結城義晴のBlog[毎日更新宣言]
すべての知識商人にエブリデー・メッセージを発信します。

2023年07月19日(水曜日)

万代カレッジ「オペレーションマネジメント」講義、深まる。

梅雨明け宣言はまだない。
けれど夏が進んでいく。

横浜も大阪も異常な暑さだ。

東大阪市の万代会議棟。
朝から真っ青な空に白い雲。
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1階の大ホールに、
万代知識商人大学8期生が集合。

今年3回目の講義。
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今年の司会は石川慎也さん。
人事部マネジャー。IMG_6248

テーマは、
オペレーションマネジメントと、
サプライチェーンマネジメント。

オペレーションはサプライチェーンの締めくくりだ。

第1講義は結城義晴の概論。
まずはいつものように、
マネジメント体系。

ミッション・マネジメントから、
ストラテジック・マネジメント、
マーケティング・マネジメント、
ヒューマンリソース・マネジメント、
そしてフィナンシャル・マネジメントと、
オペレーションマネジメント。

毎回、その日の講義の位置づけをする。
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ストラテジック・マネジメントでは、
良い戦略と悪い戦略について話した。

月刊商人舎2022年7月号[特別企画]
小売業「複合危機」の「戦略と戦術」

8期生は読み返して復習してほしい。

その7月号の[Message of July]
今、良い戦略を。

戦略が良ければ、
戦術の失敗は、
挽回できる。

良い戦略ならば、
戦術でミスを犯しても、
その間違いを取り戻すことができる。

しかし戦略が悪ければ、
まず戦術は失敗しやすい。
現場の努力は実りにくい。

さらに悪い戦略の場合、
ある戦術が成功したとしても、
それが成功すればするほど傷は深まる。

戦術が成功するほどに、
悪い戦略の深みにはまっていって、
戦略の悪さが表に出てこない。

その結果として、
悪い戦略が長きにわたり継続され、
組織は茹でガエル化して破滅に至る。

戦略が良ければ戦術の失敗は挽回できる。
戦略が悪ければ戦術の成功が逆に、
マネジメントの死をもたらす。??????????????????????????????????

日本の太平洋戦争は、
悪い戦略の典型だった。

しかし最初の真珠湾攻撃が成功して、
悪い戦略はさらに突き進められた。

その結果、
原爆が落とされるほどの結果に至った。
大日本帝国は壊滅的な打撃を受けた。

真珠湾が失敗していれば、
あそこまで深みにはまることはなかった。

悪い戦略の良い戦術。
その例のひとつがパールハーバー攻撃だ。
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商売でもこんな事例は多い。

