結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2026年02月01日(日曜日)

B.スプリングスティーンの「Streets of Minneapolis」に拍手

2月に入った。

ブルース・スプリングスティーン。
Bruce Springsteen。

ロック界の重鎮。

1975年のサードアルバム「明日への暴走」
「Born to Run」
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私はまだ大学生だった。
このジャケットも本当に懐かしい。

このアルバムの主題曲「の最後のフレーズ。
Oh honey, tramps like us
Baby, we were born to run
Come on with me, tramps like us
Baby, we were born to run

おー、ハニー、俺達みたいな流れ者は
ベイビー、突っ走るために生まれてきたんだ
さあ一緒に行こう、俺達みたいな流れ者は
ベイビー、突っ走るために生まれてきたんだ

実に面白いことに、
スプリングスティーンは「流れ者」のことを、
「tramps」という言葉を使って表現した。

スプリングスティーンは、
アメリカで6400万枚、
全世界で1億3500万枚以上の、
レコードセールスを記録。

2016年には、米国の「大統領自由勲章」を受章。

1992年にはサム・ウォルトンが、
それからピーター・ドラッカーも、
ビル・ゲイツやスティーブ・ジョブズも、
受賞している。

ミュージシャンとしてはボブ・ディランも。

そのブルース・スプリングスティーンが、
新しいプロテストソングをリリースした。
「Streets of Minneapolis」
スプリングスティーン

ドナルド・トランプと、
米国移民・税関捜査局(ICE)を非難している。
ミュージックビデオは、
ギターを弾き、ブルースハープを吹いて、
いつものがなり声で歌う。

76歳の歌い声にはつやが出てきた。
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スプリングスティーンはリリースの日に、
声明を出した。

「この曲は土曜日に書き、
昨日レコーディングし、
ミネアポリスの街で行われている
国家による暴力的な弾圧への抗議として、
今日、みなさんに届けました」

「ミネアポリスの人々、
罪なき移民の隣人たちに捧げるとともに、
(射殺された)アレックス・プレッティと、
レニー・グッドへの追悼の意を込めている」

「自由であれ」

米国ミネソタ州の首都ミネアポリスは、
極寒の都市だ。

ターゲットの本社がある。

この街で1月24日、米移民当局の職員が、
37歳のアメリカ人男性を射殺した。

死亡したのは看護師のアレックス・プレティさん。
ビデオを見たが衝撃的な光景だ。

ミネアポリスの街頭には、
凍えるような寒さの中で、
数百人の人々が繰り出して抗議した。

1月7日には同じミネアポリスで、
ICE職員が米国籍の37歳の女性を射殺した。
車の運転席に座るレネー・グッドさんに、
ICE職員が発砲した。

J・ヴァンス、この国の副大統領。
当該職員は正当防衛のために行動したと発言した。
一方、地元当局は反論した。
グッドさんはICEに危害を与えようとはしなかった。

凄い抗議の波がアメリカ中に広がっている。
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「Streets of Minneapolis」

冬の氷と寒さを越えて
ニコレット・アヴェニューを下る
炎に包まれたこの街は
火と氷を相手に闘っていた
占領者のブーツの下で
キング・トランプの私設軍
DHS(国土安全保障省)の名を掲げ
腰に銃を下げたまま
法を執行するために来たという
――少なくともそれが奴らの言い分さ
mineapoirus

煙とゴム弾の中
夜明け前の薄明かりで
市民たちは正義のために立ち
その声は夜を貫いて響いた
だがそこには血の足跡
慈悲が立つはずの場所に
雪に覆われた通りに
二人の死が残された
アレックス・プレッティ
レネー・グッド
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ああ ミネアポリス
おまえの声が聞こえる
血の霧を越えて
歌い続ける声が
この大地のために
そして
この街に生きる異邦人のために
立ちあがろう

ここは俺たちの家
それでも奴らは殺し
歩き回った
’26年の冬
俺たちは忘れない
名を奪われた者たちを
ミネアポリスの
ストリートで

トランプの連邦の
ならず者たちが
顔を殴り
胸を打ち
そして銃声が響いた
アレックス・プレッティは
雪の上に倒れ
息絶えた

奴らは言う
「正当防衛だ」と
だが目を信じるなと
それでも残るのは
俺たちの血と骨
笛の音と掲げられた電話
ミラーとノームの
汚れた嘘に抗して
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ああ ミネアポリス
おまえの声が聞こえる
血の霧の中で
泣き叫ぶ声が
俺たちは忘れない
名を奪われた者たちを
ミネアポリスの
ストリートで

