結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2024年04月12日(金曜日)

レンゴーとベイシアのネット会議と日本ホームセンター業界事情

オンライン会議、
オンライン記者会見、
オンライン取材。

毎日、それが増えた。

昨日は商人舎オフィスで、
レンゴー㈱の皆さんとの会議。
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右から縄田幸男さん、山本麻依子さん。

先日、京都の㈱マツモトの取材で同行した。
その取材記事の内容を確認し合った。

今日は朝から、
㈱ベイシアの幹部の皆さんの取材。

太田善治さんは、
執行役員食品本部長。
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そして大澤正樹さんは、
執行役員オペレーション本部長。IMG_3622 (004)4

凄くいいインタビューで、
座談会のようになった。

お二人とも30年選手。

人柄がとてもいい。
そのうえ論理的に語る。

当然ながら意気投合。

月刊商人舎5月号で、
全容を掲載します。

ありがとうございました。

さて、商人舎流通SuperNews。
チェーンストア中心の即日ニュース配信。
正確で素早い報道を売り物にしている。

今日は1日に34本の記事が載った。

決算発表の時期には、
ニュースが増える。

そのなかで、
DCMnews|
’23年営業収益4886億円2.5%増・経常利益7.3%減

2006年9月1日に㈱カーマ、㈱ダイキと、
㈱ホーマックが経営統合。
「DCM」の由来は、
「Demand Chain Management」。

2017年に㈱ケーヨーと資本業務提携し、
今年1月に子会社にした。

ホームセンター業態の勃興期には、
ドイト㈱が先駆者となり、
ケーヨーとカーマがリードした。

ドイトが1972年にホームセンター1号店を開発し、
カーマは1973年にホームセンター事業に進出、
ケーヨーはガソリンスタンド業から、
1974年にホームセンター業に参入した。

ドイトはPPIHからコーナンへ転売され、
カーマはDCMへと成長し、
この度、ケーヨーと経営統合した。

私は1977年に㈱商業界に入社し、
販売革新編集部に配属されると、
スーパーマーケットとホームセンターを、
メインに取材することになった。

だからホームセンターでは、
ケーヨーの岡本正さんや、
カーマの鏡味順一郎さんには、
ずいぶん勉強させてもらった。

ドラッグストアはまだ、
成長の前段階だった。

だから感慨深い。

そのDCMホールディングスは、
営業収益4886億円、前年同期比102.5%。
営業利益286億8500万円、95.4%、
経常利益274億1200万円、92.7%。

営業利益率5.9%、経常利益率5.6%。
収益性は悪くない。

店舗数はケーヨーを加えて840店。

日本のホームセンター産業は、
4兆円を超えるマーケットサイズで、
コロナ禍以降、DIYが復活して、
業界も好調に推移している。

コーナン商事news|
23年度年商4727億円7.7%・経常利益9.0%の増収増益

アークランズnews|
’23年営業収益3249億円、主力ホームセンター2.6%減

結果として順位は、
第1位カインズ、
第2位DCMホールディングス、
第3位コーナン商事、
第4位コメリ、
第5位アークランズ。

カインズは非上場、コメリは3月期決算。

いずれも5%以上の経常利益で、
好調に推移する。

アメリカのホームセンターは、
ホームデポとロウズによる「複占」である。

さて日本のホームセンターはどうなるか。

いまのところ5社が3000億円以上、
その下にナフコ、アレンザホールディングス、
ジョイフル本田などが続く。

「寡占」とみていいだろう。

昨年の商人舎6月号特集。
「2023日本小売業ランキング」
ポストコロナ時代の「業態」それぞれの理由
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この号の「ホームセンター」の項。

ホームセンターが
食品との親和性を高める理由

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結論は、
「ホームセンター全体の出店傾向として、
スーパーマーケットの誘致や共同出店が目立つ」

「アークランズはビバモール名で商業施設を開発して、核店舗としてスーパーマーケットを誘致している。近畿圏では万代、首都圏では昨年オープンした八王子でヤオコーを入れている」

「またニトリもニトリモールを開発して、万代、平和堂フレンドマート、オーケーを誘致する。2020年12月にニトリ傘下となった島忠にはロピアが出店している」

「カインズはベイシアとのコンビネーション出店が多いし、ジョイフル本田はジャパンミートとの共同出店が定石化している。どのスーパーマーケットも高い集客力と販売力で知られる企業ばかりである」