第2講義は和久正樹さん。
取締役店舗運営担当。IMG_6260

和久さんのテーマは、
「改善のオペレーション」

三つのテーマに絞って、
成功事例と考え方を示した。

秀逸の講義だった。

店長やチーフにとって、
実に有益な講義だった。IMG_6265

第3講義は夏山由香シニアマネジャー。
万代巽北店のフラッグショップ店長。 IMG_6271

店長として、
「オペレーションマネジメント」を、
どう考え、どう進めているか。

万代の2大目標実現のために、
作業改善を進める。IMG_6275

巽北店で今、進捗している。

その内容を披露してくれた。
実感溢れる講義だった。

夏山さんは住関バイヤーのときに、
万代カレッジを受講した。

そのときから目立っていたが、
いま旗艦店の店長として活躍する。

この企業内大学は、
社内講師がとてもいい。

社外講師は結城義晴だけだが。

和久さんと夏山さん。
ありがとう。
実に良い講義だった。IMG_6287

その夏山さんの胸元にあるのが、
このネームプレート。
「私が店長です」IMG_6288

これを胸に付けるようになって、
顧客から気軽に声をかけられるようになった。
コミュニケーションが進んだ。

副店長もチーフも、
自分のネームプレートを付けている。

昼食をはさんで、
午後は再び結城義晴の講義。IMG_6297

とくにエドワーズ・デミングと大野耐一。
小売業のオペレーションにも、
重要な示唆を与えてくれる。IMG_6292

それからLSPの概論。

万代はかつて、
村上忍さんから、
LSPを学んだ。

だから今も、「MH(マンアワー)」が、
日常業務の中に定着している。

それでもLSPの原理と導入手順は、
一応学んでおかねばならない。IMG_6294

1時間半の枠を超えて、
30分も押してしまった。
申し訳ない。

最後の講師は中筋浩二取締役。
ドライグロサリー・デイリー担当。IMG_6301

3カ年中期経営の戦略、
サプライチェーンの全体像と課題、
商品部の取り組みなどを、
詳細に話してくれた。IMG_6306

中筋さんは日本の商品開発において、
トップレベルの見識と経験をもつ。
改めて仕入れと調達の問題を議論したい。
そう思った。

中筋さん、ありがとう。IMG_6307

講師のレクチャーが終わると、
6つのグループに分かれて
3つのテーマでディスカッション。IMG_6312

その間、
わたしは津田睦人事部マネジャーと情報交換。
和歌山県、奈良県などの、
スーパーマーケットの情勢を教えてくれた。IMG_6313

ディスカッションが終わると、
グループの代表が課題ごとに、
取り組み内容を発表した。

後藤達也店長。
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寺戸伸行店長。
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松崎将之店長。
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これらの発表に対して、
和久さんがそれぞれ丁寧にコメントする。
それが実に的確だ。IMG_6317
万代の店舗運営部は、
和久改革の真っ最中だ。

まとめは結城義晴。
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KPIのことを少しだけ話した。
Key Performance Indicator。
「重要業績評価指標」と訳される。

人時売上高(MHS)をKPIに設定するとしても、
それは生産性が向上して、
業績が上がるということだけが、
重要なのではない。

MHSが上がったとしたら、
それは自分たちの技量が、
向上したことを意味する。

自分たちが成長したのだ。

それが全員の喜びになる。

このことを忘れてはならない。

最後はいつものように、
阿部秀行社長。
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ディスカッションの発表に、
きびしい指摘が飛んだ。IMG_6339

そして貴重な一言、
「それをやった先に何があるんや!?」

リーダーはその「先」にあるものを、
示さねばならない。
店長もチーフも。

さすが阿部秀行!!!

今日も1日、
充実した講義だった。
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企業内大学は、
企業の成長に応じて、
どんどん教育が深まっていく。
そしてその内容が濃くなる。

ありがとうございました。

〈結城義晴〉

2023年07月18日(火曜日)

第20回ミドルマネジメント研修会S級獲得者発表!!

第20回ミドルマネジメント研修会。
今年6月13日(火)から15日(木)まで、
ニューウェルシティ湯河原で開催された IMG_54293

6月と9月。
必ず火曜日から木曜日の3日間で開催する。

2日目と3日目の朝、
理解度判定テストを実施する。
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丸暗記のテストではない。
記述式と計数の計算。

研修会が終わったら、
課題レポートを提出してもらう。

テストがそれぞれ100点満点とすれば、
課題レポートは200点が最高となる。

テストが25%ずつで、
レポートが50%。

そのレポートを、
商人舎全員で多面的に評価する。

結果はS・A・B・C・Dの5段階となる。
全員がもれなくレポートを提出してくれて、
D評価はいなかった。

今回はよく勉強して、
C評価もいなかった。

全員が頑張った。

そしてS級獲得者が、
今回は9名となった。

素晴らしい。

発表しよう。あいうえお順。

浅井勝巳さん
㈱平和堂ららぽーと愛知東郷店店長。
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石井雅樹さん
㈱平和堂 生鮮食品事業部デリカ課 課長。
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石丸裕二さん
㈱マツモト 店舗運営部副店長。
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臼井一樹さん
㈱成城石井 店舗運営部エリアマネージャー。
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川口育洋さん
㈱関西スーパーマーケット第2店舗運営グループ チームリーダー。kansai-super_kawaguchi

橋爪智子さん
㈱平和堂 フレンドマート枚方養父店店長。
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林由香里さん
㈱平和堂 フレンドマート稲枝店店長。
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三島功義さん
㈱マツモト 店舗運営部副店長。
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山口雄太郎さん
㈱マツモト 店舗運営部副店長。
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マネジメント理論で言えば、
アンリ・ファヨールから、
ヘンリー・ミンツバーグまで。
もちろん中核はピーター・ドラッカー。

