商人舎US研修会スペシャル編。
コートヤード・バイ・マリオット ダラス アディソン。
ここがダラスの滞在先。
長い旅をしてから一晩熟睡。
それでも疲れは残っている。
まずアメリカ視察研修の目的。
それからダラス都市圏の基本情報。
企業別のマーケットシェア順位。
1位ウォルマート34.3%
2位クローガー18.5%
3位アルバートソン11.6%
4位ターゲット7.2%
このランキングが米国全体のシェア順位と、
相似している。
いわばダラスはアメリカを象徴する地域なのだ。
それから初日に訪れた企業の戦略や最新動向。
ウォルマート、ターゲット、
クローガー、そしてHEB。
その合間に店舗のイノベーションの方法を語る。
Combineは重要な考え方だ。
ここからコンビネーションストアが生まれた。
途中休憩をとって、
オーガニックについてのガイダンス。
それからプライベートブランドの知識。
講義が終わると、
11時に専用バスに乗り込む。
最初の訪問店は、
HEBセントラルマーケット。
HEBの都市型アップスケールスーパーマーケット。
入口のハロウィンのプロモーション。
色とりどりのカボチャが顧客を出迎える。
セントラルマーケットは、
完全ワンウェイコントロールで顧客を誘導する。
導入部は果物ではなくて野菜。
左手は氷を敷き詰めたアイスウォールで、
鮮度感を演出。
トマトの平台。
さまざまな品種のトマトが、
腰高の平台でばら売りされる。
まるでトマト畑。
こちらは菌床栽培の装置。
インストアでマッシュルームを栽培する。
そのプロセスを顧客に見せる。
リンゴは朝食や昼食に必須のアイテム。
多様な調理材料としても使われる。
だから多品種が揃えられる。
小ぶりのリンゴはフィンガーフードでもある。
カットフルーツのコーナーのSKUが多い。
青果売場を抜けると、
シーフードとミートの売場。
主通路を挟んで両サイドの対面売場で展開する。
右がシーフード、左がミート。
これがとてもいい。
圧巻のワイン売場から、
デアリー(乳製品)の売場へ。
これはチーズのカッティング工房。
一気に視界に広がるベーカリー売場。
さまざまなパンや焼き菓子を揃える。
最後に惣菜デリ売場。
まずオリーブのコーナー。
品種、品目が多い。
それらを量り売りとパック売りで提供。
完全ワンウェイコントロール方式は、
魅力的な売場を次々に配置して、
顧客を誘導する。
顧客にほとんどすべてのカテゴリーを見てもらう。
しかしそのためには商品力がなければならない。
HEBのセントラルマーケットはそれを実現している。
HEBのフード&ドラッグ。
同社のレギュラーフォーマットで、
店舗面積は3000坪。
スケルトンの天井は、
店舗の開放性を担保する。
レストラン「BBQ」で少し仕事をこなす。
最近の店舗にはBBQのファストフードが併設される。
入口の「ミールシンプル」コーナー。
簡便即食のミールキットなどを集積する。
基本的に、昨日視察したHEBプラスと、
食品売場は変わらない。
こちらはコの字型のゾー二ング。
南アジアの野菜も揃える。
地域にアジア系住民が多いのだろう。
売場のセンターにチーズショップ。
そして、右サイドにミート、
左サイドにベーカリーとデリを配置。
デリは人気の「ボアーズヘッド」ブランドを導入。
切り立てのハムとチーズを提供する。
ミートのセルフ多段ケース売場。
1ポンド1~5ドル台のユニット単価で売る。
冷凍肉のコーナー。
大容量の畜肉を品揃えする。
テキサスは畜産が盛んだ。
フローズン売場。
簡素な内装でもカラーリングで顧客を惹き付ける。
そしてエンドは「SAVE!」の文字で、
お買い得商品を訴求。
HEBの売場には必ずクーポンが取り付けてあって、
顧客はそれをちぎってもっていく。
そしてレジで値引きしてもらう。