「ホームセンターの来店頻度を高める集客装置として、強いスーパーマーケットが欠かせなくなっているのだ。親和性の高い業態同士の相思相愛の出店戦略は、ウォルマートのようなスーパーセンターが存在しない日本ではきわめて有効である」

47年前に私が担当した2つの業態。
親和性を高めて好調である。

まだまだ上位集中は進みそうだ。

〈結城義晴〉

2024年04月11日(木曜日)

「降れば土砂降り」とベルク・ハローズ好決算の「マイルストーン」

商人舎4月号。
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巻頭に書いたのが、
[新年度に向けて]
’24マイルストーン現象の読み取り方 202404_yuuki-jihyo-768x512

“milestone”は、
街道に設置された目印の「マイル標石」のことだ。
2024年は2030年に向けた、
距離標石となる年だ。

同時に “milestone”には、
「節目」の意味がある。

2024年は標石の年であり、
その節目の年でもある。

その現象が起こっている。

かつて「北海道は日本のカリフォルニア」と言われた。
そして総合スーパー企業が例外なく、
北海道に店舗を開設して進出した。

しかし今、その「北海道カリフォルニア現象」が、
完全に終焉しようとしている。

これは小売り産業にとって、
milestone現象である。

その年に、私たちは、
どう考え、どう行動するのか。

そのことを書いた。

そして[Message of April]
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降れば土砂降り

北海道は日本のカリフォルニア。
夢をみようよ、
大志を抱け。

そんな風に、
カリフォルニアに行く気分で、
北海道に出た。

けれど夢はかなわない。
北海道はカリフォルニアほど、
暖かくはない。

うまい話ばかりじゃない。
難しいことばかり。
苦労ばかり。

カリフォルニアに雨は降らない。
けれど、降れば土砂降り。
降れば必ず土砂降り。

北海道は日本のカリフォルニア。
夢をみようよ、
大志を抱け。

そんな風に北海道に行った。
カリフォルニアに行く気分で、
北海道に出た。

けれど、
降れば土砂降り、
いつも土砂降り。

そこでいいことはあったかい?
なにかを学んだかい?
儲かったかい?

いいや、うまくはいかなかった。
あいつもあいつもあいつも。
そして誰もいなくなった。

カリフォルニアに雨は降らない。
けれど降れば土砂降り。
いつも土砂降り。

〈結城義晴〉
Thanks to Albert Hammond.
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“It Never Rains In Southern California”

さて、商人舎流通SuperNews。

イオンnews|
5/29付で土谷美津子執行役副社長が取締役就任

4月10日(水)開催のイオン㈱の指名委員会で、
土谷美津子さんが取締役候補となった。
現在、執行役副社長商品担当。
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5月29日の定時株主総会で決議され、
正式に確定し就任する。

