結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2025年09月01日(月曜日)

やなせたかしさんの詩「絶望のとなりの希望」

Everyone, Good Monday!
[2025vol㉟]

2025年第36週。
9月第1週。

今月はあちこち飛び回る。

今週は月刊商人舎9月号の入稿をしつつ、
火曜・水曜・木曜と湯河原。
商人舎ミドルマネジメント研修会。

万全の態勢で臨みます。

来週は少し休んで、
9月第3週はロサンゼルス。
9月17日から22日まで。

ドジャースのゲームを観戦し、
店舗視察をします。

帰国したら、
商人舎バイヤーセミナー。

次々にご参加のお申し込みをいただいています。
ありがとうございます。

そうしているうちに9月最終週。
月刊商人舎10月号の〆切がやってくる。

充実した日々に感謝しましょう。

今日は朝から9月号の入稿。
ほんとうに濃密な仕事をしました。

最後に今月の表4ページ。

広告はブルーチップ。
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宮本洋一社長の気合の入った写真。
「解決!!」
[DX×顧客戦略×現場改善]

やりますね。

ありがとうございます。

もうそろそろ仕事を終了して、
帰宅します。

お疲れ様。
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1923年9月1日、関東大震災が起こった。
102年前。

死者・行方不明者約10万人。
未曽有の大惨事だった。

その震災の発生日にあたる日が、
「防災の日」と決められた。

新潟日報の巻頭コラム「日報抄」
「安全安心を安易に他人に委ねるまい」

賛同したい。

「一人一人が
想定される災害のリスクを把握する。
その上で正しく恐れる。
でき得る限りの準備を
怠らず、諦めない」

「万が一のための用心ではない。
災害は必ず起こるものだと考えたい」

他者に委ねてはならない。
災害のリスクを把握し、
正しく恐れる。

店を預かる者として、
その店を多く運営する者として、
できうる限りの準備を、
怠らず、諦めず。

災害は必ず起こるものだ。

昨日の朝日新聞の「天声人語」
やなせたかしさんの詩を紹介した。
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絶望のとなりに
だれかが
そっと腰かけた
絶望は
となりのひとに聞いた
「あなたはいったい誰ですか」
となりのひとはほほえんだ
「私の名前は
希望です」

では、みなさん、今週も、
絶望のとなりの希望でありたい。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2025年08月31日(日曜日)

現代芸術家/森村泰昌の「肖像・ゴッホ」に勇気づけられる。

8月31日。

8月の終わり。
明日から9月。

横浜もまだ暑い。
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日経新聞「私の履歴書」
美術家の森村泰昌さん。

ついつい1カ月間、
読み続けてしまった。

この新聞のこの連載にしては、
異例中の異例。

だから面白かった。

最近の日経新聞は、
大きく変わってきた。

夕刊の「プロムナード」では、
写真家の金川晋吾さんが連載を書いている。
この人も異例の写真家だ。

一言で片づけたいとは思わないが、
「多様性」や「異端性」が極めて大切であることを、
経済の新聞が主張している。

それがいいと思う。

森村泰昌さんは、
自らがゴッホの自画像に「なる」作品によって、
衝撃的なデビューを果たした。
セルフポートレイトの写真作品。
1985年に発表して、もう40年が経過する。62OSXN4X2VJ6DC47PVPTF7FKSA (1)

小学生のころから油絵を描く。
京都芸術大学に入って美術に取り組む。
アーネスト・サトウの弟子となって写真を学ぶ。
それらもあきらめて文筆家を志す。

しかしピンとくるものがない。

述懐する。
「核になるところが見つからない。
何をやってもこれは自分じゃない。
自分がどこにもないと思っていた」

「だが迷っている自分が確かに
ここにいるじゃないか」

「迷っている自分を核に、
これまでやってきたことすべてを寄せ集めたら、
トータルなひとつの世界になった」

それが「肖像・ゴッホ」だった。

以来、次々に西洋の名画の主人公になり切って、
それを自分で写真にした。

レンブラントにも、
ダ・ヴィンチにもなった。
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マネの「オランピア」にも、
フェルメールの「真珠の首飾りの少女」にも、
モナリザにもなった。
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マリリン・モンローにもなったし、
三島由紀夫にもなった。
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これを芸術と分類していいのか。
そんな疑問すらわいてくる。