そしてケン・ブランチャード。

マーケティングもフィリップ・コトラー。

計数は商品回転率や交差比率、
人時生産性やROA。

さらに鈴木哲男講師の52週MD、
高野保男講師のLSP。

S獲得者はこれらを完全に理解した。
Aの人もBの人もある程度、
わかるようになった。

私は大学院のMBAの内容レベルで講義する。
だから商人舎ミドルマネジメント修了生は、
高いレベルの知識商人となる。

製造業や卸売業、金融業、
さらにIT関連企業などの人材にも、
引けを取らない。

本当におめでとう。

しかしそれぞれの修了生は、
これから自分の仕事で真価を発揮する。
その、良い報告を聞かせてほしい。
いつでも連絡してほしい。

第21回は9月19日・20日・21日の開催。
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申し込みを受け付けています。

さて私は午前中、
第一屋製パン㈱の取締役会。

オンラインで参加。。
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みんなの頑張りによって、
お陰様でいい成績だった。

会社を挙げたイノベーションへの取り組み。
膨張でなく、成長。

それが実を結びつつある。

そのあと、新横浜から新幹線。

富士の頂がちょっとだけ見えた。IMG_54363

いま富士登山のシーズン。
あそこに多くの人たちが登っている。
そんなことを考えた。IMG_54433

2時間半で新大阪に到着。IMG_54563

すぐに定宿のシェラトン都ホテル大阪へ。

そして夜の会食。
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㈱万代のお二人。

食べながら、飲みながら、
3時間近くも懇談した。

収穫は大きかった。

左が加藤健常務、
右が和久正樹取締役店舗運営部部長。
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加藤さんが45歳、和久さんは50歳。
頼もしい限りだ。
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二人の師匠に当たる人の話で、
大いに盛り上がった。

もちろん加藤さんも和久さんも、
とびきりの知識商人です。

明日はその万代知識商人大学の講義。

うれしいなぁ。

仕事に卓越した知識商人が、
次々に生まれていく。

ありがとう。

〈結城義晴〉

2023年07月17日(月曜日)

絶好のセレンディピティ日和・最高のserendipity環境

Everybody! Good Monday!
[2023vol㉙]

2023年第29週。
7月の祝日・海の日だ。
三連休の最終日。

河川氾濫、お見舞い申し上げる。
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しかしコロナ明けの上に、
梅雨明けは間近だ。
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人々の気持ちは解放される。

それは消費にとって、
すこぶるよろしい。

商売に励むときだ。

私は今日も商人舎オフィス。
一人でコーヒーを淹れて、
パソコンの大画面に向かう。

単行本の原稿執筆。

最初に予定していたストーリーが、
どんどん詳しくなっていく。
ときにはずんずんズレていく。
脱線し、横道に逸れる。

講演などでもそれは多い。

しかし横道に逸れることの中身が、
面白いし、意味があることが多い。

これを「セレンディピティ」という。
ホレス・ウォルポールの1754年の造語。
英国の政治家、小説家。

童話「セレンディップの3人の王子」

セレンディップは今のスリランカ。
かつてはセイロンと呼ばれた。

その王子たちは旅の途中、
いつも意外な出来事と遭遇した。

そしてもともと探していなかった何かを、
彼らは発見した。

ウォルポールは、
友人に宛てた書簡に、
たとえ話を書いている。

「たとえば、王子の一人は、
自分が進んでいる道を少し前に
片目のロバが歩いていたことを発見します」

「道の左側の草だけが
食べられていたためなのです」

2020年に故人となった外山滋比古さんも、
この言葉を遺言のように残した。
96歳だった。
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「何かを探しているときに偶然
探しているものとは別の、
価値があるものを見つけること」

単行本のような長い原稿を書いていると、
いつもこのセレンディピティに出会う。

それを大切にしなければいけない。

けれどそれは時間がかかるし、
量が増えていく。

そして誰も考えなかったことが、
わかってきたりする。

もちろん、無駄な横道もないことはないが。

それを一人で考えるのが楽しい。

休日のオフィスは、
絶好のセレンディピティ日和だし、
最高のセレンディピティ環境である。

これこそが私の喜びなのだ。

さて今週の私の予定。

明日は午前中、
第一屋製パン㈱の取締役会。
オンラインで参加する。

そして午後には大阪に向かう。

明後日は万代知識商人大学。
その第8期の講義。

その合間にもオンラインで役員会に出る。

木曜日からはふたたび原稿執筆。

さて、日経新聞の一面トップ記事。
「60代社員に現役並み処遇」
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実にいい啓蒙記事だ。