おめでとう。

これでイオンの常勤取締役は4人となる。
岡田元也代表執行役会長、
吉田昭夫代表執行役社長、
そして羽生有希執行役副社長デジタル担当。

彼らは重任し、土谷さんが加わる。

男性2人、女性2人の体制。

女性の取締役を、
ことさらに強調する必要はないが、
それでもこれは実に、いいことだ。

イオンで働くすべての女性たちに、
大きなモチベーションとなる。

「ガラスの天井」などと言われて、
女性が組織の上のほうに上がっていくのは、
本当に大変だった。

イオンは会社を挙げて、
このガラスの天井を打ち破ろうとしていた。

それが成就しつつある。
産業にとっても、
いいことだ。

ただし羽生さんと土谷さんには、
大きなプレッシャーと責任がかかる。

お二人はすでにそれを乗り越えていると思う。

凄いことだ。

さて二つの2024年2月期決算。

ベルクnews |
営業収益3519億円13.2%増・経常利益150億円4.7%増

ベルクの営業収益3519億円、
前年比113.2%。

営業利益144億9500万円(103.4%)、
経常利益149億7200万円(104.7%)。

営業利益率4.1%、
経常利益率4.3%。

ハローズnews 
営業収益1954億円12.3%増/36期連続増収・11期連続増益

ハローズの営業収益1954億円、
対前年比112.3%。
営業利益108億7000万円(120.1%)、
経常利益108億9600万円(119.2%)。

36期連続増収、11期連続増益。

そして営業利益率5.6%、
経常利益率5.6%。

ヤオコーの3月期決算が、
1か月後に発表されるが、
この3社が2024年マイルストーンの年の、
エクセレントスーパーマーケットということになる。

やるべきことを一つひとつ、
やり遂げる。
やり続ける。

それがエクセレントな会社への、
いちばんの近道なのだ。

そのことを忘れてはいけない。

カリフォルニアには、
雨は降らない。

けれど降れば土砂降り。

そんなときにも、
やるべきことをやり遂げる。
やり続ける。

だからベルクもハローズも、
ここまで来た。

そしてそれは彼らの一里塚である。
それが商売の本堂である。
いくら賞賛しても足りないほどの、
マイルストーンである。

〈結城義晴〉

2024年04月10日(水曜日)

商人舎4月号発刊とセブン、イオン、ライフの決算発表

月刊商人舎本4月号本日発刊。202404_cover-page

特集は、
ドラッグストアの爆発点?!
[10兆円3万店]M&A産業の行方

[Cover Message]
薬剤師の数だけ「薬局」があった。そこからドラッグストア業界は始まった。酒屋やパン屋がまずコンビニエンスストアに変わったように、八百屋、魚屋、肉屋がスーパーマーケットに業態転換したように、薬局・薬店がドラッグストアに変貌した。だから圧倒的に数多の小企業の業界だった。
それが今や1兆円チェーンが3社も登場しようとしている。さらになんとトップ2社が経営統合して、2兆円を超え、3兆円を視野に入れる。彼らは世界第4位のドラッグストアチェーンとなり、アジアを目指す。そして「業界」は「産業」となった。
薬剤師の数だけ存在していた小さな店々が連続的な経営統合によって巨大チェーンとなり、産業のスケールは10兆円・3万店へと爆発する。その時に一番大切なものは何か。その爆発点の原理とはどんなものか。そしてその軌道は何処に向かうのか。「産業の論客」の言葉を噛みしめつつ、「M&A産業の行方」を描き出す。

ウエルシアホールディングス㈱会長にして、
一般社団法人日本チェーンドラッグストア協会会長。
池野隆光独白
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10ページ1万5000字。
ロングロングインタビュー。

結城義晴は、
寡占から鼎占へのプロセスが、
産業の爆発点であることをシンプルに解明する。

もう一つ。
店舗研究特集は、
MEGAドンキ成増店
これは魔境のポジショニング戦略だ!
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3月13日、都内最大級のMEGAドン・キホーテ成増店がオープンした。ダイエー成増店撤退跡への居抜き出店だ。国内最大の総合スーパー企業となった㈱パン・パシフィック-インターナショナルホールディングス(PPIH)はポジショニング戦略でも抜きん出たユニークさをもつ。その経営理念と国内成長戦略を分析し、そしてしたたかな最新店の全貌をお届けしよう。

[特別写真構成]
最大級MEGAドンキ成増店、したたか!

写真100枚超、15ページ。
成増店を丸裸にする。

是非ともweb版商人舎で見てほしい。
流通専門カメラマン結城義晴の本領発揮!!
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ダイエーがイトーヨーカ堂が、
西友がマイカルがユニーが、
捨ててきた部門とカテゴリーが、
ドンキ流に再構築されて、
魅惑的に表現される。

それは魔境のポジショニング戦略だ。
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目次。
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[特別レポート]
総菜製造ロボットの未来
合言葉は「ロボフレ」202404_robot

CaseStudyは、
マックスバリュ東海
――惣菜盛り付け全工程の自動化

ベルク
――「巻き寿司」多品種盛付で自動化を実現
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原島一誠ベルク社長、本誌初登場。
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今度、ゆっくり話しましょう。

最後に[新店の注目点]
トップバリュ5割の特化型実験店
MZ世代ターゲットの「まいばすけっと仲町台駅南店」
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突き詰めていくとこれは、
トレーダー・ジョーになってしまう。

さて、どうか?