しかしそれが森村である。

そして74歳の今、究極の形を追う。

森村さんは自問する。
「私は何者か、私に何ができるのかと、
『私』問題を模索しながら、
絵画、映画、20世紀の歴史を巡る歳月。
その歳月を経て、ふと、
頭をよぎる問いがある」

「私のセルフポートレイトは、
これからどこに行き着くのか。
この先にある究極のセルフポートレイトとは、
どんな形なのか」

連載の最終回では、
中島敦の小説「名人伝」に行きつく。
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弓矢の技を極めたと自負する一人の若者が、
峻厳(しゅんげん)な山の頂に住まう、
さらなる奥義を極めた達人を訪ねて行く。

すると「よぼよぼの爺さん」がいた。
老人の前で若者は見事な弓矢の技を披露する。
しかし老人は一向に驚かずこう言った。
「一通りは出来るようじゃな。
しかしいまだ不射之射(ふしゃのしゃ)
知らぬと見える」

それから弓矢を持たず素手のまま、
崩れかけの崖に立った。
一羽の鳶(とび)が空を舞っている。
すると老人は、
「見えざる矢を無形の弓につがえ」
射ち放った。
たちまち鳶は
「中空から石のごとく」落下した。

森村さんは上方落語の桂枝雀にも共感する。

落語家に与えられているのは、
およそ70センチ四方の小さな座布団だけである。
だがここに座れば、愛宕山に登ることも、
三十石船(さんじっこくぶね)で旅することも出来る。

しかもノーメイク。持ち物も、
キセルにも箸にもなる扇子のみ。
この身軽さで、落語家は一人で
何人もの登場人物のすべてに「なる」。

枝雀曰く、
落語は小さくて大きい芸である。
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「座布団に座り、一言も言わんと、
ただぼやーっとしてるだけで、
おかしいなと笑えるんやったら、
それが究極の落語やな」

「『究極』の形は意外にありふれている。
けれど『究極』に至ろうとする道程は
苦難に満ち、決してありふれたものではない。
その苦難の道を歩む者だけが、
至りえぬ『究極』の在り処(か)を照らし出し、
指し示すことが出来るのだろう」

「中島敦や桂枝雀には及ばないが、
私も今少し『究極』を目指し、
粘ってみたい」

森村泰昌、1951年生まれ。
私より一つ年上の芸術家だが、
まだまだ気力は衰えていない。

森村泰昌の存在感。
そのポジショニング。

商売に置き換えると、
自分らしい店、自分らしい売場、
自分らしい商品。

自分らしい経営。

森村泰昌はそれらをやろうとする人間を、
勇気づけてくれる。

〈結城義晴〉

2025年08月30日(土曜日)

結城義晴「ギリギリ主義・コツコツ主義」と丸山眞男「精神の惑溺」

暑いあつい8月末の土曜日。
横浜の最高気温は36℃。

ああ。
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午後から車で商人舎オフィスに出社。
やっぱり原稿執筆には、
ここが一番いい。