奴らは言う
法を守るために来たのだと
だが踏みにじられるのは
俺たちの権利
肌の色が黒でも
茶色でも
その場で問い詰められ
追い出される

「ICEは出て行け」
その叫びの中で
この街の心と魂は
まだ生きている
割れたガラス
血の涙の向こう側
ミネアポリスの
ストリートで
supurinngusuti2

ああ ミネアポリス
おまえの声が聞こえる
血の霧を越えて
歌い続ける声が
ここは俺たちの家
それでも奴らは殺し
歩き回った
’26年の冬

この大地のために
この街に生きる異邦人のために
立ち上がろう
俺たちは忘れない
名を奪われた者たちを
ミネアポリスのストリートで
俺たちは忘れない
俺たちは忘れない――。
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この歌では使ったフレーズは、
「King Trump’s private army」と、
「Trump’s federal thugs」

51年前の歌詞の流れ者「tramps」は今、
キングの「Trump」に変わった。

しかしスプリングスティーンの精神は変わらない。

良い歳のとり方をした。
そして間違った権力に抗戦する。

心から拍手を贈ろう。

〈結城義晴〉

2026年01月31日(土曜日)

「来る者拒まず/去る者追わず」と御手洗冨士夫の「セル生産」

来る者拒まず、
去る者追わず。

商業界創始者の故倉本長治主幹が、
徹頭徹尾、これだった。
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私は長治先生に近づきたいと思っている。

故渥美俊一先生も、
基本は同じだったが、
来た者は厳しく選別した。
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ある高名なコンサルタントは、
「業績のいい会社しか顧問にならない。
だからいつもコンサルは成功だ」と言っていた。

こういった輩には、
私は原稿を書かせなかった。
講演も依頼しなかった。

これからも変わらない。

1月が終わる。

日経新聞最終面の「私の履歴書」
1月は御手洗冨士夫さんだった。
キヤノン会長兼社長CEO。
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面白い1カ月だった。

しかし1月29日に、
キヤノンのトップ人事が発表された。
3月27日付で小川一登取締役副社長が、
社長最高執行責任者COOに昇格する。
御手洗さんは会長CEOに専念する。

ああ、この発表があったから、
御手洗さんが今年最初の登場だったんだ、と、
ちょっと白けた。

1935年9月23日、大分県生まれ。
1961年3月、中央大学法学部を卒業し、
伯父御手洗毅が創業者だったキヤノンに入社。
1979年にはキヤノンUSA社長に就任。
ここで目覚ましい業績を上げる。

1995年、従弟の御手洗肇キヤノン社長が早世。
その死去を受けて第六代社長に就任。

2006年には日本経済団体連合会会長に就任。

2020年には、2016年に一度退いた社長に復帰。
そして今年、会長CEOに専念する。

輝かしい人生の振り返りの中で、
私が一番面白かったのが、
1月24日の第23回「セル生産」

社長に就任したあとに考えた。

キヤノンの本体の稼ぐ力をどう再生するか。

なかなか妙案がない。
長浜キヤノンで生産改革の説明を受ける。
周辺機器事業本部長の北村喬さんと話すと、
「実はセル生産という方式があります」

面白そうな話だったが、
自分の目で見ないと納得できない。
1997年の夏。

千葉県にあるソニーの工場に向かう。
家庭用ゲーム機を組み立てる作業。
「ベルトコンベヤーは使っていない」

「セル(細胞)」と呼ばれるチームが、
複数の工程をこなし、
一つの製品を作り上げる。

作業者は円陣などの形に並んで、
自分が組み立てた部品を次の人に手渡す。

御手洗さん。
「私が知る生産現場とは全く違ったが、
ピンときた」

この「ピン」とくるところが大事だ。

キヤノンのレンズの組み立ては「ライン生産」。
作業者のそばのベルトコンベヤーが、
1分間に1.2メートル動き、
その上を流れる仕掛かり品を手に取る。
作業を終えると、再び戻して、
次の作業者に流す。