できる限り多くの人に読んでもらいたい。

「人手不足が深刻になる中、
シニア人材の処遇を現役並みに
改善する動きが出てきた」

拍手拍手。

住友化学は2024年から、
60歳以上の社員の給与を倍増する。

村田製作所は24年4月以降、
59歳以前の賃金体系を維持しながら、
定年を65歳に引き上げる。

これでも足りないと思う。
小売流通業は人手不足が慢性化している。

1990年前後に大量採用されたバブル期世代は、
まもなく60歳定年を迎える。

総務省の労働力調査。
65~69歳の就業率は2022年に50.8%。
過去10年で約14ポイント上昇。
2人に1人が働いている。

いいことだ。
もっともっと働ける。

21年施行の改正高年齢者雇用安定法で、
70歳までの就業機会確保が、
企業の努力義務となった。

ただ、多くは給与水準が低い。
ポジションも限られる。

しかし私自身がそうであるように、
65歳を超えても、70歳になっても、
仕事はできるし、意欲はある。
体力もあるし、気力もある。

慣れた仕事ならば、
難なくこなせる。

定年を過ぎた人たちが、
新しい仕事を探すなど、
社会全体のロス以外の何物でもない。

日経の一面トップ記事。
とても良い啓蒙をしてくれた。

では、みなさん、今週も、
老いも、若きも、よく働こう。

Good Monday!

〈結城義晴〉

2023年07月16日(日曜日)

「GIRINO」(二宮)のたべものと海と空に慰められる。

7月の三連休。
月曜日が海の日の祝日。

今日は東海道本線で二宮へ。

昔は東海道線の駅名を暗記していた。

東京・新橋・品川・川崎・横浜。
戸塚・大船・藤沢・辻堂・茅ヶ崎、
平塚・大磯・二宮・国府津・鴨宮・小田原……。

今は辻堂あたりで、
記憶が怪しくなる。

小田原の三つ手前。

その二宮。
11時15分くらいに着いた。

1982年に西友ストアー二宮店がオープン。
取材に訪れた。

まだ20代の編集記者だった。

それから34年経過して、
2016年11月にリニューアルした。

二宮駅で待ち合わせをして、
玉生弘昌さんの車で、
西湘バイパスをちょっとドライブ。

玉生さんはもちろん㈱プラネット会長。

そして到着しました。IMG_53933

GIRINO(ジリーノ)。IMG_53943

人気のイタリアンレストラン。
創作料理。

全席オーシャンビュー。
すべてのテーブルが、
海と空に面している。
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真下を西湘バイパスが走る。
そして相模湾が広がる。IMG_53973
伊豆大島が見えるし、
晴れていれば伊豆七島も楽しめる。

ベランダに出てみた。
米倉裕之さんと玉生さん。
米倉さんは㈱True Data社長。IMG_53983

ランチの時間になると、
予約のお客さんが、
三々五々集まって来て満席。

そして二つのコースから選ぶ。

アミューズ(小前菜)は、
つくり立ての温かい豆腐。
細長いグラスに入れられている。

それから前菜は6品。
いずれも絶品。IMG_54023

そしてアルデンテのパスタ。
スイートコーンがおいしい。IMG_54053

メインディッシュはマグロ。
GIRINOはとにかく野菜が美味い。IMG_54063

語り合いながら、
ゆっくりゆっくりといただく。

デザート。IMG_54093

桃と西瓜とパンナコッタ。IMG_54083

海を眺めながら、
ビールやワインをちょっとだけ飲んで、
料理を満喫した。

あっという間に3時間くらいが経過した。

シェフを囲んで記念写真。IMG_E54163

シェフは玉生さんの、ハンサムなご長男。
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このお店、予約が必要です。

また来たくなった。

ありがとうございました。

朝日新聞「折々のことば」
第2791回。

阪田寛夫の詩、
「木の葉聖書」

神さん
なんでおれひとり
いじめられてばっかり
おらんならんのか
と、悲しむ者は
しあわせや
木の葉が一枚
おまえの肩にとまっても
泣くほどうれしく
なるやろが
ほんまにわしは
きみらに告げる
わし一枚が
風に吹かれて落ちるのも
じぶんかってに
ひらひらするのやないわいな
とこ
とんやれな

阪田寛夫さんは詩人で児童文学作家。
1925年生まれ、2005年没。

「サッちゃん」も、
「おなかのへるうた」も、
阪田寛夫さんの作詞だ。

意外に知られていないけれど、
昭和50年の芥川賞作家でもある。

「てんとうむし」の中の「木の葉聖書」
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この詩に対して、
折々のうたの編著者・鷲田清一さん。