着いたらすぐに、
熱い珈琲を淹れる。
いや淹れてもらう。
商人舎オフィスの豆は、
問屋から直接、買ってくる。
酸味が強いのが好きだ。

月刊商人舎9月号の原稿執筆と編集業務。

月曜日から9月。
学校の新学期が始まる。

私は子どものころから、
なぜかギリギリ主義だった。
どうしてだろう。

父も母も何でも着々と進めるタイプだった。
妹もコツコツ宿題をやっていた。

私だけギリギリまで先延ばしにした。

小学生、中学生、高校生。
だからいつもこの時期は宿題に勤しんでいた。

高校3年の時だけは夏休みの宿題はなかった。
大学受験の時期だったからだと思う。
なんだか嬉しかった。

社会人になると、
どういうわけか、
毎月〆切のある仕事に就いた。

それ以来、もう50年近くになる。

ビル・ゲイツもギリギリ主義で、
「これが一番能率が上がる」と言っている。

さらに商人舎を設立する直前から、
毎日〆切のある生活になった。

このブログを始めたからだ。

私は神を信じる者ではない。
けれど運命のようなものは、
ご都合主義で持ち出してくる。

ウォルマート創業者のサム・ウォルトンの言葉。
“Retail is Detail”などは、
「小売りの神は細部に宿る」と訳したりする。

そんな風に神がいるとしたら、
結城義晴のような怠け者には、
〆切を与えねばならないと決めたのだろう。

子どものころからギリギリ主義でも、
一日いちにち、〆切が来れば、
それは日々のコツコツ主義になる。

うまくできている。

それにも感謝しておこう。

さて、朝日新聞「折々のことば」

編著者の鷲田清一さんには、
本当に感謝している。

第3467回。
自由と専制との

抵抗闘争関係そのもののうちに
自由があるのであって、
自由の単一支配は
もはや自由ではない。
(丸山眞男)

「明治の思想家・福沢諭吉が、
生涯説き続けたことの一つが、
価値の多元的存立が自由の基盤をなす
ということだった」

政治学者の丸山眞男はそう言った。
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「たえず変化する状況の中で、
各人が一つの価値規準に呑(の)み込まれ、
主体的な判断を放棄する、
そんな精神の『惑溺(わくでき)』から
社会の停滞が起こる」

丸山眞男らしい。
あえて「惑溺」という言葉を使った。

「耽溺(たんでき)」と言う言葉もある。

惑溺も耽溺も、
「あることに夢中になり、
それ以外考えられなくなること」

「耽」は一つの物事に熱中することだが、
「惑」は正しい判断ができなくなること。

だから「惑溺」には、
心を奪われて判断力を失うというニュアンスがある。

正しい判断ができなくなるほど、
一つの価値基準に吞み込まれてしまう。
多くの人がそうなると、
社会は停滞する。

だから丸山は言う。
「自由は“多事争論”の中で育つ」

専制主義やポピュリズムは、
そこが危うい。

丸山著『福沢諭吉の哲学』から。
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昨日の玉置泰さんの「人間発見」で、
伊丹十三さんが亡くなったあと、
宮本信子さんが詩を教えてくれる。

三好達治の「涙をぬぐって働こう」

とてもいい。

みんなで希望をとりもどして
涙をぬぐって働こう

忘れがたい悲しみは
忘れがたいままにしておこう
苦しい心は苦しいままに
けれどもその心を
今日は一たび寛(くつろ)ごう

みんなで元気をとりもどして
涙をぬぐって働こう

あんまりいい感じのしない世の中でも、
お客さんに喜んでもらう。
商売はとても明るい。

みんなでげんきをとりもどして、
涙をぬぐって働きたい。

〈結城義晴〉

2025年08月29日(金曜日)

オーケー川口中青木店開業と「人間発見」の玉置泰さん

オーケー川口中青木店が開業した。
昨日の8月28日、金曜日。ok-facade

山本恭広編集長が取材に行った。

JR京浜東北線川口駅から、
東に2㎞弱入った住宅地。

とくにメディア向けの案内はなかったが、
事前に店舗撮影と取材を申し込んだ。
取材者はたった一人だった。

オーケーとしては川口市内5店舗目。
59万5000人の人口の川口に集中出店している。

オーケーのこの新店は、
強いチェーンが集まる激戦地内に飛び込んだ。

1998年10月にオープンしたのが、
サミットストア川口青木店。summit

2001年7月にはベルク中青木店。belc

そして2003年12月に、
ヤオコー川口朝日店が最後発で登場。yaoko-facade1

どの店もオープン以来、20年以上が経過した。

この間、どの店も改装を施し、
最新のMDを展開している。

今、ヤオコーが外壁をリフレッシュ中。yaoko-kawaguchi

オーケーの建物は地下1階地上4階。
売場面積500坪を確保するために、
1階は搬入口と駐車場用の車路スペースとした。
2階から上は駐車場にして、
地下1階に売場を設けた。