生鮮の強さとEDLP。
ウォルマートの戦略に真っ向から対峙して、
その上を行く。
もちろんネットスーパーにも力を入れる。
この奥にずらりとピッキングされた商品が、
カートにのせられて出荷を待つ。
ウォルマートのスーパーマーケット、
ネイバーフッドマーケット。
導入部は対面のデリ。
サインやPOPは黒をベースにした従来の仕様。
ウォルマートではコロナ期間中に、
ネットスーパーの需要が大幅に伸びた。
どの店でもピッキングする姿が目に付く。
㈱ロピアの福島道夫さん。
夜にリッツの食べ比べを企画。
ウォルマートのクラッカーのPBを購入。
トレーダー・ジョー。
2023年にオープンした。
小型のリミテッドアソートメントが特徴。
斜めに配置された平台で、
常温野菜や果物を品揃えする。
玉ネギ、ニンジン、ブロッコリをみじん切りした商品。
スープにも炒め物にも使える。
こんなカット野菜があってもいい。
壁面は地元にちなんだペインティング。
1店舗に2名ほどのアーティストがいる。
アーティストは壁面だけでなく、
エンドのトップボードやPOP、
プライスカードまで手書きする。
EDLPだからできる。
電子棚札もトレーダー・ジョーには関係ない。
スプラウツ・ファーマーズ・マーケット。
2024年9月にオープン。
入り口のガラスに、
20%オフのシールが貼られている。
右壁面のシーフード、ミート、デリの売場。
売場の至る所で、
20%オフを謳う。
この店は最新の内装デザイン。
ただし、バルク売場や青果売場が縮小されている。
奥壁面に配置された青果売場。
青果の陳列ボリュームも少ない。
壁面の売場もシンプルになった。
以前のような「大型の八百屋」というイメージは薄れている。
スタッフに聞くと、1周年のセールだそうだが、
苦戦している様子がありあり。
ホールフーズ・マーケット。
8月にオープンしたばかり。
ホールフーズらしいスケルトンの天井。
以前に比べて陳列在庫量が少ない、
しかしすっきりした印象。
「LAND+SEA」のサイン。
ミートとシーフードの対面売場だ。
ただし陳列量も少ないし、
顧客も少ない。
左翼のベーカリーとデリゾーン。
これらの売場も商品在庫数が少ない。
セルフデリのコーナー。
夕方に訪問したので、客数は少ない。
デリゾーンは昼食時には賑わうのだろう。
オープンして1カ月半ほど。
まだまだ知名度が低いのだろう。
あるいは、オンライン販売の比率が高いのか。
ホールフーズ、トレーダー・ジョー、
スプラウツのオーガニックスーパー御三家。
三者三様の売場づくりだが、
人気を博していたのはトレーダー・ジョー。
ただし背景にあるのは、
HEBのダラス北部への出店だ。
3000坪級の大型店ではオーガニックを強化する。
その影響がジワリと及んでいる。
クローガーのマーケットプレース。
今年1月にオープンした非食品強化型の大型店。
入口の華やかな花卉売場。
桜の花と永楽通宝(えいらくつうほう)。
日本でも広く知られた渡来銭の一つ。
これをディスプレー。
シーフードとミートの対面売場。
壁面の設えはホールフーズのよう。
日本のビールを島陳列。
日本の食品と飲料のプロモーションを仕掛けている。
桜の花と永楽通宝はその企画の一つだ。
非食品強化型で定番なのは、
調理器具などを集めた「キッチンプレース」。
ベビー服も充実している。
だから子供連れ客が多い。
HEBのダラス進出で、
市場シェア2位のクローガーが変貌している。
そんな店だった。
最後にオプションでホームデポを訪問。
世界ナンバー1のホームセンターチェーン。
もちろん全米1位だ。
年商1595億1400万ドル。伸び率4.4%。
2日目の充実した視察と研修。
みんな、大満足。
ありがとう。
(つづきます)
〈結城義晴〉