一方、セル生産は複数の工程を、
1人、または少人数のチームで担当する。

仕掛かり品は最小限になるし、
作業者の習熟度とともに
作業スピードが上がり、
生産性は高まる。

結果、部品の在庫も作業者も減る。

作業者は達成感や連帯感を得やすい。

「千葉から帰るときには、
『これでいこう』と決めていた」

ところが。

「会社全体の生産システムを決めている生産本部が
セル生産の採用に大反対した」

実によくあることだ。

結局、長浜キヤノン工場で試してもらった。

すると、意外にも生産効率は、
ベルトコンベヤー方式の方が高かった。

しかし工場の女性社員たちが声を上げた。
「もう一回やらせてほしい。
他社ができて私たちができないのは恥ずかしい」

セル生産の長所は、
作業者の習熟度次第で改善していくことにある。
彼女たちは自ら工夫を凝らし、
最後はベルトコンベヤーとの競争に打ち勝った。

なぜ当初うまくいかなかったのか。
分析してみると、社員たちが
セル生産での仕事の仕方をわかっていなかった。

そこで経営コンサルタントに依頼した。
「ムダとり」思想の提唱者といわれた山田日登志さん。
役員や部課長を含めて1000人を派遣した。

「現場を指揮する立場の人材の教育が重要だ」

様々な作業をこなせる多能工を育成するため、
全社に「マイスター制度」を導入して、
人事制度とひもづけた。

多くの工場従業員がセル生産に関心を示した。
セル生産で最も大事な現場の向上心を引き出した。

国内の全工場が採用するのに、
3年ほどしかかからなかった。

2003年までに世界の全工場が、
セル生産に切り替わり、
2万mあまりのベルトコンベヤーが消えた。

原価率は62%から50%に下がり、
ものづくりの力が最大の競争力に変わった。

極力、在庫を持たず、
資金を有効活用することができる。
キャッシュフロー経営の土台になった。

その後も工場の進化は止まらない。
今は無人化に挑んでいる。
工作機械メーカーのロボットを買うのではない。
現場の社員がロボットも内製して知恵を絞っている。

御手洗さん。
「考える工場なら無限に生産革新は続くのである」

いい話だ。

スーパーマーケットで言えば、
生鮮三部門は関西スーパー方式の、
いわば流れ作業がいいだろう。

しかし惣菜部門は「セル生産」がいいのかもしれない。
実際にそれをやっているのだろう。

成城石井のセントラルキッチンは、
巨大な台所である。

セル生産が基本になっている。

もちろん御手洗さんのように、
現場で実験を繰り返し、
現場の人たちがやる気になる必要がある。

経団連会長の話より、
断然、面白かった。

ありがとうございました。

〈結城義晴〉

2026年01月30日(金曜日)

日本小売業協会賀詞交換会の「地政学的不況リスク」と「平和産業」

整骨院を探して、
行ってきました。

筋・筋膜性腰痛症。

腰の筋肉と筋肉を覆う薄い膜「筋膜」に、
トラブルが生じて起こる腰痛。

専門家に任せて、3カ月から半年、
週に二度くらい通院することにした。

マッサージをしてもらって、
電気治療をする。

日常的に正しいストレッチを繰り返し、
正しい姿勢を習得する。

懸案の左股関節と左膝も、
徹底的に治療する。

そんな決意をした。

今日はそのあと、
商人舎オフィスに出て、
2月号の入稿をした。

いい特別企画が出来上がった。

夕方、
日本小売業協会の新春賀詞交換会。

代理で山本恭広編集長に行ってもらった。

東京會舘。
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1月は業界団体の賀詞交換会が続いた。
毎年この小売業協会が最後。

会場は7階「SAKURA」。kouri-party

野本弘文協会会長のごあいさつ。nomoto
東急㈱代表取締役会長。
今年10月、第22回「APRCE2026」が、
東京で開催される。
「アジア太平洋小売業者大会」

日本での開催は19年ぶり。

野本会長は、
イオン岡田卓也名誉会長の言葉を引用して、
抱負と成功への意気込みを語った。
「小売業は平和産業です。
小売業の発展が経済の発展につながる」

まったくその通り。

今日は参加できなかったけれど、
私は言い続けている。
「小売業の発展が日本を救う」

来賓ごあいさつは、
日本商工会議所会頭の小林健さん。kobayasikaitou
三菱商事㈱相談役。
1月にダボス会議が行われた。
そのテーマになったのが、
「地政学的大不況のリスク」。

その背景にあるのが第1に、
トランプ米国政権の「自国第一主義(MAGA)」

小林氏は言う。
「MAGAは米国一国で完結するものではない。
世界全体の協力がなければ持続しない」

第2はベネズエラ情勢と、
エネルギーリスク。

そして第3に中東情勢の悪化と物流リスク。

国際通貨基金(IMF)は、
2026年の世界のGDP成長率を1.5%と予測する。
これは2025年の2.1%に対して減速予測だ。

地政学リスクが顕在化すれば、
この数字はさらに下振れする可能性がある。

だから小林さんは言う。

「先行きを注意深く見ていこう」

そして以下の三つを強調した。
1. 賃金と物価の好循環
2. 地方への投資
3. 稼ぐ力の強化

衆議院選挙戦に対しても注文を付けた。
「短期的でなく、長期的な視点で論戦してほしい」

乾杯のご発声は、
公益社団法人日本通信販売協会の梶原健司会長。
㈱千趣会社長。kouri-kanpai

その後、懇親。

野本弘文さん。
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「10月の大会は今年最大のミッション。
午年にちなんで駿馬(しゅんめ)のごとく走る」