9時半に店舗に到着。
開店前には200人が並んだ。

8時半のオープンのあと、
1階で入場制限をしながら、
エスカレータで顧客を誘導する。

次々とエスカレータを降りてきた顧客に、
従業員がカートを渡す。ok-produce

売場先頭の壁面には、
シャインマスカットと巨峰の大量陳列。ok-grape

第1主通路に青果、鮮魚、精肉を集中させる。
このゾーニングはオーケーの定石だ。ok-1st

売場最終コーナーは惣菜とベーカリー。
開店日限定の握り寿司と焼きたてピザに、
顧客が群がる。ok-deli

二宮涼太郎社長は、
手応えを語ってくれた。ok-ninomiya

「川口市内の既存店の地主さんのご縁で、
この店の土地が確保できました」

「川口はオーケーの認知度が高いエリアです。
この店の周囲にはいろいろな国のお客さまが、
住まわれています。
それが特徴ですが、
しっかり対応していきます」

激戦区ではあるが、
手ごたえ十分といった印象だった。

詳細は月刊商人舎9月号に掲載する。

山本編集長のルポルタージュ。
ご期待ください。

さて日経新聞夕刊の「人間発見」
今週の月曜日から5日連続で、
玉置泰さんが登場。

楽しみに読み続けてきたが、
金曜日の今日が最終回。
玉置泰

肩書は、
「ITM伊丹記念財団理事長、一六会長」

ITMグループの祖業は菓子の一六。
自動車販売のネッツトヨタ愛媛と、
スーパーマーケットのセブンスターなど、
愛媛県で多角的に事業を展開している。
年商は約400億円。
愛媛県を代表する企業グループだ。

その玉置さんは、
伊丹十三記念館理事長である。

この「人間発見」は、
その人の意外な側面を発見する、
という趣旨の連載だ。

玉置さんは、
立派な経営者であり、
なおかつ映画プロデューサーであり、
伊丹十三記念館を運営する。

そこにスポットを当てた。

玉置泰さんの父上は、
商業界全国同友会の重鎮だった。
つまり倉本長治の愛弟子だった。

その意味でも私はお世話になった。

玉置さんは同郷の伊丹十三さんに、
一六タルトのCMに出てもらうことで知り合いになる。

それから伊丹さんの初めての映画製作に協力する。
「お葬式」への出資だ。

それが大成功して、
伊丹映画は高く評価され、
次の「タンポポ」などの名作につながっていく。

玉置さんは伊丹プロダクション社長となって、
その後も伊丹さんを支え続ける。

映画「スーパーの女」は記念碑のような作品だ。
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玉置さんはセブンスターの社長だった。

伊丹さんが中内功さんに興味をもっていた。
しかし玉置さんは反対した。
「価格破壊は1~2年で魅力を失うような言葉で、
映画にはなりませんよ」

そこで玉置さんは、
サミット社長の荒井伸也さんに引き合わせる。
伊丹さんは荒井さんの「スーパー愛」に感動する。

そこから映画づくりが始まった。

玉置さんと荒井さんが全面的に支援して、
「スーパーの女」は制作され、封切され、
大ヒットする。

スーパーマーケット業界は産業を上げて、
この映画を支援する。

私も旧サミット方南町店での撮影現場や、
布田の撮影所を訪れて、
少しだけ協力した。

その撮影所の伊丹組の事務所には、
「小説スーパーマーケット」、
「日本スーパーマーケット原論」、
そして食品商業別冊がずらりと並んでいた。
「惣菜の教科書」や「サミットスタディ」などなど。