商人舎4月号、
私がお勧めします。
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さて今日は、
決算発表の日。
㈱セブン&アイ・ホールディングス、
イオン㈱とイオン北海道㈱、
そして㈱ライフコーポレーション。

夕方の17時から、
セブン&アイ。
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商人舎流通SuperNews。
セブン&アイnews|
営業収益11兆4718億円2.9%減ながら営業利益過去最高

井阪隆一社長がいつものように、
細かく説明した。
減収ながら過去最高益だった。
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それから取締役や子会社のトップとともに、
質疑応答。
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ヨークベニマルの大高耕一路社長も初登場。
イトーヨーカ堂の山本哲也社長への質問も多かった。seven_sankasya2

昨日のこのブログで書いたように、
中間持ち株会社つくって、
スーパーストア事業を分離し、
再上場を狙っていく。

囲み取材にも多くのジャーナリストが集まった。
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一方、イオン㈱の記者会見は、
15時30分から。
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イオンnews|
営業収益9兆5536億円4.8%増/売上高・利益とも過去最高更新

イオンは過去最高を更新した。
来年の2月期には10兆円の大台を達成する。aeon_speaker

吉田昭夫社長はいつものように、
歯切れよく語った。??????????

質疑応答は多岐にわたった。
それにもよどみなく答えた。aeon_yoshida2

15時から札幌で開催されたのが、
イオン北海道の会見。
私はオンラインで参加した。
青栁英樹社長がやや早口で説明した。IMG_36075
西友の9店舗を譲受する件に、
質問が集中した。

北海道の鼎占の行方や、
イトーヨーカドーの3店を、
ロピアが譲り受ける話にも質問が及んだ。

ライフコーポレーションは16時から。
岩崎高治社長は上機嫌。
コロナ特需の2021年2月期を除けば、
すべての項目で過去最高。IMG_3608 (002)

ライフnews|
23年度営業収益8097億円と過去最高・20期連続増収
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好調な2024年2月期決算。

コロナ禍のあと、
如何にスピードアップできるかが、
各社の実力となる。

〈結城義晴〉

2024年04月09日(火曜日)

イトーヨーカ堂を統括する「中間持ち株会社案」浮上!?

横浜の桜。
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今朝の雨で、ずいぶん散った。IMG_3577 (002)r4

土日曜、月曜と動き回って、
かなり疲れたので午前中は休養をとって、
午後、出社。

1時半からオンライン会議。
5月の商人舎US研修会ベーシック編。
入念に打ち合わせした。

そのオフィスに「セルコレポート」が届いた。IMG_3580 (002)4
私の連載「艱難は商人を鍛える」
第24回となる。

1年に12回だからもう2年となる。

「セルフサービスを発明した
クラレンス・サンダースや
ダイエー創業者の中内功さんの物語から紐解いて、
さまざまな商人の
艱難のストーリーを書いてきました。

そんな艱難の商人の物語を書いていて、
『お前にはそれはないのか』と問われそうです。
そこで連載の2回分だけ、
自分のことを書かせてもらいます」

タイトルは「結城義晴の右目の艱難」
ご愛読のほどを。

さて今日は午後6時半に、
イトーヨーカ堂のニュースが、
ネット上を飛び交った。

共同通信の配信。

産経新聞、新潟日報、
スポニチなどが、
電子版で報道した。

「セブンがヨーカ堂を上場へ 
祖業のスーパー事業分離」

「関係者への取材で分かった」とある。

「イトーヨーカ堂の業績は
不振が続いていたが、
合理化で再建への方向性が見えたとして
上場を目指す」

「同社のスーパー事業の立て直しは
最終局面を迎えた」

「上場に数年はかかる見込みで、
上場後もセブン&アイは一定の株式を保有し、
協力関係を継続するとみられる」

イトーヨーカ堂を、
セブン&アイから分離して、
それから再上場するというストーリー。

ん~。

すると日経新聞電子版が、
23時半にこれらを訂正するような記事を載せた。

「セブン、イトーヨーカ堂株を一部売却へ
外部資本を活用」
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「セブン&アイは
イトーヨーカ堂などのスーパー事業の株式を
2026年以降に一部売却する検討に入った」