尾崎英雄さん。
ozaki
日本チェーンストア協会会長、
㈱フジ会長。

小林英文日本小売業協会常務理事。kobayasi

小池百合子東京都知事が駆けつけて、
途中でスピーチ。koike
現役国会議員の参加はなかったようだ。
当然のことだろう。

日経新聞一面トップ記事。
「日経エコノミクスパネル」
経済学者50人に聞いた。

食料品の消費税をゼロにすることに対して。
「そう思わない」が46%、
「全くそう思わない」が42%。

合計で88%の学者が、
「日本経済にマイナス面が大きい」と回答。

大方の見方は、
物価高対策としての効果は疑問。
財政や社会保障の持続性を損ない、
円安や金利上昇を助長する。

一橋大学の森口千晶教授。
「政治家は短期的な自己の利益のために
消費税を利用すべきではなく、
むしろ国民に対して消費税の重要性を
真摯に粘り強く説明すべきだ」

京都大学の高野久紀准教授。
「低所得層への対策としてはより手厚く、
より少ない財源で補助が可能になる」と、
「給付付き税額控除」を支持する。

地政学的不況リスクが増大するなかで、
消費減税ポピュリズムに否定的な声は多い。

私は岡田さんや野本さんの考えが真っ当だと思う。
日本は平和産業国家であるべきだし、
そのなかで小売業の発展が日本経済を救う。

〈結城義晴〉

2026年01月29日(木曜日)

衆院選の食品消費税ゼロの「益税」と「農協特例」

ぎっくり腰になった。
軽い症状だが、
生活に差し障りがある。

雑誌の締めきりが近づいてくると、
一日中、デスクの前に座っている。

これが腰に負担をかける。

急遽、湿布で冷やす。
整骨院を予約して、
診察してもらうことにした。

歳をとってくると、
痛めやすいし治りにくい。

これまで左の股関節と膝が痛かった。
それが原因なのだと思う。

根治を目指して対応しようと思う。
店を回ったり、講演をしたり。
そんなときにはいつも立って、歩いている。

いい状態になるかもしれない。

もしかしたらゴルフにも、
いい影響が出るかもしれない。

ぎっくり腰などの症状は、
自分の体の不具合なところに、
突出して出てくる。

徹底的に直したら、
以前よりもよくなる。

会社も、同じだ。

さて、
第51回衆議院選挙。
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日経新聞が一面トップで、
選挙序盤の情勢判断をした。

しかし序盤は常に既成体制に勢いがある。
趨勢に対して深刻な意味はない。

リードする側がチョンボしたら、
一挙にひっくり返る。

追う側に失策があれば、
これも一挙に失速する。

またもや、
文春砲がさく裂しそうだ。

1月28日の日経新聞。
食品消費税ゼロが映し出す農家の「特権」

食品の消費税ゼロを実施した場合、
小規模な農家の経営を圧迫する可能性がある。

消費税の納税義務には免除規定がある。
売上高が年1000万円以下の事業者が受けられる。

免税事業者が販売先から受け取った消費税は、
国に納付されず事業者の利益となる。

これを「益税」と呼ぶ。
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食品の消費税がゼロになれば、
スーパーマーケットなどの小売店は、
農産品などの仕入れ先に対して、
消費税を支払う必要がなくなる。

その分、1000万円以下の事業者の益税もなくなる。

免税事業者がとくに多いのが農林水産業だ。

財務省の2023年度時点の推計。
農林水産業の免税事業者数は、
約69万8000で、全体の77%を占める。

免税事業者は、
仕入れの際にかかった消費税分を
納税額から差し引けず、
インボイス(適格請求書)も発行できない。

販売先との関係が悪くならないようにするために、
年間売上高が1000万円以下であっても、
インボイスを発行できる課税事業者に
転換する事例は少なくない。

それでも農林水産業に免税事業者が多いのは、
農家の「特権」があるためだ。

課税事業者にならなくても、
取引に影響が出ない仕組みがある。

農家は各地の農業協同組合(JA)に、
一定の条件を満たした上で農産品を卸せば、
JAが農家に代わって、
販売先のスーパーマーケットなどに、
インボイスを発行する。