伊丹さんや製作スタッフたちが、
「面白い、面白い」と言って読んでくれたそうだ。

このときの映画のプログラムに、
私は一文を書いた。

私自身がスーパーマーケットで泣いた話。

食品商業誌上では、
対談「伊丹十三×荒井伸也」を掲載した。

その伊丹さんが突然、亡くなった。
玉置さんは慟哭しながらも、
奔走してすべての実務を処理した。

そんなことが5日にわたって描かれた。
いい連載だった。

今、玉置さんはお二人の息子さんに、
それぞれの事業の社長を任せて、
会長の座にある。

伊丹プロダクション社長は、
伊丹夫妻の次男、池内万平さんに譲った。

私も伊丹映画のファンだ。
とくに好きな作品は「タンポポ」。
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それから「あげまん」。
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もちろん「スーパーの女」はいい。
これらの映画は玉置泰さんの作品でもある。

ありがとうございます。

〈結城義晴〉

2025年08月28日(木曜日)

紀文正月フォーラム2日目の「後ろ向き・下向き・内向き」はNG!

今日も東銀座の時事通信ビルへ。IMG_8068

㈱紀文食品の正月フォーラム2日目。

毎年、時事通信フォーラムで開催される。
紀文正月フォーラムは、
季節の変わり目を知らせてくれる風物詩だ。

高柳謙一郎営業企画部部長が出迎えてくれた。
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控室を尋ねてくれたのは弓削渉副社長。
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海外事業を担当する。
トランプ関税でご苦労されているとか。

会場のホワイエには、
「紀文と大相撲」のプレゼンテーション。
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フォーラムは13時30分にスタート。
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初めに堤裕社長のご挨拶。
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紀文食品の今年の提案が、
「SURIMI(すりみ)」。

若い世代を掘り起こすマーケティングだ。IMG_8081

フォーラムの2025年のテーマは、
「変わるお正月、
どう過ごす?どう売る?
お正月戦略のポイント」

3つのプログラムで2025正月商戦を提案する。

第1が基調講演。
「『これ、なあに?』から始まるおせちの行事食」。
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和文化研究家の三浦康子さんと、
シルミル研究所の岡﨑菜穂子さん。
対談形式で進める。
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行事食を子どもに伝える。
行事食の代表が正月であり、おせちだ。

シルミル研究所の91万人のアンケートをもとに、
丁寧に提案していくお二人。
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ホワイエには、
おせちの「これなあに?」が展示されている。IMG_8087

おせちの「意味」がかな文字で書かれている。
店頭で子どもたちに伝えるときの参考になる。IMG_8089

プログラムの2番目は紀文食品からの提案。IMG_8104

プレゼンテーションは堀内慎也さん。
セールス・カテゴリー推進室戦略推進部部長。

2024正月商戦の総括と、
2025年の取り組みを提案する。

仕掛けの時期や商品トレンドなど、
盛りだくさんの情報で正月商戦を支援する。IMG_8111
の堀内さんの講演内容は、
月刊商人舎10月号に掲載される。

このフォーラムに参加した企業は復習を、
参加できなかった企業は勉強を、
してください。

第3が結城義晴の総括講演。
テーマは、
「トランプ関税と闘え。」

毎年、春先にはフォーラムのテーマを考える。
今年は「円安不況に対抗せよ」と決めた。

しかし8月7日から、
日本に対しては15%の関税がかけられた。
世界中の国に一方的に関税がかけられた。

既存のサプライチェーンは大きく変容する。

そこでタイトルを変えた。

さらに2025年の提案は、
「商品部強化策と年末商戦の考え方」となった。
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講演のプロローグは、
「 不易流行、元は一つ也」
この3年ほど言い続けているのが、
「トレードオン」である。