「ヨーカ堂で構造改革を進めて
外部資本も入れて再成長を目指す」

「祖業であるヨーカ堂を非中核と位置付け、
コンビニエンスストア事業に集中して
一連の構造改革にめどをつける」

やはり。

売却に関しては、
「中間持ち株会社を設立」する。
その下にヨーカ堂やヨークベニマルなどを、
ぶら下げて中間持ち株会社に外部出資を募る。

その際、新規株式公開も検討。

中間持ち株会社に対しては、
セブン&アイの持ち分は過半も含めて、
今後、詰めていくが、
一定比率は維持してグループに残す方針。

日経の取材にセブンが答えて、
この記事が出来上がった。

明日の決算発表の席で、
井阪隆一社長が同じ趣旨の説明をするはずだ。

考え出されたのは、
「中間持ち株会社方式」

セブン&アイという持株会社の下に、
さらに中間の持ち株会社を設けて、
イトーヨーカ堂やヨークベニマルを統括させる。

二重に持ち株会社を設置する。
一番上の持ち株会社はちょっとだけ、
責任が軽くなった気になるかもしれない。

この中間持ち株会社も、
いずれ上場させるかもしれない。

共同通信の記事は、
イトーヨーカ堂が再上場すると報じた。
厳密に言えば誤報ということになる。
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私はずっと言い続けているが、
イトーヨーカ堂の社員たちどう思っているか。
さらにヨークベニマルの幹部や社員は、
どう考えているのだろうか。

二重の持ち株会社。

小売業は現場の人々の力が、
営業に大きく影響する。

セブン-イレブンのような、
フランチャイズのコンビニでも、
加盟店のオーナーや店長たちが、
実際の商売を担っている。

倉本長治。
「店は客のためにあり、
店員とともに栄える」

どんなに大きな会社であろうとも、
この大原則から外れたら、
おかしくなる。

どんなに素晴らしい業績を上げた組織でも、
この鉄則を守れなかったら、
衰退に向かう。

中間持ち株会社。
私は賛成する気にならない。

創業者の故伊藤雅俊さん。

会社と経営が、
誠実であること。
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何度もなんども書いてきたけれど、
伊藤雅俊から離れたら、
この会社は駄目になる。

〈結城義晴〉

2024年04月08日(月曜日)

「決算発表の季節」と木更津アウトレット&スーパーセンター

Everyone, Good Monday!
[2024vol⑮]

2024年第15週。
4月第2週。

今週は水曜日の10日に、
決算記者会見が目白押し。
イオン㈱、㈱セブン&アイ・ホールディングス、
そして㈱ライフコーポレーション。

決算発表の季節だ。

マスコミは忙しい。

すでに発表した企業もあるし、
今日も重要な記者発表があった。

商人舎流通SuperNews。
サンエーnews|
営業収益2276億円・6.6%増/経常利益169億円・46.2%増

㈱サンエーは営業収益2276億円
前年同期比6.6%増。
営業利益164億6400万円(47.1%増)、
経常利益168億9300万円(46.2%増)。

営業利益率7.2%、経常利益率7.4%。
7%台に回復した。

新城健太郎社長を筆頭に、
全幹部、全社員が頑張った。

経営方針は、
「もっといい方法はないか考えよう」

これは具体的で、いいなあ。

人財力、仕組み力、商品力の向上に取り組んだ。

そして企業理念の浸透と七大基本の徹底。
既存店の活性化、効率化を図り、
顧客満足度の向上に努めた。

既存店売上げは通期で6.6%増。

凄い決算だった。
おめでとう。

フジnews|
営業収益8010億円2.0%増・経常利益174億円30.0%増

㈱フジの連結営業収益8010億円、
対前年増減率2.0%増。
営業利益151億1000万円(33.5%増)、
経常利益173億7400万円(30.0%増)。

営業利益率1.9%、経常利益率2.2%、
いずれも前年を0.5ポイント上回った。

2024年3月1日から本格的な経営統合に進む。

その弾みとなる決算だ。

ウエルシアnews|
売上高1兆2173億円6.4%増/経常利益478億円8.4%減

ウエルシアホールディングス㈱は、
売上高1兆2173億円、
前年同期比6.4%増。

1兆円を2000億円も上回った。

営業利益432億3100万円(5.3%減)、
経常利益477億5600万円(8.4%減)。

増収減益。

営業利益率3.6%、経常利益率3.9%。

売上総利益が30.5%から30.4%に微減、
販管費率が26.5%から26.8%に増加。

1年間に102店舗の新規出店、
40店舗の閉店。
期末店舗数は2825店舗となった。

㈱ツルハホールディングスとの合併を、
2027年に控えて、
成長軌道は衰える気配がない。

月刊商人舎4月号では、
池野隆光会長のロングインタビューで、
その考え方を存分に語ってもらう。
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さて私は千葉県木更津のホテルに宿泊した。

