく次々に生まれ続けているのではないか、
と、そんなことを思っているのかもしれない」

飛び石のいいニュース。
飛び石のいい話。

「『人の善意などどこにもない』と、
本気でみんなが信じるようになったら、
ほんとに『人の善意』には
居場所がなくなるのだろう」

そうそう、商売で、
人の善意を示そう。

日々の自分の仕事で、
人の善意を証明しよう。

そして最後の一言。
「きっと大昔から、
よくないニュースが
ほとんどなんだろうな」

そのとおり。
大半のよくないニュースのなかに、
飛び石の善意が混じっている。

それが人間の生きる力になっている。

商売で善意を示したい。
仕事で善意を証明したい。

などと考えていたら、
天井のグルグルは治った。

善意のことを思っていると、
病気まで退散する。

ありがたい。

〈結城義晴〉

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