「幸福(さいわひ)なるかな、悲しむ者。
その人は慰められん」

「イエスの言葉が、浪速(なにわ)の地声で、
こんなふうにほぐされる」と称賛。

GIRINOのたべもの、
GIRINOの海と空。
幸福なるかな、
慰められる。

〈結城義晴〉

2023年07月15日(土曜日)

秋田大雨をお見舞いし、故篠田桃紅の「消夏法」

秋田県の大雨。

お見舞い申し上げます。

㈱伊徳の皆さん、
㈱タカヤナギの皆さん、
それから㈱よねやのみなさん、
㈱ナイスの皆さん。

それ以外のスーパーマーケットの皆さん、
小売業の皆さん、
サービス業の皆さん。

お見舞い申し上げます。

イオンモール秋田は、
土曜日の営業を中止した。

それぞれに安全を第一に、
素早く対応してほしいものだ。

大学時代に、
秋田から新潟まで、
ヒッチハイクをしたことがある。

無頼派を気取っていて、
もちろん計画的なものではなかった。

秋田の先輩の家に泊めてもらって、
新潟の同期の親友の家まで、
移動するつもりだった。

しかし予定していた羽越本線の列車に乗り遅れた。
次の便は何時間もあとだと言う。

ならばと、ヒッチハイクをやった。

その秋田から新潟への道中の反対を辿って、
梅雨前線に絡んだ大雨が降る。

「極端気象」
極端気象
ずっと言い続けているが、
それは激しさを増すばかりだ。

人間は耐えるしかない。
商人も耐えつつ、
安全第一を考えつつ、
地域のために貢献したい。

私は土曜日の商人舎オフィスに出社。
一人で原稿執筆。

オフィスの場合、
パソコンを大型のスクリーンに繋いでいるので、
目が疲れない。

雑音もない。
資料は揃っている。

一人でコーヒーを淹れ、
一人で瞑想し、
一人で執筆する。

なかなかにいいもんです。

新潟日報の巻頭言「日報抄」

「猛暑に豪雨、突風と、
この梅雨は暴れ放題だ」

その通り。

美術家の故篠田桃紅さんの随筆を引用。
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自在に水墨を操り、100歳を過ぎても、
作品を制作した。

2021年3月1日、107歳でご逝去。
篠田桃湖

その「桃紅式消夏法」

「からり、さらり、
するり、きりり、ぴりり
の五つの形容詞のつくたべもの」

からりとした揚げ物や、
するりと入る冷たい麺、
ぴりりとした薬味…。

コラムニスト。
「食欲がうせる日も、
こうした”りの字”がつく一品で、
夏バテをしのいだ」

「クールビズの軽装にも通じそうだ。
からり、さらりとしたリネンやコットン。
そんなシャツならするりと着られる。
涼感を呼ぶ服装センスでピリッと決めれば、
仕事もきりりと臨めよう」

世界気象機関よると、
今月7日の世界の平均気温が17.24度と
観測史上最高を記録した。

「今後も懸念される酷暑をどうやり過ごすか。
周囲への気配りを忘れず、
“り(理)”にかなった消夏法を見つけたい」

駄洒落で終わるのは、
篠田さんに、ちと失礼だ。
〈ギャラリー桜の木の「空」〉
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「からり、さらり、
するり、きりり、ぴりり」
実に味わい深い。
ありがとうございました。

〈結城義晴〉

2023年07月14日(金曜日)

岡田卓也・鈴木敏文[このひとのこのひと言]と両者の四半期決算

久しぶりに商人舎オフィスに出社。IMG_E53713
1週間、忙しく出歩いた。

そして月刊商人舎7月号をとって、写真。IMG_E53723

目次。
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巻頭には[このひとのこのひと言]2題。

岡田卓也氏旭日大綬章「お祝いの会」の言葉。
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その言葉に対する[結城義晴の述懐]