朝、宮本洋一ブルーチップ㈱社長は、
北海道に向けて出立した。

それを見送ってから、
鈴木國朗さんと木更津をクリニック。

まず三井アウトレットパーク木更津へ。202307_cover
日本のアウトレットモールのなかで、
第2位に入る。
三井不動産の運営。
年間売上高は550億円に至る。

第1位は御殿場プレミアムアウトレット。
こちらは三菱地所・サイモンの開発・運営で、
年商は800億円を超える。

商人舎2023年7月号で特集した。
Outlet Center Age
三井・三菱&イオンのそれぞれ
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朝9時半の開場、
ショップのオープンは10時。
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一番に入ると、さすがに人影はまばら。IMG_35454

朝10時にはすべてのショップの入り口に、
店員が一人ずつ立っていて、
最初に通り過ぎる顧客にお辞儀をする。
それから店の奥に戻っていく。

それがルール化、習慣化されている。

私たちは1時間、
思い思いに店を回って、
買物をすることにした。
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このアウトレットモールの真ん中あたりに、
フードコートがある。
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昼頃にはずいぶん顧客が増えて、
軽食を食べたり、お茶を飲んだりして、
休憩している。
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私はアメリカのアウトレットにも、
毎年のように訪れる。

日本で成功するには、
アメリカの完全コピーをすること。
もちろんテナントは日本の企業も入ってよろしい。

三井不動産、三菱地所・サイモンに続いて、
積極的に取り組んでいるのは、
イオンモールだ。

私たちのランチは、
木更津KiSARA。
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私は金目鯛の煮つけ・刺身・焼き魚定食。
大満足。
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それからベイシア木更津金田店へ。
2019年12月6日にリニューアルオープンして、
スーパーセンターになった。
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食品のフルライン売場に、
ノンフードを加えた。
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インナーを広くとって、
アパレルを充実させた。
ワンプライスショップのセリアを、
インストアのテナントで入れた。

人口が増えつつある木更津で、
いい商売をしている。

プライベートブランドも、
「ベイシアプレミアム」を開発して、
「もっと! 良いものをより安く」のキャッチフレーズで、
大々的に展開している。

この木更津には、
コストコの本部が移転してきた。
コストコ木更津倉庫店も大繁盛している。

千葉県の木更津が、
今、熱い。

いい勉強になった。

では、みなさん、今週も、
商売商売、勉強勉強。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2024年04月07日(日曜日)

孼会と令和名人会の「けふまでの日はけふ捨てて初桜」

月刊誌の責了をして、
京都に出張。

店舗視察と講演。
そして懇親。
円山公園の枝垂れ桜。

忙しかった。

4月最初の週末は、
楽しいことばかり。

昨日の土曜日は、
夕方から中学・高校時代の親しい友人たちと会食。

(ひこばえ)の会。

このブログで何度も書いているが、
私は高校1年から文学同人誌に参加した。
そのタイトルが「孼」だった。

仲間は7人いた。

同人誌を中心に、
一緒に山に登った仲間、
バンドを組んだ仲間、
部活の仲間など、
なんとなく7人が集まった。

18歳で卒業してから、
もう53年が経過する。

全員が元気に生きている。

ずっと正月に新年会を開いていた。
しかし今年から春夏秋冬で集うことにした。

横浜の京浜急行・日ノ出町駅に集合。

大岡川の桜。
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何処に行っても桜が楽しめる。IMG_35074