「トレードオフ」は、
何かを得ると、別の何かを失うという、
相容れない関係のなかで、
何かを達成するために何かを犠牲にする、
と決めることである。

その反対にトレードオンは、
二律背反の要件を、
新たな価値を生み出すことで
両立させてしまうこと。

コロナ禍を経て、
トレードオンが必須となった。

松尾芭蕉も作句において、
同じことを教えた。

千歳不易の句と一時流行の句。
どちらも必要だが、
その「元」は一つだ。

トレードオンの時代の心理がここにある。

プロローグの後が、
ごく簡潔なPEST分析。

①PESTのPはPolitical。
政治が商売にもビジネスにも、
大きく影響を与える。IMG_8122

②PESTのEはEconomics。
日本銀行2025年7月の基本的見解は、
「経済は2025年度と2026年度、
下振れリスクの方が大きい」

しかし昨日の政府の8月報告でも、
「わが国の景気は緩やかに回復している」

これをどう考え、どう行動するか。

③PESTのSはSociety。
社会全般に不安要素が充満している。
だから生活は全体的に保守的になる。

④PESTのTはTechnology。
技術革新では二つの潮流を提示。
第1がデジタルトランスフォーメーション。
第2がソフトウェアの技術革新。

それらに関しても簡潔に対策を示した。IMG_8121

それから具体的な二つの提案。
第1が「商品部を強化し、重用せよ」

これはトランプ関税対策には、
商品部の躍動しかないと考えるからだ。IMG_8126

そのためにも緊急セミナーを開催する。
9月24日(水)・25(木)。
商人舎バイヤーセミナー。
バイヤーセミナー
この正月フォーラムでは、
そのエッセンスを5分ほどで語ったが、
実際のバイヤーセミナーでは、
私は7時間、熱を入れて講義する。

バイヤーの仕入れと商品開発の「精神と技術」

鈴木哲男講師、中村徹講師と、
三人で全力を挙げて講演する。

自分で言うのも恐縮だが、
これは参加して、
勉強したほうがいいと思う。

メーカーや卸売業の皆さんも、
受けつけています。
一緒に学んでほしい。

正月フォーラムの第2の提案は、
「選ばれる店づくり」
紀文食品の提案と同期している。
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最後に「勝ち組と負け組」の差異を示した。

勝ち組は例えば年間25%伸びれば、
3年で2.0倍、6年で3.8倍となる。

10%成長ならば8年で2.1倍。

一方、前年比98%が5年続けば1割減、
10年続けば2割減で売上げは8割になってしまう。

前年比95%が7年続けば3割減、
10年続けば4割減で6割となる。

会社全体でもこうなるし、
店でも商品部門でも商品カテゴリーでも、
この大きな格差が生まれる。

だからこそ必要なのは、
「前向き・上向き・外向き」のプランであり、
「前向き・上向き・外向き」のアクションだ。

「後ろ向き・下向き・内向き」はNG!

最後の最後に「ホッケースティックの関係」
これは全社で貫徹してほしい。

2日目も気合を入れて語り切った。

ご清聴、感謝。

講義が終わるとホワイエで試食会。
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㈱ハローズの佐藤利行社長も参加してくださった。
前期も7.7%の増収、12.9%の増益、
絶好調の凄い会社だ。IMG_8136

登壇者の皆さんと写真。
右から三浦康子さん、岡﨑菜穂子さん、
そして堀内慎也さん。IMG_8139

2日間を終えてみんな笑顔。

最後の最後は、
堤裕社長と國松浩常務。
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何といっても「前向き・上向き・外向き」
「後ろ向き・下向き・内向き」はNG!