「農協特例」と呼ばれる。

漁業組合や森林組合にも、
同様の仕組みがある。

食品の消費税がゼロになれば、
この特例も意味をなさなくなる。

だから特例を活用しながら、
免税事業者のままでいる農家には、
影響が及ぶ。

もちろん課税事業者に転換すれば、
仕入れ時にかかった消費税分を、
国から還付してもらえるようになる。

ただ、その場合でも還付の申請に手間はかかり、
還付されるまでの間の資金繰りは厳しくなる。

だから農業団体は、
食品消費税ゼロには反対する。

一方、外食業界からも反対の声が上がる。

消費税分がゼロになるとしたら、
弁当や惣菜などのテイクアウト商品の価格は下がる。

店内で飲食する業態は、
消費税は10%が続くとしたら、
競争上、大いに不利になる。

衆院選の各党の公約は、
「2年間の食品の消費税ゼロ」
「恒久的な食品の消費税ゼロ」
「食品に限らず消費税を一律5%」
あるいは「廃止」

新党みらいだけが、
消費税はそのままと公約している。

さて、どうなるか。

自民党は結局、消費税を、
そのままにするのかもしれない。

アメリカは「Sales Tax」で、
「売上税」と訳される。

日本は「消費税」だ。

アメリカの売上税は、
「小売段階だけにかかる地方税」である。

対して日本の消費税は、
「取引の各段階でかかる国税(付加価値税)」だ。

アメリカでは、
最終消費者に販売したときにだけ課税する。
レジで初めて税金が発生する。
「単段階課税」という。

日本は生産・製造から卸、小売り、
すべての取引段階で課税される。
ただし二重課税を防ぐために、
インボイス制度を設けている。
「多段階課税」である。

アメリカの「売上税」は、
消費者が負担する。

日本では名目は「消費税」だが、
実態は事業者が付加価値に対して納税する。
消費者は価格に転嫁された税を負担する。

アメリカでは事業者は、
消費者が払った税を預かって、
そのまま納める。

日本では事業者は、
売上げ税額から仕入れ税額を引いて納税する。
だから利益が出なくても納税義務が生じ得る。
中小企業ほど負担感が大きい。

だから1000万円以下の事業者は免税されている。

ただし売上税は、
不況や消費低迷に極端に弱い。
そして小売業に徴税負担が集中する。

ん~。

税金は国と国民との間における、
もっとも大切な約束である。

ローマ帝国も、
モンゴル帝国も、
実にうまく税を徴収し、
商業を活性化させた。

今、衆議院選で、
それが最大の問題となっている。
そのことは悪くはない。

しかし議論に責任が伴っていない。
そちらのほうが問題だと思う。

〈結城義晴〉

2026年01月28日(水曜日)

第51回衆議院選「”期待”に期待するのはやめよう」

2026年の1月もこの週末で終わる。

今日も1日、横浜商人舎オフィス。
月刊商人舎2月号の入稿。

工藤澄人さんが㈱商人舎に入社してから、
もう1カ月が過ぎようとしている。

全体に仕事の進捗が早まった。

編集者、編集長として、
私のかつての上司を分類すると、
二派に分かれる。

最初のボスは、
有名な故緒方知行さんだった。
販売革新編集長。
㈱オフィス2020を起こして、
月刊「2020AIM」を創刊した。
そして「鈴木敏文本」を何冊も書いた。
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1977年、私は緒方編集長の下で働き始めた。