――「旭日大綬章は私がいただいたものではなく、我が国の小売業全体がいただいたもの」。岡田卓也さんにとって、そのことが嬉しいのだと思う。士農工商と闘い続けた。「小売業は雑魚だ」と言われた瞬間を思い出すと、いまでも拳を握り締める。怒りがこみあげてくる。闘争心が湧いてくる。それが小売業近代化に挑み、産業化への道を開き、平和産業・地域産業・人間産業という、類稀なコンセプトを生み出す原動力となった。「最も強い者が、人間を打ち倒す軍人になった。次に強い者が、自然と闘い、農作物を生産する農民となった。三番目に強い者が、道具を使ってモノをつくる工の民となった。そして一番体の弱い者が、商人となった」。結城義晴の士農工商の定義だ。しかし岡田卓也さんは強い者でありながら商の民となった。そして商の代表として闘い続けた。傑出したリーダーにふさわしい栄誉である。

もうひとつの[このひとのこのひと言]

「伊藤雅俊お別れの会」の鈴木敏文氏の弔辞。
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その[結城義晴の述懐]

――前セブン&アイ・ホールディングス会長の鈴木敏文さんは、いつも本音で語る経営者だ。その本音が伊藤雅俊さんの弔辞に表れている。「歴史に残る弔辞」だと思う。お客さまを第一にした誠実な商売、公私のけじめ、信頼と誠実。これこそがイトーヨーカ堂とセブン&アイの社風である。それを鈴木さんは初めに語った。大げさなふるまいを好まず、世の耳目を集める派手な主張もしない。これこそ伊藤イズムだ。そしてメモ魔。「対照的な経営者」と評されつつも、経営の本質においては深く共鳴し合っていた。「量の拡大を目指すのではなく、質を高めていけば量は後からついてくる」。至言である。伊藤さんの適宜のブレーキと全体を見据えたさまざまな気遣い。鈴木さんの厳しさを前面に押し出したリーダーシップ。これがセブン&アイの奇跡をもたらした。「そのような意味で、私は伊藤さんの大きな掌の上で踊っていたのでしょう」。謙虚な本音がここでも見えた。この弔辞にセブン&アイの真髄がある。残された人たちは、ここから出発すべきである。必ず成果は見えてくる――。

急遽、編集して掲載した企画だが、
お陰様でとてもよかった。

そのセブン&アイとイオン。

商人舎流通スーパーニュース 。
第1四半期決算が発表されている。

セブン&アイnews|
第1Q営収2兆6506億円8.3%増・経常819億円22.8%減

セブン&アイ・ホールディングス㈱は、
株主総会を切り抜けて、
一息ついている。

しかし2024年2月期第1四半期決算は、
営業収益2兆6507億、前年増減率8.3%増。
好調だ。

だたし営業利益820億円、19.9%減。
経常利益737億円、22.8%減。

営業利益率は3.1%で、
前年の4.2%から1.1ポイント減じた。
経常利益率も2.8%で1.1ポイント減。

海外コンビニエンスストア事業が低調だった。
営業収益1兆9007億円で10.3%増だったが、
営業利益は全体で210億円で52.3%減。
前年はガソリン収益が歴史的な高水準だったが、
その反動が大きくなった。

それがセブン&アイ全体の減益の理由だ。

スーパーストア事業の営業収益は、
3602億円(1.2%増)、
営業利益は33億円で、5.8%減。

イトーヨーカ堂は1億6300万円の営業損失。
(前年同期は7億7000万円の営業利益)となった。

ヨークベニマルの営業利益は、
45億8100万円で2.7%増。

一方、
イオンnews|
第1Q営業収益2.3兆円/収益・利益とも過去最高更新

営業収益2兆3248億円、前年同期比5.5%増。
営業利益515億円、前年同期より76億円増、
経常利益481億円、同37億円増。

第1四半期としては過去最高。

営業利益率は2.2%で0.4ポイント向上、
経常利益率2.1%で0.1ポイント改善。

事業内容は大きく異なっていくものの、
両社の営業収益も経常利益も、
接近してきた。

故人となった伊藤雅俊さんは、
どう見ているだろう。

〈結城義晴〉

2023年07月13日(木曜日)