満開だ。
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屋形船が行く。
IMG_35094

エンジン付きボート「ベネチア号」も行く。IMG_35135
乗りたいとは思わないが。

桜の下には鬼が住む。
大岡川の桜には、
そんな気配はない。IMG_35124

今回は5人が集まった。
みんな71歳。
IMG_35304

予約を取った店は「万喜多」。
幹事の関孝和君が、
もう40年ほど前から、
馴染みの店。
IMG_35144
孼でも何度となく利用している。

6時ごろから飲み始めて、
8時過ぎまで。

この店の「ぬた(饅)」は最高。
筍、空豆、銀鱈。
生ビールと日本酒、
そして最後は焼酎。

ずいぶん飲んで、話し合った。IMG_E35154

それぞれの人生を歩んできた。

10代の6年間だけ一緒にいたが、
その後、自分たちの身の上に、
さまざまな出来事が起こった。

互いに知らないことが、
ずいぶん多いと気がついた。

それが新鮮だった。IMG_E35184

身に着けたこともあった。
捨ててきたものもあった。

そして今が、ある。
まだまだ。

食事が終わって、
伊勢佐木町を散策した。IMG_35214
10代のころには、
よく来た街だ。

横浜発祥の野澤屋。
それが横浜松坂屋となり、
ピークの1991年には300億円の年商を誇った。IMG_35234
建物はアールデコの外観を有する。

2008年10月26日に営業を中止した。

人気デュオのゆずは、
無名の時代にこの松坂屋前で、
路上ライブをやっていた。

書店の有隣堂本店。
よく、本を買いに来た。IMG_35264

現在の伊勢佐木町商店街には、
チェーンストアの外食や小売業が、
ずらりと並んでいる。IMG_35284

青江三奈が歌った「伊勢佐木町ブルース」は、
1968年のヒット曲だった。
私たちは16歳だった。

横浜はみなとみらいを含めて、
大人気のスポットとなったが、
伊勢佐木町は静かに変わった。IMG_35294

それもいいだろう。
私たちの街であり続けてほしいものだ。

妙蓮寺に戻ってきて、
いつもの帰り道の桜も満開。IMG_35324

ちょうどきれいに開いていた。IMG_35314

ときをりの風のつめたき桜かな
〈久保田万太郎〉

早く寝て、朝、
アクアラインを走って、
上総モナークカントリークラブへ。

今年初の令和名人会。
1989年から35年続いている。

スタート時点では、
霧がかかっていた。IMG_3534 (002)4
ブルーチップ社長の宮本洋一さん、
アイダスグループ社長の鈴木國朗さん。
新谷千里さんが急遽、欠席で、
ピンチヒッターは亀谷しづえ商人舎GM。

ラウンドするうちにからりと晴れて、
午後には20度を超えた。

そしてあちこちに桜の花が見え始めた。
不思議なものだ。

世の中は三日見ぬ間に桜かな
〈大島蓼太〉

ゴルフのほうは淡々と進んだ。
鈴木プロの打ち下ろしの一打。
IMG_3535 (002)4

青い空と白い雲、
緑の芝生と桃色の桜。IMG_3538 (002)4

午後になって一斉に桜が開いた。
IMG_3539 (002)4

そして上がるころには、
満開になった。
IMG_3540 (002)4

宮本プロの圧勝。
鈴木プロにも2打負けた。

しかし、いいメンバーで、
いいゴルフ日和だった。

その後、木更津金田まで移動して、
ホテルに宿泊。

夕食は焼き肉パーティー。

二晩続けての小宴。

それでも元気が出てくる。
まだまだ道を究めます。

けふまでの日はけふ捨てて初桜
〈加賀千代女〉

捨てることができるから、
道を究めることができる。

究めるためには、
捨てなければならない。

〈結城義晴〉

2024年04月06日(土曜日)

訃報/飯田勧オーケー会長の[関西スーパー方式+ウォルマート]