緒方さんは「原稿を書け、書け」と仕掛けた。
私のDNAはここで養われ、決まった。

次の上司は故高橋栄松さん。
三代目販売革新編集長。
緒方さんが㈱商業界取締役編集局長となって、
同時に月刊商業界の編集長に就任した。

そこで販売革新は高橋さんが継いだ。

高橋さんは緒方さんの直弟子。
「書け、書け」派。

この高橋さんと一緒に私は、
「関西スーパースタディ」を編集した。

その後、私は食品商業編集部に異動した。
ここで故今西武さんが上司となった。

この人は「書け、書け」と、
発破をかけることはなかった。

自分は一切、書かなかった。
筆者に原稿を依頼して、
それだけで雑誌をつくった。

しかし緒方さんよりも年上で、
食品業界の重鎮だった。

私は相変わらず書き続けた。

次の上司が今西さんの秘蔵っ子の小島稔さん。
労働運動をやっていて、
仕事は二の次のような人だったが、
信念をもっていた。

私は小島さんの下でも、
好き勝手に書いていた。
小島さんも「書け、書け」派ではなかった。

その後、1988年末に小島さんが退職すると、
私は編集長に指名された。

部下は3人だった。
そのうちの二人は年上で、
入社が先の先輩だった。

頼りにしていた新人の町田成一さんには、
私は「書け、書け」を指導した。

しかしどういうわけか、
しばらくすると町田さんは退職してしまった。
プレジデント社が創刊した「danchu」が、
編集部員を募集していて、
そちらに移籍した。

私は一人で書きまくった。

すぐに新人が入ってきた。
M君だった。

彼は会社に馴染まず、退職した。

食品商業はそれでも会社にとって、
稼ぎ頭となっていった。

だから次々に新人が採用され、
配属されてきた。

矢作勉君、
山本恭広君、
工藤澄人君。

みんなに私は「書け、書け」を教えた。

そして食品商業誌は、
圧倒的なトップ雑誌になった。

多くの失敗をした。
そして多くの成果もあげた。

いま、その山本、工藤両君が、
商人舎で一緒にやっている。

だからだろうか、
今月は予定以上のスピードで、
原稿が執筆され、
雑誌が仕上がっていく。

今のままでは力が余ってしまう。
もっとやるべきことを増やそう。

そう思った。

さて、日経新聞総合3面。
「期待と失望」反復 終止符を

桃井裕理(ももいゆり)さんが書く。
1995年に東京大学を卒業して日経に入り、
経済と政治の記者を経て、
2021年4月から中国総局長。
いま政策報道ユニット長。

ジェームズ・ブキャナンの言葉を引く。
「民主主義の下では財政赤字は膨張し続ける」

1986年にノーベル経済学賞を受賞。
著書は『赤字の民主主義』
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今回の衆院選の与野党の構図は、
50年前のブキャナンの警告通りとなった。
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桃井さん。
「ケインズは不況期には
赤字国債を発行してでも、
支出増や減税で景気浮揚を図る
財政拡大策を提唱した」

「一方、ブキャナンは、民主主義の政治家は
選挙のために好況のインフレ下でも
ケインズを免罪符として財政赤字を拡大し、
財政破綻リスクを招くと危惧した」

「今回の衆院選はその映し鏡のようだ」

「問われているのは減税の是非ではない。
日本の未来への信用だ」

その通りだ。

高市早苗首相は、
「高市かそれ以外か」を選ぶ
政権選択選挙だと訴える。

しかし、
「看板の成長戦略をはじめとして肝心の政策は
これから中身を詰めるものがほとんどだ。
審判するにも期待値以上の判断材料に乏しい」

「立憲民主党と公明党が結党した
中道改革連合も急きょ策定した
基本政策と従来方針との関係がわかりづらい。
日本の中道を担い得るかの可能性は
未知数のままだ」

これが政治家の「幼児化」に通じている。

桃井さんの主張。
「回り道はもういい」

「郵政解散や民主党への政権交代、
アベノミクスの構造改革――。
日本はこれまで
『期待と失望』の無限ループの中で、
多大な税金と時間を無駄にしてきた」

「その結果が『失われた30年』なのだ」

そこで提案。
「日本の有権者は『期待』に期待するのは
もうやめよう」

「選挙では具体的な『契約内容』を確認しよう」

「政治家ひとりひとりが
未来への責任をどう語るかに
しっかりと耳を傾けよう」

「期待」に期待してはいけない。

それは事実を見て、
モノを考える有権者にはもう、
わかっている。

モノを考えない有権者が、
「期待」に期待している。

商売も仕事も、そして経営も、
「期待」に期待してはいけない。

とくに商売は結果がすぐに判明する。
だから「期待」に期待することの無意味さを、
商人は毎日のように経験している。

だからたいていの商売においては、
「期待と失敗」のループは起こりにくい。

それでも「期待と失敗」が繰り返される場合、
その原因は一つだ。

組織の官僚化である。

「組織」が茹で蛙になっているから、
無責任な「期待」への期待が起こるのだ。

会ったことはないが桃井さんも、
「書け、書け」派なんだろうな。

そう、思った。

〈結城義晴〉

2026年01月27日(火曜日)

衆院選のチェーンストア投票所設置と党首の「幼児化」

第51回衆議院議員選挙が公示された。

2月8日が投開票。
選挙戦は12日間。

立候補者は1200人超。

争うのは、
小選挙区289議席、比例代表176議席。
合計465議席。

ほとんどの政党が、
消費税の減税や撤廃を主張する。

新党みらいの安野貴博党首。
「消費税を下げることよりもまずは、
社会保険料を下げることを優先します。
社会を支えるための土台として、
今の消費税の税率は今のまま守ります」