そこんとこ、よろしく。

〈結城義晴〉

2025年08月27日(水曜日)

「2025紀文正月フォーラム」の「期待されるもの」

もう9月が近いというのに暑い。
東京も横浜も36℃。

ああ。

日経新聞夕刊の「あすへの話題」
作家の多和田葉子さん。
ドイツに住んで、
日本語・独語で小説を書く。
芥川賞作家でノーベル文学賞候補。

「季節はつかみにくいもの」
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「四季というのはどうも
人間を焦(じ)らしたり、
がっかりさせたり、
驚かせたりするものらしい」

ん~、その通り。

「早く春が来ないかと思って待っていると
雪が降ってきてがっかりする。
雪を白い花だと思えばいいんだ、
と気持ちを切り替えて白い季節を楽しんでいると、
今度は春を飛び越えて酷暑が襲ってくる」

「地球の温暖化のせいもあるが、
それだけではない」

そこで多和田さんは「古今和歌集」を読む。

「四季は昔から、
人々の期待通りにはやって来なかった」

「雪のうちに春はきにけり」で始まる春の歌。
これは暦の上では春が来ていても、
実際には雪が降っていたということ。

「また雪に隠れて梅の色は見えないけれど、
せめて香りを放ってそこにいることを
教えておくれ、と梅に訴える歌もある」

「春が来たと人は言うけれど
自分は鶯(うぐいす)の声を聞くまで信じない、
という歌もある」

「訪れているはずの秋は
視覚ではとらえられないが、
風の音にそれを聞くという有名な歌もある」

「季節というものは、
そこにあるのか、ないのか、
意外につかみにくいものなのかもしれない」

「『古今和歌集』の歌の詠み手たちは
室内で過ごすことの多い階級に属していた」

貴族階級だった。

「彼らは、春はこういうもの、秋はこういうもの、
という強い思い込みのようなものを持っていた」

「これを『思い込み』ではなく、
『教養』と呼んでもいい」
多和田さんらしい。

「ところが戸外の現実を見ると、
あるべき季節がそこにない」

「期待が満たされない時にこそ
強く季節の存在を感じる、
という矛盾した人間の心が
文学になりやすいということも
あるかもしれない」

「期待が満たされない時にこそ
強く季節の存在を感じる」

これこそ文学だけでなく、
商売やビジネスに活かすことができる。

今日は昼に東銀座の時事通信ホールへ。
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2025紀文正月フォーラム。
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毎年8月末から9月初旬にかけて、
㈱紀文食品がフォーラムを開く。

業界の秋の風物詩。
しかし暑い。

年末年始商戦の消費トレンドを分析し、
その取り組みを具体的に提案する。

今年は、今日27日と明日28日の2日間。
全国からお取引先の小売業のトップや幹部、
そしてバイヤーの皆さんが参集する。

2025年のテーマは、
「変わるお正月、
どう過ごす?どう売る?

お正月戦略のポイント」

初日は100名ほどが集まった。IMG_8015

開会のご挨拶は堤裕社長。IMG_8023

今年、紀文食品が力を入れる
「SURIMI(すりみ)」について、
丁寧に説明した。

練り製品からSURIMIへ。
紀文食品の提案も大きく変わろうとしている。

基調講演は対談形式。
IMG_8027

和文化研究家の三浦康子さんと、
シルミル研究所の岡﨑菜穂子さん。

テーマは
「『これ、なあに?』から始まるおせちの行事食」。

シルミル研究所は、リサーチ会社。
子育て情報誌『あんふぁん』『ぎゅって』読者や、
公式Web会員などのパネルのリアルな声を収集する。

行事食についての調査結果と、
行事食が果たす役割を、
二人で明らかにするという趣向。
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紀文食品からは昨年の正月商戦の総括と、
今年の具体的な「ご提案」。
IMG_8032

プレゼンテーションは堀内慎也さん。
セールス・カテゴリー推進室戦略推進部部長。IMG_8034

総括講義は結城義晴。
テーマは「トランプ関税と闘え。」
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大きな潮流をとらえるために、
まずは「PEST分析」から。