2023年度の食品値上げとニチリウバイヤーセミナーの「決断」

帝国データバンクは毎月、
値上げの調査をして発表している。

その7月度の主要食品メーカー195社の調査。

2023年に値上げする品目数は、
3万品目を超えた。

22年は年間トータルで2万5768品目だった。

それが7月段階で前年の総数を上回った。

原材料価格の高騰による影響は、
一部で落ち着きつつある。

しかしその半面、
電気代や人件費、物流費の負担は増している。

したがって残念ながら値上げペースは、
「引き続き高水準で推移」している。

物価上昇に伴って、
家計の食費支出は「勢い」を欠いている。
値上げ後に店頭での売れ行きが、
伸び悩む商品も出ている。
当然のことだ。

ここでそれぞれのアイテム、それぞれのメーカーの、
真価が問われる。

変な表現だが、
「値上げに対する消費者マインドは
寛容さを失いつつある」

消費者の「値上げ疲れ」と「生活防衛」志向である。

そこでメーカー側は、
コストアップ分の価格転嫁を、
躊躇するケースが出ている。

価格据え置きや値下げも、
累計1000品目に迫っている。

値上げの様相は昨年と異なっている。

帝国データバンクの予想。
2023年の食品値上げは、
22年に比べて高水準を保ちながらも、
10月をピークに一旦は沈静化する見通し。

年間累計は3万5000品目前後。

こんな時こそ、
1品1品に対するバイヤーの判断が、
重要になる。

このときこそ、
何らかの施策を講じなければならない。

昨日から大阪。

ニチリウグループバイヤーセミナー。
日本流通産業㈱主催。
IMG_6168

大阪クライトンホテルで、
1泊2日の缶詰型研修会。
全国の加盟企業から43名が参加。

今日2日目は鈴木哲男講師の講義。
㈱REA会長。
IMG_6171

講義テーマは、
「52週MD実務のセオリーと商品部の機能」IMG_6175

バイヤーのために、
52週MDの考え方と具体的なアプローチ法、
重点商品設定とその売り方などを、
わかりやすく解説。
IMG_6179

ときに質問をして、
双方向の講義となる。
IMG_6178

最後はストアコンパリゾン講義。
バイヤーはマーケッター。
マーケティングのために、
競合店調査やベンチマーキングは、
必須の技術になる。
IMG_6182

鈴木先生の講義は、
朝9時半から12時半までの3時間。
IMG_6188
受講したバイヤーたちにとって、
貴重な講義だった。

鈴木先生には、
9・12(火)
商人舎15周年記念セミナーで、

講演をしていただく。
20230912_Shoninsha_Seminar1
皆さんにも、ご参加をお願いします。

講義が終わると昼食。
酒井幸男さんを交えて、
3人で情報交換。
酒井さんは総務管理部部長。
IMG_6190

鈴木さん、ありがとうございました。

講義を終えて、
午後は2度目のグループディスカッション。IMG_6194

お題は「営業利益を上げる3つの施策」

9グループに分かれて、
現状の課題を整理しながら、
商品部の立場、バイヤーの立場に立って、
具体的な施策をまとめ上げる。
IMG_6192

活発な議論が続く。
私は会場を回りながら、
ときにアドバイスする。
IMG_6196
互いに情報交換し、
意見をぶつけ合って、
結論を導く。

これがこの研修の狙いの一つだ。

そしてグループ発表。
真っ先に手を挙げて発表するのは、
Eグループ。
IMG_6197

この積極性が大事だ。
IMG_6199

次々に各グループが発表する。
IMG_6201

1グループの発表が終わると、
質問タイム。
IMG_6205

1つのグループの発表と質疑応答が終わると、
私が発表内容を整理し、総括する。

これを9グループで行う。
IMG_6202
発表は具体性が必要だ。
具体的な行動に結びつかなければならない。

皆、発表を真剣に聞いている。
考えている。
IMG_6203

最後は結城義晴のまとめ。
IMG_6207

商売は面白い。
失敗もすぐに挽回できる。

だから、
ポスト・コロナ時代の決断とは
「不確実な成果」に対して、
目隠しで一歩、踏み込む
心の在り方である。
IMG_6210

最後に拍手をもらって、
すべての講義を終了。IMG_6214

昨日は6時間の講義、
今日は2時間半の
グループディスカッションと発表、
そのコーディネートと指導。

充実しつつも、疲労困憊。

しかし参加バイヤーたちの顔つきを見ていて、
私もちょっと安心した。

大いに期待しよう。

頑張れ。
成果を出せ。
恐れずに決断せよ。

テキストのEpilogue。
ピーター・ドラッカーの言葉。

「マーケティングの理想は、
販売を不要にすることである」

「マーケティングが目指すものは、
顧客を理解し、
製品とサービスを顧客に合わせ、
おのずから売れるように
することである」

〈結城義晴〉

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