ポジショニング競争の側面から見れば、
安野さんだけがブルーオーシャンだ。

財源の問題、レジの問題、
食品減税ならば外食と内食の軽減税率の問題。
まだまだ不明な点ばかりだ。

これを選挙戦を通じて論じ合うのは、
まったく筋が違う。

朝日新聞「折々のことば」
第3564回。
個人の間の平等は、ある程度まで……
自然の平等に支えられているが……
国力の差は、

ネズミとゾウの違いよりも大きい。
〈加藤尚武〉

「国と国の力の差は、
領土の面積と人口と軍事力で示されるが、
国家間の平等を図る制度が存在しなければ、
力のみがものをいう『支配』の関係しか
残らない」

トランプもプーチンも習も、
この支配関係を目指しているようだ。

「人類の未来は国家間の正義を保障する
機関という国際的公共財の存否に懸かっている」

他の国々は、そして私たちは、
「正義の機関」の存在に期待をかけている。
(「approach」昨年冬号、
論考「過去と未来はどちらが長いか」から)

このことに対して、
世界市民全体の選挙は、
できないのかしら。

さて 商人舎流通SuperNews。

チェーンストア各社が今回も、
ショッピングセンターや店舗に、
投票所を設置する。

イオンnews|
「第51回衆院選挙」全国の商業施設に過去最多の158投票所設置

全国158カ所の商業施設に、
「期日前投票所」や「当日投票所」を設ける。
aeon-250704-01 (1)

最初は2007年の秋田県議会議員選挙で、
投票所設置協力をした。

これを皮切りに全国で、
国政選挙や地方選挙の際に、
投票所を提供している。

素晴らしい。

イトーヨーカ堂news|
イトーヨーカドー&アリオの17店舗に期日前投票所設置

イトーヨーカドーとアリオの17店舗。
期日前投票所を開設。
iy_20260127

投票所設置店舗では、
投票場所に関するチラシの配布、
店内ポスターの掲示、
店内放送などを通じて、
積極的に投票への啓発活動を行う。

イズミnews|
ゆめタウン11店舗に期日前投票所を開設

イズミは「ゆめタウン」11店舗で、
期日前投票所を開設。

いずれも素晴らしい。

一方、㈱ノジマは、
「センキョ割」を実施する。

2022年の初参加から今年で4年目。

投票済証明書を提示すれば、
特典が受けられる。

主催は全国センキョ割学生実施委員会。cropped-2017_banner (1)

これに参加する。

ノジマは「1192円分のポイント還元」をする。
選挙に行ってもっとイイクニに!
senkyo-wari_Shugiin_202602

このセンキョ割には、
どんどん参加したらいいと思う。

さてテレビ局での党首討論。

眺めていたら、全体に幼い印象を受けた。
スクリーンショット 2026-01-28 005257

まことに偉そうで申し訳ないが、
私、どの党首よりも歳をとっているので、
印象くらい言わせてもらってもいいだろう。

話の内容と論理性、話し振り・身振り手振り、
表情・仕草、受け応え。

みんな幼い。

政治家のトップたちが、
幼児性を見せる。

中道の野田佳彦68歳、
自民の高市早苗64歳。

ほかも同じだ。

そしていつも欄外出演の二人も。
日本保守党の百田直樹69歳、
社民党の福島瑞穂70歳。

みらいの安野貴博の35歳のほうが、
大人びて見える。

不思議だ。

イデオロギーや主義主張、
支持政党などはまったく別にして、
公明改め中道の斉藤鉄夫70歳と、
共産党の田村智子60歳は、
まあ年相応か。

政治家の幼児化。
こっちのほうが日本の問題だ。

もちろんドナルド・トランプの幼児性は、
目も当てられないくらい酷い。

大人びているというのが、
必ずしもいいわけではない。

けれど奥行きの深い人格者が、
日本を代表する政党のトップにいて、
大きな問いを発し、高い視点から、
国の将来を見ていてほしいと思う。

それは小売商業や消費財産業の、
経営者も同じだ。

〈結城義晴〉

2026年01月26日(月曜日)

結城義晴の「健康一直線」とライフの「AI」と「M&A」

Everybody! Good Monday!!
[2025vol④]