PESTの「P」はPolitical。
政治もビジネスや消費に影響を与える。
IMG_8049

PESTの「E」はEconomics。
PESTの「S」はSociety、
PESTの「T」はTechnology。

それぞれに現状をごく簡潔に分析。

そして2つの提案。IMG_8054

40分ほどの講演だったが、
今年はなぜか上着を脱いで力が入った。
IMG_8060

フォーラムの締めくくりは試食会。
今年もおでんなどが供された。

最後は堤社長とツーショット。
IMG_8063
とてもいい「正月フォーラム」だった。
ご清聴、感謝したい。

人間は、
期待が満たされない時にこそ

期待するものの存在を
強く感じるのだ。

〈結城義晴〉

2025年08月26日(火曜日)

「空っぽの時間」を意図的につくること。

8月26日。

今日を含めて6日で8月が終わる。
子どもたちの夏休みも終わる。
夏休み終了のカウントダウン。
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糸井重里の「今日のダーリン」
先週の金曜日のエッセイ。
「夏休みのこどもの、空っぽの時間。」
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――ぼくは、
戦後の豊かでない時代に生まれた人間なので、
いろんな「たのしみ」の商品もそろってなかったし、
たとえそういうものがあったとしても、
思うように買えるような生活をしてなかった。

私も同世代。

――いやぁ、ぼくの子ども時代の夏休みは、
太陽やら青空やら夕立やらプールやらという
一通りの舞台装置のなかにいたものの、
不思議とよく憶えているのは
「なにをしたらいいかぁ」と
日の光やら天井を眺めて
ぼんやりしている時間のほうだ。

わかる、わかる。

――ちょうどよくともだちがいて、
ちょうどよくどこかで遊んでいる時間も
もちろん多めにあったのだと思うけれど、
大人につきあってもらうような遊びは、
ほとんどまったくなかったし、
あいにくともだちが出払っている
「ひとり」の時間のほうを妙に思い出してしまう。

――明るくて、暑くて、
そうだなぁ、さみしい時間だ。
マンガを読んだりもしてたし、
多少は本も読んだ。

私も同じだ。

――それにしても、
あの「なにもすることがない」という
空っぽみたいな夏の時間のことは、
心に染み付いている。

――ちょっと盛り気味に言わせてもらえば、
ぼくは、主にあの「なにもすることがない」という
空虚な時間に育てられたような気がするのだ。

じみじみと同感。

――その空っぽな時間のなかには、
怖さと、さみしさと、
得体のしれない大切な栄養分があった。

――逃げようにも逃げられずに、
そこにいることが、
なにかを思うことや、
考えることをさせたのだと思える。

――実は、大人になっても、
「空っぽの時間」は必要なんだよね。

糸井重里の真骨頂。
こういった観点から、
名コピーが生まれた。

つくづくと同感させられる暑さだ。
右の銀杏の木はいつものように葉がついていない。
IMG_5100 (002)

「空っぽの時間」を意図的につくる。
それが大事なことだ。

商売をやったり、
仕事をしたりしていると、
どうしてもそんな時間が足りなくなる。
いや、なくなる。

しかし「空っぽの時間」は、
実は空っぽではない。

何らかの熟成の期間なのだと思う。
202508_shimada

さて子どもたちは夏休みだろうが、
私は仕事。

午前中は自宅で連載の校正。
それから月刊商人舎9月号の原稿整理。

キリがいいところで昼ごろ、
横浜商人舎オフィスに出社。

それから午後3時に、
浅間台歯科へ行って治療。

70歳を3年ほど過ぎて、
歯周病というわけではないが、
歯茎が弱ってきている。

もっと丁寧なブラッシングをしなければ。

すぐにオフィスに戻って、
再び仕事。

今度は講演のパワーポイントづくり。
私は結構、凝る。

写真を加え、フォントを工夫し、
構図を整える。

ここでも空っぽのスペースは大事だ。

レジュメ一枚で、
力を入れて講義することもあるが、
短時間の講演はビジュアルを増やして、
情報量をコントロールする。

そのビジュアルが説得力の一部となる。

生成AIも使わず、
自分らしいパワポをつくり込む。

明日からの紀文正月フォーラム。
ご期待ください。

〈結城義晴〉

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