訃報です。

飯田勧(すすむ)さん。
オーケー㈱会長。
96歳。

商人舎流通SuperNews。

訃報|
オーケー創業者の飯田勧会長逝去、96歳

1928年、昭和3年3月23日生まれ。

ライフコーポレーションの故清水信次さんは、
1926年生まれだから飯田さんは2つ年下。

関西スーパーマーケットの北野祐次さんは、
1924年で飯田さんの4つ上だった。

実家は東京都日本橋の酒問屋・岡永商店。
その3男として誕生した。

根っからの商人だ。

1945年、終戦の年に、
海軍兵学校を卒業。

従軍はしていない。

戦後は岡永商店に入社し、
1949年、常務取締役就任。

ご長男の飯田博さんが、
この岡永を継いで、
日本名門酒会をつくった。

地酒ブームを仕掛けたのは、
飯田博さんだった。

温厚な人柄で、
私はずいぶんお世話になった。

食品商業で酒の雑誌を作っていたからだ。

現在は飯田永介さんが次いで、
地酒の第一人者と評していい。

その次の兄が飯田が飯田保さん。
居酒屋チェーン「天狗(てんぐ)」を創業。
運営するテンアライドを創業した。

こちらは飯田永太さんが継いでいる。

末弟の故飯田亮さんは、
セコムを創業した。

三男の勧さんは1958年に、
㈱岡永商店の小売り部門として、
スーパーマーケットを始める。

東京・上板橋のオーケー1号店である。
オーケーのOは岡永のO、
ケーは「小売り」のK。

そしてお客様のご要望には、
なんでも「OK」と応える。

だからOKと命名したと、
私は理解している。

青山の紀ノ国屋が1953年、
福岡の丸和フードセンターが1955年、
その直後のスーパーマーケットの創業で、
日本でも早い時期のスタートだった。

1967年、岡永商店から会社を分離して、
オーケー㈱を設立し、
代表取締役社に長就任。

1975年には当時の通商産業省の支援を得て、
国分寺で初の「無人スーパー」を開発した。

スーパーマーケットの様式を採用して、
売場は無人の店のように見えたが、
バックヤードには人間がたくさんいて、
独楽鼠のように働いていた。

つまりこの店は大失敗。

その後、関西スーパーの北野さんに教えを乞うて、
その無人スーパーの店を大改装。

関西スーパーそっくりの店舗を始めた。
これがオーケーの基礎となった。

現在の店はその当時の関西スーパーの原則を貫いている。

むしろ今でも原則的なのは、
オール日本スーパーマーケット協会に、
入らなかったこのオーケーと、
協会を脱退したツルヤである。

皮肉な結果となった。

しかし飯田さんは、
その店がスタートした半年後に、
ダイエーの中内功さんと手打ちをして、
グループの傘下に入った。

中内さんはセーフーチェーンとOKを、
合併させて関東の拠点企業にしようと考えた。

飯田さんと岡永は、
自主独立の道を選んで、
やがてこの提携は解消された。

その後、飯田さんは、
1986年、エブリデー・ロープライスを始める。
ウォルマートのコンセプトを採用する。

これを貫徹して現在のOKが生まれる。

飯田さんは探していた。
何が本命なのか。

いち早く無人スーパーをつくったが、
これは実態が伴っていなかった。

次に関西スーパー方式を導入した。
これはオーケーの体質となって残った。

そこにポジショニングを加えねばならないときに、
飯田さんははじめダイエー方式を選んだ。
しかしそれは本命足りえなかった。

だからウォルマートをモデルにした。

基本業態+ポジショニング。
それがフォーマットだが、
飯田さんは関西スーパー方式に、
ウォルマートのコンセプトをプラスした。

これが成功の方程式だった。

それ以降のことは、
月刊商人舎2022年12月号に書いた。
特集「オーケーとロピア」
「安売り原点説」を凌駕した“正統派”食品小売業の比較研究
202212_coverpage-448x632

1986年4月、基本方針を変えた。
それまでの「高品質・お買徳」に、
「Everyday Low Price」を加えた。

第1に品質の良い商品の中から、
価値のある商品・おいしい商品、
鮮度の良い商品・健康に良い商品、
便利な商品を基準として販売する。

第2は毎日を「特売日」として営業する。
基本的に特売日を設けない。
毎週月曜日に商品情報を発行して、
新商品・値下げ商品を告知する。

「ハイ&ロー」の拒否である。

そのうえで、ナショナルブランドを、
地域最安値で販売し、
「最低価格保証」をする。

ウォルマートは「プライスマッチング政策」と呼ぶ。

「万一、他店より高い商品がございましたら、
お知らせください。値下げします。」

オーケーの価格が競合店の価格より高い場合には、
「競合店に対抗して値下げしました。」と、
POPを付けて値下げ販売する。

そして「借入無しで年率 20%成長を達成する」
これは現在の目標だが、
飯田さんは1996年3月6日、
最初の目標を公開した。
「年率30%成長に挑戦」

3年半後の1999年9月8日に達成すると次の目標は、
「借入れ無しで年率30%成長を達成する」

さらに次は、売上げ規模を拡大しつつ、
経費率を15%に抑え、経常利益を5%稼ぐ。

このようにして飯田さんは、
2010年3月期に年商2000億円をクリアし、
借入無しで年率20%以上の成長を、
継続して実現するレベルに到達した。

飯田経営は一貫して、
高い目標を社内外に公開し、
それを必死で達成するという、
「目標達成主義」だった。

詳細は商人舎2022年12月号を再読してもらいたい。
この一冊が飯田勧さんへのはなむけとなった。

稀代のスーパーマーケット経営者だった。
ご冥福を祈りたい。

〈結城義晴〉

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