2026年第5週。
来週から2月、そして来週火曜日は節分。
今は一番寒い時。

北海道、東北、日本海側に大雪。
お見舞い申し上げます。

さて午前中に来客。

イオン㈱の中島裕文さん。
人材育成部人材開発グループ。
IMG_0313 (002)イオンの教育体系をご説明いただいた。
よくできている。

グループ企業がこぞって受講する。

出講することを了解した。
テーマは少し考える。

最後に『チェーンストア』を差し上げて、
サインをした。

よろしくお願いします。

午後にはオンライン会議。
一般社団法人日本能率協会の原田宏之さん。
FOODEX JAPANの事務局。IMG_0307 (002).jpg4
こちらも講演の依頼。

いろいろ話を聞いて、
受けることにした。

そのあと「セルコレポート」の原稿を書き上げて、
午後2時には会社を後にした。

いつもの東京駅。IMG_0308 (002)

大手町を歩いて、
大手町プレイスタワーへ。

田嶼尚子先生の大手町プレイス内科へ。
血液検査、尿検査、身体検査。、血圧検査など。

それから診察。

ヘモグロビンA1cは6.4。
中性脂肪は132。
ただし尿酸値が少し上がって6.7。
これはいけない。

アメリカで飲みすぎ、食べ過ぎ。
プリン体に気をつけよう。

それから水分の摂取が足りない。
GFRが63.5と下がってきた。
70.0以上だった。
これも心がけよう。

「健康一直線」です。

処方箋を貰って、
トモズで薬を買った。

それからこのビルのスターバックスで仕事。

「セルコレポート」の校正が出た。
それを丁寧に読んでから、
商人舎2月号の原稿を2本、
手直しして見出しなどを付けた。

さらにアメリカのテキストを最終チェック。

講演のテーマも決めた。

不思議なことに仕事ははかどった。

外に出るともう暗くなっていた。
ライトアップされた大手町プレイスタワー。IMG_0311 (002).jpg4

これも光を当てられた銀杏の木。
IMG_0312 (002).jpg4

田嶼先生には本当にお世話になっている。
私の自慢の主治医だ。

今年もよろしくお願いします。

さて商人舎流通SuperNews。

㈱ライフコーポレーションのニュース2本。

ライフnews|
ファンが選ぶ「ビオラル総選挙」、1位は「有機アガベシロップ」
life-bioral-260126-01

プライベートブランド「BIO-RAL」で、
「総選挙キャンペーン」を実施した。

昨年12月1日から10日までの10日間、
ビオラルの公式Instagramで、
フォロワーからNO.1推し商品のコメントを集めた。

620件のコメントが集まった。

その結果、第1位が「有機アガベシロップ」
life-bioral-260126-02

血糖値の上昇を緩やかにする「低GI食品」。
私にぴったりだ。

メキシコ産「オーガニックブルーアガベ」を、
100%使用している。

第2位は「かるくて香ばしいこめ油」
life-bioral-260126-03
国産の米ぬかはビタミンEを豊富に含む。
そのこめ油。
酸化に強くて風味が長持ちする。

これも私にとって、
いい食品だ。

ビオラル総選挙、とてもいい。

もう1本のニュースは、
ライフnews|
2/1付け組織変更と役員人事/M&A担当を新設

2月1日付けの組織変更と役員人事。

組織変更の目的と内容は次のとおり。
① 複数の組織にまたがる重複業務を⾒直し、
組織を⼤括りすることで業務の効率化を図る。

組織はときどきこういったことをしなければならない。
贅肉がついてくるからだ。

② 新規取り組みに対応が必要な組織を新設する⼀方、
役割を終えた組織は発展的に解消する。

これも組織の新陳代謝。

③各組織の分掌業務を⾒直し、役割・責任を明確化する。

実に正しいマネジメントだ。

具体的に私が面白いと思う4点。
第1に「営業戦略本部」を「マーケティング本部」に改称する。
マーケティングに本格的に取り組む。

第2に「情報戦略本部」を社⻑直轄とする。
岩崎高治社長が直接、指揮する。
210408_LF2118

第3に「IT 戦略部」を「AI・IT 推進部」に改称する。
「生成AIリテラシー」の年です。

第4に「経営企画部」内に、
M&Aに対応するチームを発足させる。

⻘木由季乃執行役員が、
営業企画部⻑と経営企画部M&A担当部⻑を兼ねる。

おー、いよいよライフも、
M&Aに本腰を入れるのか。

戦略を変え、組織を変える。

組織は戦略に従う。

では、みなさん、今週も。
やるべきことをやろう。

Good Monday!  

〈結城義晴〉

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